JP2008130247A - 燃料電池システムおよびその出力電流算出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】システム全体の電力収支算出の計算負荷が大きくなるのを抑えつつ出力電流を把握する。
【解決手段】複数のセル2が積層されてなるセル積層体3を複数有し、隣接するセル積層体3の端セル2どうしを導通部材6で接続することによりこれら複数のセル2を電気的に直列に接続した燃料電池システムであって、導通部材6にて接続された端セル2e間の電圧を測定するセル電圧検出装置7と、該セル電圧検出装置7によって測定された端セル2e間のセル電圧、平均セル電圧、および導通部材6の固有抵抗値を用いて出力電流を算出する出力電流算出手段と、を備える。平均セル電圧は、全セル2の電圧を全セル数で除して求めた値、あるいはセル積層体3の端セル2e以外のセルの平均電圧の値である。
【選択図】図3
【解決手段】複数のセル2が積層されてなるセル積層体3を複数有し、隣接するセル積層体3の端セル2どうしを導通部材6で接続することによりこれら複数のセル2を電気的に直列に接続した燃料電池システムであって、導通部材6にて接続された端セル2e間の電圧を測定するセル電圧検出装置7と、該セル電圧検出装置7によって測定された端セル2e間のセル電圧、平均セル電圧、および導通部材6の固有抵抗値を用いて出力電流を算出する出力電流算出手段と、を備える。平均セル電圧は、全セル2の電圧を全セル数で除して求めた値、あるいはセル積層体3の端セル2e以外のセルの平均電圧の値である。
【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池システムおよびその出力電流算出方法に関する。さらに詳述すると、本発明は、燃料電池の出力電流算出手段の改良に関する。
一般に、燃料電池(例えば高分子電解質形燃料電池)は電解質をセパレータで挟んだセルを複数積層することによって構成されている。このようにセルが積層されることによって構成されるセル積層体は、発電時、およそ各セルの合計分(積層枚数分)の電圧を生じさせることが可能である。
このような燃料電池には、発電時における出力電流を把握するため電流計などの電流センサが併設されていることがある。また、当該電流センサが故障したような場合でも出力電流を把握できるようにするべく、燃料電池の出力電圧とシステム全体の電力収支から求めた燃料電池の発電量から出力電流を算出するという装置やシステムなどが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−251674号公報
しかしながら、上述のようにして出力電圧を算出する場合には、システム全体の電力収支算出のための計算負荷が大きいという問題がある。
そこで、本発明は、システム全体の電力収支算出の計算負荷が大きくなるのを抑えつつ出力電流を把握することが可能な燃料電池システムおよびその出力電流算出方法を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討を行った。燃料電池の中には複数のセル積層体の端セルどうしをターミナルプレート等で接続して電気的に直列に接続しつつ、セル積層方向の積層数を抑えるようにした構造のものがある。このように複数のセルが電気的に直列に接続されている場合、当該ターミナルプレート等の導通部材にも各セルと同等の電流が流れることになる。この点につきさらに検討を重ねた本発明者は、かかる課題の解決に結び付く着想を得るに至った。
本発明はかかる着想に基づくものであり、複数のセルが積層されてなるセル積層体を複数有し、隣接する前記セル積層体の端セルどうしを導通部材で接続することによりこれら複数のセルを電気的に直列に接続した燃料電池システムにおいて、前記導通部材にて接続された前記端セル間の電圧を測定するセル電圧検出装置と、該セル電圧検出装置によって測定された前記端セル間のセル電圧、平均セル電圧、および前記導通部材の固有抵抗値を用いて出力電流を算出する出力電流算出手段と、を備えていることを特徴とするものである。
また、本発明にかかる燃料電池システムの出力電流算出方法は、複数のセルが積層されてなるセル積層体を複数有し、隣接する前記セル積層体の端セルどうしを導通部材で接続することによりこれら複数のセルを電気的に直列に接続した燃料電池システムの出力電流を、前記導通部材にて接続された前記端セル間の電圧を測定し、この端セル間電圧と平均セル電圧との差分を求め、さらにこの差分を前記導通部材の固有抵抗値にて除することによって算出するというものである。
一般に、燃料電池におけるセル電圧は隣接するセルとセルとの電位差を測定することによって求められるものであり、セルの位置によって多少の差異は生じても大きく異なるようなことはない(図4中の2本の実線によって示される幅を参照)。ところが、上述のような構造の燃料電池の場合、導通部材によって接続された端セル間のセル電圧はオーム損やIR損と呼ばれる電圧降下の影響を受ける(図4中の破線参照)。そこで本発明においてはこの電圧降下分の大きさを求め、これを導通部材に固有の抵抗値で除することにより出力電流値を算出することとしている。この手法によれば、システム全体の電力収支算出の計算負荷を抑えられる。また、比較的コスト高の電流センサが不要であるから、例えば既存の装置を用いて電流を把握することが可能である。
前記導通部材は例えば集電板であり、この場合には当該集電板を構成する材質の固有抵抗値が利用される。
また、前記平均セル電圧は、全セルの電圧を全セル数で除して求めることができる。あるいは、この平均セル電圧は、前記セル積層体の前記端セル以外のセルの平均電圧であってもよい。
本発明によれば、システム全体の電力収支算出の計算負荷が大きくなるのを抑えつつ出力電流を把握することが可能である。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4に本発明にかかる燃料電池システムの実施形態を示す。本実施形態における燃料電池システム100は、複数のセル2が積層されてなるセル積層体3を複数有し、隣接するセル積層体3の端セル2eどうしが導通部材としての集電板6によって接続されることによりこれら複数のセル2が電気的に直列に接続された構造となっている。さらに本実施形態の燃料電池システム100は、集電板6にて接続された端セル2e間の電圧を測定するセル電圧検出装置7と、出力電流を算出する出力電流算出手段とを備えている。
以下においては、まず燃料電池システム100の全体構成、ならびに燃料電池1を構成するセル2の構成について説明し、その後、電流センサを用いることなく既存の装置を利用して簡便に出力電流を把握するための構成について説明する。
図1に本実施形態における燃料電池システム100の概略構成を示す。図示するように、燃料電池システム100は、燃料電池1と、酸化ガスとしての空気(酸素)を燃料電池1に供給する酸化ガス給排系(以下、酸化ガス配管系ともいう)300と、燃料ガスとしての水素を燃料電池1に供給する燃料ガス給排系(以下、燃料ガス配管系ともいう)400と、燃料電池1に冷媒を供給して燃料電池1を冷却する冷媒配管系500と、システムの電力を充放電する電力系600と、システム全体を統括制御する制御部700と、を備えている。
燃料電池1は、例えば高分子電解質形の燃料電池であり、多数のセル2を積層してなるセル積層体(セルスタック)3を有している。各セル2は、イオン交換膜からなる電解質の一方の面に空気極を有し、他方の面に燃料極を有し、さらに空気極および燃料極を両側から挟みこむように一対のセパレータ20を有している。一方のセパレータ20の燃料ガス流路に燃料ガスが供給され、他方のセパレータ20の酸化ガス流路に酸化ガスが供給され、このガス供給により燃料電池1は電力を発生する。
酸化ガス配管系300は、燃料電池1に供給される酸化ガスが流れる供給路111と、燃料電池1から排出された酸化オフガスが流れる排出路112と、を有している。供給路111には、フィルタ113を介して酸化ガスを取り込むコンプレッサ114と、コンプレッサ114により圧送される酸化ガスを加湿する加湿器115と、が設けられている。排出路112を流れる酸化オフガスは、背圧調整弁116を通って加湿器115で水分交換に供された後、最終的に排ガスとしてシステム外の大気中に排気される。コンプレッサ114は、モータ114aの駆動により大気中の酸化ガスを取り込む。
燃料ガス配管系400は、水素供給源121と、水素供給源121から燃料電池1に供給される水素ガスが流れる供給路122と、燃料電池1から排出された水素オフガス(燃料オフガス)を供給路122の合流点Aに戻すための循環路123と、循環路123内の水素オフガスを供給路122に圧送するポンプ124と、循環路123に分岐接続された排出路125と、を有している。
水素供給源121は、例えば高圧タンクや水素吸蔵合金などで構成され、例えば35MPa又は70MPaの水素ガスを貯留可能に構成されている。水素供給源121の元弁126を開くと、供給路122に水素ガスが流出する。水素ガスは、調圧弁127その他の減圧弁により、最終的に例えば200kPa程度まで減圧されて、燃料電池1に供給される。
供給路122の合流点Aの上流側には、遮断弁128が設けられている。水素ガスの循環系は、供給路122の合流点Aの下流側流路と、燃料電池1のセパレータに形成される燃料ガス流路と、循環路123とを順番に連通することで構成されている。水素ポンプ124は、モータ124aの駆動により、循環系内の水素ガスを燃料電池1に循環供給する。
排出路125には、遮断弁であるパージ弁133が設けられている。パージ弁133が燃料電池システム100の稼動時に適宜開弁することで、水素オフガス中の不純物が水素オフガスと共に図示省略した水素希釈器に排出される。パージ弁133の開弁により、循環路123内の水素オフガス中の不純物の濃度が下がり、循環供給される水素オフガス中の水素濃度が上がる。
冷媒配管系500は、燃料電池1内の冷却流路に連通する冷媒循環流路141と、冷媒循環流路141に設けられた冷却ポンプ142と、燃料電池1から排出される冷媒を冷却するラジエータ143と、ラジエータ143をバイパスするバイパス流路144と、ラジエータ143及びバイパス流路144への冷却水の通流を設定する三方弁(切替え弁)145と、を有している。冷却ポンプ142は、モータ142aの駆動により、冷媒循環流路141内の冷媒を燃料電池1に循環供給する。
電力系600は、高圧DC/DCコンバータ161、バッテリ162、トラクションインバータ163、トラクションモータ164、及び各種の補機インバータ165,166,167を備えている。高圧DC/DCコンバータ161は、直流の電圧変換器であり、バッテリ162から入力された直流電圧を調整してトラクションインバータ163側に出力する機能と、燃料電池1又はトラクションモータ164から入力された直流電圧を調整してバッテリ162に出力する機能と、を有する。高圧DC/DCコンバータ161のこれらの機能により、バッテリ162の充放電が実現される。また、高圧DC/DCコンバータ161により、燃料電池1の出力電圧が制御される。
バッテリ162は、バッテリセルが積層されて一定の高電圧を端子電圧とし、図示しないバッテリコンピュータの制御によって余剰電力を充電したり補助的に電力を供給したりすることが可能になっている。トラクションインバータ163は、直流電流を三相交流に変換し、トラクションモータ164に供給する。トラクションモータ164は、例えば三相交流モータであり、燃料電池システム100が搭載される例えば車両の主動力源を構成する。
補機インバータ165,166,167は、それぞれ、対応するモータ114a,124a,142aの駆動を制御する電動機制御装置である。補機インバータ165,166,167は、直流電流を三相交流に変換して、それぞれ、モータ114a,124a,142aに供給する。補機インバータ165,166,167は、例えばパルス幅変調方式のPWMインバータであり、制御部700からの制御指令に従って燃料電池1又はバッテリ162から出力される直流電圧を三相交流電圧に変換して、各モータ114a,124a,142aで発生する回転トルクを制御する。
制御部700は、内部にCPU,ROM,RAMを備えたマイクロコンピュータとして構成される。CPUは、制御プラグラムに従って所望の演算を実行して、後述するポンプ124の解凍制御など、種々の処理や制御を行う。ROMは、CPUで処理する制御プログラムや制御データを記憶する。RAMは、主として制御処理のための各種作業領域として使用される。制御部700は、ガス系統(300,400)や冷媒配管系500に用いられる各種の圧力センサや温度センサ、外気温センサなどの検出信号を入力し、各構成要素に制御信号を出力する。
続いて、図2に本実施形態における燃料電池1のセル2の概略構成を示す。図示するように構成されるセル2は順次積層されてセル積層体3を構成している(図3参照)。また、このように形成されたセル積層体3は、例えばその両端を一対のエンドプレート8で挟まれ、さらにこれらエンドプレート8どうしを繋ぐようにテンションプレート(図示省略)が配置された状態で積層方向への荷重がかけられて締結されている。
なお、このようなセル2等で構成される燃料電池1は、例えば燃料電池車両(FCHV;Fuel Cell Hybrid Vehicle)の車載発電システムとして利用可能なものであるがこれに限られることはなく、各種移動体(例えば船舶や飛行機など)やロボットなどといった自走可能なものに搭載される発電システム、さらには定置の発電システムとしても用いることが可能である。
セル2は、電解質、具体例として膜−電極アッセンブリ(以下MEA;Membrane Electrode Assemblyと呼ぶ)30、該MEA30を挟持する一対のセパレータ20(図2においてはそれぞれ符号20a,20bを付して示している)等で構成されている(図2参照)。MEA30および各セパレータ20a,20bはおよそ矩形の板状に形成されている。また、MEA30はその外形が各セパレータ20a,20bの外形よりも小さくなるように形成されている。
MEA30は、高分子材料のイオン交換膜からなる高分子電解質膜(以下、単に電解質膜ともいう)31と、電解質膜31を両面から挟んだ一対の電極(アノード側拡散電極およびカソード側拡散電極)32a,32bとで構成されている(図2参照)。電解質膜31は、各電極32a,32bよりも大きく形成されている。この電解質膜31には、その周縁部33を残した状態で各電極32a,32bが例えばホットプレス法により接合されている。
MEA30を構成する電極32a,32bは、その表面に付着された白金などの触媒を担持した例えば多孔質のカーボン素材(拡散層)で構成されている。一方の電極(アノード)32aには燃料ガス(反応ガス)としての水素ガス、他方の電極(カソード)32bには空気や酸化剤などの酸化ガス(反応ガス)が供給され、これら2種類の反応ガスによりMEA30内で電気化学反応が生じてセル2の起電力が得られるようになっている。
セパレータ20(20a,20b)はガス不透過性の導電性材料で構成されている。導電性材料としては、例えばカーボンや導電性を有する硬質樹脂のほか、アルミニウムやステンレス等の金属(メタル)が挙げられる。本実施形態のセパレータ20(20a,20b)の基材は板状のメタルで形成されたいわゆるメタルセパレータである。この基材の電極32a,32b側の面には耐食性に優れた膜(例えば金メッキで形成された皮膜)が形成されていることが好ましい。
また、セパレータ20a,20bの両面には、複数の凹部によって構成される溝状の流路が形成されている。これら流路は、例えば板状のメタルによって基材が形成されている本実施形態のセパレータ20a,20bの場合であればプレス成形によって形成することができる。このようにして形成される溝状の流路は、酸化ガスのガス流路34や水素ガスのガス流路35、あるいは冷却水流路36を構成している。より具体的に説明すると、セパレータ20aの電極32a側となる内側の面には水素ガスのガス流路35が複数形成され、その裏面(外側の面)には冷却水流路36が複数形成されている(図2参照)。同様に、セパレータ20bの電極32b側となる内側の面には酸化ガスのガス流路34が複数形成され、その裏面(外側の面)には冷却水流路36が複数形成されている(図2参照)。さらに、本実施形態においては、隣接する2つのセル2,2に関し、一方のセル2のセパレータ20aの外面と、これに隣接するセル2のセパレータ20bの外面とを付き合わせた場合に両者の冷却水流路36が一体となり断面が例えば矩形あるいはハニカム形の流路が形成される構造となっている(図2参照)。
さらに、上述したように各セパレータ20a,20bは、少なくとも流体の流路をなすための凹凸形状が表面と裏面とで反転した関係になっている。より具体的に説明すると、セパレータ20aにおいては、水素ガスのガス流路35を形成する凸形状(凸リブ)の裏面が冷却水流路36を形成する凹形状(凹溝)であり、ガス流路35を形成する凹形状(凹溝)の裏面が冷却水流路36を形成する凸形状(凸リブ)である。さらに、セパレータ20bにおいては、酸化ガスのガス流路34を形成する凸形状(凸リブ)の裏面が冷却水流路36を形成する凹形状(凹溝)であり、ガス流路34を形成する凹形状(凹溝)の裏面が冷却水流路36を形成する凸形状(凸リブ)である。
また、セパレータ20a,20bの長手方向の端部付近(本実施形態の場合であれば、図2中向かって左側に示す一端部の近傍)には、酸化ガスの入口側のマニホールド15a、水素ガスの出口側のマニホールド16b、および冷却水の出口側のマニホールド17bが形成されている。例えば本実施形態の場合、これらマニホールド15a,16b,17bは各セパレータ20a,20bに設けられた略矩形ないしは台形の透孔によって形成されている(図2参照)。さらに、セパレータ20a,20bのうち反対側の端部には、酸化ガスの出口側のマニホールド15b、水素ガスの入口側のマニホールド16a、および冷却水の入口側のマニホールド17aが形成されている。本実施形態の場合、これらマニホールド15b,16a,17aも略矩形ないしは台形の透孔によって形成されている(図2参照)。
上述のような各マニホールドのうち、セパレータ20aにおける水素ガス用の入口側マニホールド16aと出口側マニホールド16bは、セパレータ20aに溝状に形成されている入口側の連絡通路61および出口側の連絡通路62を介してそれぞれが水素ガスのガス流路35に連通している。同様に、セパレータ20bにおける酸化ガス用の入口側マニホールド15aと出口側マニホールド15bは、セパレータ20bに溝状に形成されている入口側の連絡通路63および出口側の連絡通路64を介してそれぞれが酸化ガスのガス流路34に連通している(図2参照)。さらに、各セパレータ20a,20bにおける冷却水の入口側マニホールド17aと出口側マニホールド17bは、各セパレータ20a,20bに溝状に形成されている入口側の連絡通路65および出口側の連絡通路66を介してそれぞれが冷却水流路36に連通している。ここまで説明したような各セパレータ20a,20bの構成により、セル2には、酸化ガス、水素ガスおよび冷却水が供給されるようになっている。ここで具体例を挙げておくと、セル2が積層された場合、例えば水素ガスは、セパレータ20aの入口側マニホールド16aから連絡通路61を通り抜けてガス流路35に流入し、MEA30の発電に供された後、連絡通路62を通り抜けて出口側マニホールド16bに流出することになる。
第1シール部材13a、第2シール部材13bは、ともに複数の部材(例えば小型の4つの矩形枠体と、流体流路を形成するための大きな枠体)で形成されているものである(図2参照)。これらのうち、第1シール部材13aはMEA30とセパレータ20aとの間に設けられるもので、より詳細には、その一部が、電解質膜31の周縁部33と、セパレータ20aのうちガス流路35の周囲の部分との間に介在するように設けられる。また、第2シール部材13bは、MEA30とセパレータ20bとの間に設けられるもので、より詳細には、その一部が、電解質膜31の周縁部33と、セパレータ20bのうちガス流路34の周囲の部分との間に介在するように設けられる。
さらに、隣接するセル2,2のセパレータ20bとセパレータ20aとの間には、複数の部材(例えば小型の4つの矩形枠体と、流体流路を形成するための大きな枠体)で形成された第3シール部材13cが設けられている(図2参照)。この第3シール部材13cは、セパレータ20bにおける冷却水流路36の周囲の部分と、セパレータ20aにおける冷却水流路36の周囲の部分との間に介在するように設けられてこれらの間をシールする部材である。
なお、第1〜第3シール部材13a〜13cとしては、隣接する部材との物理的な密着により流体を封止する弾性体(ガスケット)や、隣接する部材との化学的な結合により接着する接着剤などを用いることができる。例えば本実施形態では各シール部材13a〜13cとして弾性によって物理的にシールする部材を採用しているが、この代わりに上述した接着剤のような化学結合によってシールする部材を採用することもできる。
枠状部材40は、MEA30とともにセパレータ20a,20b間に挟持される例えば樹脂からなる部材(以下、樹脂フレームともいう)である。例えば本実施形態では、薄い枠形状の樹脂フレーム40をセパレータ20a,20b間に介在させ、当該樹脂フレーム40によってMEA30の少なくとも一部、例えば周縁部33に沿った部分を表側と裏側から挟持するようにしている。このように設けられる樹脂フレーム40は、締結力を支持するセパレータ20(20a,20b)間のスペーサとしての機能、絶縁部材としての機能、セパレータ20(20a,20b)の剛性を補強する補強部材としての機能を発揮する。
ここで、本実施形態における燃料電池1の構成について説明すると以下のとおりである(図3等参照)。すなわち、本実施形態における燃料電池1は複数(例えば200枚)のセル2を積層したセル積層体3を複数(例えば2個)有している。図3においては、第1のセル積層体3を構成するNo.1〜No.200の200枚のセル2のうち両端に配置された端セル2eをそれぞれNo.1、No.200を付して示し、さらに、第2のセル積層体3を構成するNo.201〜No.400の200枚のセル2のうち両端に配置された端セル2eをそれぞれNo.201、No.400を付して示している。また、これら2個のセル積層体3は、No.1の端セル2eとNo.400の端セル2eとが平行になり、No.200の端セル2eとNo.201の端セル2eとが平行になるように隣り合う位置に配置されている(図3参照)。さらに、両セル積層体3の端セル2eどうしが例えばSUS製ターミナルである集電板6によって接続され、No.1〜No.400の400枚のセル2が電気的に直列に接続された構成となっている(図3参照)。
また、この燃料電池1には、セル電圧検出装置としての電圧計(セルモニタ)7が設けられている。例えば本実施形態の電圧計7は、上述したセル積層体3における200番目(No.200)の端セル2eと201番目(No.201)の端セル2eとの間に設けられており、これら両端セル2e間の電位差を測定することができるようになっている(図3参照)。
なお、上述した構成の燃料電池1は、例えば燃料電池車両においては、No.1〜No.200のセル2からなる第1のセル積層体3を車両前向き、No.201〜No.400のセル2からなる第2のセル積層体3を車両後向きにして搭載することができる。上述したように、本実施形態の燃料電池1は2つのセル積層体3の端セル2eどうしが電気的に接続された構成であり、400枚のセル2を有しながらも全体の積層方向長さ(厚み)は半分の200枚分で済んでいる。このため、燃料電池車両等の限られた搭載スペースに収容しやすいという点で好適である。
続いて、本実施形態の燃料電池システム100において、電流センサを用いることなく簡便に出力電流を把握するようにした構成について説明する(図3等参照)。本実施形態の燃料電池システム100は、燃料電池1の出力電流を算出するための出力電流算出手段を備えている。この出力電流算出手段は、集電板6で接続された端セル2e間のセル電圧と、平均セル電圧と、集電板6の固有抵抗値とを用いて出力電流を算出する。このような算出手法の原理について説明すると以下のとおりである。
すなわち、一般にセル電圧は隣接するセル2とセル2との電位差を測定するという手法で得ることができるが、200番目(No.200)のセル電圧(具体的には200番目(No.200)のセル2と201番目(No.201)のセル2との電位差)に関しては、集電板(例えばSUS製ターミナル)6の電圧降下(いわゆるオーム損、IR損と呼ばれる電圧降下)の影響を受け、見かけ上、他の部位のセル2よりも電圧が低く測定されることになる(図4参照)。この場合、当該集電板6における電圧降下分の大きさは、
(集電板6における電圧降下分)=平均セル電圧−No.200セル電圧
で求めることができる。ここでいう平均セル電圧とは各セル電圧の平均値のことであり、図示していないが例えば他のセルモニタにて計測されるNo.1〜No.400の全セル電圧(換言すれば燃料電池1としての出力電圧)をセル数(本実施形態の場合は400)で除することによって求めることができる。
(集電板6における電圧降下分)=平均セル電圧−No.200セル電圧
で求めることができる。ここでいう平均セル電圧とは各セル電圧の平均値のことであり、図示していないが例えば他のセルモニタにて計測されるNo.1〜No.400の全セル電圧(換言すれば燃料電池1としての出力電圧)をセル数(本実施形態の場合は400)で除することによって求めることができる。
また、集電板6には電気抵抗があり、この抵抗値は材質(例えば本実施形態の場合、SUS材)に固有の値として既知である。さらに、上述の式からは当該集電板6における電圧降下分が求められているので、本実施形態ではこの固有抵抗値を利用し、
出力電流=(平均セル電圧−No.200セル電圧)/集電板6の固有抵抗値
として出力電流を算出することとしている。なお、このようにして出力電流を算出するための出力電流算出手段は演算処理機能を有するものである。例えば本実施形態の燃料電池システム100であれば、制御部700をこの出力電流算出手段として用いることができる。
出力電流=(平均セル電圧−No.200セル電圧)/集電板6の固有抵抗値
として出力電流を算出することとしている。なお、このようにして出力電流を算出するための出力電流算出手段は演算処理機能を有するものである。例えば本実施形態の燃料電池システム100であれば、制御部700をこの出力電流算出手段として用いることができる。
このように、集電板6と接する端セル2eのセル電圧と、平均セル電圧と、集電板6の固有抵抗値とを利用して燃料電池1(あるいは燃料電池システム100)の出力電流を算出することができるから、本実施形態の燃料電池システム100によれば、個別の電流センサを用いることなく簡便に当該燃料電池システム100の出力電流を把握することが可能である。一般に、電流センサはコスト高であることからすれば、本実施形態の燃料電池システム100はコストを抑えつつ出力電流を把握することができるという点で有利である。しかも、上述したような比較的単純な算出方法により出力電流を求めることができるから、システム全体の電力収支算出の計算負荷が大きくなるのは抑えられる。また、燃料電池システム100が電流センサを備えている場合においては、当該電流センサが故障する等して使えなくなったとしても出力電流を算出し、算出結果に基づき制御を行うことが可能である。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では一のセル積層体3の端セル2eと他のセル積層体3の端セル2eとが集電板6によって接続されている場合について説明したが、かかる集電板6は導通部材の一例にすぎない。他の例を挙げれば、端セル2eどうしがケーブル等の導通部材にて接続されている場合であっても、当該ケーブル等の固有抵抗値をあらかじめ把握しておけば本発明を適用することが可能である。
また、本実施形態では全セルの電圧を全セル数(上述した実施形態の場合、400枚)で除した値を平均セル電圧としたが、この他、所定の端セル2e以外のセル2の平均電圧を平均セル電圧とすることも可能である。例示すれば、上述の電圧計7にて200番目(No.200)の端セル2eと201番目(No.201)の端セル2eとの間の電位差(上述のNo.200セル電圧)を測定したら、全セルの電圧からこのNo.200セル電圧を引いた差分を求め、この差分を全セル数−1(上述の実施形態の場合であれば399)で除した値を平均セル電圧として用いることとしてもよい。こうした場合、電圧降下分を差し引いた形で平均セル電圧を求めることができる。
1…燃料電池、2…セル、2e…端セル、3…セル積層体、6…集電板(導通部材)、7…電圧計(セル電圧検出装置)、100…燃料電池システム、700…出力電流算出手段(制御部)
Claims (5)
- 複数のセルが積層されてなるセル積層体を複数有し、隣接する前記セル積層体の端セルどうしを導通部材で接続することによりこれら複数のセルを電気的に直列に接続した燃料電池システムにおいて、
前記導通部材にて接続された前記端セル間の電圧を測定するセル電圧検出装置と、
該セル電圧検出装置によって測定された前記端セル間のセル電圧、平均セル電圧、および前記導通部材の固有抵抗値を用いて出力電流を算出する出力電流算出手段と、
を備えていることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記導通部材は集電板であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記平均セル電圧は、全セルの電圧を全セル数で除して求めた値であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
- 前記平均セル電圧は、前記セル積層体の前記端セル以外のセルの平均電圧であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
- 複数のセルが積層されてなるセル積層体を複数有し、隣接する前記セル積層体の端セルどうしを導通部材で接続することによりこれら複数のセルを電気的に直列に接続した燃料電池システムの出力電流を、
前記導通部材にて接続された前記端セル間の電圧を測定し、この端セル間電圧と平均セル電圧との差分を求め、さらにこの差分を前記導通部材の固有抵抗値にて除することによって算出する
ことを特徴とする燃料電池システムの出力電流算出方法。
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JP2006310300A JP2008130247A (ja) | 2006-11-16 | 2006-11-16 | 燃料電池システムおよびその出力電流算出方法 |
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