JP2008126523A - ポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶化による寸法変化を考慮した特定形状のサイジングダイを用いることで、ポリオキシメチレン樹脂からなる、歪が小さく、寸法精度の優れた異形押出成形品、及びその生産効率の良い異形押出成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品を製造するに際し、入り口面積に対して出口面積が81〜92%の範囲になるように樹脂流路の断面積が連続的に減少する形状のサイジングダイを使用する。
【選択図】図2
【解決手段】ポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品を製造するに際し、入り口面積に対して出口面積が81〜92%の範囲になるように樹脂流路の断面積が連続的に減少する形状のサイジングダイを使用する。
【選択図】図2
Description
本発明は、優れた機械的性質等と共に良好な異形断面形状を有するポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品の製造方法に関するものである。
樹脂材料を複雑な断面形状を有する長尺体に成形する技術として異形押出成形法が知られており、特にポリエチレンや塩化ビニル樹脂が多く用いられているが、成形品の強度には限界があった。
これに対し、ポリオキシメチレン樹脂は、結晶化度が高く、剛性、強度、耐薬品性、耐溶剤性等の点で優れていることが知られており、結晶化速度が速く、成形サイクルが速いことから、主に射出成形材料として自動車、電気機器の機構部品の分野で幅広く使われているが、近年、ポリオキシメチレン樹脂からなる異形押出成形品が期待されている。
このようにポリオキシメチレン樹脂は優れた諸特性を有する樹脂ではあるが、ポリオキシメチレン樹脂は結晶化度が高く、結晶化速度が速く、成形収縮が大きい等のため、これを異形押出成形に用いた場合、ドローダウンが生じたり、冷却固化時の収縮により歪が発生して製品が変形し、目的とする断面形状を形成することは極めて困難であった。
この問題を解決し、ポリオキシメチレン樹脂による、成形歪の少ない優れた異形押出成形品を得るための方法として、特許文献1では、結晶化速度を制御した特定のポリオキシメチレン共重合体からなる樹脂材料を用いることが開示されている。
WO2004/96881
しかしながら、特許文献1の方法(特定のポリオキシメチレン共重合体を用いる方法)では、ある程度の効果を有するとはいえ、やはり成形収縮の問題を完全には解決できず、成形品表面の荒れや成形が不安定になるなどの課題があった。
本発明の目的は、上記のような課題を解決し、ポリオキシメチレン樹脂からなり、歪が小さく、寸法精度の優れた異形押出成形品、及びその生産性効率の良い製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、結晶化による寸法変化を考慮した特定形状のサイジングダイを用いることでポリオキシメチレン樹脂の異形押出加工性が良好となり、成形歪みが少なく機械的物性にも秀でた成形品が得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、ポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品を製造するに際し、入り口面積に対して出口面積が81〜92%の範囲になるように樹脂流路の断面積が連続的に減少する形状のサイジングダイを使用することを特徴とするポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品の製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明で言う「異形押出成形品」とは溶融押出成形によって製造される成形品であって、その押出方向と直角の方向の断面形状(横断面形状)が、方形、円形、円環形、楕円形及び楕円環形以外の異形形状を有している成形品の何れをも包含する。但し、溶融押出によるものであって、ブロー成形を伴ういわゆる押出ブロー成形品は本発明の異形押出成形品には包含されない。
かかる異形押出成形法は、例えば以下のようにして行なわれる。即ち、樹脂材料を押出成形機で加熱、溶融、混練して、押出機出口に設けられた異形押出用のダイを通して押出し、サイジングプレート、一般に100mm程度の長さのサイジングダイ、水槽などを備えたサイジング及び冷却ゾーンで最終断面形状に整形しながら冷却固化させ、目的とする異形押出成形品を得るものである。このとき、異形押出用ダイやサイジングダイの形状或いはサイジング手段を適宜変更することにより、種々の断面形状の異形押出成形品を得ることができる。
また、本発明の異形押出成形では、異形の横断面形状を有する押出成形品である限りは、その形状、構造、成形品全体の大きさ、各部の寸法などは何ら制限されず、例えば、中実の異形押出成形品であっても、中空の異形押出成形品であっても、一部が開放した構造の異形押出成形品であっても、その他の形状及び構造の異形押出成形品であってもよい。異形押出成形品の具体的な断面形状としては、L字型、コ字型、エ字型、T字型等の開放プロファイル形状、円筒、角筒等の中空プロファイル形状、中空室の中にリブを設けた中空リブ付きプロファイル形状、これらの形状が混合したチェンバープロファイル形状などを挙げることができる。
本発明のポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品の製造方法では、特にチェンバープロファイル形状や開放プロファイル形状において、成形歪みが小さく、優れた機械的物性、特に耐衝撃性を発揮できる成形品を得ることが可能である。また、成形歪みが小さく安定した押出成形を実施することにより、コーナー部の強度は格段に向上し、成形品の2平面が接合する部分にあえて1.8mm以上のコーナーR又はC面を設ける必要も低くなる。もちろんサイジングダイの出口形状を調整することによって、RやC面を設定することで強度を更に向上させることも可能であるが、RやC面の曲率を大きくすることは、製品設計の自由度を低下させるばかりか、かえって平面同士の面角度を不安定にすることがあり好ましくない。
次に、本発明のポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品の製造方法についてより具体的説明する。異形押出成形は、基本的には次のようにして行なわれる。すなわち、一軸または二軸のスクリューを有する押出機内で樹脂を加熱溶融した後、所定の形状を有する押出成形口金(ダイ)から溶融樹脂を押出し、サイジング工程で目的とする形状に成形すると共に冷却工程により固化させて引き取り、必要に応じて所望の長さに切断して、長尺の成形体を得る方法である。ここで、押出成形用ダイとしてはストレートダイ、クロスヘッドダイ、フラットダイ、特殊ダイ等が知られており、目的に応じて選択される。押出成形用ダイの形状(押出される溶融樹脂の断面形状)は、丸型の他に任意の形状設計が可能であり、最終製品の断面形状と類似する形状とすることも、これとは全く異なる断面形状とすることもできる。
また、押出成形用ダイから押出されたかかる溶融樹脂を目的の形状に成形するため、サイジング工程でサイジング処理が行なわれる。サイジング方法としては外部サイジング法、内部サイジング法等が知られているが、外部サイジング法が主流であり、その中でも真空サイジング法がよく利用される。サイジングにより形状の整えられた樹脂は、水槽、水シャワー、空冷等により冷却・固化され、目的とする製品が得られる。冷却はサイジングと同時に行なうことも可能であり、サイジングに先だって、溶融樹脂が固化しない程度に予備冷却することも可能である。
本発明の特徴は、ポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品を製造するに際し、入り口面積に対して出口面積が81〜92%の範囲になるように樹脂流路の断面積が連続的に減少する形状のサイジングダイを使用することにある。
このようなサイジングダイとは、樹脂流路にテーパが設けられ、結果として樹脂流路の断面積が連続的に減少する形状のものである。
入り口面積に対する出口面積の割合が81%未満となると樹脂が収縮しすぎ、成形困難(樹脂の取り出し困難)となる。また、入り口面積に対する出口面積の割合が92%を超える場合は本発明所期の効果が得られず、賦形不良となる。
また、サイジングダイとして、入り口面積に対して出口面積が81〜92%の範囲になるように調整され、且つサイジングダイの入り口の各部長さに対して出口の各部長さが90〜96%の範囲になるような形状のものは特に好適である。
本発明の製造方法においては、上記の如く特定の形状のサイジングダイを使用すること以外は通常の異形押出成形法と同等の成形条件で良いが、特に好ましい成形条件は以下の通りである。
押出機の溶融ダイ温度は180〜220℃が好ましい。
エアギャップの距離は2〜50mmが好ましい、短すぎるとサイジングダイへの流入が不安定となって成形トラブルが頻発することがあり、長すぎると樹脂が固化し始めて賦形できなくなったり、表面に荒れ模様が発生したりする。
また、サイジングダイに微小な穴を開け、外側を負圧にして溶融樹脂との密着を高めるバキュームサイジング法を用いることで、表面性に優れた異形押出成形品を得ることが可能である。
本発明によって得られるポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品は、その高強度、高弾性率、耐溶剤性、耐熱性、耐屈曲疲労性等の優れた特性を活かし種々の用途がある。加工物は連続形態であるため、目的に応じて適宜切断して使用することが可能であり、例えばレール、パイプ、各種建材、その他種々の用途への使用が可能である。また、本発明のポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品の大きさも何ら限定されず、例えば、大型のもの、中型のもの、小型のもの、微小サイズのものの何れであってもよく、その中でも、窓枠用、配線ダクト用、雨樋用、カートリッジ用などに適した形状や大きさの異形押出成形品においてより良好な効果を発揮することができる。
次に、本発明に使用されるポリオキシメチレン樹脂について説明する。本発明に用いるポリオキシメチレンとは、オキシメチレン基(-CH2O-)を主たる構成単位とする高分子化合物で、ポリオキシメチレンホモポリマー、オキシメチレン基以外に他の構成単位を少量含有するコポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマーの何れにてもよく、又、分子が線状のみならず分岐、架橋構造を有するものであってもよいが、異形押出成形品という用途から押出成形時の溶融滞留安定性や、冷却時の固化速度がやや遅く成形のしやすさの点からポリオキシメチレン共重合体が特に好ましい。
ポリオキシメチレン共重合体として特に好ましいのは、前述した特許文献1に示される結晶化速度を制御した特定のポリオキシメチレン共重合体、即ち、主としてオキシメチレン単位の繰り返しからなるポリマー鎖中に、オキシメチレン単位100mol当たり1.5〜10molの下記一般式(1)で表されるオキシアルキレン単位を含み、メルトインデックス(190℃、荷重2160g)が0.3〜20g/10分であるポリオキシメチレン共重合体である。
(式中、R1、R2は、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルキル基を有する有機基、フェニル基、フェニル基を有する有機基から選ばれ、R1、R2は同一でも異なっていてもよい。mは2〜6の整数を示す。)
本発明に使用するポリオキシメチレン共重合体において、一般式(1)で表されるオキシアルキレン単位の割合は、オキシメチレン単位100mol当たり1.5〜10molであることが好ましくは、より好ましくはオキシメチレン単位100mol当たり2〜8 mol、特に好ましくはオキシメチレン単位100mol当たり2〜5molである。一般式(1)で表されるオキシアルキレン単位の割合が少なくなるとポリオキシメチレン共重合体の結晶化速度が早くなり、押出機のダイを通して押出された溶融樹脂が、サイジングダイで所望の断面形状に整形されて冷却される前に固化するために所望の形状が得られない。また固化速度が早いことに起因して、固化工程中に生じる成形物中のひずみが大きくなることから、変形した形状となることがある。逆に、一般式(1)で表されるオキシアルキレン単位の割合を増大させるとポリオキシメチレン共重合体の結晶化度が低くなり、かかる共重合体からなる成形品は、強度、弾性率等が低いものとなる。
本発明に使用するポリオキシメチレン共重合体において、一般式(1)で表されるオキシアルキレン単位の割合は、オキシメチレン単位100mol当たり1.5〜10molであることが好ましくは、より好ましくはオキシメチレン単位100mol当たり2〜8 mol、特に好ましくはオキシメチレン単位100mol当たり2〜5molである。一般式(1)で表されるオキシアルキレン単位の割合が少なくなるとポリオキシメチレン共重合体の結晶化速度が早くなり、押出機のダイを通して押出された溶融樹脂が、サイジングダイで所望の断面形状に整形されて冷却される前に固化するために所望の形状が得られない。また固化速度が早いことに起因して、固化工程中に生じる成形物中のひずみが大きくなることから、変形した形状となることがある。逆に、一般式(1)で表されるオキシアルキレン単位の割合を増大させるとポリオキシメチレン共重合体の結晶化度が低くなり、かかる共重合体からなる成形品は、強度、弾性率等が低いものとなる。
また、本発明で使用するポリオキシメチレン共重合体は、ASTM D-1238に従い、190℃、2160gの荷重下で測定されるメルトインデックス(MI)が0.3〜20g/10分であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜10g/10分、特に好ましくは0.5〜5g/10分である。メルトインデックス(MI)が過小では、溶融押出加工時の負荷が増大して押出しが困難になり、逆にメルトインデックス(MI)が過大になると、樹脂のドローダウン等のため製造が不安定なものとなる。
本発明で使用する上記の如きポリオキシメチレン共重合体の製造方法は特に限定されるものではなく、一般的にはトリオキサンとコモノマーである環状エーテル化合物或いは環状ホルマール化合物とを、主としてカチオン重合触媒を用いて塊状重合させる方法で得ることができる。重合装置としては、バッチ式、連続式等の公知の装置が何れも使用できる。ここで、前述した一般式(1)で表されるオキシアルキレン単位の導入割合は、共重合させるコモノマーの量により調整される。また、メルトインデックス(MI)は、重合時に使用する連鎖移動剤、例えばメチラール等の添加量により調整することができる。
得られる共重合体のメルトインデックスは、連鎖移動剤の添加量を減少させると小さく、増加させると大きくなる。なお、メルトインデックスに対しては、原料モノマーやコモノマー中に含まれる水、メタノール等の不純物や、重合機の種類、形状、サイズ、重合条件等も影響を与えるため、特定のメルトインデックスの共重合体を得るのに必要な連鎖移動剤の絶対量を一義的に決定することは困難であり、共重合体の製造を試行しながら、所望のメルトインデックスのものが得られるように連鎖移動剤の添加量を増減する。
コモノマーとして用いられる環状エーテル化合物或いは環状ホルマール化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、トリオキセパン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等が挙げられ、その中でもエチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。また、本発明に使用するポリオキシメチレン共重合体は、分岐又は架橋構造を有するものであってもよく、このために上記以外の単官能あるいは2官能以上のグリシジル化合物等を少量添加して共重合させたものでもよい。
重合によって得たポリオキシメチレン共重合体は、触媒の失活化処理、未反応モノマーの除去、重合体の洗浄、乾燥、不安定末端部の安定化処理等を行った後、更に各種安定剤の配合による安定化処理等を行って実用に供される。代表的な安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、窒素含有化合物、アルカリ或いはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、カルボン酸塩等を挙げることができる。
このようにして得られ本発明で使用するポリオキシメチレン共重合体は、1H−NMRにより検出されるヘミホルマール末端基量が0〜4mmol/kgであることが好ましく、特に好ましくは0〜2mmol/kgである。ヘミホルマール末端基量が4mmol/kgを超える場合には、溶融加工時にポリマーの分解に伴う発泡等の問題が生じる場合がある。ヘミホルマール末端基を上記範囲に制御するためには、重合に供するモノマー、コモノマー総量中の不純物、特に水分を20ppm以下にするのが好ましく、特に好ましくは10ppm以下である。
更に、本発明で使用するポリオキシメチレン共重合体には、必要に応じて、熱可塑性樹脂に対する一般的な添加剤、例えば染料、顔料等の着色剤、滑剤、核剤、離型剤、帯電防止剤、界面活性剤、或いは有機高分子材料、無機または有機の繊維状、板状、粉粒状の充填剤等の1種または2種以上を、本発明の目的を阻害しない範囲で添加することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1
外側に熱(冷)媒を通すジャケットが付き、断面が2つの円が一部重なる形状を有するバレルと、パドル付き回転軸で構成される連続式混合反応機を用い、パドルを付した2本の回転軸をそれぞれ150rpmで回転させながら、液状のトリオキサン96mol%、1,3−ジオキソラン4mol%の混合物を供給し、更に分子量調節剤としてメチラール、同時に触媒の三フッ化ホウ素50ppm(全モノマーに対し)を重合機に連続的に供給しながら塊状重合を行った。用いたトリオキサンの水分含有量は13ppm、1,3−ジオキソラン水分含有量は10ppm以下であった。なお、得られる共重合体のメルトインデックスの目標値を2.5とし、メチラールの添加量を300〜500ppmの範囲内で微調整した。
製造例1
外側に熱(冷)媒を通すジャケットが付き、断面が2つの円が一部重なる形状を有するバレルと、パドル付き回転軸で構成される連続式混合反応機を用い、パドルを付した2本の回転軸をそれぞれ150rpmで回転させながら、液状のトリオキサン96mol%、1,3−ジオキソラン4mol%の混合物を供給し、更に分子量調節剤としてメチラール、同時に触媒の三フッ化ホウ素50ppm(全モノマーに対し)を重合機に連続的に供給しながら塊状重合を行った。用いたトリオキサンの水分含有量は13ppm、1,3−ジオキソラン水分含有量は10ppm以下であった。なお、得られる共重合体のメルトインデックスの目標値を2.5とし、メチラールの添加量を300〜500ppmの範囲内で微調整した。
重合機から排出された反応生成物は速やかに破砕機に通しながら、トリエチルアミンを0.05重量%含有する60℃の水溶液に加え触媒を失活した。さらに、分離、洗浄、乾燥後、粗ポリオキシメチレン共重合体を得た。
次いで、この粗ポリオキシメチレン共重合体100重量部に対して、トリエチルアミン5重量%水溶液を4重量部、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を0.3重量部添加し、2軸押出機にて210℃で溶融混練し不安定部分を除去した。
上記の方法で得たポリオキシメチレン樹脂100重量部に、安定剤としてペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を0.03重量部およびメラミン0.15重量部を添加し、2軸押出機にて210℃で溶融混練し、メルトインデックス2.5のペレット状のポリオキシメチレン樹脂(POM−1)を得た。尚、メルトインデックスは、ASTM D-1238に従い、190℃、2160gの荷重下で測定した。
製造例2
トリオキサンと1,3−ジオキソランの混合物に更にブタンジオールジグリシジルエーテル500ppm(トリオキサンと1,3−ジオキソランの混合物に対する割合)を共重合成分として加えた以外は製造例1と同様にして重合を行い、架橋構造を持たせた粗ポリオキシメチレン共重合体を得た。更に製造例1と同様の処理を行いメルトインデックス1.0のペレット状のポリオキシメチレン樹脂(POM−2)を得た。
トリオキサンと1,3−ジオキソランの混合物に更にブタンジオールジグリシジルエーテル500ppm(トリオキサンと1,3−ジオキソランの混合物に対する割合)を共重合成分として加えた以外は製造例1と同様にして重合を行い、架橋構造を持たせた粗ポリオキシメチレン共重合体を得た。更に製造例1と同様の処理を行いメルトインデックス1.0のペレット状のポリオキシメチレン樹脂(POM−2)を得た。
製造例3
トリオキサン92.5mol%と1,3−ジオキソラン7.5mol%の混合物を重合成分とし、製造例1と同様にして重合を行い粗ポリオキシメチレン共重合体を得た。更に製造例1と同様の処理を行いメルトインデックス1.8のペレット状のポリオキシメチレン樹脂(POM−3)を得た。
トリオキサン92.5mol%と1,3−ジオキソラン7.5mol%の混合物を重合成分とし、製造例1と同様にして重合を行い粗ポリオキシメチレン共重合体を得た。更に製造例1と同様の処理を行いメルトインデックス1.8のペレット状のポリオキシメチレン樹脂(POM−3)を得た。
実施例1
POM−1を用い、シリンダー設定温度200℃の押出成形機により樹脂を溶融可塑化し、図1に示す断面形状のダイ(図中の数字の単位はmmである)から押出し、図2(a) 〜(c) に示す、樹脂流路の断面積が連続的に減少する形状の真鍮製の真空サイジングダイ(図中の数字の単位はmmである)に導入し減圧・冷却しながら樹脂を通過させ、コの字型の成形物を得た。後述する評価法で評価した結果を、押出条件と共に表1に示す。真空サイジングダイの入り口面積に対する出口面積は89%である。以下、サイジングダイの出口面積/入り口面積×100で求められる値を絞り率と表記する。評価結果を表1に示す。
POM−1を用い、シリンダー設定温度200℃の押出成形機により樹脂を溶融可塑化し、図1に示す断面形状のダイ(図中の数字の単位はmmである)から押出し、図2(a) 〜(c) に示す、樹脂流路の断面積が連続的に減少する形状の真鍮製の真空サイジングダイ(図中の数字の単位はmmである)に導入し減圧・冷却しながら樹脂を通過させ、コの字型の成形物を得た。後述する評価法で評価した結果を、押出条件と共に表1に示す。真空サイジングダイの入り口面積に対する出口面積は89%である。以下、サイジングダイの出口面積/入り口面積×100で求められる値を絞り率と表記する。評価結果を表1に示す。
実施例2
絞り率を83%とした真空サイジングダイを用いた以外は実施例1と同様にしてコの字型の成形物を得た。このサイジングダイは、実施例1で用いたサイジングダイを基準とし、その入り口面積・寸法は変えることなく出口寸法をほぼ相対的に縮小させることにより出口面積を減少させて絞り率を調整したものである。評価結果を表1に示す。
絞り率を83%とした真空サイジングダイを用いた以外は実施例1と同様にしてコの字型の成形物を得た。このサイジングダイは、実施例1で用いたサイジングダイを基準とし、その入り口面積・寸法は変えることなく出口寸法をほぼ相対的に縮小させることにより出口面積を減少させて絞り率を調整したものである。評価結果を表1に示す。
実施例3
ポリオキシメチレン樹脂としてPOM−2を用いた以外は実施例1と同様にしてコの字型の成形物を得た。評価結果を表1に示す。
ポリオキシメチレン樹脂としてPOM−2を用いた以外は実施例1と同様にしてコの字型の成形物を得た。評価結果を表1に示す。
実施例4
ポリオキシメチレン樹脂としてPOM−3を用いた以外は実施例1と同様にしてコの字型の成形物を得た。評価結果を表1に示す。
ポリオキシメチレン樹脂としてPOM−3を用いた以外は実施例1と同様にしてコの字型の成形物を得た。評価結果を表1に示す。
比較例1〜2
絞り率を95%とした真空サイジングダイ及び絞り率を78%とした真空サイジングダイを用いた以外は実施例1と同様にしてコの字型の成形物の調製を試みた。絞り率の調整は実施例2と同様に出口寸法・面積を変えることで行った。評価結果を表1に示す。絞り率95%のサイジングダイを用いた比較例1では、著しい賦形不良が生じて形状を賦与することができず、その成形品表面も著しく平滑性に欠けるものであった。また、絞り率78%のサイジングダイを用いた比較例2では、サイジングダイで樹脂の詰まりが生じ異形押出成形が不可能であった。
絞り率を95%とした真空サイジングダイ及び絞り率を78%とした真空サイジングダイを用いた以外は実施例1と同様にしてコの字型の成形物の調製を試みた。絞り率の調整は実施例2と同様に出口寸法・面積を変えることで行った。評価結果を表1に示す。絞り率95%のサイジングダイを用いた比較例1では、著しい賦形不良が生じて形状を賦与することができず、その成形品表面も著しく平滑性に欠けるものであった。また、絞り率78%のサイジングダイを用いた比較例2では、サイジングダイで樹脂の詰まりが生じ異形押出成形が不可能であった。
尚、実施例1で用いたサイジングダイで出口寸法・面積を合わせ、入り口寸法・面積を変えることにより絞り率を95%或いは78%に調整したサイジングダイを用いた場合も、賦形不良あるいは賦形不能の結果は変わらなかった。
尚、実施例・比較例における評価基準等は以下の通りである。
[成形品平面角]
コの字型成形物の2つのコーナー部の角度を測定し、その平均値を平面角とした。
[成形品の表面平滑性]
成形品の表面平滑性については、目視にて下記5段階で評価した。
5…表面に光沢感があり、目視にて凹凸が認められない
4…表面は平滑であるが、ダイラインが認められる
3…表面は部分的に平滑があるが、凹凸が認められる
2…3点と1点の中間的な状況
1…表面は明らかな凹凸があり、各種樹脂加工部品として実用不可能なレベルである
[成形品平面角]
コの字型成形物の2つのコーナー部の角度を測定し、その平均値を平面角とした。
[成形品の表面平滑性]
成形品の表面平滑性については、目視にて下記5段階で評価した。
5…表面に光沢感があり、目視にて凹凸が認められない
4…表面は平滑であるが、ダイラインが認められる
3…表面は部分的に平滑があるが、凹凸が認められる
2…3点と1点の中間的な状況
1…表面は明らかな凹凸があり、各種樹脂加工部品として実用不可能なレベルである
Claims (6)
- ポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品を製造するに際し、入り口面積に対して出口面積が81〜92%の範囲になるように樹脂流路の断面積が連続的に減少する形状のサイジングダイを使用することを特徴とするポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品の製造方法。
- サイジングダイとして、サイジングダイの入り口の各部長さに対して出口の各部長さが90〜96%の範囲になるような形状のものを使用する請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品の製造方法。
- ポリオキシメチレン樹脂が、ポリオキシメチレン共重合体である請求項1又は2記載のポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品の製造方法。
- ポリオキシメチレン共重合体が、分岐又は架橋構造を有するものである請求項3又は4記載のポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品の製造方法。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の方法により製造され、異形押出プロファイルの断面形状がチェンバープロファイル又は開放プロファイルであるポリオキシメチレン樹脂製異形押出成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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