しかし、このような従来の微小高さ測定方法においては、被測定物をその移動の下限位置から上限位置まで相対移動させて、被測定物上の全測定点の微小高さを測定した後、各測定点の微小高さが下限位置と上限位置との中間に予め設定された基準値内にあるか否かを判定するものであったので、例えば、全測定点の高さが基準値内にある場合であっても、被測定物は下限位置から上限位置まで移動しなければならず、基準値から上限位置までの移動時間とその間の取得データが無駄となっていた。その上、処理すべきデータ数が多いため測定時間が長くなっていた。
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、無駄なデータの取得を省略して測定時間を短縮可能とする微小高さ測定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1の発明による微小高さ測定方法は、顕微鏡の対物レンズの光軸方向に移動可能に設けられた結像レンズがその移動範囲内にあるとき、前記対物レンズの結像位置と光学的に共役の関係に配置されたビームスポット生成手段により複数のビームスポットを生成し、前記対物レンズにより前記複数のビームスポットを被測定物上に投影し、前記結像レンズを移動しながら所定の時間間隔で前記被測定物上を撮像して該記被測定物上の複数のビームスポットからの各反射光の輝度を検出し、該各反射光について夫々最大輝度を示した前記結像レンズの移動量から前記被測定物上の微小高さを測定する方法であって、前記結像レンズの移動範囲の下限位置と上限位置との間に高さ判定基準位置を予め設定し、前記結像レンズを前記下限位置と前記高さ判定基準位置との間で移動させ、前記下限位置と高さ判定基準位置との間で前記反射光の全てに最大輝度が検出されたときには前記微小高さは基準値内と判定し、前記下限位置と高さ判定基準位置との間で前記反射光の一部に最大輝度を示さないものが検出されたときには前記微小高さは基準値外と判定し、前記結像レンズが少なくとも前記高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了するものである。
このような構成により、対物レンズの光軸方向に移動可能に設けられた結像レンズの移動範囲の下限位置と上限位置との間に高さ判定基準位置を予め設定し、結像レンズが移動範囲内にあるとき、対物レンズの結像位置と光学的に共役の関係に配置されたビームスポット生成手段により複数のビームスポットを生成し、対物レンズにより上記複数のビームスポットを被測定物上に投影し、上記結像レンズを上記下限位置と高さ判定基準位置との間で移動しながら所定の時間間隔で被測定物上を撮像して被測定物上の複数のビームスポットからの各反射光の輝度を検出し、上記下限位置と高さ判定基準位置との間で上記反射光の全てに最大輝度が検出されたときには被測定物の微小高さは基準値内と判定し、上記下限位置と高さ判定基準位置との間で上記反射光の一部に最大輝度を示さないものが検出されたときには被測定物の微小高さは基準値外と判定し、結像レンズが少なくとも上記高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了する。
また、第2の発明による微小高さ測定方法は、顕微鏡の対物レンズの結像位置と光学的に共役の関係に配置されたビームスポット生成手段により複数のビームスポットを生成し、前記対物レンズにより前記複数のビームスポットを被測定物上に投影し、顕微鏡本体又は被測定物を対物レンズの光軸方向に移動しながら所定の時間間隔で前記被測定物上を撮像して該被測定物上の複数のビームスポットからの各反射光の輝度を検出し、該各反射光について夫々最大輝度を示した前記顕微鏡本体又は被測定物の移動量から前記被測定物上の微小高さを測定する方法であって、前記顕微鏡本体又は被測定物の移動範囲の下限位置と上限位置との間に高さ判定基準位置を予め設定し、前記顕微鏡本体又は被測定物を前記下限位置と前記高さ判定基準位置との間で移動させ、前記下限位置と高さ判定基準位置との間で前記反射光の全てに最大輝度が検出されたときには前記微小高さは基準値内と判定し、前記下限位置と高さ判定基準位置との間で前記反射光の一部に最大輝度を示さないものが検出されたときには前記微小高さは基準値外と判定し、前記顕微鏡本体又は被測定物が少なくとも前記高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了するものである。
このような構成により、顕微鏡本体又は被測定物の移動範囲の下限位置と上限位置との間に高さ判定基準位置を予め設定し、ビームスポット生成手段により複数のビームスポットを生成し、対物レンズにより上記複数のビームスポットを被測定物上に投影し、上記顕微鏡本体又は被測定物を上記下限位置と高さ判定基準位置との間で対物レンズの光軸方向に移動しながら所定の時間間隔で被測定物上を撮像して被測定物上の複数のビームスポットからの各反射光の輝度を検出し、上記下限位置と高さ判定基準位置との間で上記反射光の全てに最大輝度が検出されたときには被測定物の微小高さは基準値内と判定し、上記下限位置と高さ判定基準位置との間で上記反射光の一部に最大輝度を示さないものが検出されたときには被測定物の微小高さは基準値外と判定し、顕微鏡本体又は被測定物が少なくとも上記高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了する。
さらに、第3の発明による微小高さ測定方法は、顕微鏡の対物レンズの光軸方向に移動可能に設けられた結像レンズがその移動範囲内にあるとき、前記対物レンズの結像位置と光学的に共役の関係に配置されたビームスポット生成手段により複数のビームスポットを生成し、前記対物レンズにより前記複数のビームスポットを被測定物上に投影し、前記結像レンズを移動しながら所定の時間間隔で前記被測定物上を撮像して該記被測定物上の複数のビームスポットからの各反射光の輝度を検出し、該各反射光について夫々最大輝度を示した前記結像レンズの移動量から前記被測定物上の微小高さを測定する方法であって、前記結像レンズの移動範囲の下限位置と上限位置との間に高さ判定基準位置を予め設定し、前記結像レンズを前記下限位置と前記高さ判定基準位置との間で移動させ、前記下限位置と高さ判定基準位置との間で前記反射光の全てに最大輝度が検出されたときには前記微小高さは基準値内と判定し、前記下限位置と高さ判定基準位置との間で前記反射光の一部に最大輝度を示さないものが検出されたときには前記微小高さは基準値外と判定し、前記微小高さが基準値内と判定されたときには、該判定時点又は前記結像レンズが前記高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了し、前記微小高さが基準値外と判定されたときには、前記高さ判定基準位置と上限位置との間の移動を前記下限位置と高さ判定基準位置との間よりも大きい連続移動速度、又はステップ移動速度及び移動量で行なうものである。
このような構成により、対物レンズの光軸方向に移動可能に設けられた結像レンズの移動範囲の下限位置と上限位置との間に高さ判定基準位置を予め設定し、結像レンズが移動範囲内にあるとき、対物レンズの結像位置と光学的に共役の関係に配置されたビームスポット生成手段により複数のビームスポットを生成し、対物レンズにより上記複数のビームスポットを被測定物上に投影し、上記結像レンズを上記下限位置と高さ判定基準位置との間で移動しながら所定の時間間隔で被測定物上を撮像して被測定物上の複数のビームスポットからの各反射光の輝度を検出し、上記下限位置と高さ判定基準位置との間で上記反射光の全てに最大輝度が検出されたときには被測定物の微小高さは基準値内と判定し、上記下限位置と高さ判定基準位置との間で上記反射光の一部に最大輝度を示さないものが検出されたときには被測定物の微小高さは基準値外と判定し、微小高さが基準値内と判定されたときには、該判定時点又は結像レンズが上記高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了し、微小高さが基準値外と判定されたときには、上記高さ判定基準位置と上限位置との間の移動を下限位置と高さ判定基準位置との間よりも大きい連続移動速度、又はステップ移動速度及び移動量で行なう。
そして、第4の発明による微小高さ測定方法は、顕微鏡の対物レンズの結像位置と光学的に共役の関係に配置されたビームスポット生成手段により複数のビームスポットを生成し、前記対物レンズにより前記複数のビームスポットを被測定物上に投影し、顕微鏡本体又は被測定物を対物レンズの光軸方向に移動しながら所定の時間間隔で前記被測定物上を撮像して該被測定物上の複数のビームスポットからの各反射光の輝度を検出し、該各反射光について夫々最大輝度を示した前記顕微鏡本体又は被測定物の移動量から前記被測定物上の微小高さを測定する方法であって、前記顕微鏡本体又は被測定物の移動範囲の下限位置と上限位置との間に高さ判定基準位置を予め設定し、前記顕微鏡本体又は被測定物を前記下限位置と前記高さ判定基準位置との間で移動させ、前記下限位置と高さ判定基準位置との間で前記反射光の全てに最大輝度が検出されたときには前記微小高さは基準値内と判定し、前記下限位置と高さ判定基準位置との間で前記反射光の一部に最大輝度を示さないものが検出されたときには前記微小高さは基準値外と判定し、前記微小高さが基準値内と判定されたときには、該判定時点又は前記顕微鏡本体又は被測定物が前記高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了し、前記微小高さが基準値外と判定されたときには、前記高さ判定基準位置と上限位置との間の移動を前記下限位置と高さ判定基準位置との間よりも大きい連続移動速度、又はステップ移動速度及び移動量で行なうものである。
このような構成により、顕微鏡本体又は被測定物の移動範囲の下限位置と上限位置との間に高さ判定基準位置を予め設定し、ビームスポット生成手段により複数のビームスポットを生成し、対物レンズにより上記複数のビームスポットを被測定物上に投影し、上記顕微鏡本体又は被測定物を上記下限位置と高さ判定基準位置との間で対物レンズの光軸方向に移動しながら所定の時間間隔で被測定物上を撮像して被測定物上の複数のビームスポットからの各反射光の輝度を検出し、上記下限位置と高さ判定基準位置との間で上記反射光の全てに最大輝度が検出されたときには被測定物の微小高さは基準値内と判定し、上記下限位置と高さ判定基準位置との間で上記反射光の一部に最大輝度を示さないものが検出されたときには被測定物の微小高さは基準値外と判定し、微小高さが基準値内と判定されたときには、該判定時点又は顕微鏡本体又は被測定物が上記高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了し、微小高さが基準値外と判定されたときには、上記高さ判定基準位置と上限位置との間の移動を下限位置と高さ判定基準位置との間よりも大きい連続移動速度、又はステップ移動速度及び移動量で行なう。
また、前記ビームスポット生成手段は、個別に傾動可能な複数のマイクロミラーをマトリクス状に配置したものである。これにより、個別に傾動可能な複数のマイクロミラーをマトリクス状に配置したもので複数のビームスポットを生成する。
さらに、前記被測定物からの各反射光を夫々対応する前記複数のマイクロミラーで反射し、該複数のマイクロミラーに夫々対応して複数の受光エレメントを有する二次元撮像手段で前記各反射光の輝度を検出するものである。これにより、被測定物からの各反射光を夫々対応する複数のマイクロミラーで反射し、該複数のマイクロミラーに夫々対応した二次元撮像手段の複数の受光エレメントで各反射光の輝度を検出する。
そして、前記反射光の最大輝度の検出は、前記撮像する毎に、前記各反射光について検出された輝度を夫々一つ前に検出されて保存されている輝度と比較し、前記検出された輝度が前記保存された輝度を上回るときは該保存された輝度を更新し、該輝度の更新が止まって一定の輝度が所定回数保持されると、最後に更新がなされた輝度を最大輝度と定めることにより行うものである。これにより、撮像する毎に、各反射光について検出された輝度を夫々一つ前に検出されて保存されている輝度と比較し、検出された輝度が上記保存された輝度を上回るときは該保存された輝度を更新し、該輝度の更新が所定回数連続して行なわれないと、最後に更新がなされた輝度を最大輝度と定める。
なお、上記記載において、「移動しながら」とは結像レンズ又は顕微鏡本体若しくは被測定物を対物レンズの光軸方向にステップ移動又は連続移動する場合を含むものである。
請求項1に係る微小高さ測定方法によれば、結像レンズを下限位置と高さ判定基準位置との間で移動させて微小高さが基準値内か否かを判定し、結像レンズが少なくとも高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了することができる。したがって、従来のように全移動範囲を移動させて被測定物上の全ての測定点の微小高さを測定した後に上記判定をするものでないので、無駄なデータの取得を省略して測定時間を短縮することができる。
また、請求項2に係る微小高さ測定方法によれば、下限位置と高さ判定基準位置との間で移動させて微小高さが基準値内か否かを判定し、顕微鏡本体又は被測定物が少なくとも高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了することができる。したがって、従来のように全移動範囲を移動させて被測定物上の全ての測定点の微小高さを測定した後に上記判定をするものでないので、無駄なデータの取得を省略して測定時間を短縮することができる。この場合、測定用ソフトを変更するだけで従来の微小高さ測定装置を使用して本発明を実行することができ、利便性が向上する。
さらに、請求項3に係る微小高さ測定方法によれば、結像レンズを下限位置と高さ判定基準位置との間で移動させて微小高さが基準値内か否かを判定し、微小高さが基準値内と判定されたときには、該判定時点又は結像レンズが高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了し、微小高さが基準値外と判定されたときには、その後の連続移動速度、又はステップ移動速度及び移動量を大きくして測定することができ、従来よりも無駄なデータの取得を省略して測定時間を短縮することができる。
そして、請求項4に係る微小高さ測定方法によれば、顕微顕微鏡本体又は被測定物を下限位置と高さ判定基準位置との間で移動させて微小高さが基準値内か否かを判定し、微小高さが基準値内と判定されたときには、該判定時点又は顕微鏡本体又は被測定物が高さ判定基準位置に到達した時点で測定を終了し、微小高さが基準値外と判定されたときには、その後の連続移動速度、又はステップ移動速度及び移動量を大きくして測定することができ、従来よりも無駄なデータの取得を省略して測定時間を短縮することができる。この場合、測定用ソフトを変更するだけで従来の微小高さ測定装置を使用して本発明を実行することができ、利便性が向上する。
また、請求項5に係る発明によれば、汎用のデジタルマイクロミラーデバイス(米国テキサス・インスツルメンツ社の商標)を使用して容易にビームスポットを生成することができる。また、複数のマイクロミラーを所望の駆動パターンで容易に駆動することができる。
さらに、請求項6に係る発明によれば、被測定物に投影された複数のビームスポットからの反射光の輝度を同時に検出することができ、測定時間をより短縮することができる。
そして、請求項7に係る発明によれば、高さ測定をしながら各反射光の最大輝度を順次検出することができ、測定が全て終了した後に保存された各反射光の輝度データに基づいて最大輝度を求める場合に比べて測定時間を一層短縮することができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による微小高さ測定方法に使用する微小高さ測定装置の実施形態を示す概念図である。この微小高さ測定装置は、被測定物上の微小高さを測定してその高さが所定の基準値内にあるか否かを判定するもので、光源1と、対物レンズ2と、結像レンズ3と、デジタルマイクロミラーデバイス(以下「DMD」(米国テキサス・インスツルメンツ社の商標)と記載する)4と、光検出手段5と、観察用カメラ6と、変位手段7と、フォーカス調整手段8と、制御手段9とを備えている。
上記光源1は、被測定物10上の微小高さを測定するために所定波長の光ビームを放射するものであり、例えばレーザ発振器である。なお、光源1は、波長の異なる複数のレーザ光源を組み合わせて構成し、図示省略のステージの上面に載置された被測定物10の測定点の下地の色に応じてスイッチで切り換えて選択できるようにしてもよい。また、光源1から放射された光ビームは、ビームエキスパンダ11でその径が広げられ、コリメータレンズ12で平行光とされて射出するようになっている。
上記ステージに載置された被測定物10の上方には、該被測定物10と対向して対物レンズ2が配設されている。この対物レンズ2は、後述のDMD4で生成された複数のビームスポットを被測定物10上に投影するものであり、倍率の異なる他の対物レンズと交換できるようになっている。
上記光源1と対物レンズ2とを結ぶ光路上には、結像レンズ3が配設されている。この結像レンズ3は、被測定物10上のビームスポットの像をDMD4のマイクロミラー上に結像させるものであり、上記対物レンズ2の光軸方向に下限位置Aと上限位置Bとの間を移動可能とされている。
上記結像レンズ3がその移動範囲内の所定位置、例えば、図1に示すように移動範囲A−B間の中間位置に配置されているとき、上記対物レンズ2による上記被測定物10上の結像点と光学的に共役の関係にDMD4が配設されている。このDMD4は、ビームスポットを生成して被測定物10上にそのスポット光を照射するものであり、ビームスポット生成手段となるもので、複数のマイクロミラーをマトリクス状に配列しており、図2に実線で示すように各マイクロミラー13が光源1からの光ビームを被測定物10方向に反射するように個別に傾動するようになっている。そして、この状態を以下「マイクロミラーがオン状態」という。一方、「マイクロミラーがオフ状態」においては、マイクロミラー13は、同図に破線で示すように傾き、光源1からの光ビームを被測定物10方向とは異なる方向に反射することになる。なお、この反射光は図示省略の光吸収体により吸収されるようになっている。上記マイクロミラー13のサイズは、例えば16μm角程度に形成することが可能であり、該マイクロミラー13でそれと略同サイズのビームスポットを生成することができる。また、このマイクロミラー13は、被測定物10上で反射されて戻る光に対してはピンホールとして作用する。
上記光源1とDMD4との間にてDMD4から光源1に向かう光路がハーフミラー14により分岐された光路上には、光検出手段5が設けられている。この光検出手段5は、被測定物10上の複数のビームスポットからの各反射光の輝度を検出するものであり、上記DMD4の各マイクロミラー13にそれぞれ対応して多数の受光エレメント(以下「画素」という)を備えた二次元撮像手段であり、リレーレンズ15によってDMD4のミラー面の像が上記画素に結像されるようになっている。
上記DMD4がオフ状態において、図3に示すように、上記対物レンズ2から光源1に向かう光路にてDMD4で反射される光(同図に破線で示す)の光路上には、観察用カメラ6が配置されている。この観察用カメラ6は、被測定物10の表面を撮像して観察するためのものであり、例えば二次元画像の取得が可能な撮像カメラである。そして、上記結像レンズ3が下限位置Aにあるとき、対物レンズ2による被測定物10上の結像点と光学的に共役の関係をなしている。
なお、上記光源1と、対物レンズ2と、結像レンズ3と、DMD4と、光検出手段5と、観察用カメラ6とは、図示省略の照明手段と共に顕微鏡本体16を構成している。
上記結像レンズ3には、変位手段7が設けられている。この変位手段7は、結像レンズ3を対物レンズ2の光軸方向にステップ移動又は連続移動させるものであり、図示省略のモータ又はアクチュエータと位置検出センサーとを備え、後述の制御手段9からの制御信号に基づいて上記モータ又はアクチュエータを駆動して結像レンズ3を移動させ、その移動範囲の下限位置Aからの移動量を上記位置検出センサーで検出してその検出信号を制御手段9に送るようになっている。
上記顕微鏡本体16の外側面には、フォーカス調整手段8が設けられている。このフォーカス調整手段8は、上記顕微鏡本体16を上下動させて、対物レンズ2を介して観察用カメラ6により撮影される被測定物10上の画像のフォーカスを調整するためのものであり、例えばモータとギヤ等で構成されている。
上記光源1と、DMD4と、光検出手段5と、観察用カメラ6と、変位手段7と、フォーカス調整手段8とに結線して制御手段9が設けられている。この制御手段9は、上記DMD4の複数のマイクロミラー13のうちから所定のマイクロミラー13を選択して駆動すると共に、上記光検出手段5で検出された光の輝度及び上記結像レンズ3の移動量のデータから最大輝度を示す移動量を被測定物10の微小高さとして求めるものであり、図4(a)に示すように、結像レンズ3をその移動範囲の下限位置Aと予め設定されて記憶された高さ判定基準位置Cとの間で移動させ、その間で被測定物10からの反射光の全てに最大輝度が検出されたときには被測定物10上の微小高さは基準値内と判定し、同図(b)に示すように、上記移動を停止して測定を終了するようになっている。また、図5(a)に示すように、上記下限位置Aと高さ判定基準位置Cとの間で上記反射光の大部分に最大輝度が検出されても、同図(b)に示すように反射光の一部に最大輝度が検出されないものがあるときには上記微小高さは基準値外と判定する。そして、同図(b)に示すように、高さ判定基準位置Cと上限位置Bとの間の上記移動を上記下限位置Aと高さ判定基準位置Cとの間よりも大きい移動量又は速度で行ない、高さ判定基準位置Cと上限位置Bとの間で反射光の全てに最大輝度が検出されたときには、同図(c)に示すように上記移動を停止して測定を終了するようになっている。
この場合、上記制御手段9は、上記反射光の最大輝度の検出を、結像レンズ3が移動する毎に、上記各反射光について検出された輝度を夫々一つ前に検出されて保存されている輝度と比較し、上記検出された輝度が上記保存された輝度を上回るときは該保存された輝度を更新し、該輝度の更新が所定回数連続して行なわれないと、最後に更新がなされた輝度を最大輝度と定めることにより行うようになっている。そして、図6に示すように、制御手段9は、制御及び処理部17と、A/D変換部18と、メモリ19と、パーソナルコンピュータ(以下、「制御用PC」と記載する)20とを備えている。
上記制御及び処理部17は、外部に接続して備えた制御用PC20により予め設定された駆動パターンに従ってマイクロミラー13を選択して駆動するものである。また、上記制御用PC20により、結像レンズ3を連続移動する場合には移動速度の指令信号を、結像レンズ3をステップ移動する場合には移動速度及び移動量の指令信号を変位手段7に送り、該指令信号に基づいて上記結像レンズ3を移動させるものである。さらに、上記結像レンズ3をステップ移動させるタイミングで、又は結像レンズ3を連続的に移動させる場合には所定の時間間隔でA/D変換部18を起動する変換タイミング信号を上記A/D変換部18に出力する。また、上記A/D変換部18から上記タイミングで取得される光検出手段5の各画素の検出輝度と画素毎にメモリ19に保存された一つ前の検出輝度とを比較し、上記検出輝度が保存された輝度を上回っているときには、保存された輝度を更新してメモリ19に保存し、所定回数連続して上記輝度の更新がなされないときには、上記輝度を最大輝度と判定し、最後に輝度の更新がなされたときの結像レンズ3の移動量をメモリ19に保存する。また、上記光検出手段5の各画素に対応する最大輝度を示した移動量を制御用PC20に出力するものである。さらに、上記観察用カメラ6から入力した画像データを画像処理し、その画像の先鋭度に基づいてフォーカス調整手段8を駆動してフォーカス調整するものである。そして、光源1の点灯及び消灯の制御を行なうものである。
上記A/D変換部18は、上記光検出手段5から入力したアナログ信号をデジタルデータに変換するものであり、上記制御及び処理部17から入力する変換タイミング信号に基づいて所定のタイミングでデジタル変換するようになっている。また、上記メモリ19は、光検出手段5の画素毎に取得した輝度と最大輝度を示した移動量を記憶するものであり、例えばRAMである。そして、制御用PC20は、オペレータが高さ判定基準位置C、移動範囲の下限位置Aから高さ判定基準位置Cまでの結像レンズ3の連続移動速度V1又はステップ移動速度V1及び移動量D1、高さ判定基準位置Cから移動範囲の上限位置Bまでの連続移動速度V2又はステップ移動速度V2及び移動量D2等の各種パラメータを入力することを可能とすると共に、制御及び処理部17から入力される各画素の最大輝度を示した移動量データ(各画素に対応した被測定物10上の高さ)をマップ化して表示部に表示させると共に、被測定物10の測定領域内の高さが高さ判定基準内にあるか否かを例えば等高線等により目視可能に表示するようになっている。
次に、このように構成された微小高さ測定装置を使用して行う微小高さ測定方法について、図7のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明においては、結像レンズ3をステップ移動する場合について述べる。
先ず、ステップS1においては、制御用PC20を操作して測定条件が設定されてメモリ19に保存される。この測定条件は、例えば、対物レンズ2の倍率、光源1のレーザ出力、結像レンズ3の移動範囲の下限位置A及び上限位置B並びに高さ判定基準位置C、マイクロミラー13の駆動パターン、結像レンズ3の移動の詳細パラメータ及びラフパラメータ等である。上記マイクロミラー13の駆動パターンの設定とは、同時に駆動するマイクロミラー13は何枚置きとするかというものである。また、上記結像レンズ3の移動の詳細パラメータとは例えば移動速度V1と移動量D1であり、ラフパラメータとは例えば移動速度V2(>V1)と移動量D2(>D1)である。なお、詳細パラメータ及びラフパラメータとして、光検出手段5による撮像時間又はマイクロミラー13の切換速度を設定してもよい。
測定条件が設定されて、例えば図示省略の測定開始スイッチがオンされると、微小高さ測定装置が起動してステップS2〜S12の動作が実行される。この場合、先ず、ステップS2においては、制御手段9の制御及び処理部17によって照明手段が点灯されると共に、変位手段7が駆動されて結像レンズ3が移動範囲の下限位置Aまで移動される。このとき、DMD4の全マイクロミラー13はオフされている。この状態で、フォーカス調整手段8が駆動されて顕微鏡本体16が上下動され、DMD4を介して観察用カメラ6によって取得される被測定物10上の画像のフォーカスが先鋭になるように顕微鏡本体16の高さ調整がなされる。そして、顕微鏡本体16のフォーカス調整が終了すると、照明手段が消灯され、替わって光源1が点灯される。なお、光源1は、測定開始スイッチがオンされるのに伴って点灯するようにしてもよい。
ステップS3においては、メモリ19に保存されたマイクロミラー13の駆動パターンのうちから1番目の駆動パターンが読み出され、制御及び処理部17によりDMD4が制御されてマイクロミラー13が例えば5枚置きにオン駆動される。これにより、光源1から放射された光ビームは上記各マイクロミラー13で反射されて被測定物10方向に向かう。このとき、これらのマイクロミラー13により複数のビームスポットが生成され、この各ビームスポットが被測定物10上に投影される。そして、被測定物10上の各ビームスポットからの反射光は、対応するマイクロミラー13で反射されて光検出手段5の対応する画素に入射する。
ステップS4においては、光検出手段5の画素毎に上記各反射光の輝度が検出される。このアナログの輝度は、A/D変換部18で制御及び処理部17から出力される変換タイミング信号によって制御されてデジタル変換され、制御及び処理部17に入力する。
ステップS5においては、上記画素毎に最大輝度が判定される。この判定は、画素毎に、検出された輝度を一つ前に検出されてメモリ19に一時的に保存されている輝度と比較し、上記検出された輝度が一つ前に検出されて保存されている輝度を上回ると保存された輝度を更新し、該輝度の更新が所定回数連続して行なわれないと、最後に更新がなされた輝度を最大輝度と定めることにより行われる。なお、測定開始時点では、比較すべき輝度のデータがメモリ19に保存されていないので、上記検出された輝度のデータがそのままメモリ19に保存される。
ステップS6においては、1フレーム分の撮像が終了したか否かが制御及び処理部17で判定される。この場合、上述のようにマイクロミラー13の駆動パターンが5枚置きのものであるときには、1フレームの画像(測定画像)は25種類の駆動パターンに基づいて取得される25枚の画像によって生成される。したがって、測定開始時には、25枚の画像の取得が未だ終了していないので、ステップS6は“NO”判定となって、ステップS7に進む。
ステップS7においては、マイクロミラー13の駆動パターンが切り換えられる。測定開始時には、2番目の駆動パターンに切り換えられて別のマイクロミラー13が駆動され、該別のマイクロミラー13で生成されたビームスポットが被測定物10上に投影される。そして、ステップS4に戻って、被測定物10上の各ビームスポットからの反射光が対応する上記別のマイクロミラー13で反射されて光検出手段5の対応する画素に入射して輝度が検出される。以降、25枚の画像が取得され、1フレーム分の撮像が終了するまで、ステップS4〜S7が繰り返し実行される。
ステップS6において、“YES”判定となるとステップS8に進み、メモリ19に保存された各画素の最大輝度のデータが読み出され、全画素において最大輝度が検出されたか否かが制御及び処理部17で判定される。ここで、最大輝度が検出されていない画素が一部に存在する場合には、ステップS8は“NO”判定となって、ステップS9に進む。
ステップS9においては、結像レンズ3の位置が予め設定された高さ判定基準位置Cに達したか否かが制御及び処理部17で判定される。具体的には、変位手段7の位置検出センサーの出力とメモリ19に保存された高さ判定基準位置Cのデータとが比較される。ここで、結像レンズ3の位置が未だ高さ判定基準位置Cに達していないときには、ステップS9は“NO”判定となって、ステップS10に進む。
ステップS10においては、制御及び処理部17は、変位手段7を制御して結像レンズ3を予め設定された詳細パラメータに基づいて移動させる。具体的には、結像レンズ3を速度V1及び移動量D1で1回だけステップ移動させる。そして、ステップS3に戻って、ステップS9において“YES”判定となるまでステップS3〜S10が繰り返し実行される。
結像レンズ3の位置が高さ判定基準位置Cに達する前(ステップS3〜S10の繰り返し動作時)に全画素において最大輝度が検出されたときには、ステップS8は“YES”判定となる。この場合、被測定物10上の微小高さは、全て基準値内と判定されて微小高さの測定が終了する。
一方、結像レンズ3の移動範囲の下限位置Aから高さ判定基準位置Cまでの間で最大輝度が検出されない画素が一部に存在するときには、ステップS8が“NO”判定となり、ステップS9が“YES”判定となる。そして、ステップS11に進んで、結像レンズ3の位置が移動範囲の上限位置Bに達したか否かが判定される。
結像レンズ3が高さ判定基準位置Cと移動範囲の上限位置Bとの間にあるときには、ステップS11は“NO”判定となってステップS12に進む。ステップS12においては、制御及び処理部17は、変位手段7を制御して結像レンズ3をラフパラメータに基づいて移動させる。具体的には、結像レンズ3を速度V2(>V1)及び移動量D2(>D1)で1回だけステップ移動させる。そして、ステップS3に戻って、ステップS11において“YES”判定となるまでステップS3〜S12が繰り返し実行される。
結像レンズ3の位置が高さ判定基準位置Cを過ぎて移動範囲の上限位置Bに達する前(ステップS3〜S12の繰り返し動作時)に全画素において最大輝度が検出されたときには、ステップS8は“YES”判定となる。この場合、被測定物10上の微小高さは、基準値外と判定されて微小高さの測定が終了する。このとき、被測定物10上の高さ判定基準位置Cよりも高い部分(突起)の位置座標を光検出手段5の対応する画素の番地から検出してそれを記憶しておけば、後に上記突起を削って除去することにより基準値外と判定された被測定物も基準値内に収めることができる。
また、結像レンズ3が移動範囲の上限位置Bに達しても最大輝度が検出されない画素が一部に存在するときには、ステップS11は“YES”判定となる。この場合も被測定物10上の微小高さは、基準値外と判定されて微小高さの測定が終了する。
なお、上記実施形態においては、下限位置Aと高さ判定基準位置Cとの間で全ての反射光に最大輝度が検出されると測定を直ちに終了する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、全ての反射光に最大輝度が検出されたか否かに係らず結像レンズ3が高さ判定基準位置Cに達した時点で測定を終了してもよい。この場合、全ての反射光に最大輝度が検出されているときには、微小高さは基準値内と判定し、一部の反射光に最大輝度が検出されていないときには、微小高さは基準値外と判定するとよい。
また、上記実施形態においては、結像レンズ3をステップ移動させる場合について説明したが、本発明はこれに限られず、結像レンズ3を連続的に移動させてもよい。この場合、高さ測定は次のようにして行なうとよい。即ち、高さ測定の分解能を予め設定しておき、結像レンズ3を連続的に移動させながら、この結像レンズ3が上記分解能分だけ移動する間にマイクロミラー13の全ての駆動パターン(上記実施形態においては25種類)を実行して1フレーム分の撮像を行う。以後同様にして、結像レンズ3が順次分解能分だけ移動する間に1フレーム分の撮像を行い、各ビームスポットに対応した被測定物からの反射光の輝度を検出する。そして、結像レンズ3が所定の高さ判定基準位置(上記分解能の整数倍に設定される)に達する前に上記反射光の全てに最大輝度が検出されたか否かを判定する。
さらに、上記実施形態においては、結像レンズ3を移動する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、顕微鏡本体16又は被測定物10を対物レンズ2の光軸方向に移動してもよい。
そして、以上の説明においては、ビームスポット生成手段としてDMD4を使用した場合について説明したが、本発明はこれに限られず、液晶表示素子、非線形光学結晶からなる多数の光学スイッチをマトリクス状に配置したパターンジェネレータ、又は多数のピンホールをマトリクス状に配置したピンホール板であってもよい。この場合、光源1は上記各要素の上方に配設され、光検出手段5は、上記各要素から上記光源1に向かう光路が分岐された光路上に配設される。また、上記ピンホール板を使用する場合、このピンホール板を所定のピッチで同一平面内を二次元方向に移動して1フレーム分の画像を撮像すれば、緻密な画像の撮像が可能となり、高精細な微小高さの測定が可能となる。