JP2010008831A - 光学素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造簡単で製造が容易の光学素子の実現
【解決手段】光硬化性樹脂液20に光線を照射して、軸状に硬化領域が伸びるコア21を自己形成する。コア21の形成前、形成後、又は、形成と同時に、コアの軸に対して交差する方向から、光を、軸の方向に所定幅と所定間隔を有した複数の領域を有したパターンで、光硬化性樹脂液20に照射して光硬化させて、第1の屈折率を有した第1領域51を形成し、コア21の形成の後に、隣接する第1領域の間に第1の屈折率よりも屈折率の小さな第2の屈折率を有した第2領域52とを形成して、第1領域と第2領域とが軸方向に沿って交互に配列された周期的構造50を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学素子及びその製造方法に関する。本発明の光学素子は、たとえば、所定波長領域の光を反射又は透過する素子に用いることができる。
特定の波長領域の光を選択的に反射したり、透過させたりする回折格子として、下記特許文献1に開示のものが知られている。この技術は、ある軸方向に屈折率が周期的に変化する回折格子を、樹脂の光硬化により形成するものである。基板上に、ポリイミド前躯体を塗布し、これをポリイミド化する温度よりも低い温度で焼成する。その後、紫外線を周期パターンのマスクを透過させて硬化させ、屈折率が周期的に変化した回折格子を製造するものである。
また、特許文献2には、基板上にTa25 膜を形成して、この膜に、エキシマレーザにより周期的に強度変調した光を照射して、周期的に凹凸の形成された回折格子を製造する技術が開示されている。
特開2002−286919号 特開平8−220317号
しかし、上記の何れの技術においても、光導波路の伝搬路自体に回折格子を形成したものであり、軸状に伸びるコアと、そのコアの周囲に形成された屈折率が周期的に変化する周期的構造を有するものではない。また、上記の文献による光素子では、基板上に形成された格子を有する薄い層に、その層の断面に垂直な方向から、薄い層に向けて光を導入する必要がある。このため、光ファイバーと、この光素子との結合が困難であるという問題がある。
本発明は、この課題を解決するために成されたものであり、光ファイバーなどの伝送路からの光の入射や、光結合が容易で、小型で且つ製造容易な光学素子を実現することを目的とする。
第1の発明は、樹脂製の光導波路を用いた光学素子において、軸状に形成されたコアと、コアの軸に対して交差し、所定厚さを有し、屈折率が相互に異なる第1領域と第2領域の繰り返しから成る周期的構造とを有することを特徴とする光学素子である。コアの断面は任意であるが、通常は、円である。この円形のコアに接した外部に、軸方向に沿って屈折率が周期的に変化する周期的構造が形成されている。これにより、ある波長領域の光を反射したり、透過させたりする素子とすることができる。また、軸状のコアを平行に複数設けることで、光分波器、光合波器とすることができる。
また、周期的構造の平板領域は、コアの軸に対して、交差していれば良く、その交差角度は任意である。しかし、一般的には、周期的構造はコアの軸に垂直に形成されていることが、望ましい。
また、コアの屈折率は、周期的構造の第1領域の屈折率よりも高くても良い。また、他の発明のように、コアの屈折率と周期的構造における第1領域の屈折率とは等しく、第2領域の屈折率は、第1領域の屈折率よりも小さいくとも良い。この構造によりコアを伝搬する光は、コア周囲の屈折率の周期的構造により、影響を受ける。これにより、本発明の光学素子は、ある波長領域の光を反射し、他の波長領域の光を透過させることができる素子となる。また、2本のコアを平行に形成することで、合波、分波器することも可能である。
また、製造方法の発明は、樹脂製の光導波路を用いた光学素子の製造方法において、光硬化性樹脂液に光線を照射して、軸状に硬化領域が伸びるコアを自己形成し、コアの形成前、形成後、又は、形成と同時に、コアの軸に対して交差する方向から、光を、軸の方向に所定幅と所定間隔を有した複数の領域を有したパターンで、光硬化性樹脂液に照射して光硬化させて、第1の屈折率を有した第1領域を形成し、コアの形成の後に、隣接する第1領域の間に第1の屈折率よりも屈折率の小さな第2の屈折率を有した第2領域とを形成して、第1領域と第2領域とが軸方向に沿って交互に配列された周期的構造を形成することを特徴とする。
コアの自己形成とは、光硬化性樹脂液に光ビームを照射して硬化させ、硬化部分の屈折率が未硬化の樹脂液の屈折率よりも高くなることを利用して、この硬化部分に光を閉じ込めながら、硬化先端を成長させる方法である。たとえば、本出願人による特許第3444352号、特開2007−212793号公報などに詳しい。コアの自己形成工程は、周期的構造の第1領域の形成工程に対して、前、後、同時であっても良い。周期的構造の第2領域は、コアの形成の後に形成される。光硬化性樹脂液は、ある波長領域の光で硬化する樹脂であって、一つの波長感度特性(波長硬化特性)を有した一種類の光硬化性樹脂液であっも、波長感度特性が異なる2種類以上の光硬化性樹脂の混合液であっても良い。
一種類の光硬化性樹脂液を用いた場合には、次の方法を用いることができる。コアをある波長の光で自己形成した後に、周期的構造を形成する光硬化性樹脂液に入れ換えても良い。また、コアと周期的構造の第1領域とを形成した後に、周期的構造の第2領域を形成する光硬化性樹脂液に入れ換えて良い。また、コアを形成した後に、周期的構造を形成するために入れ換える光硬化性樹脂液は、異なる波長感度特性を有した複数種類の光硬化性樹脂液を用いても良い。この場合には、周期的構造の第1領域は、ある波長領域の光を照射することで、ある種類の光硬化性樹脂液を硬化させて形成し、第2領域は、光硬化性樹脂の混合液の全体を硬化して形成しても良い。光硬化性樹脂の混合液の全体を硬化させる場合には、光硬化の他、熱硬化であっても良い。
コアの形成と周期的構造の形成とを、光硬化性樹脂液を入れ換えずに行う場合には、波長感度特性の異なる2種類以上の光硬化性樹脂液を用いる。この場合に、コアと周期的構造の第1領域を硬化させる場合には、ある波長領域の光を用いて、ある種類(単数又は複数)の光硬化性樹脂を選択的に硬化させる。そして、周期的構造の第2領域を硬化させるために、又は、第2領域及び不完全に硬化したコア及び第1領域を完全に硬化させるために、混合液の全ての光硬化性樹脂を硬化させることができる波長の光を照射して、硬化させる、又は、全体を加熱して硬化することができる。この場合には、硬化したコアの屈折率と、周期的構造の硬化した第1領域の屈折率は等しくなり、硬化した第2領域の屈折率は、この屈折率よりも小さくなる。ただし、コアの形成と第1領域の形成とで、光反応条件が異なるために、厳密に屈折率が等しい分けではなく、ほぼ等しい状態となる。さらに、コアだけある波長領域の光で、ある種類(単数又は複数)の光硬化性樹脂を硬化させ、周期的構造の第1領域は、他の波長領域の光の照射により、他の種類(単数又は複数)の光硬化性樹脂を硬化させるようにしても良い。光硬化性樹脂液全体の硬化は、上記の通りである。この場合には、硬化したコアの屈折率、硬化した周期的構造の第1領域の屈折率、硬化した周期的構造の第2領域の屈折率は、この順で、小さくなる。
周期的構造を形成するには、マスクパターンを用いて、所定の周期的パターンに光を照射する方法、光の干渉パターンを形成する方法が採用できる。
以上、まとめると、次の他の製造方法が発明されている。
他の発明は、上記の製造方法の発明において、光硬化性樹脂液は、硬化時の屈折率が、光硬化性樹脂液全体の硬化時の屈折率よりも高い第1光硬化性樹脂液(単数又は複数)と、硬化時の屈折率がこの第1光硬化性樹脂液の硬化時の屈折率よりも低い屈折率を有した第2光硬化性樹脂液(単数又は複数)とを少なくとも含む混合液であり、コアと第1領域は第1光硬化性樹脂液を選択的に硬化させ、第2領域は光硬化性樹脂液の全体を硬化させることを特徴とする。
また、他の発明は、上記の製造方法の発明において、少なくとも周期的構造を形成する場合の光硬化性樹脂液は、硬化時の屈折率が、光硬化性樹脂液全体の硬化時の屈折率よりも高い第1光硬化性樹脂液(単数又は複数)と、硬化時の屈折率がこの第1光硬化性樹脂液の硬化時の屈折率よりも低い屈折率を有した第2光硬化性樹脂液(単数又は複数)とを少なくとも含む混合液であり、第1領域は第1光硬化性樹脂液を波長選択硬化させ、第2領域は光硬化性樹脂液の全体を硬化させることを特徴とする。
また、他の発明は、上記の製造方法の発明において、コアは、第1光硬化性樹脂液(単数又は複数)又はその硬化時の屈折率よりも高い硬化時の屈折率を有した光硬化性樹脂液(単数又は複数)を軸状に硬化させて形成し、その後、コアの周囲の光硬化性樹脂液を、光硬化性樹脂液(単数又は複数)に入れ換えた後、周期的構造を形成することを特徴とする。
また、他の発明は、上記の製造方法の発明において、周期的構造は、短冊状で周期的光を透過するマスクパターンにより、光を照射して光硬化により、第1領域を形成することを特徴とする。
本発明の光学素子においては、光を伝搬させるコアと、ある波長領域の光に対して、反射、透過、結合、分波などの機能を実現する周期的構造とが、一体的に、コアの周囲に形成されているので、小型化と、機能の高効率化を実現することができる。また、本製造方法の発明においては、光による自己形成により、コアが形成され、周期的構造が光硬化性樹脂の波長選択硬化により実現できるので、製造が極めて容易となる。また、他の製造方法の発明では、光硬化性樹脂液を、異なる波長感度特性を有した複数種類の混合液とすることで、波長によるある種(単数又は複数)の光硬化性樹脂だけを選択的に硬化させて、コアと周期的構造の第1領域とを形成することができる。したがって、製造が極めて簡単となる。
以下、本発明の具体的な実施例を図を参照しながら説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
本発明に用いる光硬化性樹脂液は、入手可能な任意のものを適用できる。硬化機構も、ラジカル重合、カチオン重合其の他任意である。硬化光は一般的にはレーザ光が好ましい。レーザの波長と強度で、光硬化性樹脂液の硬化速度を調整すると良い。尚、光硬化開始剤(光重合開始剤)は光硬化性樹脂液とレーザの波長に応じ、入手可能な任意のものを適用できる。これらについては、本願出願人が共願人である例えば特開2004−149579に次のものが列挙されている。
構造単位中にフェニル基等の芳香族環を一つ以上含んだものが高屈折率、脂肪族系のみからなる場合は低屈折率となる。屈折率を下げるために構造単位中の水素の一部をフッ素に置換したものであっても良い。
脂肪族系としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールを挙げることができる。
芳香族系としては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、ビスフェノールF、ノボラック、o-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、p-アルキルフェノールノボラック等の各種フェノール化合物等を挙げることができる。これら、あるいはこれらから任意に1種乃至複数種選択された多価アルコールのオリゴマー(ポリエーテル)の構造を有する比較的低分子(分子量3000程度以下)骨格に、反応基として次の官能基等を導入したものでも良い。
〔ラジカル重合性材料〕
ラジカル重合性材料としては、ラジカル重合可能なアクリロイル基等のエチレン性不飽和反応性基を構造単位中に1個以上、好ましくは2個以上有する光重合性モノマー及び/又はオリゴマーを採用することができる。エチレン性不飽和反応性基を有するものの例としては、(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、マレイン酸エステル等の共役酸エステルを挙げることができる。
〔カチオン重合性材料〕
カチオン重合性材料としては、カチオン重合可能なオキシラン環(エポキシド)、オキセタン環等の反応性エーテル構造を構造単位中に1個以上、好ましくは2個以上有する、光重合性のモノマー及び/又はオリゴマーを採用することができる。オキシラン環(エポキシド)としては、オキシラニル基の他、3,4-エポキシシクロヘキシル基なども含まれる。またオキセタン環とは、4員環構造のエーテルである。
〔ラジカル重合開始剤〕
ラジカル重合開始剤は、ラジカル重合性モノマー及び/又はオリゴマーから成るラジカル重合性材料の重合反応を光によって活性化する化合物である。具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン類、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン及びN,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、2-メチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン及び2-アミルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン及び2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、並びに2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。尚、ラジカル重合開始剤は、単独で使用しても、2種以上を併用しても良く、また、これらに限定されることはない。
〔カチオン重合開始剤〕
カチオン重合開始剤は、カチオン重合性モノマー及び/又はオリゴマーから成るカチオン重合性材料の重合反応を光によって活性化する化合物である。具体例としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、ホスホニウム塩、チオピリニウム塩が挙げられるが、熱的に比較的安定であるジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、フェニル(p-アニシル)ヨードニウム、ビス(p-t-ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p-クロロフェニル)ヨードニウムなどの芳香族ヨードニウム塩、ジフェニルスルホニウム、ジトリルスルホニウム、フェニル(p-アニシル)スルホニウム、ビス(p-t-ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(p-クロロフェニル)スルホニウムなどの芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩光重合開始剤が好ましい。芳香族ヨードニウム塩および芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩光重合開始剤を使用する場合、アニオンとしてはBF4 -、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、B(C6F5)4 -などが挙げられる。尚、カチオン重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用しても良く、また、これらに限定されることはない。
図1は本発明の具体的な第1の実施例に係る光学素子1の製造方法を示す工程図であるまず、図1の(a)に示すように、ガラス基板10上に、光硬化性樹脂液20を滴下する。この光硬化性樹脂液20の左端に、光ファイバ30を挿入する。次に、光ファイバ30の他端から樹脂を硬化させるための光を導入してファイバーコア30cの端面30fから硬化物を軸状に形成し、成長させる。これが、本件発明のコア21となる。このコア(硬化物)21は、ファイバーコア30cの端面30fから、硬化光の方向に成長する。
コア形成用の光硬化性樹脂液20としては、次の2種類の光硬化性樹脂を用いた。第1種の光硬化性樹脂として、ラジカル重合性樹脂であるEO変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学製、A−BPE−4)100重量%と、ラジカル重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(チバスペシャリティケミカルズ製、Irgacure819)0.5重量%、との混合液を用いた。この混合液の硬化前屈折率は、1.537 ( ただし、測定波長は、656.3nm)で、硬化後屈折率は、1.556 である。また、第2種の光硬化性樹脂として、カチオン重合性樹脂である3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(Dow Chemical製、商品名「UVR−6110」90重量%と、ビス((3−エチル−3オキセタニルメチル)エーテル)(東亞合成社製、商品名「OXT−221」)10重量%と、カチオン重合開始剤( 又は、光酸発生剤) として、トリアリルフォニウムのヘキサフルオリン酸塩混合物(ユニオンカーバイド社製、商品名「UVI−6990」)3重量%、との混合液を用いた。この混合液の硬化前屈折率は、1.462 で、硬化後屈折率は、1.491 である。、また、第1種の光硬化性樹脂と第2種の光硬化性樹脂との混合割合は、重量比で、9:1とした。
光ファイバ30としては、シングルモードファイバー(Corning社製、SMF−28)を用いた。次に、光ファイバ30の他端から半導体レーザによる波長457.5nmの光を導入して、光ファイバ30の出力端から光強度0.2mWの硬化光を光硬化性樹脂液20に照射した。これにより、図1の(b)に示すように、第1種の光硬化性樹脂のみが波長選択硬化し、軸状のコア(硬化物)21が形成された。この時、波長457.5nmにおいては、第1種の光硬化性樹脂の方が、第2の光硬化性樹脂よりも光感応性は高く、第1種の光硬化性樹脂の方が、第2の光硬化性樹脂よりも、硬化後の屈折率は大きい。
次に、図1の(c)に示すように、所定幅を有した幅20μm、本数500本のスリットが周期40μm、で配列されたフォトマスク40が形成された。フォトマスク40は、クロムで構成されている。フォトマクス40は、クロムを一様に蒸着して、フォトリソグラフィにより、スリットのクロムを除去して形成すれば良い。次に、図2の(d)に示すように、超高圧水銀ランプの光を短波長カットフィルタを通過させて、波長400nmよりも短い波長領域の光を遮断した光を、このマスク40を通過させた。これにより、光が照射された領域において、第1種の光硬化性樹脂のみが硬化して、周期的構造50の第1領域51が形成された。この時、この波長領域の光に対して、第1種の光硬化性樹脂の方が、第2の光硬化性樹脂よりも光感応性は高く、設定されている。
次に、図2の(f)に示すように、フォトマスク40を除去して、コア21の軸に垂直な方向の全面から、波長254nm、エネルギー密度10J/cm2 の紫外線を照射して、全体の樹脂を硬化させた。これにより、図2の(g)に示すように、周期的構造50の第2領域52が形成される。この時、第1領域51の屈折率は、第2領域の屈折率よりも大きい。また、コア21、第1領域51における完全には硬化していない樹脂は、この時に、完全に硬化される。このようにして、光を伝搬させるコア21と、コア21の周辺部に屈折率が周期的に変化する周期的構造50とから成る光学素子1が得られる。
このようにして形成された屈折率が周期的に変化する周期的構造50を軸方向に切断した面(図4)を、二光束干渉顕微鏡により撮影した。その結果を図3に示す。屈折率の異なる幅20μmの第1領域51と幅20μmが、形成されていることが理解される。また、素子1の高さ方向hに対して、屈折率分布は一様であることが理解される。
この光学素子1は、第1領域51の厚さD1と第2領域52の厚さD2とを、適正に設定することで、所定波長領域の光を透過させるバンドパスフィルタ、又は、所定波長領域の光を反射せるバンド阻止フィルタを構成することができる。また、基板10を圧電結晶で構成して、この結晶に電圧を印加して、第1領域51の厚さD1と第2領域52の厚さD2を電気的に変化させることで、フィルタの遮断波長を電気的に制御することが可能となる。同様に、基板10の面上の光硬化性樹脂液20を滴下させない領域に、圧電結晶を貼り付けて、これに電圧を印加するようにしても同様に、遮断波長を電気的に制御できる光学素子を実現することができる。また、基板の材料は任意である。基板のヤング率を用いて、外力の大きさにより、第1領域51の厚さD1と第2領域52の厚さD2が変化することを利用して、それにより変化する遮断波長を測定することで、外力センサとすることも可能である。
上記の実施例では、光硬化性樹脂液を基板10上に滴下したものを示したが、硬化光に対して透明枠体に、光硬化性樹脂液を充填させて、枠体の外側に、光ファイバ30を接続して、同様に形成しても良い。また、周期的構造50は、光学素子1の長さ方向(コア21の軸方向、x軸方向)の全体に形成されていても、その長さの一部の領域に形成されていても良い。また、上記実施例では、コアと周期的構造を、同一の光硬化性樹脂液で形成したが、コアと周期的構造とで、光硬化性樹脂液を入れ換えても良い。この場合には、コアを形成する時の光硬化性樹脂液は、波長感度特性が1種類の樹脂液としても良い。また、コア21の形成は、周期的構造50の第1領域51の形成工程に対して、前、後、同時であっても良い。第2領域52が硬化されると、コア21は自己形成できないので、コア21の形成工程は、第2領域52が液状である状態、すなわち、第2領域52を硬化させる前に実施すれば良い。
本実施例は、図5に示すように、光学素子を光の分波器、合波器としたものである。実施例1と同一の機能を有する部分には、同一の符号が付されている。コアを2本形成する。すなわち、第1コア22、第2コア23の2本を平行に形成する。そして、2本のコアを含むように、実施例1と同一構造の周期的構造50を形成する。そして、第1領域51の厚さD1と第2領域52の厚さD2を、伝搬波長に対して適正に設定することで、コア22をx軸方向に伝搬する光をコア23をx軸方向に伝搬する光に分波する順結合の分波器とすることが可能である。また、コア22をx軸方向に伝搬する光をコア23を−x軸方向に伝搬する光へ分波する逆結合の分波器とすることが可能である。また、順結合の場合に、コア22をx軸方向に伝搬する光の波長をλ1とし、コア23をx軸方向に伝搬する光の波長をλ2とすれば、コア23には、x軸方向に伝搬する波長λ1と、波長λ2の光の合波器とすることができる。また、逆結合の場合には、コア22をx軸方向に伝搬する光の波長をλ1とし、コア23を−x軸方向に伝搬する光の波長をλ2とすれば、コア23には、−x軸方向に伝搬する波長λ1と、波長λ2の光の合波器とすることができる。
本発明は、フィルタ、反射素子、合波器、分波器などの光学素子として用いることができる。
本発明の具体的な一実施例に係る光学素子の製造方法を示した工程図。 同実施例の光学素子の製造方法を示した工程図。 同実施例の光学素子の周期的構造の軸方向の縦断面における二光束干渉顕微鏡による写真。 同実施例の光学素子の斜視図。 本発明の実施例2に係る光学素子の平面図。
符号の説明
10…基板
20…光硬化性樹脂液
21…コア
22…第1コア
23…第2コア
40…フォトマスク
50…周期的構造
51…第1領域
52…第2領域

Claims (7)

  1. 樹脂製の光導波路を用いた光学素子において、
    軸状に形成されたコアと、
    前記コアの軸に対して交差し、所定厚さを有し、屈折率が相互に異なる第1領域と第2領域の繰り返しから成る周期的構造と
    を有することを特徴とする光学素子。
  2. 前記コアの屈折率と前記周期的構造における前記第1領域の屈折率とは等しく、前記第2領域の屈折率は、第1領域の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 樹脂製の光導波路を用いた光学素子の製造方法において、
    光硬化性樹脂液に光線を照射して、軸状に硬化領域が伸びるコアを自己形成し、
    前記コアの形成前、形成後、又は、形成と同時に、前記コアの軸に対して交差する方向から、光を、前記軸の方向に所定幅と所定間隔を有した複数の領域を有したパターンで、前記光硬化性樹脂液に照射して光硬化させて、第1の屈折率を有した第1領域を形成し、
    前記コアの形成の後に、隣接する前記第1領域の間に前記第1の屈折率よりも屈折率の小さな第2の屈折率を有した第2領域とを形成して、
    前記第1領域と前記第2領域とが前記軸方向に沿って交互に配列された周期的構造を形成する
    ことを特徴とする光学素子の製造方法。
  4. 前記光硬化性樹脂液は、硬化時の屈折率が、光硬化性樹脂液全体の硬化時の屈折率よりも高い第1光硬化性樹脂液と、硬化時の屈折率がこの第1光硬化性樹脂液の硬化時の屈折率よりも低い屈折率を有した第2光硬化性樹脂液とを少なくとも含む混合液であり、前記コアと前記第1領域は前記第1光硬化性樹脂液を選択的に硬化させ、前記第2領域は前記光硬化性樹脂液の全体を硬化させることを特徴とする請求項3に記載の光学素子の製造方法。
  5. 少なくとも前記周期的構造を形成する場合の前記光硬化性樹脂液は、硬化時の屈折率が、光硬化性樹脂液全体の硬化時の屈折率よりも高い第1光硬化性樹脂液と、硬化時の屈折率がこの第1光硬化性樹脂液の硬化時の屈折率よりも低い屈折率を有した第2光硬化性樹脂液とを少なくとも含む混合液であり、前記第1領域は前記第1光硬化性樹脂液を波長選択硬化させ、前記第2領域は前記光硬化性樹脂液の全体を硬化させることを特徴とする請求項3に記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記コアは、前記第1光硬化性樹脂液又はその硬化時の屈折率よりも高い硬化時の屈折率を有した光硬化性樹脂液を軸状に硬化させて形成し、
    その後、前記コアの周囲の光硬化性樹脂液を、前記光硬化性樹脂液に入れ換えた後、前記周期的構造を形成することを特徴とする請求項5に記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記周期的構造は、短冊状で周期的光を透過するマスクパターン又は干渉縞により、光を照射して光硬化により、前記第1領域を形成することを特徴とする請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載の光学素子の製造方法。
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