JP2008130460A - 固体高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体 - Google Patents

固体高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体 Download PDF

Info

Publication number
JP2008130460A
JP2008130460A JP2006316308A JP2006316308A JP2008130460A JP 2008130460 A JP2008130460 A JP 2008130460A JP 2006316308 A JP2006316308 A JP 2006316308A JP 2006316308 A JP2006316308 A JP 2006316308A JP 2008130460 A JP2008130460 A JP 2008130460A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer electrolyte
electrolyte membrane
membrane
solid polymer
cerium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006316308A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4765908B2 (ja
Inventor
Eiji Endo
栄治 遠藤
Yoshitake Doi
義岳 土居
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2006316308A priority Critical patent/JP4765908B2/ja
Priority to EP07017909A priority patent/EP1926165A1/en
Priority to US11/854,822 priority patent/US9711817B2/en
Publication of JP2008130460A publication Critical patent/JP2008130460A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4765908B2 publication Critical patent/JP4765908B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/10Fuel cells with solid electrolytes
    • H01M8/1016Fuel cells with solid electrolytes characterised by the electrolyte material
    • H01M8/1018Polymeric electrolyte materials
    • H01M8/1039Polymeric electrolyte materials halogenated, e.g. sulfonated polyvinylidene fluorides
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/10Fuel cells with solid electrolytes
    • H01M8/1016Fuel cells with solid electrolytes characterised by the electrolyte material
    • H01M8/1018Polymeric electrolyte materials
    • H01M8/102Polymeric electrolyte materials characterised by the chemical structure of the main chain of the ion-conducting polymer
    • H01M8/1025Polymeric electrolyte materials characterised by the chemical structure of the main chain of the ion-conducting polymer having only carbon and oxygen, e.g. polyethers, sulfonated polyetheretherketones [S-PEEK], sulfonated polysaccharides, sulfonated celluloses or sulfonated polyesters
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M8/00Fuel cells; Manufacture thereof
    • H01M8/10Fuel cells with solid electrolytes
    • H01M8/1016Fuel cells with solid electrolytes characterised by the electrolyte material
    • H01M8/1018Polymeric electrolyte materials
    • H01M8/1041Polymer electrolyte composites, mixtures or blends
    • H01M8/1046Mixtures of at least one polymer and at least one additive
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M2300/00Electrolytes
    • H01M2300/0017Non-aqueous electrolytes
    • H01M2300/0065Solid electrolytes
    • H01M2300/0082Organic polymers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/88Processes of manufacture
    • H01M4/8803Supports for the deposition of the catalytic active composition
    • H01M4/881Electrolytic membranes
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Sustainable Energy (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

【課題】高いエネルギー効率での発電が可能であり、供給ガスの露点によらず、高い発電性能を有し、かつ長期間に渡って安定した発電が可能な、固体高分子型燃料電池用の固体高分子電解質膜を提供する。
【解決手段】セリウムイオンと抱接化合物を形成できる有機化合物(X)とセリウムイオンとを含有するか、又は、セリウムイオンを抱接した有機化合物(X)からなる抱接化合物(Y)を含有する、スルホン酸基を有する高分子電解質からなる固体高分子電解質膜。並びに、該固体高分子電解質膜の層とその両面に設けられた触媒層とを有する、燃料電池用の膜電極接合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、初期の出力電圧が高く、長期に渡って高い出力電圧を得られる固体高分子型燃料電池用の固体高分子電解質膜、及び該固体高分子電解質膜を有する膜電極接合体に関する。
燃料電池は、原料となるガスの反応エネルギーを直接電気エネルギーに変換する電池であり、水素・酸素燃料電池は、その反応生成物が原理的に水のみであり地球環境への影響がほとんどない。なかでも電解質膜として固体高分子電解質の膜を使用する固体高分子型燃料電池は、高いイオン導電性を有する固体高分子電解質膜が開発され、常温でも作動でき高出力密度が得られるため、近年のエネルギー、地球環境問題への社会的要請の高まりとともに、電気自動車用等の移動車両や、小型コージェネレーションシステムの電源として大きな期待が寄せられている。
固体高分子型燃料電池では、通常、固体高分子電解質膜としてプロトン伝導性のイオン交換膜が使用され、特にスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜が基本特性に優れている。固体高分子型燃料電池では、イオン交換膜の両面にガス拡散性の電極層を配置し、燃料である水素を含むガス及び酸化剤となる酸素を含むガス(空気等)を、それぞれアノード及びカソードに供給することにより発電を行う。
固体高分子型燃料電池のカソードにおける酸素の還元反応は過酸化水素(H)を経由して反応が進行することから、電極層中で生成する過酸化水素又は過酸化物ラジカルによって、電解質膜の劣化を引き起こす可能性が懸念されている。また、アノードには、カソードから酸素分子が膜内を透過してくるため、同様に過酸化水素又は過酸化物ラジカルを生成することも懸念される。特に炭化水素系重合体の膜を固体高分子電解質膜とする場合は、ラジカルに対する安定性に乏しく、長期間にわたる運転においては大きな問題となっていた。
炭化水素系重合体に対し、ラジカルに対する安定性が格段に優れる重合体として、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体が知られている。近年、これらのパーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜を用いた固体高分子型燃料電池は、自動車用、住宅用市場等の電源として期待され、実用化への要望が高まり開発が加速している。これらの用途では、特に高い効率での運転が要求されるため、より高い電圧での運転が望まれると同時に低コスト化が望まれている。また、燃料電池システム全体の効率の点から低加湿又は無加湿での運転が要求されることも多い。
しかし、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜を用いた燃料電池においても、高加湿下での運転では安定性が非常に高いものの、低加湿又は無加湿での運転条件においては、電圧劣化が大きいことが報告されている(非特許文献1参照)。すなわち、低加湿又は無加湿での運転条件においては、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなるイオン交換膜においても過酸化水素又は過酸化物ラジカルにより電解質膜の劣化が進行するものと考えられる。
特開2001−118591号公報(請求項1、2頁2〜9行) 特開平6−103992号公報(問題を解決するための手段、2頁33〜37行) 新エネルギー・産業技術総合開発機構主催 平成12年度固体高分子形燃料電池研究開発成果報告会要旨集、56頁16〜24行
そこで本発明は、車載用、住宅用市場等への固体高分子型燃料電池を実用化において、十分に高いエネルギー効率での発電が可能であり、供給ガスの加湿温度(露点)がセル温度よりも低い低加湿又は無加湿での運転、セル温度に近い温度で加湿する高加湿での運転のどちらにおいても、高い発電性能を有し、かつ長期間にわたって安定した発電が可能な固体高分子型燃料電池用の膜を提供することを目的とする。
本発明は、下記固体高分子電解質膜及びその膜を用いた下記膜電極接合体を提供する。
下記(1)〜下記(3)のいずれかを含む、スルホン酸基を有する高分子電解質からなる固体高分子電解質膜。
(a)セリウムイオン、及び、セリウムイオンと抱接化合物を形成できる有機化合物(X)
(b)セリウムイオンを抱接した前記有機化合物(X)からなる抱接化合物(Y)
(c)セリウムイオン及び前記有機化合物(X)の少なくとも一方、及び、前記抱接化合物(Y)
上記固体高分子電解質膜の層、及び、該固体高分子電解質膜の両面に設けられ、かつ触媒と導電物質とイオン交換樹脂とを含む触媒層を有する、燃料電池用膜電極接合体。
本発明の固体高分子電解質膜は過酸化水素又は過酸化物ラジカルに対して優れた耐性を有するため、本発明の固体高分子電解質膜を有する膜電極接合体を備える固体高分子型燃料電池は、耐久性に優れ、長期にわたって安定な発電が可能である。
本発明においては、固体高分子電解質膜中に前記(a)〜(c)のいずれかを含むことを特徴とする。すなわち、セリウムイオンと前記有機化合物(X)の両者を含む、前記抱接化合物(Y)を含む、又は、セリウムイオン及び前記有機化合物(X)の少なくとも一方と前記抱接化合物(Y)とを含む、ことを特徴とする。膜中においては、セリウムイオンと有機化合物(X)とが完全に抱接化合物を形成しているかどうか、単に両者が共存しているかどうか、又は、両者が抱接−解離の平衡反応を行っているかどうか、は不明であるが、これらを膜中に存在させることにより、電解質膜の過酸化水素又は過酸化物ラジカル耐性を効果的に向上させていると推定される。ここで膜中又は抱接化合物(Y)中に存在するセリウムイオンの価数は+3価でも+4価でもよく、また抱接化合物(Y)の価数も+3価であっても+4価であってもよい。
本発明における抱接化合物とは、ある一種の分子のつくる格子構造の中に他の原子ないし分子が規則的に一定の割合で閉じ込められた形を成す一種の付加化合物をいう。格子構造はかご状、筒状、層状のいずれでもよく、かご状のものをとくにクラスレート化合物とよぶこともある(志田正二編、森北出版、1981年第1版発行1518頁)。抱接化合物を形成する有機化合物としては、例えばカリックスアレーン(シクロファン)類、クラウンエーテル類、シクロデキストリン類などが挙げられる。
本発明においてセリウムイオンと抱接化合物を形成できる有機化合物(X)としてはクラウンエーテル類が好ましい。クラウンエーテル類とは、クラウンエーテル、及びクラウンエーテル構造を有するその誘導体を意味する。具体的には、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6などのクラウンエーテル、及び、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、(+)−(18−クラウン−6)−2,3,11,12−テトラカルボン酸等のクラウンエーテル誘導体、クラウンに長い鎖のついたラリアットや2環式のクラウンであるクリプタンドなどの上記以外のクラウンエーテル類が挙げられる。
これらのクラウンエーテル類は、(−CH−CH−Y−)ユニットの繰り返し構造を有する環を有する化合物であり、YはO、S、N、P等のヘテロ原子である。この化合物は、この環の中に金属イオンのようなカチオンを捕まえ、抱接化合物を形成する能力を有する。本発明においては、これらのクラウンエーテル類の中でも15−クラウン−5又は18−クラウン−6を用いるが、これらのクラウンエーテルは、セリウムイオンの大きさの観点から、セリウムイオンを閉じ込めやすいので好ましい。
本発明において、上記(a)〜(c)は、電解質膜中でどのような状態で存在してもかまわず、電解質膜中で均一に存在している必要もない。例えば、上記(a)〜(c)は固体高分子電解質膜の厚さ方向に濃度勾配を有して存在していてもよく、多層構造の固体高分子電解質膜において上記(a)〜(c)のいずれも含まない層が存在していてもよい。したがって、特にアノード側について過酸化水素又は過酸化物ラジカルに対する耐久性を高める必要がある場合は、アノードに接する表面近傍に高濃度に又はアノードに一番近い層のみに、上記(a)〜(c)を含有させることもできる。
本発明の固体高分子電解質膜を得る方法は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)スルホン酸基を有する高分子電解質膜を、セリウムイオンを含む溶液中に浸漬してスルホン酸基をセリウムイオンにイオン交換した後、有機化合物(X)を含む溶液に浸漬して、膜中に有機化合物(X)を含ませる。
(2)スルホン酸基を有する高分子電解質の分散液中に可溶性セリウム化合物を添加してスルホン酸基をセリウムイオンにイオン交換した後、該分散液に有機化合物(X)を含む溶液又は固体を添加し、得られた液を用いて塗工により製膜する方法。
(3)溶媒中でセリウム塩と有機化合物(X)を反応させて抱接化合物(Y)を形成し、次に抱接化合物(Y)を溶媒に溶解した溶液にスルホン酸基を有する高分子電解質膜を浸漬してスルホン酸基を抱接化合物(Y)にイオン交換して、抱接化合物(Y)を膜中に含ませる方法。
(4)溶媒中でセリウム塩と有機化合物(X)を反応させて抱接化合物(Y)を形成し、次に抱接化合物(Y)又はその溶液をスルホン酸基を有する高分子電解質の分散液中に添加し、得られた液を用いて塗工により製膜する。
(2)及び(4)の塗工の方法としては、ダイコート法、スピンコート法、グラビア印刷、スクリーン印刷などの通常の塗工方法を用いることが可能である。
セリウムイオンは+3価でも+4価でも用いることができるため、セリウムイオンを含む溶液を得るために各種のセリウム塩が使用できる。+3価のセリウムイオンを含む塩を具体的に挙げると、例えば、酢酸セリウム(Ce(CHCOO)・HO)、塩化第一セリウム(CeCl・6HO)、硝酸第一セリウム(Ce(NO・6HO)、硫酸第一セリウム(Ce(SO・8HO)等が挙げられる。+4価のセリウムイオンを含む塩としては、例えば、硫酸第二セリウム(Ce(SO・4HO)、硝酸二アンモニウムセリウム(Ce(NH(NO)、硝酸四アンモニウムセリウム(Ce(NH(NO))・4HO)等が挙げられる。またセリウムの有機金属錯塩としてはセリウムアセチルアセトナート(Ce(CHCOCHCOCH・3HO)等が挙げられる。
なお、以下セリウムイオンと前記クラウンエーテル類が反応して生成した抱接化合物(Y)をセリウム/クラウンエーテル抱接化合物、又は(Ce/Crown)n+と表現する。
このセリウム/クラウンエーテル抱接化合物の価数が3価である場合、スルホン酸基が前記セリウム/クラウンエーテル抱接化合物によりイオン交換されると、下記に示すようにセリウム/クラウンエーテル抱接化合物、(Ce/Crown)3+が3個の−SO と結合すると考えられる。
Figure 2008130460
本発明の固体高分子電解質膜は、過酸化水素又は過酸化物ラジカルに対して優れた耐性を有する。この理由は明確ではないが、電解質膜中にセリウムイオンと有機化合物(X)を含むことにより、少なくともそれらの一部が抱接化合物(Y)を形成し、それがスルホン酸基(−SO )との相互作用を行って、スルホン酸基の一部が抱接化合物(Y)でイオン交換されてこの様な構造を形成することにより、高分子電解質膜の過酸化水素又は過酸化物ラジカル耐性を効果的に向上させていると推定される。電解質膜中に予め製造した抱接化合物(Y)を含有させた場合も同様であると推定される。
本発明において、固体高分子電解質膜はセリウムイオンと有機化合物(X)をそれらの合計量として固体高分子電解質膜に対して、0.5〜80質量%であることが好ましい。ただし、ここにおいて抱接化合物(Y)は両者の混合物とみなすものとする。すなわち、セリウムイオンと有機化合物(X)を別個に又は単に混合して高分子電解質に配合した場合は、高分子電解質中で抱接化合物(Y)が生成していたとしてもその量は考慮せずに、配合したセリウムイオンと有機化合物(X)の合計量のみを計算の対象とする。また、予め抱接化合物(Y)を形成した後にそれを高分子電解質に配合した場合は、その抱接化合物(Y)の量はその抱接化合物(Y)を形成したセリウムイオンと有機化合物(X)の合計量とする。さらに、抱接化合物(Y)を形成したセリウムイオンと有機化合物(X)以外にさらに抱接化合物(Y)を形成していないセリウムイオンと有機化合物(X)が存在する場合はそれも計算の対象とする。
上記セリウムイオンと有機化合物(X)の合計の含有量はより好ましくは1〜60質量%、さらに好ましくは2〜50質量%である。上記セリウムイオンと有機化合物(X)の合計の含有率がこの範囲よりも小さいと過酸化水素又は過酸化物ラジカルに対する十分な安定性が確保できないおそれがある。また上記セリウムイオンと有機化合物(X)の合計の含有率がこの範囲よりも大きいと、水素イオンの十分な伝導性を確保することができず、膜抵抗が増大して発電特性が低下するおそれがある。
本発明において、固体高分子電解質膜中に含まれるセリウムイオンと有機化合物(X)の相対比は、セリウムイオン1モルに対し有機化合物(X)0.2〜1.2モルの割合であることが好ましい。ただし、この相対比においても上記と同様に抱接化合物(Y)は両者の混合物とみなす。抱接化合物(Y)は通常セリウムイオン1個と有機化合物(X)1分子の反応生成物であることより、セリウムイオン1モルに対し有機化合物(X)1モルの割合からはずれている場合は過剰側が抱接化合物(Y)を形成することなく固体高分子電解質膜中に含まれていると考えられる。ただし、固体高分子電解質膜中のセリウムイオンと有機化合物(X)が事実として抱接化合物(Y)を形成しているか否かは、前記のように不明である。
本発明において前記(a)〜(c)のいずれかを含有させる前のスルホン酸基を有する高分子電解質としては特に限定されないが、そのイオン交換容量は0.5〜3.0ミリ当量/g乾燥樹脂であることが好ましく、特に0.7〜2.5ミリ当量/g乾燥樹脂であることが好ましい。イオン交換容量が0.5ミリ当量/g乾燥樹脂未満では、充分なイオン導電性を有しないからであり、イオン交換容量が3.0ミリ当量/g乾燥樹脂超では、ゲル状になり膜の形成ができないからである。特に好ましい範囲は1.0から2.5ミリ当量/g乾燥樹脂である。
また、耐久性の観点から当該高分子電解質は含フッ素重合体であることが好ましく、特にパーフルオロカーボン重合体(エーテル結合性の酸素原子を含んでいてもよい)であることが好ましい。すなわち、当該高分子電解質は、スルホン酸基含有パーフルオロカーボン重合体であることが好ましい。パーフルオロカーボン重合体としては特に限定されないが、−(OCFCFX)−O−(CF−SOHで表されるスルホン酸基含有側鎖(mは0〜3の整数を示し、nは1〜12の整数を示し、pは0又は1を示し、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を示す。)を有するパーフルオロカーボン重合体であることが好ましい。
スルホン酸基含有パーフルオロカーボン重合体は、通常、−SOF基を有するパーフルオロビニル化合物と他のパーフルオロビニル化合物を共重合して−SOF基を有する共重合体を製造した後、該共重合体の−SOF基をスルホン酸基に変換して得られる。従って、上記スルホン酸基含有側鎖を有するパーフルオロカーボン重合体は、CF=CF−(OCFCFX)−O−(CF−SOFで表されるパーフルオロビニル化合物(m、n、p、Xは上記に同じ)を他のパーフルオロビニル化合物(特にテトラフルオロエチレンが好ましい)と共重合し、得られた共重合体の−SOF基を−SOH基に変換して得られる。
上記パーフルオロビニル化合物の好ましい例をより具体的に示すと、下記式(i)〜(iii)で表される化合物が挙げられる。ただし、下記式中、qは1〜8の整数、rは1〜8の整数、tは1〜3の整数を示す。
Figure 2008130460
スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体を用いる場合、重合体の末端は安定化されていることが好ましい。重合体の末端が安定化されていると、より過酸化水素や過酸化物ラジカルに対する安定性が優れるため耐久性が向上する。末端安定化する方法としてはパーフルオロビニル化合物と他のパーフルオロビニル化合物と共重合し、その後フッ素等でフッ素化する方法が好ましい。
また、本発明における高分子電解質として、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体以外のスルホン酸基を有する重合体も使用できる。例えば高分子の主鎖又は主鎖と側鎖に共に芳香環を有しており、該芳香環にスルホン酸基が導入された構造を有する高分子化合物であって、イオン交換容量が0.8〜3.0ミリ当量/g乾燥樹脂である高分子化合物が好ましく使用できる。
具体的には、スルホン化ポリアリーレン、スルホン化ポリベンゾオキサゾール、スルホン化ポリベンゾチアゾール、スルホン化ポリベンゾイミダゾール、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリフェニレンスルホン、スルホン化ポリフェニレンオキシド、スルホン化ポリフェニレンスルホキシド、スルホン化ポリフェニレンサルファイド、スルホン化ポリフェニレンスルフィドスルホン、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルケトンケトン、スルホン化ポリイミド等が挙げられる。
本発明の電解質膜は、高分子電解質と前記(a)〜(c)以外に他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンやパーフルオロアルキルエーテル等の樹脂の繊維、織布、不織布、多孔体等からなる補強材がある。補強材で補強された膜の場合でも、前記と同様にその電解質膜中に前記(a)〜(c)を含ませることができる。例えば、補強された電解質膜を、セリウムイオンを含む溶液中に浸漬した後、前記(1)の方法で膜中にセリウムイオンと有機化合物(X)を含有させることにより、本発明の電解質膜が得られる。また、セリウムイオンと有機化合物(X)と高分子電解質を含む分散液を用いて補強材とともに製膜する方法でも本発明の電解質膜が得られる。
本発明はまた前記固体高分子電解質膜の層を有する燃料電池用膜電極接合体である。この膜電極接合体は、前記固体高分子電解質膜の層、及び、該固体高分子電解質膜の両面に設けられ、かつ触媒と導電物質とイオン交換樹脂とを含む触媒層を有する、燃料電池用膜電極接合体である。さらにこの膜電極接合体は、両触媒層の外側にそれぞれガス拡散層をさらに有することが好ましい。
本発明の膜電極接合体は、前記本発明の電解質膜の両面に、触媒と導電物質とイオン交換樹脂とを含む触媒層を有する膜電極接合体である。2つの触媒層はそれぞれアノード及びカソードとなる。膜電極接合体のアノード及びカソードは、それぞれ触媒層の外側(膜と反対側)に多孔質導電シートからなるガス拡散層を有することが好ましい。多孔質導電シートとしては、カーボンクロスやカーボンペーパー等からなる炭素繊維シートが好ましい。固体高分子型燃料電池は、通常、膜電極接合体の両面に燃料ガス又は酸化剤ガスの通路となる溝が形成されたセパレータが配置され、セパレータを介して膜電極接合体が複数積層された構成(スタック)を有する。固体高分子型燃料電池のアノード側には水素ガスが供給され、カソード側には酸素又は空気が供給される。アノードにおいてはH→2H+2eの反応が起こり、カソードにおいては1/2O+2H+2e→HOの反応が起こり、化学エネルギーが電気エネルギーに変換される。また、本発明の電解質膜や膜電極接合体は、アノード側に燃料ガスではなくメタノールを供給する直接メタノール燃料電池にも使用できる。
上述の膜電極接合体は通常の手法に従い、触媒と導電物質とイオン交換樹脂の溶液とを混合し均一な分散液を得て、例えば以下のいずれかの方法でガス拡散電極(触媒層とガス拡散層とが積層された電極)を形成して得ることができる。触媒としては白金触媒微粒子や白金合金触媒微粒子が好ましく、導電物質としてはカーボンブラックなどの炭素系導電物質が好ましい。触媒微粒子は通常導電物質に担持して用いられる。
第1の方法は、電解質膜の両面に上記分散液を塗布し乾燥後、両面を2枚の炭素繊維シートで密着する方法である。第2の方法は、上記分散液を2枚の炭素繊維シート上に塗布乾燥後、分散液が塗布された面が上記電解質膜と密着するように、上記電解質膜の両面から挟みこむ方法である。なお、ここで炭素繊維シートは触媒を含む層により均一にガスを拡散させるためのガス拡散層としての機能と集電体としての機能を有するものである。また、別途用意した基材に上記分散液を塗工して触媒層を作製し、転写等の方法により電解質膜と接合させた後に基材を剥離し、上記炭素繊維シートで挟み込む方法も使用できる。
触媒層中に含まれるイオン交換樹脂は特に限定されないが、前記のスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体であることが好ましい。触媒層中のイオン交換樹脂は、本発明の電解質膜と同様に前記(a)〜(c)のいずれかを含んでいてもよい。例えば、セリウムイオンと有機化合物(X)を含むイオン交換樹脂は、アノードにもカソードにも用いることができ、樹脂の分解は効果的に抑制されるので、固体高分子型燃料電池はさらに耐久性が付与される。
触媒層中のイオン交換樹脂と電解質膜の両方に前記(a)〜(c)のいずれかを含有させたい場合は、触媒層と電解質膜とを組み合わせた後に前記(a)〜(c)のいずれかを含有させることもできる。例えば触媒層と電解質膜との接合体をあらかじめ作製し、前記(1)の方法で触媒層中のイオン交換樹脂及び電解質膜中にセリウムイオンと有機化合物(X)を含有させることも可能である。
以下、本発明を具体的に実施例(例1〜2)及び比較例(例3〜5)を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例、比較例に使用したスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体は、CF=CFとCF=CFOCFCF(CF)O(CFSOFを共重合して得られた共重合体の−SOF基を−SOHに変換して得た重合体である。また、使用した略称は以下の通りである。
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン。
ETFE:エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー。
[例1]
スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(イオン交換容量1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)300gとエタノール420gと水280gとを2Lオートクレーブに仕込み、密閉し、ダブルヘリカル翼にて105℃で6時間混合撹拌して均一な液(以下、溶液Aという)を得た。溶液Aの固形分濃度は30質量%であった。
300mlガラス製丸底フラスコに、溶液Aを100gと、炭酸セリウム水和物(Ce(CO・8HO)1.00gとを仕込み、PTFE製半月板翼にて、室温で8時間撹拌した。撹拌開始よりCO発生による気泡が発生したが、最終的には均一な透明の液状組成物Cを得た。
次に、この組成物Cを100μmのETFEシート(商品名:アフレックス100N、旭硝子社製)上に、ダイコータにてキャスト塗工し、80℃で10分予備乾燥した後、120℃、10分乾燥し、さらに150℃、30分のアニールを施し、膜厚50μmの固体高分子電解質膜を得た。
この高分子電解質膜から、5cm×5cmの大きさの膜を切り出し、乾燥窒素中で16時間放置した後、この膜を灰化し、ICP分光分析にて測定することで、高分子電解質膜中のセリウムを確認のため、定量したところ、セリウム量は膜の質量に対して炭酸セリウム水和物の添加量に相当する1.5%であった。
次に、クラウンエーテル類として、アルドリッチ社製18−クラウン−6の0.87gを前記の液状組成物Cに添加し、室温で24時間撹拌して均一な透明の液状組成物Dを得た。得られた液状組成物Dの固形分濃度は30.9質量%であった。
この組成物Dを100μmのETFEシート(商品名:アフレックス100N、旭硝子社製)上に、ダイコータにてキャスト塗工し、80℃で10分予備乾燥した後、120℃、10分乾燥し、さらに150℃、30分のアニールを施し、膜厚50μmの固体高分子電解質膜を得た。
ここで、前述の液状組成物Dを作成した際に添加した0.87gの18−クラウン−6の膜中の含有量は膜の質量に対して2.8%に相当することから、膜中には1.5%のセリウム及び2.8%の18−クラウン−6を合算した4.3%が膜の質量に対し含有することがわかった。
次に、白金微粒子がカーボンブラック担体(比表面積800m/g)に担持された触媒担持カーボンブラック粉末(白金微粒子担持量50%、エヌ・イーケムキャット社製)1.0gに、蒸留水5.1gを混合した。この混合液にスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(イオン交換容量1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)をエタノールに分散させた固形分濃度9質量%の液5.6gを混合した。この混合物をホモジナイザー(商品名:ポリトロン、キネマチカ社製)を使用して混合、粉砕させ、触媒層形成用塗工液Eを作製した。
この塗工液Eを、ポリプロピレン製の基材フィルムの上にバーコータで塗工した後、80℃の乾燥器内で30分間乾燥させて触媒層を作製した。なお、触媒層形成前の基材フィルムのみの質量と触媒層形成後の基材フィルムの質量を測定することにより、触媒層に含まれる単位面積あたりの白金の量を算出したところ、0.5mg/cmであった。
次に、上述のセリウムと18−クラウン−6を含む高分子電解質膜を用い、この膜の両面に上述の基材フィルム上に形成された触媒層をそれぞれ配置し、ホットプレス法により触媒層を膜に転写してアノード触媒層及びカソード触媒層を高分子電解質膜の両面にそれぞれ接合した、膜触媒層接合体を得た。なお、電極面積は16cmであった。
この膜触媒層接合体を厚さ350μmのカーボンクロスからなるガス拡散層2枚の間に挟んで膜電極接合体を作製し、これを発電用セルに組み込み、加速試験として開回路試験(OCV試験)を行った。試験は、常圧で、電流密度0.2A/cmに相当する水素(利用率70%)及び空気(利用率40%)をそれぞれアノード及びカソードに供給し、セル温度は90℃、アノードガスの露点は60℃、カソードガスの露点は60℃として、発電は行わずに開回路状態で100時間運転し、その間の電圧変化を測定した。また、試験前後にアノードに水素、カソードに窒素を供給し、膜を通してアノードからカソードにリークする水素ガス量を分析し、膜の劣化の程度を調べた。結果を表1に示す。
次に、上記同様に膜電極接合体を作製して発電用セルに組み込み、低加湿での運転条件における耐久性試験を行った。試験条件は、常圧にて、水素(利用率70%)/空気(利用率40%)を供給し、セル温度80℃において電流密度0.2A/cmにおける固体高分子形燃料電池の初期特性評価及び耐久性評価を実施した。アノード側は露点80℃、カソード側は露点50℃となるようにそれぞれ水素及び空気を加湿してセル内に供給し、運転初期のセル電圧及び運転開始後の経過時間とセル電圧との関係を測定した。結果を表2に示す。また、上記のセルの評価条件において、カソード側の露点を80℃に変更した以外は同様にして、運転初期のセル電圧及び運転開始後の経過時間とセル電圧との関係を測定した。評価結果を表3に示す。
次に、同様に膜電極接合体を作製して発電用セルに組み込み、低加湿、120℃での運転条件における耐久試験を行った。アノード及びカソードとも200kPaに加圧し、水素(利用率50%)/空気(利用率50%)を供給し、セル温度120℃において電流密度0.2A/cmにおける固体高分子型燃料電池の初期特性評価及び耐久性評価を実施した。アノード側は露点100℃、カソード側は露点100℃としてそれぞれ水素及び空気を加湿してセル内に供給し、運転初期のセル電圧及び運転開始後の経過時間とセル電圧との関係を測定した。結果を表4に示す。
[例2]
例1と同様に作成した均一な透明の液状組成物Cを用い、炭酸セリウム水和物のセリウムと等モルのクラウンエーテルとして、アルドリッチ社製15−クラウン−5の0.73gを前記の均一な透明の液状組成物Cに添加し、室温で24時間撹拌して均一な透明の液状組成物Fを得た。次に例1と同様にして、セリウム及び15−クラウン−5の合算の質量は、膜に対して3.9%となることがわかった。
次に、上記液状組成物Fを用いた以外は例1と同様の手法で膜厚50μmの固体高分子電解質膜を作成し、例1と同様の手法でこの膜に電極層を接合して膜/電極接合体を作成し、例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
[例3]
固体高分子電解質膜として、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体からなる厚さ50μmのイオン交換膜(イオン交換容量1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)であって、大きさ5cm×5cm(面積25cm)を使用した。この膜全体の重さを乾燥窒素中で16時間放置した後、乾燥窒素中で測定したところ、0.251gであった。この膜のスルホン酸基の量は以下の式により求められる。
0.251×1.1(1.1ミリ当量/g乾燥樹脂)=0.276(ミリ当量)。
次に、この膜のスルホン酸基量の60%の量に相当するセリウムイオン(+3価)を含むように、硝酸第一セリウム(Ce(NO・6HO)24.0mgを500mLの蒸留水に溶解し、この中に上記イオン交換膜を浸漬し、室温で40時間、スターラーを用いて撹拌を行ってイオン交換膜中のスルホン酸基の一部をセリウムイオンにイオン交換した。なお、浸漬前後の硝酸第一セリウム溶液をイオンクロマトグラフィーにより分析した結果、このイオン交換膜のセリウムイオンのイオン交換換率(膜中の−SO 基の数に対するセリウムイオンにより置換された割合)は58%であることが判明した。この膜中のセリウムの含量は2.94質量%であった。なお、この膜を1モル/Lのリン酸水溶液に室温で60時間浸漬した結果、X線回折により膜中にリン酸セリウムが析出することが確認された。次に、この膜を用い、例1と同様の手法でこの膜に電極層を接合して膜/電極接合体を作成し、例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
[例4]
300mlガラス製丸底フラスコに、溶液Aを100gを用い、これにアルドリッチ社製18−クラウン−6の0.87gを仕込み、PTFE製半月板翼にて、室温で24時間撹拌して、均一な透明の液状組成物Fを得た。次に、この組成物Fを100μmのETFEシート(商品名:アフレックス100N、旭硝子社製)上に、ダイコータにてキャスト塗工し、80℃で10分予備乾燥した後、120℃、10分乾燥し、さらに150℃、30分のアニールを施し、膜厚50μmの固体高分子電解質膜を得た。
次に、この膜を用い、例1と同様の手法でこの膜に電極層を接合して膜電極接合体を作成し、例1と同様の評価を行った。結果を表1〜4に示す。
[例5]
固体高分子電解質膜として、例3で用いたものと同じイオン交換膜を何も処理せずに用い、次に、この膜を用いて例1と同様にして膜電極接合体を得た。この膜電極接合体について例1と同様の評価を行ったところ、表1〜4に示す結果のとおりとなった。
Figure 2008130460
Figure 2008130460
Figure 2008130460
Figure 2008130460
上記実施例及び比較例の結果より、加速試験である高温・低加湿の開回路試験(OCV試験)においては、アノード及びカソードで生成する過酸化水素又は過酸化物ラジカルによって、従来の電解質膜は劣化して水素リークが増大していたが、本発明の電解質膜は格段に優れた耐久性を示すことが認められる。
本発明の電解質膜は、燃料電池の発電により生成される過酸化水素又は過酸化物ラジカルに対する耐久性が極めて優れている。したがって、本発明の電解質膜を有する膜電極接合体を備える固体高分子型燃料電池は、低加湿発電、高加湿発電のいずれにおいても長期の耐久性を有する。

Claims (9)

  1. 下記(a)〜下記(c)のいずれかを含む、スルホン酸基を有する高分子電解質からなる固体高分子電解質膜。
    (a)セリウムイオン、及び、セリウムイオンと抱接化合物を形成できる有機化合物(X)
    (b)セリウムイオンを抱接した前記有機化合物(X)からなる抱接化合物(Y)
    (c)セリウムイオン及び前記有機化合物(X)の少なくとも一方、及び、前記抱接化合物(Y)
  2. 前記有機化合物(X)がクラウンエーテル類である、請求項1記載の固体高分子電解質膜。
  3. 前記クラウンエーテル類が、15−クラウン−5、18−クラウン−6及びそれら構造を分子内に有する有機化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種のクラウンエーテル類である、請求項2記載の固体高分子電解質膜。
  4. 前記固体高分子電解質膜が、セリウムイオンと有機化合物(X)(ただし、抱接化合物(Y)は両者の混合物とみなす)を合計量として0.5〜80質量%含む、請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子電解質膜。
  5. 前記固体高分子電解質膜が、セリウムイオン1モルに対し有機化合物(X)を0.2〜1.2モルの割合で含む(ただし、抱接化合物(Y)は両者の混合物とみなす)、請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子電解質膜。
  6. 前記高分子電解質が、スルホン酸基含有パーフルオロカーボン重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載の固体高分子電解質膜。
  7. 前記スルホン酸基含有パーフルオロカーボン重合体が、−(OCFCFX)−O−(CF−SOHで表されるスルホン酸基含有側鎖(mは0〜3の整数を示し、nは1〜12の整数を示し、pは0又は1を示し、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を示す。)を有するパーフルオロカーボン重合体である、請求項6に記載の固体高分子電解質膜。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の固体高分子電解質膜の層、及び、該固体高分子電解質膜の両面に設けられ、かつ触媒と導電物質とイオン交換樹脂とを含む触媒層を有する、燃料電池用膜電極接合体。
  9. 両触媒層の外側にそれぞれガス拡散層をさらに有する、請求項8に記載の燃料電池用膜電極接合体。
JP2006316308A 2006-11-22 2006-11-22 固体高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体 Active JP4765908B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006316308A JP4765908B2 (ja) 2006-11-22 2006-11-22 固体高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体
EP07017909A EP1926165A1 (en) 2006-11-22 2007-09-12 Polymer electrolyte membrane and membrane-electrode assembly for polymer electrolyte fuel cell
US11/854,822 US9711817B2 (en) 2006-11-22 2007-09-13 Polymer electrolyte membrane and membrane-electrode assembly for polymer electrolyte fuel cell

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006316308A JP4765908B2 (ja) 2006-11-22 2006-11-22 固体高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008130460A true JP2008130460A (ja) 2008-06-05
JP4765908B2 JP4765908B2 (ja) 2011-09-07

Family

ID=38616611

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006316308A Active JP4765908B2 (ja) 2006-11-22 2006-11-22 固体高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体

Country Status (3)

Country Link
US (1) US9711817B2 (ja)
EP (1) EP1926165A1 (ja)
JP (1) JP4765908B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017010718A1 (en) 2015-07-14 2017-01-19 Lg Nanoh2O, Inc. Chemical additives for water flux enhancement
JP2021513733A (ja) * 2018-02-28 2021-05-27 コーロン インダストリーズ インク イオン交換膜及びこれを含むエネルギー貯蔵装置

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7989115B2 (en) * 2007-12-14 2011-08-02 Gore Enterprise Holdings, Inc. Highly stable fuel cell membranes and methods of making them
US8252673B2 (en) * 2009-12-21 2012-08-28 International Business Machines Corporation Spin-on formulation and method for stripping an ion implanted photoresist
US9083050B2 (en) * 2010-10-07 2015-07-14 GM Global Technology Operations LLC Chemical durability using synergystic mitigation strategies
US9786941B2 (en) * 2012-09-12 2017-10-10 GM Global Technology Operations LLC Metal ionophores in PEM membranes
RU2527236C1 (ru) * 2013-03-05 2014-08-27 Федеральное государственное бюджетное учреждение науки Институт общей и неорганической химии им. Н.С. Курнакова Российской академии наук (ИОНХ РАН) Композиционная ионообменная мембрана
CN117683310B (zh) * 2024-02-02 2024-04-30 国家电投集团氢能科技发展有限公司 一种复合物、离子交换膜及其制备方法和应用

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005105176A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Sumitomo Bakelite Co Ltd プロトン伝導性高分子電解質並びにプロトン伝導性電解質膜及びその製造方法
WO2005124911A1 (ja) * 2004-06-22 2005-12-29 Asahi Glass Company, Limited 固体高分子型燃料電池用電解質膜、その製造方法及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3271801B2 (ja) 1992-09-22 2002-04-08 田中貴金属工業株式会社 高分子固体電解質型燃料電池、該燃料電池の加湿方法、及び製造方法
US5491041A (en) * 1994-10-14 1996-02-13 Eic Laboratories, Inc. Solid-state secondary batteries with graphite anodes
JPH10204244A (ja) * 1997-01-21 1998-08-04 Nitto Denko Corp リチウムイオン伝導性ポリマ―電解質とリチウムイオン電池
US6689513B1 (en) * 1998-12-25 2004-02-10 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Lithium secondary battery
JP3925764B2 (ja) * 1999-10-19 2007-06-06 株式会社豊田中央研究所 高耐久性固体高分子電解質
US6977122B2 (en) * 2001-03-27 2005-12-20 The University Of Chicago Proton conducting membrane for fuel cells
JP2003257236A (ja) * 2002-02-27 2003-09-12 Nippon Zeon Co Ltd 高分子固体電解質
KR100508639B1 (ko) * 2003-06-04 2005-08-17 주식회사 협진아이엔씨 비수계 고분자 전해질막 및 이를 이용한 연료전지
KR20060131922A (ko) * 2004-04-02 2006-12-20 아사히 가라스 가부시키가이샤 고체 고분자형 연료 전지용 전해질 재료, 전해질막 및막전극 접합체
JP3897059B2 (ja) * 2004-06-22 2007-03-22 旭硝子株式会社 液状組成物、その製造方法及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法
JP2006099999A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Asahi Glass Co Ltd 固体高分子形燃料電池用電解質膜、その製造方法及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
KR100671494B1 (ko) * 2005-01-27 2007-01-19 한국과학기술연구원 연료전지용 다층 전극 및 그 제조 방법
JP4972867B2 (ja) * 2005-03-15 2012-07-11 旭硝子株式会社 固体高分子形燃料電池用電解質膜、その製造方法及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
JP5463506B2 (ja) * 2005-03-16 2014-04-09 国立大学法人山口大学 グラフトポリマー、高分子電解質膜、これらの製造方法、及びそれを用いた燃料電池
US20060222920A1 (en) * 2005-04-01 2006-10-05 Belabbes Merzougui Metal cations chelators for fuel cells
KR100707163B1 (ko) * 2005-10-12 2007-04-13 삼성에스디아이 주식회사 고체산, 이를 포함하는 고분자 전해질막 및 이를 채용한연료전지
US8628871B2 (en) * 2005-10-28 2014-01-14 3M Innovative Properties Company High durability fuel cell components with cerium salt additives
US8722569B2 (en) * 2006-03-13 2014-05-13 E I Du Pont De Nemours And Company Peroxide decomposition catalyst particles

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005105176A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Sumitomo Bakelite Co Ltd プロトン伝導性高分子電解質並びにプロトン伝導性電解質膜及びその製造方法
WO2005124911A1 (ja) * 2004-06-22 2005-12-29 Asahi Glass Company, Limited 固体高分子型燃料電池用電解質膜、その製造方法及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017010718A1 (en) 2015-07-14 2017-01-19 Lg Nanoh2O, Inc. Chemical additives for water flux enhancement
KR20170107093A (ko) * 2015-07-14 2017-09-22 엘지 나노에이치투오, 인코포레이티드 수분 플럭스 향상을 위한 화학 첨가제들
KR102066781B1 (ko) 2015-07-14 2020-01-15 엘지 나노에이치투오, 인코포레이티드 수분 플럭스 향상을 위한 화학 첨가제들
JP2021513733A (ja) * 2018-02-28 2021-05-27 コーロン インダストリーズ インク イオン交換膜及びこれを含むエネルギー貯蔵装置
EP3761422A4 (en) * 2018-02-28 2022-01-26 Kolon Industries, Inc. ION EXCHANGE MEMBRANE AND ENERGY STORAGE DEVICE COMPRISING THE SAME
JP7154723B2 (ja) 2018-02-28 2022-10-18 コーロン インダストリーズ インク イオン交換膜及びこれを含むエネルギー貯蔵装置
US11605829B2 (en) 2018-02-28 2023-03-14 Kolon Industries, Inc. Ion exchange membrane and energy storage device comprising same

Also Published As

Publication number Publication date
US9711817B2 (en) 2017-07-18
US20080118806A1 (en) 2008-05-22
EP1926165A1 (en) 2008-05-28
JP4765908B2 (ja) 2011-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5287969B2 (ja) 固体高分子電解質膜及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
US9455465B2 (en) Electrolyte membrane for polymer electrolyte fuel cell, process for its production and membrane-electrode assembly for polymer electrolyte fuel cell
JP4997971B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電解質膜、その製造方法及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体
JP5247974B2 (ja) 固体高分子形水素・酸素燃料電池用電解質膜の製造方法
JP4765908B2 (ja) 固体高分子電解質膜及び固体高分子型燃料電池用膜電極接合体
US20080118808A1 (en) Electrolyte membrane for polymer electrolyte fuel cell, process for its production and membrane-electrode assembly for polymer electrolyte fuel cell
JP4972867B2 (ja) 固体高分子形燃料電池用電解質膜、その製造方法及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
JP2006099999A (ja) 固体高分子形燃料電池用電解質膜、その製造方法及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
JP5286651B2 (ja) 液状組成物、その製造方法及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法
JP2006318755A (ja) 固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
JP2007031718A5 (ja)
JP4765401B2 (ja) 固体高分子形燃料電池用膜の製造方法及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法
JP4682629B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用電解質膜、および固体高分子型燃料電池用膜・電極接合体
JP2008098179A (ja) 固体高分子形燃料電池用電解質膜、その製造方法及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体
JP5109244B2 (ja) 固体高分子形燃料電池用電解質膜及びその製造方法
JP2006236927A (ja) 固体高分子型燃料電池用膜電極接合体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090805

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110407

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110407

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110408

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110517

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110530

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4765908

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140624

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140624

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140624

Year of fee payment: 3

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140624

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250