JP2008121090A - 印刷回路用アルミニウム箔 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷回路の生成に際し、エッチング時の化学溶解性が良好で、さらに回路線の際形状が良好となる印刷回路用アルミニウム箔を提供する。
【解決手段】 印刷回路用アルミニウム箔の組成を、Si:0.01〜0.2%、Fe:0.01〜0.5%、Cu:0.01〜0.05%、Ni:0.002〜0.05%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなるものとする。該アルミニウムは、好適には、Niを含む析出物が、104〜106個/cm2の密度で分散しているものとする。エッチングに際し良好な化学溶解性を示し、また、回路線の際形状も鮮鋭性に優れたものとなり、高密度化された回路の形成を良好に行うことが可能になる。
【選択図】なし
【解決手段】 印刷回路用アルミニウム箔の組成を、Si:0.01〜0.2%、Fe:0.01〜0.5%、Cu:0.01〜0.05%、Ni:0.002〜0.05%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなるものとする。該アルミニウムは、好適には、Niを含む析出物が、104〜106個/cm2の密度で分散しているものとする。エッチングに際し良好な化学溶解性を示し、また、回路線の際形状も鮮鋭性に優れたものとなり、高密度化された回路の形成を良好に行うことが可能になる。
【選択図】なし
Description
この発明は、種々の電気機器や電子機器の電気回路に使用することができる印刷回路用アルミニウム箔に関するものである。
電気機器や電子機器に用いられる印刷回路板は、アルミニウム箔と絶縁性樹脂フィルムを接着剤を用いて貼り合せ、次いでアルミニウム箔側に回路を印刷し、印刷されていない金属部分をエッチング除去することにより製造される。
近年、ICカードやICタグへの用途が増加し、更には小型電子機器にも使用されるようになり、回路の高密度化の要求が高まっている。これは、回路線の間隔が狭いことを示し、エッチング時に回路パターンに沿ったエッチングが要求される。つまり、回路線のエッジがギザギザになる事なく、シャープな形状が要求される。
ところで、回路板に用いられるアルミニウム箔は電気抵抗や化学溶解性の点から、一般的にSi+Fe量が0.7%以下である1N30材が用いられており、また、化学溶解性を向上させるためにFeを多く含有させた印刷回路用アルミニウム箔も提供されている(例えば特許文献1参照)。
特開昭61−37942号公報
近年、ICカードやICタグへの用途が増加し、更には小型電子機器にも使用されるようになり、回路の高密度化の要求が高まっている。これは、回路線の間隔が狭いことを示し、エッチング時に回路パターンに沿ったエッチングが要求される。つまり、回路線のエッジがギザギザになる事なく、シャープな形状が要求される。
ところで、回路板に用いられるアルミニウム箔は電気抵抗や化学溶解性の点から、一般的にSi+Fe量が0.7%以下である1N30材が用いられており、また、化学溶解性を向上させるためにFeを多く含有させた印刷回路用アルミニウム箔も提供されている(例えば特許文献1参照)。
IN30材やFeを積極的に増量したアルミニウム箔では、Feが多いため析出物が全面に多数存在し、この析出物がエッチング時の起点となり、溶解性を向上させる。しかし、上記析出物が回路線のエッジに存在していると、その部分で溶解が進行し、回路線の際がギザギザ形状になってしまう。この現象は、回路線の間隔が狭くなればなるほど問題となる。これに対し、析出物量を少なくして純度を高めることが方策として考えられるが、化学溶解性が確保できず、化学パターンに沿った良好なエッチングが難しくなるという問題がある。
本発明では、上記事情を背景としてなされたものであり、エッチングに際し高い化学溶解性が確保されるとともに回路線の際形状の不良を招くことのない印刷回路用アルミニウム箔を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の印刷回路用アルミニウム箔のうち、請求項1記載の発明は、質量%で、Si:0.01〜0.2%、Fe:0.01〜0.5%、Cu:0.01〜0.05%、Ni:0.002〜0.05%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなることを特徴とする。
請求項2記載の印刷回路用アルミニウム箔の発明は、請求項1記載の発明において、Niを含む析出物が、104〜106個/cm2の密度で分散していることを特徴とする。
すなわち、本発明によれば、組成の適切な設定により、回路線の際形状の不良を招くことなく高い化学溶解性が確保される。
以下に、各成分の含有量を定めた理由を説明する。なお、各成分の含有量はいずれも質量%を示すものである(以下、同じ)。
以下に、各成分の含有量を定めた理由を説明する。なお、各成分の含有量はいずれも質量%を示すものである(以下、同じ)。
Si:0.01〜0.2%
Siは、化学溶解性を向上させるため含有させる。ただし、0.01%未満では、相対的な純度が高くなり十分な化学溶解性が確保できない為、好ましくない。一方、0.2%を越えると、Al−Fe系析出物の形成が促進され、回路線に沿ったシャープなエッチングができなくなり、好ましくない。したがって、Si含有量を上記に定める。なお、同様の理由で下限を0.02%、上限を0.15%とするのが望ましい。
Siは、化学溶解性を向上させるため含有させる。ただし、0.01%未満では、相対的な純度が高くなり十分な化学溶解性が確保できない為、好ましくない。一方、0.2%を越えると、Al−Fe系析出物の形成が促進され、回路線に沿ったシャープなエッチングができなくなり、好ましくない。したがって、Si含有量を上記に定める。なお、同様の理由で下限を0.02%、上限を0.15%とするのが望ましい。
Fe:0.01〜0.5%
Feは、化学溶解性を向上させるため含有させる。ただし、0.01%未満では、相対的な純度が高くなり十分な化学溶解性が確保できない為、好ましくない。一方、0.5%を越えると、Al−Fe系析出物の形成が促進され、回路線に沿ったシャープなエッチングができなくなり、好ましくない。したがって、Fe含有量を上記に定める。なお、同様の理由で下限を0.02%、上限を0.30%とするのが望ましい。
Feは、化学溶解性を向上させるため含有させる。ただし、0.01%未満では、相対的な純度が高くなり十分な化学溶解性が確保できない為、好ましくない。一方、0.5%を越えると、Al−Fe系析出物の形成が促進され、回路線に沿ったシャープなエッチングができなくなり、好ましくない。したがって、Fe含有量を上記に定める。なお、同様の理由で下限を0.02%、上限を0.30%とするのが望ましい。
Cu:0.01〜0.05%
Cuはマトリックス中に固溶し易く、マトリックスの電位を高め、均一にエッチングする作用があるため含有させる。ただし、0.01%未満では、マトリックスとの電位を高める作用が不十分の為、好ましくない。一方、0.05%を越えると化学溶解性が高くなり過ぎ、局部溶解を引き起こす為、好ましくない。したがって、Cu含有量を上記に定める。なお、同様の理由で下限を0.02%、上限を0.04%とするのが望ましい。
Cuはマトリックス中に固溶し易く、マトリックスの電位を高め、均一にエッチングする作用があるため含有させる。ただし、0.01%未満では、マトリックスとの電位を高める作用が不十分の為、好ましくない。一方、0.05%を越えると化学溶解性が高くなり過ぎ、局部溶解を引き起こす為、好ましくない。したがって、Cu含有量を上記に定める。なお、同様の理由で下限を0.02%、上限を0.04%とするのが望ましい。
Ni:0.002〜0.05%
NiはNiを含む析出物を形成し、マトリックスに対し貴であることから、化学溶解性を高める作用があるため含有させる。Niを含む析出物は、通常はAlとの間で化合物を形成しているものであり、Al−Ni析出物、Al−Fe−Ni析出物が例示される。 なお、Ni含有量は、0.002%未満では上記作用が不十分の為、好ましくない。一方、0.05%を超えると、粗大、且つ多数の析出物を形成し、化学溶解性が高くなり過ぎ、局部溶解を引き起こす為、好ましくない。したがって、Ni含有量を上記に定める。なお、同様の理由で下限を0.005%、上限を0.03%とするのが望ましい。
NiはNiを含む析出物を形成し、マトリックスに対し貴であることから、化学溶解性を高める作用があるため含有させる。Niを含む析出物は、通常はAlとの間で化合物を形成しているものであり、Al−Ni析出物、Al−Fe−Ni析出物が例示される。 なお、Ni含有量は、0.002%未満では上記作用が不十分の為、好ましくない。一方、0.05%を超えると、粗大、且つ多数の析出物を形成し、化学溶解性が高くなり過ぎ、局部溶解を引き起こす為、好ましくない。したがって、Ni含有量を上記に定める。なお、同様の理由で下限を0.005%、上限を0.03%とするのが望ましい。
析出物密度:104〜106個/cm2
Niを含む析出物は、化学溶解性を向上させるが、106個/cm2を超えて分散すると、回路線のエッジ部に存在する確率が高くなり、シャープな形状が得られ難くなる為、好ましくない。また、化学溶解性を確保するため、104個/cm2以上とするのが望ましい。
Niを含む析出物は、化学溶解性を向上させるが、106個/cm2を超えて分散すると、回路線のエッジ部に存在する確率が高くなり、シャープな形状が得られ難くなる為、好ましくない。また、化学溶解性を確保するため、104個/cm2以上とするのが望ましい。
以上、説明したように本発明の印刷回路用アルミニウム箔は、質量%で、Si:0.01〜0.2%、Fe:0.01〜0.5%、Cu:0.01〜0.05%、Ni:0.002〜0.05%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなるので、エッチングに際し良好な化学溶解性を示し、また、回路線の際形状も良好であるので、高コストを招くことなく高密度化された回路の形成を良好に行うことができる効果がある。また、Niを含む析出物が、104〜106個/cm2の密度で分散していることにより、上記効果は一層顕著なものとなる。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
本発明のアルミニウム箔は、常法により製造することができ、通常は、上記成分に調整した鋳塊を半連続鋳造法、連続鋳造法等により溶製する。該溶製後には、550℃以上で1時間以上の均質化処理を施すのが望ましい。該条件の均質化処理により、Niを含む析出物が均一に分散され、比較的少量の該析出物によって化学溶解性が確保される。均質化処理における加熱温度が550℃未満であったり、加熱時間が1時間未満であったりすると、Niを含む析出物の分布が不均一となりエッチングに際し局部溶解を起こす為、好ましくない。
本発明のアルミニウム箔は、常法により製造することができ、通常は、上記成分に調整した鋳塊を半連続鋳造法、連続鋳造法等により溶製する。該溶製後には、550℃以上で1時間以上の均質化処理を施すのが望ましい。該条件の均質化処理により、Niを含む析出物が均一に分散され、比較的少量の該析出物によって化学溶解性が確保される。均質化処理における加熱温度が550℃未満であったり、加熱時間が1時間未満であったりすると、Niを含む析出物の分布が不均一となりエッチングに際し局部溶解を起こす為、好ましくない。
その後、圧延に供する。圧延は、連続鋳造圧延法のような場合を除けば、通常は熱間圧延と冷間圧延とにより行われ、その間に適宜の熱処理を必要に応じて施す。冷間圧延により所望の厚さとしたアルミニウム箔は、印刷回路の形成に供される。
上記箔は、その後、印刷回路の形成に用いられるものであるが、印刷回路の形成も常法により行うことができる。先ず、上記アルミニウム箔を適宜の材料の回路ベース材に貼り合わせ、このアルミニウム箔に対し、所望の回路パターンに従ってエッチングを施して回路を形成する。このエッチングの際の方法、条件も本発明において特に限定されるものではない。
なお、上記エッチング形成に際しては、本発明のアルミニウム箔を使用することからエッチング性に優れており、良好にエッチングを行うことができ、回路線の線際も鮮鋭性に優れたものとなる。
なお、上記エッチング形成に際しては、本発明のアルミニウム箔を使用することからエッチング性に優れており、良好にエッチングを行うことができ、回路線の線際も鮮鋭性に優れたものとなる。
表1に示す組成(残部Alと不可避不純物)に調整されたスラブを常法により溶製し、該スラブに表1に示す条件で均質化処理を実施した。その後、熱間圧延により7mm厚まで圧延し、更に冷間圧延により50μm厚まで圧延してアルミニウム箔を得た。該アルミニウム箔には、さらに、330℃、6時間の熱処理を実施して供試材とした。該供試材のAl−Ni析出物およびAl−Fe−Ni析出物について、組成像の画像解析により分散密度を測定し、その結果を「析出物密度」の欄において表1に示した。
さらに、各供試材に対し、100μmの線幅で間隔を100μmとしたストライプ状レジストを印刷し、1mol/lの塩酸(60℃)中で供試材を溶解し、所要時間を測定した。また、エッチング後、ストライプ状レジスト印刷部端部からの溶解の入り込み量を計測し、鮮鋭性とした。これらの溶解時間及び鮮鋭性(入り込み量)も表1に示した。
表1に示すように、本発明の供試材は、溶解時間が短く、鮮鋭性も小さい結果が得られており、化学溶解性、回路線の際形状が良好となることが明らかとなった。一方、本発明の範囲外となる比較例では、溶解時間が長かったり、鮮鋭性が大きな値になったりしており、化学溶解性、回路線の際形状のいずれかにおいて不良となった。
Claims (2)
- 質量%で、Si:0.01〜0.2%、Fe:0.01〜0.5%、Cu:0.01〜0.05%、Ni:0.002〜0.05%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなることを特徴とする印刷回路用アルミニウム箔。
- Niを含む析出物が、104〜106個/cm2の密度で分散していることを特徴とする請求項1記載の印刷回路用アルミニウム箔。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006308818A JP2008121090A (ja) | 2006-11-15 | 2006-11-15 | 印刷回路用アルミニウム箔 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009263755A (ja) * | 2008-04-30 | 2009-11-12 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 回路用アルミニウム箔および回路材の製造方法 |
JP2012149289A (ja) * | 2011-01-18 | 2012-08-09 | Mitsubishi Alum Co Ltd | 印刷回路用アルミニウム箔 |
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2006
- 2006-11-15 JP JP2006308818A patent/JP2008121090A/ja active Pending
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