JP2008126810A - 車両用の固定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の挙動を効率的且つ効果的に制御する。
【解決手段】車両10のリアロアアーム310は、車輪と異なる側の端部においてフロントアームブッシュ380及びリアアームブッシュ370により弾性的に固定されている。リアアームブッシュ370は、液封ブッシュであり、二つの液室における作動液の液圧に応じて、横方向の剛性が変化する構成となっている。一方、作動液の液圧は制動系と共用されており、制動時には、液圧調整弁374の開閉状態が制御されることによって所望の値に制御される。挙動制御処理において、ECU100は、平常時にはリアアームブッシュ370の横剛性をフロントアームブッシュ380に対し低くして車輪をトーアウト方向に向け、乗り心地を向上させると共に、制動時には、リアアームブッシュ370の横剛性を相対的に高くして車輪をトーイン方向に向け、走行安定性を確保する。
【選択図】図9
【解決手段】車両10のリアロアアーム310は、車輪と異なる側の端部においてフロントアームブッシュ380及びリアアームブッシュ370により弾性的に固定されている。リアアームブッシュ370は、液封ブッシュであり、二つの液室における作動液の液圧に応じて、横方向の剛性が変化する構成となっている。一方、作動液の液圧は制動系と共用されており、制動時には、液圧調整弁374の開閉状態が制御されることによって所望の値に制御される。挙動制御処理において、ECU100は、平常時にはリアアームブッシュ370の横剛性をフロントアームブッシュ380に対し低くして車輪をトーアウト方向に向け、乗り心地を向上させると共に、制動時には、リアアームブッシュ370の横剛性を相対的に高くして車輪をトーイン方向に向け、走行安定性を確保する。
【選択図】図9
Description
本発明は、例えばエンジンやサスペンション等を車体に弾性的に固定する、車両用の固定装置の技術分野に関する。
この種の装置として、部位により剛性の異なるブッシュを使用するもの(例えば、特許文献1参照)や、液封ブッシュにおいてブッシュ内の液圧を調整可能としたもの(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
特許文献1に開示されたサスペンション装置(以下、「第1の従来技術」と称する)によれば、車両上方から見て後側にあるリンクの結合ブッシュにおける横方向の剛性を、前側にある結合ブッシュのそれと比べて高くすることにより、アクスル前側の内側引き込み量や外側押し出し量が大きく確保され、横力に対しトーインとすることが可能であるとされている。
また、特許文献2に開示された剛性調整機構付きサスペンションブッシュ(以下、「第2の従来技術」と称する)によれば、ブッシュ内の液圧を調整することによって、サスペンション剛性を複数の方向から夫々独立して制御することが可能となり、車両の走行性能や旋回性能や乗り心地を向上できるようになるとされている。
尚、ブレーキ装置において発生する油圧を用いてショックアブソーバの減衰力を変化させる技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
第1の従来技術では、例えば制動時において、横剛性の相対的に低いアクスル前側が内側に引き込まれ、タイヤは必然的にトーインを向き易くなるため、車両の安定性を向上させ得る。然るに、他の走行条件では、後ろ側のブッシュの横剛性を大きくすることにより逆に不利益が生じる場合もある。即ち、第1の従来技術では、ブッシュの剛性が固定されているため、車両の挙動制御が不十分になりかねないという技術的な問題点がある。
また、第2の従来技術では、複数の方向について夫々独立してサスペンション剛性を制御することが可能であるが、如何なる場合に如何なる剛性特性を実現すべきかについては何らの開示も無く、また、構成が複雑化することによるコストの増加が回避し難い。即ち、第2の従来技術では、実践的にみて、効率的且つ効果的に車両の挙動を制御することが困難であるという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、車両の挙動を効率的且つ効果的に制御し得る車両用の固定装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る車両用の固定装置は、車両における所定種類の対象部位を該車両の車体に弾性的に固定するための、車両用の固定装置であって、液体を充填可能な液室を備え、該充填された液体の圧力に応じて所定方向の剛性が変化する液封ブッシュと、前記充填される液体の圧力を調整可能な圧力調整手段と、前記車両の制動状態を特定する特定手段と、前記特定された制動状態に基づいて前記所定方向の剛性が変化するように前記圧力調整手段を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明において、「所定種類の対象部位」とは、車体に直接的に又は間接的に、且つ弾性的に固定されると共に、車両の制動状態に応じて、固定状態において車両の挙動を好適に制御する観点から要求される剛性が変化し得る部位を包括する概念であり、例えば、エンジン等、相対的にみて振動或いは重量の大きい物体や、サスペンション等、回動或いは回転可能な物体等を含む趣旨である。
本発明に係る車両用の固定装置には、液封ブッシュが備わる。ここで、本発明における「液封ブッシュ」とは、液体を充填可能な液室を備え、且つ当該充填された液体の圧力(以下、適宜「液圧」と称する)に応じて所定方向(例えば、車両の横方向、前後方向、或いは上下方向等)の剛性が変化する構成を有する弾性支持部材であり、係る構成を逸脱しない範囲で、例えばその物理的、機械的又は電気的な構成は何ら限定されない趣旨である。
尚、このような所定方向に付与される弾性の変化は、一の液封ブッシュの配置態様を変化させることによって得られるものであってもよい。例えば、車両の前後方向の剛性が可変である液封ブッシュとは、車両の横方向の剛性が可変である液封ブッシュの向きを、当該前後方向及び横方向とによって形成される面内で90度回転させたものであってもよい。
例えば、液封ブッシュは、対象部位が固定される弾性部材を挟んで当該所定方向に相互に対向してなる複数の液室を備え、且つ両液室をオリフィス等の絞り流路を介して連通せしめ、当該弾性体の所定方向の移動を液体の減衰力により弾性的に受け止める構成、或いはそれに準じる構成を有していてもよい。
一方、本発明に係る車両用の固定装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る特定手段によって、車両の制動状態が特定される。
ここで、本発明に係る「制動状態」とは、車両が制動中であるか否かの二値状態であってもよいし、より具体的には、車輪に対し付与される制動力或いはそれに対応する指標値等、定量的な状態であってもよい趣旨である。
また、本発明における「特定」とは、例えば、何らかの検出手段を介して直接的に又は間接的に物理的数値又は物理的数値に対応する例えば電気信号等として検出すること、予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当する数値を選択する又はそのような選択を介して推定すること、それら検出された物理的数値若しくは電気信号又は選択若しくは推定された数値等から、予め設定されたアルゴリズムや計算式等に従って導出又は推定すること、或いはこのように検出、選択、推定又は導出された値等を単に電気信号等として取得すること等を包括する広い概念である。
他方、本発明に係る車両用の固定装置は、例えば液体を液封ブッシュの液室に供給するための管路、ポンプ、並びに差圧弁及び電磁弁等の各種弁装置等を適宜備え得る圧力調整手段と、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る制御手段とを具備する。
ここで、当該制御手段は、特定手段により特定された制動状態に基づいて前述した所定方向の剛性が変化するように圧力調整手段を制御する。
本発明に係る車両用の固定装置により弾性的に固定される対象部位は、前述したように、制動状態に応じて車両の挙動制御を好適に行わしめる観点から要求される剛性が変化し得る部位である。従って、特定された制動状態に基づいて所定方向の剛性が変化することにより、所定方向に単一の剛性を有するブッシュが使用される場合と較べて、固定状態における剛性を、明らかに要求される剛性に近付けることが可能となる。従って、本発明に係る車両用の固定装置によれば、制動状態に応じて相反し得る要求に適宜対処することが可能となり、車両の挙動を効率的且つ効果的に制御することが可能となるのである。
尚、この際、液封ブッシュが使用される対象部位の、種類や位置等に応じて、制動力に応じて要求される剛性は異なるのが普通であり、制御手段に係る制御の態様は、少なくとも車両の挙動を所望の特性に近づけ得る限りにおいて、対象部位毎に適宜異なっていてよい。例えば、係る制御の態様は、予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーションに基づいて、車両の走行安定性、制動安定性、直進性、回頭性、並びに乗り心地、ドライバビリティ及びNV(Noise and Vibration)等の快適性を車両の動作期間の少なくとも一部においてより向上させ得るように決定されていてもよい。
本発明に係る車両用の固定装置の一の態様では、前記車両は、前記対象部位の少なくとも一部として、前記車両の横方向に沿って伸長し且つ一端部において車輪を支持すると共に他端部の複数箇所を複数のサスペンションブッシュにより車体に対し弾性的に固定されるアームを備えたサスペンションを備え、前記液封ブッシュは、前記所定方向が前記車両の横方向に沿った方向となるように前記複数のサスペンションブッシュの少なくとも一つとして用いられ、前記制御手段は、前記車両の制動時において、前記複数のサスペンションブッシュのうちリア側に配されたリア側ブッシュにおける、前記複数のサスペンションブッシュのうちフロント側に配されたフロント側ブッシュに対する相対的な前記横方向の剛性が、平常時における前記横方向の剛性と比較して高くなるように前記圧力調整手段を制御する。
この態様では、本発明に係る車両用の固定装置が、対象部位の一つとしてサスペンションに適用される。
本発明において「サスペンション」とは、車両において前輪を支持するためにフロント側に設けられ、或いは後輪を支持するためにリア側に設けられ、好適には各車輪を相互に独立して支持可能な懸架装置であり、少なくとも対象車輪を支持するアームを備えた、例えばストラット型サスペンション、トレーリングアーム型サスペンション、ダブルウィッシュボーン型サスペンション或いはマルチリンク型サスペンション等の各種態様を採り得る概念である。
尚、本発明における「アーム」とは、一端部において車輪を直接的に或いはナックル等を介して間接的に支持する部材を包括する概念であり、係る概念が担保される限りにおいて、必ずしも一体に構成された部材でなくともよい趣旨である。例えば、本発明における「アーム」とは、ストラット型やダブルウィッシュボーン型に備わる、一体に構成されたロアアーム(ダブルウィッシュボーン型であれば更にアッパーアームであってもよい)等であってもよいし、マルチリンク型であれば、例えばロアアームと同等に機能し得る複数の独立したリンクを包括するものであってもよい。このようなアームにおける、車輪側と異なる他端部は、車両の前後方向の複数箇所、好適には二箇所において、サスペンションブッシュにより車体に直接的に又は間接的に、且つ弾性的に固定される。
本発明に係る車両用の固定装置における前述した液封ブッシュは、これらアームの他端部を固定する複数のサスペンションブッシュの少なくとも一つとして、また、剛性が変化し得る所定方向が、車両の横方向に沿った方向(好適には、横方向)となるように設けられる。
即ち、この態様によれば、フロントサスペンションであれリアサスペンションであれ、左右いずれの車輪を支持するアームも、少なくとも一つの液封ブッシュを介して車体に固定される。尚、好適には、アームの他端部は、前後方向の二箇所において(アームが2本のリンクで構成されている場合は、一のリンクに対し一箇所であってもよい)サスペンションブッシュにより固定され、前後少なくとも一方のブッシュとして、本発明に係る液封ブッシュが使用される。
一方で、当該サスペンションブッシュの横方向の剛性(以下、適宜「横剛性」と称する)は、車両の挙動に影響があり、例えばリア側に配されたリア側ブッシュの横剛性がフロント側に配されたフロント側ブッシュの横剛性に対して高ければ、路面の凹凸、路面からの摩擦力及び制動力等、車輪を後方に引っ張る外力に対し、車輪は相対的に内側を向く、即ちトーインとなり易い。一方、例えばリア側ブッシュの横剛性がフロント側ブッシュの横剛性に対して低ければ、路面の凹凸、路面からの摩擦力及び制動力等、車輪を後方に引っ張る外力に対し、車輪は相対的に外側を向く、即ちトーアウトとなり易い。
ここで特に、車両の制動時において、車両の挙動状態向上の一として車両の安定性を向上させる観点からは、少なくとも制動時において車輪(好適には後輪)にはトーインの特性が付与されるのが好ましい。ところが、例えば通常走行時において乗り心地を向上させる観点から言えば、路面の凹凸や路面からの摩擦力の入力に対し、車両前後方向に比較的大きなコンプライアンスが必要となる。即ちこの場合、車輪を後方に引っ張る外力をサスペンションブッシュにより減衰せしめる必要があり、結果的には車輪にトーアウトの特性が付与されるのが好ましい。従って、サスペンションブッシュの横剛性が予め固定された特性しか有し得ない場合には、車両の挙動を車両の動作期間の広い範囲で最適化することに実践上の困難が伴う。
一方、この態様によれば、制御手段は、車両の制動時(例えば、制動状態の特定を経た結果、制動中である旨の判別がなされた場合等)において、リア側ブッシュにおけるフロント側ブッシュに対する相対的な横剛性(以下、適宜「相対横剛性」と称する)が、平常時における当該相対横剛性と比較して高くなるように、例えば車輪に付与される制動力に応じて例えばバルブの開閉期間、バルブの制御デューティ、ポンプの吐出量或いはバルブの設定圧力等を適宜制御量として圧力調整手段を制御する。
即ち、制動時において液封ブッシュにおける液圧が、例えば制動力に応じて二値的に、段階的に、或いは連続的に増加又は減少せしめられる。尚、車両の挙動は、横剛性の絶対値が現実的な範囲であれば、係る相対的な横剛性によって制御されるから、液封ブッシュ自体は、リア側ブッシュとして使用されていても、フロント側ブッシュとして使用されていてもよい。より具体的には、液封ブッシュがリア側ブッシュとして搭載され、フロント側ブッシュが通常の(即ち、横剛性が固定された)ブッシュである場合には、リア側ブッシュの横剛性を高くすることによって、係る制御を実現してもよい。また、液封ブッシュがフロント側ブッシュとして搭載され、リア側ブッシュが通常の(即ち、横剛性が固定された)ブッシュである場合には、フロント側ブッシュの横剛性を低くすることによって、係る制御を実現してもよい。或いは、リア側フロント側双方が液封ブッシュである場合には、より自由な態様で(即ち、双方の横剛性を変化させることによって)係る制御が実現されてもよい。この際、相対的な横剛性が上記関係を有する限りにおいて、絶対的な横剛性の値は増加しても減少してもよい。
このような制御手段の制御の結果、制動時には車輪は少なくとも相対的にトーインとなり、制動安定性が担保される。逆に、通常時には、車輪が少なくとも相対的にトーアウトとなり、車両前後方向のコンプライアンスが担保される。即ち、この態様によれば、車両の挙動を効率的且つ効果的に制御することが可能となるのである。尚、この際、制御手段に係るこのような制御は相対的なものであってよく、上述した制御により、何ら対策がなされない場合と比較して幾らかなりとも車輪をトーイン側へ向け得る限りにおいて、車輪は必ずしも絶対的にトーインである必要はない。
更に、平常時における各ブッシュの横剛性(即ち、液封ブッシュであれば主として液圧によって代替的に規定されてもよい)は、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて、例えば上述した前後方向のコンプライアンス特性等を指標とする車両の乗り心地や、或いは横力に対するコンプライアンスステア特性を指標とする車両の走行安定性等が、少なくとも運転者に不快感や不安を与えることがない程度に担保され得るように決定されていてもよい。
尚、この態様では、前記制御手段は、前記制動時において、前記リア側ブッシュにおける横方向の剛性が、前記フロント側ブッシュにおける横方向の剛性と比較して高くなるように前記圧力調整手段を制御してもよい。
この態様によれば、制動時においてリア側ブッシュの横剛性をフロント側ブッシュの横剛性と比較して高くし得るため、車輪をより確実にトーインに向けることが可能となる。従って、制動安定性を一層向上させ得る。
本発明に係る車両用の固定装置の他の態様では、前記車両は、前記対象部位の少なくとも一部として、複数のエンジンブッシュにより前記車体に弾性的に固定されるエンジンを備え、前記液封ブッシュは、前記所定方向が前記車両の前後方向に沿った方向となるように前記複数のエンジンブッシュの少なくとも一つとして用いられ、前記制御手段は、前記車両の制動時において、前記前後方向の剛性が、平常時における該前後方向の剛性と比較して高くなるように前記圧力調整手段を制御する。
この態様では、本発明に係る車両用の固定装置が、対象部位の一つとしてエンジンに適用される。
エンジンは、動作時に、必然的に物理的な振動を伴う物体であり、車体に対し、ある程度弾性的に固定される必要がある。より具体的には、三次元的な各方向に対して十分なコンプライアンスが無い場合、エンジンの振動は、車体にダイレクトに伝達され、運転者に著しい不快感を与えかねない。或いは車両の各部に振動による微小な衝撃を与えかねない。
一方で、エンジンは、ガソリンエンジンであれディーゼルエンジンであれ、或いは他の態様のエンジンであれ、また気筒数によらず、車両の構成要素の中では重量物である。従って、車両の制動状態に応じて、顕著には前後方向又は上下方向に相対的にみて大きい慣性力が作用する。このような慣性力は、車両の制動距離の延長や、制動安定性の悪化を招く要因となりかねない。即ち、エンジンブッシュには、端的には、コンプライアンスの確保と、慣性力の抑制といった、相反する剛性が要求される。
この態様によれば、エンジンブッシュの少なくとも一部が、本発明に係る液封ブッシュであり、所定方向が車両の前後方向に沿った方向となるように設けられる。制御手段は、車両の制動時において、当該前後方向の剛性(以下、適宜「前後剛性」と称する)が平常時における前後剛性と比較して高くなるように圧力調整手段を制御する。
従って、この態様によれば、液封ブッシュの前後剛性が、例えば平常時には、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に或いはシミュレーション等に基づいて適合された、車両における快適性を十分に担保し得る、或いはコンプライアンス特性が所望の条件を満たし得る値に制御され、例えば制動時には、例えば制動安定性の向上効果が顕在化し得る程度にエンジンに作用する慣性力を抑制し得るように、平常時よりも高い値に制御される。即ち、車両の挙動が効率的且つ効果的に制御される。
本発明に係る車両用の固定装置の他の態様では、前記車両は、前記対象部位の少なくとも一部として、複数のエンジンブッシュにより車体に弾性的に固定されるエンジンを備え、前記液封ブッシュは、前記所定方向が前記車両の上下方向に沿った方向となるように前記複数のエンジンブッシュの少なくとも一つとして用いられ、前記制御手段は、前記車両の制動時において、前記上下方向の剛性が、平常時における該上下方向の剛性と比較して高くなるように前記圧力調整手段を制御する。
前述したように、制動時におけるエンジンの慣性力は、顕著には車両の前後方向と上下方向とに作用する。この態様によれば、前述した前後方向と同様の態様の下、当該上下方向の剛性(以下、適宜「上下剛性」と称する)が車両の制動状態に基づいて制御されるため、平常時に高いコンプライアンス特性を実現しつつ、制動時に高い走行安定性を実現することが可能となる。
本発明に係る車両用の固定装置の他の態様では、前記制御手段は、前記所定方向の剛性が、少なくとも前記制動時において所定の特性となるように前記圧力調整手段を制御する。
この態様によれば、制動時における液封ブッシュの所定方向の剛性(例えば、前述した横剛性、前後剛性、或いは上下剛性等)が、例えば予め実験的に、経験的に、理論的に、或いはシミュレーション等に基づいて、例えば乗り心地の低下を顕在化させない程度に且つ制動安定性が十分に担保され得るように決定された所定の特性を満たすように圧力調整手段の制御を介して液圧の調整が図られる。従って、車両の挙動を効率的且つ効果的に制御することが可能となる。
尚、この態様における所定方向の剛性の特性とは、入力荷重に対する所定方向の剛性の変化を表し得る限りにおいて如何なる態様を有していてもよく、例えば所定方向への入力荷重に対する液封ブッシュの所定方向への撓み量であってもよい。
尚、制御手段は、制動時に所望の特性が満たされるように圧力調整手段を制御し得る限りにおいて、更に平常時の横剛性が所望の特性を満たすように圧力調整手段を制御してもよい。また、制御手段により実現される所定方向の剛性の特性は、必ずしも制動期間中であるか否かに応じて二値的に変化するものでなくてもよく、例えばブレーキペダルの操作量或いはブレーキペダルと連動するブースタやマスタシリンダを介して得られる液圧等に応じて、段階的に又は連続的に変化してもよい。
本発明に係る車両用の固定装置の他の態様では、前記車両は、前記車両を制動するための制動装置を備え、前記圧力調整手段は、前記制動装置における制動液の供給路から前記液室へと分岐する供給路と、該供給路上に設けられたバルブを含み、前記制御手段は、前記バルブの開閉状態を制御する。
この態様によれば、圧力調整手段における液圧の伝達経路たる供給路の少なくとも一部が制動装置における液圧の供給路と共用され、制動装置における、例えばブースタ及びマスタシリンダを介して伝達される液圧の一部が、液封ブッシュの液圧調整に供される。
この制動装置の一部を介して伝達される液圧は、圧力調整手段の一部たるバルブの開閉状態に応じて変化する。従って、制御手段は、例えば、アクチュエータの駆動量、通電量又はデューティ比等の制御を介してバルブの開閉量や開閉時間を制御することにより液圧を変化させ、液封ブッシュの所定方向の剛性を調整することが可能である。
このような構成によれば、液封ブッシュの所定方向の剛性を変化させるために特化した液圧伝達系を構成する必要はなくなり、車両への搭載性を顕著に向上させることが可能となる。また、制御手段の制御が、典型的には車両の制動時になされる(無論、制動時に上述した関係を満たし得る限りにおいて、制御手段は平常時の液圧を調整してもよい)ことに鑑みれば、制動装置と物理的、機械的又は電気的な構成の一部が共通化されることによって、制御上の負荷が軽減され得る。即ち、この態様によれば、相対的にみて簡素な構成を有することによる、経済上、制御上或いは車両搭載上の利益を享受しつつ車両の挙動を効率的且つ効果的に制御することが可能となるといった、実践上極めて高い利益が提供される。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、適宜図面を参照し、本発明の車両用の固定装置に係る実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成について、その動作の一部を交えて説明する。ここに、図1は、車両10の基本的な構成を概念的に表してなる概略構成図である。
以下、適宜図面を参照し、本発明の車両用の固定装置に係る実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る車両10の構成について、その動作の一部を交えて説明する。ここに、図1は、車両10の基本的な構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、車両10は、左前輪FL及び右前輪FR、並びに左後輪RL及び右後輪RRを備え、前輪及び後輪の少なくとも一方が、例えばガソリンエンジン等のエンジン400の駆動力を得ることにより駆動されると共に、前輪が操舵されることにより所望の方向に進行することが可能に構成された、本発明に係る「車両」の一例である。
車両10は、ECU100を備える。ECU100は、夫々不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備え、エンジン400を含む車両10の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「特定手段」及び「制御手段」の一例である。
車両10において、操舵輪である前輪FL及びFRは、運転者によるステアリングホイール11の操作に応じて操舵される。この際、ステアリングホイール11の操作は、ステアリングシャフト12の回転運動に変換され、ラックアンドピニオン機構13に伝達される。
ラックアンドピニオン機構13は、ステアリングシャフト12の回転方向の力を、ラックバー14の往復動方向の力に変換することが可能に構成される。また、ラックバー14の両端は、タイロッド(符号省略)を介して前輪FL及びFRに連結されており、ラックバー14の往復運動に応じて、前輪FL及びFRの向きが変わる構成となっている。
車両10の各車輪には、各車輪に対し制動力を付与することが可能なブレーキ15FL、15FR、15RL及び15RRが備わる。各ブレーキは、例えばホイルシリンダ、当該ホイルシリンダにより伝達される液圧によって駆動されるピストン、当該ピストンにより駆動されるパッド、当該パッドを保持するキャリパ及び当該パッドにより制動力を付与されるディスク等を備えており、所謂ディスクブレーキの一例をなしている。
一方、ステアリングホイール11の回転角度である操舵角は、舵角センサ16によって検出される構成となっており、検出された操舵角は、舵角センサ16と電気的に接続されたECU100によって、絶えず、或いは一定又は不定の周期毎に把握される構成となっている。また、運転者がステアリングホイール11を介してステアリングシャフト12に付与する操舵トルクは、トルクセンサ17によって検出される。トルクセンサ17は、ECU100と電気的に接続されており、検出された操舵トルクは、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期毎に把握される構成となっている。
ステアリングシャフト12には、電動モータ18が接続されている。電動モータ18は、ECU100と電気的に接続され、ECU100により駆動される電動機であり、ステアリングシャフト12に対し、その回転をアシストするアシストトルクを出力することが可能に構成される。この際、アシストトルクの大きさ及び作用方向は、例えば舵角センサ16及びトルクセンサ17により検出される操舵角や操舵トルクに応じて、更には車両10の車速等に応じてECU100により制御される構成となっている。即ち、車両10には、所謂EPS(Electronic controlled Power Steering:電子制御式パワーステアリング)と称される操舵装置が搭載されている。
一方、車両10には、ブレーキアクチュエータ200が備わる。ブレーキアクチュエータ200は、上述した各ブレーキに作動液の液圧を伝達し、各車輪に付与される制動力を制御することが可能に構成されたアクチュエータユニットである。ブレーキアクチュエータ200は、ECU100と電気的に接続されており、その動作状態は、ECU100によって上位に制御される構成となっている。尚、ブレーキアクチュエータ200は、前述した各ブレーキと共に、本発明に係る「制動装置」の一例を構成している。
車両10において、左後輪RL及び右後輪RRは、夫々左後サスペンション300RL(以下、適宜「サスペンション300RL」と称する)及び右後サスペンション300RR(以下、適宜「サスペンション300RR」と称する)により相互に独立して支持されている。尚、各サスペンションは、ECU100と電気的に接続されており、ECU100が、後述する挙動制御処理を実行する過程において、その挙動が制御される構成となっている。即ち、各サスペンションは、本発明に係る「対象部位」の一例である。
次に、図2を参照し、サスペンションの詳細な構成について説明する。ここに、図2は、サスペンション300RRの模式的な斜視図である。尚、サスペンションの構成自体は、サスペンション300RRとサスペンション300RLとで相互に等しく、ここでは、サスペンション300RRの構成のみを説明することとする。
図2において、右後輪RRは、車幅方向(即ち、本発明に係る「横方向」の一例)内側において夫々上下に回動可能に支持されたリアアッパーアーム320及びリアロアアーム310によって支持されている。即ち、車両10には、所謂ダブルウィッシュボーン式のサスペンションが採用されている。リアロアアーム310には、上下方向に若干車幅方向内寄りに傾いて伸長するショックアブソーバ340が固定されている。
一方、リアアッパーアーム320及びリアロアアーム310は、夫々における車幅方向外側の端部に形成されたポールジョイント(符号省略)に連結されたナックル330により相互に連結されている。ナックル330には、右後輪RRが(正確には右後輪RRのホイールが)固定されている。尚、ナックル330は、ボールジョイントの作用によりポールジョイント相互間を結ぶ仮想の軸(即ち、キングピン軸)周りに若干回動し得る構成となっている。
リアアッパーアーム320及びリアロアアーム310は、右後輪RRが車両10の走行状態に応じて上下動した際に、同様に上下動する構成となっている。この際、係るアームの上下動は、ショックアブソーバ340の減衰力によってその衝撃が緩衝され、総じて路面からの衝撃の伝達或いは車両10全体の上下動が抑制される。
ここで特に、リアロアアーム310における、車輪と異なる側の端部(即ち、本発明に係る「他端部」の一例)は、車両10の前後方向に並列して且つ前後方向に伸長してなるリアジョイントシャフト350及びフロントジョイントシャフト360を介して図示せぬ車体に固定される構成となっている。この際、リアジョイントシャフト350及びフロントジョイントシャフト360は、夫々リアアームブッシュ370及びフロントアームブッシュ380(各々が、本発明に係る「サスペンションブッシュ」の一例)により、車体に対し弾性的に固定されている。
ここで、図3を参照し、ブッシュの詳細について説明する。ここに、図3は、サスペンション300RRを上方向からみた平面図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、サスペンション300RRのリアロアアーム310において、右後輪RRとは異なる側であり且つ図示前後方向リア側に位置する端部に設けられたリアジョイントシャフト350は、リアアームブッシュ370内を貫通しており、リアアームブッシュ370により弾性的に固定される構成となっている。同様に、図示前後方向フロント側に位置する端部に設けられたフロントジョイントシャフト360は、フロントアームブッシュ380内を貫通しており、フロントアームブッシュ380により弾性的に固定される構成となっている。
ここで、フロントアームブッシュ380は、フロントジョイントシャフト360を保持する弾性体のバルクを筐体により保持してなる一般的な樹脂製ブッシュであり、図示横方向の剛性(即ち、横剛性)は、予め所定の特性に設定されている。一方で、リアアームブッシュ370は、当該横剛性が可変に構成されている。
ここで、図4を参照し、リアアームブッシュ370の詳細な構成について説明する。ここに、図4は、リアアームブッシュの構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図4において、リアアームブッシュ370は、平面視円環状をなす筐体371によりその外形が規定されている。筐体371の内部は、図示横方向(即ち、剛性の調整が可能に構成された方向)と直交する方向(図4における上下方向であり、車両10の前後方向に相当する)に、筐体371と比較して十分に剛性の低い弾性部材372が充填されている。
一方、図示横方向には、弾性部材372が完全には充填されておらず空洞が形成されている。この空洞部は、向かって左側の液室373Aと向かって右側の液室373Bとに分かれており、各液室には、予め所定の液圧を保った状態で作動液が充填されている。また両液室は、筐体371の図示せぬ内部において、オリフィスにより相互に連通している。
係る構成の下、リアアームブッシュ370における横剛性は、両液室に充填される作動液の液圧により決定される。即ち、作動液の液圧に応じて、リアアームブッシュ370の横剛性は変化する。即ち、リアアームブッシュ370は、本発明に係る「液封ブッシュ」の一例を構成している。
次に、図5を参照し、ブレーキアクチュエータ200の構成について説明する。ここに、図5は、ブレーキアクチュエータ200及びその周辺部分の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、前述した各図と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図5において、ブレーキアクチュエータ200は、マスタシリンダ210、液圧伝達系220及びリザーバ230を備える。
マスタシリンダ210は、ブースタ211及び不図示のピストンを備えた制動力の制御装置である。ブースタ211は、オペレーティングロッド(符号省略)によりアクセルペダル19と機械的に連結された真空倍力装置の一部であり、アクセルペダルが踏下された際に、その踏下力をピストンに伝達することが可能に構成されている。
リザーバ230は、マスタシリンダ210と連通可能に構成された、作動液(即ち、本発明に係る「制動液」の一例)の貯留タンクである。マスタシリンダ210は、リザーバ230から供給される作動液を、液圧伝達系220を介して各ブレーキに供給することが可能に構成されている。液圧伝達系220は、各ブレーキに繋がるブレーキパイプ221(即ち、本発明に係る「制動液の供給路」の一例)を介して作動液を供給するシステムであり、当該ブレーキパイプの他に、例えば、不図示の電動ポンプ、電磁弁及び差圧弁等が適宜に配されてなる構成を有している。
ブレーキアクチュエータ200は、既に述べたようにECU100と電気的に接続され、ECU100によってその駆動状態が制御される構成を有している。ECU100は、例えばアクセルペダル19を介して入力される運転者の制動意思に基づいて、或いはそのような運転者の意思とは無関係に、車両10の動作状態に応じて(例えば、車輪速、前後加速度、横加速度、ヨーレート又はロール角等に応じて)リザーバ230に貯留される作動液をマスタシリンダ210及び液圧伝達系220の制御を介して、適切な液圧で各ブレーキに供給することが可能に構成されている。
ここで特に、ブレーキパイプ221は、その経路上でリアアームブッシュ370へと分岐している。即ち、ブレーキアクチュエータ200を介して供給される作動液は、係る分岐したブレーキパイプ221を介してリアアームブッシュ370にも供給される。この際、この供給された作動液は、前述した液室373A及び373Bへと供給される。
一方、ブレーキアクチュエータ200の駆動状態は、あくまで車両10の制動要求に基づいて決定されるから、この状態では、リアアームブッシュ370における液室373A及び373Bの液圧は、リアアームブッシュ370からの要請に適した値とはなされ難い。そこで、車両10では、リアアームブッシュ370へと分岐するブレーキパイプ221の経路上に液圧調整弁374が配設されている。
液圧調整弁374は、ECU100と電気的に接続された、ECU100によりその開閉状態が制御される電磁制御弁であり、本発明に係る「液圧調整手段」の一例である。液圧調整弁374は通常閉じられており、閉じられた状態では、リアアームブッシュ370における各液室の液圧は所定値に維持される。一方、液圧調整弁374が開かれた場合には、基本的に当該液圧は、各ブレーキのホイルシリンダに伝達される液圧と等しくなる。従って、液圧調整弁374の開閉状態を適宜に制御することによって、ECU100は、リアアームブッシュ370に備わる液室の液圧を実質的に任意の値に維持することが可能となっている。
ここで、リアアームブッシュ370における液室の液圧は、リアアームブッシュ370の横剛性に直結するから、結局ECU100は、液圧調整弁374の開閉状態の制御により、リアアームブッシュ370の横剛性を実質的に任意の値に制御することが可能に構成される。
尚、本実施形態では、リアアームブッシュ370に作動液を供給する経路は、ブレーキアクチュエータ200を含む制動系と一部が共用されており、効率的且つ効果的なリアアームブッシュ370の横剛性制御が可能となっているが、無論、リアアームブッシュ370に作動液を供給する経路は、例えば物理的、機械的又は電気的にブレーキアクチュエータ200等の制動システムから全く独立していてもよい。
<実施形態の動作>
車両10において、ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、以下に説明する挙動制御処理を実行することが可能である。車両10では、この挙動制御処理により、サスペンション300RR及び300RLに備わるリアアームブッシュ370の横剛性を変化させ、車両10の挙動を効率的且つ効果的に制御することが可能となっている。
車両10において、ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、以下に説明する挙動制御処理を実行することが可能である。車両10では、この挙動制御処理により、サスペンション300RR及び300RLに備わるリアアームブッシュ370の横剛性を変化させ、車両10の挙動を効率的且つ効果的に制御することが可能となっている。
ここで、図6を参照し、挙動制御処理の詳細について説明する。ここに、図6は、挙動制御処理のフローチャートである。
図6において、ECU100は、車両10が制動タイミングを迎えたか否かを判別する(ステップA10)。ここで、制動タイミングとは、上述したように、運転者の意思に基づいたものであってもよいし、運転者の意思とは無関係に車両の動作状態から制動力を作用させるべきものとして決定されたタイミングであってもよい。このような制動タイミングに係る判別は、例えば、ブレーキペダルセンサ等の検出手段の検出結果を利用して、又は車両の挙動を表す各種指標値の検出結果を利用して、或いは、例えばブレーキアクチュエータ200における所定部位の液圧等を利用して、本発明に係る「特定」の一例として行われる。
制動タイミングではない場合(ステップA10:NO)、ECU100は、ステップA10に係る処理を繰り返し、処理を実質的に待機状態に制御する。
一方で、制動タイミングである場合(ステップA10:YES)、ECU100は、液圧調整弁374を開弁する(ステップA11)。制動タイミングでは、このような挙動制御処理とは別に、ブレーキアクチュエータ200を介した制動力制御が実行されるため、ステップA11に係る処理において液圧調整弁374が開弁した場合、リアアームブッシュ370における液室373A及び373Bの液圧は上昇し、リアアームブッシュ370の横剛性が上昇する。
尚、リアアームブッシュ370における平常時の液圧は、制動力を何ら作用させない場合の各ブレーキの液圧と比較して小さく設定されており、液圧調整弁374の開弁時には、相応にリアアームブッシュ370の液圧が上昇する構成となっている。
液圧調整弁374を開弁せしめると、ECU100は、リアアームブッシュ370の液圧(即ち液室373A及び373Bの液圧)Pが、上限値PthHに到達したか否かを判別する(ステップA12)。この際、ECU100は、例えばブレーキパイプ221上に設置された圧力センにより検出された圧力に基づいて、当該液圧を取得する。或いは、予め液圧調整弁374の開弁時間とリアアームブッシュ370の液圧との相関がマップ等の形で与えられている場合には、或いは液圧Pが上限値PthHに到達するまでの開弁時間が予め与えられている場合には、そのような開弁時間の計測を経て液圧を推定してもよい。
ここで、図7を参照し、リアアームブッシュ370の横剛性の変化について説明する。ここに、図7は、入力荷重に対するリアアームブッシュ370の撓み量の特性を概念的に表す模式図である。
図7において、縦軸に横方向の入力荷重Fyが、横軸には撓み量Gが表される。このような座標平面において、リアアームブッシュ370における、平常時の横剛性の特性は、図示PRF_Norm1(図示一点鎖線)として表される。例えば、平常時において、リアアームブッシュ370は、入力荷重Fy1に対し撓み量がGy1Aとなる。本実施形態において、係る平常時の横剛性の特性は、リアアームブッシュ370の横剛性が、フロントアームブッシュ380の横剛性よりも低くなるように設定されている。
一方、液圧調整弁374の開弁制御を経て液圧が上限値PthHに到達した場合、リアアームブッシュ370の横剛性の特性は、図示PRF_Brk1(図示実線)となる。即ち、入力荷重Fy1に対し、リアアームブッシュ370の撓み量はGy1B(Gy1B<Gy1A)となる。即ち、横剛性が上昇する。この液圧PthHに対応する横剛性の特性は、或いはこの液圧PthHの値は、リアアームブッシュ370の横剛性がフロントアームブッシュ380の横剛性よりも高くなるように設定されている。
尚、リアアームブッシュ370においては、このように作動液の液圧に応じて横剛性を変化させることが可能であるから、目標とする横剛性の特性は図示する二種類でなくてもよい。
図6に戻り、ECU100は、液圧Pが上限値PthHに到達しない場合(ステップA12:NO)、ステップA12に係る処理を繰り返し、液圧Pが上限値PthHに到達するまで液圧調整弁374を開弁状態に維持すると共に、液圧Pが上限値PthHに到達した場合(ステップA12:YES)、液圧調整弁374を閉弁する(ステップA13)。液圧調整弁374が閉弁された時点で、リアアームブッシュ370の横剛性は、一の特性に(本実施形態では、上述したPRF_Brk1に対応する特性に)固定される。
一方、ECU100は、車両10が制動解除タイミングを迎えたか否かを判別する(ステップA14)。この際、例えば、運転者によるアクセルペダル19の操作が解除されたか、或いは、運転者の意思とは無関係に制動力が付与されていた場合には、係る制動力の付与条件を外れたか等が判別される。
ECU100は、制動解除のタイミングを迎えるまでは(ステップA14:NO)、ステップA14に係る判別処理を繰り返し、リアアームブッシュ370の横剛性を、フロント側アームブッシュ380の横剛性よりも高い高剛性側の特性に維持すると共に、制動解除タイミングを迎えた旨の判別がなされた場合(ステップA14:YES)、液圧調整弁374を再び開弁する(ステップA15)。この際、制動力の付与は停止されているから、液圧調整弁374の開弁と共に液圧Pは減少する。
次に、ECU100は、リアアームブッシュ370の液圧Pが下限値PthLまで減少したか否かを判別する(ステップA16)。ここで、液圧Pの下限値PthLとは、リアアームブッシュ370の横剛性の特性が、上述したPRF_Norm1に対応する特性となる液圧であり、即ち、平常時における液圧と等価である。尚、既に述べたように、平常時の液圧は、各ブレーキの平常時の液圧よりも小さく設定されているから、ECU100は、液圧伝達系220における例えば電動ポンプ等の制御を経て、リアアームブッシュ370の液圧Pを各ブレーキの液圧よりも低下させる。
ECU100は、リアアームブッシュ370の液圧Pが下限値PthLに到達するまで(ステップA16:NO)、液圧調整弁374の開弁状態を維持すると共に、液圧Pが下限値PthLに到達した時点で(ステップA16:YES)、液圧調整弁374を再び閉弁する(ステップA17)。ステップA17に係る処理が実行されると、処理はステップA10に戻され、車両10が制動タイミングを迎えたか否かに係る判別が繰り返される。
次に、図8及び図9を参照し、本実施形態の効果について説明する。ここに、図8は、平常時におけるリアアームブッシュ370の作用効果を概念的に表してなる模式図である。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、平常時の車両10においては、例えば凹凸の激しい路面等、路面からの入力等に起因して、右後輪(左後輪も同様である)に、図示後ろ引き力Frが作用する。この際、フロントアームブッシュ380の横剛性に対するリアアームブッシュ370の相対的な横剛性に応じて車輪の挙動は変化する。ここで、平常時において、リアアームブッシュ370の横剛性(即ち、上述したPRF_Norm1に対応する横剛性)は、フロントアームブッシュ380(横剛性は固定値である)に対し低く設定されているから、感覚的に言えば、リアアームブッシュ370の方が、横方向の入力荷重に対して柔らかい状態となっている。
従って、図示後ろ引き力Frが作用するのに伴い、ブッシュの変位量Yは、リアアームブッシュ370でY1、フロントアームブッシュ380でY2(Y2<Y1)となる。即ち、リアアームブッシュ370の変位量の方が大きくなり、タイヤの軸線は、後ろ引き力Frが何ら作用しない場合における図示基準軸線に対し、図示変位後軸線に変化する。即ち、車輪は、横方向外側に向き、トーアウト状態となる。
このように、後ろ引き力Frに対して車輪がトーアウト方向へ回転するということは、後ろ引き力Frをリアアームブッシュ370によって弾性的に吸収していることに他ならず、即ち、路面からの突き上げや、バネ下からの入力等に起因する前後方向のコンプライアンスが相対的に大きく確保されることになる。言い換えれば、車両10の乗り心地が向上する。また、このように後輪がトーアウト方向に回転することにより、コンプライアンスステア特性を相対的にみてアンダーステア方向に制御することが可能となり、平常時の操安性も同時に向上する。
一方、制動時のリアアームブッシュ370の作用は、図9に示すようになる。ここに、図9は、制動時におけるリアアームブッシュ370の作用効果を概念的に表してなる模式図である。尚、同図において、図8と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図9において、車両10の制動時には、右後輪(左後輪も同様である)には図示後ろ引き力Frが作用する。この際、フロントアームブッシュ380の横剛性に対するリアアームブッシュ370の相対的な横剛性に応じて、車輪の挙動は変化する。ここで、制動時において、リアアームブッシュ370の横剛性(即ち、上述したPRF_Brk1に対応する横剛性)は、フロントアームブッシュ380(横剛性は固定値である)に対し高く設定されているから、感覚的に言えば、リアアームブッシュ370の方が、横方向の入力荷重に対して硬い状態となっている。
従って、図示後ろ引き力Frが作用するのに伴い、ブッシュの変位量Yは、リアアームブッシュ370でY3、フロントアームブッシュ380でY4(Y4>Y3)となる。即ち、フロントアームブッシュ380の変位量の方が大きくなり、タイヤの軸線は、後ろ引き力Frが何ら作用しない場合における図示基準軸線に対し、図示変位後軸線に変化する。即ち、車輪は、横方向内側に向き、トーイン状態となる。このように、制動時には、制動時に生じる後ろ引き力Frに対して車輪がトーイン方向へ回転するため、制動安定性が向上する。
以上、説明したように、本実施形態に係る車両10では、液封ブッシュたるリアアームブッシュ370の液圧を、車両10が制動時であるか否かに応じて変化させ、横剛性を変化させることが可能である。この際、フロントアームブッシュ380の横剛性は固定値であり、必然的に、制動時にはフロントアームブッシュ380の横剛性に対するリアアームブッシュ370の相対的な横剛性が変化することになる。
ここで、制動時には、リアアームブッシュ370の横剛性を液圧の上昇制御によって上昇させることにより、車輪を少なくとも相対的にトーイン側に向けることが可能となる。即ち、制動時の走行安定性を向上させることが可能となる。
一方、平常時には逆に、リアアームブッシュ370の横剛性をフロントアームブッシュ380の横剛性に対し低くして、車輪をトーアウト側に向けることによって前後コンプライアンスを確保することが可能となる。
このように、本実施形態によれば、横剛性が一の特性に固定されている場合にはなし得ない、相互に背反する挙動制御を、液封ブッシュの横剛性制御により好適に実現することが可能となる。即ち、車両の挙動を効率的且つ効果的に制御することが可能となるのである。
尚、本実施形態では、リアアームブッシュ370のみが液封ブッシュとして構成されるが、液圧の制御を相互に独立して実行可能な点に鑑みれば、フロントアームブッシュ380が更に液封ブッシュとして構成されていてもよい。或いはフロントアームブッシュ380のみが液封ブッシュとして構成されていてもよい。
また、本実施形態では、車両10のリア側のサスペンションにのみ、液封ブッシュが採用されているが、フロントサスペンションに対しも同様に液封ブッシュを使用することが可能である。この際、液封ブッシュにおける液圧の制御態様は、液圧を可変とすることにより相互に背反する挙動制御を実現し得る限りにおいて何ら限定されない。
<第2実施形態>
第1実施形態では、液封ブッシュをサスペンションブッシュに使用することにより、走行安定性の向上と快適性の向上という、相反する挙動制御の両立が図られるが、例えば本発明に係る車両用の固定装置の適用部位は、サスペンションに限定されない。ここで、図10を参照し、そのような趣旨に基づいた本発明の第2実施形態について説明する。ここに、図10は、本発明の第2実施形態に係るエンジンマウント部400Aの構成を概念的に表してなる模式図である。尚、同図において、図1と重複する個所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
<第2実施形態>
第1実施形態では、液封ブッシュをサスペンションブッシュに使用することにより、走行安定性の向上と快適性の向上という、相反する挙動制御の両立が図られるが、例えば本発明に係る車両用の固定装置の適用部位は、サスペンションに限定されない。ここで、図10を参照し、そのような趣旨に基づいた本発明の第2実施形態について説明する。ここに、図10は、本発明の第2実施形態に係るエンジンマウント部400Aの構成を概念的に表してなる模式図である。尚、同図において、図1と重複する個所には、同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、エンジンマウント部400Aは、エンジン400を車両10の車体に固定するための固定装置であり、本発明に係る「車両用の固定装置」の他の一例である。即ち、第2実施形態においては、エンジン400は、本発明に係る「対象部位」の他の一例をなしている。
エンジンマウント部400Aは、エンジン400における、図示前後方向に対応する側面部分を車体に弾性的に支持固定する複数の前後エンジンブッシュ500と、図示横方向に対応する側面部分を車体に弾性的に支持固定する複数の上下エンジンブッシュ600とを備える。これらブッシュは、各々が本発明に係る「エンジンブッシュ」の一例であり、且つ「液封ブッシュ」の他の一例を構成している。
前後エンジンブッシュ500は、図示前後方向の剛性が調整可能に構成された液封ブッシュであり、剛性の変化を実現させるための物理的な構成は、第1実施形態におけるリアアームブッシュ370と同等のものとなっている。従って、詳細な構成の図示及び説明は省略することとする。尚、図示前後方向の剛性を変化させることが可能である限りにおいて、前後エンジンブッシュ500の物理的な構成は何ら限定されない。
上下エンジンブッシュ600は、図示前後方向及び図示横方向と夫々直交する(即ち、紙面と垂直な方向に伸長する)不図示の上下方向の剛性が調整可能に構成された液封ブッシュであり、剛性の変化を実現させるための物理的な構成は、第1実施形態におけるリアアームブッシュ370と同等のものとなっている。従って、詳細な構成の図示及び説明は省略することとする。尚、上下方向の剛性を変化させることが可能である限りにおいて、上下エンジンブッシュ600の物理的な構成は何ら限定されない。
第2実施形態に係るエンジンマウント部400Aでは、ECU100により、例えば第1実施形態と同様の挙動制御処理が実行されることによって、車両10の制動状態に応じて前後エンジンブッシュ500及び上下エンジンブッシュ600における、夫々前後方向及び上下方向の剛性が変化させられる。
ここで、図11を参照し、前後エンジン500における剛性の変化について説明する。ここに、図11は、入力荷重に対する前後エンジンブッシュ500の撓み量の特性を概念的に表す模式図である。
図11において、縦軸に前後方向の入力荷重Fxが、横軸には撓み量Gが表される。このような座標平面において、前後エンジンブッシュ500における、平常時の前後剛性の特性は、図示PRF_Norm2(図示一点鎖線)として表される。例えば、平常時において、前後エンジンブッシュ500は、入力荷重Fx1に対し撓み量がGx1Aとなる。本実施形態において、係る平常時の前後剛性の特性は、エンジン400の物理的な振動が、車体を介して運転者に伝達されることがないように、又はそのように伝達される振動による乗り心地の低下が顕在化しないように、或いは車両に要求される性能を満たし得るように決定されている。
一方、第1実施形態と同様に液圧調整弁374の開弁制御を経て液圧が上限値に到達した場合、前後エンジンブッシュ500の前後剛性の特性は、図示PRF_Brk2(図示実線)となる。即ち、入力荷重Fx1に対し、前後エンジンブッシュ500の撓み量はGx1B(Gx1B<Gx1A)となる。即ち、前後剛性が上昇する。
尚、前後エンジンブッシュ500においては、第1実施形態と同様に作動液の液圧に応じて前後剛性を変化させることが可能であるから、目標とする前後剛性の特性は図示する二種類でなくてもよい。
一方、上下エンジンブッシュ600における上下剛性も、前後エンジンブッシュ500と同様に制御され、平常時と較べて制動時の方が高い上下剛性を得られるようにECU100により液圧調整弁374の開閉状態制御を介して液圧の調整が図られる。
このような本発明の第2実施形態によれば、平常時には、各ブッシュ位置における、前後方向或いは上下方向のコンプライアンスが確保され、エンジン400の振動は、前後エンジンブッシュ500及び上下エンジンブッシュ600により好適に吸収される。従って、運転者に実践上問題となる程度の不快感が与えられることが防止される。
一方、制動時には、エンジン400の慣性により制動距離や直進性等といった制動安定性が悪化することを防止するため、前後エンジンブッシュ500及び上下エンジンブッシュ600における夫々前後剛性及び上下剛性が、夫々平常時よりも高められ、慣性力によるエンジン400の不必要な挙動が抑制される。従って、車両10の制動安定性が向上する。このように、本発明の第2実施形態によれば、液封ブッシュをエンジン400の固定に使用することにより、第1実施形態と同様、車両の挙動を効率的且つ効果的に制御することが可能となるのである。
尚、本実施形態において、前後エンジンブッシュ500は、エンジン400における前後方向の側面を支持固定し、また上下エンジンブッシュ600は、エンジン400における横方向の側面を支持固定しているが、これら液封ブッシュの取り付け位置はこれらに限定されない。即ち、前後剛性を調整可能なブッシュが、エンジン400の横方向の側面を支持していてもよいし、エンジン400の底部を支持していてもよい。同様に、上下剛性を調整可能なブッシュが、エンジン400の前後方向の側面を支持していてもよいし、エンジン400の底部を支持していてもよい。
また、エンジンマウント部400Aにおいては、エンジン400を支持固定するブッシュが全て液封ブッシュとされ、所定方向への剛性の調整が可能となっているが、エンジン400を支持固定するブッシュの一部は、予め定められた剛性を有する一般的なブッシュであってもよい。即ち、平常時における快適性を担保しつつ制動時における制動安定性を担保し得る限りにおいて、エンジン400を如何なる態様で支持固定するかについては自由に決定されてよい。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両用の固定装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
FL、FR、RL,RR…車輪、10…車両、15…舵角センサ、16…車輪速センサ、100…ECU、200…ブレーキアクチュエータ、300RL、300RR…サスペンション、310…リアロアアーム、350…リアジョイントシャフト、360…フロントジョイントシャフト、370…リアアームブッシュ、371…筐体、372…弾性体、373A、373B…液室、374…液圧調整弁、380…フロントアームブッシュ。400…エンジン、500…前後エンジンブッシュ、600…上下エンジンブッシュ。
Claims (7)
- 車両における所定種類の対象部位を該車両の車体に弾性的に固定するための、車両用の固定装置であって、
液体を充填可能な液室を備え、該充填された液体の圧力に応じて所定方向の剛性が変化する液封ブッシュと、
前記充填される液体の圧力を調整可能な圧力調整手段と、
前記車両の制動状態を特定する特定手段と、
前記特定された制動状態に基づいて前記所定方向の剛性が変化するように前記圧力調整手段を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする車両用の固定装置。 - 前記車両は、前記対象部位の少なくとも一部として、前記車両の横方向に沿って伸長し且つ一端部において車輪を支持すると共に他端部の複数箇所を複数のサスペンションブッシュにより車体に対し弾性的に固定されるアームを備えたサスペンションを備え、
前記液封ブッシュは、前記所定方向が前記車両の横方向に沿った方向となるように前記複数のサスペンションブッシュの少なくとも一つとして用いられ、
前記制御手段は、前記車両の制動時において、前記複数のサスペンションブッシュのうちリア側に配されたリア側ブッシュにおける、前記複数のサスペンションブッシュのうちフロント側に配されたフロント側ブッシュに対する相対的な前記横方向の剛性が、平常時における前記横方向の剛性と比較して高くなるように前記圧力調整手段を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用の固定装置。 - 前記制御手段は、前記制動時において、前記リア側ブッシュにおける横方向の剛性が、前記フロント側ブッシュにおける横方向の剛性と比較して高くなるように前記圧力調整手段を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用の固定装置。 - 前記車両は、前記対象部位の少なくとも一部として、複数のエンジンブッシュにより前記車体に弾性的に固定されるエンジンを備え、
前記液封ブッシュは、前記所定方向が前記車両の前後方向に沿った方向となるように前記複数のエンジンブッシュの少なくとも一つとして用いられ、
前記制御手段は、前記車両の制動時において、前記前後方向の剛性が、平常時における該前後方向の剛性と比較して高くなるように前記圧力調整手段を制御する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用の固定装置。 - 前記車両は、前記対象部位の少なくとも一部として、複数のエンジンブッシュにより車体に弾性的に固定されるエンジンを備え、
前記液封ブッシュは、前記所定方向が前記車両の上下方向に沿った方向となるように前記複数のエンジンブッシュの少なくとも一つとして用いられ、
前記制御手段は、前記車両の制動時において、前記上下方向の剛性が、平常時における該上下方向の剛性と比較して高くなるように前記圧力調整手段を制御する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用の固定装置。 - 前記制御手段は、前記所定方向の剛性が、少なくとも前記制動時において所定の特性となるように前記圧力調整手段を制御する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用の固定装置。 - 前記車両は、前記車両を制動するための制動装置を備え、
前記圧力調整手段は、前記制動装置における制動液の供給路から前記液室へと分岐する供給路と、該供給路上に設けられたバルブを含み、
前記制御手段は、前記バルブの開閉状態を制御する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用の固定装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2006-11-20 JP JP2006313281A patent/JP2008126810A/ja active Pending
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