JP2008136294A - モータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブラシ131及び132を備えるブラケット11は、整流子を軸方向から臨んだ第1輪郭形状(図における符号C1又はC2参照)よりも大きい第2輪郭形状をもつ整流子貫通孔110を有する。このブラケット11と整流子を含む回転子とを組立てる際、整流子は、輪郭形状C1付近を通って整流子貫通孔110を貫通する。したがって、整流子がブラシ131及び132と干渉するおそれは殆どない。整流子は最終的に輪郭形状C2の位置で位置決めされる。この位置決めは、当初、輪郭形状C1付近にあった整流子が、整流子貫通孔110を貫通したまま漸次移動することにより行われる。この過程で、ブラシ131及び132は徐々に変形していくことになる。
【選択図】図2
Description
このような永続的な変形がブラシに生じると、整流子とブラシとの間の接触圧にばらつきが生じ、結果的にモータ全体の動作についての信頼性を低下させるおそれもある。
なお、モータが小型化していくと、ブラシも当然小型化されることになるから、該ブラシが弾性変形しうる範囲は小さくなる。そうすると、前記の問題はより深刻になる。
しかしながら、この特許文献1に開示されているモータでは、当該モータを組立てる際、整流子の径以上の空間を確保するためにブラシを逃がすか、あるいは整流子でブラシを押し退けながら、回転子を組込む必要があり、前記の問題点について特に配慮はなされていない。
したがって、本発明によれば、整流子及びブラシ間の好適な接触を実現、維持することができ、ひいてはモータ全体の動作についての信頼性を高めることができる。
これらブラシ131及び132と、ブラシ留め具141及び142は、電気的に接続されている。また、ブラシ留め具141及び142は、前記の電極12と電気的に接続されている。
整流子貫通孔110の輪郭形状は、以上述べた、輪郭形状C1にギャップGを加えた円の周の一部、輪郭形状C2の円周の一部、並びに接線T1及びT2に囲まれた形状となっている。これにより、前述の「長円形状」が構成されている。
底板部2は、底板21、軸受22及びスラスト板23を備えている。底板21は、略シルクハット形状の形態をもつ。すなわち、底板21は、有底円筒形状の部分と、該有底円筒部分の周囲を取り巻く鍔の部分からなる。このうち鍔の部分には、前記のブラシ保持部1の底11Aから突出した電極保持部11Bを貫通させるための孔21Aが形成されている。この孔21Aは、後述するように、ブラシ保持用のブラケット11と底板部2との組立ての際、両者間の位置決めに利用される。
本実施形態に係る整流子31は、モータが最終的に組立てられた場合において、後述するように、前記ブラシ131及び132と好適に接触する。この接触によって、電源に電気的に接続された電極12を介して、ブラシ131及び132に流された電流は、整流子31に流される。
なお、前記軸受43の端面と、これに対向する前記アマチュアコア32の端面との間には、スラストワッシャ51及び52が備えられる。
まず、アマチュア部3とブラシ保持部1とを組立てる。この組立は、アマチュア部3の整流子31が、ブラシ保持部1のブラケット11に形成された整流子貫通孔110を貫通するように行われる。そして、この貫通は、整流子31の周面部分が、輪郭形状C1にギャップGを加えた円の円周に接するようにして行われる。これにより、図2からも明らかなように、ギャップGの分だけ、整流子31の周面部分がブラシ131及び132から離間しながら、当該整流子31は図面に垂直な方向に進行する(図2に描かれた輪郭形状C2を図中左上の方向にややずらした場合を想定するとよい。)。よって、組立て作業の際、整流子31とブラシ131及び132との間には原理的には干渉は生じない。
このようにして、図3(c)に示すようなモータ100の完成をみる。
第1に、本実施形態によれば、モータ100の組立工程において、整流子31とブラシ131及び132とが干渉し合って、相互にダメージを与えるおそれが極めて低減されている。特にブラシ131及び132に永続的な変形がもたらされるおそれはほとんどない。したがって、本実施形態においては、整流子31とブラシ131及び132との間の好適な接触を実現することができ、また、モータ100の完成後にはそれを好適に維持することができる。これにより、モータ100全体の動作についての信頼性が高められる。
もちろん、前記の条件を満たすために、ブラシの形状、材質、大きさ、あるいはブラシ保持部1によるブラシの保持の形態、更にはブラシ保持部1の全体の大きさ等について適当な変更を加えてもよい。ブラシ131及び132のたわみ量と整流子31の径との関係は相互的な関連性を有するのであるから当然である。
まず、図5では、ブラシ133及び134の間に整流子39を挿入する際、ブラシ広げ用の治具201,201(以下、単に「201」と略す。)が利用される。この治具201は、厚さ(図では上下方向の長さ)の小さい略直方体形状の形態をもっている。
ブラシ133及び134の間に整流子39を挿入する際には、治具201を図中右側の方向へ移動し、該治具201の端面でブラシ133及び134を押すことで、当該整流子39を挿入するための空間が確保される。しかしながら、この際、ブラシ133及び134には、その弾性変形範囲外の変形がもたらされるおそれがあり、その結果、これらブラシ133及び134に永続的な変形を残してしまう可能性が大きい。
図6では、ブラシ133及び134の間に整流子39を挿入する際、治具203を円弧溝204に沿って図中矢印のように移動し、該治具203の端面でブラシ133及び134を押すことで、当該整流子39を挿入するための空間が確保される。しかしながら、このような場合であっても、ブラシ133及び134に永続的な変形を残してしまう可能性があることは、前記の図5の場合と変わらない。のみならず、この図6では、円弧溝204が存在するため、モータの完成後、当該円弧溝204を通じて外部の異物がモータの内部に混入するおそれがある。つまり、図6では、図5のように比較的大きな治具を使用する必要がなくなるという利点が得られる反面、いま述べたような不都合を甘受しなければならないのである。
また、本実施形態は、図5及び図6に比べると、ブラシ広げ用の治具を用意する必要も、当該治具によってブラシを予め広げておく手間も必要がない。さらには、整流子貫通孔110は最終的に底板21によって塞がれるので、本実施形態では、前記円弧溝204に関わる異物混入等の不具合について心配する必要もないのである。
(1)上記実施形態では、油切りワッシャ35の径は整流子31の径と同一とされているが、整流子31を軸受22の油の浸入からより効果的に防止するためには、油切りワッシャの径は整流子31の径よりも大きい方が好ましい。例えば、図7に示す油切りワッシャ351のようである(なお、この図では、その点を強調するため、油切りワッシャ351の径の大きさを比較的大げさに描いている。)。
ただし、この場合、整流子貫通孔110について若干配慮する必要がある。
すなわち、整流子31の径よりも大きい径をもつ油切りワッシャ351を用いる場合には、整流子貫通孔110は、当該油切りワッシャ351が貫通可能な大きさをもつ必要がある。そして、これを実現しつつ、前記の効果を効果的に享受するためには、油切りワッシャ351とブラシ131及び132との干渉を回避する必要がある。
そこで、この場合においては、図2に示すDを油切りワッシャ351の直径に一致するように設定することが好ましい。そうすると、そのような整流子貫通孔110の輪郭形状の一部は、油切りワッシャ351の直径に一致する直径Dの円の周囲に所定の大きさをもつギャップGをもつ円の一部によって構成されることになる(この場合、当該輪郭形状はいわば瓜型と言いうるようなものに近くなる。)。なお、この場合であっても、図2に示すRについては、整流子31の径に変更がない限り、特段の配慮は必要ない。なぜなら、図7からも明らかなように、油切りワッシャ351が整流子貫通孔110を通過するのはいわば一瞬のことであり、ブラシ131及び132が最終的に接触するのは、あくまでも整流子31の周面だからである。
このような整流子貫通孔111であっても、図8に示すように、整流子31の輪郭形状C1及びC2は、前記整流子貫通孔110と同様含まれている。したがって、この場合でも、前述の実施形態におけるのと本質的に相違のない作用効果が得られる。なお、この場合においては特に、整流子貫通孔111が比較的大きいため、当初の整流子31の挿入作業を楽に行うことができるという利点が得られる。
より詳しくは、ブラシ留め具143及び144は、略コの字状の上辺及び下辺が相反するように開いたかの如き形状を有している。ブラシ留め具143及び144は、それそれ、略コの字状の中の辺を相互に対向させるようにして配置されている。ブラシ133及び134は、その一端が前記の上辺又は下辺に接するようにして、当該ブラシ留め具143及び144に接続されている。これにより、ブラシ133及び134各々の他端がブラケット91の中心付近に位置付けられるようになっている。なお、ブラシ留め具143及びブラシ133の組と、ブラシ留め具144及びブラシ134の組とは、図から明らかなように、図中上下を隔てるブラケット91の中心線を境として対称的形態をもつ。
このように、ブラシ133及び134並びにブラシ留め具143及び144は、前記のブラシ131及び132並びにブラシ留め具141及び142とは、形状、配置等が異なるものの、それらの機能については両者間に相違は全くない。
他方、図10の整流子貫通孔113は、前記の整流子貫通孔110と比べて、その輪郭形状自体が異なっている。すなわち、当該輪郭形状は、図10に示すように、略長方形状となっている。ただ、そうではあっても、整流子31の輪郭形状C1及びC2は、前記整流子貫通孔110と同様含まれているのであり、したがって、この整流子貫通孔113の場合でも、前述の実施形態におけるのと本質的に相違のない作用効果が得られる。この場合においては特に、整流子貫通孔113が比較的大きいため、当初の整流子31の挿入作業を楽に行うことができるという利点が得られる。
例えば、第1に、アマチュア部3とブラシ保持部1とを組立てて第1組立体を構成し、第2に、この第1組立体に対して底板部2を組立て、第3に、この第2の工程による組立体に対して、フレーム部4を組立てるという順序でもよい。
また、第1に、アマチュア部3とフレーム部4を組立て、第2に、当該組立体に対してブラシ保持部1を組立て、第3に、底板部2を組立てるという順序であってもよい。
いずれにせよ、ブラシ131及び132の無理な変形を回避した整流子31の整流子貫通孔110内への挿入(貫通)、及び、ブラシ保持部1と底板部2との間の位置決め、それに伴う整流子31の整流子貫通孔110内における位置決め等の本実施形態における主要な工程要素が行われることに変わりはない。
ただ、上記実施形態においては、シャフト34の図中左端側の一部が軸受43によって支持され、該シャフト34の中心軸の心決めがある程度なされている状態で、底板部2の組立が行われることになるから、整流子31に関する位置決めが若干行いやすくなると言うことはいえるかも知れない。
11 ブラケット
11A 底
11B 電極保持部
12 電極
131,132,133,134 ブラシ
141,142,143,144 ブラシ留め具
110,111,112,113 整流子貫通孔
C1,C2 輪郭形状
T1,T2 接線
G ギャップ
2 底板部
21 底板
21A 孔
22 軸受
23 スラスト板
3 アマチュア部
31,39 整流子
32 アマチュアコア
33 巻線
34 シャフト
35,351 油切りワッシャ
4 フレーム部
41 フレーム
42 永久磁石
43 軸受
100 モータ
Claims (6)
- 固定磁界と巻線に流れる電流による磁界との相互作用により発生する力によってシャフトを回転させるモータであって、
前記巻線に電気的に接続され、前記シャフトに固定的に取り付けられた整流子と、
当該整流子が前記シャフトと共に回転する際当該整流子に接触するブラシと、
前記整流子及び前記ブラシ間の接触を実現するため当該整流子をその軸方向に沿って貫通させる孔であって、当該整流子を軸方向から臨んだ第1輪郭形状よりも大きい第2輪郭形状をもつ整流子貫通孔を有するブラケットと、
を備えるモータ。 - 前記整流子貫通孔は、
その第2輪郭形状が、当該整流子貫通孔に前記整流子を貫通させても当該整流子に前記ブラシが接触しないだけの大きさをもつことを特徴とする請求項1に記載のモータ。 - 前記シャフトの一端を保持する軸受と、
当該軸受から漏れ得る油が前記整流子の設置領域に至るのを防止する油漏れ防止手段と、を更に備え、
前記整流子貫通孔は、
その第2輪郭形状が、当該整流子貫通孔に前記油漏れ防止手段を貫通させても当該油漏れ防止手段に前記ブラシが接触しないだけの大きさをもつことを特徴とする請求項1に記載のモータ。 - 前記ブラケットに接続され、かつ、前記シャフトが回転可能であるように該シャフトの一端を保持する底板部を更に備え、
前記底板部と前記ブラケットとは、それぞれ、両者間の相対的な位置関係を定めうる位置決め手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモータ。 - 前記整流子を軸方向から臨んだ第1輪郭形状は円であり、
前記整流子貫通孔は、その第2輪郭形状として、
前記第1輪郭形状と同一の大きさの円を2つ並べる場合における、これら2つの円と、これら2つの円の間の共通の接線とによって囲まれた形状をもつことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のモータ。 - 前記2つの円のうちの少なくとも一方は、前記第1輪郭形状よりも大きな円であることを特徴とする請求項5に記載のモータ。
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