JP2008134630A - 成形体及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】光重合性組成物を光重合させることによって形成された相分離構造を有する成形体であって、高い回折効率で鋭い回折スポットを与える成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】マトリックス2と、マトリックス2中に配設されたマトリックス2と屈折率が異なる複数の柱状構造体3と、を備えた成形体1であって、標準正規分布の強度分布を有し且つ強度分布の半値幅が0.5°であるレーザ光線を照射したときに得られる角度スペクトルにおいて、回折スポットの半値幅が0.6°以下であり、且つ、回折効率が10%以上である。複数の柱状構造体3は、略同一方向に配向され、且つ、該配向方向と垂直な面において規則的な格子状に配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、回折、偏光、拡散等の光学特性を有する光学物品として使用される光学フィルム等の成形体及びその製造方法に関する。
高分子材料は、選択できる材料の種類が豊富で多様な機能を付与できるため、近年、高分子材料を光学用途へ適用しようとする試みが盛んになされている。例えば、一次元あるいは二次元の微細構造が形成された高分子材料の成形体は、光制御素子や光回折素子として利用することが考えられる。
このような成形体として、高分子材料のマトリックス中に、このマトリックスと屈折率の異なる多数の構造体が同一方向に配向された相分離構造を有する高分子フィルムが知られている(特許文献1、2参照)。このような相分離構造を有する高分子フィルムは、光が構造体の軸線方向と平行に入射すると、上記構造体の配置に起因して回折スポットを与える。したがって、このような高分子フィルムは、入射光を特定の位置に所定の強度で回折させる光回折素子として利用することができる。
特許文献1には、このような構造を有するフィルムとその作製方法が記載されている。特許文献1では、フィルムは、一定の膜厚の光重合性組成物に所定の角度から線状光源の光を照射させて重合させることにより作製される。このようにして作製されたフィルムは、特定の入射角をなす入射光を選択的に回折する。
また、特許文献2には、海島相分離構造をもつフィルムが記載されており、このフィルムでは、柱状の島構造が、海構造の中で膜厚方向に延びて形成されている。
このフィルムの作製方法では、まず光重合性組成物を塗布面上に均一厚さに塗布し、その表面をマスクで覆う。このマスクには、島構造を形成するための多数の穿孔がランダムにパターニングされている。次いで、このマスクを介して光重合性組成物の表面に紫外光を照射して、島構造をなす柱状体を形成する。そして、柱状体を形成した後、マスクを取り除いてさらに紫外線を照射し、海構造部分を硬化させる。これによりフィルムが作製される。
特開平3−284702号公報 特開平11−287906号公報
しかしながら、特許文献1に記載のフィルムは、その内部に互いに平行な短冊状の相分離構造を有するものであるため、入射角によって光線透過率を変化させる光制御素子としては機能するものの、光回折素子としては一次元の低い規則性しかなく、入射光を高い効率で回折したり、急峻な角度スペクトルを示す回折スポットを与えたりするものではなかった。
また、特許文献2に記載のフィルムは、島構造の配置に規則性がなく、光を散乱透過させるものであるため、鋭い回折点を与えるものではなかった。
また、開口を通過した光は、回折により拡がりを持つことが知られている。半径aの円形開口に波長λの平面波が入射する場合、回折後の像面での強度Iは、像面が開口から距離L離れており、像面での中心からの距離をrとすると以下の式で求められる。
I=(πa22[2J1(R)/R]2・・・(1)
(R=2πar/λL)
また、像面で回折光強度が最初に極小値を示す距離rminは、J1(R)の最初の零点、すなわちR=3.83のときのrとして求められる。全光量のうち、約84%のエネルギーが、rminを半径とする円内に集中することが知られており、rminは円形開口からの回折光の拡がりの目安となる。
例えば、波長365nmの光がa=1μmの円形開口を通過する場合、L=45μmでrmin=5μmとなる。これはすなわち、半径1μmの円形開口を通過した光は、45μm進行すると半径5μmの円にボケるということを示している。つまり、フォトマスクを介した照射のみでアスペクト比の高い半径1μmの柱状構造体を形成させることは困難である。特許文献2ではフォトマスクを使用して島構造を形成させる例が示されているが、光の回折を考慮しておらず、高いアスペクト比の柱状構造体は形成できないと考えられる。すなわち、特許文献2に記載の方法では、光を所定のパターンに、高い回折効率で回折させるフィルムは作製できない。
以上のように、従来、高い回折効率で鋭い回折スポットを与える高分子フィルムは、光重合によって作製することはできなかった。したがって、光を所定のパターンに高い回折効率で回折する光回折板が必要とされる光学的ローパスフィルター等に、上記高分子フィルムを使用することができなかった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、光重合性組成物を光重合させることによって形成された相分離構造を有する成形体であって、高い回折効率で鋭い回折スポットを与える成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、マトリックスと、該マトリックス中に配設され該マトリックスと屈折率が異なる複数の柱状構造体と、を備えた相分離構造を有する成形体であって、標準正規分布の強度分布を有し且つ強度分布の半値幅が0.5°であるレーザ光線を照射したときに得られる角度スペクトルにおいて、回折スポットの半値幅が0.6°以下であり、且つ、回折効率が10%以上であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記複数の柱状構造体は、略同一方向に配向され、且つ、該配向方向と垂直な面において規則的な格子状に配置される。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記複数の柱状構造体は、前記配向方向と垂直な断面形状が略同一である。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記柱状構造体は、アスペクト比が10以上である。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記マトリックス及び前記柱状構造体は、アクリル系光重合性組成物の硬化体からなる。
また、本発明の光学積層体は、上記成形体と、この成形体に貼り合わされた光学的に透明なフィルムと、を備えたことを特徴とする。
さらに、本発明の光学的ローパスフィルターは、上記光学積層体を用いたことを特徴とする。
また、本発明は、光重合性組成物からなるマトリックスと、該マトリックス中に配設され該マトリックスと屈折率が異なる複数の柱状構造体と、を備えた相分離構造を有する成形体の製造方法であって、光硬化性モノマー又はオリゴマーと光重合開始剤とを含有する光重合性組成物を成形型に注入する工程と、前記成形型と光源との間に、光通過域と光不通過域とを有するフォトマスクを配置する工程と、前記光源から、波長半値全幅が100nm以下であり光強度分布が略一定の平行光を、前記フォトマスクを通して前記成形型内の光重合性組成物に向けて照射して、前記光重合性組成物のうち平行光が照射された部位を、未完全な硬化状態に硬化させる第1の光照射工程と、前記フォトマスクを取り外して、更に波長半値全幅が100nm以下であり光強度分布が略一定の平行光を前記成形型内の光重合性組成物に向けて照射して、前記光重合性組成物の硬化を完了させる第2の光照射工程と、を備えたことを特徴とする。
このように、本発明では、成形型に充填された光重合性組成物に対して、フォトマスクを介して平行光を照射する第1の光照射工程と、これに引き続いてフォトマスクを取り外して平行光を照射する第2の光照射工程と、を有する。
第1の光照射ステップでは、平行光が照射された光重合性組成物を、光重合によって完全には硬化させず、好ましくは、硬化度10%〜80%に硬化させて、柱状構造体の形成位置を定めるのみである。
これは、第1の光照射ステップでは、フォトマスクの光通過域を通過した平行光の回折による広がりによって、本来、このステップで光照射する必要のないマトリックスの一部にも光が届いてしまい、次の第2の光照射ステップで全体に平行光を照射しても、マトリックスと柱状構造体との間に有意な屈折率差が生じなくなるからである。
このため、本発明では、第2の光照射ステップにおいて、光重合性組成物のうち、柱状構造体以外のマトリックスと、柱状構造体とがある程度の硬度差にある未完全な硬化状態で、全体に平行光を照射して、全体の硬化を完了させている。
このように光重合性組成物に平行光を照射することにより、柱状構造体の重合自己促進効果によるマトリックスとの架橋密度差と、柱状構造体とマトリックスとの間での反応拡散による組成分布により、両者間に有意な屈折率差を与え、また、製造工程時における平行光の照射方向に延びるアスペクト比の高い柱状構造体,及び明瞭な相分離構造を形成することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記フォトマスクは、前記光不通過域に多数の前記光通過域が規則的な格子状に配置される。これにより、製造される成形体に、規則的な柱状構造体を形成し、半値幅が狭く、鋭い回折スポットを与える成形体を製造することができる。
本発明によれば、光重合性組成物を光重合させることによって形成された相分離構造を有する成形体であって、高い回折効率で鋭い回折スポットを与える成形体及びその製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の成形体をフィルム状の光回折素子に適用した実施形態について説明する。
図1に示すように、成形体1は、光重合性組成物からなる薄板状の基質であるマトリックス2と、このマトリックス2中に配設された光重合性組成物である柱状構造体3と、を備えた相分離構造を有する。柱状構造体3は、マトリックス2と屈折率が異なっている。成形体1は、厚さが略一定のフィルム状に成形されている。
本発明の成形体は、光学用途に使用される部材としては、一般的に使用されるフィルム形状が適している。しかしながら、本発明の成形体は、その用途に応じて形状が適宜設定されるものであり、フィルム形状に限定することなく、他の形状に形成してもよい。例えば、成形体は、その長さ方向において厚さが異なる形状であってもよい。
各柱状構造体3は、略同一形状を有し、その軸線が、フィルム形状の成形体1の厚さ方向に延びるように、規則的な三角格子状に配置されている。詳しくは、柱状構造体3は、断面形状が軸線方向に略一定である円柱形状であり、複数の柱状構造体3は、その軸線方向Aが同一方向で略平行に配向され、且つ、軸線方向Aと垂直な断面形状が略同一に設定されている。
柱状構造体3は、その配向方向(軸線方向)Aが、成形体1の厚さ方向Bと略同一方向に設定されているが、これに限らず、方向Aと方向Bに所定の角度が設けられていてもよい。また、柱状構造体3は、その断面形状が円形に設定されているが、これに限らず、楕円形状,矩形状等であってもよい。
また、複数の柱状構造物3は、配向方向Aと垂直な面内において、規則的な三角格子状に配列されているが、複数の柱状構造物3は、所定のパターンに配置されていればよい。所定のパターンは、例えば、正方格子形状等の任意の格子形状であってよい。
このように成形体1は、マトリックス2に屈折率が相違する多数の柱状構造体3が規則的な格子形状に配列している。したがって、成形体1に面方向から光が入射すると、柱状構造体3の配列に起因して、成形体1は回折スポットを与え、光回折素子として機能する。
次に、成形体1の製造方法について説明する。
成形体1を製造するには、まず、成形型10内に光重合性組成物20を注入した後、照射光源30と成形型10との間にフォトマスク40を配置する(図2乃至図6参照)。その後、フォトマスク40を介して、照射光源30から光を成形型10内の光重合性組成物20に向けて照射し、フォトマスク40を取り除いて、さらに照射光源30から光を成形型10内の光重合性組成物20に向けて照射する。これにより、光重合性組成物20の光重合を完了させる。この光重合が完了した光重合性組成物20を成形型10から離型することにより、使用波長に対して透明な成形体1を得ることができる。
(成形型)
図2に基づいて、成形体1の製造方法に用いる成形型10について説明する。図2(a)、(b)は、それぞれ光重合性組成物20を充填する成形型(セル)10の平面図、断面図である。
成形型10は、矩形状の空間部(凹部)11aを有する本体部11と、空間部11aを覆うカバー部材12と、を備える。成形型10は、本体部11をカバー部材12で覆うことにより、内部に空間部11aによって規定されるキャビティが形成されるようになっている。後述するように、このキャビティに、光重合性組成物20が注入され、保持される。キャビティに充填された光重合性組成物20は、光重合させる際に重合が阻害されないよう、外部空気と接触しないことが望ましい。このため、成形型10は、光重合性組成物20を液密で封入可能となっている。
本体部11の空間部11aは、フィルム形状の成形体1を形成するために、薄膜状又は薄板状の空間をなしている。しかしながら、空間部11aは、成形する成形体1の形状に応じて種々の形状とすることができる。
カバー部材12は、成形体1の製造時に光照射側に配置されるため、照射光源の波長に対して光学的な吸収の少ない光透過性部材が用いられ、平均厚みは150μmである。光透過性部材は、具体的には、パイレックス(登録商標)ガラス,石英ガラス,フッ素化(メタ)アクリル樹脂等の透明プラスチック材料等である。
以下に、光重合性組成物20に用いることができる材料について説明する。
(多官能モノマー)
光重合性組成物20には、多官能モノマーが含まれることが好ましい。このような多官能モノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリルモノマーや、ビニル基、アリル基等を含有するものが特に好ましい。
多官能モノマーの具体例としては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能のエポキシ(メタ)アクリレート、多官能のウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルクロレンデート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート等が挙げられ、これらを単独であるいは2種以上の混合物として使用することができる。
中でも、分子内に3個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する多官能性モノマーは、重合度差による架橋密度の粗密がより大きくなりやすく、上述の柱状構造体が形成されやすくなる。
特に好ましい3個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する多官能性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがある。
光重合性組成物20として2種以上の多官能モノマーあるいはそのオリゴマーを使用する場合には、それぞれの単独重合体としたときに互いに屈折率が異なるものを使用することが好ましく、その屈折率差が大きいものを組み合わせることがより好ましい。
回折、偏向、拡散などの機能を高効率で得られるようにする為には屈折率差を大きくとることが必要であり、その屈折率差が0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましい。また、重合過程でモノマーが拡散することにより屈折率差が大きくなるので、拡散定数の差が大きい組み合わせが好ましい。
なお、3種以上の多官能モノマーあるいはオリゴマーを使用する場合は、それぞれの単独重合体の少なくともいずれか2つの屈折率差が上記範囲内となるようにすればよい。また、単独重合体の屈折率差が最も大きい2つのモノマーあるいはオリゴマーは、高効率な回折、偏向、拡散などの機能を得る為に、重量比で10:90〜90:10の割合で用いることが好ましい。
(単官能モノマー)
また、光重合性組成物20には、上記のような多官能モノマーあるいはオリゴマーとともに、分子内に1個の重合性炭素−炭素二重結合を有する単官能モノマーあるいはオリゴマーを使用してもよい。このような単官能モノマーあるいはオリゴマーとしては、(メタ)アクリロイル基を含む(メタ)アクリルモノマーや、ビニル基、アリル基等を含有するものが特に好ましい。
単官能モノマーの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、フェニル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、p−ブロモベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;スチレン、p−クロロスチレン、ビニルアセテート、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、ビニルナフタレン等のビニル化合物;エチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート等のアリル化合物等が挙げられる。
これら単官能モノマーあるいはオリゴマーは成形体1に柔軟性を付与するために用いられ、その使用量は多官能モノマーあるいはオリゴマーとの合計量のうち10〜99質量%の範囲が好ましく、10〜50質量%の範囲がより好ましい。
(ポリマー、低分子化合物)
また、光重合性組成物20には、前記多官能モノマーあるいはオリゴマーと重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物を含む均一溶解混合物を用いることもできる。
重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ナイロン等のポリマー類、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランのような低分子化合物、有機ハロゲン化合物、有機ケイ素化合物、可塑剤、安定剤のような添加剤等が挙げられる。
これら重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物は、成形体1を製造する際に光重合性組成物20の粘度を調節し取り扱い性を良くする為や、光重合性組成物20中のモノマー成分比率を下げて、硬化性を良くする為に用いられ、その使用量は多官能モノマーあるいはオリゴマーとの合計量のうち1〜99質量%の範囲とすることが好ましく、取り扱い性も良くしつつ規則的な配列を持った柱状構造体を形成させる為には1〜50質量%の範囲がより好ましい。
(開始剤)
光重合性組成物20に使用する光重合開始剤は、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合を行う通常の光重合で用いられるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ジベンゾスベロン等が挙げられる。
これら光重合開始剤の使用量は、その他の光重合性組成物の重量に対して0.001〜10質量%の範囲とする事が好ましく、成形体1の透明性を落とさないようにする為に0.01〜5質量%とする事がより好ましい。
また、図3〜図6に基づいて、成形体1の製造方法に用いる他の装置について説明する。
(フォトマスク)
図1に示した成形体1では、マトリックス2中にマトリックス2と屈折率が異なる複数の柱状構造体3が同一方向に配向しており、この配向方向と垂直な面内において柱状構造体3があるパターンで配置されている。このパターンはフォトマスク40によるテクスチャリングで任意に決定することができる。
本実施形態では、屈折率の異なる柱状構造体3の配置を決定する方法として、テクスチャリングを用いている。ここで述べるテクスチャリングとは、あらかじめ位置情報を入力することで、形成される規則構造に高い規則性をもたせる方法である。
フォトマスク40は、フォトリソグラフィー法で使用されているもの等が使用できる。また、マスク孔のパターンや孔径のサイズ、ピッチ、形状は特に定められたものではないが、マスク孔を円孔とした場合、孔径は80nm〜10μmが好ましく、ピッチは120nm〜15μmが好ましい。
図3に示すように、フォトマスク40は、マスク孔41が三角格子パターンで規則的に配列されたものである。また、マスク孔41は、上記に限らず、他のパターンで配列されていてもよい。例えば、図4のように、マスク孔41が正方格子パターンで規則的に配列されたフォトマスク40を使用してもよい。
なお、本実施形態では、柱状構造体3を形成するためにフォトマスク40によるテクスチャリングを使用しているが、これに限らず、可視あるいは紫外域の波長帯のレーザ光、X線、γ線等の放射線を走査照射して位置情報を入力してもよい。
(照射光源)
照射光源30(図6参照)は、成形型10に対して紫外線等の平行光を照射することができるものが用いられる。照射する光の平行度は、広がり角が±0.03rad以下であるものが好ましく、より好ましくは±0.001rad以下の範囲である。
また、照射光源30は、平行光を照射可能であることに加えて、照射する平行光の進行方向に対する垂直断面内で、平行光の光強度分布を略一定とすることができるものを用いる。具体的には、照射光源30には、点光源や棒状光源からの光を、ミラーやレンズ等により光強度分布が略一定(ハット型分布)の平行光としたもの、VCSEL等の面状光源等を使用することができる。
なお、レーザ光線は平行度の点では好ましい光源であるが、その光強度分布がガウス型の分布を有しているため、適当なフィルター等を用いて光強度分布を略一定にして使用することが好ましい。
すなわち、成形体1において、柱状構造体3を高い規則性で配列するには、成形体1の膜厚方向Bに垂直な平面内において重合反応を均一に進める事が必要である。このため、照射光源30は、その光強度分布を照射範囲で略均一としている。
照射光源30は、図5に示すように照射エリア31を複数の領域に分割して(本実施形態では、9領域)、各領域の点31a〜31iの光強度を測定し、式(2)で与えられる照度分布の値が、2.0%以下であるものを用いている。より好ましくは、1.0%以下であるものを用いている。
照度分布=(最大値−最小値)/(最大値+最小値)×100・・・(2)
(光照射)
成形体1の製造方法では、第1の光照射ステップと第2の光照射ステップからなる2つの光照射ステップにより光照射を行う。
<第1の光照射ステップ>
第1の光照射ステップでは、まず、図6(a)に示すように、光重合性組成物20を充填した成形型10の上部(すなわち、成形型10と照射光源30との間)に、柱状構造体3の形成位置を定めるためのフォトマスク40を配置する。このとき、フォトマスク40を、成形型10(カバー部材12)の上面に対して略平行に配置する。より精密に柱状構造の円径及びピッチを制御するためには、成形型10とフォトマスク40との間の空隙を100μm以下にすることが好ましい。フォトマスクを用いて形成位置を定める方法では、マスク開口で紫外光が回折される点に注意する必要がある。回折により、フォトマスクとは異なるパターンに形成位置が定められてしまったり、パターンが劣化しすぎて形成位置を定めることができなかったりするので、フォトマスクと光重合性組成物との距離を正確に定めねばならない。
次いで、フォトマスク40を配置した後、照射光源30から照射対象範囲で波長半値全幅が100nm以下であり光強度分布が略一定である紫外線等の平行光を照射する。これにより、フォトマスク40を通過した平行光が、光重合性組成物20に所定パターンで照射される。このようにして、第1の光照射ステップでは、光重合性組成物20の平行光照射部位がゲル状に硬化するまで紫外線等の光を平行光として照射し、成形体1内部における柱状構造体3の形成位置を定める。このマスク露光では、光重合性組成物20に相分離構造を形成しない程度の硬化度(反射率)が設定される。
具体的には、第1の光照射ステップでは、製造される成形体1の柱状構造体3の規則性及び高回折効率を両立させるために、光重合性組成物20の硬化度が10%〜80%の範囲となるまで、より好ましくは、20%〜60%の範囲となるまで照射する。
本実施形態では、光DSC法で、光重合性組成物20が完全に反応し光照射してもそれ以上発熱しない状態を硬化率100%としている。そして、第1の光照射ステップでは、光DSC法での発熱量から計算した硬化率が、所定の硬化度(10%〜80%)となるまで、光重合性組成物20に対して、所定量の光照射を行う。
<第2の光照射ステップ>
第1の光照射ステップに続き、第2の光照射ステップでは、図6(b)に示すように、フォトマスク40を取り外して、さらに波長半値全幅が100nm以下であり光強度分布が略一定の平行光を成形型10に対して照射する。これにより、平行光を光重合性組成物20全体に照射し、第1の光照射ステップで形成位置が定められた柱状構造体3の形成部位と、それ以外のマトリックス2形成部位とからなる柱状相分離構造を膜厚方向に形成して、マトリックス2と複数の柱状構造体3との間の屈折率差を高めつつ光重合性組成物20の硬化を完全に終了させる。
このとき、平行光によって光重合性組成物20には、柱状構造体3が、明瞭な柱状構造としてマトリックス2中に、面方向に拡がらず且つ膜厚方向に平行に延びたように形成される。これにより、成形体1は、マトリックス2と柱状構造体3との境界で、屈折率の変化が明瞭に現れるように形成される。完全に硬化した光重合組成物20を成形型10から離型することにより、成形体1が製造される。
一般に、高圧水銀ランプ等の点状光源から放出された光を、ミラーやレンズにより照度の均一性や平行度を調整してフォトマスクに露光する際の解像度は、以下の通りである。フォトマスクのスリット幅をa,ギャップをLとすると、スリットを通過する光は、aの大きさがLに対して無視できない場合(aとLの値が近い場合)、フレネル回折で近似され、一方、aの大きさがLに対して無視できる場合(a<<Lの場合)、フラウンホーファ回折で近似される。回折による像の劣化を式(3)の関数Fで表すと、Fが2近くで解像度の限界が現れる。λは光の波長である。
F=a(2/λL)1/2・・・(3)
F=2,λ=0.4の場合、式(3)から、a=0.89・L1/2を得る。このaが解像限界線幅である。Lをセル上部のカバー部材12の平均厚みである150μmとした場合には、解像度は10.9μmになる。したがって、柱状構造体の孔径が好ましくは、80nm〜10μmであるから、単にフォトマスクを用いて柱状構造体を形成しようとしても、フラウンホーファ回折(a<<L)による像の劣化が激しく、このような系ではフィルム内にアスペクト比10以上の柱状構造体が形成されるとは考えられない。
すなわち、従来のように、第1の光照射ステップのみで柱状構造体を完全に形成すると、フォトマスクを通過した光は、回折によってマスク孔の投影領域(すなわち、柱状構造体の領域)からマトリックスの領域まで広がって届いてしまう。このため、従来のように第1の光照射ステップの後に、第2光照射ステップを行ったとしても、マトリックスと柱状構造体との間に有意な屈折率差が生じなくなる。
しかしながら、本実施形態では、第1の光照射ステップで柱状構造体3を完全には硬化させず、形成位置を定めるのみである。そして、第2の光照射ステップにおいて、マトリックス2と柱状構造体3とがある程度の硬度差にある未完全硬化状態で、全体に平行光を照射し、全体を完全に硬化させている。このとき、柱状構造体3の重合自己促進効果によるマトリックス2との架橋密度差と、柱状構造体3とマトリックス2との間での反応拡散による組成分布により、両者間に有意な屈折率差を与えられ、また、成形体1の膜厚方向に略平行に延びるアスペクト比の高い柱状構造体3を形成することができる。
製造した成形体1の評価は、以下のように行った。
(回折効率の算出)
製造した成形体1に、標準正規分布の強度分布を持つレーザ光線を照射して回折スポットの強度を測定し、回折スポットの測定強度を、入射光全体の強度で除した値を成形体1の回折効率として算出した。回折スポットが複数点現れる場合は、それらの合計の強度を入射光全体の強度で除した値とする。
本実施形態では、成形体1は、回折効率が、10%以上(10%≦回折効率≦100%)であった。
(角度スペクトル)
また、図7に示すように、レーザ光源51から標準正規分布の強度分布を持つレーザ光線52を、製造した成形体1の面に対し直交するように入射し、成形体1に対するフォトダイオード54の角度θを角度可変台53によって変えながら、成形体1からの透過光の光強度をフォトダイオード54によって測定した。入射レーザ光線52が透過直進した点を0°とし、横軸に角度θ、縦軸に光強度をとって描画すると図8のような角度スペクトルが得られる。この角度スペクトルから回折スポットの半値幅を求めた。相分離構造の配置の規則性が高いほど、ピークの半値幅は小さくなる。
本実施形態では、成形体1は、角度スペクトルから求めた回折スポットの半値幅が、0.6°以下(0°<半値幅≦0.6°)であった。
成形体1は、光学的ローパスフィルターに用いてもよい。デジタルカメラ等の撮影系では、しばしばモアレ(偽色)が問題となる。この原因は、用いられるCCDやCMOS等のセンサが規則的に配列しているため撮影対象に含まれる規則的パターンと干渉してしまうからである。この問題を解決する手段の一つとして、光学的ローパスフィルターの導入がある。光学的ローパスフィルターは、入力された光を複数点に分離することにより干渉の影響を抑え、モアレを抑制する効果をもつ。
成形体1を光学的ローパスフィルターに用いるためには、まず、成形体1に光学的に透明な光学素子(例えば、透明フィルム等)を貼り合わせる等して積層させ、光学積層体を形成する。この光学積層体は、入射光を特定の位置と強度に回折するため、この光学積層体の回折角と回折効率、及び上述のセンサとの距離を適切に設定することで、光学的ローパスフィルターとして機能させることができる。なお、成形体1を、光学系に配置することができれば、必ずしも成形体1に光学的に透明な光学素子を積層させなくてもよい。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1では、フェノキシエチルアクリレート30質量部とトリメチロールプロパントリメタクリレート70質量部からなる混合物に、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.6質量部を溶解させ光重合性組成物を得た。
得られた光重合性組成物を、20mmφ、厚さ0.2mmのガラスセル中にフィルム状に封入した。照射面側のガラスの厚みは150μmとした。次いで、ガラスセル上部に2μmφの光通過域が5μmピッチで六方格子状(三角格子状)に配列したフォトマスクを配置し、表面に対して垂直方向から、光強度分布が略一定である紫外平行光を840mJ/cm2で照射した。このときの光重合性組成物の硬化度は40%であった。
その後、フォトマスクを取り外し、更に6300mJ/cm2で紫外平行光を照射して光重合性組成物を重合硬化しプラスチックフィルムを得た。
図9に得られたプラスチックフィルムの光学顕微鏡像を示す。この観察像から、製造されたプラスチックフィルムでは、柱状構造体が規則正しく配列されていることが確認された。
また、プラスチックフィルムの面に対して垂直に強度分布の半値幅が0.5°であるレーザ光を照射して回折パターンの評価を行った。図10にポリマー内部の規則的相分離構造に起因した回折点の観察像を示す。回折像の角度スペクトルから一次回折点の角度幅(半値幅)は0.5°と良好であった。また、回折効率は75%と良好であった。
(実施例2)
実施例2は、実施例1と第1の光照射ステップの硬化度を異ならせて、硬化度を上限値(80%)にした例である。
実施例2では、実施例1と同じ組成の光重合性組成物を、20mmφ、厚さ0.2mmのガラスセル中にフィルム状に封入した。照射面側のガラスの厚みは150μmとした。次いで、ガラスセル上部に2μmφの光通過域が5μmピッチで六方格子状に配列したフォトマスクを配置し、表面に対して垂直方向から、光強度分布が略一定である紫外平行光を1400mJ/cm2で照射した。このときの光重合性組成物の硬化度は80%であった。
その後フォトマスクを取り外し、更に6300mJ/cm2で紫外平行光を照射して光重合性組成物を重合硬化しプラスチックフィルムを得た。
また、実施例1と同様に、得られたプラスチックフィルムの面に対して垂直に強度分布の半値幅が0.5°であるレーザ光を照射して回折パターンの評価を行ったところ、ポリマー内部の規則的相分離構造に起因した回折点が観察された。回折像の角度スペクトルから一次回折点の角度幅は0.5°であった。また、回折効率は60%であった。
このように、実施例2では、実施例1と比べて、回折スポットの半値幅は同程度で良好であり、回折効率はやや劣るが10%以上の良好な値を示すことが分かった。
なお、実施例2は、第1の光照射ステップの硬化度を上限値の80%とした例であるが、下限値の10%とした場合にも、実施例1と同程度の0.5°の半値幅を有する回折スポットが観察されると共に、回折効率も10%以上の良好な値を示すことが確認された。
(実施例3)
実施例3は、実施例1と第1の光照射ステップの硬化度を異ならせて、硬化度を上限値付近(75%)にすると共に、フォトマスクの光透過域のパターンを異ならせた例(6μmφ,12μmピッチ)である。
実施例3では、実施例1と同じ組成の光重合性組成物を、20mmφ、厚さ0.2mmのガラスセル中にフィルム状に封入した。照射面側のガラスの厚みは150μmとした。次いで、ガラスセル上部に6μmφの光通過域が12μmピッチで六方格子状に配列したフォトマスクを配置し、表面に対して垂直方向から、光強度分布が略一定である紫外平行光を1260mJ/cm2で照射した。このときの光重合性組成物の硬化度は75%であった。
その後フォトマスクを取り外し、更に6300mJ/cm2で紫外平行光を照射して光重合性組成物を重合硬化しプラスチックフィルムを得た。
また、実施例1と同様に、得られたプラスチックフィルムの面に対して垂直に強度分布の半値幅が0.5°であるレーザ光を照射して回折パターンの評価を行ったところ、ポリマー内部の規則的相分離構造に起因した回折点が観察された。回折像の角度スペクトルから一次回折点の角度幅は0.5°であった。また、回折効率は30%であった。
このように、実施例3では、実施例1と比べて、回折スポットの半値幅は同程度で良好であり、回折効率はやや劣るが10%以上の良好な値を示すことが分かった。
(実施例4)
実施例4は、実施例1と第1の光照射ステップの硬化度は同程度(40%)であるが、フォトマスクの光透過域のパターンを正方格子状に異ならせた例である。
実施例4では、実施例1と同じ組成の光重合性組成物を、20mmφ、厚さ0.2mmのガラスセル中にフィルム状に封入した。照射面側のガラスの厚みは150μmとした。次いで、ガラスセル上部に2μmφの光通過域が5μmピッチで正方格子状に配列したフォトマスクを配置し、表面に対して垂直方向から、光強度分布が略一定である紫外平行光を840mJ/cm2で照射した。このときの光重合性組成物の硬化度は30%であった。
その後フォトマスクを取り外し、更に6300mJ/cm2で紫外平行光を照射して光重合性組成物を重合硬化しプラスチックフィルムを得た。
また、実施例1と同様に、得られたプラスチックフィルムの面に対して垂直に強度分布の半値幅が0.5°であるレーザ光を照射して回折パターンの評価を行ったところ、ポリマー内部の規則的相分離構造に起因した回折点が観察された。回折像の角度スペクトルから一次回折点の角度幅は0.5°であった。また、回折効率は58%であった。
このように、実施例4では、実施例1と比べて、回折スポットの半値幅は同程度で良好であり、回折効率はやや劣るが10%を越える良好な値を示すことが分かった。
(比較例1)
比較例1は、実施例1と異なり、フォトマスクを使用した第1の光照射ステップを行わず(もしくは、第1の光照射ステップでの硬化度が0%)、第2の光照射ステップのみを行った例である。
比較例1では、実施例1と同じ組成の光重合性組成物を、20mmφ、厚さ0.2mmのガラスセル中にフィルム状に封入した。照射面側のガラスの厚みは150μmとした。次いで、表面に対して垂直方向から、光強度分布が略一定である紫外平行光を6300mJ/cm2で照射して光重合性組成物を重合硬化しプラスチックフィルムを得た。
図11に得られたプラスチックフィルムの光学顕微鏡像を示す。この観察像から、製造されたプラスチックフィルムでは、実施例1のプラスチックフィルムよりも、柱状構造体の規則性が低いことが確認された。
また、プラスチックフィルムの面に対して垂直に強度分布の半値幅が0.5°であるレーザ光を照射して回折パターンの評価を行った。図12にポリマー内部の規則的相分離構造に起因した回折点の観察像を示す。回折像の角度スペクトルから一次回折点の角度幅は1.3°であった。また、回折効率は24%であった。
このように、比較例1では、実施例1と比べて、回折効率は10%を超える値が得られるものの、規則的相分離構造の規則性が低く、そのため、回折スポットの角度スペクトルにおける半値幅が0.6°よりも大きいことが分かった。
(比較例2)
比較例2は、実施例1と異なり、第1の光照射ステップで柱状構造体の硬化をほぼ完了させた例である。
比較例2では、実施例1と同じ組成の光重合性組成物を、20mmφ、厚さ0.2mmのガラスセル中にフィルム状に封入した。照射面側のガラスの厚みは150μmとした。
次いで、ガラスセル上部に2μmφの光通過域が5μmピッチで六方格子状に配列したフォトマスクを配置し、表面に対して垂直方向から、光強度分布が略一定である紫外平行光を15J/cm2で照射した。このときの光重合性組成物の硬化度は90%以上であった。
その後フォトマスクを取り外し、更に6300mJ/cm2で紫外平行光を照射して光重合性組成物を重合硬化しプラスチックフィルムを得た。
また、実施例1と同様に、得られたプラスチックフィルムの面に対して垂直に強度分布の半値幅が0.5°であるレーザ光を照射して回折パターンの評価を行ったところ、ポリマー内部の規則的相分離構造に起因した回折点が観察された。回折像の角度スペクトルから一次回折点の角度幅は0.5°であった。また、回折効率は6%であった。
このように、比較例2では、回折スポットの半値幅は、実施例1と同程度で良好であったものの、回折効率が10%未満と良好な値を示さなかった。
(比較例3)
比較例3は、実施例1と異なり、照射面側のガラスの厚みを5mmとした例である。
比較例3では、実施例1と同じ組成の光重合性組成物を、20mmφ、厚さ0.2mmのガラスセル中にフィルム状に封入した。照射面側のガラスの厚みは5mmとした。次いで、ガラスセル上部に2μmφの光通過域が5μmピッチで六方格子状に配列したフォトマスクを配置し、表面に対して垂直方向から、光強度分布が略一定である紫外平行光を840mJ/cm2で照射した。このときの光重合性組成物の硬化度は30%であった。
その後、フォトマスクを取り外し、更に6300mJ/cm2で紫外平行光を照射して光重合性組成物を重合硬化しプラスチックフィルムを得た。
また、実施例1と同様に、得られたプラスチックフィルムの面に対して垂直に強度分布の半値幅が0.5°であるレーザ光を照射して回折パターンの評価を行ったところ、ポリマー内部の規則的相分離構造に起因した回折点が観察された。回折像の角度スペクトルから一次回折点の角度幅は0.5°であった。また、回折効率は5%であった。
このように、比較例3では、回折スポットの半値幅は、実施例1と同程度で良好であったものの、回折効率が10%未満と良好な値を示さなかった。
本発明の成形体の概略構成図である。 本発明の成形体を製造する成形型の説明図である。 本発明の製造方法で用いるフォトマスクの平面図である。 本発明の製造方法で用いるフォトマスクの平面図である。 本発明の製造方法で用いる照射光源の照度分布の測定点を示す説明面である。 本発明の製造方法の説明図である。 本発明の成形体のレーザ回折の角度スペクトル測定方法の概略説明図である。 本発明の成形体から得られる角度スペクトルのグラフである。 実施例1の成形体の光学顕微鏡画像を示す図である。 実施例1の成形体によるレーザ回折画像を示す図である。 比較例1の成形体の光学顕微鏡画像を示す図である。 比較例1の成形体によるレーザ回折画像を示す図である。
符号の説明
1 成形体
2 マトリックス
3 柱状構造体
10 成形型
11 本体部
12 カバー部材
20 光重合性組成物
30 照射光源
40 フォトマスク

Claims (10)

  1. マトリックスと、該マトリックス中に配設され該マトリックスと屈折率が異なる複数の柱状構造体と、を備えた相分離構造を有する成形体であって、
    標準正規分布の強度分布を有し且つ強度分布の半値幅が0.5°であるレーザ光線を照射したときに得られる角度スペクトルにおいて、回折スポットの半値幅が0.6°以下であり、且つ、回折効率が10%以上であることを特徴とする成形体。
  2. 前記複数の柱状構造体は、略同一方向に配向され、且つ、該配向方向と垂直な面において規則的な格子状に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 前記複数の柱状構造体は、前記配向方向と垂直な断面形状が略同一であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  4. 前記柱状構造体は、アスペクト比が10以上であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  5. 前記マトリックス及び前記柱状構造体が、アクリル系光重合性組成物の硬化体からなることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形体と、この成形体に貼り合わされた光学的に透明なフィルムと、を備えたことを特徴とする光学積層体。
  7. 請求項6に記載の光学積層体を用いたことを特徴とする光学的ローパスフィルター。
  8. 光重合性組成物からなるマトリックスと、該マトリックス中に配設され該マトリックスと屈折率が異なる複数の柱状構造体と、を備えた相分離構造を有する成形体の製造方法であって、
    光硬化性モノマー又はオリゴマーと光重合開始剤とを含有する光重合性組成物を成形型に注入する工程と、
    前記成形型と光源との間に、光通過域と光不通過域とを有するフォトマスクを配置する工程と、
    前記光源から、波長半値全幅が100nm以下であり光強度分布が略一定の平行光を、前記フォトマスクを通して前記成形型内の光重合性組成物に向けて照射して、前記光重合性組成物のうち平行光が照射された部位を、未完全な硬化状態に硬化させる第1の光照射工程と、
    前記フォトマスクを取り外して、更に波長半値全幅が100nm以下であり光強度分布が略一定の平行光を前記成形型内の光重合性組成物に向けて照射して、前記光重合性組成物の硬化を完了させる第2の光照射工程と、を備えたことを特徴とする成形体の製造方法。
  9. 前記第1の光照射工程では、前記光重合性組成物を、硬化度10%以上、80%以下に硬化させることを特徴とする請求項8に記載の成形体の製造方法。
  10. 前記フォトマスクは、前記光不通過域に多数の前記光通過域が規則的な格子状に配置されたことを特徴とする請求項8に記載の成形体の製造方法。
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