JP2008120119A - 4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法 - Google Patents

4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法 Download PDF

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麗 増田
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Abstract

【課題】切り替えに時間を要する4輪駆動への切り替えが繰り返されることを防止し、安定な走行を行うことが可能な4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法を提供する。
【解決手段】車両の前輪、後輪のいずれか一方をエンジンにより駆動し、他方をモータにより駆動する制御を行う4輪駆動制御装置において、時刻tにて前輪の車輪速F1および後輪の車輪速R1との間に差を生じて、スリップが発生したことを検出すると、4輪駆動に切り替えるとともに、スリップ状態が解消した時刻tから、あらかじめ定めた4輪駆動継続時間tが経過するまでの間、無条件に4輪駆動を継続する。また、スリップの発生回数やスリップ量に応じて、4輪駆動継続時間tの値を可変に補正した4輪駆動補正継続時間tAiを算出し、4輪駆動継続時間tの代わりに、4輪駆動補正継続時間tAiが経過するまでの間、4輪駆動を継続することも可能である。
【選択図】図2

Description

本発明は、4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法に関し、特に、2輪駆動から4輪駆動への切り替え制御、4輪駆動の継続時間の制御、4輪駆動時のモータトルクの制御を行う4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法に関する。
特許文献1の特開2004−215499号公報「車両の駆動力制御装置」においては、前輪または後輪の一方がエンジンにより、他方がモータにより駆動される4輪駆動(4WD)車両の場合、路面反力とエンジントルクとを比較して、エンジントルクの余剰分を発電機負荷となるように制御している。
また、このような従来の4輪駆動制御方法においては、エンジントルクの余剰分(すなわち、モータ駆動力推定トルク)と、エンジン駆動輪とモータ駆動輪との車速差から得られる加速スリップ防止トルク(△Vトルク)と、のいずれか大きい方を用いて、モータの出力トルクを指示するトルク指令値として4輪駆動を行うようにしている。さらに、エンジンのTCS(Traction Control System)作動中においては、加速スリップ防止トルク、アクセル感応トルクを使用して、4輪駆動(4WD)を継続させるようにしている。
特開2004−215499号公報
しかしながら、従来の4輪駆動制御の場合、車速が例えば20数km/hに達するまでの低速時における4輪駆動をベースにして制御を行うように設計されており、モータトルクも10〜15Newton程度とかなり小さく、4輪駆動に切り替わったとしてもエンジン負荷はかなり小さいことが前提とされている。
したがって、20数km/hを超える車速においては、4輪駆動時における駆動力推定トルクを推定することが難しい。このような状況において、ΔVが小さくなると、4輪駆動から2輪駆動に移行することになる。2輪駆動に移行した後、再び加速スリップなどが発生すると、4輪駆動へ移行することになるが、例えば50〜60km/hなどとさらに高車速になると、4輪駆動への再接続には低速時よりもさらに長い時間が必要となるため、4輪駆動が必要な状況であるにも関わらず、4輪駆動になかなか切り替わることができず、2輪駆動のままの状態が長引いてしまい、安定な走行ができなくなるという問題が発生する。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、切り替えに時間を要する4輪駆動への切り替えが繰り返されることを防止し、安定な走行を行うことが可能な4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法を提供することを目的としている。
本発明は、前述の課題を解決するために、スリップを検出して4輪駆動に切り替えた際に、あらかじめ定めた継続時間の間、4輪駆動を継続することを特徴としている。
本発明の4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法によれば、スリップを検出して4輪駆動に一旦切り替えた際に、あらかじめ定めた継続時間の間、4輪駆動を継続することを可能としているので、4輪駆動が必要な状況が繰り返し発生するような場合であっても、切り替えに時間を要する2輪駆動から4輪駆動への切り替えが繰り返される動作を防止することができ、安定した走行を行うことができるという効果が得られる。
以下に、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の最良の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(本発明による4輪駆動制御装置の構成例)
まず、図1に、本発明による4輪駆動制御装置(4WDコントローラ)を備えたシステム構成の一例を示している。図1のシステム構成図には、本発明による4輪駆動制御装置の一例を示す4輪駆動制御装置(4WDコントローラ)10に関連する装置として、エンジン1、ベルト1a、発電機2、変速機3、変速比選択手段3a、エンジン駆動輪4、アクセルペダル5、モータ6、減速機7、モータ駆動輪8、パワーハーネス9を示している。
図1において、エンジン1は、車両の駆動力源となる内燃機関であり、アクセルペダル5は、エンジン1に対するエンジン駆動力を調整する指令となるアクセル開度を出力するものであり、変速機3は、エンジン1の回転をエンジン駆動輪4に伝達する際の回転数をギヤ比によって変速させる変速手段であり、変速比選択手段3aは、変速機3におけるギヤ比(変速比)を設定するものである。また、エンジン駆動輪4は、変速機3を介してエンジン1からのエンジン駆動輪駆動力によって駆動される車輪である。
また、発電機2は、エンジン1からの駆動力により無端のベルト1aを介して駆動されており、モータ6が必要とするトルク指令値に対応した電力を発電するものであり、モータ6は、パワーハーネス9を介して発電機2により発電された電力が供給されることによって回転駆動されるものである。減速機7は、モータ6の回転をモータ駆動輪8に伝達する際の回転数を減速する減速手段であり、モータ駆動輪8は、減速機7を介して出力されるモータ6からのモータ駆動輪駆動力によって駆動される車輪である。
図1において、エンジン1は、アクセル開度指示装置であるアクセルペダル5の踏み込み量等に応じて燃料の吸気量が調整制御されて、その出力エンジントルクが調整される。ここで、アクセルペダル5の踏み込み量すなわちアクセルポジション(アクセル開度)は、4輪駆動制御装置10に対しても出力されており、4輪駆動制御装置10が、4輪駆動制御時のモータ6のモータ出力トルクを決定する際に、そのアクセルポジションが参照される。
また、エンジン1の出力エンジントルクの一部は、前述のように、ベルト1aを介して発電機2に伝達される。発電機2は、ベルト1aを張架したプーリのプーリ比に応じてエンジン1の回転数を変換した回転数で回転して、4輪駆動制御装置10によって決定されたトルク指令値に応じた電圧の電力を発電する。この発電機2が発電した電力は、前述したように、パワーハーネス9を介してモータ6に供給可能となっている。
また、エンジン1の出力エンジントルクは、変速機3を介してエンジン駆動輪4に供給され、変速機3に設定された変速比(エンジン駆動輪のギヤ比)すなわちギヤポジションに応じて調整され、調整されたエンジン駆動輪駆動力とされて、エンジン駆動輪4が回転するようになる。
また、4輪駆動制御装置10は、前輪、後輪のそれぞれの車輪速、すなわち、エンジン駆動輪4とモータ駆動輪8とのそれぞれの車輪速をリアルタイムに検出して、両者の車輪速の差に基づいて、スリップの発生の有無、発生したスリップの大きさすなわちスリップ量、を判定して、2輪駆動から4輪駆動に切り替えるか否か、あるいは、スリップを解消可能な4輪駆動に必要なモータ出力トルクを与えるトルク指令値を決定している。さらに、4輪駆動制御装置10は、前輪・後輪それぞれの車輪速の変動の大きさやスリップの発生状況を検出して、2輪駆動から4輪駆動に切り替えるか否かを判定するためのスリップ量の閾値を制御したり、スリップの発生回数やスリップ量の大きさや車速に基づいて、4輪駆動の継続時間を制御したり、あるいは、モータ6に対して出力するトルク指令値を制御して、安定した走行状態を実現するとともに、動力効率を良くするように、4輪駆動状態を制御している。
なお、以下の実施例の説明においては、前輪がエンジンにより駆動されるエンジン駆動輪4、後輪がモータにより駆動されるモータ駆動輪8の場合について説明するが、本発明は、かかる場合に限るものではなく、前輪、後輪が逆の駆動関係にあっても良い。
また、以下の実施例の説明においては、前輪と後輪の輪速差に基づき、スリップの有無の検出、スリップ量の算出を行う例を示すが、本発明は、かかる場合に限るものではなく、例えば、4輪の輪速から車両の速度を推定し、この車両の速度とそれぞれの車輪の輪速から、スリップの有無の検出、スリップ量の算出を行ったりするなど、他の方法を用いることもできる。
次に、図1に示す4輪駆動制御装置10の4輪駆動の制御動作の具体的な実施例について、説明する。
(第1の実施例)
まず、図2、図3を用いて、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の第1の実施例について説明する。本実施例は、2輪駆動時に一度でもスリップを検出した際に、4輪駆動に切り替えるとともに、一旦4輪駆動に切り替えた後はあらかじめ定めた継続時間だけ、4輪駆動を継続する制御を行う場合を例示するものである。
図2は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10を搭載した車両の第1の実施例における車輪速とモータを駆動する駆動力との時間経過を示すタイムチャートであり、図2(A)に前輪と後輪の車輪速の時間経過を示し、図2(B)にモータに対するトルク指令値の時間経過を示している。また、図3は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10の第1の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートであり、本発明の4輪駆動制御装置の動作と4輪駆動制御方法とを例示するものである。
図2(A)の車輪速の時間経過において、停止状態から発進して、徐々に、車輪速が上昇していく途中の時刻tにおいて、曲線F1に示すように、前輪速が、曲線R1に示す後輪速よりも速い速度で回転するスリップが発生すると、4輪駆動制御装置10の制御によって、2輪駆動から4輪駆動への切り替えが必要であると判定され、スリップの発生状況に応じて、該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要とされるモータ出力トルクが算出され、該モータ出力トルクの出力を指示するモータ6に対するトルク指令値Tが生成されて、モータ6による駆動力によって後輪が回転する4輪駆動状態に移行する。
しかる後、時刻tにて、前輪の回転速度と後輪の回転速度とが一致してスリップ状態が解除された状態になったとしても、4輪駆動継続時間t(すなわち、最初のスリップが解消した際に4輪駆動を引き続き継続する時間)としてあらかじめ定められている時間例えば10秒間が経過する時刻tに至るまで、発生していたスリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要なトルク指令値Tを、引き続きモータ6に対して出力し続け、4輪駆動がその間継続するように制御する。
この第1の実施例における動作を図3のフローチャートを用いて説明すると、次の通りである。まず、前輪と後輪との車輪速に差があるか否かを検出することによってスリップが発生しているか否かを確認し(ステップS11)、スリップが発生していると判断した場合は(ステップS11のYES)、発生していたスリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要なトルク指令値Tを、モータ6に対して出力して、4輪駆動に切り替えるとともに、スリップ状態が解消した後でも、4輪駆動継続時間(4WD継続時間)tが示す時間例えば10秒間だけ、前記トルク指令値Tを引き続きモータ6に対して出力し続け、4輪駆動をさらに継続する(ステップS12)。
すなわち、2輪駆動時にスリップが発生して、4輪駆動に移行した後、当該スリップ状態が解消した際に、直ちに、2輪駆動に復帰させずに、4輪駆動をさらに継続する時間として4輪駆動継続時間tを設定して、該4輪駆動継続時間tが経過するまでの間、たとえ、以降においてスリップが一切発生しなかったとしても、無条件に、4輪駆動を継続するように制御する。
本実施例のような制御を行うことによって、次のような効果が得られる。
まず、2輪駆動において一度でもスリップが発生した場合に、4輪駆動に切り替えることによって当該スリップが解消した以降、4輪駆動を無条件に継続させる時間を示す4輪駆動継続時間tとしてあらかじめ設定した時間が経過するまでの間、引き続き、4輪駆動を継続させるので、その間に、2輪駆動に復帰させた場合に再度スリップが発生するような路面状況であっても、2輪駆動と4輪駆動との間を反復するハンチング現象を抑止することができる。
この結果、切り替えに時間を要する4輪駆動への再接続の発生頻度を最小限に抑えることができ、スリップが多発して4輪駆動が必要であるにも関わらず、4輪駆動へなかなか切り替わらないような状況に遭遇する機会を確実に低減することができる。
而して、圧雪路走行時などにおいても、スリップが発生した場合に4輪駆動走行をあらかじめ定めた時間継続することによって、安定した走行を行うことができる。
(第2の実施例)
次に、図4、図5を用いて、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の第2の実施例について説明する。本実施例は、スリップの発生回数、スリップの大きさ(スリップ量)に応じて、4輪駆動を継続する時間を可変に制御する場合の一例を示すものである。
図4は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10を搭載した車両の第2の実施例における車輪速とモータを駆動する駆動力との時間経過を示すタイムチャートであり、図4(A)に前輪と後輪の車輪速の時間経過を示し、図4(B)にモータに対するトルク指令値の時間経過を示している。また、図5は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10の第2の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートであり、本発明の4輪駆動制御装置の動作と4輪駆動制御方法とを例示するものである。
図4、図5に示す本実施例においては、例えば雪道のような低摩擦係数路(低μ路)を走行する場合のように、2輪駆動における最初のスリップのみならず、4輪駆動に切り替えた以降においても、1回ないし複数回に亘ってスリップが発生したり、あるいは、前輪と後輪との車輪速の差が大きいスリップ例えば10km/hを超えるようなスリップ量が大きいスリップが発生するような場合の4輪駆動制御動作を示している。
すなわち、本実施例においては、スリップの発生回数、および/または、スリップの大きさを示すスリップ量の如何に応じて、第1の実施例における4輪駆動継続時間tの値を可変に補正した4輪駆動補正継続時間tAiを算出して、可変補正した4輪駆動補正継続時間tAiを4輪駆動継続時間tの代わりに適用して、この4輪駆動補正継続時間tAiが経過するまでの間、4輪駆動を継続させるように制御している。
例えば、スリップ発生回数が多いほど、また、大きなスリップが発生するほど、4輪駆動が継続する4輪駆動補正継続時間tAiをより長い時間に補正するように、スリップが発生する都度、前回のスリップの際に適用した4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tA(i−1)よりも、あらかじめ定めた延長単位時間Δt例えば0.01秒ずつさらに延長させた新たな4輪駆動補正継続時間tAiに設定して、4輪駆動を継続させるように制御したり、あるいは、スリップ量があらかじめ定めたスリップ量閾値Vs例えば10km/hを超える大きなスリップが発生する都度、前回のスリップの際に適用した4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tA(i−1)よりも、あらかじめ定めた延長単位時間Δtにあらかじめ定めた所定倍数を乗算して求めた時間例えば2倍の0.02秒ずつさらに延長させた新たな4輪駆動補正継続時間tAiに設定して、4輪駆動をより長く継続させるように制御することを可能としている。
なお、スリップの発生回数と、スリップ量の大小とを別々に判断する代わりに、あらかじめ定めた期間内で今までに発生した各スリップ時におけるスリップ量を積分したスリップ量積分値(合計スリップ量)の大小によって4輪駆動の継続時間の延長時間を判断するようにしても良く、例えば、スリップ量積分値が、あらかじめ定めた閾値以下か否かによって、前回のスリップの際に適用した4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tA(i−1)よりも、延長単位時間Δtだけ延長させるか、延長単位時間Δtに所定倍数を乗算して求めた時間、延長させるか、を判別して、新たな4輪駆動補正継続時間tAiに設定するようにしても良い。
また、発生したスリップ量が1種類のスリップ量閾値Vsを超えたか否かによって、4輪駆動補正継続時間tAiを延長する時間を2段階に切り替える場合のみに限らず、複数種類のスリップ量閾値を設けて、スリップ量の大きさに応じて、4輪駆動補正継続時間tAiを延長する時間を段階的に複数の段階に切り替えて設定するようにしても良い。また、延長単位時間Δtとして例示した0.01秒は、あくまでもその一例を示す値であり、かかる値に限定するものでもないことは言うまでもない。
図4(A)の車輪速の時間経過において、停止状態から発進して、徐々に、車輪速が上昇していく途中の時刻tにおいて、図2(A)の場合と同様、曲線F1に示すように、前輪速が、曲線R1に示す後輪速よりも速い速度で回転するスリップが発生すると、4輪駆動制御装置10の制御によって、2輪駆動から4輪駆動への切り替えが必要であると判定され、スリップの発生状況に応じて、該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要とされるモータ出力トルクが算出され、該モータ出力トルクの出力を指示するモータ6に対するトルク指令値Tが生成されて、モータ6による駆動力によって後輪が回転する4輪駆動状態に移行する。
しかる後、時刻tにて、前輪の回転速度と後輪の回転速度とが一致してスリップ状態が解除された状態になったとしても、図2の場合と同様に、最初のスリップ検出の際の4輪駆動の継続時間用に適用するために4輪駆動継続時間tとしてあらかじめ設定されている時間例えば10秒間が経過するまで、トルク指令値Tを、引き続きモータ6に対して出力し続け、4輪駆動がその間継続するように制御する。
しかし、図4に示す本実施例においては、曲線F2に示すように、4輪駆動中であっても、4輪駆動継続時間tが経過するまでの時刻tにおいて、第2回目のスリップがさらに発生している。このように、4輪駆動継続時間tの時間が経過するまでの間に、次のスリップがさらに発生した場合、第1の実施例のような制御であれば、第2回目のスリップ状態が解消した時刻tにおいて、第1回目のスリップ発生時の継続時間と同じ4輪駆動継続時間tを再度設定し直して、4輪駆動を継続することになる。
これに対して、本実施例においては、4輪駆動継続時間tの時間を経過するまでの間に、次のスリップが発生したり、あるいは、発生したスリップ量が大きかった場合には、スリップが多発する路面状況にあるものと判断して、切り替えに時間を要する4輪駆動への切り替え頻度を減らすために、前述したように、4輪駆動継続時間tよりもさらに延長して4輪駆動を継続させるために、スリップの発生の都度、前回のスリップ発生時の継続時間よりもさらに延長し、少なくとも、第1回目のスリップ発生時の継続時間の4輪駆動継続時間tよりも長い時間、4輪駆動を継続させるように制御している。
例えば、前述したように、4輪駆動時も含めてスリップが発生した回数や発生したスリップ量の大きさに応じて、あるいは、発生した各スリップ量の積分値の大きさに応じて、延長単位時間Δt、または、延長単位時間Δtの所定倍数分だけ、前回のスリップの際に設定していた4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tA(i−1)よりも、さらに延長するように補正した4輪駆動補正継続時間tAiを、スリップ解消の都度、設定し直すことによって、4輪駆動の継続時間の長さを可変に制御することにしている。
さらに説明すれば、例えば、スリップ量閾値Vsとしてあらかじめ定めた大きさ以下のスリップが、連続して、1,2,3,…と発生した場合、スリップが発生する都度、4輪駆動の継続時間を示す4輪駆動補正継続時間tAi(i=1,2,3,…)を、4輪駆動継続時間t例えば10秒から、順次、4輪駆動継続時間t+延長単位時間Δt例えば10.01秒、4輪駆動継続時間t+2×延長単位時間Δt例えば10.02秒、…と、延長単位時間Δt(例えば0.01秒)ずつ順次延長させていく。一方、スリップ量閾値Vsとしてあらかじめ定めた大きさを超えるスリップが、連続して、1,2,3,…と発生した場合、延長単位時間Δtの所定倍数例えば2倍の0.02秒ずつ延長させる場合であれば、スリップが発生する都度、4輪駆動の継続時間を示す4輪駆動補正継続時間tAi(i=1,2,3,…)を、4輪駆動継続時間t例えば10秒から、順次、4輪駆動継続時間t+2×延長単位時間Δt例えば10.02秒、4輪駆動継続時間t+4×延長単位時間Δt例えば10.04秒、…と、延長単位時間Δtの2倍ずつ順次延長させていく。
この結果、スリップが発生する都度、発生したスリップの回数とスリップ量とに応じて、4輪駆動を継続するための4輪駆動補正継続時間tAiの時間長が徐々に延長されていき、最初のスリップが発生して4輪駆動に切り替えてからの4輪駆動の総継続時間tsumが、図4(B)に示すように、時刻tから時刻te1までと、より長い時間に亘って継続することになる。これにより、スリップが頻発するような場合であっても、切り替えに長い時間を要する4輪駆動への切り替え発生頻度を軽減することができ、動力効率を向上させることができる。
なお、図4の実施例においては、2輪駆動時において最初に発生したスリップが解消してから4輪駆動継続時間tの時間が経過までの間に、時刻tにおいて第2回目のスリップが発生したために、時刻tにて前輪の回転速度と後輪の回転速度が一致して第2回目のスリップ状態が解除された状態になったとしても、4輪駆動継続時間t例えば10秒の時間よりも延長単位時間Δt例えば0.01秒だけ長い時間に補正した4輪駆動補正継続時間tAiを設定して、該4輪駆動補正継続時間tAiの時間例えば10.01秒の時間が経過するまで、スリップを解消可能な4輪駆動を継続するためのモータ出力トルクを指示するトルク指令値Tを、引き続きモータ6に対して出力し続け、4輪駆動がその間継続するように制御している。なお、図4においては、時刻tにおける第1回目のスリップを解消するためのトルク指令値Tと、時刻tにおける第2回目のスリップを解消するためのトルク指令値Tとを、同一の値にしているが、スリップ解消のために設定したトルク指令値を、そのまま、引き続き出力して、4輪駆動を継続する例を示すものであり、通常は、それぞれのスリップ程度に応じて異なる値のトルク指令値となる。
ここで、4輪駆動補正継続時間tAiの時間長は、前述したように、スリップの発生回数のみならず、発生したスリップ量の大きさによっても、可変の値に設定することが可能である。
この第2の実施例における動作を図5のフローチャートを用いて説明すると、次の通りである。まず、スリップが発生しているか否かを確認し(ステップS21)、スリップが発生していると判断した場合は(ステップS21のYES)、発生したスリップ量の大きさがあらかじめ定めたスリップ量閾値Vs例えば10km/hを超えているか否かを確認する(ステップS22)。
あらかじめ定めたスリップ量閾値Vs以下のスリップ量であった場合(ステップS22のNO)、小さいスリップが発生した場合であるので、前回のスリップ時に設定した4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tA(i−1)の時間にあらかじめ定めた延長単位時間Δt例えば0.01秒だけ加算した時間を、今回の4輪駆動補正継続時間tAiとして設定して、今回のスリップ状態が解消した後でも、前回の4輪駆動補正継続時間tA(i−1)よりも延長単位時間Δtを加えたさらに長い時間の4輪駆動補正継続時間tAiが示す時間の間、4輪駆動をさらに継続する(ステップS24)。
一方、あらかじめ定めたスリップ量閾値Vsを超えるスリップ量であった場合(ステップS22のYES)、前回のスリップ時に設定した4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tA(i−1)の時間にあらかじめ定めた延長単位時間例えば0.01秒のあらかじめ定めた所定倍数分例えば2倍分だけ加算した時間を、今回の4輪駆動補正継続時間tAiとして設定して、今回のスリップ状態が解消した後でも、前回の4輪駆動補正継続時間tA(i−1)よりも延長単位時間Δtの所定倍数分を加えたさらに長い時間の4輪駆動補正継続時間tAiが示す時間の間、4輪駆動をさらに長く継続する(ステップS23)。
ここで、4輪駆動に切り替わった以降において最初に発生した(2輪駆動時と合わせて第2回目の)スリップにおける4輪駆動補正継続時間tAiは、第1の実施例にて説明した2輪駆動時に発生したスリップの場合における4輪駆動継続時間tに、延長単位時間Δtまたは延長単位時間Δtの所定倍数分を加えた時間となる。
なお、本実施例の変形として、スリップ量の大きさそのものに応じて、4輪駆動を継続する時間を可変に変更制御するようにしても良いし、また、それまでに発生した各スリップのスリップ量の積分値を用いて、その積分値の大小に応じて、4輪駆動を継続する時間を可変に変更制御するようにしても良い。このような継続時間の制御を行うことによって、例えば、スリップが発生する都度、スリップ量が徐々に大きくなるような場合には、4輪駆動を継続する時間が徐々に長くなり、逆に、スリップ量が徐々に小さくなってくるような場合には、4輪駆動を継続する時間が徐々に短くなるように制御することができる。
本実施例のような制御を行うことによって、次のような効果が得られる。
低摩擦係数路(低μ路)のように、スリップが頻発する場合や大きなスリップが発生するような場合、その発生程度に応じて、より長い時間に亘って、4輪駆動を継続させることが可能であり、もって、第1の実施例の場合よりも、エンジンの動力性能の低下をより確実に防止することが可能であり、動力効率をより良い状態に保つことが可能になる。
さらに、スリップが頻発するような場合は、摩擦係数が低い路面を走行していると判断して、スリップの発生状況に応じてより長い時間に亘って、4輪駆動を継続可能とすることによって、2輪駆動と4輪駆動との間を反復するハンチングの発生頻度を抑止することができ、もって、切り替えに時間を要する4輪駆動への再接続の発生頻度を最小限に抑えることができ、安定した走行を行うことができる。
(第3の実施例)
次に、図6を用いて、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の第3の実施例について説明する。本実施例は、第2の実施例のように、スリップの発生回数、スリップの大きさ(スリップ量)に応じて、4輪駆動を継続する時間を可変に制御する場合に、4輪駆動を継続可能とする最大時間を制限するように制御する場合の一例を示すものである。図6は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10の第3の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートであり、本発明の4輪駆動制御装置の動作と4輪駆動制御方法とを例示するものである。
図6に示すフローチャートは、前述のように、4輪駆動を継続する時間に制限を設けている場合の動作を説明するものであり、4輪駆動に切り替えた以降の4輪駆動の総継続時間tsum(すなわち、今回のスリップ発生までに4輪駆動を継続していた時間と今回のスリップによりさらに4輪駆動を継続しようとしている4輪駆動補正継続時間tAiとを加えた時間)が、4輪駆動の継続が可能な最大(最長)の時間としてあらかじめ定めた最大継続制限時間tmaxを超える場合には、4輪駆動の総継続時間tsumを最大継続制限時間tmaxに制限するように、今回の4輪駆動補正継続時間tAiの時間長を変更し、4輪駆動が限りなく長く継続してしまうことを防止しようとする一例を示している。
この第3の実施例における動作を図6のフローチャートを用いて説明する。図6のフローチャートにおいて、ステップS31ないしS34までの各ステップは、図5のフローチャートのステップS21ないしS24までの各ステップと全く同様であり、その重複する説明は省略し、ここでは、図6において新たに追加したステップS35,S36についてのみ説明する。
第2の実施例として前述したように、スリップが頻発する場合や大きなスリップが発生するような場合、その発生の都度やスリップ量の程度に応じて、より長い時間に亘って、4輪駆動を継続させることを可能としている。ここで、今回のスリップの発生によって、4輪駆動の継続時間をさらに延長しようとする際に、本実施例においては、4輪駆動に切り替えた最初の時点から、4輪駆動をさらに延長して継続しようとする時点までの総継続時間tsum(例えば、図4(B)に示す時刻t〜te1までの時間tsum)が、あらかじめ定めた最大継続制限時間tmax例えば30秒を超えてしまうか否かを判定する(ステップS35)。総継続時間tsumが最大継続制限時間tmaxを超えてしまう場合は(ステップS35のYES)、4輪駆動の総継続時間tsumを最大継続制限時間tmax以下に制限するように、4輪駆動の残りの継続可能な時間を算出し直して、今回のスリップに対する4輪駆動補正継続時間tAiの時間長を、算出した残りの継続可能な時間に設定し直す(ステップS36)。
本実施例のような制御を行うことによって、低摩擦係数路などにおいてスリップが繰り返し何度も発生してしまうような場合であっても、4輪駆動状態がいつまでも継続する状態を最大継続制限時間tmax例えば30秒以下に制限することが可能であり、2輪駆動に比して動力性能が劣る4輪駆動の継続に伴う動力効率の極端な低下を未然に防止することができる。
(第4の実施例)
次に、図7を用いて、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の第4の実施例について説明する。本実施例は、スリップ発生時の車速の高低に応じて、4輪駆動を継続する時間を可変に制御する場合の一例を示すものである。図7は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10の第4の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートであり、本発明の4輪駆動制御装置の動作と4輪駆動制御方法とを例示するものである。
一般に、高速走行になるほど、2輪駆動から4輪駆動へ再接続するまでに多くの時間を要する。このため、本実施例では、4輪駆動への再接続により多くの時間を要する高速走行状態にある場合においては、4輪駆動を継続する時間をより長い時間に延長すべく、前回のスリップの際に設定していた4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tA(i−1)よりも、さらに長い時間、延長するように補正した4輪駆動補正継続時間tAiを適用するようにして、高速走行域においては、2輪駆動から4輪駆動に接続替えする頻度を減少させるように制御している。
この第4の実施例における動作を図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートにおいて、まず、スリップが発生しているか否かを確認し(ステップS41)、スリップが発生していると判断した場合は(ステップS41のYES)、現在の車速が、あらかじめ定めた車速閾値St例えば30km/hを超えているか否かを確認する(ステップS42)。あらかじめ定めた車速閾値St以下の低速走行中の状態にあった場合は(ステップS42のNO)、前回のスリップ時に設定した4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tA(i−1)の時間にあらかじめ定めた延長単位時間Δt例えば0.01秒だけ加算した時間を、今回の4輪駆動補正継続時間tAiとして設定して、今回のスリップ状態が解消した後、前回の4輪駆動補正継続時間tA(i−1)よりも延長単位時間Δtを加えたより長い時間の4輪駆動補正継続時間tAiが示す時間の間、4輪駆動をさらに継続する(ステップS44)。
一方、あらかじめ定めた車速閾値Stを超える高速走行中の状態にあった場合(ステップS42のYES)、4輪駆動への再接続により多くの時間を要する高速走行状態にあるものと判断して、前回のスリップ時に設定した4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tA(i−1)の時間に、あらかじめ定めた延長単位時間例えば0.01秒のあらかじめ定めた所定倍数分例えば2倍分だけ加算した時間を、今回の4輪駆動補正継続時間tAiとして設定して、今回のスリップ状態が解消した後でも、前回の4輪駆動補正継続時間tA(i−1)よりも延長単位時間Δtの所定倍数分を加えたさらにより長い時間の4輪駆動補正継続時間tAiが示す時間の間、4輪駆動をさらに長く継続する(ステップS43)。
ここで、4輪駆動に切り替わった以降において最初に発生した(2輪駆動時と合わせて第2回目の)スリップにおける4輪駆動補正継続時間tAiは、第2の実施例において説明したように、第1の実施例にて説明した2輪駆動時に発生したスリップの場合における4輪駆動継続時間tに、延長単位時間Δtまたは延長単位時間Δtの所定倍数分を加えた時間となる。
なお、低摩擦係数(低μ)路の走行中のように、スリップ量が大きい場合、前回のスリップ時に設定した4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tA(i−1)の時間よりもさらに長く延長する延長単位時間Δtの所定倍数分として、2倍分の値に固定するものではなく、第2の実施例の場合と同様に、車速やスリップ発生回数やスリップ量に応じて可変にした変数倍を延長単位時間Δtに対して乗算するようにしても良いし、また、車速閾値Stを1種類のみではなく、複数種類の車速閾値を用いて多段階の倍数を用いるようにしても良い。
一方、継続時間を延長する単位時間として、第2の実施例の場合のスリップ量の大小による延長単位時間Δtと同じ値を用いる場合を例示したが、車速の高低により延長する場合の単位時間として、延長単位時間Δtではなく、専用に別途定めた高速用延長単位時間Δtsを用いるようにしても良い。
また、本実施例の場合も、第3の実施例において説明したように、スリップ発生時高速走行中か否かにより4輪駆動の継続時間を延長して設定しようとする際に、4輪駆動の総継続時間tsumが、最大継続制限時間tmux以内に制限されるように制御するようにしても良い。
本実施例のような制御を行うことによって、2輪駆動から4輪駆動への再接続にさらなる時間を要する高速走行中においては、4輪駆動の継続時間をより長くするようにして、4輪駆動への再接続の発生頻度をできるだけ低下させるようにし、結果として、安定した運転を行うことができる。
(第5の実施例)
次に、図8、図9を用いて、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の第5の実施例について説明する。本実施例は、第1の実施例に前述した場合と同様に、スリップが発生した際に4輪駆動を継続する時間を延長するように制御するが、発生したスリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要なモータ出力トルクの出力を指示するモータ6に対するトルク指令値Tをそのまま維持して4輪駆動を継続する第1の実施例の場合とは異なり、このようなトルク指令値Tからあらかじめ定めた下降勾配にしたがってトルク指令値を徐々に低下させるように制御する場合の一例を示すものである。
図8は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10を搭載した車両の第5の実施例における車輪速とモータを駆動する駆動力との時間経過を示すタイムチャートであり、図8(A)に前輪と後輪の車輪速の時間経過を示し、図8(B)にモータに対するトルク指令値の時間経過を示している。また、図9は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10の第5の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートであり、本発明の4輪駆動制御装置の動作と4輪駆動制御方法とを例示するものである。
図8(A)の車輪速の時間経過において、停止状態から発進して、徐々に、車輪速が上昇していく途中の時刻tにおいて、曲線F1に示すように、前輪速が、曲線R1に示す後輪速よりも速い速度で回転するスリップが発生すると、4輪駆動制御装置10の制御によって、2輪駆動から4輪駆動への切り替えが必要であると判定され、スリップの発生状況に応じて、該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要とされるモータ出力トルクが算出され、該モータ出力トルクの出力を指示するモータ6に対するトルク指令値Tが生成されて、モータ6による駆動力によって後輪が回転する4輪駆動状態に移行する。
しかる後、時刻tにて、前輪の回転速度と後輪の回転速度とが一致してスリップ状態が解除された状態になると、通常の従来の4輪駆動システムの場合には、トルク指令の出力も例えば−50Newton/秒程度の早い下降勾配Sで低下していって出力を停止することになるが、本発明の第1の実施例においては、前述したように、スリップ状態が解除された状態になったとしても、最初のスリップ検出の際の4輪駆動の継続時間用に適用するために4輪駆動継続時間tとしてあらかじめ設定されている時間例えば10秒間が経過する時刻tまで、トルク指令値Tを、引き続きモータ6に対して出力し続け、4輪駆動がその間継続するように制御される。
これに対して、本実施例においては、図8(B)に示すように、時刻tにて、前輪の回転速度と後輪の回転速度が一致してスリップ状態が解除された状態になると、あらかじめ定めた4輪駆動用トルク低減時間tの時間例えば5〜10秒間の間延長して、4輪駆動を継続することができるように、スリップを解消可能な4輪駆動を行うトルク指令値Tの出力後、あらかじめ定めた緩やかな傾斜例えば−10Newton/秒の下降勾配Sにしたがって、トルク指令の出力値を徐々に下降させながら、トルク指令の出力を継続することによって4輪駆動を継続させ、4輪駆動用トルク低減時間t(スリップの解消後、徐々にトルク指令値の値を低下させながら、遂に4輪駆動に必要な最低限のモータ出力トルクを下回るトルク指令値となって、トルク指令の出力を停止するまでの時間)だけ延長した時刻te2に到達した時点で、トルク指令値の出力が停止して4輪駆動から2輪駆動に復帰するように動作させる。
この第5の実施例における動作を図9のフローチャートを用いて説明すると、次の通りである。まず、スリップが発生しているか否かを確認し(ステップS51)、スリップが発生していると判断した場合は(ステップS51のYES)、スリップの解消が可能な4輪駆動のためのトルク指令値Tを出力した後、トルク指令の出力値を、あらかじめ定めた下降勾配Sの傾斜で、緩やかに徐々に低下させることによって、4輪駆動が可能なトルク指令の出力が停止に至るまでの時間である4輪駆動用トルク低減時間tだけ延長して、4輪駆動を継続する(ステップS52)。
なお、発生したスリップの解消が可能なトルク指令値Tの値から徐々にトルク指令値を低下させる際に、前述の説明においては、あらかじめ定めた下降勾配Sの傾斜で低下させるように説明したが、例えば、第1の実施例から第4の実施例において4輪駆動の継続時間として説明したような4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tAiの時間の間に亘って徐々に低下するような下降勾配を設定して、4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tAiの時間が経過した際に、トルク指令値の出力が停止するように制御しても良い。
本実施例のような制御を行うことによって、第1の実施例の場合と同様に、次のような効果が得られる。
一度でもスリップが発生した場合に、スリップ解消可能な4輪駆動を行うトルク指令値Tから、4輪駆動用トルク低減時間tとしてトルク指令値の下降勾配Sによって与えられた時間が経過するまでの間に亘って、あらかじめ定めた緩やかな下降勾配Sにしたがって、徐々にトルク指令値の値を低減させながら4輪駆動を継続するので、2輪駆動と4輪駆動との間を反復してしまうハンチング現象を抑止することができるとともに、切り替えに時間を要する4輪駆動への再接続の発生頻度を最小限に抑えることができ、もって、圧雪走行などにおいても、スリップが発生した場合に4輪駆動走行をあらかじめ定めた時間継続することによって、安定した走行を行うことができる。
さらに、あらかじめ定めた緩やかな傾斜の下降勾配Sにしたがって、トルク指令の出力値を徐々に低減させながら、4輪駆動を継続するので、第1の実施例の場合よりも動力効率を改善することが可能となる。
(第6の実施例)
次に、図10を用いて、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の第6の実施例について説明する。
本実施例は、第5の実施例として前述したトルク指令の出力値の緩やかな傾斜の下降勾配Sを、スリップの発生回数やスリップ量の大きさによって可変に制御する場合を示しており、スリップの発生回数、スリップの大きさ(スリップ量)に応じて、第2の実施例に前述した場合と同様に、4輪駆動を継続する時間を可変に制御する場合を示すものである。ただし、本実施例の場合、スリップ解消可能な4輪駆動を行うために指示したモータ6に対するトルク指令値Tをそのまま維持して4輪駆動を行う第2の実施例とは異なり、第5の実施例において説明した下降勾配Sを、スリップの発生回数、および/または、スリップの大きさ(スリップ量)に応じて可変に補正した補正下降勾配Sdiにしたがってトルク指令値をトルク指令値Tから徐々に低下させるように制御する場合の一例を示すものである。
図10は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10の第6の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートであり、本発明の4輪駆動制御装置の動作と4輪駆動制御方法とを例示するものである。図10のフローチャートにおいて、まず、スリップが発生しているか否かを確認し(ステップS61)、スリップが発生していると判断した場合は(ステップS61のYES)、発生したスリップ量の大きさがあらかじめ定めたスリップ量閾値Vs以上例えば10km/hを超えているか否かを確認する(ステップS62)。
あらかじめ定めたスリップ量閾値Vs以下のスリップ量であった場合(ステップS62のNO)、次に、スリップ量は小さくても、スリップが多発していないかを確認するために、発生しているスリップの発生回数があらかじめ定めた制限回数Ns以上例えば0.1回/秒を超えているか否かを確認する(ステップS63)。
あらかじめ定めた制限回数Ns以下であった場合は(ステップS63のNO)、スリップ量が小さく、かつ、スリップの発生回数も少ない場合であるので、第5の実施例にて説明した場合と同様に、発生したスリップの解消が可能な4輪駆動のためのトルク指令値Tを出力した後、あらかじめ定めた緩やかな下降勾配S例えば−10Newton/秒の下降勾配にしたがって、トルク指令の出力値を緩やかに徐々に下降させながら、トルク指令の出力を継続することによって、4輪駆動が可能なトルク指令の出力が停止に至るまでの時間として与えられる4輪駆動用トルク低減時間t例えば5〜10秒間だけ延長して、4輪駆動を継続する(ステップS65)。
一方、あらかじめ定めたスリップ閾値Vsを超えるスリップ量であった場合(ステップS62のYES)、あるいは、あらかじめ定めた制限回数Nsを超えるスリップ発生回数であった場合は(ステップS63のYES)、発生したスリップの解消が可能な4輪駆動のためのトルク指令の出力値を前記下降勾配Sよりもさらに緩やかな下降勾配(すなわち補正可能勾配Sdi)例えば2倍に緩やかにした下降勾配(1/2)×S(例えば、−5Newton/秒)で低減させながら、スリップ状態が解消した後でも、前述した4輪駆動用トルク低減時間tの例えば2倍の10〜20秒間にまで延長して、4輪駆動をさらに長く継続するように制御する(ステップS64)。
ここで、スリップ量が大きいかあるいはスリップ発生回数が多くなった場合において、トルク指令の出力値の下降勾配Sよりもさらに緩やかな下降勾配に変更して補正する際に、スリップ量閾値Vsを超えた場合と制限回数Nsを超えた場合とのそれぞれで、異なる下降勾配に補正して設定するようにしても良いし、あるいは、スリップ量閾値Vsや制限回数Nsを1種類のみではなく複数種類設けるようにして、補正下降勾配Sdiとして下降勾配を多段階に変更して設定可能とするようにしても良い。
さらに、下降勾配Sの変更方法として、第2の実施例において4輪駆動の継続時間の延長のために用いた延長単位時間Δtと同様に、下降勾配を変更補正する単位とする単位下降勾配Δsを用いて下降勾配を変更するようにしても良い。
かかる場合、スリップが発生する都度、前回のスリップが発生した際に適用した下降勾配Sまたは補正下降勾配Sd(i−1)に、単位下降勾配Δsを加えて下降勾配をさらに緩やかにした新たな補正下降勾配Sdiを用いることにより、スリップの発生回数に比例して徐々に下降勾配を緩やかにしていくことができる。
また、発生したスリップ量がスリップ量閾値Vsを超える大きなスリップであった場合、単位下降勾配Δsにあらかじめ定めた所定倍数例えば2倍を乗算して求めた値を、前回のスリップが発生した際に適用した下降勾配Sまたは補正下降勾配Sd(i−1)に加えて下降勾配をさらに緩やかにした新たな補正下降勾配Sdiを用いることにより、大きなスリップの発生回数に比例して徐々に下降勾配をさらに緩やかにしていくことができる。
あるいは、スリップ発生回数やスリップ量に応じて可変にした変数倍を前記単位下降勾配Δsに乗じた量だけ緩やかな下降勾配に変更するようにしても良い。また、スリップの発生ごとのスリップ量の積分値を用いて、その積分値の大小に応じて、トルク指令の出力値の下降勾配を変更した補正下降勾配Sdiを用いるようにしても良い。例えば、スリップ量の積分値が、或る閾値以下であれば、単位下降勾配Δsを、該閾値を超える場合は、単位下降勾配Δsのあらかじめ定めた所定倍数分の値を、前回のスリップ発生時に設定した下降勾配Sまたは補正下降勾配Sd(i−1)に加えて下降勾配をさらに緩やかにした新たな補正下降勾配Sdiを用いるようにしても良い。
本実施例のような制御を行うことによって、低摩擦係数路(低μ路)のように、スリップが頻発する場合や大きなスリップが発生するような場合には、その発生程度に応じて、トルク指令の出力値の下降勾配をより緩やかにして、より長い時間に亘って、4輪駆動を継続させることが可能である。すなわち、スリップの発生状況に応じて、トルク指令の出力値の下降勾配を変更させながら、4輪駆動の継続時間を可変とすることによって、第5の実施例の場合よりも、さらに、エンジンの動力性能の低下をより確実に防止することが可能であり、動力効率をより良い状態に保つことが可能になる。
さらに、スリップが頻発するような場合は、摩擦係数が低い路面を走行していると判断して、トルク指令の出力値の下降勾配Sよりもさらに緩やかな下降勾配に変更して、第5の実施例の場合の4輪駆動用トルク低減時間tよりも長い時間に亘って、トルク指令の出力値を徐々に下降させながら4輪駆動を継続可能とすることによって、2輪駆動と4輪駆動との間を反復するハンチングの発生頻度をより確実に抑止することができ、もって、切り替えに時間を要する4輪駆動への再接続の発生頻度を最小限に抑えることができ、安定した走行を行うことができる。
(第7の実施例)
次に、図11を用いて、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の第7の実施例について説明する。本実施例は、第4の実施例に前述した場合と同様に、スリップが発生した際に、車速の高低に応じて、4輪駆動を継続する時間を可変に制御するが、モータ6に対するトルク指令値Tをそのまま維持して4輪駆動を継続する第4の実施例の場合とは異なり、車速の高低に応じてトルク指令値をあらかじめ定めた下降勾配にしたがって徐々に低下させるように制御する場合の一例を示すものである。
図11は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10の第7の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートであり、本発明の4輪駆動制御装置の動作と4輪駆動制御方法とを例示するものであり、第5,第6の実施例として前述したトルク指令の出力値の下降勾配、補正下降勾配を、車両の現在の車速の高低によって可変に制御する場合を示している。
図11のフローチャートにおいて、まず、スリップが発生しているか否かを確認し(ステップS71)、スリップが発生していると判断した場合は(ステップS71のYES)、現在の車速が、あらかじめ定めた車速閾値St例えば30km/hを超えているか否かを確認する(ステップS72)。あらかじめ定めた車速閾値St以下の低速走行中の状態にあった場合は(ステップS72のNO)、第5の実施例にて説明した場合と同様に、発生したスリップの解消が可能な4輪駆動のためのトルク指令値Tを出力した後、あらかじめ定めた下降勾配S例えば−10Newton/秒の下降勾配にしたがって、トルク指令の出力値を緩やかに徐々に下降させながら、トルク指令の出力を継続することによって、4輪駆動が可能なトルク指令の出力が停止に至るまでの時間である4輪駆動用トルク低減時間t例えば5〜10秒間だけ延長して、4輪駆動を継続する(ステップS74)。
一方、あらかじめ定めた車速閾値Stを超える高速走行中の状態にあった場合(ステップS42のYES)、発生したスリップの解消が可能な4輪駆動のためのトルク指令の出力値を前記下降勾配Sよりもさらに緩やかな下降勾配(すなわち補正可能勾配Sdi)例えば2倍に緩やかにした下降勾配(1/2)×S(例えば、−5Newton/秒)に設定して、スリップ状態が解消した後でも、前述した4輪駆動用トルク低減時間tの例えば2倍の10〜20秒間にまで延長して、4輪駆動をさらに長く継続するように制御する(ステップS73)。
ここで、高速走行状態にある場合に、トルク指令の出力値の下降勾配Sよりもさらに緩やかな下降勾配に変更した補正下降勾配Sdiを求める際に、下降勾配Sの整数倍(2倍など)に一挙に変更するのではなく、第6の実施例の場合と同様に、あらかじめ定めた単位下降勾配Δsを設けて、車速の低速・高速に応じて、該単位下降勾配Δs、または、該単位下降勾配Δsにあらかじめ定めた所定倍数例えば2倍を乗算して求めた値を、前回のスリップが発生した際に適用した下降勾配Sまたは補正下降勾配Sd(i−1)に加えて下降勾配をさらに緩やかにした新たな補正下降勾配Sdiを用いるようにしても良いし、あるいは、車速やスリップ発生回数やスリップ量に応じて可変にした変数倍を前記単位下降勾配Δsに乗じた量だけ緩やかな下降勾配に変更するようにしても良い。また、車速閾値Stを1種類のみではなく、複数種類の車速閾値を用いて多段階の倍数を用いるようにしても良い。
一方、下降勾配を緩やかに変更する際の単位下降勾配として、第6の実施例の場合のスリップ量やスリップ発生回数の大小による単位下降勾配Δsと同じ値を用いる場合を前述したが、車速の高低により勾配を変更する場合の単位下降勾配として、単位下降勾配Δsではなく、専用に別途定めた高速用単位下降勾配Δssを用いるようにしても良い。
本実施例のような制御を行うことによって、第4の実施例の場合と同様に、2輪駆動から4輪駆動への再接続にさらなる時間を要する高速走行中においては、トルク指令値の下降勾配をより緩やかにすることにより、4輪駆動の継続時間をより長くするようにして、4輪駆動への再接続の発生頻度をできるだけ低下させるようにし、結果として、安定した運転を行うことができるとともに、さらに、高車速域では、出力可能なトルク指令値が一般に小さい値になってしまうため、トルク指令値の傾きをより緩やかにすることによって、トルク出力の継続時間を延長させ、4輪駆動に必要とする駆動力を確保して、高車速域における動力効率を向上させることが可能である。
(第8の実施例)
次に、図12、図13を用いて、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の第8の実施例について説明する。本実施例は、第1の実施例に前述した場合と同様に、スリップが発生した場合に4輪駆動を継続する時間を延長させるように制御するものである。ただし、モータ6に対するトルク指令値Tをそのまま維持して4輪駆動する第1の実施例の場合とは異なり、本実施例は、4輪駆動に最低限必要な出力トルク(クラッチが連れ回らない程度の最低限の出力トルク)としてあらかじめ定めたトルク指令値Tを、スリップ状態が解消した後あらかじめ定めた時間だけ継続して出力する制御を行う場合の一例を示すものである。
図12は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10を搭載した車両の第8の実施例における車輪速とモータを駆動する駆動力との時間経過を示すタイムチャートであり、図12(A)に前輪と後輪の車輪速の時間経過を示し、図12(B)にモータに対するトルク指令値の時間経過を示している。また、図13は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10の第8の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートであり、本発明の4輪駆動制御装置の動作と4輪駆動制御方法とを例示するものである。
図12(A)の車輪速の時間経過において、停止状態から発進して、徐々に、車輪速が上昇していく途中の時刻tにおいて、曲線F1に示すように、前輪速が、曲線R1に示す後輪速よりも速い速度で回転するスリップが発生すると、4輪駆動制御装置10の制御によって、2輪駆動から4輪駆動への切り替えが必要であると判定され、スリップの発生状況に応じて、該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要とされるモータ出力トルクが算出され、該モータ出力トルクの出力を指示するモータ6に対するトルク指令値Tが生成されて、モータ6による駆動力によって後輪が回転する4輪駆動状態に移行する。
しかる後、時刻tにて、前輪の回転速度と後輪の回転速度とが一致してスリップ状態が解除された状態になると、通常の従来の4輪駆動システムの場合には、トルク指令の出力を停止することになるが、本発明の第1の実施例においては、前述したように、スリップ状態が解除された状態になったとしても、最初のスリップ検出の際の4輪駆動の継続時間用に適用するために4輪駆動継続時間tとしてあらかじめ設定されている時間例えば10秒間が経過する時刻tまで、トルク指令値Tは、引き続きモータ6に対して出力され続け、4輪駆動がその間継続するように制御される。
これに対して、本実施例においては、図12(B)に示すように、時刻tにて、前輪の回転速度と後輪の回転速度が一致してスリップ状態が解除された状態になると、時刻te3に達するまでのあらかじめ定めた低トルク4輪駆動継続時間tの時間例えば10秒間の間、クラッチが連れ回らなく、かつ、4輪駆動に必要最低限の最低限トルク指令値T例えば2Newtonを継続して出力することによって、4輪駆動の継続時間を延長させ、低トルク4輪駆動継続時間tの時間が経過して時刻te3に達した時点で最低限トルク指令値Tを停止して、4輪駆動から2輪駆動に切り替えるように制御する。すなわち、第1の実施例とは異なり、スリップ状態が解除された以降における4輪駆動の継続中の間は、クラッチが連れ回らない程度の低トルクで、かつ、4輪駆動の継続に必要な最低限のモータトルクの出力指示となる最低限トルク指令値Tを出力するようにしている。
この第8の実施例における動作を図13のフローチャートを用いて説明すると、次の通りである。まず、スリップの発生によって4輪駆動中の状態にある際に、発生したスリップが終了したか否かを確認し(ステップS81)、スリップが終了したものと判断した場合は(ステップS81のYES)、クラッチが連れ回らない程度のトルク指定値であって、かつ、4輪駆動を継続するため最低限必要とするトルク指令値である最低限トルク指令値Tを、スリップ状態が解除された以降あらかじめ定めた低トルク4輪駆動継続時間tの間、出力することによって、4輪駆動を延長して継続する(ステップS82)。
なお、以上の説明においては、最低限トルク指令値Tを継続して出力する時間として、あらかじめ定めた低トルク4輪駆動継続時間tを用いているが、第1の実施例から第4の実施例において説明した4輪駆動継続時間tまたは4輪駆動補正継続時間tAiの時間を用いるようにしても良い。
本実施例のような制御を行うことによって、必要最低限度の低トルクによって4輪駆動を継続させることができるので、4輪駆動に必要とする動力を最小限に抑制することができ、動力性能を大幅に改善することができる。
(第9の実施例)
次に、図14、図15を用いて、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の第9の実施例について説明する。本実施例は、4輪駆動に切り替えるためのスリップ量の大きさを判定するスリップ量閾値を、最初のスリップ発生時の場合と、第2回目以降のスリップ発生時とで異なる値に設定するように制御するものであり、例えば、4輪駆動に切り替えるために適用する第2回目以降のスリップのスリップ量判定に用いる第2スリップ量閾値Vの値を、最初のスリップのスリップ量判定に用いる第1スリップ量閾値Vの値よりも小さくすることにより、スリップが頻発するような場合に、4輪駆動へより早く移行可能とするように制御する場合の一例を示すものである。
図14は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10を搭載した車両の第9の実施例における車輪速とモータを駆動する駆動力との時間経過を示すタイムチャートであり、図14(A)に前輪と後輪の車輪速の時間経過を示し、図14(B)にモータに対するトルク指令値の時間経過を示している。また、図15は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10の第9の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートであり、本発明の4輪駆動制御装置の動作と4輪駆動制御方法とを例示するものである。
図14(A)の車輪速の時間経過において、停止状態から発進して、徐々に、車輪速が上昇していく途中の時刻tにおいて、曲線F1に示すように、前輪速が、曲線R1に示す後輪速よりも速い速度で回転するスリップが発生したとしても、4輪駆動に切り替えるための最初のスリップ量の判定閾値となる第1スリップ量閾値Vの値例えば4km/hよりも小さなスリップ量の場合は、この時刻tにおける最初のスリップは無視して、4輪駆動への切り替えは行わず、2輪駆動のまま、アクセル開度に応じてさらに車輪速を増加させていく。
しかる後、車輪速が上昇していく途中の時刻tにおいて、曲線F2に示すように、4輪駆動に切り替えるための最初のスリップ量の判定閾値となる第1スリップ量閾値Vの値よりも大きいスリップ量のスリップが発生すると、4輪駆動制御装置10の制御によって、2輪駆動から4輪駆動への切り替えが必要であると判定され、スリップの発生状況に応じて、該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要とされるモータ出力トルクが算出され、該モータ出力トルクの出力を指示するモータ6に対するトルク指令値Tが生成されて、モータ6による駆動力によって後輪が回転する4輪駆動状態に移行する。
その後、時刻tにて、4輪駆動の結果として前輪の回転速度と後輪の回転速度とが一致してスリップ状態が解除された状態になると、通常の従来の4輪駆動システムの場合と同様に、トルク指令の出力も停止し、2輪駆動に復帰することになる。
この2輪駆動への復帰に先立って、今回の走行中においては、4輪駆動を必要とする大きさのスリップが過去に発生していたことをスリップ履歴として記録して、次回以降のスリップは、スリップの繰り返し発生時の4輪駆動への切り替えを早く行うことを可能とするように、4輪駆動を必要とするスリップ量か否かを判定する動作として、第1回目のスリップ量の判定閾値として用いた第1スリップ量閾値V例えば4km/hの代わりに、第1スリップ量閾値Vよりも小さい値の第2スリップ量閾値Vの値例えば2km/hを用いる動作に変更される。
すなわち、本実施例においては、一度もスリップが発生していなかった道路(例えばスリップの発生が稀なドライ路)の走行中において、4輪駆動への切り替えを要するスリップを検出するために用いる第1スリップ量閾値Vと、4輪駆動へ切り替えを要するスリップが過去にも発生しているような道路(例えば、スリップが多発する可能性が高い低摩擦係数路(低μ路))を走行中において、4輪駆動への切り替えを要する第2回目以降のスリップを検出するために用いる第2スリップ量閾値Vとの値を可変に設定するようにしている。
したがって、時刻tにおいて4輪駆動に切り替える必要がある最初のスリップが発生して、4輪駆動から2輪駆動に復帰した時刻t以降においては、過去にスリップが発生したことを示すスリップ履歴を有する走行状態となり、時刻tにて、再度、スリップが発生すると、4輪駆動に切り替えたスリップ履歴を過去に有する第2回目以降のスリップであるものと判定して、時刻tにおける今回のスリップ量は、第1スリップ量閾値Vよりも小さい第2スリップ量閾値Vを超えたか否かを判定する。
判定結果、今回のスリップ量が、第1スリップ量閾値Vにも満たないような小さなスリップであっても、第2スリップ量閾値Vを超えたことを検出した場合、時刻tにおいて、4輪駆動に切り替えるべき最初のスリップの発生を検出した場合と同様に、4輪駆動制御装置10の制御によって、2輪駆動から4輪駆動への切り替えが必要であると判定され、スリップの発生状況に応じて、発電機2からの電力によって駆動されるモータ6に対して、該スリップの解消が可能な4輪駆動を行うためのトルク指令値Tが生成されて、モータ6による駆動力によって後輪が回転する4輪駆動状態に再度切り替わる。このように、第2スリップ量閾値Vを、第1スリップ量閾値Vよりも小さい値にすることによって、小さなスリップ量であっても4輪駆動へ切り替わるのみならず、スリップ発生時刻t4aから実際にトルク指令値Tを出力するまでの時刻tまでの時間(t−t4a)を、第1回目のスリップ発生時の時間(t−t2a)よりも短くすることが可能となり、より早く4輪駆動に切り替えることができる。
なお、図14(B)には、第2回目のトルク指令値Tを第1回目のトルク指令値Tと同一の値にしている場合を示しているが、それぞれのスリップ発生状況や車両状態に応じて、4輪駆動のために必要とする出力トルクは異なる値になるので、両者のトルク指令値は、必ずしも、同一の値にはならない。
この第9の実施例における動作を図15のフローチャートを用いて説明する。図15のフローチャートにおいて、まず、スリップが発生しているか否かを確認し(ステップS91)、スリップが発生していると判断した場合は(ステップS91のYES)、今回の走行開始以降において、過去に、4輪駆動への切り替えを要するスリップが発生したスリップ履歴があるか否かを確認する(ステップS92)。
過去に、4輪駆動への切り替えを要するスリップ履歴が存在していなかった場合は(ステップS92のNO)、今回発生したスリップのスリップ量の大きさを示す前輪速と後輪速との車輪速差ΔVが、第1回目のスリップ量の判定閾値としてあらかじめ定めた第1スリップ量閾値Vの値を超えているか否かを確認し(ステップS95)、第1スリップ量閾値Vの値を超えていた場合に(ステップS95のYES)、そのスリップ発生状況に応じて、該スリップを解消可能な状態で後輪を駆動するためのトルク指令値Tを出力して、4輪駆動に切り替える(ステップS96)。
一方、過去に、4輪駆動への切り替えを要するスリップ履歴が存在していた場合は(ステップS92のYES)、今回発生したスリップのスリップ量の大きさを示す前輪速と後輪速との車輪速差ΔVが、第2回目以降のスリップ発生時の4輪駆動への切り替えを要するスリップ量であるか否かを判定するために、第1スリップ量閾値Vの値よりも小さい値としてあらかじめ定めた第2スリップ量閾値Vの値を超えているか否かを確認し(ステップS93)、第2スリップ量閾値Vの値を超えていた場合には(ステップS93のYES)、第1回目のスリップ検出時と同様に、そのスリップ発生状況に応じて、該スリップを解消可能な状態で後輪を駆動するためのトルク指令値Tを出力して、4輪駆動に切り替える(ステップS94)。
なお、以上の説明においては、スリップが解除された際に、トルク指定値の出力も停止して、4輪駆動から2輪駆動に復帰する場合について説明したが、かかる場合に限る必要はない。2輪駆動のみならず、4輪駆動において発生するスリップについても、第1回目と第2回目以降とで、4輪駆動を継続するためのスリップ量の閾値を異なる値に設定するようにしても良い。
例えば、第1〜第4の実施例において説明したように、スリップ状態が解除された以降あらかじめ定めた4輪駆動継続時間tあるいは4輪駆動補正継続時間tAiとして与えた時間分、トルク指令値を延長して出力して、4輪駆動を継続しているような場合についても、第1回目のスリップ判定と第2回目以降とで異なるスリップ量閾値を適用するようにしても良い。
あるいは、第5〜第7の実施例において説明したように、スリップ状態が解除された以降、あらかじめ定めた下降勾配Sあるいは補正下降勾配Sdiによりトルク指令値を徐々に低下させながら出力して、4輪駆動を延長して継続しているような場合についても、同様に、第1回目のスリップ判定と第2回目以降とで異なるスリップ量閾値を適用するようにしても良い。あるいは、第8の実施例において説明したように、スリップ状態が解除された以降あらかじめ定めた低トルク4輪駆動継続時間tとして与えた時間分、4輪駆動の継続に必要な最低限のモータ出力トルクの出力指示となる最低限トルク指令値Tを出力して、4輪駆動を継続しているような場合についても、同様に、第1回目のスリップ判定と第2回目以降とで異なるスリップ量閾値を適用するようにしても良い。
本実施例のような制御を行うことによって、一度もスリップが発生していないドライ路を走行中に、スリップが発生した場合には、そのスリップ量の大きさに対する4輪駆動への切り替えの要否を判定する閾値(第1スリップ量閾値V)が大きく、小さなスリップ量のスリップが発生したとしても、トルク指令値を出力せず、4輪駆動には切り替わらないため、動力性能を高く維持することができる一方、過去にスリップが発生し、スリップが多発する可能性が高い低摩擦係数路の走行中の場合には、スリップが発生した際に、そのスリップ量の大きさに対する4輪駆動への切り替えの要否を判定する閾値(第2スリップ量閾値V)を小さくして、小さなスリップ量のスリップが発生した場合であっても、トルク指令値を出力して、4輪駆動へ切り替え易くすることによって、スリップ状態から早めに脱出することを可能にしている。
(第10の実施例)
最後に、図16〜図18を用いて、本発明による4輪駆動制御装置および4輪駆動制御方法の第10の実施例について説明する。本実施例は、たとえ、スリップが発生していない状態にあったとしても、車輪速の変動の大きさを判定して、路面状況に対応して、早めに4輪駆動に切り替えることを可能とするように制御する場合の一例を示すものである。
図16は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10を搭載した車両の第10の実施例における車輪速の時間経過を示すタイムチャートであり、また、図17は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10において車輪速の変動を判定するためのブロック構成の一例を示す模式図であり、4輪駆動制御装置10内にハードウェア論理あるいはプログラム論理による車輪速変動検出回路として内蔵または外付けして設置されるものである。また、図18は、本発明の一例を示す4輪駆動制御装置10の第10の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートであり、本発明の4輪駆動制御装置の動作と4輪駆動制御方法とを例示するものである。
図16の車輪速に示すように、まず、スリップがほとんど発生しない平坦なドライ路を走行中においては、曲線F1に示す前輪速と、曲線R1に示す後輪速とは、ほぼ一致した車輪速で回転しているが、一旦、スリップが発生し易い深雪道や砂利道のようなラフな道路の走行に差し掛かった場合においては、曲線F2に示す前輪速と曲線R2に示す後輪速のように、前後輪の車輪速差ΔVがまだ小さくスリップを検出するまでには至っていないとしても、双方の車輪それぞれの車輪速が大きく変動して、2輪駆動では不安定な走行状態に陥ってしまうことがある。
このため、本実施例においては、前輪速と後輪速とのいずれかの一方あるいは双方の変動の大きさに応じて、走行路面のラフさの程度を判別して、車輪速の変動の激しく、平均の車輪速に対してあらかじめ定めた変動閾値STを超えて変動していることを検出した場合には、スリップが発生し易いラフな路面を走行しているものと判定して、4輪駆動へ切り替え易くするように、4輪駆動への切り替えが必要か否かを判定するためのスリップ量閾値を、通常の平坦な路面を走行中の場合のスリップ量閾値Vsに比して、より小さな値のラフ路スリップ量閾値Vrに変更して設定し、早めに4輪駆動へ移行可能とするように制御している。
次に、本実施例における車輪速の変動の大きさを検出するために4輪駆動制御装置10に内蔵した車輪速変動検出回路の構成例を、図17を用いて説明する。図17に示すように、車輪速の変動の大きさを、ハードウェア論理を用いて検出する場合、車輪速変動検出回路として、少なくとも、一次フィルタ11、減算器12、絶対値化回路13、レベル判定回路14、カウンタ15を備えている。なお、前述したように、かかる各回路を、4輪駆動制御装置10内のプロセッサを用いてプログラム論理として実現することももちろん可能である。
図17において、まず、あらかじめ定めた周期ごとに、車輪速センサからの前輪および/または後輪の車輪速が、4輪駆動制御装置10に読み取られて、車輪速変動検出回路の一次フィルタ11と減算器12とに入力される。一次フィルタ11では、あらかじめ定めた時間だけ過去に遡って入力されていた車輪速を積分することにより、最新の車輪速の平均値を算出するものであり、今回入力されてきた車輪速と過去の車輪速の平均値との積分結果から、今回までの最新の車輪速の平均値を算出して、減算器12に対して出力する。減算器12では、今回入力されてきた車輪速と、一次フィルタ11から出力された今までの車輪速の平均値との差分を算出して、絶対値化回路13に出力する。この結果、今回の車輪速と今までの車輪速の平均値との差分の絶対値が得られる。
次に、今回の車輪速と今までの車輪速の平均値との差分の絶対値が、レベル判定回路14に入力されて、あらかじめ定めた変動閾値ST例えば1km/hを超えているか否かが判定される。あらかじめ定めた変動閾値STを超えていた場合、レベル判定回路14からカウンタ15に出力信号が出力され、カウンタ15において、変動閾値STを超えた車輪速の変動発生回数をカウントする。カウンタ15における変動発生回数のカウント数が、あらかじめ定めた測定時間幅Tc例えば5秒の間に、任意に設定可能な回数閾値CT例えば10回を越えたか否かを判定する。カウント数が該測定時間幅Tcの間に回数閾値CTを超えていた場合には、ラフ路面を走行中であるものと判定する。ラフ路面を走行中であるという出力が得られると、前述したように、スリップが発生した場合のスリップ量が、4輪駆動への切り替えが必要か否かを判定するためのスリップ量閾値を、変動閾値以下の場合に適用されるスリップ量閾値すなわち平坦な路面を走行中の場合のスリップ量閾値Vsに比して、より小さな値のラフ路スリップ量閾値Vrに変更する。
なお、レベル判定回路14からの出力信号によって、カウンタ15により車輪速の変動発生回数をカウントする場合、該出力信号の立ち上がりの変化点にてカウントするようにしても良いし、出力信号として確定するタイミングでカウントするようにしても良い。また、ラフ路面を走行中か否かを判定する際に、急加速時または急減速時において、ラフ路面を走行中であると誤認識しないように、カウンタ15にて車輪速の変動発生回数を任意に設定可能な回数閾値CTに達するまでカウントするようにしている。ここで、回数閾値CTの値は、任意の値に事前に設定することができるが、デフォルト値としてあらかじめ定めた値例えば10回を設定しておくようにしても良い。
カウンタ15のカウント結果としてラフ路面を走行中であるものと判定すると、前述したように、平坦な路面を走行中の場合に4輪駆動に切り替えるか否かを判定するためのスリップ量閾値(例えば第9の実施例における第1スリップ量閾値V例えば4km/h)の値に比して、より小さな値のラフ路スリップ量閾値Vr例えば2km/hに変更して設定することにより、4輪駆動への切り替えをより容易に行うことが可能な状態に設定する。
この第10の実施例における動作を図18のフローチャートを用いて説明すると、次の通りである。まず、スリップを発生していない状態であっても、前輪速および/または後輪速を車輪速として取得して(ステップS101)、あらかじめ定めた時間だけ遡って過去に取得していた車輪速との平均値を取って、最新の車輪速の平均値として算出する(ステップS102)。
次に、今回取得した車輪速とステップS102にて算出した最新の車輪速の平均値との差分を求めて(ステップS103)、求めた差分値があらかじめ定めた変動閾値STを超えてしまうような、大きい変動が発生していないか否かを判定する(ステップS104)。あらかじめ定めた変動閾値STを超えていなかった場合(ステップS104のNO)、4輪駆動に切り替えるか否かを判定するスリップ量閾値は、平坦なドライ路の走行用としてあらかじめ定めた閾値例えば4km/h(この閾値は、第9の実施例における第1スリップ量閾値Vと同じ値を用いても良い)のままにして、スリップ発生による4輪駆動への切り替えの動作は通常通りの状態にする(ステップS106)。
一方、あらかじめ定めた変動閾値STを超えていた場合は(ステップS104のYES)、今回の走行中に、4輪駆動への切り替えを要するスリップの発生はまだないものの、4輪駆動が必要となりそうなラフ路の走行中であるものと判定して、4輪駆動への切り替えを容易にするために、ドライ路走行用としてあらかじめ定めた閾値よりも小さな値のラフ路スリップ量閾値Vr例えば2km/hに変更して設定する(ステップS105)。
なお、図18のフローチャートにおいては、図17の説明とは異なり、回数閾値CTを0回としている場合の動作を示すものであって、1回でも変動閾値STを超えた場合に、ただちに、ラフ路を走行中であるものと判断している例を示したが、図17における説明と同様、車輪速の変動が変動閾値STを超えた変動発生回数が、任意に設定した回数閾値CTを超えた場合に、初めて、ラフ路を走行中であるものと判定して、4輪駆動に移行すべきか否かのスリップ量の判定に用いる閾値を、ラフ路スリップ量閾値Vr例えば2km/hに変更して設定するようにしても良い。
本実施例のような制御を行うことによって、ラフ路面(砂利道、深雪道)を走行中の場合は、4輪駆動に容易に切り替えて走行することができるので、より安定した走行を行うことができる。
本発明による4輪駆動制御装置を備えたシステム構成の一例を示すシステム構成図である。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置を搭載した車両の第1の実施例における車輪速とモータを駆動する駆動力との時間経過を示すタイムチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置の第1の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置を搭載した車両の第2の実施例における車輪速とモータを駆動する駆動力との時間経過を示すタイムチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置の第2の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置の第3の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置の第4の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置を搭載した車両の第5の実施例における車輪速とモータを駆動する駆動力との時間経過を示すタイムチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置の第5の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置の第6の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置の第7の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置を搭載した車両の第8の実施例における車輪速とモータを駆動する駆動力との時間経過を示すタイムチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置の第8の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置を搭載した車両の第9の実施例における車輪速とモータを駆動する駆動力との時間経過を示すタイムチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置の第9の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置を搭載した車両の第10の実施例における車輪速の時間経過を示すタイムチャートである。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置において車輪速の変動を判定するためのブロック構成の一例を示す模式図である。 本発明の一例を示す4輪駆動制御装置の第10の実施例における動作概要を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1…エンジン、1a…ベルト、2…発電機、3…変速機、3a…変速比選択手段、4…エンジン駆動輪、5…アクセルペダル、6…モータ、7…減速機、8…モータ駆動輪、9…パワーハーネス、10…4輪駆動制御装置(4WDコントローラ)、11…一次フィルタ、12…加算器、13…絶対値化回路、14…レベル判定回路、15…カウンタ、S,S…下降勾配、T…トルク指令値、T…最低限トルク指令値、t…4輪駆動継続時間、tAi…4輪駆動補正継続時間、t…4輪駆動用トルク低減時間、t…低トルク4輪駆動継続時間、tSUM…総継続時間、V…第1スリップ量閾値、V…第2スリップ量閾値。

Claims (33)

  1. 車両の前輪、後輪のいずれか一方の車輪をエンジンにより駆動し、該エンジンの駆動力の一部を用いて発電する発電機からの供給電力によって回転駆動するモータが出力する駆動力によって他方の車輪を駆動するように4輪駆動を制御する4輪駆動制御装置において、前輪、後輪のいずれかにスリップが発生したことを検出した場合、4輪駆動を行うとともに、スリップ状態が解消した時点から、あらかじめ定めた4輪駆動継続時間が経過するまでの間、4輪駆動を継続することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  2. 請求項1に記載の4輪駆動制御装置において、スリップが発生した場合、発生した該スリップの大きさを示すスリップ量、および/または、発生したスリップ回数に応じて、前記4輪駆動継続時間の値を可変に補正した4輪駆動補正継続時間を算出し、前記4輪駆動継続時間の代わりに、可変に補正した前記4輪駆動補正継続時間を適用して、該4輪駆動補正継続時間が経過するまでの間、4輪駆動を継続することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  3. 請求項2に記載の4輪駆動制御装置において、スリップが発生する都度、前回のスリップの際に適用した前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間に、あらかじめ定めた延長単位時間を加算して新たに算出した4輪駆動補正継続時間を、4輪駆動を継続する時間として適用することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  4. 請求項3に記載の4輪駆動制御装置において、発生したスリップ量が、あらかじめ定めたスリップ量閾値を超えていた場合、前記延長単位時間の代わりに、前記延長単位時間にあらかじめ定めた倍数を乗算して求めた時間を、前回のスリップの際に適用した前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間に加算して新たに算出した4輪駆動補正継続時間を、4輪駆動を継続する時間として適用することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  5. 請求項2に記載の4輪駆動制御装置において、スリップが発生する都度、発生したスリップ量を積分したスリップ積分値が、あらかじめ定めた閾値以下か否かに基づいて、あらかじめ定めた延長単位時間、または、前記延長単位時間にあらかじめ定めた倍数を乗算して求めた時間のいずれかを、前回のスリップの際に適用した前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間に加算して新たに算出した4輪駆動補正継続時間を、4輪駆動を継続する時間として適用することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の4輪駆動制御装置において、スリップが発生した際の当該車両の車速が、あらかじめ定めた車速閾値を超えた高速走行域であった場合、前回のスリップの際に適用した前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間の値をさらに延長するように補正した新たな4輪駆動補正継続時間を算出し、新たに算出した前記4輪駆動補正継続時間を適用して、該4輪駆動補正継続時間が経過するまでの間、4輪駆動を継続することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  7. 請求項6に記載の4輪駆動制御装置において、スリップが発生した際の当該車両の車速が、前記車速閾値以下であるか否かに応じて、あらかじめ定めた高速用延長単位時間、または、前記高速用延長単位時間にあらかじめ定めた倍数を乗算して求めた時間のいずれかを、前回のスリップの際に適用した前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間に加算して新たに算出した4輪駆動補正継続時間を、4輪駆動を継続する時間として適用することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の4輪駆動制御装置において、4輪駆動の総継続時間が、4輪駆動の継続が可能な最大の時間としてあらかじめ定めた最大継続制限時間を超えないように制御することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の4輪駆動制御装置において、スリップを検出した際に該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要なモータ出力トルクの出力を指示するトルク指令値を、前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間により指定された4輪駆動の継続時間が経過するまでの間、継続して出力することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  10. 請求項1ないし8のいずれかに記載の4輪駆動制御装置において、スリップを検出した際に該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要なモータ出力トルクの出力を指示するトルク指令値から徐々にトルク指令値の値を低下させながら、前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間により指定された4輪駆動の継続時間が経過するまでの間、出力することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  11. 請求項1ないし8のいずれかに記載の4輪駆動制御装置において、スリップを検出した際に該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要なモータ出力トルクの出力を指示するトルク指令値を出力して、スリップ状態が解消した後、4輪駆動に必要最低限のモータ出力トルクを出力することを指示する最低限トルク指令値を、前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間により指定された4輪駆動の継続時間が経過するまでの間、出力することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  12. 車両の前輪、後輪のいずれか一方の車輪をエンジンにより駆動し、該エンジンの駆動力の一部を用いて発電する発電機からの供給電力によって回転駆動するモータが出力する駆動力によって他方の車輪を駆動するように4輪駆動を制御する4輪駆動制御装置において、前輪、後輪のいずれかにスリップが発生したことを検出した場合、4輪駆動を行うとともに、スリップを検出した際に該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要とされるモータ出力トルクの出力を指示するトルク指令値から、あらかじめ定めた下降勾配にしたがって徐々にトルク指令値の値を低下させながら、4輪駆動が可能なトルク指令の出力が停止するまでの時間を示す4輪駆動用トルク低減時間の間、トルク指令値の出力を継続することにより、前記4輪駆動用トルク低減時間が経過するまで延長して、4輪駆動を継続することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  13. 請求項12に記載の4輪駆動制御装置において、スリップが発生した場合、発生した該スリップの大きさを示すスリップ量、および/または、発生したスリップ回数に応じて、前記下降勾配の値を可変に補正した補正下降勾配を算出し、前記下降勾配の代わりに、可変に補正した前記補正下降勾配を適用して、スリップを検出した際に該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要とされるモータ出力トルクの出力を指示するトルク指令値から該補正下降勾配にしたがって徐々にトルク指令値の値を低下させながら出力することにより、補正された前記補正下降勾配に基づいて前記4輪駆動用トルク低減時間が変更された時間が経過するまで、4輪駆動を継続することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  14. 請求項13に記載の4輪駆動制御装置において、スリップが発生する都度、前回のスリップの際に適用した前記下降勾配または前記補正下降勾配に、あらかじめ定めた単位下降勾配を加えてさらに緩やかにするように算出した新たな補正下降勾配を、発生したスリップを解消可能な前記トルク指令値から徐々にトルク指令値の値を低下させる勾配として適用することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  15. 請求項14に記載の4輪駆動制御装置において、発生したスリップ量が、あらかじめ定めたスリップ量閾値を超えていた場合、前記単位下降勾配の代わりに、前記単位下降勾配にあらかじめ定めた倍数を乗算して求めた値を、前回のスリップの際に適用した前記下降勾配または前記補正下降勾配に加算してさらに緩やかにするように算出した新たな補正下降勾配を、発生したスリップを解消可能な前記トルク指令値から徐々にトルク指令値の値を低下させる勾配として適用することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  16. 請求項13に記載の4輪駆動制御装置において、スリップが発生する都度、発生したスリップ量を積分したスリップ積分値が、あらかじめ定めた閾値以下か否かに基づいて、あらかじめ定めた単位下降勾配、または、前記単位下降勾配にあらかじめ定めた倍数を乗算して求めた値のいずれかを、前回のスリップの際に適用した前記下降勾配または前記補正下降勾配に加算してさらに緩やかにするように算出した新たな補正下降勾配を、発生したスリップを解消可能な前記トルク指令値から徐々にトルク指令値の値を低下させる勾配として適用することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  17. 請求項12ないし16のいずれかに記載の4輪駆動制御装置において、スリップが発生した際の当該車両の車速が、あらかじめ定めた車速閾値を超えた高速走行域であった場合、前回のスリップの際に適用した前記下降勾配または前記補正下降勾配をさらに緩やかにするように補正した新たな補正下降勾配を算出し、新たに算出した前記補正下降勾配を適用して、発生したスリップを解消可能な前記トルク指令値から徐々にトルク指令値の値を低下させることを特徴とする4輪駆動制御装置。
  18. 請求項17に記載の4輪駆動制御装置において、スリップが発生した際の当該車両の車速が、前記車速閾値以下であるか否かに応じて、あらかじめ定めた高速用単位下降勾配、または、前記高速用単位下降勾配にあらかじめ定めた倍数を乗算して求めた値のいずれかを、前回のスリップの際に適用した前記下降勾配または前記補正下降勾配に加算してさらに緩やかにするように算出した新たな補正下降勾配を、発生したスリップを解消可能な前記トルク指令値から徐々にトルク指令値の値を低下させる勾配として適用することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  19. 請求項1ないし18のいずれかに記載の4輪駆動制御装置において、走行開始以降に発生したスリップについて、4輪駆動に切り替えるか否かを検出するためのスリップ量の判定を行う閾値として、4輪駆動に切り替える最初のスリップを検出するために適用する第1スリップ量閾値と、4輪駆動に切り替える2回目以降のスリップを検出するために適用する第2スリップ量閾値と、で異なる値に設定することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  20. 請求項19に記載の4輪駆動制御装置において、前記第1スリップ量閾値を、
    前記第2スリップ量閾値よりも大きい値に設定することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  21. 請求項1ないし20のいずれかに記載の4輪駆動制御装置において、前輪、後輪のいずれか一方または双方の車輪速と、あらかじめ定めた時間だけ過去に遡った最新の車輪速の平均値との差が、あらかじめ定めた変動閾値を超えるか否かを判定し、前記変動閾値を超える変動の発生回数が、あらかじめ定めた測定時間幅の間に、任意に設定した回数閾値を超えた場合、4輪駆動に切り替えるか否かを検出するためのスリップ量の判定を行う閾値として、前記変動閾値以下の場合において4輪駆動へ切り替えるスリップ量の判定に適用するスリップ量閾値よりも小さい値としてあらかじめ定めたラフ路スリップ量閾値を適用することを特徴とする4輪駆動制御装置。
  22. 車両の前輪、後輪のいずれか一方の車輪をエンジンにより駆動し、該エンジンの駆動力の一部を用いて発電する発電機からの供給電力によって回転駆動するモータが出力する駆動力によって他方の車輪を駆動するように4輪駆動を制御する4輪駆動制御方法において、前輪および後輪の車輪速に差を生じるスリップが発生したことを検出した場合、4輪駆動を行うとともに、スリップ状態が解消した時点から、あらかじめ定めた4輪駆動継続時間が経過するまでの間、4輪駆動を継続することを特徴とする4輪駆動制御方法。
  23. 請求項22に記載の4輪駆動制御方法において、スリップが発生した場合、発生した該スリップの大きさを示すスリップ量、および/または、発生したスリップ回数に応じて、前記4輪駆動継続時間の値を可変に補正した4輪駆動補正継続時間を算出し、前記4輪駆動継続時間の代わりに、可変に補正した前記4輪駆動補正継続時間を適用して、該4輪駆動補正継続時間が経過するまでの間、4輪駆動を継続することを特徴とする4輪駆動制御方法。
  24. 請求項22または23に記載の4輪駆動制御方法において、スリップが発生した際の当該車両の車速が、あらかじめ定めた車速閾値を超えた高速走行域であった場合、前回のスリップの際に適用した前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間の値をさらに延長するように補正した新たな4輪駆動補正継続時間を算出し、新たに算出した前記4輪駆動補正継続時間を適用して、該4輪駆動補正継続時間が経過するまでの間、4輪駆動を継続することを特徴とする4輪駆動制御方法。
  25. 請求項22ないし24のいずれかに記載の4輪駆動制御方法において、4輪駆動の総継続時間が、4輪駆動の継続が可能な最大の時間としてあらかじめ定めた最大継続制限時間を超えないように制御することを特徴とする4輪駆動制御方法。
  26. 請求項22ないし25のいずれかに記載の4輪駆動制御方法において、スリップを検出した際に該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要なモータ出力トルクの出力を指示するトルク指令値を、前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間により指定された4輪駆動の継続時間が経過するまでの間、継続して出力することを特徴とする4輪駆動制御方法。
  27. 請求項22ないし25のいずれかに記載の4輪駆動制御方法において、スリップを検出した際に該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要なモータ出力トルクの出力を指示するトルク指令値から徐々にトルク指令値の値を低下させながら、前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間により指定された4輪駆動の継続時間が経過するまでの間、出力することを特徴とする4輪駆動制御方法。
  28. 請求項22ないし25のいずれかに記載の4輪駆動制御方法において、スリップを検出した際に該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要なモータ出力トルクの出力を指示するトルク指令値を出力して、スリップ状態が解消した後、4輪駆動に必要最低限のモータ出力トルクを出力することを指示する最低限トルク指令値を、前記4輪駆動継続時間または前記4輪駆動補正継続時間により指定された4輪駆動の継続時間が経過するまでの間、出力することを特徴とする4輪駆動制御方法。
  29. 車両の前輪、後輪のいずれか一方の車輪をエンジンにより駆動し、該エンジンの駆動力の一部を用いて発電する発電機からの供給電力によって回転駆動するモータが出力する駆動力によって他方の車輪を駆動するように4輪駆動を制御する4輪駆動制御方法において、前輪および後輪の車輪速に差を生じるスリップが発生したことを検出した場合、4輪駆動を行うとともに、スリップを検出した際に該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要とされるモータ出力トルクの出力を指示するトルク指令値から、あらかじめ定めた下降勾配にしたがって徐々にトルク指令値の値を低下させながら、4輪駆動が可能なトルク指令の出力が停止するまでの時間を示す4輪駆動用トルク低減時間の間、トルク指令値の出力を継続することにより、前記4輪駆動用トルク低減時間が経過するまで延長して、4輪駆動を継続することを特徴とする4輪駆動制御方法。
  30. 請求項29に記載の4輪駆動制御方法において、スリップが発生した場合、発生した該スリップの大きさを示すスリップ量、および/または、発生したスリップ回数に応じて、前記下降勾配の値を可変に補正した補正下降勾配を算出し、前記下降勾配の代わりに、可変に補正した前記補正下降勾配を適用して、スリップを検出した際に該スリップを解消可能な4輪駆動を行うために必要とされるモータ出力トルクの出力を指示するトルク指令値から該補正下降勾配にしたがって徐々にトルク指令値の値を低下させながら出力することにより、補正した前記補正下降勾配に基づいて前記4輪駆動用トルク低減時間が変更された時間が経過するまで、4輪駆動を継続することを特徴とする4輪駆動制御方法。
  31. 請求項29または30に記載の4輪駆動制御方法において、スリップが発生した際の当該車両の車速が、あらかじめ定めた車速閾値を超えた高速走行域であった場合、前回のスリップの際に適用した前記下降勾配または前記補正下降勾配をさらに緩やかにするように補正した新たな補正下降勾配を算出し、新たに算出した前記補正下降勾配を適用して、発生したスリップを解消可能な前記トルク指令値から徐々にトルク指令値の値を低下させることを特徴とする4輪駆動制御方法。
  32. 請求項22ないし31のいずれかに記載の4輪駆動制御方法において、走行開始以降に発生したスリップについて、4輪駆動に切り替えるか否かを検出するためのスリップ量の判定を行う閾値として、4輪駆動に切り替える最初のスリップを検出するために適用する第1スリップ量閾値と、4輪駆動に切り替える2回目以降のスリップを検出するために適用する第2スリップ量閾値と、で異なる値に設定することを特徴とする4輪駆動制御方法。
  33. 請求項22ないし32のいずれかに記載の4輪駆動制御方法において、前輪、後輪のいずれか一方または双方の車輪速と、あらかじめ定めた時間だけ過去に遡った最新の車輪速の平均値との差が、あらかじめ定めた変動閾値を超えるか否かを判定し、前記変動閾値を超える変動の発生回数が、あらかじめ定めた測定時間幅の間に、任意に設定した回数閾値を超えた場合、4輪駆動に切り替えるか否かを検出するためのスリップ量の判定を行う閾値として、前記変動閾値以下の場合において4輪駆動へ切り替えるスリップ量の判定に適用するスリップ量閾値よりも小さい値としてあらかじめ定めたラフ路スリップ量閾値を適用することを特徴とする4輪駆動制御方法。
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