JP2008120999A - 重合体コンポジット - Google Patents

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竜也 松野
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Abstract

【課題】共役系重合体が付着したCNTの良好な分散性を長期間維持できる素材を提供すること。
【解決手段】(a)主鎖の繰り返し構造単位が単環式芳香環、二重結合、三重結合から選ばれる少なくとも一つの構造を有し、末端に芳香族縮合環を有する共役系重合体が表面の少なくとも一部に付着したカーボンナノチューブと、(b)共役系重合体を有する重合体コンポジット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、共役系重合体中にカーボンナノチューブを分散した重合体コンポジット、および重合体コンポジットを半導体層素材として用いた半導体素子、電界効果型トランジスタおよびそれを用いた画像表示装置に関する。
従来、電界効果型トランジスタ(以下、FET素子と言う)は、シリコンやゲルマニウム等の無機半導体を用いており、回路パターンを形成するために、フォトリソグラフィーや真空蒸着等の製造コストのかかるプロセスが何段階もわたって必要だった。このような製造方法を採用してきた半導体産業では製造コスト削減や、表示装置における大面積化の要請が高まっている。しかし、製造装置の制約から無機半導体での低コスト化や大面積化が困難である。
このため、成形性に優れた高分子半導体を半導体層として用いたFET素子が提案されている。高分子半導体を利用したFET素子は、インクジェット法、印刷法などの簡便なプロセスで基板上に半導体層を形成できる可能性がある。上記のプロセスを採用することで、無機半導体を用いた場合と比べて、製造コストを下げられることが期待できる。また、大面積でかつ薄くて軽い集積回路を形成できる可能性があるため、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、ICカードなどへの応用が期待される。
高分子半導体を半導体層としたFET素子の技術としては、ポリアセチレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフラニレンビニレンおよびそれらの置換誘導体から選択されるFET素子(例えば、特許文献1参照)や半導体層が第一のπ共役系高分子からなり、ソース電極が第二のπ共役系高分子から、ドレイン電極が第三のπ共役系高分子から、ゲート電極が第四のπ共役系高分子からなるFET素子(例えば、特許文献2参照)がある。
ここで、FET素子の性能を示す重要な指標として移動度とオンオフ比が挙げられる。移動度の向上は、すなわち、オン電流の増加と駆動速度の高速化を意味する。一方、オンオフ比の向上は、オン電流の増加とともにオフ電流の低減を意味する。これらのようにFET素子のスイッチング特性を向上させることによって、例えば液晶表示装置においては高速駆動化と高階調化を実現させることにつながる。例えば液晶表示装置の場合、移動度0.1cm/V・sec以上、オンオフ比10以上が求められる。
従来の技術では、高分子半導体を半導体層に用いるFET素子は、この移動度とオンオフ比の点で工業的要求に答えられる性能を達成することが困難であった。例えば上記の高分子半導体を用いたFET素子よりも性能の高いものとして、ポリチオフェンおよびその置換誘導体から選択されるFET素子が開示されている(例えば、特許文献3、非特許文献1参照)。その移動度は2.1×10−2cm/V・secと実用性能の観点からはまだ低く、オンオフ比もポリチオフェンをアンモニアに暴露することで最大9×10にまで向上させているものの、要求レベルに対しては不十分であった。
一方で、ポリ−3−ヘキシルチオフェンを用いた電界効果型トランジスタのオンオフ比を向上させる技術として、ポリ−3−ヘキシルチオフェン中に含まれる不純物を超臨界状態のCOを用いて抽出除去する方法(例えば、特許文献4参照)や、ポリ−3−ヘキシルチオフェン中に含まれる低分子量成分を濾過によって除去する方法(例えば、特許文献5参照)が示されている。この方法によってオンオフ比を1.2×10まで向上することが示されているが、工業的要求レベルには不十分であった。
また、移動度とオンオフ比を向上させる他の技術では、半導体層にカーボンナノチューブ(以下、CNTと言う)を分散させた共役系重合体を用いることによって移動度を向上させる方法(例えば、特許文献6〜7参照)が開示されている。一般にCNTはマトリクス材中に分散しにくいという課題があるが、特許文献6〜7に記載された発明では、CNTに共役系重合体を付着させることによって、CNTを良好に分散させることが可能となった。しかしながら、特許文献6〜7に示された共役系重合体を用いると、CNTが良好に分散した溶液が作製できても経時変化によって徐々に凝集してしまい、CNT分散溶液の安定した保存が困難であり、また経時変化したCNT分散溶液と高分子半導体を混合し塗布して得られた塗膜を半導体層に用いたFET素子は、オンオフ比が低下する課題があった。
また、CNTを分散させる他の技術では、CNTに付着させる重合体として可溶化する官能基を含む機能性共役系重合体を用いることで、分散性を向上させる方法(例えば、特許文献8参照)があり、特許文献8には、ポリマー主鎖骨格に縮合環を有する重合体を用いる例が開示されている。しかしながら、主鎖骨格に縮合環を有する共役系重合体は剛直なポリマーであるため、CNTに巻き付くように付着するのが困難である。
CNTを分散させるもう一つの技術として、多核芳香族であるピレンにアンモニウム基を導入した化合物を用いて、CNTを水中に分散・可溶化する方法(例えば、非特許文献2)が知られている。しかし、該技術で用いる溶媒は水であり、多くの高分子半導体が水に不溶であることから、該技術を用いて半導体層中にCNTを分散することはできなかった。
既存の技術において、CNTを分散させた共役系重合体を用いて、FET素子の移動度を向上させる場合、CNT分散溶液の長期保存安定性が低いため、デバイス製造工程において、製造コストの増大に繋がる。しかも素子作製の際、CNT分散溶液を短期間で使用しなくてはいけない等の制約があるため、素子作製について課題があった。
特開昭64−36076号公報(特許請求の範囲) 特開平1−259563号公報(特許請求の範囲) 特開平10−190001号公報(特許請求の範囲) 特開2003−347624号公報(特許請求の範囲) 特開2003−347552号公報(特許請求の範囲) 特開2004−266272号公報(特許請求の範囲) 特開2005−89738号公報(特許請求の範囲) 特開2004−2849号公報(特許請求の範囲) アプライド フィジクス レターズ(Applied Physics Letters)(米国)、1996年、69巻、4108頁 月刊「化学工業」、株式会社化学工業社、2005年10月1日、2005年10月号、47−52頁
上述のように従来の共役系重合体が付着したCNTは、溶媒中での良好な分散性を長期間維持することは困難であった。本発明の目的は、共役系重合体が付着したCNTの良好な分散性を長期間維持できる素材の提供である。
すなわち、本発明は上記本発明の目的を達成するために、以下の構成からなる。
(a)主鎖の繰り返し構造単位が単環式芳香環、二重結合、三重結合から選ばれる少なくとも一つの構造を有し、末端に芳香族縮合環を有する共役系重合体が付着したカーボンナノチューブと、(b)共役系重合体を有する重合体コンポジットである。
本発明によれば、CNTの良好な分散性を長期間維持可能な素材を提供することができ、本CNTと共役系重合体とからなる重合体コンポジットを半導体層として用いることで高移動度、高オンオフ比を示す電界効果型トランジスタを提供することができる。
本発明は、CNTに付着させる共役系重合体の主鎖の繰り返し構造単位が単環式芳香環、二重結合、三重結合から選ばれる少なくとも一つの構造を有しており、さらに共役系重合体の末端に芳香族縮合環を有することを主な特徴としている。以下の説明において、CNTに付着させる上記の構造を有する共役系重合体を共役系重合体Aとする。共役系重合体Aを用いることによって、共役系重合体が付着したCNTの溶媒中における分散が良好となり、加えて長期間良好な分散を持続させることができる。以下に本発明の重合体コンポジットと、半導体素子およびFET素子の具体的な構成を述べる。また、本発明の重合体コンポジットを構成するマトリックス材に相当する共役系重合体を共役系重合体Bとして、以下の説明を行う。
本発明の重合体コンポジットには、末端に芳香族縮合環を有する共役系重合体Aが付着したCNTを用いている。共役系重合体の末端に芳香族縮合環が存在することによって、芳香族縮合環がアンカーのような役割をし、共役系重合体末端とCNTが強く相互作用するため、末端に芳香族縮合環が存在しない場合と比べて、共役系重合体とCNTがより安定なコンプレックスを形成すると考えられる。このため、共役系重合体が付着したCNTの分散性を長期間維持することができる。共役系重合体Aが有する芳香族縮合環は、少なくとも共役系重合体の末端にある必要がある。共役系重合体主鎖骨格中に芳香族縮合環を有する共役系重合体、または側鎖に芳香族縮合環を有する共役系重合体を用いた場合は、CNTの分散性は小さく、FET素子の移動度やオンオフ比の向上は小さい。ここで共役系重合体の末端とは、モノマー単位の繰り返し構造がとぎれる終端部を指す。また、本発明の共役系重合体Aでは、共役系が連続する主鎖の末端に芳香族縮合環が付加しており、主鎖と末端の芳香族縮合環の共役系は連続しているという特徴がある。
共役系重合体の末端にある芳香族縮合環の具体例として、1H−インデン、ナフタレン、サポタレン、カダレン、オイダレン、アズレン、カマズレン、グアイアズレン、ヘプタレン、オクタレンなどの炭素縮合二環系化合物、as−インダセン、s−インダセン、ビフェニレン、アセナフチレン、9H−フルオレン、1H−フェナレン、フェナントレン、レテン、アントラセンなどの炭素縮合三環系化合物、1H−トリンデン、フルオランテン、アセフェナントリレン、トリフェニレン、ピレン、ベンゾピレン、クリセン、テトラフェン、テトラセン、ルブレン、プレイアデン、ピセン、ペリレン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、コラントレン、ヘキサヘリセン、ヘキサフェン、ヘキサセン、ルビセン、コロネン、トリナフチレン、ヘプタフェン、ヘプタセン、ピラントレン、オクタフェン、オクタセン、ノナフェン、ノナセン、オバレン、デカフェン、デカセン、ウンデカセン、ドデカセン、トリデカセン、テトラデカセン、テリレン、ビオラントレン、イソビオラントレン、デカシクレンなどの炭素縮合多環系化合物や、上記炭素縮合環の水素原子の少なくとも一部以上がアルキル鎖やフェニル基などに置換された化合物や、炭素縮合環の炭素原子の少なくとも一部以上が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、リン原子などのヘテロ原子に置換された化合物などが挙げられる。これらの芳香族縮合環のうち、環数が2〜6の芳香族縮合環が好ましく用いられる。共役系重合体が付着したCNTの分散性向上のためには環数は多いほど好ましく、芳香族縮合環を共役系重合体の末端に付加させる合成工程の操作上の都合からは環数は少ないほど好ましい。これらを勘案すると、より好ましい環数は3〜5である。
CNTに付着した共役系重合体Aの主鎖の繰り返し構造単位の構造は、溶液中のCNTの分散性に大きな影響を及ぼす。分散性を向上させるためには、単環式芳香環、二重結合、三重結合から選ばれる少なくとも一つの構造を有する。芳香族縮合環を主鎖に有する共役系重合体は、単環式芳香環を主鎖に有する共役系重合体と比べて、立体障害が大きく、かつ主鎖が剛直であるため、CNTに巻きつくように付着しにくく、溶媒中での分散性は低い。これに対して、共役系重合体の主鎖の繰り返し構造単位の構造が、単環式芳香環、二重結合、三重結合から構成されている場合は、その構造がもたらす立体障害は小さく、フレキシブルで、CNTに付着しやすいので、溶媒中の分散性は高い。一方、単環式芳香環と芳香族縮合環を比べると、芳香族縮合環のπ共役系が単環式芳香環と比べて広がっているので、CNTのπ共役系と広く相互作用して、より強固にCNTと付着する。したがって、共役系重合体の末端に芳香族縮合環を選択することで、共役系重合体の末端がCNTと強固に付着し、共役系重合体の末端とCNTとは剥がれにくく、溶媒中での良好な分散性を長期間維持することができる。
本発明における共役系重合体Aの具体例としては、主鎖の繰り返し構造単位に単環式芳香環を有するポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、主鎖の繰り返し構造単位に二重結合を有するポリアセチレン系重合体、主鎖の繰り返し構造単位に単環式芳香環と二重結合を有するポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、主鎖の繰り返し構造が単環式芳香環と三重結合を有するポリフェニレンエチニレンなどのポリアリーレンエチニレンなどが挙げられる。上記重合体は単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したものも用いられる。また、グラフト重合したものも用いることができる。また、芳香族環にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルデヒド基、エステル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基などの置換基も用いられる。上記重合体の中でも本発明においては、ポリチオフェン系重合体が特に好ましく使用される。
ポリチオフェン系重合体の具体例としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ(3,3”−ジアルキルターチオフェン)、ポリ[5,5’−ビス(3−アルキル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン]、ポリ[2,5−ビス(2−チエニル)−3,4−ジアルキルチオフェン](アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜16)、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン(アルコキシ基の炭素数はとくに制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェン(アルコキシ基およびアルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−チオヘキシルチオフェンやポリ−3−チオドデシルチオフェンなどのポリ−3−チオアルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)が挙げられ、1種もしくは2種以上を用いることができる。中でも、ポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ(3,3”−ジアルキルターチオフェン)、ポリ[5,5’−ビス(3−アルキル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン]、ポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましく、前者としては特にポリ−3−ヘキシルチオフェンが好ましい。またポリチオフェン系ユニットを含む共重合体とは、チオフェンユニットが並んだ間にアリーレンユニット、チエニルチアゾールユニット、チアゾールユニット、または上記のユニットの誘導体をはさんだポリマー等が挙げられ、共役系の連続するものであれば好ましく用いることができる。好ましい分子量は数平均分子量で2000〜100000である。より好ましくは数平均分子量2000〜40000である。また、上記重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、直鎖状共役系からなるオリゴマーであってもよい。適度に分子量を小さくすると、共役系重合体Aの分子1本に占める末端の芳香族縮合環のモル比率が増やせるので、共役系重合体が付着したCNTの分散安定性の効果をより高めることができる。なお、数平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィーで測定し、ポリスチレンの標準試料に換算して求めることができる。
末端に芳香族縮合環を有する共役系重合体Aの製造方法は、一般的に重合性官能基を2つ有するモノマー同士を反応させ、重合を進行させる。この重合中に、芳香族縮合環に重合性官能基を1つ有する化合物を投入することで、末端に芳香族縮合環を有する共役系重合体Aを得ることができる。また、別の方法ではモノマーに異なる2つの重合性官能基を有し、その重合性官能基同士を反応させ重合を進行させる。この重合中に、芳香族縮合環に1つの重合性官能基を有する化合物を投入することで、末端に芳香族縮合環を有する共役系重合体Aを得ることができる。
本発明中の、共役系重合体がCNTの表面の少なくとも一部に付着した状態とは、CNT表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのはそれぞれの共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、被覆されたCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判別できる。定量的には元素分析によって付着物の存在とCNTに対する付着物の重量比を同定することができる。
本発明のCNTに共役系重合体Aを付着させる方法は特に限定されないが、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合させる方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させこの中にCNTを添加して混合させる方法、(III)CNTを溶媒中で予め超音波等で予備分散しておいた所に共役系重合体を添加し混合させる方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合させる方法等が挙げられる。本発明では、何れの方法を単独で用いるか、あるいは何れの方法を組み合わせてもよく、特に限定されない。
また、フィルター(好ましくは0.1μm径)で上記共役系重合体Aが付着したCNTを濾過して捕集し、溶媒を用いてCNTを十分に洗浄することによって、余剰の共役系重合体Aが除去されて共役系重合体Aの付着したCNTのみを得ることができる。
本発明で用いる共役系重合体Bの種類は特に限定されないが、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリチエニレンビニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチアゾール、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリフラン、ポリインドール系のポリマーやその共重合体などが挙げられる。中でも半導体特性の優れたものとしてポリチオフェン系重合体、またはポリチオフェン系ユニットを含む共重合体を用いることが好ましい。ポリチオフェン系重合体とはポリチオフェン構造の骨格を持つ重合体である。ポリチオフェン系重合体の具体例としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェン等のポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ(3,3”−ジアルキルターチオフェン)、ポリ[5,5’−ビス(3−アルキル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン]、ポリ[2,5−ビス(2−チエニル)−3,4−ジアルキルチオフェン]、ポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ〔2,3−b〕チオフェン](アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜16)、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェン等のポリ−3−アルコキシチオフェン(アルコキシ基の炭素数はとくに制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェン等のポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェン(アルコキシ基およびアルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−チオヘキシルチオフェンやポリ−3−チオドデシルチオフェン等のポリ−3−チオアルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンが挙げられ、1種もしくは2種以上を用いることができる。中でも、ポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ(3,3”−ジアルキルターチオフェン)、ポリ[5,5’−ビス(3−アルキル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン]、ポリ[2,5−ビス(3−アルキルチオフェン−2−イル)チエノ〔2,3−b〕チオフェン]、ポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましい。またポリチオフェン系ユニットを含む共重合体とは、チオフェンユニットが並んだ間にアリーレンユニット、チエニルチアゾールユニット、チアゾールユニット、チエノチオフェンユニット、チエニルチエノチオフェンユニット、フルオレンユニット、カルバゾールユニットや、フタロシアニンユニット、ポルフィリンユニットまたは上記のユニットの誘導体をはさんだポリマー等が挙げられ、共役系の連続するものであれば好ましく用いることができる。好ましい分子量は数平均分子量で2000〜200000である。なお、数平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィーで測定し、ポリスチレンの標準試料に換算して求めることができる。また、上記重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、オリゴマーであってもよい。また、共役系重合体BはCNTに付着した共役系重合体Aと同じものであってもよく、また各々の構造の一部が共通するものであってもよい。
本発明で用いる共役系重合体(共役系重合体A、Bともに)の不純物を除去する方法は特に限定されないが、基本的には合成過程で使用した原料や副生成物を除去する精製工程であり、再沈殿法、ソクスレー抽出法、濾過法、イオン交換法、キレート法等を用いることができる。中でも低分子量成分を除去する場合には再沈殿法やソクスレー抽出法が好ましく用いられ、金属成分の除去には再沈殿法やキレート法、イオン交換法が好ましく用いられる。これらの方法のうち、1種を単独で用いるか、あるいは複数を組み合わせてもよく、特に限定はされない。
CNTはアーク放電法、化学気相成長法(以下CVD法とする)、レーザー・アブレーション法等によって作製されるが、本発明に使用されるCNTはいずれの方法によって得られたものであってもよい。また、CNTには1枚の炭素膜(グラッフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT(以下SWCNTという)と、2枚のグラッフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT(以下DWCNTという)と、複数のグラッフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNT(以下MWCNTという)とがあり、本発明においてSWCNT、DWCNT、MWCNTをそれぞれ単体で、もしくは複数を同時に使用できる。特に、SWCNTとDWCNTと直径が15nm以下のMWCNTは導電性および半導体特性において優れた性質を持つので好ましく用いることができるが、中でも特にSWCNTを用いることが好ましい。
本発明の重合体コンポジットに含まれるCNTの重量分率は、半導体特性を得るためには0.01〜3重量%であることが好ましい。なおCNTの重量分率は、重合体コンポジットの全量に対するCNTの重量である。0.01重量%よりも小さい場合には添加の効果が小さく、3重量%より大きい重量分率ではコンポジットの導電率が過剰に増加するため半導体層として用いるには不適当となる。より好ましくは1重量%以下である。1重量%以下にすることで高移動度と高オンオフ比の両立が得やすくなる。このように最適なCNTの重量分率範囲内の重合体コンポジットを用いることによって半導体特性の向上を図ることができる。
本発明の重合体コンポジットの製造方法を説明する。主鎖の繰り返し構造単位が単環式芳香環、二重結合、三重結合から選ばれる少なくとも一つの構造を有し、末端に芳香族縮合環を有する共役系重合体(前記共役系重合体A)とカーボンナノチューブとを混合して、カーボンナノチューブ分散液を作製し、次いで、カーボンナノチューブ分散液と共役系重合体(前記共役系重合体B)を混合する。詳細には、まず、共役系重合体Aが付着したCNT分散液を得るために、例えば、溶媒中に共役系重合体AとCNTを共存させ、超音波照射を行う方法などが採用される。次に、得られた共役系重合体Aが付着したCNT分散液と共役系重合体Bや共役系重合体Bの溶液を混合することで、重合体コンポジットを得ることができる。
重合体コンポジットにおいて、末端に芳香族縮合環を有する共役系重合体AがCNTに付着していることは次の方法で確かめることができる。重合体コンポジット溶液を孔径0.1μmのフィルター上に捕集すると膜状のCNTのシートが得られる。この膜状のCNTを溶媒で洗浄すると、共役経重合体Bは溶解するが、共役経重合体AはCNTに付着しているので溶解しない。すなわち共役系重合体Bと共役経重合体Aが付着したCNTは単離できる。上記で得られたCNTのシートを洗浄した後、Si基板に転写し、X線光電子分光法(XPS)によって解析を行うと、共役系重合体にポリチオフェン系重合体を用いた場合にはチオフェン環の硫黄が検出され、CNT表面に共役系重合体が付着していることが確認できる。また、上述の単離したCNTを例えば、赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴(NMR)スペクトル、マススペクトル、紫外線スペクトルなどの一般の測定方法で、主鎖骨格や末端構造が同定可能であるため、CNTに共役系重合体Aが付着していることが確認できる。
本発明の重合体コンポジットを半導体素子やFET素子の半導体層として用いる場合、塗膜の形態で用いられる場合が多く、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法など何れの方法を用いることができ、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択すればよい。例えばスピンコート塗布を行う場合には重合体コンポジット溶液中のCNTと重合体が含まれる濃度は1〜20g/Lにすると良く、厚み5〜200nmの塗膜を得ることができる。このとき、重合体コンポジットを溶解させる溶媒としてはテトラヒドロフランやトルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどが好ましく用いられる。形成した塗膜に対して、減圧下または不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行ってもよい。
本発明の重合体コンポジットをFET素子に用いる場合、当該重合体コンポジットに用いられるCNTは、長さが少なくともソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いことが必要である。これよりも長い場合、電極間を短絡させる原因となり、FET素子作製には不適当である。そのため、長さが少なくともソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いCNTを用いるか、またはCNTをチャネル長よりも短くする工程を経ることが好ましい。一般に市販されているCNTは長さに分布があり、チャネル長よりも長いCNTが含まれることがある。そこでCNTをチャネル長よりも短くする工程を加えたほうが好ましく、電極間の短絡を確実に防ぐことができる。
本発明で用いられるCNTの直径は特に限定されないが、1nm以上、100nm以下、より好ましくは50nm以下が良好に使用される。
本発明では、共役系重合体Aが付着したCNT分散液をフィルターによって濾過する工程を設けることが好ましい。フィルター孔径よりも小さいCNTを濾液から得ることで、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも短くしたCNTを効率よく得られることができる。
濾過に用いるフィルターは、チャネル長よりも小さい孔径を有するフィルターであれば、メンブレンフィルター、セルロース濾紙、ガラス繊維濾紙など何れの種類のフィルターも用いることができる。中でもメンブレンフィルターは、濾紙内部で吸着されるCNTの量を減らすことができるので、濾液から収率よくCNTを回収できるので好ましく用いることができる。
濾過に用いるフィルターの孔径は、チャネル長よりも小さければ良く、例えばチャネル長が20μmの場合は、孔径10μmのフィルターを用いることで電極間の短絡を確実に防ぐことができる。実際には孔径0.5〜10μmのフィルターを好ましく用いることができ、チャネル長に応じて使い分けることができる。
他にCNTを短小化する方法として、酸処理によってCNTそのものを短くする方法が知られており、本発明に用いることができる。この場合、CNTを硫酸と硝酸との混酸の中に加え、超音波照射するか、100℃以上の熱処理をすることで短小化されたCNTを得ることができる。また、過酸化水素水中で加熱する方法も用いることができる。これらの方法を行った場合は、後処理として孔径0.1〜1μmのフィルターを用いて処理されたCNTを濾別し、水洗することで、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも小さくしたカーボンナノチューブを得ることができる。
また、別の方法では凍結粉砕工程を経て、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも小さくしたカーボンナノチューブを得ることができる。
図1、図2は、本発明のFET素子の例を示す模式断面図である。絶縁層3で覆われたゲート電極2を有する基板1上に、図1では通常のフォトリソグラフィー技術および真空蒸着法やスパッタリング法を用いて金等のソース電極5およびドレイン電極6が形成された後、スピンコート法によってCNTが分散している共役系重合体の半導体層4が形成されている。このような構成のFET素子をボトムコンタクト型という。また、図2では前記基板上にスピンコート法によってCNTが分散している有機高分子半導体の半導体層4が形成された後、マスク蒸着法等によって金等のソース電極5およびドレイン電極6が形成されている。このような構成のFET素子をトップコンタクト型という。
半導体層4の膜厚は特に限定されないが、10nm以上であれば移動度をよる向上することができ好ましい。一方、膜厚を100nm以下とすることでより高いオンオフ比を得ることができ好ましい。
基板1としては、例えば、シリコンウエハー、ガラス、アルミナ焼結体等の無機材料、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料が使用可能である。
ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6としては、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン、低抵抗ポリシリコン、低抵抗アモルファスシリコン等の金属や錫酸化物、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、白金シリサイド、インジウムシリサイド等の無機化合物、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)、CNTや共役系重合体が付着したCNT等の有機化合物が使用できる。これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
上記ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6は蒸着、スパッタリング、めっき、各種CVD成長、スピンコート法とフォトリソグラフィー技術やエッチング等のいわゆる半導体プロセス技術、クラスタイオンビーム蒸着等により形成することができる。
前記の絶縁層3(ゲート絶縁膜)に用いる材料として、具体的には酸化シリコン、アルミナ等の無機材料、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルフェノール、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリマレイミド、または、上記の共重合体等の有機高分子材料、あるいは無機材料粉末と有機高分子材料の混合物を用いることができる。上記絶縁層は一種類でも複数種併用することもできる。上記絶縁層は、スパッタリング、蒸着、スピンコート法等により形成することができる。
また、半導体層に隣接して、配向を付与する機能を持つ配向性層を有することや絶縁層上に表面処理を行うことも可能である。配向性層や表面処理剤には、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ヘテロ有機酸など、公知の技術を用いることができる。
本発明の重合体コンポジットは各種有機半導体材料や薄膜の電界効果型トランジスタ、光起電力素子、スイッチング素子など、各種デバイスに使用されうるが、特に液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置等の画像表示装置の駆動素子としての利用が可能である。
図3は、本発明のFET素子を用いたアクティブマトリクス駆動型液晶表示装置の一例を示す模式断面図である。複数の並行電極(アドレス配線7)と複数の並行電極(データ配線8)とからなるマトリックス表示型の液晶表示装置で、マトリックス配線の交点に本発明のFET素子が形成されている。このFET素子を介して前記データ配線8と接続された画素電極9とこの電極に対向する対向電極13とによって挟持された液晶分子11からなる液晶層を駆動することによりマトリックス表示される。この際、FET素子のソース電極とドレイン電極間に設けた有機半導体層4の導電性を、絶縁層3を介して設けたゲート電極2によって制御し、液晶を駆動するものである。
本発明によれば、液晶表示装置のように大面積の基板上に容易にFET素子を形成することができる。ゲートに印加する電圧によってソース・ドレイン間電流を大きく変調することができ、高階調性が得られその動作も安定しているので、優れたマトリックス型の液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また実施例で評価したFET素子の移動度は、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流をゲート電圧を変化させることによって制御することができ、その特性から下記の(1)式を用いて移動度を算出することができる。
μ=(δId/δVg)L・D/(W・ε・ε・Vsd) (1)
ただしIdはソース・ドレイン間の電流、Vsdはソース・ドレイン間の電圧、Vgはゲート電圧、Dは絶縁層の厚み、Lはチャネル長、Wはチャネル幅、εは絶縁層の比誘電率(ここではSiOの3.9を使用)、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)である。
また、実施例等で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
P3HT:ポリ(3−ヘキシルチオフェン)
PY−P3HT:末端にピレン環を有するポリ(3−ヘキシルチオフェン)
BPy−P3HT:末端にベンゾピレン基を有するポリ(3−ヘキシルチオフェン)
Pht−P3HT:末端にフェナントレン基を有するポリ(3−ヘキシルチオフェン)
PTFE:4フッ化エチレン。
実施例1
不活性アルゴン雰囲気下、ナス型フラスコに2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン842mg(2.6mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(THF)25mlに溶解させた。次に1mol/lのt−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液を2.7ml加えた。オイルバスによって系中を加熱し、還流させた。2時間還流後、放冷し、2mmol/lの(1,3−ビス[ジフェニルホスフィノ]プロパン)ジクロロニッケル(II)のTHF溶液を2.6ml加えた。6時間攪拌後、別のナス型フラスコで調製した1.3mol/lのブロモマグネシウムピレンのTHF溶液を1ml加えて、室温で13時間攪拌後、6時間還流した。得られた溶液をメタノール600ml、0.1Nの塩酸400mlに投入した。メンブレンフィルターで濾過物を捕集した。得られた濾過物をメタノール、ヘキサン、塩化メチレン、クロロホルムの順でソクスレー抽出を行い、得られたクロロホルム溶液をエバポレーターによって濃縮し、溶液をメンブレンフィルターによって濾過を行い、濾液をメタノール300mlと0.1規定塩酸100mlの混合溶液の中に投入した。得られたポリマーを濾別捕集し、メタノールで洗浄し、真空乾燥により溶媒を除去した。この操作を2回繰り返し、PY−P3HTを精製した。
精製後の得られたPY−P3HTをゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法を用いた絶対検量線法によって、重量平均分子量と数平均分子量を決定した。なお、GPC装置はクロロホルムを送液したTOSOH社製、高速GPC装置HLC−8220GPCを用いた。重量平均分子量は51700、数平均分子量は36100、分子量分布は1.43であった。こうして得られた末端にピレン環を有するポリ(3−ヘキシルチオフェン)(PY−P3HT)の構造を下記に示す。
Figure 2008120999
ポリ−3−ヘキシルチオフェン(アルドリッチ社製、レジオレギュラー、以下P3HTと略す)100mgをクロロホルム5mlの入ったフラスコの中に加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2、出力120W)中で超音波撹拌することによりP3HTのクロロホルム溶液を得た。次いでこの溶液をスポイトにとり、メタノール20mlと0.1規定塩酸10mlの混合溶液の中に0.5mlずつ滴下して、再沈殿を行った。固体になったP3HTを0.1μm孔径のPTFE製メンブレンフィルターによって濾別捕集し、メタノールでよくすすいだ後、真空乾燥により溶媒を除去した。さらにもう一度溶解と再沈殿を行い、90mgの再沈殿P3HTを得た。
次に、CNT(CNI社製、単層CNT、純度95%、以下単層CNTという)1.5mgと、PY−P3HT1.5mgを30mlのクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザー(SONICS社製VCX−500)を用いて出力250Wで29分間超音波攪拌した。その後、さらにPY−P3HT1.5mgを加えて、超音波ホモジナイザーを用いて出力250Wで1分間超音波攪拌することで単層CNTが分散された単層CNT分散液Aを得た。さらに得られたCNT分散液A4mlにクロロホルム6mlを加え、ついで分散液を孔径10μmのPTFE製メンブレンフィルターを用いてろ過を行い、長さ10μm以上の単層CNTを除去した。得られたろ液をCNT分散液Bとする。CNT分散液BにはCNTの凝集が確認されず、目視において透明であることが確認できた。また、CNT分散液Bを76日間放置した後もCNTの凝集は確認されず、目視において透明であることが確認できた。
CNT分散液B0.6ml中にP3HTを3mg加え、液温を35℃にして超音波洗浄機で30分間超音波攪拌し、クロロホルムを0.4ml加え、重合体コンポジットの溶液を得た。重合体コンポジット溶液に含まれるCNTの重量分率は0.4重量%である。
次いで、上述の重合体コンポジットの溶液をスピンコート塗布(1000rpm×0.3秒)して、図1に示すFET素子を作製した。基板1は熱酸化膜(膜厚300nm)付きのアンチモンドープシリコンウエハー(抵抗率0.02Ωcm以下)であり、基板であると同時に、ゲート電極2であり、熱酸化膜は絶縁層3となる。次に以下の手順に基づき、金のソース電極5およびドレイン電極6を形成した。熱酸化膜付きのシリコンウエハー上にポジ型レジスト溶液を滴下し、スピナーを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで乾燥し、レジスト膜を形成した。次いで露光機を用いて、フォトマスクを介した紫外線照射を行った。次いでレジスト膜の付いたウエハーをアルカリ水溶液に浸漬し、紫外線照射部を除去し、櫛形電極が抜けた形状になっているレジスト膜を得た。真空蒸着は、前述のレジスト膜付きのウエハー上に、クロムを厚み5nmになるよう蒸着し、次いで金を厚み45nmになるように蒸着した。次いで、金/クロムとレジストの付いたウエハーをアセトン中に浸漬し、超音波洗浄機で超音波照射することによって、レジスト上の余分な金/クロムを除去した。このようにして、ウエハー上に金の両櫛形電極を形成した。
これら両電極の幅(チャネル幅)は0.5cm、両電極の間隔(チャネル長)は20μm、電極高さは50nmとした。電極が形成された基板上に上述の重合体コンポジットの溶液を0.1ml滴下し、スピンコート塗布(1000rpm×0.3秒)によって厚み25nmの半導体層を形成した。電極にリード線を取り付けた後、得られた素子を真空オーブン中で110℃、2時間の熱処理を行い、50℃以下になるまで徐冷してから大気解放し、FET素子を測定ボックスに移動させ、真空中で静置した。
次に、上記FET素子のソース・ドレイン間電圧(Vsd)をVsd=−5Vと一定にし、ゲート電圧(Vg)を+50V→−50Vと変化させながらソース・ドレイン間電流(Id)−ゲート電圧(Vg)特性を測定した。測定にはヒューレット・パッカード社製ピコアンメータ/ボルテージソース4140Bを用い、真空下で測定した。Vg=+50V→−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.4×10−2cm/V・secであった。また、マイナスの値を示すIdの最大値と最小値の比をオンオフ比として計算したところ、1.9×10であった。
次に調製後76日間放置したCNT分散液Bを用いて、実施例1と同様のFET素子を作製し、評価を行ったところ、移動度は2.0×10−2cm/V・sec、オンオフ比は3.2×10であった。
実施例2
ブロモマグネシウムピレンの代わりにブロモマグネシウムベンゾピレンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行ってBPy−P3HTを合成した。精製したBPy−P3HTの重量平均分子量は54500、数平均分子量は34500、分子量分布は1.58であった。こうして得られた末端にベンゾピレン基を有するポリ(3−ヘキシルチオフェン)(BPy−P3HT)の構造を下記に示す。
Figure 2008120999
次に、PY−P3HTの代わりにBPy−P3HTを用いた以外は実施例1と同様の操作を行ってCNT分散液を調製した。希釈とろ過を行った分散液をCNT分散液Eとした。CNT分散液Eは、調製直後、および調製から76日経過した後も、凝集や沈澱はなく、CNTは良好に分散していた。
次いで、CNT分散液Bの代わりにCNT分散液Eを用いた以外は実施例1と同様の操作を行ってFET素子を作製した。該素子の電流電圧特性から移動度およびオンオフ比を求めたところ、移動度は1.1×10−2、オンオフ比は3.0×10であった。
調製後76日を経過したCNT分散液Eを用いて上記と同様のFET素子を作製した。
該素子の電流電圧特性から移動度およびオンオフ比を求めたところ、移動度は2.1×10−2、オンオフ比は2.0×10であった。
実施例3
ブロモマグネシウムピレンの代わりにブロモマグネシウムフェナントレンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行ってPht−P3HTを合成した。精製したPht−P3HTの重量平均分子量は49500、数平均分子量は29100、分子量分布は1.70であった。こうして得られた末端にフェナントレン基を有するポリ(3−ヘキシルチオフェン)(Pht−P3HT)の構造を下記に示す。
Figure 2008120999
次に、PY−P3HTの代わりにPht−P3HTを用いた以外は実施例1と同様の操作を行ってCNT分散液を調製した。希釈とろ過を行った分散液をCNT分散液Fとした。CNT分散液Fは、調製直後、および調製から76日経過した後も、凝集や沈澱はなく、CNTは良好に分散していた。
次いで、CNT分散液Bの代わりにCNT分散液Fを用いた以外は実施例1と同様の操作を行ってFET素子を作製した。該素子の電流電圧特性から移動度およびオンオフ比を求めたところ、移動度は2.0×10−2、オンオフ比は1.9×10であった。
調製後76日を経過したCNT分散液Eを用いて上記と同様のFET素子を作製した。
該素子の電流電圧特性から移動度およびオンオフ比を求めたところ、移動度は1.8×10−2、オンオフ比は1.2×10であった。
比較例1
CNT1.5mgと、実施例1で精製したP3HT1.5mgを30mlのクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザーを用いて出力250Wで29分間超音波攪拌した。その後、さらにP3HT1.5mgを加えて、超音波ホモジナイザーを用いて出力250Wでさらに1分間超音波攪拌することで単層CNT分散液Cを得た。用いたP3HTの末端構造はチオフェン環であり、末端に共役系縮合環を有していない。さらに得られたCNT分散液C4mlにクロロホルム6mlを加え、ついで分散液を孔径10μmのPTFE製メンブレンフィルターを用いてろ過を行い、長さ10μm以上の単層CNTを除去した。得られたろ液をCNT分散液Dとする。CNT分散液Dは目視において透明性の高い溶液であった。しかし、CNT分散液Dを76日間放置した後はCNTが凝集しており、懸濁状態であることが目視で確認された。
CNT分散液D0.6ml中にP3HTを3mg加え、液温を35℃にして超音波洗浄機で30分間超音波攪拌し、クロロホルムを0.4mL加え、重合体コンポジットの溶液を得た。重合体コンポジット溶液に含まれるCNTの重量分率は0.4重量%である。
次にCNT分散液Dを用いて、実施例1と同様のFET素子を作製し、評価を行ったところ、移動度は2.3×10−2cm/V・sec、オンオフ比は2.4×10であった。次に調製後76日間放置したCNT分散液Dを用いて、実施例1と同様のFET素子を作製し、評価を行ったところ、移動度は3.1×10−2cm/V・sec、オンオフ比は6.8×10であった。
各実施例および比較例の評価結果を表1に示す。
Figure 2008120999
本発明の重合体コンポジットおよび重合体コンポジットから得られた薄膜は有機半導体を含有する電界効果型トランジスタや、その他有機トランジスタに用いられる。
本発明の一態様であるFET素子(ボトムコンタクト型)を示した模式図 本発明の別の態様であるFET素子(トップコンタクト型)を示した模式図 本発明のFET素子を用いたアクティブマトリクス駆動型液晶表示装置を示した模式図
符号の説明
1、14 基板
2 ゲート電極
3 絶縁層
4 半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7 アドレス配線
8 データ配線
9 画素電極
10、12 配向膜
11 液晶分子
13 対向電極

Claims (8)

  1. (a)主鎖の繰り返し構造単位が単環式芳香環、二重結合、三重結合から選ばれる少なくとも一つの構造を有し、末端に芳香族縮合環を有する共役系重合体が表面の少なくとも一部に付着したカーボンナノチューブと、(b)共役系重合体を有する重合体コンポジット。
  2. (a)のカーボンナノチューブに付着した共役系重合体がポリチオフェン系重合体である請求項1記載の重合体コンポジット。
  3. カーボンナノチューブの含有率が0.01〜3重量%である請求項1記載の重合体コンポジット。
  4. カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである請求項1記載の重合体コンポジット。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の重合体コンポジットを半導体層として搭載した半導体素子。
  6. ゲート電極、絶縁層、請求項1〜4のいずれか記載の重合体コンポジットから形成される半導体層、ソース電極およびドレイン電極を有する電界効果型トランジスタ。
  7. 一対の対向する基板上に複数の並行電極を対向させてマトリックス状に配し、該マトリックス電極の交点に請求項6記載の電界効果型トランジスタを配置して画素を駆動するアクティブマトリクス駆動型の画像表示装置。
  8. 主鎖の繰り返し構造単位が単環式芳香環、二重結合、三重結合から選ばれる少なくとも一つの構造を有し、末端に芳香族縮合環を有する共役系重合体と、カーボンナノチューブとを混合して、カーボンナノチューブ分散液を作製し、次いで、カーボンナノチューブ分散液と共役系重合体を混合する重合体コンポジットの製造方法。
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