JP2008130746A - 電子機器用沸騰冷却装置及びそれを利用した電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電子機器内にも実装可能であり、かつ、相変化を用いた高い冷却能力を発揮する電子機器用沸騰冷却装置とそれを利用した電子機器を提供する。
【解決手段】 ジャケット出口近傍に気液分離機能を兼ねたタンク5が設け、タンク5にて分離された蒸気が蒸気管8へ流れ、その後放熱器4で凝縮され、前記冷却液駆動部3へ戻り閉ループを形成するようにする。前記タンク5の内部は多孔体10によって液が保持される領域102とジャケットから吸入される気液混合領域101に仕切り、液が保持される部分102は放熱器4と冷却液駆動部3の間にバイパス管9を介して配管させ、ジャケットと放熱部との間の圧力損失を低減する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ジャケット出口近傍に気液分離機能を兼ねたタンク5が設け、タンク5にて分離された蒸気が蒸気管8へ流れ、その後放熱器4で凝縮され、前記冷却液駆動部3へ戻り閉ループを形成するようにする。前記タンク5の内部は多孔体10によって液が保持される領域102とジャケットから吸入される気液混合領域101に仕切り、液が保持される部分102は放熱器4と冷却液駆動部3の間にバイパス管9を介して配管させ、ジャケットと放熱部との間の圧力損失を低減する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、液晶プロジェクタなどに代表される電子機器用の冷却装置に関し、特に、冷媒の相変化を用いた高い冷却能力を持つ相変化を用いた沸騰冷却装置に関する。
近年、電子機器は、小型化やその性能向上に伴って、実装密度が増大すると共に、装置内部で発熱量の増加が著しい。そのため、従来の空冷方式に代えて、液体の冷媒を用いた液冷方式が提案され、かつ、実用化されてきている。しかしながら、近年における電子機器の小型化や性能向上は目覚しく、それに伴う実装密度や発熱量の増大に伴い、より高い冷却能力を持つ冷却手段が必要になってきており、そのため、冷媒の相変化を用いた沸騰冷却装置が注目されている。
ところで、相変化を用いた沸騰冷却装置では、発熱体(例えば、CPU等)と熱的に接続して熱を吸収するジャケットと、冷却液駆動部と、そして放熱部が、配管などによって接続され、その内部を冷媒が循環する構造が一般的である。より具体的には、例えばポンプによって構成される冷却液駆動部により、液冷媒が、熱的に発熱体と接続されているジャケットへ送り込まれ、当該ジャケット内で液冷媒が沸騰し、この沸騰した蒸気冷媒が放熱器によって凝縮され熱を外部へ放熱し、再び、冷却液駆動部へ液相の状態で戻って来ることにより、継続的に発熱体を冷却する。
かかる相変化を用いた沸騰冷却装置では、前記ジャケット部での液枯れを避けようとすれば、発熱体とジャケットの熱交換量を冷媒の蒸発潜熱で除した値よりも多い流量の冷媒をジャケットに送り込む必要がある。しかしながら、この条件下では、冷媒はジャケットと放熱器の間では気液混合体となる。そして、この気液混合体状態で冷媒が放熱器へ送り出された場合、放熱器の大部分が液冷媒で充填されてしまい、即ち、放熱器の性能が低下してしまう。
そこで、従来、上述した放熱器の性能低下を抑制するための構造として、例えば、以下の特許文献1によれば、放熱器の手前に取り付けられたフロート弁により気液分離器を構成し、当該気液分離器によって気液を分離し、もって、蒸気のみを放熱器へ送り出すと共に、液体は必要な分だけ冷却液駆動部と放熱器との間に戻すものが既に開示されている。
加えて、以下の特許文献2によれば、冷却装置とは異なるが、宇宙環境などの重力のほとんど作用しない微小重力状態において、確実に気液分離を可能にする構造として、遠心力を用いて気液分離を行い、そして、多孔体を液体の保持用に用いるものが開示されている。
ところで、上述した従来技術、特に、特許文献1に開示された沸騰冷却装置は、特に、車両の電力変換器の冷却に適用されるものであり、そのため、本発明のように、例えば、液晶プロジェクタなどの電子機器用の冷却装置として採用するには、以下のような問題点があった。
まず、液晶プロジェクタなどのような小型で高実装密度の製品を対象として、相変化を用いた沸騰冷却装置をその冷却システムとして採用しようとする場合、特に、装置の小型化や高実装密度化に伴って、内部におけるジャケットと冷却液駆動部と放熱部との間の配置の自由度を高く確保する必要があり、そのためには、これらそれぞれのコンポーネントを接続する管の径を、極力小さく(細く)すること(例えば、直径数mm程度)が望ましい。
本発明者等は、このような小径管を用いて冷却システムの実験・検討を行なった結果、特に、ジャケットと放熱器との間を繋ぐ管内での圧力損失が非常に大きいことを見つけ出した。これは、ジャケットから流出する気液混合体が受ける配管内の摩擦損失が、ジャケット出口から流出する距離に比例し、更に、管路中で管壁に沿って流れる冷媒液が一旦管内を詰まらせてしまうと、前記摩擦損失の約1000倍の圧力損失が発生してしまうためである。かかる冷媒液による管路の閉鎖は、特に、小径管を用いた冷却システムでは、ジャケット出口からの配管長の長さに比例して急激に増大する。この圧力損失が増大すると、ジャケット内の圧力が上昇してしまい、同時に、冷媒の飽和温度も上昇することにより、所定の冷却能力を得られなくなることがある。
特に、上記特許文献1(特開2004−349551号公報)の構造では、上述した小径管を用いる場合、気液混合体を送る管内で液が管壁に付着することにより圧力損失が大きくなってしまう問題点を回避できないことが分かった。なお、本特許文献では、ジャケットと放熱部間の圧力損失低減に関する記載は見られず、本発明が関る液晶プロジェクタなど、小型で高実装密度の製品を対象とするものでないことが分かる。
加えて、上述した液晶プロジェクタなどのような製品では、頻繁に移動すると共に、筐体を傾けて使用される場合も多く、そのため、種々の使用形態であっても、その冷却性能が変しないことが要求される。しかしながら、上記特許文献1に記載されているフロート弁により構成される気液分離器では、その原理上、重力依存がある。即ち、液晶プロジェクタなどの小型電子部品の冷却システムとして採用した場合、特に、筐体を傾けて使用した時には気液分離機能が低減してしまい、そのため、所望の冷却性能が得られなくなるという問題点があった。
更に、上記特許文献2(特開平11−319409号公報)により知られる微小重力状態における気液分離装置では、遠心力を用いて気液を分離することから、小型化が困難であり、狭い空間内において高密度で実装される小型電子部品の冷却システムとして採用するには不向きである。
本発明は、上述した従来技術における問題点に鑑みてなされたもので、液晶プロジェクタなどの電子機器内にも実装可能であり、かつ、相変化を用いた高い冷却能力を発揮する電子機器用沸騰冷却装置とそれを利用した電子機器を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明によれば、まず、電子機器の一部を構成する発熱体と熱的に接続され、その内部に通流する冷媒へ熱を伝達するジャケットと、前記電子機器の筐体内部に設けられ、前記ジャケットの内部を通流する冷媒を駆動する冷却液駆動部と、前記電子機器の筐体内部に設けられ、前記ジャケットにおいて伝達された熱を外部に放出する放熱部と、前記電子機器の筐体内部に設けられ、内部に冷媒を収納するタンクと、前記ジャケット、前記冷却液駆動部、前記放熱部を含め、これら間を接続する配管を備えており、封入された前記冷媒をその内部に循環してなる電子機器用沸騰冷却装置において、前記タンクは、前記ジャケットの出口に接続されると共に、その内部空間が多孔体によって気液混合領域と冷媒液保持領域とに仕切られており、かつ、前記タンクの前記冷媒液保持領域は、前記放熱部と前記冷却液駆動部との間の配管に接続され、前記気液混合領域は、前記ジャケットからの気液混合冷媒の供給口とは異なる開口部を介して前記放熱部へ接続されている電子機器用沸騰冷却装置が提供される。
また、本発明によれば、前記に記載の電子機器用沸騰冷却装置において、前記タンクが、前記ジャケットと前記放熱部との間の距離の半分よりも前記ジャケット側に近接して接続されていることが好ましく、又は、前記タンク内の前記気液混合領域の圧力と前記冷媒液保持領域の圧力の差と、前記タンク内における気液界面の表面張力が釣り合うよう、前記多孔体の孔径が設定されていることが好ましい。又は、前記タンク内の前記冷媒液保持領域には常に冷媒液が保持されていることが好ましい。
また、本発明によれば、前記に記載の電子機器用沸騰冷却装置において、前記タンク内の前記気液混合領域において、互いに異なる方向に開口されていることが、又は、前記ジャケットからの気液混合冷媒の供給口と前記異なる開口部とが、前記タンク内の前記気液混合領域を形成する壁面の互いに異なる壁面に開口されていることが、又は、前記ジャケットからの気液混合冷媒の供給口と前記異なる開口部とが、前記タンク内の前記気液混合領域において、仕切り板により区切られていることが好ましい。又は、前記ジャケットからの気液混合冷媒の供給口の径が、前記異なる開口部の径よりも小さいことが好ましい。或いは、前記タンクと前記ジャケットとを一体に形成することも可能である。
更に、本発明によれば、筐体の内部に発熱体を搭載した電子機器であって、前記のいずれかに記載された電子機器用沸騰冷却装置を構成する前記ジャケットを、当該発熱体に熱的に接続して装着すると共に、前記冷却液駆動部と、前記放熱部と、前記タンクを前記筐体の内部に取り付けた電子機器が提供される。
本発明によれば、ジャケットと放熱器間の圧力損失を低減させることができ、系内で圧力変動が起きてもジャケット壁面温度が変動せず安定し、筐体の姿勢を変えても冷却性能が変わらない沸騰冷却装置を提供すると共に、それを利用することにより、筐体内部に搭載した発熱体を効率的な冷却可能な電子機器を提供することが可能となるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態になる相変化を用いた電子機器用冷却モジュール(沸騰冷却装置)の基本構成を示す図である。図において、発熱体1の側面にはジャケット2が設けられており、このジャケット2の入口(図の左側)には、冷媒が液状で流れる管6が、他方、ジャケットの出口(図の右側)には、気液混合液が流れる管7が設けられている。前記ジャケットの入口配管7の手前には、例えば、電動ポンプにより構成される冷却液駆動部3が取り付けられ、他方、前記ジャケット2の出口近傍には、気液分離機能を兼ねたタンク5が接続されている。なお、このタンク5にて分離された蒸気は、蒸気管8へ流れ込み、その後、放熱器4で凝縮されて配管9を介して前記冷却液駆動部3へ戻り、もって、閉ループを形成する。
前記気液分離機能を兼ねたタンク5は、その内部を多孔体10によって仕切られており、その一方(図では、下方)を冷媒液が保持される領域102とし、他方(図では、上方)をジャケット2から吸入される気液混合状態の冷媒が存在する気液混合領域101としている。そして、冷媒液が保持される領域102は、バイパス管9’を介して、前記放熱器4と冷却液駆動手段3の間に配管されている。なお、前記放熱器4では、前記タンク5で分離された気体状態の冷媒がファン11による冷却風の送風により冷却され、換言すれば、前記発熱体1から放出された熱12が外気へ取り除かれる。
次に、添付の図2は、前記した気液分離機能付きタンク5の構造を示しており、図2(A)は、当該タンク5の全体の断面を示している。即ち、図からも明らかなように、タンク5は、例えば、金属などからなる2個の筐体51、52から構成されており、そして図2(B)にも示すように、これら筐体51、52の端部に形成した鍔部53、53の間に、多孔体10を挟み込み、もって、当該多孔体10を、これによりタンク5の内部を気液混合領域101と冷媒液保持領域102とに仕切るように固定している。そして、前記気液混合領域101には、気液混合体入口管7と蒸気出口管8とが取り付けられており、他方、前記冷媒液保持領域102には、液出口管(バイパス管)9’が取り付けられている。なお、この例では、気液混合体が前記蒸気出口管8から、直接、排出されることを防止するため、気液混合体入口管7をタンク5の側面に対し僅かに(図では、下方に)傾けて設置されている。即ち、これによれば、気液混合体入口管7から導入された気液混合体は、多孔体10に向かって、タンク5内の気液混合領域101へ流れ込み、その後、当該気液混合領域101から前記蒸気出口管8を介して排出される。または、前記蒸気出口管8を気液混合体入口管7よりも太くすることによれば、タンク5内での蒸気の圧縮による圧力損失を低減ことが可能となる。
一方、前記タンク5内には、前記多孔体10の下部に、冷媒液を保持するための冷媒液保持領域(空間)102を設けることにより、以下に詳細に説明するように、当該多孔体10は、常に、冷媒液と接触することとなり、もって、多孔体10から液バイパス管9までの圧力損失を低減することが可能となる。なお、ここで、前記の多孔体10は、例えば、焼結金属や焼結セラミック等を所定の形状に形成したものであり、その内部に数十ミクロン程度の微細な孔が多数形成されたものである。なお、この例では、この多孔体10は矩形の板状のものとして説明したが、その他、円盤状であってもよく(その場合には、タンクは円筒状となる)、その厚さは1〜2mm程度である。または、この多孔体10は、例えば、図2(C)にも示すように、板状又は円盤状の部材に、やはり数十ミクロン(例えば、50μm)程度の微細な貫通孔を多数形成したものでもよい。加えて、上記多孔体10のタンク筐体への固定方法として、例えば、その鍔部へ焼結ベントにより固定してもよい。
続いて、前記にその詳細構造を説明したタンク5内における、前記多孔体10の気液分離機能について、以下、添付の図3により説明する。なお、この図3は、前記多孔体10の1つの溝を部分的に拡大してその断面を示したものであり、気液の分離に表面張力のみを用いる前記多孔体10の気液分離機能の原理を示すものである。
図において、冷媒液(図中「liquid」)が直径D1の空間から直径D2の多孔体へ入るときの表面張力による抵抗力「dF」は、以下の(式1)で表される。
一方、飽和蒸気圧P1と冷却液駆動部手前の圧力P2の差によって発生する力の差は、以下の(式2)で表される。
一方、質量保存の法則からは、以下の(式3)が成り立つため、
上記(式1)(式2)(式3)から、dFγ=dFPとしてまとめると、以下の(式4)の関係が得られる。
ここで、「γ」は、冷媒液の表面張力である。
即ち、この(式4)から、その左辺「P1−P2」が小さい場合は、冷媒液が多孔体10の上部に溜まり、この溜まった冷媒液により「P1−P2」が大きくなり、再び、「P1−P2」が小さくなるまでに必要な量だけ、冷媒液が前記冷却液駆動部3の手前へ送られる機構となる。なお、ここで、前記冷媒液としては、例えば、水、又は、不凍液(例えば、エチレングリコールやプロピレングリコール等)、又は、HFE冷媒(3M社の商標:Hydro Fluoro Ether)などが挙げられる。
即ち、上述した相変化を用いた電子機器用冷却モジュール(沸騰冷却装置)によれば、ジャケット内で冷媒液の沸騰によって発生した気液混合体がジャケット出口近傍に設けられたタンクに流入し、前記タンク内に設けた多孔体によって仕切られた気液混合領域に集まる。このように、多孔体部の気液界面で発生する表面張力を利用することによれば、冷媒液のみが多孔体を通過し、他方、蒸気は通過できない。なお、前記タンク内には、多孔体で区切られた冷媒液が保持される空間があり、この冷媒液保持部は放熱部と冷却液駆動部の間の配管に接続される。一方、タンク内の多孔体によって分離された蒸気は、前記タンク内の気液混合領域から放熱器に送り込まれ凝縮され冷却液駆動部へ戻される。そして、前記タンクの設置位置は、ジャケットと放熱部間距離の半分よりもジャケット側に配管されるので、冷媒液による配管の詰まりが回避される。以上の作用により、ジャケットと放熱器間の配管内で液が付着するのを抑制し、ジャケットと放熱器間の圧力損失を低減するという目的を達成することができる。
また、前記タンク内の多孔体部分では、重力や遠心力を用いず、ジャケット部の圧力と放熱部の圧力と冷却液駆動手段部の圧力との関係を利用した位置(ジャケットの出口近傍)にタンクを設置し、表面張力のみにより気液分離することにより、重力依存の無い気液分離が可能となる。ここで、上記の例で示されるように、タンク内側の面積と多孔体の孔径と冷媒液の表面張力によって規定される力と、飽和蒸気圧と冷却液駆動部手前の圧力差によって規定される力が釣り合うよう多孔体を選択することが重要である。これにより、遠心力を用いていないため、タンクの小型化が可能であり、タンク形状を円筒型にする必要がないので、高密度実装に適している。故に、筐体の姿勢を変えても冷却性能が変わらない沸騰冷却システムの提供という他の目的をも達成することが可能となる。
次に、以上にその詳細構造と共にその気液分離機能の原理を示した多孔体10を備えた前記図1に示した冷却モジュールを、小型化や性能向上に伴って実装密度が増大すると共に、装置内部で発熱量の増加が著しい電子機器の代表例である液晶プロジェクタへ適用した例について、添付の図4〜図6を参照しながら説明する。
図4は、液晶プロジェクタの概略構造を示しており、液晶プロジェクタの筐体200内には、高出力のハロゲンランプとそれを取り囲むパラボラ状のミラー等を含む発光源210と、当該発光源からの光(図の矢印を参照)を3方向に分離するためのハーフミラー221やミラー222、あるいは、図示しないレンズを含む光学系を備えており、これら光学系により分離された光は、それぞれ、青色(B)用液晶パネル231、緑色(G)用液晶パネル232、赤色(R)用液晶パネル233からなる液晶パネル部へ導かれる。これらの青色用液晶パネル231、緑色用液晶パネル232、赤色用液晶パネル233は、それぞれ、映像信号に基づいて、光の3原色を構成する青色、緑色、赤色の画像を形成する。そして、これら青色用液晶パネル231、緑色用液晶パネル232、赤色用液晶パネル233を透過した光は、光合成プリズム240において一つの画像に形成され、更に、投射レンズ250を介して、例えば、図示しないスクリーンなどの投射面に投射されて所望の映像を表示するものである。なお、この図において、符号260は、電源部を示しており、符号265は、上記発光源210や電源部260に送風して冷却を行うためのファンを示している。また、この例では、上記図1にの示した放熱器とファンが、それぞれ、符号4と11により示されている。
基本的には、上述した構成を備えた液晶プロジェクタでは、上記発光源210からの高強度の光に曝されることから、上記の青色用液晶パネル231、緑色用液晶パネル232、赤色用液晶パネル233は高温となってしまい、これらの液晶パネルは、高温下では、所定の性能が得られないことから、これらのパネルを冷却する必要がある。そこで、それぞれの液晶パネルの両面(又は片面でもよい)に冷却用のジャケットを設けると共に、これらジャケットに液体冷媒を循環することにより、液晶パネルをその高温化から保護することが行われている。
なお、上記ジャケット300の一例が添付の図5に示されており、ここでは、上記青色用液晶パネル231、緑色用液晶パネル232、赤色用液晶パネル233の内の一液晶パネル、例えば、青色用液晶パネル用のジャケット300の内部構造が詳細に示されている。
まず、ジャケット300の側断面を示す図5(A)における符号301は、この液晶パネルの主な構成要素であり、その表面に多数のトランジスタ駆動素子が形成された、例えば、ガラスからなるTFT基板を示している。そして、このこのTFT基板301に対向して、やはりガラスからなる対向基板302が配置されており、そして、これらの透明基板301と302の間には液晶303が封入され、もって、青色(B)、緑色(G)、赤色(R)の三原色の一つとなる液晶パネルを構成する。
また、図中の符号304及び305は、所謂、保護ガラス板であり、これらの保護ガラス板は、それぞれ、上記液晶パネルの入射側と出射側に所定の隙間を保持して設けられており、その間に冷媒の流路306、307をそれぞれ形成している。そして、その平面断面を示す図3(b)からも明らかなように、これらTFT基板301、対向基板302、及び、保護ガラス板304、305の周囲を取り囲んで、枠体を形成するケース314が取り付けられている。即ち、上述した液晶パネルが形成された領域(「液晶パネル領域」と言う)を含めたパネルの両側面、具体的には、上記TFT基板301と保護ガラス板304との間、上記対向基板302と保護ガラス板305との間には厚さが一様で扁平な流路306、307が、それぞれ、形成されている。なお、ここでは図示しないが、上記保護ガラス板304、305の入射側及び出射側には、必要に応じて、それぞれ、偏光膜が形成されてもよい。
そして、これら図5(a)及び図5(b)からも明らかなように、上記の基板を取り囲んで形成された枠体を形成するケース314の上方には、液体冷媒の導入管(入口)310と導出管(出口)311が取り付けられており、そして、かかる構造のジャケット300の内部に形成された流路内における冷媒の流れが、矢印によって示されている。
更に、添付の図6には、上述した構造のジャケット300を利用して、上記青色用液晶パネル231、緑色用液晶パネル232、赤色用液晶パネル233の各パネルの熱を取り去るための冷却モジュールの構造が示されている。この図からも明らかなように、各ジャケット300の入口310には、冷媒が液状で流れる配管6が接続されており、他方、各ジャケットの出口には気液混合状の冷媒が流れる管7が設けられている。前記ジャケットの入口配管6の手前には、例えば電動ポンプからなる冷却液駆動部3が取り付けられ、他方、前記ジャケットの出口配管7には、上述した気液分離機能を兼ねたタンク5が接続されている。かかる冷却モジュールの構成において、前記気液分離機能を兼ねたタンク5内で分離された蒸気は蒸気管8へ流れ、その後、前記放熱器4で凝縮されて液状となって前記冷却液駆動部3へ戻り、閉ループを形成する。また、前記気液分離機能を兼ねたタンク5で分離された冷却液は、バイパス管9を介して、前記冷却液駆動部3の手前へ流れる。そして、前記放熱器4では、ファン11による送風により、発熱体1(この場合には、上記3種類のジャケット300)から放出した熱12が、外気へ取り除かれることは、上記の図1で説明したと同様である。
続いて、添付の図7には、上記図2に示した気液分離機能を兼ねたタンク5の変形例(第1の変形例)を示す。なお、本発明の一部である気液分離機構を兼ねたタンク5においては、気液混合体が流れる管7と蒸気出口管8とは、上記多孔体10を境界として規定される気液混合体が入る空間(当該気液混合領域)101であれば、どこでも設置が可能であり、他方、液出口管9は、前記多孔体10を境界にして規定される冷媒液が保持される空間(冷媒液保持領域)102であれば、どこでも設置が可能である。そこで、この他の変形例になる気液分離機能を兼ねたタンク5では、図からも明らかなように、上記タンク5の片面(本例では、左側面)のみに配管することにより、当該タンクの電子機器筐体内への取り付け時の高実装密度化を可能とするものである。なお、この他の変形例では、気液混合体が流れる管7から流入される冷媒液が、蒸気管8へ、直接、流出しない(向かわない)ように、所謂、仕切り板14が取り付けられている。
続いて、添付の図8には、上記図2に示した気液分離機能を兼ねたタンク5の、他の変形例(第2の変形例)を示す。この第2の変形例は、特に、上記タンク5の側面に他の部品が密接した場合を考慮したものであり、当該タンク5の上下面のみに上記の管7、8,9を配管することにより、高密度実装を可能とするものである。なお、この変形例では、気液混合体が流れる管7から流入される液が、タンク5の側面の内壁に衝突し、もって、流入される冷媒液が蒸気管8へ、直接、流出しない(向かわない)ように、気液混合体が流れる管7は、上記タンク5上面に対して傾斜して設置されている。
加えて、添付の図9には、上記図2に示した気液分離機能を兼ねたタンク5の、更に他の変形例(第3の変形例)を示しており、この第3の変形例は、特に、上記タンク5の上下面のみに配管することにより、高密度実装を可能にするものである。なお、上記図9の第2の変形例と大きく異なる点は、気液混合体が流れる管7が、タンク5の内部の奥まで潜り込んでいることである。なお、かかる構成によれば、蒸気管8との間の距離が十分に取れるため、上記図9に示した第2の変形例のように、液混合体が流れる管7を斜めに接続する必要がない。
更に、添付の図10には、上記図2に示した気液分離機能を兼ねたタンク5の、更に他の変形例(第4の変形例)を示しており、この第4の変形例では、上記のジャケット300とタンク5とを一体に形成すると共に、ジャケットとタンクとが直結する構造とすることにより、気液混合体が流れる管7を必要とせず、それ故、更なる高密度実装と共に装置筐体の薄型化を可能とするものである。
なお、以上の説明では、本発明になる冷却モジュールを、電子機器の代表例である液晶プロジェクタへ適用した例について詳細に述べたが、しかしながら、本発明はこれに限定されることなく、その他、例えば、デスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータにおいて、その発熱体でCPUを効率的に冷却するための冷却モジュールとして利用することが出来る。その場合には、特に、上記図10に示したタンク5と一体に形成したジャケット300に、当該発熱体でCPUを搭載することが好適であろう。
1…発熱体、2…ジャケット、3…冷却液駆動部、4…放熱器、5…タンク、6…冷媒が液状で流れる管、7…気液混合体が流れる管、8…蒸気管、9…バイパス管、10…多孔体、101…気液混合体が入る空間、102…冷媒液が保持される空間、11…ファン、12…熱、14…仕切り板
Claims (10)
- 電子機器の一部を構成する発熱体と熱的に接続され、その内部に通流する冷媒へ熱を伝達するジャケットと、
前記電子機器の筐体内部に設けられ、前記ジャケットの内部を通流する冷媒を駆動する冷却液駆動部と、
前記電子機器の筐体内部に設けられ、前記ジャケットにおいて伝達された熱を外部に放出する放熱部と、
前記電子機器の筐体内部に設けられ、内部に冷媒を収納するタンクと、
前記ジャケット、前記冷却液駆動部、前記放熱部を含め、これら間を接続する配管を備えており、封入された前記冷媒をその内部に循環してなる電子機器用沸騰冷却装置において、
前記タンクは、前記ジャケットの出口に接続されると共に、その内部空間が多孔体によって気液混合領域と冷媒液保持領域とに仕切られており、かつ、前記タンクの前記冷媒液保持領域は、前記放熱部と前記冷却液駆動部との間の配管に接続され、前記気液混合領域は、前記ジャケットからの気液混合冷媒の供給口とは異なる開口部を介して前記放熱部へ接続されていることを特徴とする電子機器用沸騰冷却装置。 - 前記請求項1に記載の電子機器用沸騰冷却装置において、前記タンクが、前記ジャケットと前記放熱部との間の距離の半分よりも前記ジャケット側に近接して接続されていることを特徴とする電子機器用沸騰冷却装置。
- 前記請求項1に記載の電子機器用沸騰冷却装置において、前記タンク内の前記気液混合領域の圧力と前記冷媒液保持領域の圧力の差と、前記タンク内における気液界面の表面張力が釣り合うよう、前記多孔体の孔径が設定されていることを特徴とする電子機器用沸騰冷却装置。
- 前記請求項1に記載の電子機器用沸騰冷却装置において、前記タンク内の前記冷媒液保持領域には常に冷媒液が保持されていることを特徴とする電子機器用沸騰冷却装置。
- 前記請求項1に記載の電子機器用沸騰冷却装置において、前記ジャケットからの気液混合冷媒の供給口と前記異なる開口部とが、前記タンク内の前記気液混合領域において、互いに異なる方向に開口されていることを特徴とする電子機器用沸騰冷却装置。
- 前記請求項1に記載の電子機器用沸騰冷却装置において、前記ジャケットからの気液混合冷媒の供給口と前記異なる開口部とが、前記タンク内の前記気液混合領域を形成する壁面の互いに異なる壁面に開口されていることを特徴とする電子機器用沸騰冷却装置。
- 前記請求項1に記載の電子機器用沸騰冷却装置において、前記ジャケットからの気液混合冷媒の供給口と前記異なる開口部とが、前記タンク内の前記気液混合領域において、仕切り板により区切られていることを特徴とする電子機器用沸騰冷却装置。
- 前記請求項1に記載の電子機器用沸騰冷却装置において、前記ジャケットからの気液混合冷媒の供給口の径が、前記異なる開口部の径よりも小さいことを特徴とする電子機器用沸騰冷却装置。
- 前記請求項1に記載の電子機器用沸騰冷却装置において、前記タンクと前記ジャケットとを一体に形成したことを特徴とする電子機器用沸騰冷却装置。
- 筐体の内部に発熱体を搭載した電子機器であって、前記請求項1〜9のいずれか一の請求項に記載された電子機器用沸騰冷却装置を構成する前記ジャケットを、当該発熱体に熱的に接続して装着すると共に、前記冷却液駆動部と、前記放熱部と、前記タンクを前記筐体の内部に取り付けたこをと特徴とする電子機器。
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2006
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