JP2008120847A - 地盤安定化用混和剤、地盤安定化材料およびそれを用いた地盤安定化工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地盤安定化用混和剤であって、(a)アルカリ金属炭酸塩と(b)数平均分子量が12,500〜40,000に制御されたα,β−不飽和ジカルボン酸60〜85モル%とオレフイン40〜15モル%との共重合体又はその塩とを併用し、前記(a)と前記(b)の合計量に占める前記(a)の量の割合が45〜95質量%である混合物を含有してなることを特徴とする。また、セメント、該地盤安定化用混和剤及び水を含有してなる地盤安定化材料であり、該地盤安定化材料を地盤中に高圧注入し、土と混合して硬化させる地盤安定化工法である。
【選択図】なし
Description
この地盤安定化工法としては、例えば、セメントミルクを、高圧で地中深くに噴射し、土と混合して硬化させ安定化する工法が挙げられる(非特許文献1参照)。
この工法は、地中にセメントミルクを噴射する管を挿入し、管を回転させながら管先端付近からセメントミルクを高圧噴射し、地中の土を切削すると同時に、切削された土とセメントミルクとが混合された混合土を別の管内を通して地上へ排出しながら、一定速度で管を上昇させ、地中をセメントミルクと土との混合物で置換して硬化させ、地盤を安定化させる工法である。
切削によりセメントミルクと土を混合した場合に、セメント粒子と土の粒子が電気的作用により互いに凝集するために、セメントミルクと土との混合物である混合土の粘性が上昇し、そのため、これを地上へ排出できにくくなるといった課題があった。
坪井 直道著、薬液注入工法の実際、第5〜9頁、昭和56年3月25日、鹿島出版会、改訂版第2刷発行
しかしながら、これらの超高圧噴流注入工法用セメント添加剤は、粘性土地盤において、粘性を低減させる効果が小さいために多量に添加する必要があり、その結果、強度発現性が向上しにくいという課題があった。
これらを使用した場合には、後述する比較例に示すように、練混ぜ直後の粘性は低下するものの経時的に粘性が上昇し安定的な排出が困難となり、さらに強度発現性が向上しにくいという課題があった。
(1)(a)アルカリ金属炭酸塩と(b)数平均分子量が12,500〜40,000に制御されたα,β−不飽和ジカルボン酸60〜85モル%とオレフイン40〜15モル%との共重合体またはその塩とを併用し、前記(a)と前記(b)の合計量に占める前記(a)の量の割合が45〜95質量%である混合物を含有してなることを特徴とする地盤安定化用混和剤である。
(2)前記(a)のアルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウムであることを特徴とする前記(1)の地盤安定化用混和剤である。
(3)セメント、前記(1)又は(2)の地盤安定化用混和剤及び水を含有してなる地盤安定化材料である。
(4)前記地盤安定化用混和剤を、セメント100質量部に対して、1〜10質量部使用することを特徴とする前記(3)の地盤安定化材料である。
(5)前記(3)又は(4)の地盤安定化材料を地盤中に高圧注入し、土と混合して硬化させる地盤安定化工法である。
本発明に用いられるアルカリ金属炭酸塩としては、具体的に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等があげられる。性能の面から、本発明に好ましいものは炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムであり、特に好ましいものは炭酸ナトリウムである。
α,β−不飽和ジカルボン酸60モル%未満(オレフィン40モル%超)であると、経時的に粘性が上昇し、また強度発現性が向上しにくく、α,β−不飽和ジカルボン酸85モル%超(オレフィン15モル%未満)であると、凝結が遅れ高い強度発現性が得られない場合があるので、上記の範囲が好ましい。
数平均分子量12,500未満であると、経時的に粘性が上昇し、また強度発現性が向上しにくく、数平均分子量が40,000を超えると、増粘が生じる可能性があるので、上記の範囲が好ましい。
ここで数平均分子量とは、高速液体クロマトグラフ(テトラヒドロフラン溶媒、測定温度40℃)によって測定したポリスチレン換算のものを意味する。かかる共重合体は、従来から公知のポリカルボン酸系混和剤に比較して共重合体を構成するα,β−不飽和ジカルボン酸単位の量が大きいという特徴を有しており、かかる共重合体を併用することによって分散性および粘性の保持性の点で従来技術をしのぐ優れた性能を発揮する。なかでも分子量分布のシャープなものほど良好な性能を示す傾向があり、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が2.2以下、さらには2.1以下であることが好ましい。
一方、前記(イ)成分の具体例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブテン−1、ブテン−2、ペンテン−1、ペンテン−2、2−メチルブテン−1、2−メチルブテン−2、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1などのごとき鎖状オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘブテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、2−エチル−5−ノルボルネン、2−シアノ−5−ノルボルネン、2−アセチル−5−ノルボルネンなどのごときシクロオレフィン等が挙げられ、なかでもC4〜6の鎖状オレフィン、C4〜C6のシクロオレフィン、とくにC5鎖状オレフィンが賞用される。
また本発明の効果を本質的に損わない範囲内であれば、アクリル酸、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、メチルビニルエーテル、アクリロニトリル、エチレンスルホン酸などのビニルモノマーを共重合してもよく、さらに共重合体中のカルボキシル基および/または酸無水物基の一部をエステル化したりアミド化して用いることもできる。
生成した共重合体がそれ自身で水溶性の場合にはそのまま使用することができるが、通常は共重合体中に存在するカルボキシル基および/または酸無水物基の一部または全部を1価または多価のカチオンによって塩にし、水溶化能を高めて用いられる。かかる塩の具体例として、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩、アンモニウム塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのごときアミン塩およびこれらの塩の複合塩などが例示され、なかでも経済性、安全性、環境性などの見地からアルカリ金属塩がもっとも賞用される。
オキシカルボン酸類としてはクエン酸、酒石酸、グルコン酸およびリンゴ酸又はそれらのナトリウムやカリウム塩等のいずれも使用可能であるが、強度発現性を阻害しにくいクエン酸ナトリウムの使用が好ましい。これらのうちの一種又は二種以上を使用することが可能である。
オキシカルボン酸類の使用量は、第一成分と第二成分の合計100部に対して、0.1〜20部が好ましく、0.3〜10部がより好ましい。0.1部未満ではセメントの凝結を防ぐことが難しい場合があり、20部より多いと長期強度発現性が不良となる可能性がある。
材料の溶解タンクへの混合順序や投入速度は特に限定されるものではない。また、溶解タンク内での貯蔵性や製造に要する時間を調整するために、カルボン酸、アルカリ金属水酸化物および硫酸塩等を用いてpH調整をすることが可能である。
本発明で使用するセメントとしては特に限定されるものではなく、普通、早強、超早強および中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらのポルトランドセメントに、高炉スラグやフライアッシュなどを混合した各種混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)、並びに、市販されている微粒子セメントなどが挙げられ、各種ポルトランドセメントや各種混合セメントを微粉末化して使用することも可能である。また、通常セメントに使用されている成分(例えば石膏等)量を増減して調整されたものも使用可能である。
本混和剤は、粘性土に限らず、砂質土や腐食土等の土に対しても優れた効果がある。
まず、地盤改良が必要な箇所を削孔する。削孔径は特に限定されるものではないが注入ロッドが挿入できる大きさであればよい。
削孔の深さは、改良したい領域により変更し特に限定することはできないが、10〜50m程度が通常である。
次に、二重管や三重管構造の注入ロッドを挿入し、セメントミルクをグラウトポンプ、超高圧ポンプ、又はコンプレッサーなどを用いて圧送し、二重管又は三重管のノズルから噴射する。
セメントミルクの送液量は特に限定されるものではないが、30〜800リットル/分程度が好ましい。
この杭の直径は、地盤の硬さを示すN値等の土の条件や噴射の圧送圧力等の施工条件により変化し、特に限定されるものではないが、0.5〜20mが適当である。杭の長さは3〜50m程度のものが形成可能である。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
オートクレーブ中、窒素雰囲気下にて無水マレイン酸98部、表1に示すC5オレフィン混合物76、87、110部、ベンゾイルパーオキサイド4部およびベンゼン400部の混合物を、70〜75℃にて8時間加熱攪拌し、反応させた。重合反応終了後、析出した共重合体をろ別集収し乾燥して、C5オレフィン−無水マレイン酸共重合体を得た。なお、C5オレフィン混合物76部については、この共重合体をメチルエチルケトンに溶解し、限外ろ過することで高分子量部分を除去した。
次いでこれら共重合体100部に対して水300部を加え、攪拌しながら10%水酸化ナトリウム水溶液600部を徐々に添加攪拌することにより水溶性塩を得た。結果を表2に示す。
上記のようにして得た各種共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム(重量平均分子量6,000)及びクエン酸ナトリウムを、それぞれ炭酸ナトリウムと表3に示す所定割合で配合して混和剤を調製した。
次いで、セメント100部に対して、調製した混和剤を5.0部混合し、さらに、水150部混合してセメントミルクを調製した。
このセメントミルクを、含水率30%の粘性土と、容積比で1:2の割合で混合してスライムを得、その粘度と圧縮強度を測定した。結果を表3に併記する。
セメント:高炉セメントB種、市販品、密度3.04g/cm3
粘土 :東京湾産粘性土、含水率30%、湿潤密度1.73g/cm3
粘度 :得られたスライムを温度20℃、湿度80%、回転数20rpmの条件下でB型粘度計により練混ぜ直後の粘度値を測定
圧縮強度:得られたスライムを4cm×4cm×16cmの型枠に流し込み、硬化後脱型して得た供試体を、温度20℃で封緘養生し、材齢7日における圧縮強度を測定
これに対して、数平均分子量が12,500未満である共重合体2を併用した実験No.1-7の比較例の供試体は、経時的に粘性が上昇し、また高い強度発現性が得られない。
α,β−不飽和ジカルボン酸の割合が60モル%未満(オレフィン40モル%超)である共重合体3を併用した実験No.1-8の比較例の供試体も、経時的に粘性が上昇し、また高い強度発現性が得られない。
共重合体の組成が本発明の範囲内にあっても、アルカリ金属炭酸塩の併合割合が45%未満の実験No.1-6の比較例の供試体では、十分に粘性が低減しない。
共重合体の代わりにポリアクリル酸ナトリウムを併用した実験No.1-9の比較例の供試体は、練混ぜ直後の粘性は低下するもののすぐに粘性が上昇し、さらに高い強度発現性が得られない。
共重合体の代わりにクエン酸ナトリウムを併用した実験No.1-10の比較例の供試体は、十分に粘性が低減しない。
これに対して、1部未満であると、実験No.3-1及びNo.3-2からみて、粘性低下の効果が小さくなり、10部を超えると、実験No.3-6の比較例の供試体からみて、高い強度発現性が得られない。
Claims (5)
- (a)アルカリ金属炭酸塩と(b)数平均分子量が12,500〜40,000に制御されたα,β−不飽和ジカルボン酸60〜85モル%とオレフイン40〜15モル%との共重合体又はその塩とを併用し、前記(a)と前記(b)の合計量に占める前記(a)の量の割合が45〜95質量%である混合物を含有してなることを特徴とする地盤安定化用混和剤。
- 前記(a)のアルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載の地盤安定化用混和剤。
- セメント、請求項1又は2に記載の地盤安定化用混和剤及び水を含有してなる地盤安定化材料。
- 前記地盤安定化用混和剤を、セメント100質量部に対して、1〜10質量部使用することを特徴とする請求項3に記載の地盤安定化材料。
- 請求項3又は4に記載の地盤安定化材料を地盤中に高圧注入し、土と混合して硬化させる地盤安定化工法。
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