JP2008123792A - 電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】サイクル特性および保存特性を向上させることが可能な電池を提供する。
【解決手段】正極21および負極22と共に電解液を備え、正極21と負極22との間に設けられたセパレータ23に電解液が含浸されている。負極22の負極活物質は、X線回折法により測定される(002)面の面間隔が0.37nm以上である難黒鉛化性炭素を含有している。電解液の溶媒は、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどの炭酸ジフルオロエチレンを含有している。負極活物質が黒鉛などの他の炭素材料を含有し、あるいは溶媒が4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどの他のハロゲン化炭酸エチレンを含有する場合と比較して、負極22におけるリチウムの受け入れ性が向上すると共に、電解液の分解反応が抑制される。
【選択図】図1
【解決手段】正極21および負極22と共に電解液を備え、正極21と負極22との間に設けられたセパレータ23に電解液が含浸されている。負極22の負極活物質は、X線回折法により測定される(002)面の面間隔が0.37nm以上である難黒鉛化性炭素を含有している。電解液の溶媒は、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどの炭酸ジフルオロエチレンを含有している。負極活物質が黒鉛などの他の炭素材料を含有し、あるいは溶媒が4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどの他のハロゲン化炭酸エチレンを含有する場合と比較して、負極22におけるリチウムの受け入れ性が向上すると共に、電解液の分解反応が抑制される。
【選択図】図1
Description
本発明は、正極および負極と共に電解液を備えた電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(video tape recorder )、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、ポータブル電子機器の電源として、電池、特に軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
中でも、充放電反応にリチウムの吸蔵および放出を利用する二次電池(いわゆるリチウムイオン二次電池)は、鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。
二次電池の構成に関しては、各種性能の改善を目的として、既にいくつかの技術が提案されている。具体的には、安全性やサイクル特性などを向上させるために、電解液の溶媒として炭酸モノフルオロエチレンあるいは炭酸ジフルオロエチレンなどのハロゲン化炭酸エチレンが用いられている(例えば、特許文献1〜3参照。)。この場合には、負極の負極活物質として、黒鉛、難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化性炭素などの炭素材料が用いられている。また、サイクル特性を向上させるために、電解質塩として環状イミド塩が用いられている(例えば、特許文献4参照。)。
特開平10−189043号公報
特開2004−319317号公報
特開2006−004878号公報
特表平11−512563号公報
最近の電子機器では、高性能化および多機能化が益々進行する傾向にあるため、二次電池の充放電が頻繁に繰り返されることによりサイクル特性が低下しやすい傾向にある。特に、大きな充電電流を要する急速充電用途では、充電時に負極の電流密度が高くなりすぎてリチウムの受け入れ性が追いつかなくなるため、リチウム金属が析出しやすくなる。この負極に析出したリチウム金属は失活しやすいため、サイクル特性を低下させる原因となる。
また、最近の電子機器では、CPU(central processing unit )に代表される電子部品の高性能化などの要因に伴って発熱量が益々増加する傾向にあるため、二次電池が高温雰囲気中に晒されることにより保存特性も低下しやすい傾向にある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性および保存特性を向上させることが可能な電池を提供することにある。
本発明の電池は、正極および負極と共に電解液を備えたものであり、負極がX線回折法により測定される(002)面の面間隔が0.37nm以上である難黒鉛化性炭素を含有し、電解液が炭酸ジフルオロエチレンを含有する溶媒を含むものである。
本発明の電池によれば、負極がX線回折により測定される(002)面の面間隔が0.37nm以上である難黒鉛化性炭素を含有し、電解液が炭酸ジフルオロエチレンを含有する溶媒を含んでいるので、サイクル特性および保存特性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電池の断面構成を表している。この電池は、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分により表されるリチウムイオン二次電池である。図1では、いわゆる円筒型と呼ばれる電池構造を示している。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電池の断面構成を表している。この電池は、例えば、負極の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分により表されるリチウムイオン二次電池である。図1では、いわゆる円筒型と呼ばれる電池構造を示している。
この二次電池は、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、正極21および負極22がセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20と、一対の絶縁板12,13とが収納されたものである。電池缶11は、例えば、ニッケル(Ni)めっきが施された鉄(Fe)により構成されており、その一端部および他端部はそれぞれ閉鎖および開放されている。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、その内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とがガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡あるいは外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転することにより電池蓋14と巻回電極体20との間の電気的接続が切断されるようになっている。熱感抵抗素子16は、温度の上昇に応じて抵抗が増大することにより電流を制限し、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、その表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には、例えば、センターピン24が挿入されている。この巻回電極体20では、アルミニウム(Al)などにより構成された正極リード25が正極21に接続されており、ニッケルなどにより構成された負極リード26が負極22に接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は、電池缶11に溶接されることにより電気的に接続されている。
図2は、図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表している。正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bが設けられていてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。正極活物質層21Bは、正極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでおり、必要に応じて導電剤や結着剤などを含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム酸化物、リチウム硫化物、リチウムを含む層間化合物、あるいはリチウムリン酸化合物などのリチウム含有化合物が挙げられる。中でも、リチウム遷移金属酸化物(リチウムと遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物)が好ましく、具体的には、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、あるいはリチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが好ましい。特に、遷移金属元素としては、コバルト(Co)、ニッケル、マンガン(Mn)、鉄、アルミニウム、バナジウム(V)、およびチタン(Ti)のうちの少なくとも1種を含むものが好ましい。その化学式は、例えば、Lix MIO2 あるいはLiy MIIPO4 で表される。式中、MIおよびMIIは、1種類以上の遷移金属元素を含む。また、xおよびyの値は、電池の充放電状態によって異なるが、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz O2 (z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(Lix Ni(1-v-w) Cov Mnw O2 (v+w<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 O4 )などが挙げられる。リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-u Mnu PO4 (u<1))などが挙げられる。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、他の金属化合物あるいは高分子材料も挙げられる。他の金属化合物としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物、または二硫化鉄、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物が挙げられる。高分子材料としては、例えば、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどが挙げられる。
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bが設けられていてもよい。負極集電体22Aは、例えば、銅(Cu)、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。負極活物質層22Bは、負極活物質として、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料を含んでおり、必要に応じて導電剤や結着剤などを含んでいてもよい。
負極活物質は、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料として、X線回折法により測定される(002)面の面間隔が0.37nm以上である難黒鉛化性炭素を含有している。この難黒鉛化性炭素を含有しているのは、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が得られるからである。また、リチウムの受け入れ性が高く、リチウムの析出が抑制されるため、放電容量の低下も抑制されるからである。これにより、サイクル特性および保存特性が向上する。なお、(002)面の面間隔については、例えば、X線としてCuKα線を用いると共に高純度シリコンを標準物質としたX線回折法(「大谷杉郎,炭素繊維,p.733−742(1986),近代編集」)により測定可能である。この難黒鉛化性炭素としては、例えば、真密度が1.70g/cm3未満であると共に、空気中での示差熱分析(differential thermal analysis;DTA)において700℃以上に発熱ピークを示さないものが好ましい。
なお、負極活物質は、上記した難黒鉛化性炭素と共に、他のリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の1種あるいは2種以上を含んでいてもよい。
導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラックあるいはケッチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。この導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。
この二次電池では、正極活物質と負極活物質(リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料)との間で量を調整することにより、正極活物質による充電容量よりも負極活物質による充電容量の方が大きくなっている。これにより、負極22では、完全充電時においてもリチウム金属が析出しないようになっている。
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜、またはセラミックからなる多孔質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜が積層された構造を有していてもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は、ショート防止効果に優れ、かつ、シャットダウン効果により電池の安全性向上が図られるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下の範囲内でシャットダウン効果が得られると共に、電気化学的安定性にも優れているので好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であれば、ポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたものであったり、ブレンド化したものであってもよい。
このセパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、それに溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒は、炭酸ジフルオロエチレンを含有している。この炭酸ジフルオロエチレンを含有しているのは、負極22に被膜が形成され、その負極22が電解液から保護されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。また、負極22においてリチウムの受け入れ性が向上するため、放電容量の低下が抑制されるからである。これにより、サイクル特性および保存特性が向上する。この場合には、さらに、上記した被膜が薄くて緻密なため、その被膜を形成するために使用されるリチウムの量が少なくて済む。これにより、充放電効率が向上すると共に、負荷特性が向上する。
炭酸ジフルオロエチレンとしては、例えば、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、トランス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいはシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。中でも、トランス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいはシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましい。十分な効果が得られるからである。特に、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとしては、より高い効果を得るために、シス異性体よりもトランス異性体が好ましい。
溶媒中における炭酸ジフルオロエチレンの含有量は、例えば、1重量%以上10重量%以下の範囲内であるのが好ましい。この範囲内において、十分な効果が得られるからである。
この溶媒は、例えば、さらに、炭酸プロピレンを含有しているのが好ましい。炭酸ジフルオロエチレンと併用されることにより、両者の相乗効果によって負極22に良好な被膜が形成されるため、サイクル特性や保存特性がより向上するからである。
なお、溶媒は、上記した炭酸ジフルオロエチレン等と共に、他の溶媒(例えば、有機溶剤などの非水溶媒)を含んでいてもよい。この他の溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸ブチレン、炭酸ビニレン、炭酸ビニルエチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチルあるいはエチレンスルフィトなどが挙げられる。また、他の溶媒としては、例えば、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドトリメチルヘキシルアンモニウムなどの常温溶融塩なども挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。中でも、溶媒は、炭酸エチレン、炭酸ビニレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチルおよびエチレンスルフィトからなる群のうちの少なくとも1種を含んでいるのが好ましい。優れた容量特性、サイクル特性および保存特性が得られるからである。この場合には、特に、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)とを混合して含んでいるのが好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するため、より高い効果が得られるからである。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいる。このリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 H5 )4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )、六フッ化ケイ酸リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)あるいは臭化リチウム(LiBr)などが挙げられる。優れた容量特性、サイクル特性および保存特性が得られるからである。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。中でも、電解質塩は、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ素酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種を含んでいるのが好ましい。より高い効果が得られるからである。この場合には、特に、六フッ化リン酸リチウムを含んでいるのがより好ましい。導電率が高く内部抵抗が低下するため、さらに高い効果が得られるからである。
この電解質塩は、例えば、さらに、化1、化2および化3で表される化合物を含んでいるのが好ましい。より高い効果が得られるからである。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。特に、電解質塩は、上記した六フッ化リン酸リチウムと共に化1〜化3に示した化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいれば、著しく高い効果が得られる。
化1に示した鎖状の化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )2 )、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C2 F5 SO2 )2)、(トリフルオロメタンスルホニル)
(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C2 F5 SO2 ))、(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C3 F7 SO2 ))あるいは(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C4 F9 SO2 ))などが挙げられる。中でも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムが好ましい。十分な効果が得られるからである。
(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C2 F5 SO2 ))、(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C3 F7 SO2 ))あるいは(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C4 F9 SO2 ))などが挙げられる。中でも、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムが好ましい。十分な効果が得られるからである。
化2に示した環状の化合物としては、例えば、化4で表される一連の化合物が挙げられる。すなわち、化4に示した(1)の1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミドリチウム、(2)の1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウム、(3)の1,3−パーフルオロブタンジスルホニルイミドリチウムあるいは(4)の1,4−パーフルオロブタンジスルホニルイミドリチウムなどである。中でも、1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウムが好ましい。十分な効果が得られるからである。
化3に示した鎖状の化合物としては、例えば、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウム(LiC(SO2 CF3 )3 )などが挙げられる。十分な効果が得られるからである。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下の範囲内であるのが好ましい。この範囲外ではイオン伝導性が極端に低下するため、容量特性などが十分に得られないおそれがあるからである。
この二次電池は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、例えば、正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bを形成することにより、正極21を作製する。この正極活物質層21Bを形成する際には、正極活物質の粉末と、導電剤と、結着剤とを混合した正極合剤を溶剤に分散させることによりペースト状の正極合剤スラリーとし、その正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布して乾燥させたのちに圧縮成型する。また、例えば、正極21と同様の手順にしたがって負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを形成することにより、負極22を作製する。
続いて、正極集電体21Aに正極リード25を溶接して取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接して取り付ける。続いて、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回させることにより巻回電極体20を形成し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に負極リード26の先端部を電池缶11に溶接したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12,13で挟みながら電池缶11の内部に収納する。続いて、電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させる。最後に、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1および図2に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極21に吸蔵される。
この二次電池によれば、負極22の負極活物質がX線回折法により測定される(002)面の面間隔が0.37nm以上である難黒鉛化性炭素を含有しているので、黒鉛などの他の炭素材料を含有している場合と比較して、リチウムの受け入れ性が向上する。また、電解液の溶媒が炭酸ジフルオロエチレンを含有しているので、炭酸モノフルオロエチレンなどの他のハロゲン化炭酸エチレンを含有している場合と比較して、リチウムの受け入れ性が向上すると共に、電解液の分解反応が抑制される。したがって、サイクル特性および保存特性を向上させることができる。この場合には、溶媒中における炭酸ジフルオロエチレンの含有量が1重量%以上10重量%以下の範囲内であれば、十分な効果を得ることができる。
この二次電池では、特に、上記した作用により、大きな充電電流を要する急速充電用途に用いられ、すなわち負極22の電流密度が高くなった場合においても、リチウムの受け入れ性が十分に得られる。したがって、急速充電用途においてもサイクル特性および保存特性を確保することができる。
この他、上記した二次電池では、溶媒が炭酸プロピレンを含有していれば、より高い効果を得ることができる。また、電解質塩が化1〜化3に示した化合物を含有していれば、より高い効果を得ることができる。
[第2の実施の形態]
図3は、第2の実施の形態に係る電池の分解斜視構成を表している。この電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収納したものであり、この電池構造は、いわゆるラミネートフィルム型と呼ばれている。
図3は、第2の実施の形態に係る電池の分解斜視構成を表している。この電池は、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30をフィルム状の外装部材40の内部に収納したものであり、この電池構造は、いわゆるラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、それぞれ外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの金属材料により構成されており、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料により構成されている。これらは、例えば、薄板状または網目状の構造を有している。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。この外装部材40では、例えば、ポリエチレンフィルムが巻回電極体30と対向していると共に、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40は、上記した3層構造のアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルムにより構成されていてもよいし、またはポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成されていてもよい。
図4は、図3に示した巻回電極体30のIV−IV線に沿った断面構成を表している。この電極巻回体30は、正極33および負極34がセパレータ35および電解質36を介して積層されたのちに巻回されたものであり、その最外周部は保護テープ37により保護されている。
正極33は、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。負極34は、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものであり、その負極活物質層34Bが正極活物質層33Bと対向するように配置されている。正極集電体33A、正極活物質層33B、負極集電体34A、負極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上記した第1の実施の形態の電池における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23の構成と同様である。
電解質36は、電解液と、それを保持する高分子化合物とを含んでおり、いわゆるゲル状になっている。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば室温で1mS/cm以上)が得られると共に漏液が防止されるので好ましい。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンあるいはポリカーボネートなどが挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。特に、電気化学的安定性の点から、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドなどが好ましい。電解液中における高分子化合物の含有量は、両者の相溶性によっても異なるが、例えば、5質量%以上50質量%以下の範囲内であることが好ましい。
電解液の組成は、例えば、第1の実施の形態の電池における電解液と同様である。ただし、この場合の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。したがって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、電解質36としては、電解液を高分子化合物に保持させたものに代えて、電解液がそのまま用いられてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
この二次電池は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、電解液と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を調製し、正極33および負極34のそれぞれに塗布したのちに混合溶剤を揮発させることにより、電解質36を形成する。続いて、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。続いて、電解質36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層させたのち、長手方向に巻回させると共に最外周部に保護テープ37を接着させることにより、巻回電極体30を形成する。続いて、外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込み、その外装部材40の外縁部同士を熱融着などで密着させることにより、巻回電極体30を封入する。その際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
なお、この二次電池は、以下のようにして製造されてもよい。まず、正極33および負極34にそれぞれ正極リード31および負極リード32を取り付けたのち、正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層および巻回させると共に最外周部に保護テープ37を接着させることにより、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成する。続いて、外装部材40の間に巻回体を挟み込み、一辺の外周縁部を除く残りの外周縁部を熱融着などで密着させることにより、袋状の外装部材40の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製し、袋状の外装部材40の内部に注入したのち、外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とすることにより、ゲル状の電解質36を形成する。これにより、図3および図4に示した二次電池が完成する。
この二次電池の作用および効果は、上記した第1の実施の形態において説明した二次電池と同様である。
本発明の実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1〜1−3)
図3および図4に示したラミネートフィルム型の二次電池を作製した。この際、負極34の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分により表されるリチウムイオン二次電池となるようにした。
図3および図4に示したラミネートフィルム型の二次電池を作製した。この際、負極34の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分により表されるリチウムイオン二次電池となるようにした。
まず、正極33を作製した。すなわち、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを0.5:1のモル比で混合したのち、空気中において900℃で5時間焼成することにより、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。続いて、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物91質量部と、導電剤としてグラファイト6質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとした。最後に、厚さ12μmの帯状のアルミニウム箔からなる正極集電体33Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型することにより、正極活物質層33Bを形成した。こののち、正極集電体33Aの一端に、アルミニウム製の正極リード31を溶接して取り付けた。
次に、負極34を作製した。すなわち、出発原料としての石油ピッチに、酸素を含む官能基を10%〜20%導入(いわゆる酸素架橋)したのち、不活性ガス気流中において1000℃で焼成することにより、難黒鉛化性炭素を得た。この難黒鉛化性炭素は、ガラス状炭素に近い性質を示し、その物性は、X線回折法により測定されるC軸方向の格子面間隔d002 が0.376nm、真密度が1.58g/cm3 であった。続いて、負極活物質として平均粒径10μmの難黒鉛化性炭素粉末90質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、負極合剤スラリーとした。最後に、厚さ15μmの帯状の銅箔からなる負極集電体34Aの両面に負極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型することにより、負極活物質層34Bを形成した。こののち、負極集電体34Aの一端に、ニッケル製の負極リード32を取り付けた。
次に、正極33と、厚さ25μmの微多孔性ポリエチレン延伸フィルムからなるセパレータ35と、負極34とをこの順に積層し、長手方向に渦巻状に多数回巻回させたのち、粘着テープからなる保護テープ37で巻き終わり部分を固定することにより、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成した。続いて、外側から、厚さ30μmのナイロンと、厚さ40μmのアルミニウム箔と、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンとが積層された3層構成(総厚100μm)のラミネートフィルムからなる外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺を除く外縁部同士を熱融着することにより、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納した。続いて、外装部材40の開口部を通じて電解液を注入し、その電解液を電解質36としてセパレータ35に含浸させることにより、巻回電極体30を形成した。
電解液としては、溶媒として、炭酸エチレン(EC)と、炭酸ジエチル(DEC)と、炭酸ジフルオロエチレン(DFEC)とを混合した混合溶媒を用い、電解質塩として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )を用いた。その際、DFECとして4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用い、溶媒の組成(EC:DEC:DFEC)を重量比で29:70:1(実施例1−1)、27.5:67.5:5(実施例1−2)、25:65:10(実施例1−3)とした。また、電解液中におけるLiPF6 の濃度を1.0mol/dm3 とした。
最後に、真空雰囲気中において外装部材40の開口部を熱融着して封止することにより、ラミネートフィルム型の二次電池が完成した。
(実施例1−4〜1−6)
電解質塩として、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI:実施例1−4)、化4(2)に示した1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウム(実施例1−5)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウム(LiTFSM:実施例1−6)を加えたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。その際、電解液中におけるLiPF6 の濃度を0.9mol/dm3としたと共に、加えた一連の電解質塩の濃度を0.1mol/dm3 とした。
電解質塩として、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI:実施例1−4)、化4(2)に示した1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウム(実施例1−5)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドリチウム(LiTFSM:実施例1−6)を加えたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。その際、電解液中におけるLiPF6 の濃度を0.9mol/dm3としたと共に、加えた一連の電解質塩の濃度を0.1mol/dm3 とした。
(実施例1−7)
溶媒として炭酸プロピレン(PC)を加えたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。その際、溶媒の組成(EC:DEC:DFEC:PC)を重量比で19:70:1:10とした。
溶媒として炭酸プロピレン(PC)を加えたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。その際、溶媒の組成(EC:DEC:DFEC:PC)を重量比で19:70:1:10とした。
(比較例1−1)
負極活物質として人造黒鉛を用いて負極22を作製したと共に、溶媒としてECとDECとを混合した混合溶媒を用いたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。その際、負極活物質として平均粒径20μmの人造黒鉛粉末90質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤とすることにより、負極22を作製した。また、溶媒の組成(EC:DEC)を重量比で30:70とした。
負極活物質として人造黒鉛を用いて負極22を作製したと共に、溶媒としてECとDECとを混合した混合溶媒を用いたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。その際、負極活物質として平均粒径20μmの人造黒鉛粉末90質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合して負極合剤とすることにより、負極22を作製した。また、溶媒の組成(EC:DEC)を重量比で30:70とした。
(比較例1−2)
比較例1−1と同様に負極活物質として人造黒鉛を用いて負極22を作製したことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。
比較例1−1と同様に負極活物質として人造黒鉛を用いて負極22を作製したことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。
(比較例1−3)
溶媒としてECとDECとを混合した混合溶媒を用いたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。その際、溶媒の組成(EC:DEC)を重量比で30:70とした。
溶媒としてECとDECとを混合した混合溶媒を用いたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。その際、溶媒の組成(EC:DEC)を重量比で30:70とした。
(比較例1−4〜1−6)
溶媒としてDFECに代えて炭酸フルオロエチレン(FEC:比較例1−4)、炭酸クロロエチレン(ClEC:比較例1−5)、炭酸ジクロロエチレン(DClEC:比較例1−6)を用いたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。
溶媒としてDFECに代えて炭酸フルオロエチレン(FEC:比較例1−4)、炭酸クロロエチレン(ClEC:比較例1−5)、炭酸ジクロロエチレン(DClEC:比較例1−6)を用いたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。
(比較例1−7)
溶媒にDFECを含有させなかったことを除き、実施例1−7と同様の手順を経た。その際、溶媒の組成(EC:DEC:PC)を重量比で20:70:10とした。
溶媒にDFECを含有させなかったことを除き、実施例1−7と同様の手順を経た。その際、溶媒の組成(EC:DEC:PC)を重量比で20:70:10とした。
これらの実施例1−1〜1−7および比較例1−1〜1−7の二次電池についてサイクル特性および保存特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
サイクル特性を調べる際には、以下の手順によって二次電池を繰り返し充放電させることにより、放電容量維持率を求めた。まず、23℃の雰囲気中において2サイクル充放電させることにより、2サイクル目の放電容量を測定した。続いて、60℃の恒温槽中においてサイクル数の合計が52サイクルとなるまで充放電させることにより、52サイクル目の放電容量を測定した。最後に、放電容量維持率(%)=(52サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。1サイクルの充電条件としては、1Cの定電流で電池電圧が4.2Vに達するまで充電したのち、引き続き4.2Vの定電圧で総充電時間が2時間になるまで充電した。また、1サイクルの放電条件としては、0.5Cの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで放電した。この「C」とは、電流条件を表す値であり、「1C」は理論容量を1時間で放電しきる電流値、「0.5C」は理論容量を2時間で放電しきる電流値である。
保存特性を調べる際には、以下の手順によって二次電池を保存することにより、放電容量維持率を求めた。まず、23℃の雰囲気中において2サイクル充放電させることにより、2サイクル目の放電容量(保存前の放電容量)を測定した。続いて、再度充電した状態において80℃の恒温槽中に10日間保存したのち、23℃の雰囲気中において放電させることにより、3サイクル目の放電容量(保存後の放電容量)を測定した。最後に、放電容量維持率(%)=(保存後の放電容量/保存前の放電容量)×100を算出した。1サイクルの充放電条件は、サイクル特性を調べた場合と同様にした。
表1に示したように、負極活物質が難黒鉛化性炭素を含有すると共に電解液の溶媒がDFECを含有する実施例1−1〜1−3では、負極活物質が人造黒鉛を含有すると共に溶媒がDFECを含有しない比較例1−1と比較して、サイクル特性および保存特性の放電容量維持率がいずれも高くなった。この場合には、比較例1−2の結果から明らかなように、負極活物質が人造黒鉛を含有する場合において溶媒がDFECを含有したとしても、放電容量維持率は実施例1−1〜1−3に及ばなかった。この結果は、負極活物質として人造黒鉛を用いた場合はもちろんのこと、その場合において溶媒にDFECを含有させたとしても、リチウムの受け入れ性が十分に得られないことを表している。
また、実施例1−1〜1−3では、負極活物質が難黒鉛化性炭素を含有すると共に溶媒がDFECを含有しない比較例1−3と比較して、サイクル特性および保存特性の放電容量維持率がいずれも高くなった。この結果は、負極活物質として難黒鉛化性炭素を用いた場合には、それだけではリチウムの受け入れ性が未だ十分でなく、しかも電解液の分解反応が十分に抑制されないことを表している。この場合には、比較例1−4〜1−6の結果から明らかなように、負極活物質が難黒鉛化性炭素を含有する場合において溶媒がFEC、ClECあるいはDClECを含有したとしても、放電容量維持率は実施例1−1〜1−3に及ばなかった。この結果は、電解液にハロゲン化炭酸エチレンを含有させることにより電解液の分解反応を十分に抑制するためには、FECおよびClECなどのモノハロゲン化炭酸エチレンやDClECなどのジハロゲン化炭酸エチレンよりもDFECが有利であることを表している。
特に、実施例1−1〜1−3について上記した結果が得られた場合におけるDFECの含有量の下限および上限は、それぞれ1重量%および10重量%であった。
これらのことから、二次電池では、負極が難黒鉛化性炭素を含有すると共に電解液の溶媒が炭酸ジフルオロエチレンを含有することにより、サイクル特性および保存特性が向上することが確認された。この場合には、溶媒中における炭酸ジフルオロエチレンの含有量が1重量%以上10重量%以下の範囲内であればよいことも確認された。
また、電解質塩がLiPF6 と共にLiTFSI、1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウム(化4(2))あるいはLiTFSMを含有する実施例1−4〜1−6では、電解質塩がLiPF6 のみを含有する実施例1−1と比較して、サイクル特性および保存特性の放電容量維持率がいずれも高くなった。このことから、負極が難黒鉛化性炭素を含有すると共に溶媒がDFECを含有する二次電池では、電解質塩が化1〜化3に示した化合物を含有することにより、サイクル特性および保存特性がより向上することが確認された。
さらに、電解液の溶媒がPCを含有する実施例1−7では、PCを含有しない実施例1−1と比較して、保存特性の放電容量維持率は同等であったが、サイクル特性の放電容量維持率が高くなった。もちろん、溶媒がDFECおよびPCを含有する実施例1−7では、溶媒がPCを含有するもののDFECを含有しない比較例1−7と比較して、サイクル特性および保存特性の放電容量維持率がいずれも高くなった。このことから、上記した二次電池では、溶媒がPCを含有することにより、サイクル特性がより向上することが確認された。
(実施例2−1〜2−7、比較例2−1〜2−7)
急速充電条件においてサイクル特性および保存特性を調べるために、実施例1−1〜1−7および比較例1−1〜1−7と同様の手順を経た。
急速充電条件においてサイクル特性および保存特性を調べるために、実施例1−1〜1−7および比較例1−1〜1−7と同様の手順を経た。
これらの実施例2−1〜2−7および比較例2−1〜2−7の二次電池について、充電電流を3Cに変更したことを除き、実施例1−1〜1−7および比較例1−1〜1−7の場合と同様にサイクル特性および保存特性を調べたところ、表2に示した結果が得られた。この「3C」とは、理論容量を20分間で放電しきる電流値である。
表2に示したように、急速充電条件においてサイクル特性および保存特性を調べた場合においても、表1とほぼ同様の結果が得られた。
すなわち、負極活物質の種類(難黒鉛化性炭素の含有の有無)および溶媒の組成(DFECの含有の有無)に関して、実施例2−1〜2−3では、溶媒中におけるDFECの含有量の下限および上限がそれぞれ1重量%および10重量%である場合において、比較例2−1〜2−6と比較して、サイクル特性および保存特性の放電容量維持率がいずれも高くなった。このことから、二次電池では、負極が難黒鉛化性炭素を含有すると共に電解液の溶媒が炭酸ジフルオロエチレンを含有することによりサイクル特性および保存特性が向上すると共に、この場合には溶媒中における炭酸ジフルオロエチレンの含有量が1重量%以上10重量%以下の範囲内であればよいことが確認された。
また、電解質塩の種類(化1〜化3に示した化合物の有無)に関して、実施例2−4〜2−6では、実施例2−1と比較して、サイクル特性の放電容量維持率はほぼ同等であったが、保存特性の放電容量維持率が高くなった。このことから、負極が難黒鉛化性炭素を含有すると共に溶媒がDFECを含有する二次電池では、電解質塩が化1〜化3に示した化合物を含有することにより、保存特性がより向上することが確認された。
さらに、溶媒の組成(PCの含有の有無)に関して、実施例2−7では、実施例2−1と比較して、サイクル特性および保存特性の放電容量維持率がいずれも高くなった。もちろん、実施例2−7では、比較例2−7と比較して、サイクル特性および保存特性の放電容量維持率がいずれも高くなった。このことから、上記した二次電池では、溶媒がPCを含有することにより、サイクル特性および保存特性がより向上することが確認された。
上記した表1および表2の結果から明らかなように、充電電流の値に関係なく、負極が難黒鉛化性炭素を含有すると共に電解液の溶媒がDFECを含有することにより、サイクル特性および保存特性が向上することが確認された。特に、充電電流を大きくした場合(例えば3C)において、サイクル特性および保存特性の放電容量維持率の増加率が大きくなったことから、急速充電用途においてより高い効果が得られることがわかった。この結果は、充電電流を大きくすると、負極22においてリチウムの受け入れ性が追いつかなくなる傾向にあることから、難黒鉛化性炭素およびDFECによる受け入れ性向上効果が際立って発揮されたものと考えられる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記した実施の形態および実施例では、本発明の電池として、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分により表されるリチウムイオン二次電池について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の電池は、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極の充電容量よりも小さくすることにより、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づく容量成分とリチウムの析出および溶解に基づく容量成分とを含み、かつ、それらの容量成分の和により表される二次電池についても同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他の1A族元素や、マグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などの2A族元素や、アルミニウムなどの他の軽金属を用いてもよい。この場合においても、負極活物質として、上記した実施の形態で説明した負極材料を用いることが可能である。
また、上記した実施の形態または実施例では、本発明の電池の電池構造として、円筒型あるいはラミネートフィルム型を例に挙げて説明したが、本発明の電池は、コイン型、ボタン型あるいは角型などの他の構造を有する電池、または積層構造などの他の構造を有する電池についても同様に適用可能である。また、本発明の電池は、二次電池に限らず、一次電池などの他の種類の電池についても同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、溶媒中における炭酸ジフルオロエチレンの含有量について、実施例の結果から導き出された適正範囲を説明しているが、その説明は、含有量が上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。すなわち、上記した適正範囲は、あくまで本発明の効果を得る上で特に好ましい範囲であり、本発明の効果が得られるのであれば、含有量が上記した範囲から多少外れてもよい。
11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、22A,34A…負極集電体、22B,34B…負極活物質層、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム。
Claims (6)
- 正極および負極と共に電解液を備えた電池であって、
前記負極は、X線回折法により測定される(002)面の面間隔が0.37nm以上である難黒鉛化性炭素を含有し、
前記電解液は、炭酸ジフルオロエチレンを含有する溶媒を含む
ことを特徴とする電池。 - 前記溶媒中における炭酸ジフルオロエチレンの含有量は、1重量%以上10重量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記溶媒は、さらに、炭酸プロピレンを含有することを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記正極は、リチウム(Li)と遷移金属元素とを構成元素として含む酸化物を含有することを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記正極、前記負極および前記電解液は、フィルム状の外装部材の内部に収納されていることを特徴とする請求項1記載の電池。
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JP2015162421A (ja) * | 2014-02-28 | 2015-09-07 | 日立マクセル株式会社 | 非水電解質二次電池 |
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