〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態であるOFDM(直交周波数分割多重方式)復調装置について図1から図12に基づいて説明すると以下の通りである。
本実施の形態に係るOFDM復調装置は、有効シンボルと、該有効シンボルの一部分と同一の内容が複写されてなるガードインターバルとを含む伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重変調信号をサンプリングした受信サンプル系列信号をFFT窓期間で処理するFFT(高速フーリエ変換)処理と、前記受信サンプル系列信号を構成する素波における時間的に最も遅延して受信される素波の前記ガードインターバルの先頭位置と、前記受信サンプル系列信号を構成する素波における時間的に最も先行して受信される素波の有効シンボル先頭位置との間に、前記FFT窓期間の開始位置を設定するFFT窓位置補正処理と、前記FFT処理によって復調したFFT復調信号に対して補間することによりキャリア復調を行う波形等化処理とを行うOFDM復調装置であって、前記時間的に最も先行して受信される素波及び前記時間的に最も遅延して受信される素波が、前記波形等化処理で補間可能な帯域内に含まれるように、前記FFT復調信号の位相を補正するための位相補正量を算出する位相補正量算出処理と、前記位相補正量を、前記FFT復調信号に乗算することによりFFT復調信号の位相を補正する位相補正量乗算処理とをさらに行うことを特徴としている。
ここで、素波とは、受信した同一チャンネルの全てのOFDM波を指す。例えば、同じチャンネルで遅延時間の異なるOFDM波がx本到来した場合には、素波はx本存在することとなり、また、上記「時間的に最も先行して受信される素波」は、そのx本の素波の中で最も先行して到来する素波となる。
図1は、本実施の形態におけるOFDM復調装置100の要部の構成を示す図であり、図2は、本実施の形態におけるOFDM復調装置100の全体の構成を示す図である。
図2に示すように、OFDM復調装置100は、OFDM復調LSI(大規模集積回路)101と、アンテナ102と、チューナ103とを備える構成である。
アンテナ102は、放送局から放送されたデジタル放送の放送波を受信し、RF信号(高周波信号)としてチューナ103にそれぞれ出力する。
チューナ103は、前記RF信号を、IF信号(中間周波数信号)に周波数変換し、信号増幅を行い、ベースバンド信号処理部104に出力する。
OFDM復調LSI101は、アンテナ102を介して受信され、チューナ103で周波数変換された受信サンプル系列信号を復調する。そのため、OFDM復調LSI101は、内部にベースバンド信号処理部104と、誤り訂正処理部114とを備える。
ベースバンド信号処理部104は、前記周波数変換された信号を復調し、誤り訂正処理部114に出力する。
誤り訂正処理部114は、波形等化回路113(図1)により波形等化されたOFDM信号の誤りを訂正する。
以下、ベースバンド信号処理部104及び誤り訂正処理部114の内部構成と、各内部構成の動作処理について具体的に説明する。
ベースバンド信号処理部104は、アナログデジタル変換器(ADC)105と、直交復調回路106と、狭帯域キャリア周波数誤差補正回路107と、シンボル同期回路108と、AGC(自動利得制御)回路109と、FFT(高速フーリエ変換)演算回路110(FFT処理手段)と、TMCC復号回路111と、広帯域キャリア周波数誤差補正回路112と、波形等化回路113(波形等化手段)と、位相補正量算出回路300と、FFT窓位置補正回路302(FFT窓位置補正手段)と、位相補正量乗算回路304(位相補正量乗算手段)とを備える。
チューナ103から出力された信号は、まず、ADC105に入力される。
ADC105は、チューナ103から出力された前記IF信号をデジタル化し、直交復調回路106に出力する。
直交復調回路106は、所定の周波数(キャリア周波数)のキャリア信号を用いて、前記デジタル化されたIF信号を直交復調し、実軸成分(Iチャネル信号)と虚軸成分(Qチャネル信号)で構成される複素信号である、ベースバンドのOFDM信号Z1(n,m)(以下、OFDM信号という)を狭帯域キャリア周波数誤差補正回路107に出力する。
狭帯域キャリア周波数誤差補正回路107は、前記OFDM信号の狭帯域キャリア周波数誤差を補正して、シンボル同期回路108、AGC回路109、FFT演算回路110、及び位相補正量算出回路300に出力する。
シンボル同期回路108は、前記入力されたOFDM信号から伝送モード及びGI比等の伝送パラメータを抽出し、有効シンボルの先頭タイミングを抽出するシンボル同期処理を実行する。シンボル同期回路108は、前記抽出した有効シンボルの先頭タイミングでシンボル同期パルスを発生し、FFT演算回路110に出力する。
AGC回路109は、増幅率を自動的に制御するものであり、チューナ103の増幅を制御する。
FFT窓位置補正回路302は、FFT窓開始位置TFFTを、シンボル間干渉が起きない位置に補正する。すなわち、FFT窓位置補正回路302は、受信サンプル系列信号から決定した、時間的に最も先行して受信される素波の有効シンボル先頭位置に、前記FFT窓期間の開始位置を設定する回路であり、FFT窓位置補正後のFFT窓開始位置TFFTをFFT演算回路110に出力する。
FFT演算回路110は、前記FFT窓位置補正回路302から出力されたFFT窓開始位置TFFTにFFT窓位置を合わせ、シンボル同期回路108から出力されるシンボル同期パルスをもとに、前記OFDM信号をFFT処理する。すなわち、FFT演算回路110は、有効シンボルと、該有効シンボルの一部分と同一の内容が複写されてなるGIとを含む伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重変調信号をサンプリングした受信サンプル系列信号をFFT窓期間でFFT(高速フーリエ変換)処理する回路である。そして、FFT演算回路110は、FFT処理後のFFT復調信号XFFT(n,k)(以下、単にFFT復調信号という)を位相補正量乗算回路304に出力する。
位相補正量算出回路300は、図1に示すように、複素相関演算回路305と、遅延プロファイル検出回路301(遅延プロファイル検出手段)と、位相補正量計算回路303(位相補正量演算手段)とを備えている。これらの構成によって、位相補正量算出回路300は、前記FFT復調信号XFFT(n,k)の位相の補正量を算出し、算出した補正量をその補正量に相当する位相回転量にして、位相補正量乗算回路304に出力する。
位相補正量計算回路303は、内部に最大遅延時間量算出回路320と最大位相回転量算出回路321とを備える。この構成により、位相補正量計算回路303は、前記受信サンプル系列信号から決定した、時間的に最も先行して受信される素波及び時間的に最も遅延して受信される素波が、前記波形等化回路113の補間可能な帯域内に含まれるように、前記FFT復調信号の位相補正量を算出する回路である。
ここで、位相補正量とは、FFT復調信号の時間方向における位相の補正量をいう。
位相補正量計算回路303は、実質的には、まずFFT復調信号の位相補正量を算出し、算出した位相補正量を、その位相補正量に相当する位相回転量にして、位相補正量乗算回路304に出力している。
位相補正量乗算回路304は、前記FFT復調信号に、位相補正量計算回路303で算出された位相補正量を乗算することにより、FFT復調信号の位相を補正する回路である。
具体的には、位相補正量乗算回路304は、位相補正量計算回路303で算出された位相補正量に相当する位相回転量を乗算することにより、時間方向の位相を位相補正量だけシフトしたFFT復調信号X′FFT(n,k)(以下、単に位相補正後FFT復調信号という)を生成する。
そして、位相補正量乗算回路304は、位相補正後FFT復調信号をTMCC復号回路111と、広帯域キャリア周波数誤差補正回路112と、波形等化回路113とに出力する。
TMCC復号回路111は、OFDM伝送フレームにおける所定の位置に変調されている、TMCCなどの伝送制御情報を復号する。ここで、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号とは、フレーム同期信号や伝送パラメータを伝送するための信号である。
広帯域キャリア周波数誤差補正回路112は、位相補正量乗算回路304から入力された位相補正後FFT復調信号の広帯域キャリア周波数誤差を補正して、FFT演算回路110に出力する。
波形等化回路113は、位相補正量乗算回路304から入力された前記位相補正後FFT復調信号を補間することによりキャリア復調を行う。ISDB−T規格(日本において採用されている地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式)のOFDM信号を復調する場合であれば、波形等化回路113は、たとえば、DQPSKの差動復調、または、QPSK、16QAM、及び64QAMなどの同期復調を行う。
図7は、波形等化回路113の構成を説明するためのブロック図である。波形等化回路113は、データ抽出回路120と、SP抽出回路121と、第1の複素除算回路122と、SP発生回路123と、SP補間LPF124と、第2の複素除算回路127とを備えている。また、SP補間LPF124は、シンボル方向にフィルタリングを行うシンボルフィルタ125と、キャリア方向にフィルタリングを行うキャリアフィルタ126とを備えている。
ここで、SP(Scattered Pilot)信号とは、周期的に挿入される、基準となる既知のパイロット信号であり、たとえば、キャリア方向において、12キャリアに1回、シンボル方向において、4シンボルに1回、挿入される。
また、伝送シンボルについて図12を用いて説明する。図12のtsは、有効シンボル期間長を示す。FFTは、FFTの処理窓の期間を、前記有効シンボル期間に一致させて行う。有効シンボル期間を基本単位としてデジタル変調された全キャリアを加え合わせたものを、OFDM伝送シンボルという。
実際の伝送シンボルは、通常、図12に示すように、有効シンボル期間長tsに、GI202aの期間長tgを付加することにより構成されている。また、GI202aの期間長tgの波形は、有効シンボル期間tsにおける横縞で示されている部分202bの信号波形を繰り返したものになっている。よって、伝送シンボルのシンボル期間203とは、有効シンボル期間長tsとGI期間長tgとの和となる。
SP抽出回路121は、図7に示すように、前記位相補正後FFT復調信号X′FFT(n、k)から、SPキャリアX′FFT(nSP、kSP)を抽出して第1の複素除算回路122に出力する。
複素除算回路122は、SP発生回路123で発生した基準SPキャリアXARIB(nSP、kSP)で、SPキャリアX′FFT(nSP、kSP)を除算したSPキャリア伝達関数H′(nSP、kSP)をSP補間LPF124のシンボルフィルタ125に出力する。
SP補間LPF124のシンボルフィルタ125は、SPキャリア伝達関数H′(nSP、kSP)に基づいて、シンボル方向補間伝達関数H′(n、kSP)を推定してキャリアフィルタ126に出力する。
キャリアフィルタ126は、シンボルフィルタ125から入力されたシンボル方向補間伝達関数H′(n、kSP)に基づいてデータキャリア伝達関数H′(n、k)を生成し、生成した前記伝達関数H′(n、k)を第2の複素除算回路127に供給する。
波形等化回路113のデータ抽出回路120は、位相補正量乗算回路304から入力された信号X′FFT(n、k)より、データキャリアを抽出して、第2の複素除算回路127に供給する。複素除算回路127は、データ抽出回路120によって抽出されたデータキャリアを前記データキャリア伝達関数H′(n、k)によって複素除算して波形等化データキャリアX′EQ(n、k)を生成する。
誤り訂正処理部114は、図示していないが、内部に周波数デインタリーブ回路と、時間デインタリーブ回路と、デマッピング回路と、ビットデインタリーブ回路と、デパンクチャ回路と、ビタビ回路と、バイトデインタリーブ回路と、拡散信号除去回路とを含んでいる。これらの構成により、誤り訂正処理部114は、周波数方向のデインタリーブ処理、時間方向のデインタリーブ処理を行い、その後にデータの再割付処理(デマッピング処理)を行うことにより、伝送データ系列を復元する。そして、誤り訂正処理部114は、復元された伝送データ系列に対して、多値シンボルの誤り分散のためのビットインタリーブに対応したデインタリーブ処理、伝送ビットの削減のためのパンクチャリング処理に対応したデパンクチャリング処理、畳み込み符号化されたビット列の復号のためのビタビ復号処理、バイト単位でのデインタリーブ処理、及びエネルギー拡散処理に対応したエネルギ逆拡散処理をそれぞれ行い、RS復号回路(図示せず)を介して、外部へ出力する。
次に、前記FFT復調信号の位相の補正に関する一連の動作を行う位相補正量算出回路300と、FFT窓位置補正回路302と、FFT演算回路110と、位相補正量乗算回路304とについて、図1〜図8を用いて、より詳細に説明する。
図3は、遅延プロファイル検出回路301の内部の構成を詳細に示した図である。
図4は、遅延プロファイル検出回路301の処理動作を説明するための図である。ここで、図4(a)のGI元(m)とは、m番目のシンボルの有効シンボルデータの一部で、m番目のシンボルのGIのコピー元となるデータを指す。また、mは任意の数である。
本実施の形態では、図4(a)、及び図5〜8に示すように、時間的に最も先行して受信される素波を素波1とし、遅延時間量τAだけ素波1に対して遅延して受信される素波を素波2とする。さらには、図4〜図6に示すように、2つの素波が受信される場合には、素波2を時間的に最も遅延して受信される素波とする。
また、本実施の形態における素波1に対する素波2の遅延時間量τAは、GI期間長以下である。
まず、位相補正量算出回路300の内部の構成について説明する。
位相補正量算出回路300は、上述したように、複素相関演算回路305と、遅延プロファイル検出回路301と、位相補正量計算回路303とを備える。
複素相関演算回路305は、狭帯域キャリア周波数誤差補正回路107から入力された前記ベースバンドのOFDM信号に対して有効シンボル期間だけ遅延させた信号を生成し、前記ベースバンドのOFDM信号と、前記生成したOFDM信号とを複素乗算し、複素相関値を算出する。そして、複素相関演算回路305は、前記算出した複素相関値を遅延プロファイル検出回路301に出力する。
遅延プロファイル検出回路301は、図3に示すように、シンボル方向LPF310(第1フィルタ手段)と、複素相関強度算出回路311(複素相関強度算出手段)と、サンプリング方向LPF312(第2フィルタ手段)と、微分回路313(微分手段)と、遅延検出回路314(遅延検出手段)とを内部に備える。
上記構成により、遅延プロファイル検出回路301は、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと最も遅延して受信される素波2の有効シンボルの先頭位置TDELとを含む遅延プロファイルを検出するようになっている。すなわち、遅延プロファイル検出回路301は、受信サンプル系列信号と、この受信サンプル系列信号を有効シンボル期間遅延した遅延信号とのサンプル毎の複素相関値に基づいて、前記時間的に最も先行して受信される素波の有効シンボル先頭位置と、前記最も遅延して受信される素波の有効シンボル先頭位置とを検出する。
複素相関演算回路305で算出された複素相関値は、まず、シンボル方向LPF310に入力される。
シンボル方向LPF310は、前記入力された複素相関値をシンボル長方向にフィルタリング、すなわち雑音除去をする第1のフィルタである。
基本的には、毎シンボル、同じ位置(同じタイミング)において同じ程度の複素相関値が出力されなければならないが、OFDM波では、OFDM波の性質や外部雑音の影響から複素相関値は一定とならず、複素相関強度は図4(b)に示すように振幅の揺らぎが大きくなる。
そこで、シンボル方向LPF310は、同じタイミングでシンボル毎にフィルタリングをすることにより、雑音を除去する。具体的には、同じサンプルNoのデータを平均化する等のフィルタリングを行うことにより、同じ位置ではほぼ一定した複素相関値をシンボル毎に検出するようになる。すなわち、シンボル長方向にフィルタリングをすることにより、図4(c)に示すように、複素相関強度の振幅の揺らぎは軽減される。
シンボル方向LPF310は、シンボル方向にフィルタリングした複素相関値(複素相関演算値系列信号)を複素相関強度算出回路311に出力する。
複素相関強度算出回路311は、前記複素相関演算値系列信号から、前記OFDM信号と前記生成したOFDM信号との複素相関強度を算出する。すなわち、複素相関強度算出回路311は、前記第1フィルタであるシンボル方向LPF310に出力された前記複素相関演算値系列信号から複素相関強度を算出し、算出した複素相関強度をサンプリング方向LPF312に出力する。ここで、複素相関強度には振幅(数式1)や電力I2+Q2等がある。
サンプリング方向LPF312は、複素相関強度算出回路311から取得した前記複素相関強度をサンプリング方向にフィルタリングし、そのフィルタリングした複素相関強度演算値を微分回路313に出力する第2のフィルタである。
具体的には、サンプリング方向LPF312は、毎シンボル入力される図4(c)に示すような波形を順次サンプリングし、フィルタリングすることにより、図4(d)のようなほとんど振幅の揺らぎがない複素相関強度の波形を出力するようになっている。ここにおいて、サンプリング方向とは時間方向である。
微分回路313は、サンプリング方向にフィルタリングされた前記複素相関強度を微分することにより算出した微分値を、遅延検出回路314に出力する。微分された前記複素相関強度の結果を図4(e)に示す。ここで、微分とは、1サンプリングデータ前の信号との差分のことをいう。
遅延検出回路314は、図4(e)に示すような前記微分値から、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと、時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELとを検出し、前記検出した時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVをFFT窓位置補正回路302と最大遅延時間量算出回路320とに出力すると共に、時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELを最大遅延時間量算出回路320に出力する。
時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADV及び時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELの具体的な検出方法について説明する。
時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVは、図4(e)に示すように、微分回路313で出力された微分値からサンプリング方向、すなわち横軸正方向に見ていく場合に最初に検出される正のピーク値をPADVとすると、以下の式で検出される。
TADV=PADV+2GI期間長
一方、時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELは、出力された微分値をサンプリング方向の逆方向、すなわち、横軸負の方向に見ていく場合に最初に検出される負のピーク値をPDELとすると、以下の式で検出される。
TDEL=PDEL+GI期間長
ただし、サンプリング方向LPF312の時定数τslpfを考慮すると、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADV及び時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELは、それぞれ以下の式を用いて検出される。
TADV=PADV+2GI期間長−τslpf
TDEL=PDEL+GI期間長−τslpf
これにより、微分出力のピークとピーク位置のばらつきを最小限に抑制することができるため、精度よく遅延プロファイルを検出することが可能となる。
位相補正量計算回路303は、上述したように、内部に最大遅延時間量算出回路320と最大位相回転量算出回路321とを備え、FFT処理後の素波1及び素波2がSP補間可能帯域内に含まれるように、FFT復調信号の位相を補正するための位相補正量を算出する。
最大遅延時間量算出回路320は、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVに対する、時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELの遅延時間量、すなわち最大遅延時間量δτを算出する。そして、最大遅延時間量算出回路320は、算出した最大遅延時間量δτを最大位相回転量算出回路321に出力する。
ここで、図4〜図6に示すように、2つの素波が受信される場合、時間的に最も遅延して受信される素波の有効シンボル先頭位置TDELは、素波2の有効シンボル先頭位置であるから、最大遅延時間量δτは、素波1に対する素波2の遅延時間量τAに等しい。
最大位相回転量算出回路321は、時間的に最も先行して受信される素波1及び時間的に最も遅延して受信される素波2が前記波形等化回路113の補間可能な帯域内に含まれるように、前記FFT復調信号の位相を補正するための補正量を、前記最大遅延時間量δτから算出する。そして、最大位相回転量算出回路321は、算出した位相補正量をそれに相当する位相回転量として位相補正量乗算回路304に出力する。
FFT窓位置補正回路302は、遅延プロファイル検出回路301における遅延検出回路314から入力される時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVを用いて、FFT窓位置の補正値を算出し、FFT窓位置を補正する。本実施の形態におけるFFT窓位置補正回路302は、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと一致するように、FFT窓開始位置TFFTを補正し、補正後のFFT窓開始位置TFFTをFFT演算回路110に出力する。
以下、FFT窓位置補正回路302のFFT窓開始位置TFFTの補正について、図5を用いて具体的に説明する。
図5(a)は、上記素波1及び素波2の有効シンボルの先頭位置と、FFT窓開始位置との関係を示す図である。この場合の遅延プロファイルを図5(c)に示す。
FFT窓位置補正回路302が、例えば、TFFTを、時間的に最も遅延して受信される素波2のm番目である有効シンボルの先頭位置TDELに一致させるとすると、素波1のm+1番目のシンボルデータがFFT窓内に混入してしまうため、FFT処理の際にシンボルmとシンボルm+1の間でシンボル間干渉が生じるおそれがある。
そこで、本実施の形態におけるFFT窓位置補正回路302は、図5(a)に示すように、FFT窓開始位置TFFTが時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVに一致するように、FFT窓開始位置TFFTを補正する。これにより、FFT処理の際にm番目のシンボルとm+1番目のシンボルの間で生じるシンボル間干渉を防ぐことができる。
次に、遅延プロファイル検出回路301から時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADV及び時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELが入力される位相補正量計算回路303について図5及び図6を用いて説明する。
図5は、2つの素波が受信される場合の素波の位相関係を示す図であり、図中のt=0は、TFFTの位置を示している。
図6は、位相補正量算出回路300で算出された位相補正量を乗算後の素波1及び素波2を示す図である。
波形等化回路113は、図5(d)に示すように、SP補間LPF124のSP補間LPF特性が平坦である帯域、すなわち、|LPFbw|以下の帯域内に含まれる素波に対しては、正確にSP補間を行うことができる。その結果、波形等化回路113は、前記帯域内に含まれる素波に対して正しく波形等化処理を行うことができる。以下、このSP補間LPF特性が平坦な帯域である、|LPFbw|以下の帯域をSP補間可能帯域という。
本実施の形態では、FFT窓位置補正回路302が、FFT窓開始位置TFFTを時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと一致するように補正するため、TFFT=TADV=0である。
時間的に最も先行して受信される素波の有効シンボル先頭位置TADVと時間的に最も遅延して受信される素波の有効シンボル先頭位置TDELとの差である最大遅延時間量δτ、すなわち、遅延時間量τAが|LPFbw|以下である場合の、FFT演算回路110によるFFT処理後の素波1及び素波2は図5(d)のようになる。
この場合の素波1及び素波2の両者は、共に、SP補間可能帯域内に含まれているため、波形等化回路113は、素波1及び素波2に対して正しく波形等化を行うことができる。
一方、遅延時間量τAが|LPFbw|よりも大きい場合の、FFT演算回路110でのFFT処理後の素波1及び素波2は図5(e)のようになる。
この場合、素波1は、SP補間可能帯域内に含まれるが、素波2はSP補間可能帯域内に含まれない。すなわち、素波1に対するSP補間特性と素波2に対するSP補間特性とが異なってしまうため、SP補間LPF124でSP補間誤差が生じ、波形等化回路113は素波1及び素波2に対して正しく波形等化処理を行うことができない。
そこで、本実施の形態の位相補正量計算回路303は、上記SP補間可能帯域外に位置する素波2を上記SP補間可能帯域内に含ませるために、素波1及び素波2がそれぞれ遅延時間量τAの半分であるτA/2ずつシフトするように、すなわち、FFT復調信号の位相補正量がτA/2となるように設定する。
素波1及び素波2をτA/2だけシフトさせるための位相補正量計算回路303の具体的な処理動作について説明する。
遅延プロファイル検出回路301から出力された時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELとは、まず、最大遅延時間量算出回路320に入力される。
ここでいう遅延プロファイルとは、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELとのことをいう。
最大遅延時間量算出回路320は、入力された時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELとから、最大遅延時間量であるTADVとTDELとの差δτ、すなわちτAを算出し、最大位相回転量算出回路321に出力する。
最大位相回転量算出回路321は、FFT復調信号の位相補正量がτA/2となるように、最大位相回転量を、数式(2)のように設定してある。そして、最大位相回転量算出回路321は、最大遅延時間量算出回路320から出力されたτAと数式(2)とからFFT復調信号の位相補正量τA/2に相当する位相回転量を算出する。この位相回転量を数式(3)に示す。
そして、最大位相回転量算出回路321は、算出した、数式(3)で示す位相回転量を位相補正量乗算回路304に出力する。
ここで、nはシンボル番号、kはキャリア番号、Nは有効シンボル期間長を表す。
次に、FFT演算回路110について説明する。
FFT演算回路110は、FFT窓開始位置が、FFT窓位置補正回路302で出力されたTFFTとなるようにFFT窓位置を合わせ、前記設定されたFFT窓に対応する期間分について、シンボル同期回路108から出力されるシンボル同期パルスをもとに、狭帯域キャリア周波数誤差補正回路107から出力されたベースバンドのOFDM信号をFFT処理する。
具体的には、FFT演算回路110は、1つのOFDMシンボルから有効シンボル長分の信号を抜き出し、抜き出した信号に対してFFT演算を行う。すなわち、FFT演算回路110は、1つのOFDMシンボルからGI期間長分の信号を除き、残った信号に対してFFT演算を行う。
FFT演算回路110は、FFT処理によって抽出した信号を位相補正量乗算回路304に出力する。ここで、FFT処理により抽出される、各サブキャリアに変調されていた信号は、実軸成分(Iチャネル信号)と虚軸成分(Qチャネル信号)とから構成される複素信号である。
位相補正量乗算回路304は、FFT演算回路110からの出力であるXFFT(n,k)に対して、キャリア毎に、最大位相回転量算出回路321から出力された前記最大位相回転量を乗算することにより、FFT出力信号の位相の補正を行う。そして、位相補正量乗算回路304は、補正したFFT出力信号を波形等化回路113に出力する。
波形等化回路113は、前記位相補正が施されたFFT出力信号に対して波形等化処理を行う。
ところで、従来のOFDM復調装置500では、素波1及び素波2をシフトさせるような構成を有さず、素波1及び素波2をシフトさせることができなかった。このことより、従来のOFDM復調装置500は、|LPFbw|以下の遅延時間量τAを持つ素波2に対してしかSP補間を行うことができず、|LPFbw|以上の遅延時間量を持つ素波に対してはSP補間を行うことができなかった。
一方、本実施の形態のOFDM復調装置100は、素波1及び素波2をシフトさせることができるため、素波1に対して|LPFbw|以上の遅延時間量τAを持つ素波2であっても、その遅延時間量τAが2×|LPFbw|以下であれば、素波1及び素波2に対して正しくSP補間を行うことができる。
このように、従来は、|LPFbw|以下の遅延時間量を持つマルチパスにしか対応でなかったが、本実施の形態のOFDM復調装置100は、従来の2倍である2×|LPFbw|以下の遅延時間量を持つマルチパスに対してまでSP補間を行うことができる。
従って、本実施の形態のOFDM復調装置100は、従来の2倍の遅延時間量を持つマルチパスに対してまで対応可能であるため、マルチパス耐性が向上することとなる。
上述したように、本実施の形態のOFDM復調装置100は、2×|LPFbw|の遅延時間量を有する素波2に対してまでは、シフトすることによって素波1及び素波2に対してSP補間を正しく行うことができるが、これ以上の遅延時間量を持つ素波に対しては、シフトしても素波1及び素波2に対してSP補間を正しく行うことができない。
よって、本実施の形態のOFDM復調装置100は、このような2×|LPFbw|遅延時間量を持った素波2までしか受信を許容することができない。この許容される最大の遅延時間量2×|LPFbw|を最大許容遅延時間量という。
素波1及び前記最大許容遅延時間量を持つ素波2、すなわち2×|LPFbw|の遅延時間量を持つ素波2の両者をSP補間可能帯域内に収めるためには、素波1をSP補間可能帯域内である図5(d)に示す−LPFbwの位置に、素波2をLPFbwの位置にそれぞれシフトさせなければならない。すなわち、素波1及び素波2を遅延時間量2×|LPFbw|の半分である|LPFbw|、すなわちτA/2ずつシフトさせなければならない。
本実施の形態では、素波1及び素波2のシフト量をτA/2と設定したが、シフト後の素波1及び素波2がSP補間帯域内に含まれるのであれば、本発明のシフト量、すなわち位相補正量はτA/2に限られない。
もし、例えば、τA/3ずつシフトさせるように位相補正量計算回路303で設定していたとすると、遅延時間量τAが最大許容遅延時間量である場合には、素波1はSP補間可能帯域内に含まれるが素波2はSP補間可能帯域外になってしまう。また、2τA/3ずつシフトさせるように位相補正量計算回路303で設定していたとすると、遅延時間量τAが最大許容遅延時間量である場合には、素波1がSP補間可能帯域外になってしまう。このように、τA/2以外ずつシフトさせるように設定した場合は、最大許容遅延時間量を有する遅延波に対して対応することができない。
以上のことより、素波1及び素波2をτA/2ずつシフトさせるように位相補正量計算回路303で設定することにより、素波2が最大許容遅延時間量を持つ場合に対しても、素波1及び素波2の両者をSP補間可能帯域内に含むことが可能となる。
本実施の形態では、素波1及び素波2をそれぞれτA/2ずつシフトさせているため、素波2が素波1に対して最大許容遅延時間量を持つ場合であっても、正しくSP補間を行うことができる。
上述では、素波1及び素波2の2つの素波が受信される場合について説明したが、本発明のOFDM復調装置は、これに限らず、以下で説明する3つの素波が受信される場合等の複数の素波が受信される場合についても適用可能である。
ここからは、素波1及び素波2に加えて素波3が受信される場合についての、位相補正量計算回路303の動作について、図8を用いて説明する。
図8は、素波3が受信される場合の図であり、(a)は、遅延プロファイルを示す図であり、(b)は、素波1〜3とFFT窓位置の関係を示す図であり、(c)は、FFT出力後に位相の補正をした素波1〜3とSP補間LPF124における補間LPF特性との関係を示す図である。
本実施の形態における素波3は素波2に対して遅延時間量τBだけ遅延して受信され、、また、素波3は、図8(a)に示すように、素波1に対してはτA+τBだけ遅延して受信される。
3つの素波が受信される場合も、FFT窓位置補正回路302は、TFFT=TADVとなるようにFFT窓位置を補正する。
本実施の形態の位相補正量計算回路303は、素波1〜3すべての素波の位相がSP補間可能帯域内に含まれるように、FFT復調信号に対して行う位相補正の量に相当する位相回転量を算出する。
最大遅延時間量算出回路320は、遅延プロファイル検出回路301より入力された遅延プロファイルから、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと時間的に最も遅延して受信される素波3の有効シンボル先頭位置TDELとの差である最大遅延時間量δτを算出する。図8に示すような3つの素波を受信する場合、最大遅延時間量δτは、τA+τBである。
ここでいう遅延プロファイルとは、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと、時間的に最も遅延して受信される素波3の有効シンボル先頭位置TDELとのことをいう。
最大遅延時間量算出回路320は、算出した最大遅延時間量τA+τBを最大位相回転量算出回路321に出力する。
最大位相回転量算出回路321は、最大位相回転量を示す数式(2)のδτに、入力されたτA+τBを代入することにより最大位相回転量を算出する。前記算出した最大位相回転量を示す式を数式(4)に示す。
そして、最大位相回転量算出回路321は、算出した数式(4)で示した最大位相回転量を位相補正量乗算回路304に出力する。
位相補正量乗算回路304は、入力された上記最大位相回転量を示す数式(4)をFFT演算回路110から入力されるFFT復調信号に乗算し、FFT復調信号の位相を補正する。
位相補正されたFFT復調信号の位相とSP補間LPF特性との関係を図8(c)に示す。
これによれば、本実施の形態のOFDM復調装置100は、3つの素波を受信した場合でも、FFT復調信号の位相を補正することにより、FFT処理後における3つの素波をSP補間可能領域内に収めることができる。
以上のことより、本実施の形態のOFDM復調装置100は、前記最大遅延時間量δτが|LPFbw|よりも大きい場合においても、素波1から素波3をそれぞれδτ/2ずつだけシフトさせるような位相回転をFFT復調信号に加えることにより、素波1から素波3をSP補間LPF124のSP補間可能帯域内に収めることができる。
これにより、本実施の形態のOFDM復調装置は、素波が3つ受信される場合であっても、時間的に最も先行して受信される素波1に対する時間的に最も遅延して受信される素波3の遅延時間量を最大遅延時間量δτとすることにより、素波が2つ受信される場合と同じように処理をすることができる。
また、素波が4つ以上受信される場合であっても、素波が3つ受信される場合と同じように処理することができる。
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、FFT窓位置補正回路302が、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと一致するように、FFT窓開始位置TFFTを補正する場合について説明した。
FFT窓位置補正回路は、時間的に最も先行して受信される素波に対する時間的に最も遅延して受信される素波の遅延時間量δτがGI期間長よりも小さい場合には、図5(a)に示すように、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVよりも先行する位置にFFT窓開始位置を設定することができる。時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVよりも先行する位置にFFT窓開始位置を設定してもシンボル間干渉が生じない範囲をFFT窓開始位置マージンという。
FFT窓位置補正回路が設定したFFT窓開始位置TFFTが前記FFT窓開始位置マージン内に含まれていると、素波1のm+1番目のシンボルのデータがFFT窓内に混入しないため、シンボル間干渉は生じない。
ここで、前記FFT窓開始位置マージンの具体的な範囲は、TADV−(GI期間長−δτ)≦TFFT≦TADVとなる。
そこで、本実施の形態では、判定回路306(図9)が、GI期間長は遅延時間量δτよりも大きいと判断すると、FFT窓位置補正回路302′が、FFT窓開始位置マージン内における時間的に最も先行して受信される素波の有効シンボル先頭位置TADVよりも先行する位置に、FFT窓開始位置TFFTを設定する場合について説明する。
本実施の形態のOFDM復調装置100′は、以下の(a)から(c)の点で実施の形態1のOFDM復調装置100と異なる。前記実施の形態1のOFDM復調装置100と異なる点とは、(a)FFT窓位置補正回路302′が判定回路306を含む点、(b)FFT窓開始位置TFFTをFFT窓開始位置マージン内における、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVよりも先行する位置に設定する点、(c)位相補正量計算回路303の代わりに位相補正量計算回路303′を設けた点である。
よって、本実施の形態における実施の形態1と同一の構成については、実施の形態1と同一の符号を付すことにより説明を省略する。
また、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、図4(a)及び図5(a)に示すように、時間的に最も先行して受信される素波を素波1とし、遅延時間量τAだけ素波1に対して遅延して受信される素波を素波2とする。また、前記素波2に対して遅延時間量τBだけ遅延して受信される素波を素波3とする。また、2つの素波が受信される場合には、素波2を時間的に最も遅延して受信される素波とし、3つの素波が受信される場合には、素波3を時間的に最も遅延して受信される素波とする。
図9は、本実施の形態におけるOFDM復調装置100′の一部の構成を示す図である。
図9に示すように、位相補正量算出回路300′は、複素相関演算回路305と、遅延プロファイル検出回路301と、位相補正量計算回路303′とを含み、位相補正量計算回路303′は、さらに、最大遅延時間量算出回路320′と最大位相回転量算出回路321′と、FFT窓開始位置先行量算出回路322とを含む。
また、本実施の形態のFFT窓位置補正回路302′は、内部に判定回路306を備えている。判定回路306は、素波1に対する素波2の遅延時間量τAがGI期間長よりも小さいか否かを判断する回路である。具体的には、判定回路306は、まず遅延プロファイル検出回路301から、遅延プロファイルを取得する。
ここでいう遅延プロファイルは、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと、時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELとである。
前記遅延プロファイルを取得した判定回路306は、素波1の有効シンボル先頭位置TADVと素波2の有効シンボル先頭位置TDELとの差δτである最大遅延時間量τAを算出し、最大遅延時間量τAが、入力されたOFDM信号から抽出したGI期間長よりも小さいか否かを判定する。
ここで、GI期間長を抽出する方法として、例えば、複素相関演算回路305の出力ピークの周期より、GI期間長を算出する方法等がある。
判定回路306が、最大遅延時間量τAはGI期間長よりも小さいと判定した場合、FFT窓位置補正回路302′は、前記FFT窓開始位置マージン内において、FFT窓開始位置TFFTが素波1の有効シンボル先頭位置TADVよりも先行して位置するように、FFT窓開始位置TFFTを補正する。この様子を、図5(b)に示す。一方、判定回路306が、最大遅延時間量τAがGI期間長よりも大きいと判定する場合については実施の形態3で説明する。
ここで、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVに対する上記FFT窓開始位置TFFTの先行量であるFFT窓開始位置先行量をαとする。
上記FFT窓開始位置先行量αの具体的な範囲は、0≦α≦GI期間長−遅延時間量τAである。
FFT窓位置補正回路302′は、補正したFFT窓開始位置TFFTをFFT演算回路110に出力すると共に、FFT窓開始位置先行量算出回路322にも出力する。
また、本実施の形態の位相補正量計算回路303′でも、実施の形態1と同様に、素波1をSP補間可能帯域内である図5及び図6に示す−LPFbwの位置に、素波2をLPFbwの位置にそれぞれシフト可能にするために、位相補正量をτA/2に設定することが好ましい。
実施の形態1では、図5(d)に示すように、TFFT=TADVであったため、素波1及び素波2のシフト量は、TADVの位置でもあるTFFTの位置、すなわちt=0の位置からのシフト量を考えればよかった。しかしながら、本実施の形態では、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVに対して、FFT窓開始位置TFFTがFFT窓開始位置先行量αだけずれているため、TFFTの位置は、TFFT=TADV−αで示される。
よって、本実施の形態では、実施の形態1と異なり、TADV=TFFT+αで示されるTADVの位置からのシフト量、つまり、TFFTの位置がt=0であるからTADV=αの位置からのシフト量を考えなければならない。
従って、位相補正量計算回路303′は、位相補正量をτA/2+αと設定する。
本実施の形態の位相補正量計算回路303′では、以下のような処理を行う。
遅延プロファイル検出回路301から出力された時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVは、FFT窓開始位置先行量算出回路322及び最大遅延時間量算出回路320′に入力される。また、遅延プロファイル検出回路301から出力された時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELは、最大遅延時間量算出回路320′に入力される。
FFT窓開始位置先行量算出回路322は、FFT窓位置補正回路302′から入力されたFFT窓開始位置TFFTと、遅延プロファイル検出回路301から入力された時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVとを用いてFFT窓開始位置先行量αの値を算出する。具体的には、FFT窓開始位置先行量算出回路322は、α=TADV−TFFTの式で算出することができ、算出したαの値を最大位相回転量算出回路321′に出力する。
最大遅延時間量算出回路320′は、前記時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVと、時間的に最も遅延して受信される素波2の有効シンボル先頭位置TDELとの差である最大遅延時間量δτ、すなわち、本実施の形態では遅延時間量τAを算出し、最大位相回転量算出回路321′に出力する。具体的には、最大遅延時間量算出回路320′は、δτ=TDEL−TADVで算出する。
最大位相回転量算出回路321′は、FFT窓開始位置先行量算出回路322から入力されたFFT窓開始位置先行量αの値と、最大遅延時間量算出回路320′から入力された最大遅延時間量δτである遅延時間量τAとから位相補正量を算出する。そして、最大位相回転量算出回路321′は、算出した位相補正量を、その位相補正量に相当する位相回転量として、位相補正量乗算回路304に出力する。
具体的には、最大位相回転量算出回路321′は、遅延時間量τAとFFT窓開始位置先行量αとから位相補正量τA/2+αを算出し、数式(5)に代入することにより、前記位相回転量を算出する。
FFT演算回路110は、FFT窓位置補正回路302′から出力されたFFT窓開始位置TFFTにFFT窓開始位置を合わせ、FFT処理する。そして、FFT処理後のFFT復調信号XFFT(n,k)を位相補正量乗算回路304に出力する。
位相補正量乗算回路304は、前記FFT処理後のXFFT(n,k)信号に、最大位相回転量算出回路321′で算出された位相補正量に相当する位相回転量を乗算することに時間方向の位相を位相補正量だけシフトしたFFT復調信号を生成する。
また、本実施の形態では、2つの素波が受信される場合について説明したが、もちろん素波が図8に示すように3つ以上受信される場合であってもよい。この場合、時間的に最も先行して受信される素波1に対する時間的に最も遅延して受信される素波3の遅延時間量τA+τBがGI期間長よりも小さいことを条件とする。これは、前記遅延時間量τA+τBがGI期間長よりも大きい場合には、シンボル間干渉が生じるため、FFT窓開始位置マージンは存在しないことによる。
また、3つの素波が受信される場合のFFT窓位置補正回路302′における前記FFT窓開始位置マージンの範囲は、TADV−{GI期間長−(τA+τB)}≦TFFT≦TADVとなる。
上記構成によればFFT窓位置補正回路302′は、FFT窓開始位置マージン内であれば、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVよりも先行して、前記FFT窓開始位置TFFTを設定することができる。
また、位相補正量計算回路303′は、このFFT窓開始位置マージン内における、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVに対して先行する位置にFFT窓開始位置TFFTを設定することによって生じる、FFT窓開始位置TFFTと前記素波1の有効シンボル先頭位置TADVとのずれを調整して、FFT復調信号の位相補正量を算出することができる。
以上のことより、本実施の形態のOFDM復調装置100′は、素波1に対する素波2の遅延時間量τAがGI期間長よりも小さい場合であって、FFT窓開始位置マージン内における、時間的に最も先行して受信される素波1の有効シンボル先頭位置TADVに対して先行する位置にFFT窓開始位置TFFTを設定した場合でも、FFT復調信号の位相を補正することにより、素波1及び素波2の両者に対して正しくSP補間を行うことができる。
また、本実施の形態の位相補正量計算回路303′において、素波1及び素波2がそれぞれ(τA/2)+αずつシフトするように位相補正量を設定すれば、最大許容遅延時間量を有する素波2もSP補間可能帯域内に含むことができる。これにより、本実施の形態におけるOFDM復調装置100′のマルチパス耐性が向上する。
〔実施の形態3〕
実施の形態1及び2では、素波1に対する素波2の遅延時間量、すなわち最大遅延時間量τAがGI期間長より小さい場合について説明してきた。
しかしながら、時間的に最も遅延して受信される素波の遅延量が大きい場合には、最大遅延時間量τAがGI期間長よりも大きくなる場合がある。
そこで、本実施の形態では、時間的に最も先行して受信される素波に対する時間的に最も遅延して受信される素波の遅延時間量がGI期間長よりも大きい場合について説明する。
本実施の形態では、図11(a)に示すように、時間的に最も先行して受信される素波を素波1′とし、遅延時間量τA′だけ素波1′に対して遅延して受信される素波を素波2′とする。また、2つの素波が受信される場合には、素波2′を時間的に最も遅延して受信される素波とする。
本実施の形態のOFDM復調装置100″は、実施の形態1及び2のOFDM復調装置100・100′とは、図10に示すように、位相補正量計算回路303・303′の代わりに位相補正量計算回路303″を備え、FFT窓位置補正回路302・302′の代わりにFFT窓位置補正回路302″を備えている点で実施の形態1及び2と異なる。本実施の形態における実施の形態1及び2と同一の構成については、実施の形態1及び2と同一の符号を付すことにより説明を省略する。
図10は、本実施の形態におけるOFDM復調装置100″の一部の構成を示す図である。
図10に示すように、位相補正量算出回路300″は、複素相関演算回路305と、遅延プロファイル検出回路301と、位相補正量計算回路303″とを含み、位相補正量計算回路303″は、さらに、最大遅延時間量算出回路320″と最大位相回転量算出回路321″と、FFT窓開始位置遅延量算出回路323とを含む。
図11は、素波1′に対する遅延時間量τA′がGI期間長よりも大きい素波2′が受信される場合の素波1′及び素波2′の位置関係を示す図である。
本実施の形態では、図11(a)に示すように、素波1′に対する素波2′の遅延時間量τA′がGI期間長よりも大きく、かつ、時間的に最も先行して受信される素波1′のDU比が素波2′のDU比よりも大きい場合には、FFT窓開始位置TFFTを時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVよりも少し後方に設定することが好ましい。
素波1′に対する素波2′の遅延時間量τA′がGI期間長よりも大きい場合には、素波1′の有効シンボル先頭位置TADVにFFT窓開始位置TFFTを合わせると、素波2′においてシンボル間干渉が起きてしまう。また、素波1′のDU比の方が素波2′のDU比よりも大きい場合、素波2′の妨害波の方が素波1′よりも大きくなる。
このことより、素波1′でシンボル間干渉を起こさせて、素波2′ではシンボル間干渉が起こらないようにFFT窓開始位置TFFTを設定、すなわち、FFT窓開始位置TFFTを時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVよりも少し後方に設定することにより、全体のシンボル間干渉による雑音を低減することができる。
ここで、DU比とは、無変調時の希望波と妨害波の搬送波電力の比を示すものであり、DU比が小さい程、妨害波は大きい。また、ここでは素波1′及び素波2′は互いの妨害波となり、素波1′及び素波2′の合成電力を希望波電力とする。素波1′のDU比を表す場合は妨害波電力を素波1′の電力とし、一方、素波2′のDU比を表す場合は妨害波電力を素波2′の電力とする。
そこで、本実施の形態のFFT窓位置補正回路302″は、図11(a)に示すように、FFT窓開始位置TFFTを、遅延プロファイル検出回路301で検出された、時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVよりも時間的に少し遅らせた位置になるように補正する。
FFT窓位置補正回路302″は、内部に判定回路306′を備えている。判定回路306′は、最大遅延時間量δτである素波1′に対する素波2′の遅延時間量τA′がGI期間長よりも大きいか否かを判断する回路である。具体的には、判定回路306′は、まず遅延プロファイル検出回路301から、遅延プロファイルを取得する。
ここでいう遅延プロファイルとは、時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVと、時間的に最も遅延して受信される素波2′の有効シンボル先頭位置TDELとのことをいう。
前記遅延プロファイルを取得した判定回路306′は、素波1′の有効シンボル先頭位置TADVと素波2′の有効シンボル先頭位置TDELとの差δτである最大遅延時間量τA′を算出し、最大遅延時間量τA′が、入力されたOFDM信号から抽出したGI期間長よりも大きいか否かを判定する。
判定回路306′が、最大遅延時間量τA′がGI期間長よりも大きいと判定する場合であって、時間的に最も先行して受信される素波1′のDU比が素波2′のDU比よりも大きい場合には、FFT窓位置補正回路302″が、FFT窓開始位置TFFTを素波1′の有効シンボル先頭位置TADVよりも少し後方に位置するようにFFT窓開始位置TFFTを補正する。すなわち、FFT窓位置補正回路302″は、FFT窓開始位置TFFTが素波1′の有効シンボル先頭TADVに対して少し遅延するようにFFT窓開始位置TFFTを補正する。前記少し後方の位置の明確な範囲については後述する。
また、一方、判定回路306′が、最大遅延時間量τAはGI期間長よりも小さいと判定する場合については実施の形態2で説明した通りである。
ここで、時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVに対する上記FFT窓開始位置TFFTの遅延量であるFFT窓開始位置遅延量をβとする。
上記FFT窓開始位置遅延量βの具体的な範囲は、全体的なシンボル間干渉が小さくなる範囲であり、最大は素波2′のGI期間先頭位置である。
FFT窓位置補正回路302″は、補正したFFT窓開始位置TFFTをFFT演算回路110に出力すると共に、FFT窓開始位置遅延量算出回路323にも出力する。
実施の形態1では、図5(d)に示すように、TFFT=TADVであったため、素波1及び素波2のシフト量はTADVの位置でもあるt=0の位置からのシフト量を考えればよかった。
しかしながら、本実施の形態では、時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVに対して、FFT窓開始位置TFFTがFFT窓開始位置遅延量βだけずれているため、TFFT=TADV+βとなる。
よって、本実施の形態では、実施の形態1と異なり、TADV=TFFT−βで示されるTADVの位置からのシフト量を考えなければならない。
ところで、本実施の形態のOFDM復調装置100″は、2×|LPFbw|の遅延時間量を有する素波2′を受信する場合に対してまでは、シフトすることによって素波1′及び素波2′に対して正しくSP補間を行うことができ、本実施の形態のOFDM復調装置100″は素波2′の受信を許容できる。この許容される最大の遅延時間量2×|LPFbw|を最大許容遅延時間量という。
素波1′及び前記最大許容遅延時間量を持つ素波2′、すなわち2×|LPFbw|の遅延時間量を持つ素波2′の両者をSP補間可能帯域内に収めるためには、素波1′をSP補間可能帯域内である図11(b)に示す−LPFbwの位置に、素波2′をLPFbwの位置にそれぞれシフトさせなければならない。
そこで、本実施の形態のOFDM復調装置100″が最大許容遅延時間量を持った素波2′を受信する場合にもSP補間を正しく行うために、位相補正量計算回路303″において位相補正量を以下に設定する。
位相補正量計算回路303″は、素波1′をSP補間可能帯域内である図11(b)に示す−LPFbwの位置に、素波2′をLPFbwの位置にそれぞれシフトするために、位相補正量を(τA′/2)−βに設定する。
本実施の形態の位相補正量計算回路303″では、以下のような処理を行う。
遅延プロファイル検出回路301から出力された時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVは、FFT窓開始位置遅延量算出回路323及び最大遅延時間量算出回路320″に入力される。また、遅延プロファイル検出回路301から出力された時間的に最も遅延して受信される素波2′の有効シンボル先頭位置TDELは、最大遅延時間量算出回路320″に入力される。
FFT窓開始位置遅延量算出回路323は、FFT窓位置補正回路302″から入力されたFFT窓開始位置TFFTと、遅延プロファイル検出回路301から入力された時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVとを用いてFFT窓開始位置遅延量βの値を算出する。具体的には、FFT窓開始位置遅延量算出回路323は、β=TFFT−TADVの式で算出することができ、算出したβの値を最大位相回転量算出回路321″に出力する。
最大遅延時間量算出回路320″は、前記時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVと、時間的に最も遅延して受信される素波2′の有効シンボル先頭位置TDELとの差である最大遅延時間量δτ、すなわち、本実施の形態では遅延時間量τA′を算出し、最大位相回転量算出回路321″に出力する。具体的には、最大遅延時間量算出回路320″は、δτ=TDEL−TADVで算出する。
最大位相回転量算出回路321″は、FFT窓開始位置遅延量算出回路323から入力されたFFT窓開始位置遅延量βの値と、最大遅延時間量算出回路320″から入力された最大遅延時間量δτである遅延時間量τA′とから位相補正量を算出する。そして、最大位相回転量算出回路321″は、算出した位相補正量を、その位相補正量に相当する位相回転量として、位相補正量乗算回路304に出力する。
具体的には、最大位相回転量算出回路321″は、遅延時間量τA′とFFT窓開始位置遅延量βを数式(6)に代入することにより、前記位相回転量を算出する。
FFT演算回路110は、FFT窓位置補正回路302″から出力されたFFT窓開始位置TFFTにFFT窓開始位置を合わせ、FFT処理する。そして、FFT処理後のFFT復調信号XFFT(n,k)を位相補正量乗算回路304に出力する。
位相補正量乗算回路304は、前記FFT処理後のXFFT(n,k)信号に、最大位相回転量算出回路で算出された位相補正量に相当する位相回転量を乗算することに時間方向の位相を位相補正量だけシフトしたFFT復調信号を生成する。
上記構成により、位相補正量計算回路303″は、FFT窓開始位置TFFTを時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVよりも少し後方に設定した場合においても、前記FFT窓開始位置TFFTと時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVとのずれを調整して、位相補正量を算出することができる。
以上のことより、本実施の形態のOFDM復調装置100″は、素波1′に対する素波2′の遅延時間量τA′がGI期間長よりも大きい場合で、かつ、FFT窓開始位置TFFTを時間的に最も先行して受信される素波1′の有効シンボル先頭位置TADVよりも少し後方に設定した場合でも、FFT復調信号の位相を補正することにより、このような素波1′及び素波2′に対しても正しくSP補間を行うことができる。
また、本実施の形態の位相補正量計算回路303″において、素波1′及び素波2′がそれぞれ(τA′/2)−βずつシフトするように位相補正量を設定すれば、素波2′が最大許容遅延時間量を持つ場合に対しても、素波1′及び素波2′の両者をSP補間可能帯域内に含むことができる。これにより、本実施の形態におけるOFDM復調装置100″のマルチパス耐性が向上する。
また、本実施の形態では、2つの素波が受信される場合について説明したが、もちろん素波が3つ以上受信される場合であってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本発明のOFDM復調装置は、有効シンボルと前記有効シンボルの一部の信号波形が複写されたガードインターバルとが含まれた伝送シンボルを伝送単位とする直交周波数分割多重(OFDM)信号をサンプリングした受信サンプル系列信号と、前記受信サンプル系列信号を有効シンボル期間遅延した遅延信号との各サンプル毎の複素相関値を出力する複素相関演算回路305と、前記複素相関値に基づいて遅延プロファイルを検出する遅延プロファイル検出回路301と、前記遅延プロファイルを受けて、時間的に最も先行して受信された素波の有効シンボル先頭付近にFFT窓開始位置を対応させるFFT窓位置補正回路302と、前記FFT窓開始位置信号によってFFT窓期間で前記受信サンプル系列信号をFFT処理するFFT演算回路110と、前記遅延プロファイルと、前記FFT窓開始位置を受けて、位相補正量を算出する位相補正量計算回路303と、前記位相補正量と前記FFT演算回路110からの出力信号とを乗算してFFT出力信号を出力する位相補正量乗算回路304と、前記FFT復調信号を受けて、波形等化を行う波形等化回路113とを具備することを特徴としてもよい。
また、本発明のOFDM復調装置における前記遅延プロファイル検出回路301は、前記複素相関値をシンボル方向にフィルタリングして複素相関演算値系列信号を出力する第1のフィルタ手段310と、前記複素相関演算値の複素相関強度を算出する複素相関強度算出回路311と、前記複素相関強度を、データをサンプリングした方向にフィルタリングをして複素相関強度演算値を出力する第2のフィルタ手段312と、前記複素相関強度演算値の微分を行う微分回路313と、前記微分値を受けて、時間的に最も先行して受信された素波の有効シンボル先頭位置と、最も遅延して受信された素波の有効シンボル先頭位置とを検出する、遅延検出回路314とを具備することを特徴としてもよい。
また、本発明のOFDM復調装置における前記位相補正量計算回路303は、前記遅延プロファイルを受けて、時間的に最も先行して受信された素波と、最も遅延して受信された素波との時間差δτを算出する最大遅延時間量算出回路320と、δτ/2程度のFFT窓位置ずれに相当する位相回転量を算出する最大位相回転量算出回路321とを具備することを特徴としてもよい。
さらに、本発明のOFDM装置における前記位相補正量計算回路303は、前記遅延プロファイルを受けて、時間的に最も先行して受信された素波の有効シンボル先頭位置と、前記FFT窓開始位置からの時間差βを算出するFFT窓開始位置遅延量算出回路323と、−β+δτ/2程度のFFT窓位置ずれに相当する位相回転量を算出する最大位相回転量算出回路321とを具備することを特徴としてもよい。
また、本発明の前記位相補正量演算手段は、前記時間的に最も先行して受信される素波の有効シンボル先頭位置に対する、前記時間的に最も遅延して受信される素波の有効シンボル先頭位置の遅延時間量である、最大遅延時間量を算出する最大遅延時間量演算手段と、前記最大遅延時間量演算手段によって算出された前記遅延時間量を用いて、FFT復調信号の位相を回転させるための位相回転量を算出する位相回転量算出手段とを備えることを特徴としてもよい。
また、本発明の前記位相補正量演算手段は、前記時間的に最も先行して受信される素波の有効シンボル先頭位置に対する、前記時間的に最も遅延して受信される素波の有効シンボル先頭位置の遅延時間量である、最大遅延時間量を算出する最大遅延時間量演算手段と、前記最大遅延時間量演算手段で算出された最大遅延時間量から、前記時間的に最も先行して受信される素波の有効シンボル先頭位置に対する前記FFT窓位置補正手段が設定した前記FFT窓期間の開始位置の遅延時間量であるFFT窓開始位置遅延量を引いた値を用いて前記位相回転量を算出する位相回転量算出手段とを備えることを特徴としてもよい。
また、本発明の前記位相回転量算出手段は、前記時間的に最も先行して受信される素波の有効シンボル先頭位置が、前記FFT窓開始位置に対して、前記最大遅延時間量演算手段で算出された最大遅延時間量の略半分の期間だけ先行するように、FFT復調信号の位相を回転させる位相回転量を算出することを特徴としてもよい。
また、実施の形態1及び2では、FFT窓開始位置を時間的に最も先行して受信される素波の有効シンボル先頭位置に合わせる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、FFT窓開始位置を時間的に最も遅延して受信される素波の有効シンボル先頭位置にあわせた場合についても、位相をシフトさせる方向を逆にすることにより適用可能である。