JP2008123306A - 電気特性測定回路、遅延ライブラリ作成装置、遅延ライブラリの作成方法、及び半導体集積回路の設計方法 - Google Patents

電気特性測定回路、遅延ライブラリ作成装置、遅延ライブラリの作成方法、及び半導体集積回路の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】遅延値のばらつきを、ランダム成分とシステマティック成分のショット依存成分及び面内傾向成分とに、より精密に分離することが可能な遅延ライブラリ作成方法を提供する。
【解決手段】遅延ライブラリ作成方法は、論理回路の回路部品の遅延値が格納されている遅延ライブラリを作成する方法である。(a)回路部品の半導体ウェハ上の第1電気特性データ44に基づいて、ウェーブレット解析を行うことにより、半導体ウェハ面内の位置に依存する第1遅延データ48と、半導体ウェハ面内の位置に依存しないランダムばらつき遅延値と露光処理によって生じる露光依存ばらつき遅延値とを含む第2遅延データとを算出するステップと、(b)第2遅延データに基づいてフーリエ解析することにより、ランダムばらつき遅延値と露光依存ばらつき遅延値とを分離し、それぞれを第3遅延データと第4遅延データ46とするステップとを具備する。
【選択図】図14

Description

本発明は、電気特性測定回路、遅延ライブラリ作成装置、遅延ライブラリの作成方法、及び半導体集積回路の設計方法に関する。
半導体集積回路の論理設計やレイアウト設計では、論理を構成するための構成部品である論理セルの遅延値を考慮して、動作周波数などの設計仕様を満足するように設計が行われる。論理セルの遅延値は、製造プロセスに基づいて、トランジスタの電気特性によって決められる。
半導体集積回路の製造プロセスの微細化に伴い、製造時の様々な要因によって、チップごとに遅延値にばらつきが生じる。論理セルの遅延値に高精度が求められるのは当然だが、このとき、製造チップごと遅延値のばらつきをどのように考慮するかについても重要視されつつある。製造時のばらつきとしては、ゲート酸化膜のばらつき、ゲート長/幅のばらつきなどが挙げられる。これらのばらつきは、チップのウェハ面内での位置やパターン形状に依存して特性が変動するシステマティックばらつき(システマティック成分)と、拡散時の条件によって全く任意にばらつくランダムばらつき(ランダム成分)とに大別される。また、システマティックばらつきには、更に、マスクの露光工程に起因するショット依存ばらつき(ショット依存成分)と、それ以外の面内傾向ばらつき(面内傾向成分)が含まれる。
このショット依存成分を考慮した設計方法に関する技術が、特開2003−196341号公報に開示されている。この従来技術によれば、マスク露光工程は、マスクに描画されている回路パターンを、ウェハ上のフォトレジストに感光/転写させる工程であり、マスクサイズを単位とした1回の露光を繰り返し行うことでウェハ前面に同じ回路パターンを複数個転写する。ここで、各回の露光はほぼ共通の物理的要因を持つと考えられるため、各回の露光で形成される回路パターンの特徴もほぼ共通となる。その結果、閾値やオン電流等のデバイスパラメータのばらつき、ひいては遅延時間のばらつきが露光依存(ショット依存に相当)変動分になると考えられる。ここで、物理的要因の一つとして、露光装置のレンズ収差が挙げられる。このレンズ収差により、レンズの半径方向に向って感光/転写の解像度が低下する現象が生じるが、この現象によって、露光領域の中心から等しい距離に形成される回路パターンには、同様の形状ばらつきが発生すると考えられる。
関連する技術として特開2001−350810号公報に半導体装置設計用ライブラリの技術が開示されている。この従来技術では、ウェハ上のデバイスパラメタ分布データから、ウェーブレット変換を用いて、ウェハ内場所依存成分(面内傾向成分に相当)と単体ばらつき成分(ランダム成分に相当)とを分離する方法が記載されている。ただし、露光依存変動分に関する記載はない。
特開2003−196341号公報 特開2001−350810号公報
特開2003−196341号公報では、測定用の複数のウェハそれぞれに対して、同一地点での測定結果からデバイスパラメータ(PA1、PA2、…)を求める。そして、これらデバイスパラメータの平均値(PA0)をウェハ面内依存変動分(面内傾向成分に相当)の値としている。また、デバイスパラメータ(PA1、PA2、…)からウェハ面内依存変動分(PA0)を減算した値をランダム変動分(ランダム成分に相当)としている。更に、各単位露光領域の同一地点でのデバイスパラメータの平均値(PX0、PY0、…)を露光依存変動分(ショット依存成分に相当)の値としている。実際の遅延計算を行う際には、ウェハ面内依存変動分の値、ランダム変動分の値、露光依存変動分の値のそれぞれの標準偏差を求めている。しかしながら、単に平均値を求めるだけでは、精度に問題があることが判って来ている。たとえば、デバイスパラメータの平均値を求めることは、当該デバイスパラ−メータの微細な変動を打ち消してしまう可能性がある。そのような微細な変化を結果として省略することは、製造プロセスの微細化に伴い無視できない問題となりつつある。
半導体装置の製造プロセスの微細化に対応して、遅延値のばらつきをより精密に求めることが可能な技術が望まれる。遅延値のばらつきを、ランダム成分とシステマティック成分のショット依存成分及び面内傾向成分とに、より精密に分離することが可能な技術が求められる。
以下に、発明を実施するための最良の形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明の遅延ライブラリ作成方法は、論理回路の回路部品の遅延値が格納されている遅延ライブラリ(70)を作成する、コンピュータで実行される方法である。(a)回路部品の半導体ウェハ上の第1電気特性データ(44)に基づいて、ウェーブレット解析を行うことにより、半導体ウェハ面内の位置に依存する第1遅延データ(48)と、半導体ウェハ面内の位置に依存しないランダムばらつき遅延値と露光処理によって生じる露光依存ばらつき遅延値とを含む第2遅延データ(54)とを算出するステップと、(b)第2遅延データ(54)に基づいてフーリエ解析することにより、ランダムばらつき遅延値と露光依存ばらつき遅延値とを分離し、それぞれを第3遅延データ(56)と第4遅延データ(46)とするステップとを具備する。
本発明では、まず、ウェーブレット解析で第1遅延データ(48)と第2遅延データ(54)とを分離している。ここで、第1遅延データ(48)は、半導体ウェハ面内の位置に依存する面内傾向ばらつき成分であり、その変化は緩やかである。そのため、低周波成分として分離することができる。一方、第2遅延データ(54)は、半導体ウェハ面内の位置に依存しないランダムばらつき成分及びショット依存成分であり、その変化は比較的急激である。そのため高周波成分として分離することができる。続いて、フーリエ解析で第3遅延データ(56)と第4遅延データ(46)とを分離している。ここで、第4遅延データ(46)は、ショット依存成分であり、その変化は単位露光領域の周期と同様の周期を有する。そのため、特定の周波数成分として分離することが出来る。第3遅延データ(56)は、ランダムばらつき成分であり、第2遅延データ(54)からショット依存成分を除くことで分離することが出来る。すなわち、本発明では、上記ウェーブレット解析とフーリエ解析とを組み合わせて用いることで、ばらつきを精密に分離することが出来る。
本発明により、半導体装置の製造プロセスの微細化に対応して、遅延値のばらつきをより精密に求めることが出来る。遅延値のばらつきを、ランダム成分とシステマティック成分のショット依存成分及び面内傾向成分とに、より精密に分離することが可能となる。
できる。
以下、本発明の電気特性測定回路、遅延ライブラリ作成装置、遅延ライブラリの作成方法、及び半導体集積回路の設計方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
本発明は、電気特性測定回路と遅延ライブラリ作成装置とを具備している。
電気特性測定回路は、半導体ウェハ上に設けられ、素子の電気特性のばらつきを測定するための複数のばらつき測定回路を有する。複数のばらつき測定回路は、ランダムばらつきを測定するためのランダムばらつき測定回路、及びシステマティックばらつきを測定するためのシステマティックばらつき測定回路を含む。これらの回路は、1ショット(単位露光)分の領域(「ショット領域」又は「単位露光領域」という)内に設けられた複数の格子点の各々上に配置される。
遅延ライブラリ作成装置は、上記ばらつき測定回路から得られた素子の電気特性を遅延値に変換し、そのばらつきをランダムばらつき、ショット依存ばらつき、面内傾向ばらつきに分離する。それらの値に基づいて、STA(static timing analysis)マージンを計算する。そして、遅延ライブラリ作成装置は、それらの値に基づいて、遅延ライブラリを合成する。この遅延ライブラリは、半導体集積回路(半導体装置)の設計に適用される。
まず、電気特性測定回路について詳細に説明する。図1は、本発明の電気特性測定回路の実施の形態を示す概略図である。ただし、図1(a)は全体の概略平面図、図1(b)はショット領域の概略平面図、図1(c)はばらつき測定回路の概略平面図である。図1(a)を参照して、電気特性測定回路1は、半導体ウェハ(基板)2上に設けられている。半導体ウェハ2は、露光工程において1回のショットで露光される単位露光領域に対応する複数のショット領域3−1〜3−Nを有している(図はN=24)。図1(b)を参照して、各ショット領域3には、格子状に設定された測定点上に、複数のばらつき測定回路4−1〜4−Qが配置されている(図はQ=36)。すなわち、複数のばらつき測定回路4は、行列状に(格子の各格子点に)配置されている。図1(c)を参照して、複数のばらつき測定回路4の各々は、ランダムばらつき測定回路11とシステマティックばらつき測定回路15とを備えている。
図2は、本発明の電気特性測定回路の実施の形態におけるランダムばらつき測定回路11を示す構成図である。ただし、図2(a)は平面図であり、図2(b)は回路図である。図2(a)を参照して、ランダムばらつき測定回路11は、n型ランダムばらつき測定回路11nと、p型ランダムばらつき測定回路11pとを含んでいる。
n型ランダムばらつき測定回路11nは、二つのn型MOSトランジスタTr1、Tr2が並んだペアトランジスタである。n型拡散層12n上に設けられている。二つのn型MOSトランジスタTr1、Tr2はそれぞれ個別に電気特性データ(例示:Ids(Ion)、Vt)を測定できるようになっている。n型MOSトランジスタTr1はソースa1、ゲートa2、ドレインa3を有する。n型MOSトランジスタTr2はソースa3、ゲートa2、ドレインa4を有する。この回路図は、図2(b)に記載されている。
p型ランダムばらつき測定回路11pは、二つのp型MOSトランジスタTr3,Tr4が並んだペアトランジスタである。p型拡散層12p上に設けられている。二つのp型MOSトランジスタTr3,Tr4はそれぞれ個別に電気特性データ(例示:Ids(Ion)、Vt)を測定できるようになっている。p型MOSトランジスタTr3はソースb1、ゲートb2、ドレインb3を有する。p型MOSトランジスタTr4はソースb3、ゲートb2、ドレインb4を有する。回路図は、図2(b)において、n型MOSトランジスタをp型MOSトランジスタに置き換えただけなので、省略する。
ここで、ランダムばらつき測定回路11を用いたランダムばらつきの求め方に関する基本的な考え方について説明する。
所定の条件でペアトランジスタの一方に流れるオン電流をIon1、他方に流れるオン電流をIon2とする。また、設計値のオン電流をIon0、ランダムばらつきによるオン電流の変動分をIon1R、Ion2R、システマティックばらつきによるオン電流の変動分をIon1S、Ion2Sとする。
その場合、
Ion1=Ion0+Ion1R+Ion1S …(1)
Ion2=Ion0+Ion2R+Ion2S …(2)
と表すことが出来る。オン電流の差((1)−(2))をとると、
Ion1−Ion2=(Ion1R−Ion2R)+(Ion1S−Ion2S) …(3)
ここで、ペアトランジスタは互いに近接しているので、システマティックばらつきによるオン電流の変動分は概ね等しいと考えることが出来る。すなわち、
Ion1S≒Ion2S …(4)
である。したがって、(3)と(4)より、
Ion1−Ion2=Ion1R−Ion2R …(5)
このとき、両辺の分散ν(又はσ:σは標準偏差)は、ランダムばらつきが互いに相関がないことを考慮して、
ν(Ion1−Ion2)=ν(Ion1R−Ion2R)
=ν(Ion1R)+ν(Ion2R) …(6)
と表すことが出来る。ここで、ランダムばらつきによるオン電流の変動分の分散は場所に依らないと考えることが出来るので、
ν(Ion1R)≒ν(Ion2R)=ν(IonR) …(7)
である。したがって、(6)と(7)より、
ν(Ion1−Ion2)=2・ν(IonR)
したがって、
ν(IonR)=ν(Ion1−Ion2)/2 …(8)
このように、ペアトランジスタの一方に流れるオン電流Ion1と、他方に流れるオン電流Ion2との差の分散を取ることで、ランダムばらつきによるオン電流の変動分の分散、すなわち、ランダムばらつきを求めることが出来る。
図3は、本発明の電気特性測定回路の実施の形態におけるシステマティックばらつき測定回路15を示す構成図である。ただし、図3(a)は平面図であり、図3(b)は回路図である。図3(a)を参照して、システマティックばらつき測定回路15は、n型システマティックばらつき測定回路15nと、p型システマティックばらつき測定回路15pとを含んでいる。
n型システマティックばらつき測定回路15nは、複数のn型MOSトランジスタTr11、Tr12、…Trmが並列に接続された並列トランジスタである(ここではm=20、合計10個)。n型拡散層16n上に設けられている。複数のn型MOSトランジスタTrは、それぞれ個別に電気特性データ(例示:Ids(Ion)、Vt)を測定できるようになっている。奇数番目のn型MOSトランジスタTrはソースa5、ゲートa6、ドレインa7を有する。偶数番目のn型MOSトランジスタTrはソースa7、ゲートa6、ドレインa5を有する。この回路図は、図3(b)に記載されている。
p型システマティックばらつき測定回路15pは、複数のp型MOSトランジスタTr21、Tr22、…Trkが並んだペアトランジスタである(ここではk=30、合計10個)。p型拡散層16p上に設けられている。複数のp型MOSトランジスタTrは、それぞれ個別に電気特性データ(例示:Ids(Ion)、Vt)を測定できるようになっている。奇数番目のp型MOSトランジスタTrはソースb5、ゲートb6、ドレインb7を有する。偶数番目のp型MOSトランジスタTrはソースb7、ゲートb6、ドレインb5を有する。回路図は、図3(b)において、n型MOSトランジスタをp型MOSトランジスタに置き換えただけなので、省略する。
ここで、システマティックばらつき測定回路15を用いたシステマティックばらつきの求め方に関する基本的な考え方について説明する。
所定の条件でシステマティックばらつき測定回路(トランジスタ10個)全体に流れるオン電流をIon、そのとき各トランジスタに流れるオン電流をIon1、Ion2、…Ion10とする。また、設計値のオン電流をIon0、ランダムばらつきによるオン電流の変動分をIon1R、Ion2R、…Ion10R、システマティックばらつきによるオン電流の変動分をIon1S、Ion2S、…Ion10Sとする。
その場合、
Ion=Ion1+Ion2+…+Ion10
=10・Ion0
+(Ion1R+Ion2R+…+Ion10R)
+(Ion1S+Ion2S+…+Ion10S) …(9)
と表すことが出来る。ここで、各トランジスタは互いに近接しているので、システマティックばらつきによるオン電流の変動分は概ね等しいと考えることが出来る。すなわち、
Ion1S≒Ion2S≒…≒Ion10S=IonS …(10)
である。したがって、(9)と(10)より、
Ion=10・Ion0+(Ion1R+Ion2R+…+Ion10R)
+10・IonS …(11)
したがって、トランジスタ1個分のオン電流I’onは、
I’on=Ion/10
=Ion0+(Ion1R+Ion2R+…+Ion10R)/10
+IonS …(12)
このとき、両辺の分散ν(又はσ)は、
ν(I’on)
=ν((Ion1R+Ion2R+Ion3R+…+Ion10R)/10)+ν(IonS)
=ν(Ion1R+Ion2R+Ion3R+…+Ion10R)/100+ν(IonS)
=10・ν(IonR)/100+ν(IonS)
=ν(IonR)/10+ν(IonS) …(13)
と表すことが出来る。ここで、10は、(トランジスタの個数)である。(13)式において、ランダムばらつきの分散がシステマティックばらつきの分散に比較して十分小さい、あるいはトランジスタの個数が十分に大きい場合、第一項は無視できる。その場合、
ν(I’on)≒ν(IonS) …(14)
このように、システマティックばらつき測定回の一つのトランジスタに流れるオン電流の分散を取ることで、システマティックばらつきによるオン電流の変動分の分散すなわち、システマティックばらつきを求めることが出来る。また、後述されるように、(13)式の第一項を分離して、正確にシステマティックばらつきを求めることも可能である。
図4は、遅延時間を評価する対象回路を示す回路図である。ここでは、インバータ回路を用いる。実際には、図4に示すような対象回路における入力信号と出力信号との間の遅延時間(遅延値)Δtに関して、ランダムばらつき、及び、システマティックばらつきを求める。
ランダムばらつきについては、まず、n型ランダムばらつき測定回路11n及びp型ランダムばらつき測定回路11pの各々について電気特性データを計測する。次に、その計測値を、セル遅延をあらわす応答曲面関数gに代入して、遅延時間Δtに換算する。そして、その遅延時間Δtに基づいて、ランダムばらつきを算出する。ただし、Δt=g(Ion(n型ランダムばらつき測定回路11nのn型MOSトランジスタTr)、Ion(p型ランダムばらつき測定回路11pのp型MOSトランジスタTr)、Vt(n型ランダムばらつき測定回路11nのn型MOSトランジスタTr)、Vt(p型ランダムばらつき測定回路11pのp型MOSトランジスタTr))である。
同様に、システマティックばらつきについては、まず、n型システマティックばらつき測定回路15n及びp型システマティックばらつき測定回路15pの各々について電気特性データを計測する。次に、その計測値を、セル遅延をあらわす応答曲面関数gに代入して、遅延時間Δtに換算する。そして、その遅延時間Δtに基づいて、システマティックばらつきを算出する。ただし、Δt=g(Ion(n型システマティックばらつき測定回路15nのn型MOSトランジスタTr)、Ion(p型システマティックばらつき測定回路15pのp型MOSトランジスタTr)、Vt(n型システマティックばらつき測定回路15nのn型MOSトランジスタTr)、Vt(p型システマティックばらつき測定回路15pのp型MOSトランジスタTr))である。詳細は後述する。
次に、本発明の遅延ライブラリ作成装置の実施の形態の構成について、添付図面を参照して説明する。図5は、本発明の遅延ライブラリ作成装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。遅延ライブラリ作成装置20は、パーソナルコンピュータやワークステーションに例示される情報処理装置である。ランダムばらつき測定回路11(ペアトランジスタ)の電気特性データに基づいてランダムばらつき係数を求めると共に、システマティックばらつき測定回路15(並列トランジスタ)の電気特性データに基づいて、必要に応じてランダムばらつき係数を参照しながら、ショット依存ばらつき係数と面内傾向ばらつき係数とを求める。そして、チップ内ばらつき係数を算出して、高精度なばらつきを考慮したタイミング検証を可能にする。
遅延ライブラリ作成装置20は、コンピュータプログラムとしてのランダムばらつき解析部21、システマティックばらつき解析部23及び遅延ライブラリ合成部30と、データ及びプログラムとしての第1記憶部22及び第2記憶部24を具備する。ランダムばらつき解析部21及びシステマティックばらつき解析部23は、情報処理装置に搭載された記憶装置(例示:HDD)に記憶され、メモリに展開されてCPUにより動作する。第1記憶部22及び第2記憶部24は、情報処理装置に搭載された記憶装置に記憶されている。そして、ランダムばらつき解析部21及びシステマティックばらつき解析部23の動作時等で、CPU等によりアクセスされ、読み出し、書き込みが行われる。
ランダムばらつき解析部21は、ランダムばらつき測定回路11(ペアトランジスタ)の電気特性データからランダムばらつき係数を求める。第1記憶部22は、ランダムばらつき係数を求める計算に関わるデータ(計算途中で生成されるデータを含む)を格納している。ランダムばらつき解析部21は、応答曲面関数近似部25と、統計計算部26とを含む。
応答曲面関数近似部25は、第1記憶部22に格納された半導体ウェハ2上の全てのランダムばらつき測定回路11(ペアトランジスタ)における電気特性データを取得する。電気特性データは、各トランジスタごとに計測された、ソースドレイン電流Ids(オン電流Ion)、及び閾値電圧Vtである。すなわち、n型ランダムばらつき測定回路11nのn型MOSトランジスタTr1、Tr2、p型ランダムばらつき測定回路11pのp型MOSトランジスタTr3、Tr4の各々のソースドレイン電流Ids(オン電流Ion)、及び閾値電圧Vtである。
応答曲面関数近似部25は、各ショット領域3に格子状に設定された各測定点ごとに、n型ランダムばらつき測定回路11nのn型MOSトランジスタTr1(左側)の電気特性データと、p型ランダムばらつき測定回路11pのp型MOSトランジスタTr3(左側)の電気特性データとを、セル遅延をあらわす応答曲面関数g(後述)に代入する。ただし、Δt=g(Ion(n型MOSトランジスタTr1)、Ion(p型MOSトランジスタTr3)、Vt(n型MOSトランジスタTr1)、Vt(p型MOSトランジスタTr3))である。それにより、左側のトランジスタTr1、Tr3から構成されているとみなされる対象回路(図4)における遅延値ΔtL(近似値)を得ることが出来る。同様に、右側のトランジスタTr2、Tr4から構成されているとみなされる対象回路(図4)における遅延値ΔtR(近似値)を得る。そして、この遅延値ΔtL、ΔtRを、全てのショット領域3−1〜3−nにおいて、格子状に配置された全ての測定点おけるランダムばらつき測定回路11のトランジスタペアについて求める。これにより、半導体ウェハ2上の全てのランダムばらつき測定回路11の各々に関する遅延値ΔtL、ΔtR(近似値)を含んだランダムばらつき遅延データを得ることが出来る。
上記の応答曲面関数gは、例えば以下ような一般的な方法で求めることができる。
(I)まず、応答曲面関数gを求めたい回路のSPICEシミュレーションを行う。図6は、SPICEシミュレーションでの条件を示す回路図及びタイミングチャートである。最初に、図7(a)の回路図(インバータ回路:図4と同様)を示すネットリストを用意する。そして、図6(a)において、図6(b)に示すような入力信号V1に対して、出力信号V2が出力されたときの遅延値Δtを、SPICEシミュレーションにより求める。このとき、PチャネルトンランジスタTr(Pch)及びNチャネルトランジスタTr(Nch)におけるゲート長や閾値電圧Vth0(モデルパラメータ)を変化させて、それぞれの場合での遅延値Δtを求める。また、それぞれの場合でのTr(Pch)のオン電流Ion(Pch)と閾値電圧Vth(Pch)、及び、Tr(Nch)のオン電流Ion(Nch)と閾値電圧Vth(Nch)もシミュレーションする。その結果、以下のようなq個の計算値の組が得られる。
Δt1、Ion1(Nch)、Ion1(Pch)、Vth1(Nch)、Vth1(Pch)
Δt2、Ion2(Nch)、Ion2(Pch)、Vth2(Nch)、Vth2(Pch)
: : : : :
Δtq、Ionq(Nch)、Ionq(Pch)、Vthq(Nch)、Vthq(Pch) …(15)
(II)次に、上記(15)に示される計算値の組に対して、以下の(16)式に示される応答曲面関数gとしての多項式を最小二乗法でフィッティングして、係数a〜oを求める。
Δt
=g(Ion(Nch)、Ion(Pch)、Vth(Nch)、Vth(Pch))
=a・(Ion(Nch))+b・(Ion(Nch))
+c・(Ion(Pch))+d・(Ion(Pch))
+e・(Vth(Nch))+f・(Vth(Nch))
+g・(Vth(Pch))+h・(Vth(Pch))
+i・(Ion(Nch))・(Ion(Pch))+j・(Ion(Nch))・(Vth(Nch))
+k・(Ion(Nch))・(Vth(Pch))+
+l・(Ion(Pch))・(Vth(Nch))+m・(Ion(Pch))・(Vth(Pch))
+n・(Vth(Nch))・(Vth(Pch))+o …(16)
以上により、応答曲面関数gが求められる。
統計計算部26は、ランダムばらつき遅延データに基づいて、ランダムばらつき係数を算出する。統計計算部26は、遅延差計算部31とランダムばらつき計算部32とを備える。
遅延差計算部31は、各ショット領域3に格子状に設定された各測定点ごとに、得られたランダムばらつき遅延データの遅延値ΔtLと遅延値ΔtRとの差を取る。これを、全てのショット領域3−1〜3−nにおける、格子状に配置された全ての測定点において、全てランダムばらつき測定回路11について行う。
ランダムばらつき計算部32は、得られた遅延差(ΔtR−ΔtL)の各ショット領域3内での分散νを、下記(17)式、(18)式に基づいて各ショット領域3ごとに求める。そして、その分散νの平方根をとることにより、各ショット領域3での標本標準偏差を求めることが出来る。更に、下記(17)式から得られた標本標準偏差を√2で割ることにより、一つのトランジスタに換算した各ショット領域3でのランダムばらつきの標本標準偏差を得ることが出来る。
Figure 2008123306
ただし、μはショット領域3内での遅延差の平均値であり、
Figure 2008123306
で表され、
m:各ショット領域3におけるランダムばらつき測定回路11の属するばらつき測定回路4の通し番号
M:ショット領域3内のばらつき測定回路4の総数
n:半導体ウェハ2におけるショット領域3の通し番号
N:半導体ウェハ2内のショット領域3の総数
ΔtR:ランダムばらつき測定回路11の右側トランジスタから求めた遅延値
ΔtL:ランダムばらつき測定回路11の左側トランジスタから求めた遅延値
である。
ランダムばらつき計算部32は、この(17)式で得られた分散ν(標本標準偏差の二乗)をショット領域3内での遅延平均値で割り、更に全てのショット領域3−1〜3−N内で平均してランダムばらつき係数OCVrを得る。すなわち、ランダムばらつき係数OCVrは以下の式で計算される。
Figure 2008123306
ただし、μTはショット領域3内での遅延平均値であり、
Figure 2008123306
である。
システマティックばらつき解析部23は、システマティックばらつき測定回路15(並列トランジスタ)の電気特性データについて、システマティック遅延ばらつきデータを生成する。そして、システマティック遅延ばらつきデータについて、ランダムばらつき係数を参照しながら、ウェーブレット解析及びフーリエ解析を行うことでショット依存ばらつき係数と面内傾向ばらつき係数とを分離して求める。第2記憶部24は、ランダムばらつき係数を求める計算に関するデータを格納している(計算途中で生成されるデータを含む)。システマティックばらつき解析部23は、応答曲面関数近似部27と、面内傾向・ショット依存ばらつき分離部28と、統計計算部29とを含む。
応答曲面関数近似部27は、第2記憶部24に格納された半導体ウェハ1上の全てのシステマティックばらつき測定回路15(並列トランジスタ)における電気特性データを取得する。電気特性データは、システマティックばらつき測定回路15の複数のトランジスタ全部に流れたソースドレイン電流Ids(オン電流Ion)を一つのトランジスタ分に換算したソースドレイン電流Ids(オン電流Ion)、及び当該複数のトランジスタの閾値電圧Vtの平均値である。すなわち、n型システマティックばらつき測定回路15nのn型MOSトランジスタTr11〜Tr20全部に流れたソースドレイン電流Ids(オン電流Ion)を一つのトランジスタ分に換算したソースドレイン電流Ids(オン電流Ion)、及びn型MOSトランジスタTr11〜Tr20の閾値電圧Vtの平均値、p型システマティックばらつき測定回路15pのp型MOSトランジスタTr21〜Tr30全部に流れたソースドレイン電流Ids(オン電流Ion)を一つのトランジスタ分に換算したソースドレイン電流Ids(オン電流Ion)、及びp型MOSトランジスタTr21〜Tr30の閾値電圧Vtの平均値、である。
応答曲面関数近似部27は、各ショット領域3に格子状に設定された各測定点ごとに、n型のシステマティックばらつき測定回路15nのn型MOSトランジスタTr11〜Tr20の電気特性データと、p型のシステマティックばらつき測定回路15pのp型MOSトランジスタTr21〜Tr30の電気特性データとを、セル遅延をあらわす応答曲面関数gに代入する。ただし、Δt=g(Ion(n型MOSトランジスタTr11〜Tr20の一つ分)、Ion(p型MOSトランジスタTr21〜Tr30の一つ分)、Vt(n型MOSトランジスタTr11〜Tr20の平均)、Vt(p型MOSトランジスタTr21〜Tr30の平均))である。それにより、システマティックばらつき測定回路15の並列トランジスタから構成されているとみなされる対象回路(図4)における遅延値ΔtS(近似値)を得ることが出来る。この遅延値ΔtSを、全てのショット領域3−1〜3−nにおいて、格子状に配置された全ての測定点におけるシステマティックばらつき測定回路15の並列トランジスタについて求める。これにより、半導体ウェハ2上のシステマティックばらつき測定回路15の各々に関する遅延値ΔtS(近似値)を含んだシステマティックばらつき遅延データを得ることが出来る。
面内傾向・ショット依存ばらつき分離部28は、システマティックばらつき遅延データにおけるシステマティックばらつき測定回路15の各々の遅延値ΔtSについて、面内傾向ばらつきに関わる部分とショット依存ばらつきに関わる部分とに分離する。面内傾向・ショット依存ばらつき分離部28は、ウェハデータ形状変換部33と、ウェーブレット解析部34と、フーリエ解析部35と、ばらつき計算部36とを備える。
ウェハデータ形状変換部33は、システマティックばらつき測定回路15の各々の遅延値ΔtSについて、ウェーブレット解析が出来るように半導体ウェハ2上のデータを長方形の領域に拡張する。これは、ウェーブレット解析をするとき、遅延値ΔtSを有する測定点が長方形の領域内に格子状に配置されている必要があるからである。しかも、測定点の数は2のべき乗である必要がある。
以下に、データを長方形領域に拡張する方法について説明する。図7及び図8は、半導体ウェハ2上のデータを長方形の領域のデータに拡張する方法を説明する概略図である。ウェーブレット解析では、その性質上、測定点は2点でなければならないことが知られている。2次元の場合は2×2の格子点である。例えば、図7(a)において、いくつかの格子点Pに丸印のようにデータが存在する場合を考える。この場合、ウェーブレット解析を行うために、長方形領域Uの8×8の格子点の全てにデータが存在するように、データの存在しない他の格子点Rのデータを適当に作成しなければならない。データの作成方法としては、一般的に、データの存在しない格子点のデータを、存在するデータで埋めることが行われる。例えば、図7(b)に示すように、データの存在する格子点PのデータP3、P2、P1に対応して、データの存在しない格子点R用にデータR3、R2、R1を作成する。すなわち、データP3、P2、P1とデータR3、R2、R1とは、データP4を通る境界線Dに対して鏡像の関係になっている。
しかし、図8(a)に示すデータP1、P2、P3、P5のような場合、図7(b)に示す方法を用いると、その後のウェーブレット解析で得られる曲線WはデータP5を反映しない曲線となり、誤差の多い解析となってしまう。そこで、このような問題を起こさないように、本発明では、図8(b)に示す方法を用いる。すなわち、データP3、P2、P1とデータR6、R5、R4とは、データP4の格子点を中心として180度回転した関係になっている。
図9は、半導体ウェハ2上のデータを長方形の領域のデータに拡張した状態を示す概略図である。半導体ウェハ2が長方形領域Uに拡張されている。長方形領域U内には、破線で示される格子が設定され、格子点には、数値で示されたデータ(この場合遅延値ΔtS)が対応付けられている。そして、ショット領域3内の測定点(黒丸)に加えて、本来データの存在しない格子点(白丸)にも、データが作成され、追加されている。ただし、この図では、本来データの存在しない格子点(白丸)の部分は、計算式の形式でデータを記載している。このように、角の部分を補間した後、適当な大きさの長方形領域Uに拡張する。
図5を参照して、ウェーブレット解析部34は、長方形領域Uに拡張されたデータについて、ウェーブレット解析を行い、面内傾向ばらつきと[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]とを分離する。このとき、本発明では、ウェーブレット解析をするためのスケーリング関数として、有界区間を定義域とする有限基底のBスプライン関数を用いる(アナライジングウェーブレットとして有限基底Bスプライン関数を選ぶ)。有限基底Bスプライン関数は、例えば、チャールズK.チュウイ著/桜井 勉/新井 明共訳、数理科学セミナー「ウェーブレット応用」信号解析のための数学的手法、1997、(ISBNコード:4−501−52780−3)に記載されている。
ここで、スケーリング関数として有限基底のBスプライン関数を選択した理由について説明する。図10及び図11は、有限基底のBスプライン関数を選択した理由について説明する概略図である。図10(a)に示すように、半導体ウェハ2において、面内傾向ばらつき(例示:オン電流)は、中心部で大きく端部で小さいという中心対称な曲面(お椀型)になり易い傾向にある。一方、図10(b)に示すように、3階や4階のBスプライン関数の形状は、図10(a)の面内傾向ばらつきに似た形状を有する凸関数である。そのため、Bスプライン関数を用いることにより、面内傾向ばらつきにフィッティングし易く、ウェーブレット解析が非常に上手く行く。
有界区間を定義域とした理由は以下のとおりである。ウェーブレット解析では解析する関数をスケーリング関数φi(x)とウェーブレット関数ψi(x)の和で表現する。例えば、下記(21)式、(22)式は、第1項がスケーリング関数φi(x)、第2項がウェーブレット関数ψi(x)である。ただし、(21)式は無限区間(−∞〜∞)の場合を示し、(22)式は有限区間(−n〜n)の場合を示している。
Figure 2008123306
面内傾向ばらつきは半導体ウェハ2上の限られた領域での関数なので、信号処理で一般に用いられる無限区間のスプライン関数(…、φ−1、φ、φ、…:図11(a)の場合)では、関数の和を打ち切る際に誤差が生じる。しかし、有限区間のスプライン関数(φ−n、…、φ、φ、…、φ:図11(b)の場合)では、もともと和をとる関数が有限個しかないので、その問題は生じない。したがって、有限区間のスプライン関数は正確な解析に好適である。
図12は、本実施の形態で用いる有限基底Bスプライン関数及びBスプラインウエーブレット関数の一例を示すグラフである。図12(a)は上記(22)式の第1項としての3階の有限基底Bスプライン関数φi(x)である。図12(b)は上記(22)式の第2項としての3階のBスプラインウエーブレット関数ψi(x)である。任意の関数f(x)は、これらの関数の係数倍の和で表される。
以上、本発明では、図10〜図11を示して説明した理由から、ウェーブレット解析において、有界区間を定義域とする有限基底のBスプライン関数をスケーリング関数に用いている。これにより、後述されるように、システマティックばらつき遅延データについて、面内傾向ばらつきとショット依存ばらつきとを精密に分離することが可能となる。
図5を参照して、ウェーブレット解析部34は、この補完関数(有限基底Bスプライン関数)について、まず1段階目の離散ウェーブレット解析を行う。これにより、Bスプライン関数の線形結合(上記(22)式の第1項)で表された面内傾向ばらつき遅延データ推定値、及び、Bスプラインウェーブレット関数(上記(22)式の第2項)で表された[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]遅延データ推定値が得られる。
面内傾向ばらつき遅延データ推定値は、半導体ウェハ2の面内で比較的緩やかに変化する成分(低周波成分)を示している。一方、[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]遅延データ推定値は、半導体ウェハ2の面内で比較的急激に変化する成分(高周波成分)を示している。例えば、ショット依存ばらつきの場合、ショット領域3の周期で変化していると考えられる。ただし、ウェーブレット解析部34は、応答曲面関数近似部27及びウェハデータ形状変換部33の少なくとも一方を含んでいても良い。
フーリエ解析部35は、得られた[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]遅延データ推定値に対して、フーリエ解析を行う。そして、ショット依存ばらつき遅延データ推定値と、ランダムばらつき遅延データ推定値とを得る。フーリエ解析部35は、フーリエ変換部37、置換部38、逆フーリエ変換部39、差分処理部40を含む。
フーリエ変換部37は、[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]遅延データ推定値について、二次元離散フーリエ変換を行い、フーリエ変換データを得る。
置換部38は、ショット依存ばらつきがショット領域3の周期で変化しているので、フーリエ変換データにおいて、ショット領域3の周期となるような成分を、周囲のフーリエ変換の平均値計算で置き換える。この置き換えにより、このフーリエ変換データから、ショット領域3の周期となるような成分=ショット依存ばらつき遅延データに関わる部分が除去された、と考えることができる。
逆フーリエ変換部39は、置き換えられたフーリエ変換データについて、逆フーリエ変換を行う。この逆フーリエ変換により、ランダムばらつき遅延データ推定値を得ることが出来る。
差分処理部40は、[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]遅延データ推定値からランダムばらつき遅延データ推定値を差し引くことにより、ショット依存ばらつき遅延データ推定値を得ることが出来る。
ここで得られたランダムばらつき遅延データ推定値は、各ショット領域3ごとに、かつ、格子状に設定された各測定点ごとに求められた、遅延値(推定値)のランダムばらつき成分である。同様に、ここで得られたショット依存ばらつき遅延データ推定値は、各ショット領域3ごとに、かつ、格子状に設定された各測定点ごとに求められた、遅延値(推定値)のショット依存ばらつき成分である。
ばらつき計算部36は、得られたランダムばらつき遅延データ推定値の遅延値(推定値)のランダムばらつき成分について、各ショット領域3ごとに、標本標準偏差を求める。続いて、その標本標準偏差を各ショット領域3内の遅延値(推定値)の平均で割る。そして、その値を全てのショット領域3−1〜3−Nについて平均をとる。これにより、ウェーブレット解析から得たランダムばらつき係数(推定値)を得る。ばらつき計算部36は、ここで得られたランダムばらつき係数と、統計計算部26で得られたランダムばらつき係数OCVrを比較する。ただし、ここで求めたランダムばらつき係数は(13)式にあるように分散として1/10、標準偏差として1/√10(10−0.5)になっているので、ここで得られたランダムばらつき係数を√10倍(100.5倍)したものと、統計計算部26で得られたランダムばらつき係数OCVrとを比較する。そして、両者が、十分近くなるまで処理をウェーブレット解析部34に戻して、ウェーブレット解析を繰り返す。
そして、両者が十分近くなったとき、ウェーブレット解析部34で算出された面内傾向ばらつき遅延データ推定値が面内傾向ばらつき遅延データとなり、フーリエ解析部35で算出されたショット依存ばらつき遅延データ推定値が、ショット依存ばらつき遅延データとなる。
統計計算部29は、ショット依存ばらつき遅延データからチップサイズに応じたショット依存ばらつき係数を作成する。これは、ショット領域3とチップサイズとが必ずしも一致していないからである。通常、チップサイズは、ショット領域3の大きさと等しいか、それよりも小さい。そのため、以下の方法により、チップサイズに応じたショット依存ばらつき係数を作成する。
図13は、チップサイズに応じたショット依存ばらつき係数を作成する方法を説明する概略図である。まず、図13(d)に示すように、ショット領域3の一辺Lがチップ3aの一辺と等しい場合、一つのショット領域3に一つのチップ3aが存在する。したがって、一つのショット領域3内において、全ての測定点におけるショット依存ばらつき遅延値について、標準偏差を算出する。そして、その標準偏差をそのショット領域3のシステマティックばらつき遅延データの平均値で割ったショット依存ばらつき係数Y11を算出する。
図13(a)に示すように、このショット依存ばらつき係数Y11を累積度数グラフにしてプロットする。横軸はショット依存ばらつき係数Y、縦軸は累積度数である。標本は一ショット領域3につき一つ(Y11)なので、グラフは図のような直線状になる。そして、累積度数がいわゆる3σ(=99.7%)を越えるY1=Y11となる。これでショット領域3とチップ3aとが同じサイズのときのショット依存ばらつき係数(Y1)が得られる。
次に、図13(e)に示すように、ショット領域3の一辺Lの半分(L/2)がチップ3aの一辺と等しい場合、一つのショット領域3に四つのチップ3aが存在する。したがって、一つのショット領域3内の各チップに対応する領域(以下、「チップ領域」)ごとに、その領域内の全ての測定点におけるショット依存ばらつき遅延値について、標準偏差を算出する。そして、各標準偏差を、対応するチップ領域内のシステマティックばらつき遅延データの平均値で割ったショット依存ばらつき係数Y21、Y22、Y23、Y24を算出する。
図13(b)に示すように、このショット依存ばらつき係数Y21、Y22、Y23、Y24を累積度数グラフにしてプロットする。横軸は、ショット依存ばらつき係数Y、縦軸は累積度数である。標本は一ショット領域3につき四つ(Y21、Y22、Y23、Y24)なので、図のような階段状になる。そして、累積度数がいわゆる3σ(=99.7%)を越えるY2=Y24となる。これでショット領域3の一辺Lの半分(L/2)がチップ3aの一辺と等しいときのショット依存ばらつき係数(Y2)が得られる。
同様にして、ショット領域3の一辺Lの四分の一(L/4)がチップ3a一辺と等しい場合につきショット依存ばらつき係数Y3、ショット領域3の一辺Lの八分の一(L/8)がチップ3a一辺と等しい場合につきショット依存ばらつき係数Y4、というようにして、ショット依存ばらつき係数Yを求める。そして、このようなショット領域3の分割とショット依存ばらつき係数の算出とを必要な回数だけ繰り返す。ここで、必要な回数は、例えば、ショット領域3の分割した大きさが想定されるチップサイズの最小値に達するまでである。
図13(c)は、上述のようにして求めたチップサイズとショット依存ばらつきYとの関係を示すグラフである。縦軸は、ショット依存ばらつき係数Yであり、横軸はチップサイズ(一辺の長さ)である。上記Y1,Y2,Y3、Y4、…をプロットし、適当に補完することで、曲線C1を得ることが出来る。この曲線C1を用いることにより、ショット領域3とチップサイズとが一致しない場合でも、ショット依存ばらつき係数Yを求めることが出来る。
統計計算部29は、更に、面内傾向ばらつき遅延データからチップサイズに応じた面内傾向ばらつき係数を作成する。以下の方法により、チップサイズに応じた面内傾向ばらつき係数を作成する。
図14は、チップサイズに応じた面内傾向ばらつき係数を作成する方法を説明する概略図である。まず、図14(d)に示すように、ショット領域3の一辺Lがチップ3aの一辺と等しい場合、一つのショット領域3に一つのチップ3aが存在する。標本は、一ショット領域3につき一つなので、ショット領域3の数と等しいN個となる。したがって、一つのショット領域3内において、全ての測定点における面内傾向ばらつき遅延値について、標準偏差を算出する。そして、その標準偏差をそのショット領域3のシステマティックばらつき遅延データの平均値で割った面内傾向ばらつき係数X(N個)を算出する。
図14(a)に示すように、この面内傾向ばらつき係数Xを累積度数グラフにしてプロットする。横軸は、面内傾向ばらつき係数X、縦軸は累積度数である。標本は、一ショット領域3につき一つなので、半導体ウェハ2全体としてはショット領域3の数と等しいN個となる。したがって、グラフはそれらN個の標本をプロットして、図のようになる。そして、累積度数がいわゆる3σ(=99.7%)を越えるX1=X11となる。これでショット領域3とチップ3aとが同じサイズのときの面内傾向ばらつき係数(X1)が得られる。
次に、図14(e)に示すように、ショット領域3の一辺Lの半分(L/2)がチップ3aの一辺と等しい場合、一つのショット領域3に四つのチップ3aが存在する。標本は、一ショット領域3につき四つなので、ショット領域3の数の4倍である4N個となる。したがって、一つのショット領域3内の各チップ領域ごとに、その領域内の全ての測定点における面内傾向ばらつき遅延値について、標準偏差を算出する。そして、各標準偏差を、対応するチップ領域内のシステマティックばらつき遅延データの平均値で割った面内傾向ばらつき係数Xを算出する。
図14(b)に示すように、この面内傾向ばらつき係数Xを累積度数グラフにしてプロットする。横軸は、面内傾向ばらつき係数X、縦軸は累積度数である。標本は一ショット領域3につき四つなので、半導体ウェハ2全体としてはショット領域3の数の4倍である4N個となる。したがって、グラフはそれら4N個の標本をプロットして、図のようになる。そして、累積度数がいわゆる3σ(=99.7%)を越えるX2=X24となる。これでショット領域3の一辺Lの半分(L/2)がチップ3aの一辺と等しいときの面内傾向ばらつき係数(X2)が得られる。
同様にして、ショット領域3の一辺Lの四分の一(L/4)がチップ3a一辺と等しい場合につき面内傾向ばらつき係数X3、ショット領域3の一辺Lの八分の一(L/8)がチップ3a一辺と等しい場合につき面内傾向ばらつき係数X4、というようにして、面内傾向ばらつき係数Yを求める。そして、このようなショット領域3の分割と面内傾向ばらつき係数の算出とを必要な回数だけ繰り返す。ここで、必要な回数は、例えば、ショット領域3の分割した大きさが想定されるチップサイズの最小値に達するまでである。
図14(c)は、上述のようにして求めたチップサイズと面内傾向ばらつきXとの関係を示すグラフである。縦軸は、ショット依存ばらつき係数Xであり、横軸はチップサイズ(一辺の長さ)である。上記X1,X2,X3、X4、…をプロットし、適当に補完することで、曲線C2を得ることが出来る。この曲線C2を用いることにより、ショット領域3とチップサイズとが一致しない場合でも、面内傾向ばらつき係数Xを求めることが出来る。
統計計算部29は、更に、ランダムばらつき係数、ショット依存ばらつき係数、面内傾向ばらつき係数をそれぞれ自乗して足し合わせ、平方根をとることによって、最終的なばらつき係数を算出する。
遅延ライブラリ合成部30は、第1記憶部22からランダムばらつき係数、第2記憶部24からショット依存ばらつき係数(上記曲線C1)及び面内傾向ばらつき係数(上記曲線C2)をそれぞれ取得する。そして、これらと対象となる製品のチップサイズとを関連付けて導体装置の設計用の遅延ライブラリを合成する。遅延ライブラリの詳細は後述する。
図15は、分離前後の遅延データの一例を示す概略図である。図15(a)は未分離の遅延データ、図15(b)は面内傾向ばらつき遅延データ、図15(c)はショット依存ばらつき遅延データ、図15(d)はランダムばらつき遅延データをそれぞれ示している。
次に、本発明の遅延ライブラリ作成装置の実施の形態の動作について、添付図面を参照して説明する。図16は、本発明の遅延ライブラリ作成装置の実施の形態の動作を示すフロー図である。
(1)ステップS1
遅延ライブラリ作成装置20又は他の制御装置は、測定装置を制御して、図2に示される本発明の電気特性測定回路内のランダムばらつき測定回路11(ペアトランジスタ)の電気特性データを測定する。そして、測定結果をランダムばらつき電気特性データ41として第1記憶部22に記憶する。
(2)ステップS2
応答曲面関数近似部25は、第1記憶部22に格納された半導体ウェハ2上の全てのランダムばらつき測定回路11(ペアトランジスタ)におけるランダムばらつき電気特性データ41を取得する。そして、応答曲面関数近似部25は、ランダムばらつき電気特性データ41とセル遅延をあらわす応答曲面関数gとに基づいて、各ショット領域3に格子状に設定された各測定点ごとに、左側のトランジスタTr1、Tr3から構成されているとみなされる対象回路(図4)における遅延値ΔtL(近似値)と、右側のトランジスタTr2、Tr4から構成されているとみなされる対象回路(図4)における遅延値ΔtR(近似値)とを算出する。これにより、半導体ウェハ2上の全てのランダムばらつき測定回路11の各々に関する遅延値ΔtL、ΔtR(近似値)を含んだランダムばらつき遅延データ42を得ることが出来る。ランダムばらつき遅延データ42は、第1記憶部22に格納される。
(3)ステップS3
統計計算部26は、ランダムばらつき遅延データ42に基づいて、既述の方法((17)式〜(20)式など)により、ランダムばらつき係数(OCVr)43を算出する。ランダムばらつき係数43は、第1記憶部22に格納される。
(4)ステップS4
一方、遅延ライブラリ作成装置20又は他の制御装置は、測定装置を制御して、図3に示される本発明の電気特性測定回路内のシステマティックばらつき測定回路15(並列トランジスタ)の電気特性データを測定する。そして、測定結果をシステマティックばらつき電気特性データ44として第2記憶部24に記憶する。
(5)ステップS5
応答曲面関数近似部27は、第2記憶部24に格納された半導体ウェハ1上の全てのシステマティックばらつき測定回路15(並列トランジスタ)におけるシステマティックばらつき電気特性データ44を取得する。そして、応答曲面関数近似部27は、システマティックばらつき電気特性データ44とセル遅延をあらわす応答曲面関数gとに基づいて、各ショット領域3に格子状に設定された各測定点ごとに、システマティックばらつき測定回路15の並列トランジスタから構成されているとみなされる対象回路(図4)における遅延値ΔtS(近似値)を算出する。これにより、半導体ウェハ2上のシステマティックばらつき測定回路15の各々に関する遅延値ΔtS(近似値)を含んだシステマティックばらつき遅延データ45を得ることが出来る。システマティックばらつき遅延データ45は、第2記憶部24に格納される。
(6)ステップS6
面内傾向・ショット依存ばらつき分離部28は、既述の方法(ウェーブレット解析、フーリエ解析など)により、システマティックばらつき遅延データ45を、ショット依存ばらつき遅延データ46と面内傾向ばらつき遅延データ48とに分離する。ショット依存ばらつき遅延データ46と面内傾向ばらつき遅延データ48は、第2記憶部24に格納される。
(7)ステップS7
統計計算部29は、図13の説明で示した方法により、ショット依存ばらつき遅延データからチップサイズに応じたショット依存ばらつき係数47を作成する。ここでショット依存ばらつき係数47は、図13(c)の曲線C1であっても良い。ショット依存ばらつき係数47は、第2記憶部24に格納される。
(8)ステップS8
統計計算部29は、図14の説明で示した方法により、面内傾向ばらつき遅延データからチップサイズに応じた面内傾向ばらつき係数49を作成する。ここで面内傾向ばらつき係数49は、図14(c)の曲線C2であっても良い。面内傾向ばらつき係数49は、第2記憶部24に格納される。
(9)ステップS9
統計計算部29は、更に、S3で求めたランダムばらつき係数43、S7で求めたショット依存ばらつき係数47、S8で求めた面内傾向ばらつき係数49をそれぞれ自乗して足し合わせ、平方根をとることによって、最終的なばらつき係数50を算出し、出力する。ばらつき係数50は、第2記憶部24に格納される。
以上のように遅延ライブラリ作成装置が動作して、ばらつき係数を算出することが出来る。
その後、遅延ライブラリ合成部30が、上記動作により得られるランダムばらつき係数43(S3)、ショット依存ばらつき係数47(S7)、面内傾向ばらつき係数49(S8)、及び対象となる製品のチップサイズを、互いに関連付けて、半導体装置の設計用の遅延ライブラリ70を合成する。遅延ライブラリ70は、例えば外部の記憶装置(図示されず)に格納される。
図22は、本発明の遅延ライブラリ70の実施の形態の一例を示すテーブルである。図22(a)で示される遅延ライブラリ70は、ランダムばらつき係数65、ショット依存ばらつき係数66、及び面内傾向ばらつき係数67を互いに関連付けている。なお、ここではチップサイズはショット依存ばらつき係数66及び面内傾向ばらつき係数67に含まれている。
ここで、ランダムばらつき係数65は、ランダムばらつき係数43に相当する。半導体ウェハ2につき一つの係数が対応する。ショット依存ばらつき係数66は、ショット依存ばらつき係数47に相当する。半導体ウェハ2につき一つの図13(c)の曲線C1が対応する。面内傾向ばらつき係数67は、面内傾向ばらつき係数49に相当する。半導体ウェハ2につき一つの図14(c)の曲線C2が対応する。ここでは、曲線C1及び曲線C2を、例えばそれぞれ以下の多項式で表現するとする。
C1:UC1(x)=a・x+a・xp−1+a・xp−2+… …(23)
C2:UC2(x)=b・x+b・xp−1+b・xp−2+… …(24)
(x:チップサイズ(一辺の長さ))
このとき、ショット依存ばらつき係数66は、式(23)における各係数(a、a、a、…)を示している。面内傾向ばらつき係数67は、式(24)における各係数(b、b、b、…)を示している。ただし、ショット依存ばらつき係数66及び面内傾向ばらつき係数67の各曲線は多項式で表現することに限定されるものではなく、他の関数やそれらの組み合わせで表現しても良い。
図22(b)で示される遅延ライブラリ70は、ランダムばらつき係数65、システマティックばらつき係数68、及びチップサイズを互いに関連付けている。ただし、以下の式が成り立つものとする。
システマティックばらつき係数
=((ショット依存ばらつき係数)+(面内傾向ばらつき係数)0.5 …(25)
ランダムばらつき係数65は、ランダムばらつき係数43に相当する。半導体ウェハ2につき一つの係数が対応する。システマティックばらつき係数68は、所定のチップサイズに対して、図13(c)の曲線C1から求められたショット依存ばらつき係数66(ショット依存ばらつき係数47に相当)と、図14(c)の曲線C2から求められた面内傾向ばらつき係数67(面内傾向ばらつき係数49に相当)とを用いて、(25)式から求める。半導体ウェハ2につき一つの係数が対応する。表中のL=0.5は、チップの一辺の長さxが、1ショットの一辺Lの0.5倍であることを示す。
なお、遅延ライブラリ70には、例えば、更に、半導体ウェハ2上の位置、ランダムばらつき遅延データ42、ショット依存ばらつき遅延データ46、及び面内傾向ばらつき遅延データ48を互いに関連付けたデータを有していても良い。
次に、上記ステップS3について更に説明する。図17は、ステップS3の詳細を示すフロー図である。
(1)ステップS21
遅延差計算部31は、ランダムばらつき遅延データ42を取得する。そして、各ショット領域3に格子状に設定された各測定点ごとに、得られたランダムばらつき遅延データ42の遅延値ΔtLと遅延値ΔtRとの差を取る。これにより隣接セル遅延差(遅延差(ΔtR−ΔtL))51が得られる。
(2)ステップS22
ランダムばらつき計算部32は、得られた遅延差(ΔtR−ΔtL)に基づいて、既述の(17)式、(18)式により、分散νを各ショット領域3ごとに求める。そして、ランダムばらつき計算部32は、この(17)式で得られた分散νに基づいて、既述の(19)式、(20)式により、ランダムばらつき係数(OCVr)43を算出する。
次に、上記ステップS6について更に説明する。図18は、ステップS6の詳細を示すフロー図である。
(1)ステップS31
ウェハデータ形状変換部33は、システマティックばらつき遅延データ45を取得する。そして、システマティックばらつき測定回路15の各々の遅延値ΔtSについて、図8、図9で示されるようにして、ウェーブレット解析が出来るように半導体ウェハ2上のデータを長方形領域Uに拡張する。
(2)ステップS32
ウェーブレット解析部34は、長方形領域Uに拡張されたデータについて、まず1段階目の離散ウェーブレット解析を行う。それにより、面内傾向ばらつきと[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]とを分離する。ウェーブレット解析では、スケーリング関数として有限基底のBスプライン関数を用いる。結果として、面内傾向ばらつき遅延データ推定値53と[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]遅延データ推定値54とが得られる。それらは、第2記憶部24に格納される。
(3)ステップS33
フーリエ解析部35は、得られた[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]遅延データ推定値54に対して、フーリエ解析を行う。そして、ショット依存ばらつき遅延データ推定値55と、ランダムばらつき遅延データ推定値56とを得る。それらは、第2記憶部24に格納される。
(4)ステップS34
ばらつき計算部36は、得られたランダムばらつき遅延データ推定値55の遅延値(推定値)のランダムばらつき成分について、各ショット領域3ごとに、標本標準偏差(σ)を求める。続いて、その標本標準偏差を各ショット領域3内の遅延値(推定値)の平均で割る。そして、それを全てのショット領域3−1〜3−Nについて平均をとる。これにより、ウェーブレット解析から得たランダムばらつき係数(推定値)57を得る。それは、第2記憶部24に格納される。
(5)ステップS35
ばらつき計算部36は、ここで得られたランダムばらつき係数57と、統計計算部26で得られたランダムばらつき係数43とを比較する。ただし、ここで求めたランダムばらつき係数は(13)式にあるように分散として1/10、標準偏差として1/√10(10−0.5)になっているので、ここで得られたランダムばらつき係数を√10倍(100.5倍)したものと、統計計算部26で得られたランダムばらつき係数OCVrとを比較する。そして、両者の差が所定の範囲に収まっているか否かを判定する。
(6)ステップS36
両者の差が所定の範囲に収まっているない場合(ステップS35:No)、ばらつき計算部36は、処理をステップS32に戻す。この場合、ウェーブレット解析部34は、スケーリング関数を、より台の大きいスケーリング関数とウェーブレット関数に分解することによって、高周波成分と低周波成分とに分解するウェーブレット分解を繰り返す。ここで、低周波成分は、面内傾向ばらつきの成分を示し、高周波成分は、[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]成分を示している。
(7)ステップS37
両者の差が所定の範囲に収まっている場合(ステップS35:Yes)、ばらつき計算部36は、ステップS32でウェーブレット解析部34により算出された面内傾向ばらつき遅延データ推定値を面内傾向ばらつき遅延データとし、フーリエ解析部35で算出されたショット依存ばらつき遅延データ推定値をショット依存ばらつき遅延データとして出力する。
ただし、ステップS35を設けず、ステップS36において、所定の回数だけ処理をステップS32に戻すようにしても良い。所定の回数は、実験的に決定するか、又はシミュレーションにより決定することが出来る。その場合、当該所定の回数経過後において、ステップS32でウェーブレット解析部34により算出された面内傾向ばらつき遅延データ推定値53が面内傾向ばらつき遅延データとなる。また、ステップS33でフーリエ解析部35により算出されたショット依存ばらつき遅延データ推定値55がショット依存ばらつき遅延データとなり、ランダムばらつき遅延データ推定値56がランダムばらつき遅延データとなる。更に、ステップS34でばらつき計算部36により算出されたランダムばらつき係数(推定値)57がランダムばらつき係数となる。
次に、上記ステップS33について更に説明する。図19は、ステップS33の詳細を示すフロー図である。
(1)ステップS40
フーリエ変換部37は、[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]遅延データ推定値54を取得する。そして、[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]遅延データ推定値54について、二次元離散フーリエ変換を行い、[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]フーリエ変換データ59を算出する。それは、第2記憶部24に格納される。
(2)ステップS41
置換部38は、[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]フーリエ変換データ59において、ショット領域3の周期となるような成分を、周囲のフーリエ変換の平均値計算で置き換える。この置き換えにより、[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]フーリエ変換データ59がランダムばらつきフーリエ変換データ推定値60に変換されたと考えることができる。
(3)ステップS42
逆フーリエ変換部39は、ランダムばらつきフーリエ変換データ推定値60について、逆フーリエ変換を行う。この逆フーリエ変換により、ランダムばらつき遅延データ推定値56を得ることが出来る。それは、第2記憶部24に格納される。
(4)ステップS43
差分処理部40は、[ショット依存ばらつき+ランダムばらつき]遅延データ推定値54からランダムばらつき遅延データ推定値56を差し引くことにより、ショット依存ばらつき遅延データ推定値55を得ることが出来る。それは、第2記憶部24に格納される。
このように、本発明の遅延ライブラリ作成装置を用いることでランダムばらつき特性、面内傾向ばらつき特性、ショット依存ばらつき特性に応じたSTAマージンとしての高精度なばらつき係数を得ることができる。
上記のようにして作成される遅延ライブラリ70は、半導体装置(半導体集積回路)の設計に用いることが出来る。図20は、本発明の半導体装置の設計装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。半導体装置の設計装置80は、半導体装置の設計装置80は、ワークステーションやパーソナルコンピュータに例示される情報処理装置である。プログラムとしての論理合成部71、自動レイアウト部72、RC抽出部73、遅延計算部74、STA部75、LVS/DRC部76、及び、プログラムとデータとしてのデータベース77を具備する。
データベース76は、機能既述ファイル81、ネットリスト82、フロアプラン83、ライブラリ84、レイアウトデータ85及びRC付き回路データ86を格納しており、又は、設計途中で作成され格納される。機能記述ファイル81は、Verilog−HDL等のハードウエア記述言語を用いて論理回路の所望の機能を記述したファイルである。ライブラリ84は、構成要素(機能ブロック)のマクロ等や検証用のセル遅延ライブラリ(図示されず)を含み、更に、既述の遅延ライブラリ70を含んでいる。フロアプラン83は、半導体チップ内の大まかな配置情報が格納されている。ネットリスト82は、論理合成工程で合成された論理回路における論理ゲート相互間の接続関係を表したファイルである。レイアウトデータ85は、半導体装置の設計結果を示すファイルである。RC付き回路データ86は、敗戦の抵抗や寄生容量に関する情報を含んだレイアウトデータである。
論理合成部71は、機能記述ファイル81とライブラリ84とに基づいて、論理合成工程を実行し、ネットリスト82を生成する。自動レイアウト部72は、ネットリスト82、フロアプラン83及びライブラリ84に基づいて、自動レイアウト工程を実行し、レイアウトデータ85を生成する。
RC抽出部73は、レイアウトデータ85に基づいて、RC抽出処理により、配線の抵抗と寄生容量の情報を含むRC付き回路データ86を生成する。遅延計算部74は、RC付き回路データ86、ライブラリ84中の検証用のセル遅延ライブラリ(図示されず)に基づいて、遅延計算を実行する。STA(static timing analysis)部75は、遅延計算後のRC付き回路データ86と、ライブラリ84中の上記遅延ライブラリ(図22)70とに基づいて、静的タイミング解析を行う。LVS(Layout Versus Schematic)/DRC(Design Rule Check)部76は、RC付き回路データ86と回路図データ(図示されず)とデザインルールファイル(図示されず)とに基づいて、レイアウトと回路図との一致検証(レイアウト検証)及びデザインルールとの一致検証を実行する。回路図データとデザインルールファイルとは、例えば、設計装置80の記憶部に格納されている。
図21は、本発明の半導体装置の設計方法の実施の形態を示すフロー図である。
まず、論理合成部71が、機能記述ファイル81及びライブラリ84に基づいて、論理合成工程を実行する(S51)。すなわち、論理合成部71が、ライブラリ84に格納された種々の論理ゲートから適切なものを選択し、組み合わせる。それにより、機能記述ファイル81に記述された機能を実現する論理回路を合成する。そのとき、単に論理を合成するだけでなく、合成した論理回路の各信号経路における遅延時間が該当するタイミング制約を満足するように最適化も行う。この最適化により、仕様を満足する動作速度、或いは、更なる高速化を実現する。この最適化に必要な論理ゲートの遅延情報がライブラリ84の遅延ライブラリ70に格納されている。論理合成の結果として、ネットリスト82が出力される。
次に、自動レイアウト部72が、ネットリスト82、フロアプラン83及びライブラリ84に基づいて、自動レイアウト工程を実行し、レイアウトデータ85を生成する(S52)。
その後、RC抽出部73が、レイアウトデータ85に基づいて、RC抽出処理工程を実行し、RC付き回路データ86を生成する(S53)。次に、遅延計算部74は、RC付き回路データ86、ライブラリ84中の検証用のセル遅延ライブラリ(図示されず)に基づいて、遅延計算を実行する(S54)。このとき、上記遅延ライブラリ(図22)70のランダムばらつき遅延データ42、ショット依存ばらつき遅延データ46、及び面内傾向ばらつき遅延データ48を用いることも可能である。それにより、遅延計算をより正確に行うことができる。
その後、STA部75が、遅延計算後のRC付き回路データ86と、ライブラリ84中の上記遅延ライブラリ(図22)70とに基づいて、信号のタイミングが合うか否か等を検証する静的タイミング解析を行う(S55)。本解析により不良となった場合、自動レイアウト工程(S52)に戻り、再設計を実行する。LVS(Layout Versus Schematic)/DRC(Design Rule Check)部76は、RC付き回路データ86と回路図データ(図示されず)とデザインルールファイル(図示されず)とに基づいて、レイアウトと回路図との一致検証(レイアウト検証)及びデザインルールとの一致検証を実行する(S56)。それにより、レイアウトデータが完成する。
以上のように半導体装置の設計方法が実施される。
本発明では、ランダムばらつき係数を、ランダムばらつき測定回路11のペアトランジスタの電気特性から求めている。それにより、システマティックばらつきが含まれない高精度の係数を得ることができる。また、システマティックばらつき係数を、システマティックばらつき測定回路15の並列トランジスタの電気特性から求めている。この並列トランジスタの電気特性はランダムばらつきが少ない。したがって、ランダムばらつきとシステマティックばらつきとを分離するのに、そのばらつき分離の精度を向上させることが出来る。
本発明では、ショット領域3内の格子点上にシステマティックばらつき測定回路15を配置することにより、フーリエ解析の精度を上げ、ばらつき分離の精度をより向上させることができる。
ウェーブレット解析とフーリエ解析とを用いることにより、面内傾向ばらつきとショット依存ばらつきという異なる性質を持つばらつきを分離し、各々から適切な手法(累積度数を用いる)によって係数を作成することが出来る。面内傾向ばらつきは幾分確率的な要素をもつがショット依存性は確率的要素が少ない。
ウェーブレット解析のアナライジングウェーブレットにばらつき形状と類似したBスプライン関数を用いることにより、適切なばらつき分離が出来る。また、そのばらつき分離から得られたランダムばらつき係数とペアトランジスタから得られた正確なランダムばらつき係数とを比較することにより、ウェーブレット解析の適切な解析回数を決めることが出来る。
アナライジングウェーブレットに有限基底のBスプライン関数を用いることによって、基底の数を制限することによる誤差を避けることが出来る。
ウェハーデータの長方形領域の拡張を工夫することによって、ウェハ周辺部での面内傾向分離を過少に見積もることなくできる。
図1は、本発明の電気特性測定回路の実施の形態を示す概略図である。 図2は、本発明の電気特性測定回路の実施の形態におけるランダムばらつき測定回路11を示す構成図である。 図3は、本発明の電気特性測定回路の実施の形態におけるシステマティックばらつき測定回路15を示す構成図である。 図4は、遅延時間を評価する対象回路を示す回路図である。 図5は、本発明の遅延ライブラリ作成装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。 図6は、半導体ウェハ上のデータを長方形の領域のデータに拡張する方法を説明する概略図である。 図7は、SPICEシミュレーションでの条件を示す回路図及びタイミングチャートである。 図8は、半導体ウェハ上のデータを長方形の領域のデータに拡張する方法を説明する概略図である。 図9は、半導体ウェハ上のデータを長方形の領域のデータに拡張した状態を示す概略図である 図10は、有限基底のBスプライン関数を選択した理由について説明する概略図である。 図11は、有限基底のBスプライン関数を選択した理由について説明する概略図である。 図12は、本実施の形態で用いる有限基底Bスプライン関数及びBスプラインウエーブレット関数を示すグラフである。 図13は、チップサイズに応じたショット依存ばらつき係数を作成する方法を説明する概略図である。 図14は、チップサイズに応じた面内傾向ばらつき係数を作成する方法を説明する概略図である。 図15は、分離前後の遅延データの一例を示す概略図である。 図16は、本発明の遅延ライブラリ作成装置の実施の形態の動作を示すフロー図である。 図17は、ステップS3の詳細を示すフロー図である。 図18は、ステップS6の詳細を示すフロー図である。 図19は、ステップS33の詳細を示すフロー図である。 図20は、本発明の半導体装置の設計装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。 図21は、本発明の半導体装置の設計方法の実施の形態を示すフロー図である。 図22は、本発明の遅延ライブラリの実施の形態の例を示すテーブルである。
符号の説明
1 電気特性測定回路
2 半導体ウェハ(基板)
3、3−1〜3−N ショット領域
4、4−1〜4−Q ばらつき測定回路
11 ランダムばらつき測定回路
11n n型ランダムばらつき測定回路
11p p型ランダムばらつき測定回路
12n n型拡散層
12p p型拡散層
15 システマティックばらつき測定回路
15n n型システマティックばらつき測定回路
15p p型システマティックばらつき測定回路
16n n型拡散層
16p p型拡散層
20 遅延ライブラリ作成装置
21 ランダムばらつき解析部
22 第1記憶部
23 システマティックばらつき解析部
24 第2記憶部
25 応答曲面関数近似部
26 統計計算部
27 応答曲面関数近似部
28 面内傾向・ショット依存ばらつき分離部
29 統計計算部
30 遅延ライブラリ合成部
31 遅延差計算部
32 ランダムばらつき計算部
33 ウェハデータ形状変換部
34 ウェーブレット解析部
35 フーリエ解析部
36 ばらつき計算部
37 フーリエ変換部
38 置換部
39 逆フーリエ変換部
40 差分処理部

Claims (19)

  1. 論理回路の回路部品の遅延値が格納されている遅延ライブラリを作成する、コンピュータで実行される方法であって、
    (a)前記回路部品の半導体ウェハ上の第1電気特性データに基づいて、ウェーブレット解析を行うことにより、前記半導体ウェハ面内の位置に依存する第1遅延データと、前記半導体ウェハ面内の位置に依存しないランダムばらつき遅延値と露光処理によって生じる露光依存ばらつき遅延値とを含む第2遅延データとを算出するステップと、
    (b)前記第2遅延データを読み込んでフーリエ解析することにより、前記ランダムばらつき遅延値と前記露光依存ばらつき遅延値とを分離し、それぞれを第3遅延データと第4遅延データとするステップと
    を具備する
    遅延ライブラリ作成方法。
  2. 請求項1に記載の遅延ライブラリ作成方法において、
    前記ウェーブレット解析は、スケーリング関数として、有限基底Bスプライン関数を用いる
    遅延ライブラリ作成方法。
  3. 請求項1又は2に記載の遅延ライブラリ作成方法において、
    前記第1電気特性データは、前記半導体ウェハ上に設定された、複数の単位露光領域の各々内に配置された複数のばらつき測定回路の電気特性を測定した結果であり、
    前記複数のばらつき測定回路の各々は、互いに並列に接続された複数のトランジスタを有する第1測定回路を備える
    遅延ライブラリ作成方法。
  4. 請求項3に記載の遅延ライブラリ作成方法において、
    前記複数のばらつき測定回路の各々は、二つのトランジスタを有する第2測定回路を備え、
    (c)前記第2測定回路の電気特性を測定した結果である第2電気特性データに基づいて、ランダムばらつき遅延値を示す第5遅延データを算出するステップと、
    (d)前記第3遅延データに基づいて算出された第1ランダムばらつき係数と前記第5遅延データに基づいて算出された第2ランダムばらつき係数との相違が所定の範囲に収まらないとき、前記ウェーブレット解析の条件を変更して、前記(a)ステップ及び前記(b)ステップを実行するステップと
    を更に具備する
    遅延ライブラリ作成方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の遅延ライブラリ作成方法において、
    前記(a)ステップにおいて、
    (a1)前記半導体ウェハの格子点における元の第1電気特性データを、長方形状に配置された格子点における前記第1電気特性データに拡張するステップを備え、
    前記拡張のとき、長方形状に配置された格子点のうちの空の格子点は、前記半導体ウェハにおける境界の格子点を中心とする点対称な位置の格子点の前記元の第1電気特性データで埋める
    遅延ライブラリ作成方法。
  6. (e)機能記述ファイル、ライブラリ及びフロアプランに基づいて、レイアウトデータを生成する工程と、
    (f)請求項1乃至5のいずれか一項に記載の遅延ライブラリ作成方法により作成された遅延ライブラリに基づいて、前記レイアウトデータにおけるタイミング検証を実行する工程と
    を具備する
    半導体装置の設計方法。
  7. コンピュータを用いて、論理回路の回路部品の遅延値が格納されている遅延ライブラリを作成する遅延ライブラリ作成装置であって、
    前記回路部品の半導体ウェハ上の第1電気特性データに基づいて、ウェーブレット解析を行うことにより、前記半導体ウェハ面内の位置に依存する第1遅延データと、前記半導体ウェハ面内の位置に依存しないランダムばらつき遅延値と露光処理によって生じる露光依存ばらつき遅延値とを含む第2遅延データとを算出するウェーブレット解析部と、
    前記第2遅延データを読み込んでフーリエ解析することにより、前記ランダムばらつき遅延値と前記露光依存ばらつき遅延値とを分離し、それぞれを第3遅延データと第4遅延データとするフーリエ解析部と
    を具備する
    遅延ライブラリ作成装置。
  8. 請求項7に記載の遅延ライブラリ作成装置において、
    前記ウェーブレット解析は、スケーリング関数として、有限基底Bスプライン関数を用いる
    遅延ライブラリ作成装置。
  9. 請求項7又は8に記載の遅延ライブラリ作成装置において、
    前記第1電気特性データは、前記半導体ウェハ上に設定された、複数の単位露光領域の各々内に配置された複数のばらつき測定回路の電気特性を測定した結果であり、
    前記複数のばらつき測定回路の各々は、互いに並列に接続された複数のトランジスタを有する第1測定回路を備える
    遅延ライブラリ作成装置。
  10. 請求項9に記載の遅延ライブラリ作成装置において、
    前記複数のばらつき測定回路の各々は、二つのトランジスタを有する第2測定回路を備え、
    前記第2測定回路の電気特性を測定した結果である第2電気特性データに基づいて、ランダムばらつき遅延値を示す第5遅延データを算出するランダムばらつき解析部と、
    前記第3遅延データに基づいて算出された第1ランダムばらつき係数と前記第5遅延データに基づいて算出された第2ランダムばらつき係数との相違が所定の範囲に収まらないとき、前記ウェーブレット解析の条件を変更して、前記(a)ステップ及び前記(b)ステップを実行するばらつき計算部と
    を更に具備する
    遅延ライブラリ作成装置。
  11. 請求項7乃至10のいずれか一項に記載の遅延ライブラリ作成装置において、
    前記ウェーブレット解析部は、前記半導体ウェハの格子点における元の第1電気特性データを、長方形状に配置された格子点における前記第1電気特性データに拡張するデータ形状変換部を備え、
    前記データ形状変換部は、前記拡張のとき、長方形状に配置された格子点のうちの空の格子点は、前記半導体ウェハにおける境界の格子点を中心とする点対称な位置の格子点の前記元の第1電気特性データで埋める
    遅延ライブラリ作成装置。
  12. 機能記述ファイル、ライブラリ及びフロアプランに基づいて、レイアウトデータを生成するレイアウト部と、
    請求項7乃至11のいずれか一項に記載の遅延ライブラリ作成装置により作成された遅延ライブラリに基づいて、前記レイアウトデータにおけるタイミング検証を実行するタイミング解析部と
    を具備する
    半導体装置の設計装置。
  13. 半導体ウェハと、
    前記半導体ウェハ上に設定された複数の単位露光領域の各々内に、行列状に配置された複数のばらつき測定回路と
    を具備し、
    前記複数のばらつき測定回路の各々は、互いに並列に接続された複数のトランジスタを有する第1測定回路を備える
    電気特性測定回路。
  14. 請求項13に記載の電気特性測定回路において、
    前記複数のばらつき測定回路の各々は、
    前記第1測定回路の近傍に設けられ、二つのトランジスタを有する第2測定回路を更に備える
    電気特性測定回路。
  15. 論理回路の回路部品の遅延値が格納されている遅延ライブラリを作成する方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    (a)前記回路部品の半導体ウェハ上の第1電気特性データに基づいて、ウェーブレット解析を行うことにより、前記半導体ウェハ面内の位置に依存する第1遅延データと、前記半導体ウェハ面内の位置に依存しないランダムばらつき遅延値と露光処理によって生じる露光依存ばらつき遅延値とを含む第2遅延データとを算出するステップと、
    (b)前記第2遅延データを読み込んでフーリエ解析することにより、前記ランダムばらつき遅延値と前記露光依存ばらつき遅延値とを分離し、それぞれを第3遅延データと第4遅延データとするステップと
    を具備する遅延ライブラリ作成方法をコンピュータに実行させるプログラム。
  16. 請求項15に記載の遅プログラムにおいて、
    前記ウェーブレット解析は、スケーリング関数として、有限基底Bスプライン関数を用いる
    プログラム。
  17. 請求項15又は16に記載のプログラムにおいて、
    前記第1電気特性データは、前記半導体ウェハ上に設定された、複数の単位露光領域の各々内に配置された複数のばらつき測定回路の電気特性を測定した結果であり、
    前記複数のばらつき測定回路の各々は、互いに並列に接続された複数のトランジスタを有する第1測定回路を備える
    プログラム。
  18. 請求項17に記載のプログラムにおいて、
    前記複数のばらつき測定回路の各々は、二つのトランジスタを有する第2測定回路を備え、
    (c)前記第2測定回路の電気特性を測定した結果である第2電気特性データに基づいて、ランダムばらつき遅延値を示す第5遅延データを算出するステップと、
    (d)前記第3遅延データに基づいて算出された第1ランダムばらつき係数と前記第5遅延データに基づいて算出された第2ランダムばらつき係数との相違が所定の範囲に収まらないとき、前記ウェーブレット解析の条件を変更して、前記(a)ステップ及び前記(b)ステップを実行するステップと
    を更に具備する
    プログラム。
  19. 請求項15乃至18のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
    前記(a)ステップにおいて、
    (a1)前記半導体ウェハの格子点における元の第1電気特性データを、長方形状に配置された格子点における前記第1電気特性データに拡張するステップを備え、
    前記拡張のとき、長方形状に配置された格子点のうちの空の格子点は、前記半導体ウェハにおける境界の格子点を中心とする点対称な位置の格子点の前記元の第1電気特性データで埋める
    プログラム。
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