JP2008135620A - 強誘電体メモリ装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下部電極12を形成する下部電極形成工程と、有機金属原料ガスと酸素ガスとの反応により、下部電極12上に第1強誘電体層33を形成する第1強誘電体層形成工程と、有機金属原料ガスと酸素ガスとの反応により、第1強誘電体層33上に第2強誘電体層34を形成する第2強誘電体層形成工程とを備え、第1強誘電体層形成工程における酸素ガス量が、有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量よりも少なく、第2強誘電体層形成工程における酸素ガス量が、有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量以上であり、下部電極形成工程が、下部電極12上に下部電極12を構成材料の酸化物で構成される電極酸化物膜32を成膜する電極酸化物膜成膜工程を有する。
【選択図】図2
Description
ここで、強誘電体材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zi,Ti)O3:PZT)などのペロブスカイト型酸化物やタンタル酸ビスマスストロンチウム(SrBi2TaO9:SBT)などのビスマス層状化合物などが挙げられる。
そこで、PZTの結晶配向を(111)配向にすることにより、a軸を基板法線から一定の角度だけオフセットした方向に向けることが考えられている。これによれば、分極軸が基板法線方向の成分を持つようになるため、分極反転に寄与させることが可能となる。一方、c軸配向成分も同時に分極軸が基板法線方向に対して一定のオフセット角度を向くため、分極反転で誘発される表面電荷量は一定量ロスが生じる。しかし、すべての結晶成分を分極反転に寄与させることができるため、電荷の取り出し効率がc軸配向と比較して格段に優れている。
しかし、Ir膜を(111)配向させたとしても、この表面に形成されるPZT膜の結晶配向を(111)配向させることが困難であった。
さらに、下部電極を酸素雰囲気において高温下でさらす酸化処理を施しているため、他の素子に熱的影響が加えられる。
すなわち、下部電極上に電極酸化物膜を形成することで、酸化処理を施すことと比較して、厚膜の電極酸化物膜を均一に形成できる。これにより、第1強誘電体層形成工程において、第1強誘電体層が面内で均一に結晶化され、第1強誘電体層における所望の結晶配向の配向度をより高めることができる。
つまり、第1強誘電体層形成工程では、酸素量を有機金属原料ガスの反応に必要な量よりも少なくすることにより、電極酸化物膜中の酸素が有機金属原料ガスの反応に用いられる還元雰囲気となる。そのため、第1強誘電体層を形成する際、酸化物膜の上層を含む少なくとも一部に含まれる酸素を奪うことで第1強誘電体層が結晶化して堆積する。このとき、還元された電極酸化物膜が下部電極となると共に、第1強誘電体層の結晶配向が下部電極の結晶配向に応じた所望の結晶配向となる。ここで、上述したように、厚膜の電極酸化物膜が均一に形成されているため、第1強誘電体層が所望の結晶配向で均一に形成される。その後、第2強誘電体層形成工程において反応のために必要な十分な酸素量を供給することで、酸素欠損の少ない高品質な第2強誘電体層が形成される。ここで、所望の結晶配向を有する第1強誘電体層が核になることで、第2強誘電体層の結晶配向も所望の結晶配向を有することになる。
したがって、下部電極上に形成される強誘電体層の結晶配向を面内で均一化できると共に、基板ごとにおける結晶配向を均一化できる。
また、酸化処理を施すことと比較して低温で電極酸化物膜を形成できるので、他の素子への熱的影響を軽減することが可能となる。
なお、本発明において、有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量とは、有機金属原料ガスの原料起因のカーボン及び水素を燃焼してCO2(二酸化炭素)及びH2O(水)として排出するために必要な酸素量と、強誘電体層を構成する強誘電体材料が結晶化するために必要な酸素量との和を示す。
この発明では、スパッタ法を用いて、低温状態で均一な膜質を有する電極酸化物膜が形成される。
この発明では、電極酸化物膜上に形成される第1強誘電体層をより確実に所望の結晶配向にすることができる。すなわち、酸素ガスの分圧を20%以上にすることで、形成された電極酸化物膜が十分に酸化されてメタリックな状態に近くなることを防止する。また、酸素ガスの分圧を40%以下にすることで、形成された酸化物膜が酸化によって安定になりすぎて還元され難くなり、この下に配置されている下部電極層12(Ir)の表面構造(配向性)が第1強誘電体層(PZT)まで伝達されなくなることを防止する。したがって、第1強誘電体層を所望の結晶配向にすることが容易になる。
この発明では、電極酸化物膜の膜厚を0nmより大きく30nm以下にすることで、電極酸化物膜が厚くなりすぎて、この下に配置されている電極(Ir)の表面構造(配向性)が第1強誘電体層(PZT)まで伝達されなくなることを防止し、強誘電体層を所望の結晶配向にすることをより確実に行える。
また、本発明における強誘電体メモリ装置の製造方法は、前記第1強誘電体層形成工程における前記酸素ガスの酸素量が、前記有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量に対して、0.1倍以上1.0倍未満であることが好ましい。
また、本発明における強誘電体メモリ装置の製造方法は、前記第2強誘電体層形成工程における前記酸素ガスの酸素量が、前記有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量に対して、1.0倍以上であることが好ましい。
まず、本実施形態における強誘電体メモリ装置の製造方法によって製造される強誘電体メモリ装置を、図1を参照しながら説明する。ここで、図1は強誘電体メモリ装置を模式的に示す拡大断面図である。
強誘電体メモリ装置1は、図1に示すように、半導体基板2と、半導体基板2上に形成された強誘電体キャパシタ3とトランジスタ4とを備えている。
プラグ6は、開口部5A内に充填された導電材料によって構成されており、例えばタングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)などで構成されている。
導電膜15は、例えば窒化チタン(TiN)で構成されている。
バリア層16は、結晶質を含んで導電性を有すると共に、酸素バリア性を有する材料からなり、例えばTiAlN、TiAl、TiSiN、TiN、TaN、TaSiNなどが挙げられ、中でもTiAlNが好ましい。
例えば、バリア層16が立法晶系に属してその結晶配向が(111)配向である場合、またはバリア層16が六方方晶系に属してその結晶配向が(001)配向である場合、下部電極12の結晶配向が(111)配向であることが好ましい。この構成によれば、下部電極12上に強誘電体層13を形成する場合において、強誘電体層13の結晶配向を(111)配向とすることが容易になる。
また、強誘電体材料としてPZTを用いる場合には、より大きな自発分極量を獲得するため、上述したようにPZTにおけるTiの含有量をZrの含有量より多くすることが好ましい。さらに、強誘電体層13がPZTで構成され、PZTにおけるTiの含有量がZrの含有量よりも多い場合には、ヒステリシス特性が良好である点で、PZTの結晶配向が(111)配向であることが好ましい。
また、トランジスタ4は、半導体基板2に間隔をおいて複数形成されており、隣接する他のトランジスタ4との間に素子分離領域25を設けることによって互いが絶縁している。
次に、上述した強誘電体メモリ装置1の製造方法について、図2を参照しながら説明する。ここで、図2は、強誘電体メモリ装置の製造工程を示す説明図である。
最初に、従来と同様に、半導体基板2の表層に第1及び第2不純物領域層23、24を形成すると共に半導体基板2上にトランジスタ4や層間絶縁膜5を形成する。そして、層間絶縁膜5に開口部5Aを形成し、この開口部5Aに例えばWなどの導電材料を充填することによってプラグ6を形成する。
まず、電極膜成膜工程を行う(図2(d))。ここでは、結晶質を有するバリア層16上に下部電極12を形成することで、下部電極12の結晶性が著しく向上すると共に、バリア層16の結晶配向が下部電極12に反映される。これにより、下部電極12の結晶配向が、バリア層16と同様の(111)配向となる。ここで、下部電極12の形成方法としては、下部電極12を構成する材料によって適宜選択可能であり、例えばスパッタ法やCVD法が挙げられる。
このとき、熱酸化と比較して低温で電極酸化物膜32を形成するので、あらかじめ形成されているトランジスタ4などの他の素子に与えられる熱的影響が低減される。また、スパッタ成膜時にチャンバ内に供給される酸素ガスの比率は、酸素ガスと共に供給される不活性ガスなどの他のガスとの混合ガスにおいてモル比率で30%となっている。これにより、十分に酸化した電極酸化物膜32が形成される。なお、スパッタ成膜時における酸素ガスの比率は、20%以上40%以下であればよい。
このとき、酸素ガスの流量は、有機金属原料ガスと反応させるために必要な酸素量よりも少なくなっており、例えば酸素量が有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量の0.33倍になっている。すなわち、供給される有機金属原料ガスが反応するために必要な酸素量が十分に供給されていない。なお、本実施形態において、有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量とは、有機金属原料ガスの原料起因のカーボン及び水素を燃焼してCO2及びH2Oとして排出するために必要な酸素量と、強誘電体層を構成する強誘電体材料が結晶化するために必要な酸素量との和を示す。
一方、電極酸化物膜32は、電極酸化物膜32を構成するIrO2中の酸素が奪われて還元されることにより、Irで構成される下部電極12と同一の構成となって一体化する。この際、一体化した下部電極12の結晶配向は、(111)配向となっている。これにより、第1強誘電体層33の結晶配向は、下部電極12と同様の(111)配向となる。
ここで、電極酸化物膜32の膜厚を20nm以上30nm以下とすることで、電極酸化物膜32が下部電極12の表面構造((111)配向)を第一強誘電体層33まで伝達して、第1強誘電体層33の結晶配向が下部電極12と同様の(111)配向になる。
また、電極酸化物膜32の形成時における酸素ガスの比率を20%以上40%以下とすることで、電極酸化物膜32が十分に酸化されてメタリックな状態に近くなることを防止すると共に過度の酸化によってこの下に配置されている下部電極12(Ir)の表面構造(配向性)が第一強誘電体層33まで伝達されなくなることを抑制する。
このとき、酸素ガスの流量は、有機金属原料ガスと反応させるために必要な酸素量以上となっており、例えば酸素ガス中の酸素量が有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量の6.77倍になっている。すなわち、供給される有機金属原料ガス中の有機成分が反応するために必要な酸素量が十分に供給されている。
そのため、有機金属原料ガスは、供給される酸素ガス中の酸素を奪って分解、酸化することにより、結晶化したPZTとなって第1強誘電体層33上に第2強誘電体層34として堆積する。ここで、結晶配向が(111)配向である第1強誘電体層33を核として、第2強誘電体層34の結晶配向が(111)配向に制御される。また、酸素量が十分に供給された雰囲気内で第2強誘電体層34を形成することにより、酸素欠損の少ない高品質の第2強誘電体層34が形成される。
以上のようにして、第1及び第2強誘電体層33、34によって結晶配向が(111)配向である強誘電体層13が形成される。
この後、上部電極14上に所定のパターン形状の開口が形成されたレジスト層(図示略)を形成し、このレジスト層をマスクとしてパターニングを行う。これにより、スタック型の強誘電体キャパシタ3を有する強誘電体メモリ装置1を製造する。
図4から図7に示すように、IrO2膜の膜厚がいずれの場合であっても、PZT膜の結晶配向が(111)配向で優位配向していることがわかる。そして、図8に示すように、Ir膜上にIrO2膜を形成せずにPZT膜を形成した場合には、PZT膜の結晶配向が(111)配向ではなく(100)で優位配向していることがわかる。したがって、IrO2膜を形成することで、PZT膜を(111)配向で優位配向させることができることを確認できる。
(111)配向率=I(222)/ΣI(hkl)
ここで、I(hkl)はPZT膜における(hkl)配向の回折強度を示している。図9及び図10に示すように、PZT膜における(111)回折強度は、IrO2膜の膜厚が増加すると共に減少している。また、PZT膜における(111)配向の配向率も、IrO2膜が厚膜になるにしたがって低下することがわかる。これより、PZT膜の配向性は、IrO2膜の膜厚に依存することがわかる。したがって、IrO2膜の膜厚は、30nm以下であることが好ましいことを確認できる。
図11に示すように、酸素ガスの比率を30%付近(20%以上40%以下)とすることで、PZT膜における(111)配向の配向率が高くなっており、IrO2膜の酸化状態に依存していることがわかる。ここで、酸素ガスの比率を30%より小さくするにしたがって、IrO2膜がメタリックな状態となり、第1強誘電体層形成工程においてIrO2膜から第1強誘電体層33に対して十分に酸素を供給できなくなることに起因していると考えられる。また、酸素ガスの比率を30%より大きくするにしたがって、十分に酸化されたIrO2膜が得られるが、安定になりすぎることでIrO2膜が還元されにくくなり、その結果Ir(下部電極層12)の配向性が第1強誘電体層33まで伝達されないことに起因していると考えられる。
図12及び図13に示すように、本実施形態における製造方法によって形成されたPZT膜では、従来の製造方法によって形成されたPZT膜と比較して(111)配向の配向率が高いことがわかる。また、本実施形態における製造方法によって形成されたPZT膜では、ウエハの中心部と外周部とで配向率の差が小さく、ウエハ面内の配向率の均一性に優れていることがわかる。さらに、本実施形態における製造方法によって形成されたPZT膜では、各ウエハ間での配向率のバラツキが小さく、ウエハ間の配向率の均一性に優れていることがわかる。
また、スパッタ法を用いることで、均一な膜厚の電極酸化物膜32を容易に形成できる。ここで、電極酸化物膜32の膜厚を20nm以上30nm以下にすることで、強誘電体層13の結晶配向の配向度をより高めることができる。そして、酸化処理を施すことによって酸化物膜を形成することと比較して低温で電極酸化物膜32を形成できるので、あらかじめ形成されているトランジスタ4などの他の素子への熱的影響を低減できる。
さらに、酸素ガスの分圧を20%以上40%以下にすることで、形成された電極酸化物膜32を十分に酸化できると共に、安定になりすぎて(還元されにくくなるため)下部電極層12(Ir)の配向性が第1強誘電体層33(PZT)まで伝達されなくなることを防止し、第1強誘電体層をより確実に所望の結晶配向にすることができる。
例えば、熱酸化によって下部電極の表層を酸化することと比較して低温で下部電極上に電極酸化物膜を形成することができれば、スパッタ法に限らず、CVD法など他の方法を用いてもよい。
また、第1強誘電体層形成工程において、酸素ガス中の酸素量が有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量の0.33倍となっているが、第1強誘電体層形成工程が還元雰囲気となると共に形成される第1強誘電体層の結晶配向が下部電極と同様の配向となれば他の値であってもよい。同様に、第2強誘電体層形成工程において、酸素ガスの酸素量が有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量の6.77倍になっているが、第2強誘電体層が酸素欠損なく形成されれば、他の値であってもよい。
そして、第1強誘電体層形成工程において、電極酸化物膜の全体を還元しているが、電極酸化物膜の少なくとも最表層を含む一部が還元されていればよい。
そして、電極酸化物膜の膜厚を20nm以上30nm以下としているが、強誘電体層を所望の結晶配向で形成できれば、他の値であってもよい。
Claims (6)
- 強誘電体層と、該強誘電体層を挟持する下部電極及び上部電極とを有する強誘電体キャパシタを備える強誘電体メモリ装置の製造方法であって、
前記下部電極を形成する下部電極形成工程と、
有機金属原料ガスと酸素ガスとの反応により、前記下部電極上に第1強誘電体層を形成する第1強誘電体層形成工程と、
有機金属原料ガスと酸素ガスとの反応により、前記第1強誘電体層上に第2強誘電体層を形成する第2強誘電体層形成工程とを備え、
前記第1強誘電体層形成工程における前記酸素ガス量が、前記有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量よりも少なく、
前記第2強誘電体層形成工程における前記酸素ガス量が、前記有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量以上であり、
前記下部電極形成工程が、前記下部電極上に該下部電極の構成材料の酸化物で構成される電極酸化物膜を成膜する電極酸化物膜成膜工程を有することを特徴とする強誘電体メモリ装置の製造方法。 - 前記電極酸化物膜成膜工程で、スパッタ法により前記電極酸化物膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の強誘電体メモリ装置の製造方法。
- 前記電極酸化物膜成膜工程で、スパッタ時における雰囲気ガス中の酸素ガスの分圧が、20%以上40%以下であることを特徴とする請求項2に記載の強誘電体メモリ装置の製造方法。
- 前記電極酸化物膜の膜厚が、30nm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の強誘電体メモリ装置の製造方法。
- 前記第1強誘電体層形成工程における前記酸素ガスの酸素量が、前記有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量に対して、0.1倍以上1.0倍未満であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の強誘電体メモリ装置の製造方法。
- 前記第2強誘電体層形成工程における前記酸素ガスの酸素量が、前記有機金属原料ガスを反応させるために必要な酸素量に対して、1.0倍以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の強誘電体メモリ装置の製造方法。
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