JP2008132946A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの乗心地性能を維持しつつタイヤの騒音性能を向上できる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア2、2と、これらのビードコア2、2間にトロイダル状に架け渡されて配置されるカーカス層4と、カーカス層4のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層5とを有する。また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4がビードコア2を包み込みつつ巻き上げられている。また、カーカス層4の最大幅位置からベルト層5の端部までの領域Aにて、カーカス層4の巻き上げ部43が折り返されて折り返し部41が形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア2、2と、これらのビードコア2、2間にトロイダル状に架け渡されて配置されるカーカス層4と、カーカス層4のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層5とを有する。また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4がビードコア2を包み込みつつ巻き上げられている。また、カーカス層4の最大幅位置からベルト層5の端部までの領域Aにて、カーカス層4の巻き上げ部43が折り返されて折り返し部41が形成されている。
【選択図】 図1
Description
この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤの乗心地性能を維持しつつタイヤの騒音性能を向上できる空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤでは、中周波数帯域(250[Hz]〜400[Hz])のロードノイズを低減して、タイヤの騒音性能を向上させるべき課題がある。また、同時に、タイヤの乗心地性能も維持されることが好ましい。
タイヤの騒音性能に関する従来の空気入りタイヤには、特許文献1に記載される技術が知られている。従来の空気入りタイヤは、左右一対の環状ビード部と、両ビード部をトロイド状に延びる繊維コードプライから成るラジアルカーカスと、該カーカスのクラウン部に位置するトレッド部と、上記カーカスとトレッド間に非伸長性コードをタイヤの赤道面に対して浅い角度で傾斜配列して層の少なくとも2枚を、それらコードが互いに交差するように重ね合わせたベルト層を含み、また上記カーカスプライの両端部を各ビード部に埋没したビードリングの周りを軸方向外向きに夫々巻き上げてベルト層側部と重なる位置まで延長して、このベルト層側部とカーカスとで挟持したタイヤにおいて、上記ベルト層側部とカーカスプライ端部の間にタイヤの赤道面に対しベルト層の補強コードの傾斜角度より小さい角度で配列したゴム引きコードの少なくとも1枚のベルト補助層を介在させたことを特徴とする。
この発明は、タイヤの乗心地性能を維持しつつタイヤの騒音性能を向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、一対のビードコアと、これらのビードコア間にトロイダル状に架け渡されて配置されるカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層とを有すると共に、前記カーカス層が前記ビードコアを包み込みつつ巻き上げられている空気入りタイヤであって、前記カーカス層の最大幅位置から前記ベルト層の端部までの領域Aにて、前記カーカス層の巻き上げ部が折り返されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤでは、振動モードの腹となるバットレス部(領域A)にカーカス層が折り返し部を有することにより、この領域Aにおけるカーカス層(巻き上げ部)の剛性が増加する。これにより、領域Aにおけるタイヤの変形が抑制されるので、中周波数帯域のロードノイズが低減されてタイヤの騒音性能が向上する利点がある。また、折り返し部によりタイヤのバットレス部が補強されるので、ベルト層の端部とカーカス層との間に配置されたベルト補強層によりバットレス部が補強される構成と比較して、タイヤの乗心地性能が維持される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、前記カーカス層の折り返し部が前記カーカス層の巻き上げ部に対してカーカスコードの繊維方向を交差させて折り返される。
この空気入りタイヤでは、カーカス層の折り返し部と巻き上げ部とがカーカスコードの繊維方向を交差させることにより、カーカス層の領域Aにバイアス構造が形成される。これにより、領域Aの剛性が増加するので、領域Aにおけるタイヤの変形が抑制されて中周波数帯域のロードノイズが低減される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、前記カーカス層の折り返し部と巻き上げ部とのカーカスコードの交差角度θがθ≧30[deg]の範囲にある。
この空気入りタイヤでは、カーカスコードの交差角度θが適正化されるので、領域Aにおけるタイヤの変形が効果的に抑制されて、中周波数帯域のロードノイズが効果的に低減される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、前記カーカス層の折り返し部と巻き上げ部とのカーカスコードの交差角度θがセリアル側と反セリアル側とで相異することにより、セリアル側と反セリアル側とのタイヤの剛性差が調整される。
この空気入りタイヤでは、例えば、非対称パターンのデザインや非対称プロファイルが採用されるときに、タイヤ全体の剛性が適正化される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、前記カーカス層の折り返し部がタイヤの内側に折り返されている。
この空気入りタイヤでは、カーカス層の端部がカーカス層の本体部と巻き上げ部との間に折り込まれるので、カーカス層の端部の剥離(セパレーション)が抑制される。これにより、タイヤの耐久性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、車両装着時にて車幅方向外側に位置する前記カーカス層の折り返し部がタイヤの内側に折り返されている。
この空気入りタイヤでは、車幅方向外側にあるカーカス層の端部がカーカス層の本体部と巻き上げ部との間に折り込まれる。したがって、縁石などと接触し易い車幅方向外側のサイドウォール部におけるカーカス層の端部の剥離が抑制されるので、タイヤの耐久性能が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、前記カーカス層の折り返し部がタイヤの外側に折り返されている。
この空気入りタイヤでは、折り返し部がタイヤの内側に折り返されている構成と比較して、カーカス層の本体部と巻き上げ部との間に空気が入り難い。これにより、空気の入り込みによるタイヤの製造故障が低減されるので、タイヤの生産性が向上する利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、前記カーカス層が単一のカーカスプライから成る単層構造を有する。
この空気入りタイヤでは、カーカス層が多層構造を有する構成と比較して、タイヤが軽量化される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、前記カーカス層が積層された複数枚のカーカスプライから成る多層構造を有すると共に、少なくとも一枚の前記カーカスプライが折り返されて前記カーカス層の折り返し部が形成される。
この空気入りタイヤでは、カーカス層の二層構造によりタイヤ全体の剛性が増加するので、例えば、タイヤの荷重あるいは空気圧が高く設定されているときに、タイヤに必要な剛性が確保される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、前記カーカス層の折り返し部の折り返し幅がセリアル側と反セリアル側とで相異することにより、セリアル側と反セリアル側とのタイヤの剛性差が調整される。
この空気入りタイヤでは、例えば、非対称パターンのデザインや非対称プロファイルが採用されるときに、タイヤ全体の剛性が適正化される利点がある。
また、この発明にかかる空気入りタイヤでは、前記カーカス層の折り返し部の幅lと領域Aの幅lAとがl/lA≧0.10の関係を有する。
この空気入りタイヤでは、折り返し部の幅lと領域Aの幅lAとの比l/lAが所定の範囲に設定されることにより、折り返し部による領域Aの補強範囲が適正化される。これにより、領域Aにおけるタイヤの変形が抑制されるので、中周波数帯域のロードノイズが低減されてタイヤの騒音性能が向上する利点がある。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、振動モードの腹となるバットレス部(領域A)にカーカス層が折り返し部を有することにより、この領域Aにおけるカーカス層(巻き上げ部)の剛性が増加する。これにより、領域Aにおけるタイヤの変形が抑制されるので、中周波数帯域のロードノイズが低減されてタイヤの騒音性能が向上する利点がある。また、折り返し部によりタイヤのバットレス部が補強されるので、ベルト層の端部とカーカス層との間に配置されたベルト補強層によりバットレス部が補強される構成と比較して、タイヤの乗心地性能が維持される利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1は、この発明の実施例にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。図2および図3は、図1に記載した空気入りタイヤのカーカス層の折り返し部を示す説明図である。図4〜図7は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。図8は、この発明の実施例にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す試験結果図表である。
[空気入りタイヤ]
この空気入りタイヤ1は、ビードコア2と、ビードフィラー3と、カーカス層4と、ベルト層5と、トレッドゴム6と、サイドウォールゴム7とを含んで構成される(図1参照)。ビードコア2は、環状構造を有し、左右一対を一組として構成される。ビードフィラー3は、ビードコア2のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのビード部を補強する。カーカス層4は、左右のビードコア2、2間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。このカーカス層4は、複数のカーカスコードがカレンダー状に配列されて構成される。ベルト層5は、積層された複数のベルト材から成り、カーカス層4のタイヤ径方向外周に配置される。トレッドゴム6は、カーカス層4およびベルト層5のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。サイドウォールゴム7は、ビードフィラー3およびカーカス層4のタイヤ幅方向外側に配置されてタイヤのサイドウォール部を構成する。
この空気入りタイヤ1は、ビードコア2と、ビードフィラー3と、カーカス層4と、ベルト層5と、トレッドゴム6と、サイドウォールゴム7とを含んで構成される(図1参照)。ビードコア2は、環状構造を有し、左右一対を一組として構成される。ビードフィラー3は、ビードコア2のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのビード部を補強する。カーカス層4は、左右のビードコア2、2間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。このカーカス層4は、複数のカーカスコードがカレンダー状に配列されて構成される。ベルト層5は、積層された複数のベルト材から成り、カーカス層4のタイヤ径方向外周に配置される。トレッドゴム6は、カーカス層4およびベルト層5のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。サイドウォールゴム7は、ビードフィラー3およびカーカス層4のタイヤ幅方向外側に配置されてタイヤのサイドウォール部を構成する。
[カーカス層の折り返し部]
ここで、中周波数帯域(250[Hz]〜400[Hz])のロードノイズは、ベルト層の端部およびカーカス層の最大幅位置を節とすると共にバットレス部を腹とする振動モード(断面二次固有振動モード)により発生する。したがって、中周波数帯域のロードノイズを低減するためには、バットレス部の剛性を高めて振動の振幅を低減することが好ましい。
ここで、中周波数帯域(250[Hz]〜400[Hz])のロードノイズは、ベルト層の端部およびカーカス層の最大幅位置を節とすると共にバットレス部を腹とする振動モード(断面二次固有振動モード)により発生する。したがって、中周波数帯域のロードノイズを低減するためには、バットレス部の剛性を高めて振動の振幅を低減することが好ましい。
この点において、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4がその両縁にてビードフィラー3を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き上げられて係止されている(図1および図2参照)。また、カーカス層4の最大幅位置Pからベルト層5の端部までの領域Aにて、カーカス層4の巻き上げ部43が折り返されている(ビードコア2側に巻き戻されている)。この折り返されている部分をカーカス層4の折り返し部41と呼ぶ。また、折り返し部41の折り目となる位置をカーカス層4の折り返し位置42と呼ぶ。サイドウォールゴム7は、このカーカス層4の折り返し部41を覆って配置される。
なお、カーカス層4(カーカスプライ)は、例えば、ポリエステル、レーヨン等の有機繊維あるいはスチール繊維などから成るカーカスコードにより構成される。この実施例では、容易に折り曲げ可能な有機繊維製のカーカスコードによりカーカス層4が構成されている。
かかる構成では、振動モードの腹となるバットレス部(領域A)にカーカス層4が折り返し部41を有することにより、この領域Aにおけるカーカス層4(巻き上げ部43)の剛性が増加する。これにより、領域Aにおけるタイヤの変形が抑制されるので、中周波数帯域のロードノイズが低減されてタイヤの騒音性能が向上する利点がある。また、折り返し部41によりタイヤのバットレス部が補強されるので、ベルト層の端部とカーカス層との間に配置されたベルト補強層によりバットレス部が補強される構成(図示省略)と比較して、タイヤの乗心地性能が維持される利点がある。例えば、カーカス層4の折り返し位置42がカーカス層4の最大幅位置Pよりもビード部側にある構成では、タイヤのバットレス部が補強されないためロードノイズが低減され難い。また、カーカス層4の折り返し位置42がベルト層5の端部よりもタイヤ幅方向内側にある構成では、ベルト層の剛性が過度に増加するため、タイヤの乗心地性能が悪化する。
[付加的事項1]
なお、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4の折り返し部41がカーカス層4の巻き上げ部43に対してカーカスコードの繊維方向を交差させて折り返されることが好ましい(図3参照)。すなわち、カーカス層4の折り返し部41と巻き上げ部43とがカーカスコードの繊維方向を交差させることにより、カーカス層4の領域Aにバイアス構造が形成される。これにより、領域Aの剛性が増加するので、領域Aにおけるタイヤの変形が抑制されて中周波数帯域のロードノイズが低減される利点がある。
なお、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4の折り返し部41がカーカス層4の巻き上げ部43に対してカーカスコードの繊維方向を交差させて折り返されることが好ましい(図3参照)。すなわち、カーカス層4の折り返し部41と巻き上げ部43とがカーカスコードの繊維方向を交差させることにより、カーカス層4の領域Aにバイアス構造が形成される。これにより、領域Aの剛性が増加するので、領域Aにおけるタイヤの変形が抑制されて中周波数帯域のロードノイズが低減される利点がある。
また、上記の構成では、カーカス層4の折り返し部41と巻き上げ部43とのカーカスコードの交差角度θがθ≧30[deg]の範囲にあることが好ましい(図2参照)。かかる構成では、カーカスコードの交差角度θが適正化されるので、領域Aにおけるタイヤの変形が効果的に抑制されて、中周波数帯域のロードノイズが効果的に低減される利点がある。例えば、θ<30[deg]では、カーカスコードの交差によるバイアス効果が十分に得られない。なお、交差角度θの上限は、θ≦90[deg]である。
また、上記の構成では、カーカス層4の折り返し部41と巻き上げ部43とのカーカスコードの交差角度θがセリアル側と反セリアル側とで相異することにより、セリアル側と反セリアル側とのタイヤの剛性差が調整されることが好ましい(図示省略)。これにより、例えば、非対称パターンのデザインや非対称プロファイルが採用されるときに、タイヤ全体の剛性が適正化される利点がある。
[付加的事項2]
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4の折り返し部41がタイヤの内側に折り返されていることが好ましい(図2参照)。すなわち、カーカス層4の折り返し部41がカーカス層4の本体部と巻き上げ部43との間に挟み込まれるように折り返される。かかる構成では、カーカス層4の端部がカーカス層4の本体部と巻き上げ部43との間に折り込まれるので、カーカス層4の端部の剥離(セパレーション)が抑制される。これにより、タイヤの耐久性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4の折り返し部41がタイヤの内側に折り返されていることが好ましい(図2参照)。すなわち、カーカス層4の折り返し部41がカーカス層4の本体部と巻き上げ部43との間に挟み込まれるように折り返される。かかる構成では、カーカス層4の端部がカーカス層4の本体部と巻き上げ部43との間に折り込まれるので、カーカス層4の端部の剥離(セパレーション)が抑制される。これにより、タイヤの耐久性能が向上する利点がある。
また、上記の構成では、車両装着時にて車幅方向外側に位置するカーカス層4の折り返し部41がタイヤの内側に折り返されていることが好ましい。すなわち、車幅方向外側にあるカーカス層4の端部がカーカス層4の本体部と巻き上げ部43との間に折り込まれる。したがって、縁石などと接触し易い車幅方向外側のサイドウォール部におけるカーカス層4の端部の剥離が抑制されるので、タイヤの耐久性能が向上する利点がある。
また、上記に限らず、カーカス層4の折り返し部41がタイヤの外側に折り返されていても良い(図4参照)。すなわち、カーカス層4の折り返し部41が巻き上げ部43に対してタイヤの外側に位置するように折り返される。かかる構成では、折り返し部41がタイヤの内側に折り返されている構成と比較して、カーカス層4の本体部と巻き上げ部41との間に空気が入り難い。これにより、空気の入り込みによるタイヤの製造故障が低減されるので、タイヤの生産性が向上する利点がある。
[付加的事項3]
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4が単一のカーカスプライから成る単層構造を有することが好ましい(図2参照)。すなわち、単一のカーカスプライ(カーカス層4)が折り返されて折り返し部41が形成される。かかる構成では、カーカス層4が多層構造を有する構成と比較して、タイヤが軽量化される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4が単一のカーカスプライから成る単層構造を有することが好ましい(図2参照)。すなわち、単一のカーカスプライ(カーカス層4)が折り返されて折り返し部41が形成される。かかる構成では、カーカス層4が多層構造を有する構成と比較して、タイヤが軽量化される利点がある。
また、上記に限らず、カーカス層4が積層された複数枚のカーカスプライから成る多層構造を有すると共に、少なくとも一枚のカーカスプライが折り返されてカーカス層4の折り返し部41が形成されることが好ましい(図5参照)。かかる構成では、カーカス層4の二層構造によりタイヤ全体の剛性が増加するので、例えば、タイヤの荷重あるいは空気圧が高く設定されているときに、タイヤに必要な剛性が確保される利点がある。
例えば、この実施例では、二枚のカーカスプライ4A、4Bが積層されてカーカス層4が構成され、その一方のカーカスプライ4Aの巻き上げ部43が折り返されて折り返し部41が形成されている(図5参照)。また、他方のカーカスプライ4Bは、その巻き上げ部が折り返されておらず、また、その巻き上げ部の端部をビードフィラー3の中腹付近(ビードコア2から0[mm]〜20[mm]程度の位置)に位置させている。
[付加的事項4]
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ左右にてカーカス層4が折り返されるときに、その折り返し部41の折り返し方向(タイヤの内側方向あるいは外側方向)がセリアル側と反セリアル側とで相異しても良い(図6参照)。例えば、この実施例では、カーカス層4の折り返し部41がセリアル側にてタイヤの内側に折り返され、また、反セリアル側にてタイヤの外側に折り返されている(図6参照)。かかる構成では、カーカス層4がセリアル側の折り返し部41にてタイヤの内側に折り返されているので、セリアル側におけるカーカス層4の端部の剥離(セパレーション)が効果的に抑制される。これにより、タイヤの耐久性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ左右にてカーカス層4が折り返されるときに、その折り返し部41の折り返し方向(タイヤの内側方向あるいは外側方向)がセリアル側と反セリアル側とで相異しても良い(図6参照)。例えば、この実施例では、カーカス層4の折り返し部41がセリアル側にてタイヤの内側に折り返され、また、反セリアル側にてタイヤの外側に折り返されている(図6参照)。かかる構成では、カーカス層4がセリアル側の折り返し部41にてタイヤの内側に折り返されているので、セリアル側におけるカーカス層4の端部の剥離(セパレーション)が効果的に抑制される。これにより、タイヤの耐久性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4の折り返し部41の折り返し幅がセリアル側と反セリアル側とで相異することにより、セリアル側と反セリアル側とのタイヤの剛性差が調整されることが好ましい(図7参照)。これにより、例えば、非対称パターンのデザインや非対称プロファイルが採用されるときに、タイヤ全体の剛性が適正化される利点がある。
一般に、非対称パターンのデザインや非対称プロファイルが採用される構成では、トレッド部の構造によりセリアル側(あるいは反セリアル側)の剛性が高く設定される場合がある。そこで、このような場合に、セリアル側と反セリアル側とでカーカス層4の折り返し部41、41の折り返し幅が調整されて、タイヤ全体の剛性を均一化される。例えば、この実施例では、セリアル側における折り返し部41の折り返し幅が反セリアル側における折り返し部41の折り返し幅よりも小さく設定されている(図7参照)。かかる構成では、セリアル側(折り返し部41の折り返し幅が大きい側)の方が反セリアル側(折り返し部41の折り返し幅が小さい側)よりもバットレス部の剛性が低くなる。そして、かかる構成により、セリアル側と反セリアル側とのタイヤの剛性が均一化されている。
[付加的事項5]
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4の折り返し部41の幅lと領域Aの幅lAとがl/lA≧0.10の関係を有することが好ましい(図1参照)。かかる構成では、折り返し部41の幅lと領域Aの幅lAとの比l/lAが所定の範囲に設定されることにより、折り返し部41による領域Aの補強範囲が適正化される。これにより、領域Aにおけるタイヤの変形が抑制されるので、中周波数帯域のロードノイズが低減されてタイヤの騒音性能が向上する利点がある。また、タイヤ生産時にて、安定したタイヤ形状が得られる利点がある。なお、折り返し部41の幅lおよび領域Aの幅lAは、タイヤ子午線方向の断面視におけるこれらの弧長により定義される。
また、この空気入りタイヤ1では、カーカス層4の折り返し部41の幅lと領域Aの幅lAとがl/lA≧0.10の関係を有することが好ましい(図1参照)。かかる構成では、折り返し部41の幅lと領域Aの幅lAとの比l/lAが所定の範囲に設定されることにより、折り返し部41による領域Aの補強範囲が適正化される。これにより、領域Aにおけるタイヤの変形が抑制されるので、中周波数帯域のロードノイズが低減されてタイヤの騒音性能が向上する利点がある。また、タイヤ生産時にて、安定したタイヤ形状が得られる利点がある。なお、折り返し部41の幅lおよび領域Aの幅lAは、タイヤ子午線方向の断面視におけるこれらの弧長により定義される。
[性能試験]
この実施例では、条件が異なる複数の空気入りタイヤについて、(1)騒音性能および(2)乗心地性能に関する性能試験が行われた(図8参照)。この性能試験では、タイヤサイズ215/60R16の空気入りタイヤがリムサイズ16×7JJのリムに装着される。また、排気量2500[cc]の2WD車である試験車両に空気入りタイヤが装着され、その前輪および後輪に230[kPa]の空気圧が負荷される。
この実施例では、条件が異なる複数の空気入りタイヤについて、(1)騒音性能および(2)乗心地性能に関する性能試験が行われた(図8参照)。この性能試験では、タイヤサイズ215/60R16の空気入りタイヤがリムサイズ16×7JJのリムに装着される。また、排気量2500[cc]の2WD車である試験車両に空気入りタイヤが装着され、その前輪および後輪に230[kPa]の空気圧が負荷される。
(1)騒音性能に関する性能試験では、試験車両が一般舗装路を100[km/h]で走行し、運転席の窓側位置に取り付けられたマイクロフォンにより中周波数帯域(250[Hz]〜400[Hz])の音圧レベルが測定される。
(2)乗心地性能に関する性能試験では、試験車両が一般舗装路を走行して、テストドライバーが官能評価を行う。評価は、従来例を基準(3)とした五段階評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
従来例の空気入りタイヤでは、カーカス層の巻き上げ部が折り返されていない。一方、発明例1〜3の空気入りタイヤ1では、カーカス層4の最大幅位置Pからベルト層5の端部までの領域Aにて、カーカス層4の巻き上げ部が折り返されている。また、従来例および発明例1〜3の空気入りタイヤでは、カーカス層が単一のカーカスプライから成る。また、このカーカスプライがエンド数49[本/50mm]にてカレンダー状に配列された複数のカーカスコードから成る。また、このカーカスコードが二本撚りされた1670[dtex]のポリエステル繊維から成る。
試験結果に示すように、発明例1〜3の空気入りタイヤ1では、タイヤの乗心地性能が維持されつつタイヤの騒音性能が向上していることが分かる。また、発明例1と比較例1、2とを比較すると、カーカス層4の折り返し部41の位置(存在範囲)が適正化されることにより、タイヤの乗心地性能が向上することが分かる。また、発明例1と発明例2とを比較すると、カーカス層4の折り返し部41の幅lと領域Aの幅lAとの比A/lAが適正化されることにより、タイヤの騒音性能が向上することが分かる。また、発明例1と発明例3とを比較すると、カーカス層4の折り返し部41と巻き上げ部43とのカーカスコードの交差角度θが適正化されることにより、タイヤの騒音性能が向上することが分かる。
以上のように、本発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤの乗心地性能を維持しつつタイヤの騒音性能を向上できる点で有用である。
1 空気入りタイヤ
2 ビードコア
3 ビードフィラー
4 カーカス層
4A、4B カーカスプライ
5 ベルト層
6 トレッドゴム
7 サイドウォールゴム
41 折り返し部
42 折り返し位置
43 巻き上げ部
2 ビードコア
3 ビードフィラー
4 カーカス層
4A、4B カーカスプライ
5 ベルト層
6 トレッドゴム
7 サイドウォールゴム
41 折り返し部
42 折り返し位置
43 巻き上げ部
Claims (11)
- 一対のビードコアと、これらのビードコア間にトロイダル状に架け渡されて配置されるカーカス層と、前記カーカス層のタイヤ径方向外側に配置されるベルト層とを有すると共に、前記カーカス層が前記ビードコアを包み込みつつ巻き上げられている空気入りタイヤであって、
前記カーカス層の最大幅位置から前記ベルト層の端部までの領域Aにて、前記カーカス層の巻き上げ部が折り返されていることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記カーカス層の折り返し部が前記カーカス層の巻き上げ部に対してカーカスコードの繊維方向を交差させて折り返される請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス層の折り返し部と巻き上げ部とのカーカスコードの交差角度θがθ≧30[deg]の範囲にある請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス層の折り返し部と巻き上げ部とのカーカスコードの交差角度θがセリアル側と反セリアル側とで相異することにより、セリアル側と反セリアル側とのタイヤの剛性差が調整される請求項2または3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス層の折り返し部がタイヤの内側に折り返されている請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 車両装着時にて車幅方向外側に位置する前記カーカス層の折り返し部がタイヤの内側に折り返されている請求項5に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス層の折り返し部がタイヤの外側に折り返されている請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス層が単一のカーカスプライから成る単層構造を有する請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス層が積層された複数枚のカーカスプライから成る多層構造を有すると共に、少なくとも一枚の前記カーカスプライが折り返されて前記カーカス層の折り返し部が形成される請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス層の折り返し部の折り返し幅がセリアル側と反セリアル側とで相異することにより、セリアル側と反セリアル側とのタイヤの剛性差が調整される請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカス層の折り返し部の幅lと領域Aの幅lAとがl/lA≧0.10の関係を有する請求項1〜10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006322281A JP2008132946A (ja) | 2006-11-29 | 2006-11-29 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2006322281A JP2008132946A (ja) | 2006-11-29 | 2006-11-29 | 空気入りタイヤ |
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-
2006
- 2006-11-29 JP JP2006322281A patent/JP2008132946A/ja active Pending
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