JP2008133893A - 止め輪付き転がり軸受 - Google Patents

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正明 本多
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Abstract

【課題】外輪の輪溝に止め輪を嵌合する止め輪付き転がり軸受において、外輪嵌合相手の内周に対する止め輪の各端部のひっかかり防止を簡単に実現する。
【解決手段】前記止め輪5を、前記輪溝4に嵌合された状態でその両端部6、7がアキシアル方向に重なる螺旋状のものとすることにより、止め輪5のスリットをなくしてエッジかかりを生じ難くし、止め輪5を輪溝4の底径に対してすきま嵌めとすることにより、両端部6、7の逃げを可能として止め輪5の加工管理を緩くできるようにした。
【選択図】図1

Description

この発明は、転がり軸受に関し、特に、アキシアル方向の位置決め用に止め輪を備え付けるものに関する。
この種の軸受においては、外輪に輪溝が形成されており、その輪溝に嵌合された止め輪とハウジング間で生じた軸方向の係合部により軸受がアキシアル方向に位置決めされる(例えば、特許文献1)。
特開2005−265057号公報(特に、段落0004、段落0007、段落0039、段落0043、図4、図9)
しかしながら、上記のような止め輪は、C形状の止め輪の両端部間にスリットが形成されるものである。止め輪の両端部は、輪溝の底径に対してしまり嵌めとされている。このため、外輪の嵌合時に、止め輪の端部切断面の外径端エッジが外輪嵌合相手の内周にひっかかり、その際の捻れにより止め輪が輪溝から外れる問題がある。
前掲の特許文献1のものは、止め輪の両端部間のスリット幅を狭めることにより、各端部の外径端エッジを係合相手の内周にひっかかり難くしているが、スリット幅を狭めるほどにスリット幅の加工管理が難しくなり、歩留まりが悪くなる問題がある。
そこで、この発明の課題は、外輪の輪溝に止め輪を嵌合する止め輪付き転がり軸受において、外輪嵌合相手の内周に対する止め輪の各端部のひっかかり防止を簡単に実現することにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、前記止め輪を、前記輪溝に嵌合された状態でその両端部がアキシアル方向に重なる螺旋状のものとし、前記止め輪の少なくとも両端部を、前記輪溝の底径に対してすきま嵌めとしたことを特徴的構成とするものである。
具体的には、止め輪を螺旋状とすることにより、その両端部をアキシアル方向に重ねられるようにした。この両端部の重なりは、前記輪溝に嵌合された状態で生じるため、外輪を相手部材へ嵌合する時、止め輪に従来例のようなスリットがなく、外輪嵌合相手の内周に対する止め輪の各端部切断面が互いの端部によりガードされるため、各端部の外径端側エッジのひっかかりが比較的に生じ難くなる。
ここで、止め輪の両端部を完全にアキシアル方向に重ねる程に、各端部の外径端側エッジのひっかかりをより確実に防止することができるが、その分、加工管理も難しくなり、歩留まりが悪くなる。一方、加工管理を緩くするほどに各端部の外径端側のエッジが螺旋形状から外側に突き出ることが起こり易くなる。
上記のことを踏まえ、前記止め輪の少なくとも両端部を前記輪溝の底径に対してすきま嵌めとした構成を採用することにより、突き出た外径端側のエッジが外輪嵌合相手の内周にひっかかろうとした際、そのエッジを含む端部付近が径方向内側に逃げることを可能とした。これにより、上記のエッジかかりが防止される。したがって、上記のエッジ逃げを見越して止め輪の加工管理を緩めることが可能であり、止め輪の各端部のひっかかり防止を簡単に実現することができる。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、外輪の輪溝に止め輪を嵌合する止め輪付き転がり軸受において、外輪嵌合相手の内周に対する止め輪の各端部のひっかかり防止を簡単に実現することができる。
以下、この発明の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
ここで、図1は、実施形態に係る止め輪付き転がり軸受1と、ハウジングとを備えた軸支持装置の要部を示しており、この際、ハウジングを構成する外輪3の嵌合相手部材2を切欠いて外輪3の外観を示し、回転時の図示を省略し、そのアキシアル方向を図中に一点鎖線axとして示したものである。
図2のaは、外輪3の輪溝4に止め輪5を嵌合した状態を輪溝4の底を通るラジアル平面の切断面で示したものであり、図2のbは、前記aの止め輪5のb−b線の断面視を示したものである。
図3は、止め輪5の全体斜視を示したものである。
図4は、止め輪5を輪溝4に装着する途中の様子を外輪3の最大外径部において示したものである。
図1に示すように、止め輪付き転がり軸受1は、外輪3の輪溝4に止め輪5を嵌合するものである。
外輪3は、ハウジングの嵌合相手部材2の内周にすきま嵌めされている。この状態で、止め輪付き転がり軸受1は、嵌合相手部材2の内周に形成された段差と、外輪3の輪溝4に嵌合された止め輪5とでアキシアル方向に位置決めされる。
図1〜図3に示すように、止め輪5は、輪溝4に嵌合された状態でその両端部6、7がアキシアル方向に重なる螺旋状のものとされている。止め輪5は、アキシアル方向から視ると円形をなしており、その内径は、全体として輪溝4の底径より大径に設けられている。このため、止め輪5が輪溝4に嵌合された状態で、止め輪5の少なくとも両端部6、7が対して確実にすきま嵌めとなる(特に、図2参照)。
したがって、止め輪5の両端部6、7の外径端側のエッジが螺旋形状から径方向外側に突き出ていた場合、そのエッジは、嵌合相手部材2の内周にひっかかろうとした際、そのエッジを含む端部6、7付近が径方向内側に変形し、エッジかかりが防止される。この変形分のエッジ逃げを見越して止め輪の加工管理を緩めることができる。すなわち、嵌合相手部材2の内周に対する止め輪5の各端部6、7のひっかかり防止を簡単に実現することができる。
なお、図4に示すように、止め輪5が全体として輪溝4の底径に対してすきま嵌めのため、止め輪5を従来のものよりも外輪3に通し易い利点もある。また、止め輪5の両端部6、7の重なりは、外輪3に通す間も保たれるようになっている。止め輪5にスリットが生じないようにして、止め輪5の捩れや外輪3へのひっかかりを防止するためである。
ここで、輪溝4の溝幅は、止め輪5の両端部6、7の重なり部分を嵌合できる厚さにする必要がある。このため、図5に示すように、単に、中間部を螺旋に平行なストレート形状にした止め輪50とした場合、輪溝4の各側面壁と止め輪50のアキシアル方向側面との間に、ラジアル平面に対して傾斜した楔状空間が螺旋角に応じて形成される。このような場合、輪溝4にすきま嵌めされた止め輪50は、楔状空間によりラジアル平面に対して傾くことが可能である。したがって、ハウジングの嵌合相手部材2にすきま嵌めされた外輪3がラジアル平面に傾こうとすると、止め輪50も追随して傾くことになり、外輪3の傾きをある程度は許すことになる。これは、外輪3がすきま嵌めされた時に特有の現象であるが、外輪3の傾きを許すと、止め輪付き転がり軸受1の正常作動を妨げる原因となる。
そこで、図1に示すように、この止め輪付き転がり軸受1は、輪溝4に嵌合された止め輪5とその輪溝4の各側面壁とが周方向の複数個所で接触し、その接触部分でその止め輪5のラジアル平面に対する傾きが規制されるようにしている。
具体的に述べると、止め輪5は、アキシアル方向に両振幅Dを有する波形状のものとされている。止め輪5がアキシアル方向に負荷を受けた状態で、その両端部6、7、これらの間に形成された山部8および谷部9は、それぞれ45°間隔で輪溝4の各側面壁と接触するように配置されている。接触部の配置を45°周期とすれば、止め輪5がラジアル平面に対していずれの向きに傾こうとしても接触部分が周方向にバランスよく得られ、止め輪5の剛性バランスも得られる。
ここで、止め輪5は、一端部6を山部8側、他端部7を谷部9側に含んで台形波状を形成するものとなっている。これは、止め輪5の両端部6、7、山部8および谷部9をラジアル方向に平行な面状とし、輪溝4の各側面壁のラジアル平面に平行な部分と大きく接触し易くするためである。このように接触範囲を大きくすれば、止め輪5の変形と傾きをより確実に防止することができる。
また、両振幅Dは、止め輪5の両端部6、7の重なり厚さに相当するように設定されている。これにより、止め輪5がラジアル平面に対して傾こうとすると、上記の接触部分が輪溝4の各側面壁と直ちに接触するため、止め輪5の傾きを殆ど生じないようにすることができる。
なお、輪溝4の各側面壁と、両端部6、7、山部8および谷部9との接触周期、接触面積、波形状、両振幅D等は、止め輪5の傾きをラジアル平面にいずれの向きに対しても所定の規制量以下に防止することができる限り、適宜に変更することができる。
上記の形状を呈する止め輪5は、両端部が重なるように螺旋巻きした矩形断面線材を波形状にプレス成形されたものが利用されている。板材を打ち抜いて螺旋状を形成することが困難なためである。
上記の構成を有する止め輪付き転がり軸受1は、ハウジングに装着された状態で、外輪3がラジアル平面に対して傾こうとしても、止め輪5の両端部6、7、山部8および谷部9のいずれか複数が輪溝4の各側面壁と接触し、それらの接触部で止め輪5が傾くことが規制される。このため、止め輪5は、外輪3の傾きに対して抵抗することができる。この抵抗により、外輪3の傾きが防止される。したがって、止め輪付き転がり軸受1は、外輪3をすきま嵌めとした場合でも外輪3の正常回転を確保することができる。
実施形態の全体構成を示す正面図 aは実施形態の外輪と止め輪の関係を示す模式図、bは前記aのb−b線の断面図 実施形態の止め輪の全体斜視図 実施形態の止め輪を外輪に装着する状態を示す組立て図 実施形態との比較例を示す正面図
符号の説明
1 止め輪付き転がり軸受
2 嵌合相手部材
3 外輪
4 輪溝
5、50 止め輪
6 一端部
7 他端部
8 山部
9 谷部

Claims (4)

  1. 外輪の輪溝に止め輪を嵌合する止め輪付き転がり軸受において、
    前記止め輪を、前記輪溝に嵌合された状態でその両端部がアキシアル方向に重なる螺旋状のものとし、
    前記止め輪の少なくとも両端部を、前記輪溝の底径に対してすきま嵌めとしたことを特徴とする止め輪付き転がり軸受。
  2. 前記輪溝に嵌合された前記止め輪とその輪溝の各側面壁とが周方向の複数個所で接触し、その接触部分でその止め輪のラジアル平面に対する傾きが規制されるようにした請求項1に記載の止め輪付き転がり軸受。
  3. 前記止め輪を、アキシアル方向に両振幅を有する波形状のものとした請求項2に記載の止め輪付き転がり軸受。
  4. 前記止め輪が台形波状に形成されたものである請求項2又は3に記載の止め輪付き転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020007394A1 (de) * 2018-07-03 2020-01-09 Schaeffler Technologies AG & Co. KG Lageranordnung sowie darin vorgesehenes halteringelement
JP2020528523A (ja) * 2017-07-19 2020-09-24 パーカー−ハネフィン コーポレーションParker−Hannifin Corporation デュアル燃料マルチポートコネクタ

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