JP2008125296A - ブラシレスモータ搭載の電動工具におけるパワー基板の放熱構造 - Google Patents

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明 寺西
Kenichi Arai
健一 荒井
Kazuya Sakamaki
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Abstract

【課題】ブラシレスモータのパワー基板の放熱板を該パワー基板に組み付けられる板部と放熱板部とから形成し、放熱板部に複数の該板部の切り起しによる通風孔を設けるとともに該通風孔に切り起し片による山形状の突出部を具備させ、これにより該放熱板部における放熱効果の増大を図る。
【解決手段】ブラシレスモータMのパワー基板1には、該モータMの回転制御用電子部品11が装備されるとともに該電子部品11にその母体板部21が当接して該板部21を介して放熱板2が組み付けられている。放熱板2の前記母体板部21の一端にはほぼ直角に屈曲した放熱部である屈曲板部22が設けられており、該屈曲部22には複数の切り起しによる通風孔23が設けられるとともに該通風孔23には切り起し片24による山形状の突出部25が具備されている。
【選択図】図1

Description

本発明はブラシレスモータ搭載の電動工具におけるパワー基板の放熱構造に関し、特にブラシレスモータの回転制御用電子部品を装備したパワー基板の該電子部品の過熱を防止するための放熱構造に関する。
電動工具のモータとして直流電源で駆動する形式のものが多用されており、このようなモータの1つとしてはブラシおよび整流子を用いないブラシレスモータが知られている。ブラシレスモータはブラシや整流子を用いない代わりにその回転制御のためのパワー基板と制御基板を備えている。パワー基板にはモータの回転制御用電子部品であるFET等が装備されているが、モータが長時間作動すると発熱しやすい。これら電子部品の発熱による過熱は、故障や出力効率の低下等の機能障害を起して、結果として、電動工具の作動に支障を来たすことになる。
上述したような状況の中で、ブラシレスモータの回転制御用のパワー基板における放熱対策は従来から行われてきたところであり、放熱対策としてよく知られたものに、例えば、モータ巻き線用冷却ファンの冷却風通路であるモータ軸の後方もしくはモータの後部にパワー基板を配置して冷却ファンによる冷却気流を利用することで該基板の放熱性を高め、該基板の温度上昇を抑えることで過熱による悪影響を回避するようにしたものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2003−199310号公報 特願2004−7869号
ところで、上述のようなモータ軸後方もしくはモータ後部へのパワー基板の配置は、スペース的な制約から前記パワー基板における過熱防止を効果的に行う放熱のための形状や充分な表面積を有する放熱部の確保を困難にしており、パワー基板の温度上昇を効果的に抑えるための有効な対策が採れないという問題を残している。
上述したような状況の中で、本発明はブラシレスモータのパワー基板に装備された回転制御用電子部品における上述の問題点を解決するための提案をなすものであり、ブラシレスモータのパワー基板に装備された回転制御用電子部品の発熱による過熱防止を有効に行うための充分な放熱のための表面積を有する放熱部を該パワー基板に具備させた、モータの回転制御用電子部品を装備したパワー基板における放熱構造を提供することにある。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、駆動源としてのブラシレスモータを収容するとともに該モータの冷却のための冷却風取入れ口を備えたハウジングを有する前記ブラシレスモータ搭載の電動工具におけるパワー基板の放熱構造において、前記パワー基板には前記ブラシレスモータの回転制御用電子部品が装備されるとともに、該基板に装備された前記回転制御用電子部品に当接して該パワー基板に対向するように取付けられる母体板部と該母体板部の一端からほぼ直角に屈曲して延びる屈曲板部とを備えた放熱板が取付けられており、前記放熱板の前記屈曲板部には該板部の切り起しにより形成された通風孔が設けられていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記放熱板の屈曲板部の切り起しにより形成された通風孔は、該通風孔の開孔両端からそれぞれ曲折して延びた切り起し片を該通風孔の開口の前方でその先端を互いに突き合すように接近させることで形成したほぼ山形状の突出部を備えていることを特徴とする。
さらに、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は2に記載の発明において、前記放熱板の屈曲板部の切り起しにより形成された通風孔と前記ハウジングの冷却風取入れ口とは、互い違いの格子状に形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項1に係る発明は、駆動源としてのブラシレスモータを収容するとともに該モータの冷却のための冷却風取入れ口を備えたハウジングを有する前記ブラシレスモータ搭載の電動工具におけるパワー基板の放熱構造において、前記パワー基板には前記ブラシレスモータの回転制御用電子部品が装備されるとともに、該基板に装備された前記回転制御用電子部品に当接して該パワー基板に対向するように取付けられる母体板部と該母体板部の一端からほぼ直角に屈曲して延びる屈曲板部とを備えた放熱板が取付けられており、前記放熱板の前記屈曲板部には該板部の切り起しにより形成された通風孔が設けられている構成である。したがって、放熱板の母体板部と通風孔が形成された屈曲板部が互いに距離的に離れた位置関係とされるので電動工具の狭いスペースにおける放熱板の配置の自由度が増し、例えば、パワー基板とともに放熱板の母体板部をモータ近接の最適な位置に配置して放熱板の通風孔を形成した放熱部である屈曲板部を適宜冷却風の通路内に配置することが容易となる。
そして、放熱板の通風孔が形成された屈曲板部が通風により冷却されることで、該屈曲板部に連接する母体板部の熱が熱伝導により前記屈曲板部を通して効果的に放熱されるので、母体板部に当接する回転制御用電子部品の発熱による温度上昇が効果的に抑制される。したがって、回転制御用電子部品の過熱による故障や出力効率の低下等の機能障害が防止される。また、切り起しによる通風孔の形成はきわめて容易である。
請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記放熱板の屈曲板部の切り起しにより形成された通風孔は、該通風孔の開孔両端からそれぞれ曲折して延びた切り起し片を該通風孔の開口の前方でその先端を互いに突き合すように接近させることで形成したほぼ山形状の突出部を備えているので、通風孔を通過する冷却風は、山形状の突出部に当たることで曲げられ拡散されるから、その分冷却風の滞留時間が長くなり、また切り起し片による山形状の突出部は冷却風の接触面積を大きくするので放熱板の放熱効果をその分増大させることができる。
請求項3に係る発明は、前記請求項1又は2に記載の発明において、前記放熱板の屈曲板部の切り起しにより形成された通風孔と前記ハウジングの冷却風取入れ口とは、互い違いの格子状に形成されているので、ハウジングの冷却風取入れ口から取り入れられた冷却風は互い違いの格子により邪魔をされて回り込むようにして通風孔内に流入するので比較的大きなゴミの流入が阻止されるとともに滞留時間が長くなることで滞留中に小さなゴミも落下するので防塵効果が大きくなる。また、冷却風の滞留時間の確保は通風孔近傍を良く冷却するので屈曲板部の放熱効果を増大させることができる。
以下、本発明のモータの回転制御用電子部品を装備したパワー基板における放熱構造を図1ないし図4に基づいて説明する。
パワー基板1は、ブラシレスモータMの回転制御用電子部品が装着された基板部10からなり、該パワー基板1の基板部10は、図1ないし図3に図示されるように、ほぼ矩形状をなす所定の厚さの絶縁体からなる板であり、その図示裏面である一面側に前記回転制御用電子部品であるFET11が装着されている。
パワー基板1の基板部10に装着されるFET11はブラシレスモータMの図示されない三相の巻き線に対応するために6個設けられており、これらFET11はパワー基板1の基板部10の長手方向に対して直交する方向で2列に配置され、つまり一列に3個ずつ配置されて装着されている。
FET11のパワー基板1の基板部10への装着は、FET11の3つの電極の脚部12が該基板部10の裏面側から孔13に挿し込まれて電極の脚部12の先端12aを該基板部10の表面側から僅かに突出させてハンダ付けされることでなされており、FET11はさらに後述されるパワー基板1に取付けられる放熱板2の母体板部21にねじ、その他の方法で図示下方から当接固定される。
パワー基板1の基板部10の上表面から僅かに突出した各FET11の3つの電極の先端12aはDC電源、制御基板(ゲート制御回路)、モータの巻き線への接続電極をそれぞれ形成する。
パワー基板1の基板部10の図示裏面に装着された6個のFET11の図示下部には既述のように放熱板2が当接されるが、放熱板2は、FET11の図示下部を覆うようにして該FET11に当接する板部、つまりほぼ矩形状でパワー基板1とほぼ同じ幅を有するがやや長さの短い母体である板部21と、該母体板部21の一端からほぼ直角に屈曲して延長する複数の通風孔23を備える放熱部とされる屈曲板部22とから形成されており、熱伝導の良い材質の板状部材からなる。
放熱板2は、前記パワー基板1のFET11を丁度パワー基板1の基板部10と該放熱板2の母体板部21とで挟むように対向配置されて、前記パワー基板1に対してその4隅のボルト穴21aを介して一体的にボルトBの締め付けにより固定されている。
放熱板2の放熱部とされる屈曲板部22には既述の複数の通風孔23が設けられるが、これら通風孔23は屈曲板部22の切り起しにより形成されており、切り起しによる通風孔23の形成は通常プレス機械等の使用により行われる。複数の通風孔23は互いに平行に延びる同じ長さと幅の同じ大きさの孔であり、これらの通風孔23は屈曲板部22の延長方向に沿って互いに等間隔に並設して形成されている。
各通風孔23はその左右の開孔両端で切り起し曲折された切り起し片24が通風孔23の開口の前方でほぼ山形状の突出部25を形成するように互いにその先端24aを突き合わせるように接近して対向させられており、これにより各通風孔23に流入する冷却風は互いに並設するほぼ山形状の突出部25間の隙間26を流入口として該流入口を経て冷却風を取り入れ、取り入れられた冷却風はほぼ山形状の突出部25の側部開口27を通って通風孔23内に流入するようになされている。
次に、上述のパワー基板1における放熱構造の電動工具への具体的な適用例について説明する。
図5、図6には上述の放熱構造が適用された電動工具であるハンマドリルAが図示されている。ハンマドリルAはその外装がハウジング3で覆われ、ハウジング3は、モータハウジング部31と、該ハウジング部31と一体成型のグリップ部32と、モータハウジング部31の前部に連接された回転駆動部の収容ハウジング部33等からなり、また、DC電源を供給するDC電源パック34がハウジング3に接続されている。
モータハウジング部31内にはブラシレスモータMが内臓され、グリップ部32には該グリップ部32を手で握ることで操作可能なトリガスイッチレバー34が備えられ、トリガスイッチレバー34の押し込み操作で前記モータMの起動スイッチ35が作動される。
そして、収容ハウジング部33内には図示されない回転駆動機構と打撃駆動機構が組み込まれており、回転駆動部の回転がドリルビット37を保持するチャック部36を介してドリルビット37に伝達されるとともに、打撃駆動部の打撃が同時に伝達されるようになっている。
ブラシレスモータMは、ステータ41と、ローター42と、ローター42と一体のモータ駆動軸43と、モータ駆動軸43の前側に取付けられた冷却ファン44等をその構造の主体としており、モータ駆動軸43の前後端がベアリング45により軸受け支持されることで該駆動軸43はローター42の回転とともにステータ41に対して回転可能とされている。
そして、上述の回転制御用電子部品であるFET11が装備されかつ放熱板2が取付けられたパワー基板1は、ブラシレスモータMのステータ41外周側上部とモータハウジング部31内側との間の空間S内に配置され、明確には図示されるところではないがモータハウジング部31に設けられた固定リブにより放熱板2の母体板部21を位置決めし、左右のモータハウジング32により挟み込み、モータハウジング部31の上部に固定されている。
空間S内に固定配置された放熱板2が取付けられたパワー基板1は、該固定配置状態において放熱板2の母体板部21をFET11挟持のもとにその下部に重ねるように保持して、放熱板2の母体板部21の一端から屈曲して延びる屈曲板部22をモータ駆動軸43の左方軸端ベアリング45の軸受け支持部の左方側を覆うように図示下方に延長させてモータハウジング部31の後部の壁部31a内側に対向するように位置付けている。
放熱板2の屈曲板部22の上述の位置付けは、各通風孔23のほぼ山形状の突出部25をモータハウジング部31の後部左右両側の冷却風取入れ口31bに対向させる(図4参照)。
屈曲板部22の該板部延長方向に沿って並設される複数の通風孔23の間隔と幅は、これに対向するモータハウジング部31の前記冷却風取入れ口31bの間隔と幅が互いに同一となるようになされており、互い違いの格子状に形成されている。
したがって、冷却ファン44の回転に伴いモータハウジング部31の後部左右両側の冷却風(外気)取入れ口31bの格子を通って取り込まれた冷却風は、放熱板2の屈曲板部22の格子を形成する各通風孔23併設のほぼ山形状の突出部25間の隙間26である冷却風流入口を経て各通風孔23を通過して、モータM側に流れ、モータMの冷却後にモータM前側の排出口31c(図6参照)から外部へと排出されるという冷却風の流れを形成する。
本発明の実施形態は上述の構成であるので、図4、5等の参照により理解できるように、モータMの回転と同時に冷却ファン44が回転し、冷却風(外気)がモータハウジング部31の後部左右両側の格子状をなす冷却風取入れ口31bからハンマドリルAの内部に取り込まれ、該冷却風取入れ口31bの格子と互い違いの格子として形成された放熱板2の屈曲板部22の通風孔23へと流入するが、この際モータハウジング部31の冷却風取入れ口31bと放熱板屈曲板部22の通風孔23の格子が互い違いとされるから、取入れられる冷却風の流れは邪魔をされるので冷却風は回り込むように流れ込むのでゴミの流入が効果的に阻止される。
そして、前記屈曲板部22の通風孔23への冷却風の流入は切り起し片24によるほぼ山形状の突出部25間の隙間26である流入口を通ってほぼ山形状の突出部25の側部開口27から通風孔23に流入するので、この冷却風の流れは、ほぼ山形状の突出部25に当たり、曲げられ、拡散されて、その滞留時間がその分長くされ、またほぼ山形状の突出部25の形成により冷却風の接触面積が大きく確保されて屈曲板部22をより効果的に冷却する。
したがって、前記屈曲板部22を放熱部として備える放熱板2の使用により、該放熱板2の母体板部21に直接的に接触するパワー基板1の回転制御用電子部品であるFET11の発熱を熱伝導により前記放熱部である屈曲板部22を通して効果的に放熱することができ、回転制御用電子部品であるFET11の過熱による故障や出力の低下が防止されるので、信頼性の高い電動工具であるハンマドリルを提供することができる。
なお、上述のパワー基板1における放熱構造は、ハンマドリルに限定されず、他の電動工具にも適用することができる。
本発明の放熱板が取付けられたパワー基板を示す斜視図である。 本発明の放熱板が取付けられたパワー基板の側面図である。 本発明の放熱板が取付けられたパワー基板の上面図である。 本発明の放熱板の通風孔と電動工具のハウジングの冷却風取入れ口との対向する配置関係を示す一部断面で示される図である。 本発明のパワー基板が装備されたハンマドリルを示す図である。 図5に図示されるハンマドリルの外観図である。
符号の説明
A ハンマドリル
M ブラシレスモータ
1 パワー基板
11 モータの回転制御用電子部品であるFET
2 放熱板
21 母体板部
22 屈曲板部

Claims (3)

  1. 駆動源としてのブラシレスモータを収容するとともに該モータの冷却のための冷却風取入れ口を備えたハウジングを有する前記ブラシレスモータ搭載の電動工具におけるパワー基板の放熱構造において、
    前記パワー基板には前記ブラシレスモータの回転制御用電子部品が装着されるとともに、該基板に装着された前記回転制御用電子部品に当接して該パワー基板に対向するように取付けられる母体板部と該母体板部の一端から略直角に屈曲して延びる屈曲板部とを備えた放熱板が取付けられ、前記放熱板の前記屈曲板部には該板部の切り起しにより形成された複数の通風孔が形成されている
    ことを特徴とするブラシレスモータ搭載の電動工具におけるパワー基板の放熱構造。
  2. 前記放熱板の屈曲板部の切り起しにより形成された通風孔は、該通風孔の開孔両端からそれぞれ曲折して延びた切り起し片を該通風孔の開口の前方でその先端を互いに突き合すように接近させることで形成したほぼ山形状の突出部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ搭載の電動工具におけるパワー基板の放熱構造。
  3. 前記放熱板の屈曲板部の切り起しにより形成された通風孔と前記ハウジングの冷却風取入れ口とは、互い違いの格子状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシレスモータ搭載の電動工具におけるパワー基板の放熱構造。
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