JP2008126914A - 自動車のサスペンションタワー補強構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車のサスペンションタワーに作用する微小なストロークの振動や衝撃を効率よく減衰するサスペンションタワー補強構造を提供すること。
【解決手段】車体の左右両側に設けられたサスペンションタワー4の上端間に、車幅方向に延び、長手方向の中間部が緩やかに鈍角形状に屈曲して屈曲部11が前方へ張り出すほぼく字形の第1の連結部材1aと、第1の連結部材1aとは逆向きに長手方向の中間部が緩やかに鈍角形状に屈曲して屈曲部11が後方へ張り出す逆く字形の第2の連結部材1bとをほぼひし形状に架けわたし、かつ両連結部材1a,1bの屈曲部11,11間に緩衝装置2を架けわたした補強部材1を設け、サスペンションタワー4に作用する微小な振動を両連結部材1a,1bにより前後方向の大きなストロークに変換してダンパー2により減衰させるようになした。
【選択図】 図2
【解決手段】車体の左右両側に設けられたサスペンションタワー4の上端間に、車幅方向に延び、長手方向の中間部が緩やかに鈍角形状に屈曲して屈曲部11が前方へ張り出すほぼく字形の第1の連結部材1aと、第1の連結部材1aとは逆向きに長手方向の中間部が緩やかに鈍角形状に屈曲して屈曲部11が後方へ張り出す逆く字形の第2の連結部材1bとをほぼひし形状に架けわたし、かつ両連結部材1a,1bの屈曲部11,11間に緩衝装置2を架けわたした補強部材1を設け、サスペンションタワー4に作用する微小な振動を両連結部材1a,1bにより前後方向の大きなストロークに変換してダンパー2により減衰させるようになした。
【選択図】 図2
Description
本発明は自動車の左右のサスペンションタワーの上端部間に補強部材を架けわたしてサスペンションタワーを補強する構造に関する。
自動車の車体前部または車体後部の左右両側に設けられたサスペンションタワーの上端部には、前輪または後輪を支えるサスペンションの構成部材たるストラッドの上端が結合されている。サスペンションタワーには上記ストラッドを介して車両走行時の車輪から伝達される振動により振動し、この振動は自動車の操縦安定性に悪影響を及ぼす。
そこで従来、左右のサスペンションタワーの上端間に金属製の棒材またはパイプ材からなる補強部材を架設してサスペンションタワーおよびその周辺部の車体の剛性を強化して振動を抑制する対策がとられている。しかしながら、このようにすると一方において車両走行時に乗員にゴツゴツ感が与えられ乗り心地を低下させる問題が生じる。そこで補強部材にダンピング性能をもたせて乗り心地を改善することが提案されている(例えば特許文献1参照。)。
図5にこの種の代表的な補強部材を示し、補強部材9は、液体を封入したシリンダ91をピストンロッド92の先端のピストンにより仕切り、ピストンロッド92の軸方向の動きによりピストンに形成された貫通孔を液体が流通するようになしたハイドロリックダンパーにより構成されている。補強部材9はシリンダ91側の端末部およびピストンロッド92側の端末部をそれぞれ左右のサスペンションタワーの上端部に結合して両サスペンションタワー4,4間に車幅方向に架設される。これにより車両走行時のサスペンションタワー4,4付近の車体の振動は、ピストンロッド92の移動に伴う封入液体の粘性抵抗およびピストンの貫通孔を通過する時の流通抵抗により減衰される。
特開2002−211437号公報
しかしながら、従来の車幅方向に架設したダンパー式の補強部材では、車体の微小な振動に対して減衰力を発揮することは難しい。そこで振動に対して感度よく作用する高性能のダンパーを用いることも考えられるが高価なもののとなり、かかるダンパーを車両のサスペンションタワー間を連結するダンパーとして用いることは実用的とは言えない。そこで本発明は車体の微小な振動を効果的に減衰でき、乗員の乗り心地を改善するサスペンションタワーの補強構造を提供することを課題としてなされたものである。
本発明は、車体の左右両側に設けられたサスペンションタワーの上端間に車幅方向に補強部材を架けわたした自動車のサスペンションタワーの補強構造において、上記補強部材を、左右のサスペンションタワーの上端部に連結した左右両側の端末部よりも長手方向の中間部が前側へ張り出す鈍角形状に屈曲形成したほぼく字形の第1の連結部材と、上記第1の連結部材とは逆向きに、左右のサスペンションタワーの上端部に結合した両端末部よりも長手方向の中間部が後側へ張り出す鈍角形状に屈曲形成したほぼ逆く字形の第2の連結部材とでほぼひし形状に構成する。そして上記第1および第2の連結部材間には両者の上記鈍角形状に屈曲形成した長手方向中間の屈曲部間を車両前後方向に架けわたす緩衝装置を設ける(請求項1)。サスペンションタワーは主として車幅方向に振動する。左右のサスペンションタワーが変位して両者間の間隔が変化すると、第1および第2の連結部材の屈曲部の屈曲角度が変化し、両連結部材の屈曲部間の車両前後方向の間隔が変化する。この間隔の変化は、屈曲角度が鈍角に設定されていると、サスペンションタワーの変位よりも拡大して現れる。従ってサスペンションタワーの微小な振動でも緩衝部材の作動ストロークは大きくなり、振動減衰効果が効果的に発揮される。
上記緩衝装置として、上記第1および第2の連結部材の両屈曲部間の前後方向の伸長変形を抑制するように設けた液圧式ダンパー装置で構成する(請求項2)。緩衝部材として液圧式ダンパー装置を好適に用いることができる。
上記第1および第2の連結部材は各屈曲部の屈曲角度を、150度から170度の範囲に設定する(請求項3)。サスペンションタワーの車幅方向の変位を効率よく第1および第2の連結部材の前後方向のストロークの大きな変位に置き換えることができる。
図1ないし図4に基いて車体前部のエンジンルーム内に設けられたフロントサスペンションタワーに本発明を適用した実施形態を説明する。図1、図2に示すようにエンジンルーム内には、左右のエプロンアッパメンバ5とフロントサイドメンバ6との間のエンジンルーム側壁部7にはそれぞれ車幅方向対称位置に左右のフロントサスペンションタワー(以下、単にサスペンションタワーという)4が形成してある。
サスペンションタワー4は、フロントサイドメンバ6側から上方へ延びる筒状で、タワー上端はエプロンアッパメンバ5の上面とほぼ同一高さで、上端パネル40により閉じてある。図は省略したが、サスペンションタワー4の内部には前輪を指示するフロントサスペンションペンの構成部材たるストラッドが立設され、サスペンションタワー4の上端パネル40に上記ストラッドの上端に設けられた取付用ボルトを下方から貫通せしめて締結してある。
そして左右のサスペンションタワー4の上端間には、左右のサスペンションタワー4が相互に支えあうように車幅方向に補強部材1が架けわたしてある。補強部材1は、金属の丸パイプ製で、長手方向の中間部が緩やかな鈍角状に屈曲したほぼく字形の第1の連結部材1aと、第1の連結部材1aとは逆に中間部が緩やかな鈍角状に屈曲したほぼ逆く字形の第2の連結部材1bとを備えている。
第1および第2の連結部材1a,1bの両端にはそれぞれブラケット10が固着してある。各ブラケット10は、上方が開口する断面ほぼコ字形の溶接部101に連結部材1a,1bの端末部を嵌入して溶接結合してあり、溶接部101の底壁から張り出す平板状でボルト貫通孔を備えた取付部102が形成してある。
両連結部材1a,1bは、第1の連結部材1aを中間の屈曲部11が前側に突出するように配置するとともに、第2の連結部材1bを中間の屈曲部11が後側に突出するように配し、両連結部材1a,1bでほぼひし形状に左右のサスペンションタワー4の上端間を架けわたしてある。両連結部材1a,1bは両端の各ブラケット10の取付部102をサスペンションタワー4の上端パネル40と上記ストラッドとの結合部と一体に上記ボルトに揺動可能に連結してある。
第1の連結部材1aの屈曲部11の内角αは、両側の各傾斜部12,13が、左右のサスペンションタワー4の上端間を車幅方向に結ぶ直線Xと約10度前後の傾斜角θで交わるように、約160度の角度に設定してある。第1の連結部材1aと同様に第2の連結部材1bの屈曲部11の内角αも約160度に設定してある。
第1および第2の連結部材1a,1bの両屈曲部11,11は車体の車幅方向センターラインCL上に配してあり、両屈曲部11,11間には前後方に緩衝部材たるダンパー2が架設してある。図3(A),(B)に示すようにダンパー2は周知の油圧式ダンパーで、シリンダ20と、シリンダ20に対して伸縮作動可能に組み付けたピストンロッド21とで構成してある。シリンダ20内はその一端から摺動自在に嵌入したピストンロッド21のピストン23により長手方向に2室に仕切られ、第1油室r1と第2油室r2が形成してある。シリンダ20の上記一端はロッド本体を挿通する蓋部材26で閉じてあり、両油室r1,r2にはオイルが充填してある。
ピストン23には第1油室r1と第2油室r2との間をオイルが行き来可能な大小径の異なるオリフイス(小穴)24,25が設けてあり、小径のオリフイス24にはピストンロッド21の伸長時に第1油室r1から第2油室r2へのオイルの移動を許容する一方、収縮時の移動を禁止する弁が設けてある。大径のオリフイス25には収縮時に第2油室r2から第1油室r1へのオイルの移動を許容し、伸長時の移動を禁止する弁が設けてある。ダンパー2はピストンロッド21の伸縮動作で各オリフイス24,25をオイルが流通し、オイルの流動抵抗によりピストンロッド21の伸縮動作が抑制される。
第1および第2の連結部材1a,1bの各屈曲部11,11にはそれぞれ、断面ほぼコ字形のブラケット14が、その上下の壁部で屈曲部11を上下に挟むように嵌合し、ブラケットの上壁部、下壁部および屈曲部11を上下に貫通する支軸によりカシメ結合して設けてある。これらうちの一方のブラケット14の縦壁部にシリンダ20の端末部を左右方向に相対的に揺動可能に連結するとともに、他方のブラケット14の縦壁部にピストンロッド21の端末部を左右方向に相対的に揺動可能に連結してある。
車両の走行時、前輪から上記ストラッドを介して作用する振動によりサスペンションタワー4は主として車幅方向車内側へ振動し、左右のサスペンションタワー4,4の間隔が狭められた場合、両サスペンションタワー4間に架設した補強部材1の第1および第2の連結部材1a,1bは車幅方向に圧縮され、中間の屈曲部11の屈曲角度が変化して、両連結部材1a,1bの屈曲部11,11間の前後間隔が広がる。この場合、両屈曲部11,11間に前後方向に架設したダンパー2が伸長され伸長動作に対する抵抗力が発揮されて、ダンパー2によりサスペンションタワー4の振動が減衰される。
ところで、サスペンションタワー4の車内外方向の振動幅が微小な場合、左右のサスペンションタワー4間をダンパーで直線状に連結すると、ダンパーのピストンロッドのストロークも微小であって、振動減衰効果はほとんど発揮されない。これに対して本実施形態ではサスペンションタワー4の変位に対して第1および第2の連結部材1a,1bの屈曲部11,11間の間隔は大きく変化する。
図4は第1および第2の連結部材1a,1bの作動をモデル的に示すもので、両連結部材1a,1bは左右対称のひし形形状で、左右両側の端末を結ぶ直線Xに対して傾斜角度θとし、振動により連結部材1a,1bの左右の端末が対向方向に変位(変位量d)したとき、連結部材1a,1bの屈曲部11は屈曲角度が変化して前後方向に変位(変位量d1)する。
このとき斜辺の長さdで、これと底辺との傾斜角度θの直角三角形Aと、斜辺の長さd1で,これと底辺とのなす傾斜角度θの直角三角形Bは相似となる。直角三角形Bの垂直辺の長さS1は直角三角形Aの底辺の長さSとほぼ同じで、斜辺の長さ(変位量)dをd=1とするとd1の長さは数式1より求められる。
よって、連結部材1a,1bの車幅方向の変位に対して連結部材1a,1bの屈曲部11,11間の車両前後方向の変位は拡大され、従って特別に高性能のダンパーを用いなくても、サスペンションタワー4およびその周辺に作用する微小振動の振動減衰効果は効率よく発揮される。
なお、連結部材1a,1bの上記傾斜角度θは小さいほうが連結部材1a,1bの車幅方向の変位に対して屈曲部11,11間の車両前後方向の変位は拡大されるので、傾斜角度θを約5度〜15度の範囲に設定することが好ましく、各連結部材1a,1bの屈曲部11,11の内角度αを約170度〜150度の角度に設定する。
上述の実施形態では、第1および第2の連結部材1a,1bの両端の連結点をそれぞれ同一とし、かつサスペンションタワー4の上端パネル40とストラッドの上端と一体に連結したが、これに限らず、両連結部材1a,1bの両端を上端パネル40上に、ストラッドの上端と離して連結してもよく、更に各連結部材1a,1bの両端を上端パネル40上の前後位置に離して連結してもよい。また、補強部材1のダンパーとして各オリフイス24,25に弁を備えたものを用いたが、これに必ずしも弁は必要なものでなく、弁のないタイプのダンパーでもよい。フロントサスペンションタワーに限らず、リヤサスペンションタワー等に用いていもよい。
1 補強部材
1a 第1の連結部材
1b 第2の連結部材
10 端末ブラケット(端末部)
11 屈曲部
2 ダンパー(緩衝装置)
4 サスペンションタワー
40 上端パネル(上端部)
α 屈曲角度
1a 第1の連結部材
1b 第2の連結部材
10 端末ブラケット(端末部)
11 屈曲部
2 ダンパー(緩衝装置)
4 サスペンションタワー
40 上端パネル(上端部)
α 屈曲角度
Claims (3)
- 車体の左右両側に設けられたサスペンションタワーの上端間に車幅方向に補強部材を架けわたした自動車のサスペンションタワーの補強構造において、
上記補強部材を、左右のサスペンションタワーの上端部に連結した左右両側の端末部よりも長手方向の中間部が前側へ張り出す鈍角形状に屈曲形成したほぼく字形の第1の連結部材と、
上記第1の連結部材とは逆向きに、左右のサスペンションタワーの上端部に結合した両端末部よりも長手方向の中間部が後側へ張り出す鈍角形状に屈曲形成したほぼ逆く字形の第2の連結部材とでほぼひし形状に構成し、
上記第1および第2の連結部材間には両者の上記鈍角形状に屈曲形成した長手方向中間の屈曲部間を車両前後方向に架けわたす緩衝装置を設けたことを特徴とする自動車のサスペンションタワー補強構造。 - 上記請求項1に記載の自動車のサスペンションタワー補強構造において、
上記第1および第2の連結部材は金属製の棒材またはパイプ材からなり、
上記緩衝装置として、上記第1および第2の連結部材の両屈曲部間の前後方向の間隔の伸縮を抑制するように設けた液圧式ダンパー装置で構成した自動車のサスペンションタワー補強構造。 - 請求項1または2に記載の自動車のサスペンションタワー補強構造において、
上記第1および第2の連結部材の屈曲部の屈曲角度を、150度から170度の範囲に設定した自動車のサスペンションタワーの補強構造。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006316561A JP2008126914A (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | 自動車のサスペンションタワー補強構造 |
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JP (1) | JP2008126914A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108928199A (zh) * | 2018-07-20 | 2018-12-04 | 太原科技大学 | 一种仿袋鼠腿双菱形悬架的防倾倒及姿态调节装置 |
-
2006
- 2006-11-24 JP JP2006316561A patent/JP2008126914A/ja active Pending
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