JP2008127328A - 化粧料及びそれに含有される抽出物 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚又は頭髪にうるおい、ハリ、ツヤ等を与え、くすみを軽減して若々しい肌状態を実現する化粧料、及び、その化粧料に含有される抽出物を提供すること。
【解決手段】チョウザメの卵からの抽出物を含有することを特徴とする化粧料、該チョウザメの卵がチョウザメから取り出された直後のものであるか、又は、取り出された直後に冷凍されたものである上記化粧料、また、該卵が排卵卵である上記化粧料によって課題を解決した。
【選択図】なし

Description

本発明は、チョウザメの卵からの抽出物を含有することを特徴とする化粧料に関し、更に詳しくは、皮膚又は頭髪に、うるおい、ハリ、ツヤ等を与える化粧料に関する。
皮膚、頭髪等にうるおい、ハリ、ツヤ等を与え、くすみ等を軽減して若々しい肌状態を実現する化粧料、特に老化防止に有効な化粧料が強く望まれている。このような化粧料には、種々の抽出物が含有される場合が多いが、卵からの抽出物を含有する化粧料は殆ど知られていない。
そのうち、特許文献1には、卵殻膜抽出物を含有する皮膚外用剤が開示されており、特許文献2、3には、鶏卵、うずら等の鳥類の卵の内側に付着している卵殻膜から抽出して得たタンパク質等を含有する皮膚外用剤が開示されている。また、特許文献4には、ホウネンエビの孵化直前の耐久卵から水で抽出した活性エキスを含有する抗皮膚ストレス用化粧料が開示されている。しかしながら、魚類の卵からの抽出物を化粧料に含有するものではなかった。
また、特許文献5、6には、表面部のみが皮膜となった易擦壊性のキャビア状カプセル中に有効成分を内包させた化粧料が開示されているが、形状がキャビア状であるということであって、成分は全く異なるものであった。
若々しい肌状態を実現する化粧料の要求は、ますます高くなってきており、かかる公知技術ではその要求に答えるには不十分であり、更なる開発が望まれていた。
特開2002−326922号公報 特開2002−249440号公報 特開2003−306422号公報 特開2004−238297号公報 特開平5−092909号公報 特開平8−175932号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、皮膚又は頭髪にうるおい、ハリ、ツヤ等を与え、くすみを軽減して若々しい肌状態を実現する化粧料を提供することにあり、また、かかる化粧料に含有される組成物を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、チョウザメの卵からの抽出物を含有する化粧料によって上記課題が達成されることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、チョウザメの卵からの抽出物を含有することを特徴とする化粧料を提供するものである。
また本発明は、上記化粧料に含有されるチョウザメの卵からの抽出物を提供するものである。
本発明によれば、皮膚又は頭髪にうるおい、ハリ、ツヤ等を与え、くすみを軽減して若々しい肌状態を実現し、皮膚又は頭髪の老化防止に効果的である。「老化防止」とは、老化に伴い生じる種々の変化を防止することをいい、具体的には、肌水分量の上昇若しくは肌水分量の下降防止、肌弾力の上昇若しくは肌弾力の下降防止、肌色の明色化若しくは肌色のくすみ防止等をいう。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、任意に変形して実施することができる。
本発明は、チョウザメの卵からの抽出物を含有することを特徴とする化粧料である。本発明において「チョウザメ」とは、チョウザメ目、チョウザメ科に属する魚をいう。現在確認されているものだけで、天然又は養殖のチョウザメは約30種あり、その何れをも使用できる。その具体例としては、例えば、Acipenser baeri、Acipenser brevirostrum、Acipenser dabryanus、Acipenser fulvescens、Acipenser gueldenstaedti、Acipenser mediradoi、Acipenser naccarii、Acipenser nudiventris、Acipenser oxyrinchus、Acipenser persicus、Acipenser ruthenus、Acipenser schrencki、Acipenser sinensis、Acipenser stellatus、Acipenser sturio、Acipenser transmontanus、Huso dauricus、Huso huso、Pseudoscaphirhynchus fedtschenkoi、Pseudoscaphirhynchus hermannii、Pseudoscaphirhynchus kaufmanni、Scaphirhynchus albus、Scaphirhynchus platorynchus、Scaphirhynchus suttkusi等が挙げられる。
本発明において使用される卵は、その何れのチョウザメの卵でもよいが、アムールチョウザメ、シロチョウザメ、シベリアチョウザメ、コチョウザメ又はベステルチョウザメの卵であることが好ましい。ベステルチョウザメとは、雌のベルーガチョウザメと雄のコチョウザメから人工的に創られたチョウザメの一種であり、また、かかるF1ベステルチョウザメと、F1ベステルチョウザメ、ベルーガチョウザメ若しくはコチョウザメとの交配で作られるF2ベステルチョウザメも「ベステルチョウザメ」と呼ばれる。本発明においては、その何れの卵も好ましい。また、コチョウザメとは和名であり、学名ではアスペンサールサウス、露名でスルルヤージとも呼ばれるものである。
上記チョウザメは、養殖技術が確立されており、自然環境保護等の点で好ましい。また、天然のチョウザメ目の全種の卵からの抽出物を0.05mg以上含有する化粧料の輸出入は、ワシントン条約で禁止されているため、その点でも、養殖可能な上記チョウザメが好ましい。
チョウザメからその卵を取り出す操作方法については特に限定はないが、(1)生きているチョウザメを殺して解体し、そこから卵を取り出す方法、(2)チョウザメを生きたまま切開して卵を取り出し、生きたまま元に戻す方法、(3)卵をチョウザメからしぼり出し、生きたまま元に戻す方法等が好ましい。このうち、チョウザメを複数回使用できる点で、(2)又は(3)の方法が特に好ましい。また、後述するように、本発明においては、孕卵し排卵前の濾胞組織に包まれた卵巣卵ではなく、排卵後まだ体内にある状態の排卵卵を使用することが好ましいが、かかる排卵卵では(1)の方法に限らず、(2)又は(3)の方法が可能である。その点でも、チョウザメを複数回使用可能な(2)又は(3)の方法が、本発明においては特に好ましい。
チョウザメの卵から抽出物を抽出する時期や方法には特に限定はないが、抽出に用いられるチョウザメの卵は、チョウザメから取り出された直後のものであるか、又は、チョウザメから取り出された直後に冷凍されたものであることが好ましい。直ちに冷凍されなかった卵から抽出した場合には、抽出物に生臭さがあり、それを含有した化粧料にも生臭さがあり、化粧料として使用できない場合がある。また、更に、経時的に抽出物が変色したり、不溶物が析出したりする場合がある。卵を取り出した後、直ちに冷凍し、更に、抽出操作まで常に冷凍状態で維持した卵から抽出することが特に好ましい。
チョウザメから卵を取り出した直後に、約0.9質量%程度の生理食塩水で洗浄処理を行ってから直ちに冷凍した場合も、上記「直ちに冷凍」のうちに含まれる。約0.9質量%程度の生理食塩水で洗浄処理を行うことによって、血液等の体腔液が除かれるため、本発明には特に好ましい。生理食塩水ではなく水で処理をすると、卵内に水が浸透してしまう場合がある。
チョウザメから取り出された卵は、塩漬け処理されていないものであることが、抽出物又はそれを含有する化粧料に食塩が含まれず肌に悪影響を与えない点で、また、食塩で卵中のタンパク質等の有効成分が分解されない点で、また、化粧料製造に際して障害となり得ない点で好ましい。更に、塩漬け処理をした卵は、長期間保存されて生臭さ(魚臭)が強くなっている場合があり、その点からも塩漬け処理されていないものであることが好ましい。
従来は、チョウザメから卵を取り出した後に、直ちに冷凍されることは行われておらず、食塩又は食塩水等を付与する「塩漬け処理」(「塩蔵」とも言われる)が行われていた。チョウザメの卵の塩漬け処理品はキャビアとも呼ばれて主に食用に供されていたため、チョウザメから取り出した後、生理食塩水で洗浄後、7〜10質量%の食塩水で塩漬け処理されることが一般的であった。そのため、チョウザメから卵を取り出し、塩漬け処理を施さずに冷凍することは殆ど行われていなかった。しかも、塩漬け処理をせずに冷凍したものは、解凍したときに卵の形状が崩れやすくなって、食用のキャビアとして商品価値のないものなってしまうため、塩漬け処理を施さずに冷凍することは到底考えられなかった。ここで「塩漬け処理」とは、通常3〜10質量%の食塩水による処理のことをいい、上記「生理食塩水での処理」とは異なる処理である。
本発明は、チョウザメから卵を取り出した後、塩漬け処理をせずに冷凍するという当分野では特異の操作を行ったことで、意外にも生臭さのない抽出物が得られることを見出して、化粧料への応用が始めて開けたものである。更に、解凍後に卵の形状が崩れても、抽出物を得ることには全く支障はないので、その点でも塩漬け処理を施さずに冷凍することの欠点(卵の形の崩れ)が、本発明においては全く問題点とはならない。
「チョウザメから取り出してから直ちに冷凍」の「直ちに」とは、通常2時間以内をいい、1時間以内が好ましく、30分間以内が特に好ましい。なお、上記した「生理食塩水での処理」はこの間に行うことが好ましい。また、冷凍温度は特に限定はないが、−80℃〜−20℃が好ましい。また、解凍後、直ちに抽出操作を行うことが好ましい。
抽出に供される「チョウザメの卵」は、上記したように塩漬け処理されていないものが好ましい。「キャビア」とは、そもそも「塩漬け処理されているチョウザメの卵」をいう程、チョウザメの卵の塩漬け処理は一般的である。従来は、塩漬け処理された卵しか知られていなかったため、化粧料への配合は控えられていた。あるいは、塩抜きをしてから化粧料に使用しようとしても十分に食塩が取れ切れず問題が生じていた。本発明は、塩漬け処理しないことにより、そこからの抽出物を化粧料に使用できるようにしたことにも特徴がある。
塩漬け処理をした卵から抽出した抽出物は、化粧料製造に際して障害となる場合があり、また、化粧料としても食塩が少量でも含まれていては、肌に悪影響を与える場合がある。更に、塩漬け処理をした卵は、比較的長い期間保存されているために生臭さ(魚臭)が強い場合があり化粧料には使用できない。また、塩漬け処理により有効なタンパク質、ペプチド等が変質してしまう場合がある。このように、従来は塩漬け処理がなされていたために、仮にチョウザメの卵からの抽出物を化粧料に含有させたとしても、それが本来有する機能を十分に化粧料に対して反映し得ていなかった。
本発明の化粧料に含有される抽出物は、食塩以外に如何なる物質でも処理されていないチョウザメの卵から抽出したものが好ましい。「食塩以外の物質」とは、防腐剤、食塩以外の塩、酸化防止剤、安定剤等が挙げられる。
本発明の化粧料に含有される抽出物は、チョウザメの卵から抽出されたものであるならば、使用される卵の段階は限定されず、孕卵し排卵前の卵巣卵であっても、排卵後まだ体内に存在する状態の排卵卵であってもよいが、排卵卵であることが好ましい。本発明においては、「排卵卵」とは排卵され、チョウザメの体外に産み落とされる前の卵をいう。
従来、チョウザメの卵は、キャビアとしてのみ一般に知られているが、「キャビア」とはチョウザメを殺して解体して排卵前の卵巣卵を取り出し、それを塩漬け処理したものである。排卵後まだ体内に存在している排卵卵(当然受精前)は、浸透圧の影響を受けやすく、塩漬け処理をすると、卵の形状が維持できなくなり、キャビアとして、すなわち食用としては無価値であるため、殆ど使用されていなかった。すなわち、排卵卵は稚魚を得るためにごく少量しか使用されていなかった。
本発明においては、卵巣卵より排卵卵を用いることが好ましい。卵巣卵の場合は、たとえその一部であっても、チョウザメの体内から取り出そうとすれば、チョウザメを殺さなくてはならないが、排卵卵であるならば、前記した通り、チョウザメを生きたまま切開して卵を取り出し生きたまま元に戻す方法や、卵をチョウザメからしぼり出し生きたまま元に戻す方法が採れ、チョウザメのリサイクルができるため好ましい。すなわち、チョウザメが生きていれば、まだ排卵されておらずチョウザメの体内に残された卵細胞がチョウザメの体内で成長し何年か後に排卵した際に、その排卵卵も使用できるため好ましい。
また、排卵卵をチョウザメから取り出してから、塩漬け処理をせずに直ちに冷凍すると、卵の形状は維持できるものの、解凍したときに卵が割れ液体がでる場合もあり、食用の場合はそれによって無価値になる。しかしながら、本発明においては、卵が割れてもそこから抽出物を得ることに何ら問題はない。その点からも排卵卵の欠点が問題にならないため排卵卵が好ましい。
本発明に用いる排卵卵は、稚魚を得るために使用した残余であってもよく、本発明における抽出物を得るために専用に得たものであってもよい。稚魚を得るためには、稚魚が病気で全滅しないためにヘテロ交配を利用することが一般的であるが、本発明のためには、ヘテロ交配である必要はなく、多く孕卵又は排卵する種の雌であればそれが好ましい。
排卵は、排卵誘導ホルモンを使用して行わせることが好ましい。かかる排卵誘導ホルモンとしては特に限定はないが、抽出されず抽出物中に含有されないもの、又は、化粧料に含有されても問題のないものが好ましい。動物の脳下垂体中に含有されるものが特に好ましい。
卵からの抽出方法は特に限定はなく、任意の溶媒を用いて公知の方法で抽出できるが、抽出溶媒としては、「水」、「水と相溶する有機溶媒」又は「水と相溶する有機溶媒と水との混合溶媒」が好ましい。具体的には、水、アルコール類、又は、水とアルコール類との混合溶媒が好ましい。アルコール類としては、残留して化粧料として悪影響を及ぼさず、効率よく抽出できれば特に限定はないが、エタノール、ブタノール、プロパノール等の1価アルコール類;プロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,3−ブチレングリコール等の2価アルコール類;グリセリン等の多価アルコール類等が特に好ましい。アセトンやエーテル類を用いた場合は、抽出後、必要に応じて、常法により溶媒交換をしてもよいし、濃度調節をしてもよい。
抽出方法としては、浸漬抽出、ソックスレー抽出等が好ましい。また、抽出温度は特に限定はないが、通常4℃〜100℃、好ましくは10℃〜80℃、特に好ましくは20℃〜60℃である。抽出温度が高すぎると、変色や異臭が生じる場合がある。一方、抽出温度が低すぎると、化粧料としての前記効果が発現しない場合がある。浸漬抽出の場合の浸漬時間は特に限定はないが、2時間〜7日が好ましく、1日〜3日が特に好ましい。浸漬時間が長すぎると変色や異臭が生じる場合があり、短すぎると十分に抽出できない場合がある。
チョウザメの卵、及び、溶媒若しくは分散媒に、更に、蛋白分解酵素を加えて分解させて抽出する場合も本発明に含まれる。すなわち、チョウザメの卵に含まれる成分をそのまま抽出して得た抽出物も、チョウザメの卵に含まれる成分を、蛋白分解酵素を加えて分解させて抽出して得た抽出物(すなわち、チョウザメの卵の酵素分解液)も、何れも含有させて本発明の化粧料とすることができる。蛋白分解酵素としては特に限定はないが、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、プロテアーゼA、プロテアーゼP3、プロテアーゼN、ニューラーゼF、アクチナーゼAS又はプロテアーゼMが、入手し易く品質も安定している点から好ましい。これらは、1種又は2種以上を併用して用いることが可能である。
蛋白分解酵素を作用させる温度は特に限定はないが、0℃〜80℃が好ましく、20℃〜70℃が特に好ましく、30℃〜60℃が更に好ましい。作用温度が高すぎると、酵素の活性が失活する場合があり、また、抽出物を含有させた化粧料が、安定性に欠ける場合がある。一方、低すぎると酵素が十分働かない場合がある。蛋白分解酵素を作用させる時間は特に限定はないが、5分間〜4時間が好ましく、30分〜2時間が特に好ましく、1時間〜2時間が更に好ましい。作用時間が長すぎると、変色や異臭が生じる場合があり、また、抽出物を含有させた化粧料が、安定性に欠ける場合がある。一方、短すぎると酵素が十分に働かない場合がある。
pHは、用いる蛋白分解酵素に適した範囲に設定される。pH調整には、通常用いられる有機又は無機の酸若しくは塩を用いることができる。蛋白分解酵素を用いた場合には、抽出後に、加熱処理等により酵素を失活させることが好ましい。加熱温度は通常40℃〜100℃、好ましくは70℃〜90℃である。加熱時間は10分間〜2時間が好ましく、20分間〜1時間が特に好ましい。失活条件が強すぎると、変色や異臭が生じる場合があり、化粧料としたときに色調や香りに異常を来す場合がある。一方、失活条件が弱すぎると、蛋白分解能力が残存してしまう場合があり、化粧料としたときに肌にカブレ等のスキントラブルが生じる場合がある。
チョウザメの卵からの抽出物は、そのまま化粧料の成分として配合することも可能であるが、該抽出物を凍結乾燥法やスプレイドライ法等の操作で粉末化してから、化粧料の成分として配合することも好ましい。
配合量は固形分換算で(乾物換算で)、化粧料全体に対して、通常0.0001質量%〜10質量%、好ましくは0.001質量%〜1質量%である。特に好ましくは0.01質量%〜0.1質量%である。含有量が少なすぎては効果が見られず、また多すぎた場合には、配合量に見合った効果の上昇は期待できない。下記する剤型別では、基礎化粧品類の場合には、通常0.0005質量%〜1質量%、好ましくは0.005質量%〜0.1質量%、特に好ましくは0.05質量%〜0.1質量%である。また、メイクアップ化粧品の場合には、通常0.0001質量%〜1質量%、好ましくは0.0005質量%〜0.05質量%、特に好ましくは0.001質量%〜0.01質量%である。また、ヘアケア化粧品の場合には、通常0.0005質量%〜1質量%、好ましくは0.005質量%〜0.1質量%、特に好ましくは0.05質量%〜0.1質量%である。
本発明の化粧料の種類としては、洗顔料、化粧水、美容液、パック、乳液、クリーム等の基礎化粧品類;下地クリーム、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、ほほ紅等のメイクアップ化粧品;シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアパック、石鹸、ボディーソープ等のトイレタリー化粧品;ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアクリーム等のヘアケア化粧品等が挙げられる。
本発明の化粧料の剤型としては、ジェル、パック、リポソーム、液状、粘土状、ソリッド粉末状、エアゾール、ハップ剤等が挙げられる。また、使用方法としては、エアゾール式、ポンプ式、押出し式、又はこれらに類する機構で噴射する方式、更に、浴剤等様々な方法が挙げられる。
本発明の化粧料には、チョウザメの卵からの抽出物以外に、その剤型にあわせて「他の成分」を含有できる。「他の成分」としては、具体的には例えば、水、アルコール類、界面活性剤(カチオン、アニオン、ノニオン、両性界面活性剤等)、保湿剤(グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、アミノ酸、尿素、ピロリドンカルボン酸塩、核酸類、単糖類、蔗糖等、又はそれらの誘導体)、増粘剤(多糖類、ポリアクリル酸塩、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、キチン、キトサン、アルギン酸、カラギーナン、キサンタンガム、メチルセルロース等、又はそれらの誘導体)、ワックス、ワセリン、炭化水素飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、シリコン油等、又はそれらの誘導体、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリオクタン酸グリセリル等のトリグリセライド類、ステアリン酸イソプロピル等のエステル油類、天然油脂類(オリブ油、椿油、アボガド油、アーモンド油、カカオ脂、月見草油、ブドウ種子油、マカデミアンナッツ油、ユーカリ油、ローズヒップ油、スクワラン、オレンジラフィー油、ラノリン、セラミド等)、防腐剤(オキシ安息香酸誘導体、デヒドロ酢酸塩、感光素、ソルビン酸、フェノキシエタノール等、又はそれらの誘導体)、殺菌剤(イオウ、トリクロカルバアニリド、サリチル酸、ジンクピリチオン、ヒノキチオール等、又はそれらの誘導体)、紫外線吸収剤(パラアミノ安息香酸、メトキシケイ皮酸等、又はそれらの誘導体)、抗炎症剤(アラントイン、グリチルリチン酸等、又はそれらの誘導体)、抗酸化剤(トコフェロール、BHA、BHT等、又はそれらの誘導体)、キレート剤(エデト酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸等、又はそれらの誘導体)、動植物エキス(アシタバ、アロエ、エイジツ、オウゴン、オウバク、海藻、カリン、カミツレ、甘草、キウイ、キュウリ、クワ、シラカバ、トウキ、ニンニク、ボタン、ホップ、マロニエ、ラベンダー、ローズマリー、ユーカリ、ミルク、各種ペプタイド、プラセンタ、ローヤルゼリー等、又はこれらの含有成分精製物若しくは発酵物)、pH調整剤(無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩等、又はそれらの誘導体)、ビタミン類(ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD類等、又はそれらの誘導体)、酸化チタン、タルク、マイカ、シリカ、酸化亜鉛、酸化鉄、シリコン、又はこれらを加工処理した粉体類等を、本発明の目的を達成する範囲内で配合することができる。なお、本発明の化粧料を構成する成分は決して上記のものに限られるものではなく、化粧料に用い得る成分であれば自由に選択が可能である。
ハップ剤においては上記成分に加えて、基剤(カオリン、ベントナイト等)、ゲル化剤(ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール等)を本発明の目的を達成する範囲内で配合することができる。また、浴剤においては、硫酸塩、炭酸水素塩、ホウ酸塩、色素、保湿剤を本発明の目的を達成する範囲内で適宜配合し、パウダータイプ、液剤タイプに調製が可能である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらに限定されるものではない。
製造例1
<蛋白分解酵素を用いない、チョウザメの卵からの抽出物の調製>
ベステル種のチョウザメから、生きているうちに排卵卵を切開して取り出し、0.9質量%の生理食塩水で洗浄処理をした後、取出しから30分後に冷凍した。そのまま14日間冷凍保存した卵1kgを、1,3−ブチレングリコール63kgと水147kgの混合溶媒(1,3−ブチレングリコールの30質量%水溶液210kg)に浸漬して、20℃で2週間抽出したのち、ろ過精製してチョウザメの卵からの抽出物を得た。これを「抽出物(1)」とする。
製造例2
<蛋白分解酵素を用いた、チョウザメの卵からの抽出物の調製>
製造例1と同様にして得て冷凍保存した卵1kgを、精製水5kgに浸漬し、加える蛋白分解酵素であるプロテアーゼAの至適pH6.5に、リン酸緩衝液を添加して調整した。その後、蛋白分解酵素プロテアーゼAを2.5g加え、45〜55℃で、6時間、加水分解を行って抽出を行った。その後、pHを水酸化ナトリウム溶液で中性に調整して、80℃で20分間の加熱処理により酵素を失活させた。これを冷却後、ろ過精製してチョウザメの卵からの抽出物を得た。これを「抽出物(2)」とする。
製造例3
<チョウザメの卵からの抽出物の粉末の調製>
製造例2で得られた抽出物(2)0.1kgに対してデキストリン1kgを加えて均一に混合し、これをスプレイドライ法でチョウザメの卵からの抽出物の粉末を得た。これを「抽出物(3)」とする。
実 施 例 1
(化粧水)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
抽出物(1) 1.000
濃グリセリン 2.000
1,3−ブチレングリコール 10.000
キサンタンガム 0.050
ヒアルロン酸ナトリウム 0.010
防腐剤 適量
精製水 全量が100.000となる量
実 施 例 2
(乳液)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
抽出物(1) 3.000
トリオクタン酸グリセリル 3.000
ホホバ油 1.000
オリブ油 1.000
メチルポリシロキサン 0.100
天然ビタミンE 0.100
POE(20)ソルビタンモノオレエート 1.500
ソルビタンモノオレエート 0.500
L−アルギニン 2.000
L−セリン 0.500
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.100
ポリビニルピロリドン 0.050
防腐剤 適量
精製水 全量が100.000となる量
実 施 例 3
(クリーム)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
抽出物(2) 0.500
ベヘニルアルコール 2.000
トリオクタン酸グリセリル 3.000
ホホバ油 1.000
オリブ油 1.000
メチルポリシロキサン 0.100
天然ビタミンE 0.100
POE(20)ソルビタンモノステアレート 2.500
POE(80)硬化ヒマシ油 0.500
L−アルギニン 2.000
L−セリン 0.500
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.100
カルボキシビニルポリマー 0.050
水酸化カリウム 0.010
防腐剤 適量
精製水 全量が100.000となる量
実 施 例 4
(美容液)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
抽出物(1) 5.000
カルボキシビニルポリマー(2%水溶液) 10.000
カルボキシエチルセルロース 3.000
グリセリン 10.000
植物抽出液 0.500
トリエタノールアミン 0.150
メチルパラベン 0.100
クインシード液(1%水溶液) 10.000
ヒアルロン酸ナトリウム液(1%水溶液) 4.000
L−アルギニン 2.000
精製水 全量が100.000となる量
実 施 例 5
(パック)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
抽出物(2) 1.500
ヒドロキシエトキシセルロース 3.000
カルボキシビニルポリマー(2%水溶液) 10.000
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(15EO) 1.000
L−アルギニン 2.000
エタノール 5.000
防腐剤 適量
精製水 全量が100.000となる量
実 施 例 6
(洗顔クリーム)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
抽出物(2) 2.500
ステアリン酸 4.000
ヤシ油脂肪酸 8.000
水酸化カリウム 0.200
1,3−ブチレングリコール 3.000
濃グリセリン 5.000
ジステアリン酸ジエチレングリコール 1.000
L−アルギニン 2.000
エデト酸二ナトリウム 0.050
安息香酸ナトリウム 0.100
精製水 全量が100.000となる量
実 施 例 7
(液状ファンデーション)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
抽出物(2) 0.500
ステアリン酸 4.500
スクワラン 8.000
ミリスチン酸イソプロピル 6.000
プロピルパラベン 0.100
トリエタノールアミン 1.000
グリセリン 2.500
メチルパラベン 0.100
酸化チタン 10.000
タルク 4.000
シリカ 1.000
L−アルギニン 2.000
顔料 適量
精製水 全量が100.000となる量
実 施 例 8
(粉白粉)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
抽出物(2) 0.500
酸化チタン 15.000
酸化亜鉛 20.000
セリサイト 4.000
シリカ 4.000
ステアリン酸亜鉛 8.000
着色剤 適量
タルク 全量が100.000となる量
実 施 例 9
(浴剤)
下記の配合成分を常法に従って配合して調製した。
[配合成分] [質量%]
抽出物(2) 0.100
無水硫酸ナトリウム 45.000
炭酸水素ナトリウム 50.000
ホウ酸ナトリウム 3.000
L−アルギニン 2.000
比 較 例 1
(比較化粧水)
実施例1において、抽出物(1)の代わりに精製水を使用した以外は実施例1と同様にして比較化粧水を調製した。
比 較 例 2
(比較乳液)
実施例2において、抽出物(1)の代わりに精製水を使用した以外は実施例2と同様にして比較乳液を調製した。
比 較 例 3
(比較クリーム)
実施例3において、抽出物(2)の代わりに精製水を使用した以外は実施例3と同様にして比較クリームを調製した。
比 較 例 4
(比較美容液)
実施例4において、抽出物(1)の代わりに精製水を使用した以外は実施例4と同様にして比較美容液を調製した。
比 較 例 5
(比較パック)
実施例5の製造例(2)で得られたチョウザメ卵パウダーの代わりに精製水を使用して調製した。
比 較 例 6
(比較洗顔クリーム)
実施例6の製造例(2)で得られたチョウザメ卵パウダーの代わりに精製水を使用して調製した。
比 較 例 7
(比較液状ファンデーション)
実施例7の抽出物(2)の代わりにタルクを使用して調製した。
比 較 例 8
(比較粉白粉)
実施例8の抽出物(2)の代わりにタルクを使用して調製した。
(比較浴剤)
実施例9の抽出物(2)の代わりに炭酸水素ナトリウムを使用して調製した。
評 価 例 1
(1)保湿作用
実施例(1)と比較例(1)を女性被験者5名の左右前腕内側に1mLずつ毎日朝夕30日間塗擦し、30日経過後の角層水分量を水分計で計測して比較した。結果を表1に示す。ここで角層水分量は、インテグラル社(Integral Co.)製のコルネオメーター(商品名)を用いて、常法に従って測定したときの値である。
Figure 2008127328
表1から、実施例1の化粧水の保湿作用に関しては、比較例1の比較化粧水に比べて顕著に角層水分量が高く、優れていることがわかった。
評 価 例 2
(2)肌状態改善作用
肌に衰えを訴えた40〜50歳台の10名の女性被験者に対して、顔全体に実施例1〜5の化粧料、及び比較例1〜5の比較化粧料について、朝晩2回塗布してもらい、実施例9の浴剤、比較例9の比較浴剤については、200Lの湯に対して浴剤50グラムを溶解し、1日1回入浴使用してもらい、以下の判定基準に基づいて、(a)肌のうるおい感、(b)肌のつや、(c)肌のハリについて使用前後の肌状態について、使用開始1ヵ月後に官能評価を行った。なお、本試験期間を通して皮膚に異常を訴えた者はいなかった。
[肌状態改善度判定基準]
A 極めて顕著に改善した
B 顕著に改善した
C わずかに改善した
D 変化を認めなかった
E 増悪を感じた
「(a)肌のうるおい感」に関し、判定A〜Eとしたそれぞれの人数を表2に示す。
Figure 2008127328
「(b)肌のつや」に関し、判定A〜Eとしたそれぞれの人数を表3に示す。
Figure 2008127328
「(c)肌のハリ」に関し、判定A〜Eとしたそれぞれの人数を表4に示す。
Figure 2008127328
表2、表3及び表4の結果から、肌状態改善作用について、(a)肌のうるおい感、(b)肌のつや及び(c)肌のハリ共に比較例より実施例の方が格段に優れていた。
比較製造例1
<取出しから冷凍までに時間を要した場合>
ベステル種のチョウザメから、生きているうちに排卵卵を取り出し、0.9質量%の生理食塩水で洗浄処理をした後、取出しから3時間後に冷凍し、そのまま14日間冷凍保存した卵1kgを、1,3−ブチレングリコール63kgと水147kgの混合溶媒(1,3−ブチレングリコールの30質量%水溶液210kg)に浸漬して、20℃で2週間抽出したのち、ろ過精製してチョウザメの卵からの抽出物を得た。これを「抽出物(4)」とする。
比較製造例2
<取出してから塩漬け処理をした場合>
ベステル種のチョウザメから、生きているうちに卵を取り出し、0.9質量%の生理食塩水で洗浄処理をした後、取出しから30分後に塩漬け処理をし、そのまま14日間、−20℃で保存した卵1kgを、1,3−ブチレングリコール63kgと水147kgの混合溶媒(1,3−ブチレングリコールの30質量%水溶液210kg)に浸漬して、20℃で2週間抽出したのち、ろ過精製してチョウザメの卵からの抽出物を得た。これを「抽出物(5)」とする。
評 価 例 3
製造例1〜3の抽出物(1)〜(3)について、その「臭い」を、5人のアロマセラピストにより官能評価したところ、何れも生臭さが全くなく、化粧料に配合できるものであった。
評 価 例 4
比較製造例1で得た抽出物(4)及び比較製造例2で得た抽出物(5)について、その「臭い」を、評価例3と同様に評価したところ、抽出物(4)は、生臭さが強く感じられた。抽出物(5)の生臭さは抽出物(4)よりも軽微であったが、生臭さが感じられた。
評 価 例 5
実施例1〜9の化粧料について、その「臭い」を、5人のアロマセラピストにより官能評価したところ、何れも生臭さが全くなく、化粧料として問題がなかった。
評 価 例 6
比較製造例1の抽出物(4)から、実施例1と同様にして調製した化粧水について、その「臭い」を、評価例5と同様に評価したところ、生臭さが強く感じられ、化粧料として使用不可能であった。
評 価 例 7
比較製造例2の抽出物(5)から、実施例2と同様にして調製した乳液について、その「臭い」を、評価例5と同様に評価したところ、生臭さが感じられ、化粧料として使用不可能であった。また、食塩が含有されているため、水層と油層に分離する傾向も見られ、製剤の安定性や使用感に問題点がある化粧料しかできなかった。
本発明の化粧料は、肌にうるおいとハリ、ツヤを与え、更に、くすみを軽減して若々しい肌状態を維持するという優れた老化防止効果を有するので、洗顔料、化粧水、美容液、パック、乳液、クリーム、洗顔クリーム等の基礎化粧品類;下地クリーム、ファンデーション、口紅、アイシャドウ、ほほ紅、粉白粉等のメイクアップ化粧品;シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアパック、石鹸、ボディーソープ、浴剤等のトイレタリー化粧品;ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアクリーム等のヘアケア化粧品等に広く利用されるものである。

Claims (9)

  1. チョウザメの卵からの抽出物を含有することを特徴とする化粧料。
  2. 該チョウザメの卵がチョウザメから取り出された直後のものであるか、又は、チョウザメから取り出された直後に冷凍されたものである請求項1記載の化粧料。
  3. 該チョウザメの卵が塩漬け処理されていないものである請求項1又は請求項2記載の化粧料。
  4. 該チョウザメの卵が排卵卵である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の化粧料。
  5. 該チョウザメの卵が、アムールチョウザメ、シロチョウザメ、シベリアチョウザメ、コチョウザメ又はベステルチョウザメの卵である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の化粧料。
  6. チョウザメの卵からの抽出物が、チョウザメの卵を、水に相溶する有機溶媒と水との混合溶媒に浸漬することにより得られたものである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載の化粧料。
  7. チョウザメの卵からの抽出物が、チョウザメの卵、及び、溶媒若しくは分散媒に、更に蛋白分解酵素を加えて分解させて抽出したものである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載の化粧料。
  8. 皮膚又は頭髪の老化防止用である請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載の化粧料。
  9. 請求項1ないし請求項8の何れかの請求項記載の化粧料に含有されるチョウザメの卵からの抽出物。
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