JP2008123939A - 非水系二次電池用電極板およびこれを用いた非水系二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属箔からなる集電体の表面に凸部を形成するとこれに対向する裏面は必ず凹部となり、また表面が凹部とすると対向する裏面は必ず凸部となるため、凹凸部成形時に金属箔に波打ち、シワ、ソリ等の局部的な変形や撓みが発生する。
【解決手段】凹部4aを形成した上ローラ5aと凹部4bを形成した下ローラ5bにより三次元多孔構造を有する集電体1を圧縮加工することで、凸部2aの先端表面である凸部平面Aおよび凸部2bの先端表面である凸部平面Dは圧縮加工が施されず圧縮加工前の気孔率を維持した状態のまま、ベース平面Bとベース平面Cに圧縮加工が施されることで、表面部の気孔率が減少したベース平面3a,3bの上に側面部の気孔率が減少した凸部2a,2bを形成することで非水系二次電池用電極板を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池に代表される非水系二次電池に関し、特にこの非水系二次電池用電極板およびこれを用いた非水系二次電池に関するものである。
近年、携帯用電子機器の電源として利用が広がっているリチウム二次電池は、負極にリチウムの吸蔵および放出が可能な炭素質材料等を用い、正極にLiCoO2等の遷移金属とリチウムの複合酸化物を活物質として用いており、これによって、高電位で高放電容量のリチウム二次電池を実現している。しかし、近年の電子機器および通信機器の多機能化に伴って、リチウム二次電池の充放電サイクルに伴う特性劣化の改善が望まれている。
一般的に、リチウム二次電池の発電要素である電極板としては、正極活物質または負極活物質、結着材としてのバインダー、必要に応じて導電材を分散媒に混錬分散した合剤塗料を集電体の片面もしくは両面に塗布し、その後に乾燥しプレスして構成されている。
ここで、充放電サイクルに伴う特性劣化の要因の一つとして、集電体上に塗布された正極活物質合剤層または負極活物質合剤層と集電体との結着力の低下が挙げられ、これは充放電に伴う電極板の膨張や収縮により集電体の界面での結着力が弱まり正極活物質合剤層または負極活物質合剤層が脱落するためである。
そこで、正極活物質合剤層または負極活物質合剤層と集電体との結着力を高める手段として、集電体の界面の接触面積を増大させる方法があり、一般的には電解により集電体の表面をエッチングする方法、あるいは電着により表面に構成金属を析出させる方法により集電体の表面を粗面化している。
このように集電体の表面を粗面化する別の方法として、例えば被処理材である圧延銅箔の表面に微粒子を高速で衝突させ表面に微小な凹凸を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、金属箔にレーザー光を照射して表面粗さが10点平均粗さで0.5から10μmの凹凸を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、目的は別であるが集電体の表面に凹凸を形成する方法が種々知られており、例えば図10に示したように電極活物質合剤層を塗布する厚みを薄くしないで出力密度を向上させたリチウム二次電池を得ることを目的として、金属箔からなる集電体31を一対のガイドローラ32,33に挟み込んでその表面を凹凸状とし、単位面積当たりの表面積を増やして電極活物質合剤層と集電体との接触面積を増大させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、電極活物質合剤層の担持性と電気伝導性とに優れたリチウム二次電池用の集電体を得ることを目的として、図11(a)〜(e)に示したように金属箔の片側の面が窪んでいるとき反対側の面が突出した形状で、かつ金属箔の平面に規則的に分散した凹凸を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
さらに、容量や出力等のばらつきが少なく出力特性に優れ、しかも低価格で長寿命なリチウム二次電池を得ることを目的として、図12(a)〜(c)に示したようにエンボス加工によって凹凸部を形成し、この凹部に活物質を充填し凸部は表面が露出した状態または活物質が付着した状態とする方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
一方、リチウム二次電池の発電要素である電極板を作製する別の方法として、集電体の上に電解メッキ法や真空蒸着法等により電極活物質合剤層の薄膜を形成する方法が知られている。この方法においても、集電体と電極活物質合剤層との結着力が安定した電池を得るために重要であるが、例えば放電容量が大きくかつ充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池用電極板を得ることを目的として、リチウムと合金化しない金属からなる集電体上に(電極活物質合剤層の表面粗さRa)−(集電体の表面粗さRa)の値を0.1μm以下とする方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
特開2002−79466号公報 特開2003−258182号公報 特開平8−195202号公報 特開2002−270186号公報 特開2005−32642号公報 特開2002−279972号公報
しかしながら、上述した従来技術の特許文献においては、金属箔の表面が凹部とすると対向する裏面は必ず凸部となることは避けられず、凹凸部の形成時に金属箔に波打ち、シワ、ソリ等の発生を防止することが困難であるという課題を有していた。
さらに詳しくは、上述した特許文献1の従来技術では、局所的にはランダムな凹凸部を有する集電体を形成できるものの、ノズルから噴射させる微粒子に速度分布が生じるため、集電体の幅方向、長手方向に均一に凹凸部を形成することは難しい。
また、上述した特許文献2の従来技術では、金属箔にレーザーを照射することで局部的に加熱し金属を蒸発させることで凹部を形成し、照射を連続的に行なうことで金属箔の全面に凹凸部を形成することは可能であるが、レーザーを線上に走査するため局所的に金属融点以上の熱がかかることによる金属箔への波打ち、シワ、ソリ発生を防止することは困難であり、さらにリチウム二次電池の集電体のような20μm以下の厚みの金属箔にレーザー加工する際は、レーザーの出力バラツキにより金属箔に穴が開く不具合を引き起こす場合がある。
また、上述した特許文献3や特許文献4の従来技術では、金属箔の表面が凹部とすると対向する裏面は必ず凸部となることは避けられず、凹凸部を形成する際に金属箔に波打ち、シワ、ソリ等が発生するのを防止することが困難である。
また、上述した特許文献5の従来技術では、開口率20%以下のパンチングメタルにエンボス加工により凹凸部を形成するため、集電体の強度が低下し、電極板が切れる不具合を引き起こす場合がある。
また、上述した特許文献6の従来技術では、リチウムと合金化しない金属からなる集電体上に(電極活物質合剤層の表面粗さRa)−(集電体の表面粗さRa)の値を0.1μm以下とすることにより、集電体と電極活物質合剤層との結着力は安定するが、リチウムがインターカレーションすると電極活物質合剤層の膨張率が大きくなる金属においては、集電体と電極活物質合剤層との結着力が弱くなり、電極板にシワが発生し、充放電時のサイクル特性が劣化する不具合を引き起こす場合がある。
本発明は上記従来の課題を鑑みてなされたもので、集電体の少なくとも一方の表面に先端表面が三次元多孔構造を有する凸部を多数形成したことにより、非水系二次電池用電極板を作製するための非水系二次電池用集電体の表面に凸部を形成するための加工性を向上すると共に、この三次元多孔構造を有する凸部の上に電極活物質を効率よく担持した非水系二次電池用電極板を得ることを目的としている。
上記従来の課題を解決するために本発明の非水系二次電池用電極板は、少なくとも一方の表面に凹部を形成した一対の加圧手段により圧縮加工することで、集電体の少なくとも一方の表面に先端表面が三次元多孔構造を有する凸部を多数形成したことを特徴とするものである。
本発明の非水系二次電池用電極板によると、先端表面が圧縮加工前の三次元多孔構造を有する凸部、つまり先端表面が圧縮加工されていない凸部を形成しているため耐久性に富み、集電体の表面に凸部を形成する工程やこの集電体の凸部に電極活物質を担持する工程での集電体の局所的なシワ、ソリ、切れなどを防止すると同時に、集電体の凸部に電極活物質を担持する工程やその後に所定の幅にスリット加工する等の後工程においても電極活物質合剤層の脱落を抑止することができるため信頼性の高い非水系二次電池を得ることができる。
本発明の第1の発明においては、集電体の少なくとも一方の表面に先端表面が三次元多孔構造を有する凸部を多数形成したことにより、気孔がない金属箔の上に凸部を形成するよりも圧縮加工が容易であると同時に、凸部の先端表面が三次元多孔構造であるため電極活物質との密着性が向上し凸部の表面に電極活物質を担持する工程やその後に所定の幅にスリット加工する等の後工程においても電極活物質合剤層の脱落を抑止することができる。
本発明の第2の発明においては、集電体を三次元に連なった連続気孔を有する多孔質金属体により構成したことにより、圧縮加工の際により低い圧力で集電体の表面に凸部を形成することが可能であると同時に、この集電体を用いた電極板を軽量化することができる。
本発明の第3の発明においては、多孔質金属体を金属粉末および/または金属繊維を焼結するにより構成したことにより、集電体を気孔の大きさが小さく、しかも気孔率が小さな状態で構成することが可能であり、集電体の表面に凸部を形成する工程やこの集電体の凸部に電極活物質を担持する工程に必要な強度を確保し局所的なシワ、ソリ、切れなどを防止することができる。
本発明の第4の発明においては、凸部の先端表面を圧縮加工前の気孔率を有する三次元多孔体としたことにより、この凸部の先端表面は圧縮加工が施されていない状態であるが故に、加工歪などの影響を受けることなく初期の平面精度を維持することが可能なため、凸部の表面に精度良く電極活物質を担持することができる。
本発明の第5の発明においては、凸部を加圧手段として少なくとも一方の表面に凹部を形成した一対のプレスロールで圧縮加工して形成したことにより、帯状の集電体の表面に連続して凸部を形成することが可能である。
本発明の第6の発明においては、集電体の凸部の側面部にベース面から凸部の先端に向かって幅が狭くなるテーパを設けたことにより、集電体に凸部を形成する際の加工性を向上させることができると同時に、凸部を加工した後の集電体の離型性を良化させることができる。
本発明の第7の発明においては、集電体の表面に先端表面が三次元多孔構造を有する凸
部を多数形成した非水系二次電池用電極板と対極となる電極板とをセパレータを介して巻回または積層して構成した電極板を非水系電解液とともに電池ケースに封入して非水系二次電池を構成したことにより、三次元多孔構造を有する凸部の上に電極活物質を高い密着性を維持して担持することが可能であり、充放電による電極板切れや電極活物質合剤層の脱落などの不具合が発生しない高容量で信頼性の高い非水系二次電池を得ることができる。
本発明の第8の発明においては、正極活物質または負極活物質を先端表面が三次元多孔構造を有する凸部を多数形成した集電体の少なくとも凸部の上に薄膜形成したものを少なくとも一方の電極板としたことにより、この凸部の表面は圧縮加工が施されていない状態であるが故に凸部の上面に圧縮加工による加工歪等が残らないため精度良く均一な薄膜形成が可能である。さらに凸部の表面が三次元多孔構造であるが故に、電極活物質を担持する際にアンカー効果により密着力の高い薄膜を形成することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1に本発明における非水系二次電池用電極板に用いられる集電体を部分拡大した模式図を示したが、凹部4aを形成した上ローラ5aと凹部4bを形成した下ローラ5bによりアルミニウム箔または銅箔からなる三次元多孔構造を有する集電体1を圧縮加工することで、集電体1の両面に凸部2a,2bを形成することができる。ここで、上ローラ5aと下ローラ5bにより三次元多孔構造を有する集電体1に圧力を加えると、凸部平面Aおよび凸部平面Dは圧縮加工が施されない状態のまま、凹部4a,4bの側壁に沿って塑性変形が進むことで、集電体1の表面に気孔率が減少した箇所6a,6bおよび裏面に気孔率が減少した箇所6c,6dが形成される。
これにより、図2(a)に圧縮加工後の三次元多孔構造を有する集電体1の断面図を示したが、集電体1に圧縮加工を施すことで、凸部2aの先端表面である凸部平面Aおよび凸部2bの先端表面である凸部平面Dは圧縮加工が施されず圧縮加工前の気孔率を維持した状態のまま、ベース平面Bとベース平面Cに圧縮加工が施されることで、表面部の気孔率が減少したベース平面3a,3bの上に側面部の気孔率が減少した凸部2a,2bを形成した構成としている。ここで、図2(a)中にEで示した凸部2a,2bの先端表面は、その部分拡大した断面図を図2(b)に示したように、三次元的に結合した金属粒子16の隙間に気孔17が点在した構造となっている。以下、上述のようにして集電体1の上に形成された三次元多孔構造を有する凸部2a,2bを未圧縮加工による凸部2a,2bと定義する。
次に、三次元多孔構造を有する集電体1の上に凸部2a,2bが形成される過程について、さらに詳しく説明する。図3(a)〜(c)は集電体の片面のみに凸部2aを形成する際の状態を示した模式図である。図3(a)に示したようにアルミニウム箔または銅箔からなる三次元多孔構造を有する集電体1を表面に凹部4aを形成した上ローラ5aとフラットな面を有する下ローラ5cの隙間を加圧しながら通過させることで凸部2aを形成することができる。ここで、三次元多孔構造を有する集電体1に凸部2aを形成する際の加工性を向上すると共に、凸部2aを加工した後の凸部2aの離型性を向上させるために、上ローラ5aに形成した凹部4aは上ローラ5aの表面から凹部4aの深さ方向に凹部4aの幅が狭くなるようにテーパを設けた構造としている。
次いで、図3(b)に示したように上ローラ5aと下ローラ5cにより三次元多孔構造を有する集電体1に圧力が加わると図中の矢印で示したように凹部4aに向けて集電体1の塑性変形が起こり始め、集電体1の表面に気孔率が減少した箇所6a,6bおよび裏面に気孔率が減少した箇所6eが形成され始める。
そして、図3(c)に示したように集電体1の塑性変形がさらに進むことで、凸部2aの先端表面である凸部平面Aは圧縮加工が施されず圧縮加工前の気孔率を維持した状態のまま、ベース平面Bとベース平面Cに圧縮加工が施されることで、集電体1の表面にはベース平面Bの表面部および凸部2aの側面部に気孔率が減少した箇所6a,6bが形成され、集電体1の裏面にはベース平面Cの表面部に気孔率が減少した箇所6eが形成されることになる。
また、図4(a)〜(c)は集電体の両面に凸部2a,2bを形成する際の状態を示した模式図である。図4(a)に示したようにアルミニウム箔または銅箔からなる三次元多孔構造を有する集電体1を表面に凹部4aを形成した上ローラ5aと表面に凹部4bを形成した下ローラ5bの隙間を加圧しながら通過させることで凸部2a,2bを形成することができる。ここで、三次元多孔構造を有する集電体1に凸部2a,2bを形成する際の加工性を向上すると共に、凸部2a,2bを加工した後の凸部2a,2bの離型性を向上させるために、上ローラ5aに形成した凹部4aおよび下ローラ5bに形成した凹部4bは上ローラ5aおよび下ローラ5bの表面から凹部4a,4bの深さ方向に凹部4a,4bの幅が狭くなるようにテーパを設けた構造としている。
次いで、図4(b)に示したように上ローラ5aと下ローラ5bにより三次元多孔構造を有する集電体1に圧力が加わると図中の矢印で示したように凹部4a,4bに向けて集電体1の塑性変形が起こり始め、集電体1の表面に気孔率が減少した箇所6a,6bおよび裏面に気孔率が減少した部分6c,6dが形成され始める。
そして、図4(c)に示したように集電体1の塑性変形がさらに進むことで、凸部2a,2bの先端表面である凸部平面Aおよび凸部平面Dは圧縮加工が施されず圧縮加工前の気孔率を維持した状態のまま、ベース平面Bとベース平面Cに圧縮加工が施されることで、集電体1の表面にはベース平面Bの表面部および凸部2aの側面部に気孔率が減少した箇所6a,6bが形成され、集電体1の裏面にはベース平面Cの表面部および凸部2bの側面部に気孔率が減少した箇所6c,6dが形成されることになる。
次いで、非水系二次電池用電極板の集電体に凸部を形成するために用いられる加工用ローラとしては、図5(a)に示したように金属からなる加工用のローラ5の表面7にCrO,WC,TiN等のセラミックをコーティングした後、このローラ5の表面7にレーザー加工等によりローラ5の表面7の拡大図を図5(b)に示したように凹部8を形成した。
ここで、ローラ5の表面7における幅方向に凹部8の行単位9として各凹部8を等間隔となる凹部8のピッチP1で一列に配列し、その凹部8の行単位9をローラ5の円周方向に並べた各凹部8の配置がずれるように、ローラ5の円周方向に等間隔となる凹部8のピッチP2で順次配列させたものである。
なお、本発明の実施の形態においては、上述の凹部8の行単位9が凹部8のピッチP1の二分の一の間隔でずれた実施の形態を開示しているが、これに限定されるものではなく、凹部8の行単位9をずらす間隔は任意に設定することが可能である。
また、図5(b)においては凹部8の形状として、略円形の場合を示したが、これに限定されるものではなく略楕円形、略長方形、略菱形、略正方形、略正六角形等の形状を有する凹部8を形成することも同様に可能である。
さらに、非水系二次電池用電極板の集電体の表面に凸部を形成する方法としては、図6に示したように上述の凹部8を施した一対のローラである上ローラ5aと下ローラ5b,
5cの隙間に集電体1を加圧しながら通過させることで、集電体1上に上述した任意の形状の凸部2aを形成することが可能である。なお、集電体1の表面に凸部2aを形成する方法としては、上述の方法に限定されるものではなく、例えばローラの代わりに金型等を用いて集電体1を上型と下型に挟んで圧縮加工することも同様に可能である。
以上のようにして得られた集電体を用いた本発明の非水系二次電池用電極板について、さらに詳しく説明する。まず、正極板については特に限定されないが、正極集電体として厚みが5μm〜30μmを有するアルミニウムやアルミニウム合金またはニッケルやニッケル合金製の多孔質金属箔を用いることができ、この多孔質金属箔は金属粉末および/または金属繊維を原材料とし、これらを焼結などの方法で多孔質体としたものを用いることができる。また、正極活物質、導電材、結着材とを分散媒中にプラネタリーミキサー等の分散機により混合分散させて正極合剤塗料が作製される。
正極活物質としては、例えばコバルト酸リチウムおよびその変性体(コバルト酸リチウムにアルミニウムやマグネシウムを固溶させたものなど)、ニッケル酸リチウムおよびその変性体(一部ニッケルをコバルト置換させたものなど)、マンガン酸リチウムおよびその変性体などの複合酸化物を挙げることができる。
このときの導電材としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、各種グラファイトを単独あるいは組み合わせて用いても良い。
このときの正極用結着材としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンの変性体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリレート単位を有するゴム粒子結着剤等を用いることができ、この際に反応性官能基を導入したアクリレートモノマー、またはアクリレートオリゴマーを結着剤中に混入させることも可能である。
次いで、ダイコーターを用い上記のように作製した正極合剤塗料をアルミニウム箔上に塗布し、さらに乾燥後プレスにて所定厚みまで圧縮することで正極板が得られる。
一方、負極板についても特に限定されないが、負極集電体として厚みが5μm〜25μmを有する銅または銅合金製の多孔質金属箔を用いることができ、この多孔質金属箔は金属粉末および/または金属繊維を原材料とし、これらを焼結などの方法で多孔質体としたものを用いることができる。また、負極活物質、結着材、必要に応じて導電材、増粘剤とを分散媒中にプラネタリーミキサー等の分散機により混合分散させて負極合剤塗料が作製される。
負極用活物質としては、各種天然黒鉛および人造黒鉛、シリサイドなどのシリコン系複合材料および各種合金組成材料を用いることができる。
このときの負極用結着材としてはPVDFおよびその変性体をはじめ各種バインダーを用いることができるが、リチウムイオン受入れ性向上の観点から、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム粒子(SBR)およびその変性体等を用いることもできる。
増粘剤としては、ポリエチレンオキシド(PEO)やポリビニルアルコール(PVA)などの水溶液として粘性を有する材料であれば特に限定されないが、カルボキシメチルセルロース(CMC)をはじめとするセルロース系樹脂およびその変性体が、合剤塗料の分散性,増粘性の観点から好ましい。
次いでダイコーターを用い上記のように作製した負極合剤塗料を銅箔上に塗布し、さらに乾燥後プレスにて所定厚みまで圧縮することで負極板が得られる。
セパレータについては、非水系二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムを、単一あるいは複合して用いるのが一般的でありまた態様として好ましい。このセパレータの厚みは特に限定されないが、10〜25μmとすれば良い。
さらに、電解液については、電解質塩としてLiPF6およびLIBF4などの各種リチウム化合物を用いることができる。また溶媒としてエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)を単独および組み合わせて用いることができる。また、正極板または負極板上に良好な皮膜を形成させる、あるいは過充電時の安定性を保証するために、ビニレンカーボネート(VC)やシクロヘキシルベンゼン(CHB)およびその変性体を用いることが好ましい。
また、本発明の非水系二次電池用電極板において、未圧縮加工による凸部を形成した金属箔からなる集電体の上に少なくとも正極活物質合剤層または負極活物質合剤層を担持させる手段としては、集電体の特定部位へこれらの電極活物質合剤層の選択的担持が可能である真空プロセスを用いるのが好ましく、またこの際に電極活物質合剤層は主として凸部における未圧縮加工の平面上に柱状に形成するのがより好ましい。
これは、上記凸部の上面が未圧縮加工の状態であるが故に加工歪などの影響を受けることなく、初期の平面精度を維持することが可能であり、凸部の上面に精度良く電極活物質合剤層の薄膜を形成することができ、しかも柱状に電極活物質合剤層の薄膜を形成することでリチウムを吸蔵した際における電極活物質合剤層の薄膜の体積膨張を緩和する効果も期待できるからである。
ここで、集電体の凸部の平面に電極活物質合剤層の薄膜を形成する手段としては、真空プロセスであれば特に限定はされないが、蒸着法,スッパッタリング法,CVD法などのドライプロセスを用いることができる。このときの電極活物質合剤層としては、例えば負極用活物質としてSi,Sn,Ge,Alやこれらの合金,SiOxやSnOx等の酸化物,SiSxやSnS等を用いることができ非晶質または低結晶性であることが好ましい。
次に、集電体の凸部平面に形成する電極活物質合剤層の薄膜の厚みとしては、作製する非水系二次電池の要求特性によっても異なるが、概ね5〜30μmの範囲が好ましく、さらに10〜25μmの範囲であることがより好ましい。
さらに、本発明の非水系二次電池としては、例えば図9に示したように複合リチウム酸化物を電極活物質合剤層とする正極板24とリチウムを保持しうる材料を電極活物質合剤層とする負極板26とをセパレータ28を介して渦巻状に巻回した電極群23を作製した。
この電極群23を有底円筒形の電池ケース20の内部に絶縁板29と共に収容し、電極群23の下部より導出した負極リード27を電池ケース20の底部に接続し、次いで電極群23の上部より導出した正極リード25を封口板21に接続し、電池ケース20に所定量の非水溶媒からなる電解液(図示せず)を注液した後、電池ケース20の開口部に封口ガスケット22を周縁に取り付けた封口板21を挿入し電池ケース20の開口部を内方向に折り曲げてかしめ封口して構成することができる。以下、具体的な実施例についてさらに詳しく説明する。
本発明の非水系二次電池用電極板における実施例1として、正極板について以下に説明
する。まず二次電池用正極板の集電体として厚みが30μmで気孔率48%のニッケル箔を用い、このニッケル箔を表面上に深さ10μmの凹部加工を施した一対のセラミックローラの隙間を加圧しながら通過させ、セラミックローラに施した凹部に対応した形状を有する高さ7μmの凸部をニッケル箔の表面に形成して、両面に高さ7μmの凸部を有する総厚29μmの集電体を作製した。
ここで、実施例1においては図6に示したように、あらかじめ特定パターンの凹部加工を施した上ローラ5aと下ローラ5bの隙間に集電体1を加圧しながら通過させることで図7(a)に示した略円形の同一形状を有する凸部11aを集電体1の幅方向X1に凸部11aの行単位10として等間隔となる凸部11aのピッチP3で一列に配列し、その凸部11aの行単位10を集電体1の長手方向Y1に並べた各凸部11aの配置が二分の一の間隔でずれるように集電体1の長手方向Y1に等間隔となる凸部11aのピッチP4で順次配列させた集電体1を製造した。
このような凸部11aの配列で形成されたニッケル箔からなる集電体1は、略円形を最密充填した形状で配列させているため、帯状の集電体を加工する際に集電体1の長手方向Y1に加わる引張応力に対して十分な耐久性を有しており、集電体1を製造する際に集電体1に局部的な変形や撓みが生じるのを防止することができた。
以上のようにして、得られた正極用集電体としてのニッケル箔の表面をSEM観察した結果、図7(b)に示した集電体1の凸部11a,11bの凸部平面A,Dの気孔の大きさは、圧縮加工前の集電体1であるニッケル箔の表面に存在する気孔とほぼ同等であった。
一方で、集電体1のベース平面12a,12bの表面部および凸部11a,11bの側面部に存在する気孔の大きさは、圧縮加工前の集電体1であるニッケル箔の表面に存在する気孔よりも小さくなっていた。さらに、加工後におけるにニッケル箔の引張強度を測定した結果、ベース平面12aおよび12bが薄くなっているにも関わらず引張強度の低下は認められず、上述の圧縮加工による気孔率の減少により引張強度が向上したものと推測される。
以上の解析結果より、図7(b)に示したように、気孔率が48%で三次元多孔構造を有する集電体1に上記の圧縮加工を施したことで、表面の凸部11aと裏面の凸部11bの先端表面である凸部平面A,Dは未圧縮加工の状態で維持されたまま、ベース平面BとCに圧縮加工が施されることで、ベース平面12a,12bの上に圧縮加工前の気孔率を維持した三次元多孔構造である凸部平面A,Dを有する凸部11a,11bを形成した集電体1を得ることができたものと考えられる。
次いで、正極活物質として、コバルトの一部をニッケルおよびマンガンで置換したコバルト酸リチウムを100重量部、導電剤としてアセチレンブラックを活物質100重量部に対して2重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを活物質100重量部に対して2重量部とを適量のN−メチル−2−ピロリドンと共に双腕式練合機にて攪拌し混練することで、正極合剤塗料を作製した。
さらに、この正極合剤塗料を上記の総厚みが29μmであるアルミニウム箔の正極集電体の両面に塗布乾燥した後に総厚が126μmとなるようにプレスし正極活物質合剤層の片面の厚みが58μmとなるように、アルミニウム箔の正極集電体上に正極活物質合剤層を形成した後、規定されている幅にスリッタ加工し正極板を作製した。
この正極板は、図7(a)に示したように略円形の凸部11aを最密充填した形状で配
列させて、帯状の集電体を加工する際に集電体1の長手方向Y1に加わる引張応力に対して十分な耐久性を有しているため、集電体1上に正極活物質合剤層を塗布乾燥した後にプレスし正極板を製造する工程、あるいは正極板を所定の幅にスリットする工程において集電体1に局部的な変形や撓みが生じるのを防止すると同時に正極活物質合剤層の脱落を抑止することができた。
本発明の非水系二次電池用電極板における実施例2として、負極板について以下に説明する。まず、二次電池用負極板の集電体として厚みが25μmで気孔率38%の銅箔を用い、この銅箔を表面上に深さ10μmの凹部加工を施した一対のセラミックローラの間を加圧しながら通過させ、セラミックローラに施した凹部に対応した形状を有する高さ6μmの凸部を銅箔の表面に形成して、両面に高さ6μmの凸部を有する総厚27μmの集電体を作製した。
ここで実施例2においては図6に示したように、あらかじめ特定パターンの凹部加工を施した上ローラ5aと下ローラ5bの隙間に集電体1を通過させることで図8(a)に示した略菱形の同一形状を有する凸部14aを集電体1の幅方向X2に凸部14aの行単位13として等間隔となる凸部14aのピッチP5で一列に配列し、その凸部14aの行単位13を集電体1の長手方向Y2に並べた各凸部14aの配置が二分の一の間隔でずれるように集電体1の長手方向Y2に等間隔となる凸部14aのピッチP6で順次配列させた。
このような凸部14aの配列で形成された集電体1としての銅箔は、略菱形を最密充填した形状で配列させているため、帯状の集電体を加工する際に集電体1の長手方向Y2に加わる引張応力に対して十分な耐久性を有しており、集電体1を製造する際に集電体1に局部的な変形や撓みが生じるのを防止することができた。
以上のようにして得られた負極用集電体としての銅箔の表面をSEM観察した結果、図8(b)に示した集電体1の凸部14a,14bの凸部平面A,Dの気孔の大きさは、圧縮加工前の集電体1である銅箔の表面に存在する気孔とほぼ同等であった。
一方で、集電体1のベース平面15a,15bの表面部および凸部14a,14bの側面部に存在する気孔の大きさは、圧縮加工前の集電体1である銅箔の表面に存在する気孔よりも小さくなっていた。さらに、加工後におけるに銅箔の引張強度を測定した結果、ベース平面15aおよび15bが薄くなっているにも関わらず引張強度の低下は認められず、上述の圧縮加工による気孔率の減少により引張強度が向上したものと推測される。
以上の解析結果より、図8(b)に示したように、気孔率が38%で三次元多孔構造を有する集電体1に上記の圧縮加工を施したことで、表面の凸部14aと裏面の凸部14bの先端表面である凸部平面A,Dは未圧縮加工の状態で維持されたまま、ベース平面BとCに圧縮加工が施されることで、ベース平面15a,15bの上に圧縮加工前の気孔率を維持した三次元多孔構造である凸部平面A,Dを有する凸部14a,14bを形成した集電体1を得ることができたものと考えられる。
次いで、ターゲットとして純度99.9999%の珪素を用い、電子ビーム加熱手段を具備した蒸着装置により、上記8μm高さの凸部14a,14bを形成した銅箔の集電体1の両面に純度99.7%の酸素を導入しながら蒸着を行い、凸部14a,14b上に膜厚17μmのSiO0.5を柱状に形成した後、規定されている幅にスリッタ加工して負極板を作製した。
この負極板は、図8(a)に示したように略菱形の凸部14aを最密充填した形状で配列させているため、集電体1の長手方向Y2に向かって負極活物質を蒸着する際に凸部14aの上に効率良く付着させることができる。
さらに、集電体1の長手方向Y2に加わる引張応力に対して十分な耐久性を有しているため、帯状の集電体1を加工する際に集電体1上に負極活物質を蒸着し負極板を製造する際、あるいは負極板を所定の幅にスリットする際に集電体1に局部的な変形や撓みが生じるのを防止すると同時に負極活物質の脱落を抑止することができた。
本発明の非水系二次電池用電極板を用いた非水系二次電池における実施例3について以下に説明する。まず、負極板の集電体として厚みが27μmで気孔率が47%の銅箔を用い、この銅箔を表面上に深さ12μmの凹部加工を施した一対のセラミックローラの間を加圧しながら通過させ、セラミックローラに施した凹部に対応した形状を有する高さ8μmの凸部を銅箔の表面に形成して、両面に高さ8μmの凸部を有する総厚29μmの銅箔を作製した。
ここで実施例3における集電体としての銅箔は図5に示したように、あらかじめ特定パターンの凹部加工を施した上ローラ5aと下ローラ5bの隙間に集電体1を通過させ、図7(a)に示した略円形の同一形状を有する凸部11aを集電体1の幅方向X1に凸部11aの行単位10として等間隔となる凸部11aのピッチP3で一列に配列し、その凸部11aの行単位10を集電体1の長手方向Y1に並べた各凸部11aの配置が二分の一の間隔でずれるように集電体1の長手方向Y1に等間隔となる凸部11aのピッチP4で順次配列させた。
このような凸部11aの配列で形成された集電体1としての銅箔は、略円形を最密充填した形状で配列させているため、帯状の集電体を加工する際に集電体1の長手方向Y1に加わる引張応力に対して十分な耐久性を有しており、集電体1を製造する際に集電体1に局部的な変形や撓みが生じるのを防止することができた。
以上のようにして、得られた負極用集電体としての銅箔の表面をSEM観察した結果、図7(b)に示した集電体1の凸部11a,11bの凸部平面A,Dの気孔の大きさは、圧縮加工前の集電体1である銅箔の表面に存在する気孔とほぼ同等であった。
一方で、集電体1のベース平面12a,12bの表面部および凸部11a,11bの側面部に存在する気孔の大きさは、圧縮加工前の集電体1である銅箔の表面に存在する気孔よりも小さくなっていた。さらに、加工後におけるに銅箔の引張強度を測定した結果、ベース平面12aおよび12bが薄くなっているにも関わらず引張強度の低下は認められず、上述の圧縮加工による気孔率の減少により引張強度が向上したものと推測される。
以上の解析結果より、図7(b)に示したように、気孔率が47%で三次元多孔構造を有する集電体1に上記の圧縮加工を施したことで、表面の凸部11aと裏面の凸部11bの先端表面である凸部平面A,Dは未圧縮加工の状態で維持されたまま、ベース平面BとCに圧縮加工が施されることで、ベース平面12a,12bの上に圧縮加工前の気孔率を維持した三次元多孔構造である凸部平面A,Dを有する凸部11a,11bを形成した集電体1を得ることができたものと考えられる。
次いでターゲットとして純度99.9999%の珪素を用い、電子ビーム加熱手段を具備した蒸着装置により上記8μm高さの凸部11a,11bを形成した銅箔の集電体1の両面に純度99.7%の酸素を導入しながら蒸着を行い、凸部11a,11b上に膜厚2
2μmのSiO0.5を柱状に形成した後、図9に示した円筒形の非水系二次電池で規定する幅にスリッタ加工し負極板17を作製した。
この負極板は、図7(a)に示したように略円形の凸部11a,11bを最密充填した形状で配列させているため、集電体1の長手方向Y1に向かって負極活物質を蒸着する際に凸部11a,11bの上に効率良く付着させることができる。
さらに、集電体1の長手方向Y1に加わる引張応力に対して十分な耐久性を有しているため、集電体1上に負極活物質を蒸着し負極板を製造する際、あるいは負極板を所定の幅にスリットする際に集電体1に局部的な変形や撓みが生じるのを防止すると同時に負極活物質合剤層の脱落を抑止することができた。
次に、実施例1と同様にして集電体を作製し、これに実施例1と同様に正極活物質として、コバルトの一部をニッケルおよびマンガンで置換したコバルト酸リチウムを100重量部、導電剤としてアセチレンブラックを活物質100重量部に対して2重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを活物質100重量部に対して2重量部とを適量のN−メチル−2−ピロリドンと共に双腕式練合機にて攪拌し混練することで、正極合剤塗料を作製した。
その正極合剤塗料を上記集電体の両面に塗布乾燥した後に総厚みが126μmとなるようにプレスし、正極活物質合剤層の片面の厚みが58μmとなるように正極集電体上に正極活物質合剤層を形成した後、図8に示した円筒形の非水系二次電池で規定する幅にスリッタ加工し正極板15を作製した。
さらに、図9に示したように正極板24と負極板26とをセパレータ28を介して渦巻状に巻回した電極群23を作製した。この電極群23を有底円筒形の電池ケース20の内部に絶縁板29と共に収容し、電極群23の下部より導出した負極リード27を電池ケース20の底部に接続し、次いで電極群23の上部より導出した正極リード25を封口板21に接続し、電池ケース20に所定量の非水溶媒からなる電解液(図示せず)を注液した後、電池ケース20の開口部に封口ガスケット22を周縁に取り付けた封口板21を挿入し電池ケース20の開口部を内方向に折り曲げてかしめ封口することにより非水系二次電池を作製した。
上記非水系二次電池において渦巻状に巻回した電極群23を作製した後に、この電極群23を解体して観察したところ正極板24、負極板26ともに電極板切れや電極活物質合剤層の脱落などの不具合は認められなかった。さらに、この非水系二次電池を300サイクル充放電させたが、サイクル劣化もなく300サイクル後に非水系二次電池および電極群23を解体したところリチウム析出や電極活物質合剤層の脱落などの不具合は認められなかった。
これは、未圧縮加工の凸部の上面に電極活物質合剤層の薄膜を柱状に形成することで、リチウムを吸蔵した際における電極活物質合剤層の薄膜の膨張およびリチウムを放出した際における電極活物質合剤層の薄膜の収縮による体積変化を緩和する効果により良好な電池特性を維持できたものと考えられる。
以上、実施例1〜3で述べてきたように、本発明の非水系二次電池用電極板は集電体の凸部平面は、未圧縮加工の状態であるが故に加工を施したことによる加工歪が残留せず、凸部平面の表面精度が良好であるため均一な薄膜形成が可能であり、また凸部平面が三次元多孔構造であるためアンカー効果により薄膜形成した電極活物質合剤層との密着力を高めることができるものと考えられる。
また、実施例3で述べてきたように本発明の非水系二次電池における電極活物質合剤層は主として凸部における未圧縮加工の平面上に柱状に形成するのが好ましく、非水系二次電池の充放電に伴ったリチウムを吸蔵した際における電極活物質合剤層の膨張およびリチウムを放出した際における電極活物質合剤層の収縮による体積変化を緩和することで、充放電による電極板切れや電極活物質合剤層の脱落などの不具合が発生しない高容量で信頼性の高い非水系二次電池を得ることができる。
本発明に係る非水系二次電池用電極板は、電極板を作製するための集電体の強度を確保すると共に、集電体上に形成した凸部の上に電極活物質を効率良く担持することができ、信頼性の高い非水系二次電池が得られるため、電子機器および通信機器の多機能化に伴って、高容量化が望まれている携帯用電源等として有用である。
本発明における一実施の形態に係わる集電体を部分拡大した模式図 (a)本発明における一実施の形態に係わる集電体を示す断面図、(b)本発明における一実施の形態に係わる集電体の上に形成した凸部の先端表面の断面図 (a)本発明における一実施の形態に係わる集電体の片面に凸部形成する前の状態を示す模式図、(b)同実施の形態に係わる集電体の片面に凸部形成する状態を示す模式図、(c)同実施の形態に係わる集電体の片面に凸部形成した後の状態を示す模式図 (a)本発明における一実施の形態に係わる集電体の両面に凸部形成する前の状態を示す模式図、(b)同実施の形態に係わる集電体の両面に凸部形成する状態を示す模式図、(c)同実施の形態に係わる集電体の両面に凸部形成した後の状態を示す模式図 (a)本発明における一実施の形態に係る加工用ローラを示す斜視図、(b)同加工用ローラの表面に施した凹部を示す拡大図 本発明における一実施の形態に係る集電体への凸部形成の状態を示す斜視図 (a)本発明における一実施の形態に係わる集電体の凸部配列を示す斜視図、(b)同実施の形態に係わる集電体の凸部配列を示す断面図 (a)本発明における別の実施の形態に係わる集電体の凸部配列を示す斜視図、(b)同実施の形態に係わる集電体の凸部配列を示す断面図 本発明の一実施の形態に係わる円筒形二次電池の一部切欠斜視図 従来例における集電体への凹凸加工の状態を示す模式図 (a)従来例における集電体の波板状の凹凸部を有する金属箔の斜視図、(b)従来例における集電体の角錐状の凹凸部を有する金属箔を上から見た斜視図、(c)従来例における集電体の角錐状の凹凸部を有する金属箔を下から見た斜視図、(d)従来例における集電体の角錐状の凹凸部を有する別の金属箔を上から見た斜視図、(e)従来例における集電体の角錐状の凹凸部を有する別の金属箔を下から見た斜視図 (a)従来例における電極活物質合剤を充填した状態を示す集電体の断面図、(b)従来例における電極活物質合剤を充填した別の状態を示す集電体の断面図、(c)従来例における電極活物質合剤を充填したさらに別の状態を示す集電体の断面図
符号の説明
1 集電体
2a,2b,11a,11b,14a,14b 凸部
3a,3b,12a,12b,15a,15b ベース平面
4a,4b,8 凹部
5 ローラ
5a 上ローラ
5b,5c 下ローラ
6a,6b,6c,6d,6e 気孔率が減少した箇所
7 ローラの表面
9 凹部の行単位
10,13 凸部の行単位
16 金属粒子
17 気孔
20 電池ケース
21 封口板
22 ガスケット
23 電極群
24 正極板
25 正極リード
26 負極板
27 負極リード
28 セパレータ
29 絶縁板
A,D 凸部平面
B,C ベース平面
E 凸部の先端表面
P1,P2 凹部のピッチ
P3,P4,P5,P6 凸部のピッチ
X1,X2 集電体の幅方向
Y1,Y2 集電体の長手方向

Claims (8)

  1. 金属箔からなる集電体の上に少なくとも正極活物質または負極活物質を担持した非水系二次電池用電極板であって、前記集電体の少なくとも一方の表面に先端表面が三次元多孔構造を有する凸部を多数形成したことを特徴とする非水系二次電池用電極板。
  2. 前記集電体を三次元に連なった連続気孔を有する多孔質金属体により構成したことを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池用電極板。
  3. 前記多孔質金属体を金属粉末および/または金属繊維を焼結するにより構成したことを特徴とする請求項2に記載の非水系二次電池用電極板。
  4. 前記凸部の先端表面を圧縮加工前の気孔率を有する三次元多孔体としたことを特徴とする請求項1記載の非水系二次電池用電極板。
  5. 前記凸部を加圧手段として少なくとも一方の表面に凹部を形成した一対のプレスロールで圧縮加工して形成したことを特徴とする請求項1記載の非水系二次電池用電極板。
  6. 前記集電体の凸部の側面部にベース面から凸部の先端に向かって幅が狭くなるテーパを設けたことを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池用電極板。
  7. 請求項1〜6のいずれか一つに記載の非水系二次電池用電極板と対極となる電極板とをセパレータを介して巻回または積層して構成した電極群を非水系電解液とともに電池ケースに封入して構成したことを特徴とする非水系二次電池。
  8. 正極活物質または負極活物質を先端表面が三次元多孔構造を有する多数の凸部を形成した集電体の少なくとも凸部上に薄膜形成したものを少なくとも一方の電極板としたことを特徴とする請求項7に記載の非水系二次電池。
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JP2013544424A (ja) * 2010-11-29 2013-12-12 ツェントルム フュア ゾンネンエネルギー ウント ヴァッサーシュトッフ フォルシュング バーデンヴュルテンベルク ゲマインニュッツィゲ シュティフトゥング バッテリー電極、及びバッテリー電極の製造方法

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