JP2007077258A - 重合体コンポジット - Google Patents

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Abstract

【課題】高移動度かつ高オンオフ比を示す有機トランジスタに用いられる有機半導体素材を提供する。
【解決手段】サイズ排除クロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が30000以上かつ分子量分布が2.4以下の共役系重合体と、カーボンナノチューブを有する重合体コンポジット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、共役系重合体中にカーボンナノチューブを分散した重合体コンポジット、および重合体コンポジットを半導体層素材として用いたトランジスタ素子等の半導体素子に関する。
カーボンナノチューブ(以下、CNTと略す)はナノテクノロジーの有力な素材として、広範な分野で応用の可能性が検討されている。CNTの用途として、トランジスタや顕微鏡用プローブに用いられるように、CNTの単線を使用する方法や、電子放出電極や燃料電池用電極、あるいはCNTを含有した導電性コンポジットなどのように多数のCNTをまとめてバルクとして使用する方法がある。バルクとして使用する場合には、一般にはマトリクス材としてポリマー、金属、セラミックスに混合させて使用される。ポリマーは一般に電気的には絶縁体であるが、CNTを混合させることによってポリマーに導電性を付与することができる(特許文献1参照)。しかしながら、この技術においては、用いるポリマーが絶縁体であるため、該特許のマトリクス材となるポリマーがいかなる分子量や分子量分布であっても、半導体特性を付与することはできない。一方、マトリクス材に例えば有機半導体である共役系重合体を選ぶ(特許文献2参照)とCNTの添加によって、共役系重合体の半導体特性を向上させることができる。
一方で、これまでの半導体は、主にシリコンや化合物半導体が用いられているが、これらの素材では半導体を作製する際、高真空下、高温下の製造プロセスが不可欠であり、製造コストの低減が困難である。これに対して、元来塗液にすることができる有機物素材を半導体に使用することができれば、常圧下、常温下の製造プロセスが可能となり、大幅なコスト削減が期待される。さらに、有機半導体はスピンコート法や印刷法などのウエットプロセスによって成膜可能であるため、素子のアレイの大面積化が容易となることも期待される。
有機半導体の素材としては、ペンタセンなどの低分子の縮合化合物を基板に蒸着させて半導体薄膜を得る方法や(特許文献3参照)、共役系重合体の溶液を基板に塗布して半導体薄膜を形成する方法が知られている(特許文献4参照)。さらにこれらの半導体素材を用いて電界効果型トランジスタ(以下、FET素子という)等の半導体素子の開発が現在活発に進められている。
特に共役系重合体を用いた有機半導体は、常温、常圧でかつ塗布法による半導体素子を作製することができるので、コスト的にも大面積化にもメリットがある。有機半導体を半導体層としたFET素子の技術としては、主鎖が環状π共役系構造の共役系重合体からなるFET素子(特許文献5参照)や側鎖に液晶性置換基が導入された重合体からなるFET素子(特許文献6参照)などが開示されている。
ここで、FET素子の性能を示す重要な指標として移動度とオンオフ比が挙げられる。移動度の向上は、すなわち、駆動速度を速めかつ、オン電流増加することを意味する。一方、オンオフ比の向上は、オン電流が増加するとともにオフ電流が減少することを意味する。これらはどちらもFET素子のスイッチング特性が向上することであり、例えば液晶表示装置においては高階調を実現させることにつながる。一般に液晶表示装置の場合、移動度0.1cm/V・sec以上、オンオフ比10以上が求められる。
従来、有機半導体を半導体層に用いるFET素子は、この移動度とオンオフ比の点で工業的要求に答えられる性能を達成することが困難であった。
有機半導体の移動度を向上させるために、分子量の高い共役系重合体を用いる方法が開示されている(非特許文献1参照)。共役系重合体の分子量を高くすることによって、共役系を伸ばし移動度を向上させているが、さらに例えば重量平均分子量で20万程度の高分子量体になると分子の配向性が低くなる傾向がある。そのため、分子間の電荷の移動が起こりにくくなり、移動度の向上が抑えられ、この技術では高い移動度を有する有機半導体を得ることが困難であった。さらに、共役系重合体中へCNTを分散した重合体コンポジットを半導体層に用いたFET素子(特許文献7参照)においても、CNTを重合体へ分散させることによって高分子半導体の移動度を高めることができるが、無機半導体と同程度の高い移動度は達成できていない。
特表2005−521782号公報(請求項1) 特開2003−292801号公報(請求項1) 特開2001−94107号公報(0057段) 特開平5−326923号公報(0008段) 特開平1−259563号公報(請求項1) 特開2003−119255号公報(0207段) 特開2004−266272号公報(請求項1) Advanced Materials誌 vol.15,p.1519(2003)
上述のように、従来の有機半導体を半導体層として用いた電界効果トランジスタは、その有している特性である移動度やオンオフ比が十分ではなかった。本発明の目的は、有機半導体層の移動度とオンオフ比の両方を向上させる素材を提供する。
すなわち、本発明はサイズ排除クロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が30000以上かつ分子量分布が2.4以下の共役系重合体と、カーボンナノチューブを有する重合体コンポジットであり、それを用いた半導体素子および電界効果型トランジスタである。
本発明によって得られた重合体コンポジットを半導体層として用いた電界効果型トランジスタは、移動度、オンオフ比が向上する。
本発明は、サイズ排除クロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が30000以上かつ分子量分布が2.4以下の共役系重合体と、CNTを有する重合体コンポジットである。以下に重合体コンポジットと、FET素子の具体的な構成を述べる。
本発明は、サイズ排除クロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が30000以上かつ分子量分布が2.4以下の共役系重合体を用いることが必要である。構造体の異なる共役系重合体は、それぞれ移動度が異なるが、上記の範囲の共役系重合体とCNTの重合体コンポジットをFET素子に用いることによって、同じ構造体で上記の範囲外の共役系重合体とCNTの重合体コンポジットをFET素子に用いる場合に比べて、移動度が向上する。また、それぞれの共役系重合体には、移動度やオンオフ比の他に大気安定性などの優れた特徴を有するものもある。上記の範囲の共役系重合体とCNTの重合体コンポジットを選ぶことで、その優れた特徴を維持したまま、移動度の向上が可能となる。
重量平均分子量が30000以上であると、共役系が伸び移動度向上の効果が顕著に現れる。しかしながら重量平均分子量が20万程度の高分子量体になると、分子の配向性が低くなる傾向がある。そのため、分子間の電荷の移動が起こりにくくなり、移動度の向上が抑えられる。そこで、配向性を高くするために、分子量を揃える、すなわち分子量分布を狭くし、本発明においては分子量分布を2.4以下とすることで配向性が増し、移動度向上を達成することができる。
重量平均分子量が30000未満であると、共役系重合体の共役が短くなり、また、分子量分布が2.4を越えると、共役系重合体の配向性が低くなり、FETの移動度を0.1cm/Vs以上にすることが困難になる。ここで、重量平均分子量が30000以上かつ分子量分布が2.4以下の共役系重合体にCNTを分散させると、従来のCNTを分散させた重合体コンポジットに比べて、配向性がより高くなると考えられ、FET特性が向上する。本発明において用いる共役系重合体の重量平均分子量の上限は、膜形成の容易さから溶媒に可溶な範囲であればよく、重量平均分子量で500000以下であり、より好ましくは200000以下である。
なお、本発明において重量平均分子量はサイズ排除クロマトグラフィーで測定し、ポリスチレンの標準試料に換算して求める。また分子量分布はサイズ排除クロマトグラフィーで測定した重量平均分子量を数平均分子量で除した値から求める。
本発明に用いられる共役系重合体の種類は特に限定されないが、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリ−p−フェニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリピレン、ポリカルバゾール、ポリフラン、ポリインドール系のポリマーが挙げられる。中でも半導体特性の優れたものとしてポリチオフェン系重合体、またはポリチオフェン系ユニットを含む共重合体を用いることが好ましい。ポリチオフェン系重合体とはポリチオフェン構造の骨格を持つ重合体に側鎖が付いた構造を有するポリアルキルチオフェンである。具体例としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェン等のポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ(3,3”−ジアルキルターチオフェン)、ポリ[5 ,5 ’−ビス(3−アルキル−2−チエニル−2,2 ’−ジチオフェン)、ポリ[2 ,5−ビス(2−チエニル)−3 ,4−ジアルキルチオフェン]、(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜16)、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェン等のポリ−3−アルコキシチオフェン(アルコキシ基の炭素数はとくに制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェン等のポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェン(アルコキシ基およびアルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−チオヘキシルチオフェンやポリ−3−チオドデシルチオフェン等のポリ−3−チオアルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3、4−エチレンジオキシチオフェンが挙げられ、1種もしくは2種以上を用いることができる。中でも、ポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ(3,3”−ジアルキルターチオフェン)、ポリ[5 ,5 ’−ビス(3−アルキル−2−チエニル−2,2 ’−ジチオフェン)、ポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましい。またポリチオフェン系ユニットを含む共重合体とは、チオフェンユニットが並んだ間にアリーレンユニット、チエニルチアゾールユニット、フルオレンユニット、カルバゾールユニットや、フタロシアニンユニット、または上記のユニットの誘導体をはさんだポリマー等が挙げられ、共役系の連続するものであれば好ましく用いることができる。
本発明において用いられる上記のポリチオフェン系重合体の側鎖の結合様式は、レジオレギュラーな構造を有するものが好ましく、少なくとも80%以上のレジオレギュラリティーを有するものが好ましく用いられる。レジオレギュラリティーとは、複数並んだモノマーユニットにおいて、側鎖の方向がどれだけ一方向に規則正しく並んで連結しているかを表す指標である。レジオレギュラリティーは核磁気共鳴分光装置(NMR)によって定量することが可能であり、レジオレギュラーの割合が高いほど良好な半導体特性を得ることができる。本発明では以上のように共役系重合体の主鎖の立体構造や側鎖置換基の配列を制御してもよい。
本発明で用いる重量平均分子量が30000以上かつ分子量分布が2.4以下の共役系重合体は、例えば、Advanced Materials誌 vol.11,p.250(1999)記載の方法やMacromolecules誌 vol.37,p.1169(2004)記載の方法で、連鎖重合することによって、重合時よりある程度、分子量分布が揃った重合体を得る方法や、サイズ排除クロマトグラフィーによって分子量の分離を行い、分離した重合体を捕集する方法や、また、再沈殿法やソクスレー精製により、数千〜1万程度の分子量の重合体を除去する方法などを用いて、得ることができる。ソクスレー精製を行う際は、精製される共役系重合体によって、数千〜1万程度の分子量の重合体を溶解させる溶媒を選択する。例えば、ポリチオフェン系重合体の場合、数千〜1万程度の分子量の重合体のみを除去し、高分子量体と分離することができる溶媒は、例えば、塩化メチレン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどが好ましく用いられる。
本発明で用いる共役系重合体の不純物を除去する方法は特に限定されないが、基本的には合成過程で使用した原料や副生成物を除去する精製工程であり、再沈殿法、ソクスレー抽出法、濾過法、イオン交換法、キレート法等を用いることができる。中でも重合中に使用したモノマーやその副生成物、重合中に失活したダイマー等の不純物を除去する場合には再沈殿法やソクスレー抽出法が好ましく用いられ、金属成分の除去には再沈殿法やキレート法、イオン交換法が好ましく用いられる。これらの方法のうち、1種を単独で用いるか、あるいは複数を組み合わせても良い。
本発明において共役系重合体にCNTを分散する方法は特に限定されないが、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合させる方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させこの中にCNTを添加して混合させる方法、(III)CNTを溶媒中で予め超音波等で予備分散しておいた所に共役系重合体を添加し混合させる方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合させる方法等が挙げられる。本発明では、何れの方法を単独で用いるか、あるいはいずれの方法を組み合わせても良い。
本発明では、分散させるCNTの少なくとも一部に共役系重合体を付着させていても良い。これは重合体コンポジット中に効率よく、CNTがマトリクス(共役系重合体)内に均一に分散する作用を奏する。共役系重合体がCNTの少なくとも一部に付着した状態とは、CNT表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのはそれぞれの共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、被覆されたCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判別できる。定量的には元素分析によって付着物の存在とCNTに対する付着物の重量比を同定することができる。また、CNTに付着させる共役系重合体は、共役系重合体であれば、分子量、分子量分布や構造に関わらず、何れからでも選ばれ、マトリクスとなる重量平均分子量が30000以上、かつ分子量分布が2.4以下の用いる共役系重合体と異なっていてもよい。
また、フィルター(好ましくは0.1μm径)で上記CNTを濾過して捕集し、溶媒を用いてCNTを十分に洗浄することによって、余剰の共役系重合体が除去されて共役系重合体の付着したCNTのみを得ることができる。
上記のCNT表面の一部、あるいは全部に被覆した共役系重合体は、共役系重合体であれば良く、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体などが挙げられる。これらの共役系重合体が直鎖状であるためには、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体はそれぞれチオフェン環、ピロール環の2、5位でモノマーユニットがつながる必要がある。また、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体ではフェニレン基のパラ位で重合体の骨格がつながっている必要がある。上記重合体は単一のモノマーユニットが並んだものが好ましく用いられるが、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したものも用いられる。また、グラフト重合したものも用いることができる。上記重合体の中でも本発明においては、ポリチオフェン系重合体が特に好ましく使用される。
上記のポリチオフェン系重合体はポリチオフェン構造の骨格を持つ重合体に側鎖が付いた構造を有するものである。具体例としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェンなどのポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ(3,3”−ジアルキルターチオフェン)、ポリ[5 ,5 ’−ビス(3−アルキル−2−チエニル−2,2 ’−ジチオフェン)(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェンなどのポリ−3−アルコキシチオフェン(アルコキシ基の炭素数はとくに制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ−4−アルキルチオフェン(アルコキシ基およびアルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)、ポリ−3−チオヘキシルチオフェンやポリ−3−チオドデシルチオフェンなどのポリ−3−チオアルキルチオフェン(アルキル基の炭素数は特に制限はないが好ましくは1〜12)が挙げられ、1種もしくは2種以上を用いることができる。中でも、ポリ−3−アルキルチオフェン、ポリ(3,3”−ジアルキルターチオフェン)、ポリ[5 ,5 ’−ビス(3−アルキル−2−チエニル−2,2 ’−ジチオフェン)、ポリ−3−アルコキシチオフェンが好ましく、前者としては特にポリ−3−ヘキシルチオフェンが好ましい。好ましい分子量は数平均分子量で800〜100000である。また、上記のCNTを被覆するための重合体は必ずしも高分子量である必要はなく、直鎖状共役系からなるオリゴマーであってもよい。
本発明は、CNTまたはCNTを含む溶液と、共役系重合体、またはその重合体を有する溶液とを混合し、超音波を照射するなどして重合体コンポジットを得る。また共役系重合体が付着したCNTを用いる場合は、共役系重合体が付着したCNTまたは共役系重合体が付着したCNTを含有する溶液と、共役系重合体、またはその溶液とを混合し、上記と同様に重合体コンポジットを得ることができる。CNTが付着した共役系重合体とマトリックスとして用いられる共役系重合体は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。さらに、重合体コンポジットの溶媒も1種もしくは2種以上を用いることができる。
本発明で用いるCNTには1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNTと、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNTと、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTとがあり、本発明においてはどれか1種を単独で、もしくは単層、2層、多層のうちの2種類または3種類を同時に用いることができる。CNTはその製造方法として、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等、数種類あり製法によって直径や長さや直線性などの形態が少しずつ異なっている。本発明に用いられるCNTはいずれの方法によって得られたものであってもよい。
本発明の重合体コンポジットに含まれるCNTは、半導体特性を得るためには共役系重合体に対して、0.01〜3重量%の範囲にあることが好ましい。0.01重量%よりも小さい場合には添加の効果が小さく、3重量%より大きい重量分率ではコンポジットの導電率が過剰に増加するため半導体層として用いるには不適当となる。より好ましくは1重量%以下である。1重量%以下にすることで高移動度と高オンオフ比の両立が容易となる。
重合体コンポジットを半導体層として用いる場合、塗膜の形態で用いられる場合が多く、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法など何れの方法を用いることができ、塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択すればよい。例えばスピンコート塗布を行う場合、厚み5〜200nmの塗膜を得るには重合体コンポジット溶液の濃度は1〜20g/Lが好ましい。このとき、重合体コンポジットを溶解させる溶媒としてはテトラヒドロフランやトルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどが好ましく用いられる。形成した塗膜に対して、減圧下または不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)でアニーリング処理を行ってもよい。
また塗布膜が半導体として利用される場合、素子電極間の短絡を防ぐために、素子電極間の距離よりも短いCNTを使用することが望ましい。CNTの平均長さは電極間距離によるが、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下が良い。CNTは一般には紐状で生成されるので、短繊維状で使用するにはカットすることが望ましい。短繊維へのカットには、硝酸、硫酸などによる酸処理とともに超音波処理、または凍結粉砕法などが有効であり、またフィルターによる分離を併用することは純度を向上させる上でもさらに好ましい。なお、カットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも本発明により好ましく使用される。
本発明で用いられるCNTの直径は特に限定されないが、1nm以上、100nm以下、より好ましくは50nm以下である。
本発明の重合体コンポジットをFET素子に用いる例について説明する。図1、図2は、本発明のFET素子の例を示す模式断面図である。絶縁層3で覆われたゲート電極2を有する基板1上に、図1では通常のフォトリソグラフィー技術および真空蒸着法やスパッタリング法を用いて金等のソース電極5およびドレイン電極6が形成された後、スピンコート法によってCNTが分散している有機半導体の半導体層4が形成されている。また、図2では前記基板上にスピンコート法によってCNTが分散している有機半導体の半導体層4が形成された後、マスク蒸着法等によって金等のソース電極5およびドレイン電極6が形成されている。
基板1としては、例えば、シリコンウエハー、ガラス、アルミナ焼結体等の無機材料、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料が使用可能である。ここで基板洗浄以外の基板表面を改善する処理は特に行わなくとも、本発明のFET素子は従来のFET素子よりも高性能となるが、シリコンウエハー、ガラス基板等の酸化シリコン系基板の場合、シランカップリング剤に代表されるような表面改質剤で処理することによってFET素子の性能を上げる効果があり、本発明においても上記に説明した表面処理を行うことが可能である。
ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6としては、金、白金、銀、銅、クロム、パラジウム、アルミニウム、インジウム、モリブデン、低抵抗ポリシリコン、低抵抗アモルファスシリコン等の金属や錫酸化物、酸化インジウム、インジウム錫酸化物(ITO)、白金シリサイド、インジウムシリサイド等の無機化合物、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)等の有機化合物が使用できる。これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
上記ゲート電極2、ソース電極5およびドレイン電極6は蒸着、スパッタリング、めっき、各種CVD成長、スピンコート法とフォトリソグラフィー技術やエッチング等のいわゆる半導体プロセス技術、クラスタイオンビーム蒸着等により形成することができる。
前記の絶縁層3(ゲート絶縁膜)に用いる材料として、具体的には酸化シリコン、アルミナ等の無機材料、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリスチレン等の高分子材料、あるいは無機材料粉末と有機高分子材料の混合物を用いることができる。上記絶縁層は、スパッタリング、蒸着、スピンコート法等により形成することができる。
また、半導体層に隣接して、配向を付与する機能を持つ配向性層を有することも可能である。配向性層には、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ヘテロ有機酸など、公知の技術を用いることができる。
本発明の重合体コンポジットをFET素子に用いる場合、当該重合体コンポジットに用いられるCNTは、長さが少なくともソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いことが必要である。これよりも長い場合、電極間を短絡させる原因となり、FET素子作製には不適当である。そのため、長さが少なくともソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いCNTを用いるか、またはCNTをチャネル長よりも短くする工程を経ることが好ましい。一般に市販されているCNTは長さに分布があり、チャネル長よりも長いCNTが含まれることがある。そこでCNTをチャネル長よりも短くする工程を加えたほうがよく、電極間の短絡を確実に防ぐことができる。
本発明では、CNTを溶媒中に均一分散させ、CNT分散液をフィルターによって濾過する工程を設けることが好ましい。フィルター孔径よりも小さいCNTを濾液から得ることで、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも小さくしたカーボンナノチューブを効率よく得られることができる。
濾過に用いるフィルターは、チャネル長よりも小さい孔径を有するフィルターであれば、メンブレンフィルター、セルロース濾紙、ガラス繊維濾紙などいずれの種類のフィルターも用いることができる。中でもメンブレンフィルターは、濾紙内部で吸着されるCNTの量を減らすことができるので、濾液から収率よくCNTを回収できるので好ましく用いることができる。
濾過に用いるフィルターの孔径は、チャネル長よりも小さければ良く、例えばチャネル長が20μmの場合は、孔径10μmのフィルターを用いることで電極間の短絡を確実に防ぐことができる。実際には孔径0.5〜10μmのフィルターを好ましく用いることができ、チャネル長に応じて使い分けることができる。
他にCNTを短小化する方法として、酸処理によってCNTそのものを短くする方法が知られており、本発明に用いることができる。この場合、CNTを硫酸と硝酸の混合酸の中に加え、超音波照射するか、100℃以上の熱処理をすることで短小化されたCNTを得ることができる。また、過酸化水素水中で加熱する方法も用いることができる。これらの方法を行った場合は、後処理として孔径0.1〜1μmのフィルターを用いて処理されたCNTを濾別し、水洗することで、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも小さくしたカーボンナノチューブを得ることができる。
また、別の方法では凍結粉砕工程を経て、ソース電極とドレイン電極間の距離よりも小さくしたカーボンナノチューブを得ることができる。
CNTを溶液中に均一分散させるには、溶媒中にCNTと共にドデシルスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤、またはコイル状構造を有する高分子、または共役系重合体を加え、超音波照射または加熱環流する方法が好ましく用いられる。FET素子の特性を向上させることを考慮すれば、より半導体特性の優れた物質を用いることが好ましく、共役系重合体を用いることが特に好ましい。
半導体層の膜厚は特に限定されないが、中でも好ましくは10nm以上100nm以下がよい。この範囲以内であれば10以上のオンオフ比を実現することが可能になる。この範囲以上に膜厚が大きいとゲート電圧によって制御できないソース・ドレイン間電流が増加してしまい、FET素子のオンオフ比を低下させる。またこの範囲以下ではキャリア移動度が減少してしまう問題がある。
このようにして形成されたFET素子は、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流をゲート電圧を変化させることによって制御することができ、その特性から下記の(1)式を用いて移動度を算出することができる。
μ=(δId/δVg)L・D/(W・ε・ε・Vsd) (1) 。
ただしIdはソース・ドレイン間の電流、Vsdはソース・ドレイン間の電圧、Vgはゲート電圧、Dは絶縁層の厚み、Lはチャネル長、Wはチャネル幅、εは絶縁層の比誘電率、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)である。
以上の方法によって得られる重合体コンポジットを各種有機半導体材料や薄膜の電界効果型トランジスタ、光起電力素子、スイッチング素子など、各種デバイスの製造に有利に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
以下の実施例で用いるポリマーはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法を用いた絶対検量線法によって、ポリスチレンの標準試料に換算して重量平均分子量、数平均分子量を決定した。分子量分布は重量平均分子量を数平均分子量で除して算出した。SEC装置はクロロホルムを送液したTOSOH社製、高速GPC装置HLC−8220GPCを用いた。
実施例1
アルドリッチ社製(レジオレギュラー)ポリ−3−ヘキシルチオフェン(以下P3HTと略す)60mgをソックスレー装置に投入し、メタノール、ヘキサン、塩化メチレンの順で精製し、クロロホルムで抽出した。得られたクロロホルム溶液の溶媒をエバポレーターによって除去した。得られたP3HTにクロロホルム15mL加え溶解させ、メンブレンフィルターによって濾過を行い、濾液をメタノール300mLと0.1規定塩酸100mLの混合溶液の中に投入した。得られたポリマーを濾別捕集し、メタノールで洗浄し、真空乾燥により溶媒を除去した。この操作を2回繰り返し、P3HTを精製した。得られたP3HTの重量平均分子量は56700、数平均分子量は26200、分子量分布は2.16であった。
つぎに、得られたP3HT中に重量比で0.4%のCNTを分散させて、重合体コンポジットのクロロホルム溶液を調製した。まずCNT(CNI社製、単層CNT、純度95%、以下単層CNTという)1.5mgと、市販品を再沈殿によって精製したP3HT1.5mgを30mLのクロロホルム中に加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザー(SONICS社製VCX−500)を用いて出力250Wで30分間超音波攪拌することで単層CNT分散液Aを得た。さらに得られたCNT分散液A4mLにクロロホルム6mLを加え、孔径10μmの ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メンブレンフィルターを用いてろ過を行い、長さ10μm以上の単層CNTを除去した。得られたろ液(CNT分散液Bとする)0.6mL中に上記の得られたP3HTを3mg加え、液温を35℃にして超音波洗浄機で30分間超音波攪拌し、クロロホルムを0.4mL加え、重合体コンポジット溶液を得た。P3HTに対するCNTの含有量は0.4重量%である。
次いで、上述の重合体コンポジット溶液をスピンコート塗布(1000rpm×0.3秒)して、図1に示すFET素子を作製した。基板1は熱酸化膜(膜厚300nm)付きのアンチモンドープシリコンウエハー(抵抗率0.02Ωcm以下)であり、基板であると同時に、ゲート電極2であり、熱酸化膜は絶縁層3となる。次に以下の手順に基づき、金のソース電極5およびドレイン電極6を形成した。電極の作製法を以下に述べる。熱酸化膜付きのシリコンウエハー上にポジ型レジスト溶液を滴下し、スピナーを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで乾燥し、レジスト膜を形成した。次いで露光機を用いて、フォトマスクを介した紫外線照射を行った。次いでレジスト膜の付いたウエハーをアルカリ水溶液に浸漬し、紫外線照射部を除去し、櫛形電極が抜けた形状になっているレジスト膜を得た。真空蒸着は、前述のレジスト膜付きのウエハー上に、クロムを厚み5nmになるよう蒸着し、次いで金を厚み45nmになるように蒸着した。次いで、金/クロムとレジストの付いたウエハーをアセトン中に浸漬し、超音波洗浄機で超音波照射することによって、レジスト上の余分な金/クロムを除去した。このようにして、ウエハー上に金の両櫛形電極を形成した。
これら両電極の幅(チャネル幅)は0.5cm、両電極の間隔(チャネル長)は20μm、電極高さは50nmとした。電極が形成された基板上に上述の重合体コンポジットの溶液を0.1mL滴下し、スピンコート塗布(1000rpm×0.3秒)によって厚み30nmの半導体層を形成した。電極にリード線を取り付けた後、得られた素子を真空オーブン中で110℃、2時間の熱処理を行い、50℃以下になるまで徐冷してから大気開放し、FET素子を測定ボックスに移動させ、再び真空にして18時間静置した。
つぎに、上記FET素子のゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定にはヒューレット・パッカード社製ピコアンメータ/ボルテージソース4140Bを用い、真空下で測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、6.0×10−2cm/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ4.6×10であった。
実施例2
P3HTを以下の手順で合成した以外は、実施例1と同様の操作を行った。不活性アルゴン雰囲気下、ナス型フラスコに2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン1.5g(4.6mmol)を乾燥THF40mlに溶解させた。次に1mol/Lのt−ブチルマグネシウムクロライドのTHF溶液を4.8mlを加えた。オイルバスによって系中を加熱し、還流させた。2時間還流後、放冷した後,2mmol/Lの(1,3−ビス[ジフェニルホスフィノ]プロパン)ジクロロニッケル(II)のTHF溶液を4.5ml加えた。1時間攪拌後、乾燥THFを20ml加えさらに2時間攪拌した。得られた溶液をメタノール800mL、0.1Nの塩酸100mlに投入した。メンブレンフィルターで濾過物を捕集した。得られた濾過物をメタノール、ヘキサン、塩化メチレン、クロロホルムの順でソックスレー抽出を行い、得られたクロロホルム溶液をエバポレーターによって濃縮し、溶液をメンブレンフィルターによって濾過を行い、濾液をメタノール300mLと0.1規定塩酸100mLの混合溶液の中に投入した。得られたポリマーを濾別捕集し、メタノールで洗浄し、真空乾燥により溶媒を除去した。この操作を2回繰り返し、P3HTを精製した。得られたP3HTの重量平均分子量は71500、数平均分子量は43800、分子量分布は1.63であった。
実施例1で得られたCNT分散液Bの0.6mL中に上記の得られたP3HTを3mg加え、液温を35℃にして超音波洗浄機で30分間超音波攪拌し、クロロホルムを0.4mL加え、重合体コンポジット溶液を得た。P3HTに対するCNTの含有量は0.4重量%である。
次に、上記の重合体コンポジットを用いて図1に示すFET素子を実施例1と同様に作製しFET評価を行った結果、Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、7.0×10−2cm/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ5.7×10であった。
実施例3
不活性アルゴン雰囲気下、無水塩化鉄(III)0.8g(4.9mmol)を無水クロロベンゼン20mL中に懸濁させた。攪拌した懸濁液に、3,3”−ジオクチル−2,2’,5’,2”−ターチオフェン1.07g(2.3mmol)を投入した。オイルバスを70℃にして100時間攪拌した。得られた重合溶液をクロロホルム100mLで希釈し、メタノール1000mL、10wt%のアンモニア水1000mLの混合溶液に投入した。得られた混合溶液を2時間攪拌し洗浄した。洗浄後、メンブレンフィルターで濾過した。この操作を2回行い、得られた濾過物をメタノール、ヘキサン、クロロホルムの順でソックスレー抽出を行い、得られたクロロホルム溶液をエバポレーターによって除去し、粗ポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)を400mg得た。
次に得られたポリマー60mgをソックスレー装置に投入し、メタノール、ヘキサン、塩化メチレンの順で精製し、クロロホルムで抽出した。得られたクロロホルム溶液の溶媒をエバポレーターによって除去した。得られたポリマーにクロロホルム15mL加え溶解させ、メンブレンフィルターによって濾過を行い、濾液をメタノール300mLと10%アンモニア水100mLの混合溶液の中に投入した。得られたポリマーを濾別捕集し、メタノールで洗浄し、真空乾燥により溶媒を除去した。この操作を2回繰り返し、ポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)を精製した。得られたポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)の重量平均分子量は32000、数平均分子量は14400、分子量分布は2.22であった。
次に、得られたポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)3mgを0.2mLのクロロベンゼンに溶解させた。この溶液に、実施例1で得られたCNT分散液Bを0.6mL加え、重合体コンポジット溶液を得た。ポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)に対するCNTの含有量は0.4重量%である。
次いで、図1に示すFET素子を実施例1と同様に作製した。電極が形成された基板上に上述の重合体コンポジットの溶液を0.1mL滴下し、スピンコート塗布(1000rpm×30秒)によって厚み35nmの半導体層を形成した。電極にリード線を取り付けた後、得られた素子を真空オーブン中で80℃、20時間の熱処理を行い、50℃以下になるまで徐冷してから大気開放し、FET素子を測定ボックスに移動させ、大気下で測定した。
次に、上記FET素子のゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を大気下で測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、5.1×10−2cm/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ4.1×10であった。
実施例4
不活性アルゴン雰囲気下、無水塩化鉄(III)0.8g(4.9mmol)を無水クロロベンゼン20mL中に懸濁させた。攪拌した懸濁液に、5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン1g(1.5mmol)を投入した。オイルバスを60℃にして100時間攪拌した。得られた重合溶液をクロロホルム100mLで希釈し、メタノール1000mL、10wt%のアンモニア水1000mLの混合溶液に投入した。得られた混合溶液を2時間攪拌し洗浄した。洗浄後、メンブレンフィルターで濾過した。この操作を2回行い、得られた濾過物をメタノール、ヘキサン、クロロホルムの順でソックスレー抽出を行い、得られたクロロホルム溶液をエバポレーターによって除去し、粗ポリ〔5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン〕を350mg得た。
次に得られたポリマー60mgをソックスレー装置に投入し、メタノール、ヘキサン、塩化メチレンの順で精製し、クロロホルムで抽出した。得られたクロロホルム溶液の溶媒をエバポレーターによって除去した。得られたポリマーにクロロホルム15mL加え溶解させ、メンブレンフィルターによって濾過を行い、濾液をメタノール300mLと10%アンモニア水100mLの混合溶液の中に投入した。得られたポリマーを濾別捕集し、メタノールで洗浄し、真空乾燥により溶媒を除去した。この操作を2回繰り返し、ポリ〔5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン〕を精製した。得られたポリ〔5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン〕の重量平均分子量は34500、数平均分子量は16400、分子量分布は2.10であった。
次に、得られたポリ〔5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン〕3mgを0.2mLのクロロベンゼンに溶解させた。この溶液に、実施例1で得られたCNT分散液Bを0.6mL加え、重合体コンポジット溶液を得た。ポリ〔5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン〕に対するCNTの含有量は0.4重量%である。
ついで、図1に示すFET素子を実施例1と同様に作製した。電極が形成された基板上に上述の重合体コンポジットの溶液を0.1mL滴下し、スピンコート塗布(1000rpm×30秒)によって厚み35nmの半導体層を形成した。電極にリード線を取り付けた後、得られた素子を真空オーブン中で150℃、30分の熱処理を行い、50℃以下になるまで徐冷してから大気開放し、FET素子を測定ボックスに移動させ、大気下で測定した。
次に、上記FET素子のゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を大気下で測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、5.5×10−2cm/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ3.0×10であった。
実施例5
実施例1で得られたCNT分散液A6mLにクロロホルム4mLを加え、孔径10μmのPTFE製メンブレンフィルターを用いてろ過を行い、長さ10μm以上の単層CNTを除去した。得られたろ液(CNT分散液Cとする)0.6mL中に実施例1で得られたP3HT(重量平均分子量は56700、数平均分子量は26200、分子量分布は2.16)を3mg加え、液温を35℃にして超音波洗浄機で30分間超音波攪拌し、クロロホルムを0.4mL加え、重合体コンポジット溶液を得た。P3HTに対するCNTの含有量は0.6重量%である。
つぎに上記の重合体コンポジットを用いて図1に示すFET素子を実施例1と同様に作製し、特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、7.2×10−2cm/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ2.0×10であった。
比較例1
実施例1、2と同じ構造であるアルドリッチ社製(レジオレギュラー)P3HTを再沈殿によって精製し、用いた。再沈殿で精製したP3HTは重量平均分子量54600、数平均分子量22500、分子量分布2.43であった。実施例1で得られたCNT分散液Bの0.6mL中に上記の得られたP3HTを3mg加え、液温を35℃にして超音波洗浄機で30分間超音波攪拌し、クロロホルムを0.4mL加え、重合体コンポジット溶液を得た。P3HTに対するCNTの含有量は0.4重量%である。
つぎに上記の重合体コンポジットを用いて図1に示すFET素子を実施例1と同様に作製し、特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、4.5×10−2cm/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ2.0×10であった。
比較例2
実施例3で合成した粗ポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)を再沈殿で精製したポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)(重量平均分子量26300、数平均分子量10600、分子量分布2.48)を使用した。ここで得られたポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)とCNTの重合体コンポジット溶液を用いて有機半導体層を形成した以外は、実施例3と同様にしてFET素子を作製し、特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.0×10−2cm/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ1.5×10であった。
比較例3
実施例4で合成した粗ポリ〔5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン〕を再沈殿で精製したポリ〔5,5’−ビス(3−ドデシル−2−チエニル)−2,2’−ジチオフェン〕(重量平均分子量32400、数平均分子量13000、分子量分布2.49)を使用した。ここで得られたポリ(3,3”−ジオクチルターチオフェン)とCNTの重合体コンポジット溶液を用いて有機半導体層を形成した以外は、実施例3と同様にしてFET素子を作製し、特性を測定した。Vg=0〜−50Vに変化させたときのVsd=−5VにおけるIdの値の変化から線形領域の移動度を求めたところ、1.3×10−2cm/V・secであった。また、Vg=−50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値と、Vg=+50VのときのVsd=−5VにおけるIdの値の比からオンオフ比を求めたところ1.1×10であった。
本発明の重合体コンポジットおよび重合体コンポジットから得られた薄膜は有機半導体を含有する電界効果型トランジスタや、その他有機トランジスタに用いられる。
本発明の一態様であるFET素子を示した模式断面図 本発明の別の態様であるFET素子を示した模式断面図
符号の説明
1 基板
2 ゲート電極
3 絶縁層
4 半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極

Claims (6)

  1. サイズ排除クロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が30000以上かつ分子量分布が2.4以下の共役系重合体と、カーボンナノチューブを有する重合体コンポジット。
  2. 共役系重合体がポリチオフェン系重合体、またはポリチオフェン系ユニットを含む共重合体である請求項1記載の重合体コンポジット。
  3. カーボンナノチューブが共役系重合体に対し、0.01〜3重量%含まれる請求項1記載の重合体コンポジット。
  4. カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである請求項1記載の重合体コンポジット。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の重合体コンポジットを薄膜化し、半導体層として搭載した半導体素子。
  6. 請求項1〜4のいずれか記載の重合体コンポジットを薄膜化し、半導体層として搭載した電界効果型トランジスタ。
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