JP2008119921A - 平版印刷用湿し水補充液組成物および湿し水の補充管理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 湿し水を使用する平版印刷において発生しやすい次の1)〜3)の問題を解決する平版印刷用湿し水補充液組成物および湿し水の補充管理方法を提供することを課題とする。
1)IPAを含有しない湿し水の使用によるインキの転移不良や印刷物の汚れの発生。
2)pH値を指標として湿し水の管理・補充方法におけるインキの過剰乳化。
3)湿し水の定量補給における印刷物の汚れの発生。
【解決手段】 印刷機上の湿し水の補充とは別に、それの補充と並行して、酸性水溶液を主成分とする平版印刷用湿し水補充液組成物を湿し水のpH値が一定範囲内に入るように補充する。
【選択図】 図1
1)IPAを含有しない湿し水の使用によるインキの転移不良や印刷物の汚れの発生。
2)pH値を指標として湿し水の管理・補充方法におけるインキの過剰乳化。
3)湿し水の定量補給における印刷物の汚れの発生。
【解決手段】 印刷機上の湿し水の補充とは別に、それの補充と並行して、酸性水溶液を主成分とする平版印刷用湿し水補充液組成物を湿し水のpH値が一定範囲内に入るように補充する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、平版印刷機で用いられる湿し水の品質を良好に保持する為に、湿し水の補充と併用して補充される補充液組成物と、それを用いた印刷機における湿し水の管理及び補充方法に関する。
平版印刷版を用いたオフセット印刷は、水と油が本質的に混じり合わない性質を利用した印刷方式であり、印刷版面は水を受容してインキを反発する部分(非画線部)と、水を反発しインキを受容する部分(画線部)とからなる。
この方式では、版面に湿し水を与え過ぎるとインキも乳化され、過剰に乳化されたインキは、インキを供給するローラー上にインキが堆積して転移不良になるいわゆる過乳化が発生する。
一方、湿し水が少なすぎると非画線部にインキが付着し汚れの原因となる。
一方、湿し水が少なすぎると非画線部にインキが付着し汚れの原因となる。
このインキと湿し水とのバランスを保つため、従来から湿し水にはイソプロピルアルコール(以下、IPAとも呼ぶ)を添加することが広く行われてきた。
IPAを添加する効果としては、湿し水の非画線部への濡れが良好になってインキの反発性が高まると共に、湿し水の粘度を上げて給水装置から版面への湿し水の供給を滑らかにすること等が挙げられる。
IPAを添加する効果としては、湿し水の非画線部への濡れが良好になってインキの反発性が高まると共に、湿し水の粘度を上げて給水装置から版面への湿し水の供給を滑らかにすること等が挙げられる。
しかし、IPAは危険物第4類アルコール類に該当し、使用に際しては火気に細心の注意を払う必要がある。又、有機溶剤予防規則第2種有機溶剤に該当し、水溶液中の濃度は5重量%以上含有する場合は、有機則に則した管理が求められる。湿し水中には通常5〜20質量%程度の濃度で添加して使用することから、局所排気装置等を設置する必要があるなどの問題があった。
このため、近年IPAを全く用いないか、用いても印刷機における湿し水中の濃度が5質量%以下であるような湿し水ないしは湿し水濃縮組成物が提案されてきた。
例えばIPAの代替化合物として界面活性剤や有機溶剤等を添加したものとして、特許文献1〜5を挙げることが出来る。
例えばIPAの代替化合物として界面活性剤や有機溶剤等を添加したものとして、特許文献1〜5を挙げることが出来る。
このようにIPAを使用しないか、又はIPAを削減した湿し水濃縮組成物が開発され、普及してきたが、IPAを含有する湿し水のように印刷版面の非画線部への濡れが良好である事や湿し水への増粘効果の付与の面において完全に代替できる性能は得られていないのが現状である。
また、近年コスト削減のために、印刷用紙の低級化や再生紙の利用が急増している。IPA等のアルコールを使用しないか又は削減した湿し水を用いる印刷条件下では印刷紙面が汚れやすい傾向にあるため、印刷機の湿し水量を多くしなければならなくなる。
湿し水の量を多くした状態では、印刷機において湿し水がインキローラー上まで上がってしまい、インキが過剰に乳化した状態になり、スムーズに転移していかなくなるいわゆるローラーはげやインキの転移不良が発生しやすい。その結果、インキの着肉性(網点等の着き)が悪くなったり印刷面がかすれたりする等の問題が増加している。
湿し水の量を多くした状態では、印刷機において湿し水がインキローラー上まで上がってしまい、インキが過剰に乳化した状態になり、スムーズに転移していかなくなるいわゆるローラーはげやインキの転移不良が発生しやすい。その結果、インキの着肉性(網点等の着き)が悪くなったり印刷面がかすれたりする等の問題が増加している。
湿し水は印刷中に用紙と共に持ち去られて量が減り、また蒸発等によって成分の組成が変化する。そこで湿し水の状態を管理し、補充することが必要である。
湿し水の管理方法の一つとして、pH値を指標としたpH管理がある。pH管理とは、印刷機で使用中の湿し水のpH値がおおよそ4〜5.5になるように、湿し水濃縮組成物及び水を補充するシステムである。
湿し水の管理方法の一つとして、pH値を指標としたpH管理がある。pH管理とは、印刷機で使用中の湿し水のpH値がおおよそ4〜5.5になるように、湿し水濃縮組成物及び水を補充するシステムである。
近年の印刷用紙は用紙の光沢や白色度の向上、裏移り防止を目的として、炭酸カルシウムが多く使用されるようになっている。炭酸カルシウムは水溶液中では弱アルカリ性を示し、用紙から湿し水中に溶出すると湿し水のpHを中性〜アルカリ性側にシフトさせる。
pH管理では、pHが設定範囲の値になるように湿し水濃縮組成物(一般的にエッチ液と呼ばれている)を補充するため、湿し水濃縮組成物の酸成分以外の成分(界面活性剤や溶剤等)も補充される。
炭酸カルシウムを多く含む用紙を用いる場合は、pH値による補充管理方法では補充量が多くなる傾向があり、これに伴って界面活性剤や溶剤の補充も過剰となりやすい。これはインキの過剰乳化を引き起こす等のトラブルを起こしやすい。
炭酸カルシウムを多く含む用紙を用いる場合は、pH値による補充管理方法では補充量が多くなる傾向があり、これに伴って界面活性剤や溶剤の補充も過剰となりやすい。これはインキの過剰乳化を引き起こす等のトラブルを起こしやすい。
このような理由により、近年ではpH管理に代わって、印刷機の湿し水の減量分を、水と湿し水濃縮組成物とを一定の割合で補充する定量管理が主流となっている。
この定量管理においては、湿し水濃縮組成物が過剰に供給されることは少なく、インキの過乳化は発生しにくいが、前述の炭酸カルシウムを多く含む用紙に印刷すると、その影響でpH値がアルカリ側にシフトしてしまう。湿し水濃縮組成物の主な成分である酸性成分の汚れ防止剤が炭酸カルシウムとの反応によりその効果を失うためである。
湿し水が酸性でなくなると、印刷版の非画線部のインキ反発性(親水性)が保持できなくなり、印刷物の汚れが発生しやすくなる。
この定量管理においては、湿し水濃縮組成物が過剰に供給されることは少なく、インキの過乳化は発生しにくいが、前述の炭酸カルシウムを多く含む用紙に印刷すると、その影響でpH値がアルカリ側にシフトしてしまう。湿し水濃縮組成物の主な成分である酸性成分の汚れ防止剤が炭酸カルシウムとの反応によりその効果を失うためである。
湿し水が酸性でなくなると、印刷版の非画線部のインキ反発性(親水性)が保持できなくなり、印刷物の汚れが発生しやすくなる。
特許文献6には、湿し水は従来低温にコントロールされることが多いのに対して、増粘剤を用いて常温で用いる方法が記載されている。これは、温度による粘度管理を増粘剤により粘度管理しようとするものである。
常温において印刷する場合、湿し水を冷却して印刷を行う場合と比較してインキの過剰乳化状態を引き起こしやすくなり、常温で印刷することに対応したインキを用いることが必要になる場合がある。加えて、いわゆるワンウェイ方式(印刷機に供給された湿し水は循環利用されない)の湿し水供給装置であるため、湿し水の消費量が多くなるというデメリットが考えられる。
常温において印刷する場合、湿し水を冷却して印刷を行う場合と比較してインキの過剰乳化状態を引き起こしやすくなり、常温で印刷することに対応したインキを用いることが必要になる場合がある。加えて、いわゆるワンウェイ方式(印刷機に供給された湿し水は循環利用されない)の湿し水供給装置であるため、湿し水の消費量が多くなるというデメリットが考えられる。
本発明は、湿し水を使用する平版印刷において発生しやすい次の1)〜3)の問題を解決する平版印刷用湿し水補充液組成物および湿し水の補充管理方法を提供することを課題とする。
1)IPAを含有しない湿し水を使用する環境においては、印刷機上でのローラーハゲやインキの転移不良、印刷物の汚れが発生しやすい。
2)pH値を指標として湿し水を管理・補充する方法においては、湿し水濃縮組成物が供給過多になりインキが過剰乳化になりやすい。
3)水と湿し水濃縮組成物が一定の割合で供給される定量管理においては、湿し水濃縮組成物中の酸性成分が、印刷用紙から溶出する炭酸カルシウム等との反応により酸性成分が本来の汚れ防止効果を失い、印刷物の汚れが発生しやすい。
1)IPAを含有しない湿し水を使用する環境においては、印刷機上でのローラーハゲやインキの転移不良、印刷物の汚れが発生しやすい。
2)pH値を指標として湿し水を管理・補充する方法においては、湿し水濃縮組成物が供給過多になりインキが過剰乳化になりやすい。
3)水と湿し水濃縮組成物が一定の割合で供給される定量管理においては、湿し水濃縮組成物中の酸性成分が、印刷用紙から溶出する炭酸カルシウム等との反応により酸性成分が本来の汚れ防止効果を失い、印刷物の汚れが発生しやすい。
本発明は、上記課題を解決するために、印刷機上の湿し水の補充とは別に、湿し水の補充と並行して補充される、酸性水溶液を主成分とする平版印刷用湿し水補充液組成物を湿し水の補充管理を行うために使用する。
前記の湿し水補充液組成物は、次の(イ)および(ロ)の条件を満たす。
(イ)下記の群Aから選ばれる一つ以上の有機酸を含有するか、及び又は下記の群Bから選ばれる一つ以上の無機酸を含有する。
(ロ)繊維素系水溶性樹脂、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選ばれる一つ以上の水溶性樹脂を含有する。
群A:酢酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、グリオキシル酸、マロン酸、フイチン酸。
群B:リン酸、ピロリン酸及びポリリン酸に代表される縮合リン酸、硝酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩若しくはアンモニウム塩。
前記の湿し水補充液組成物は、次の(イ)および(ロ)の条件を満たす。
(イ)下記の群Aから選ばれる一つ以上の有機酸を含有するか、及び又は下記の群Bから選ばれる一つ以上の無機酸を含有する。
(ロ)繊維素系水溶性樹脂、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選ばれる一つ以上の水溶性樹脂を含有する。
群A:酢酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、グリオキシル酸、マロン酸、フイチン酸。
群B:リン酸、ピロリン酸及びポリリン酸に代表される縮合リン酸、硝酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩若しくはアンモニウム塩。
本発明の湿し水の補充管理方法は、次の(ハ)及び(ニ)から成る。
(ハ)湿し水のpHを計測し、その値が設定範囲よりも高くなった場合には請求項1に記載の平版印刷用湿し水補充液組成物を一定量添加する。
(ニ)湿し水濃縮組成物を一定の濃度に希釈しておき、湿し水の減量分だけ補充する。
(ハ)湿し水のpHを計測し、その値が設定範囲よりも高くなった場合には請求項1に記載の平版印刷用湿し水補充液組成物を一定量添加する。
(ニ)湿し水濃縮組成物を一定の濃度に希釈しておき、湿し水の減量分だけ補充する。
従来一般に行われている湿し水やその濃縮組成物を直接補給してpH管理や定量補給管理をする方法では、湿し水中の界面活性剤や溶剤が過剰に添加されてインキの過乳化や印刷の汚れを引き起こすことがある。
本発明の湿し水補充液組成物を用いることにより、界面活性剤や溶剤を過剰に添加することなく、汚れ防止の主成分である酸性成分のみを補充して、汚れ防止等湿し水の本来の効果を発揮することができる。
近年の印刷用紙はコストダウンのために低品質化が進み、汚れやすい紙やpHが変動しやすい紙が種々用いられている。
本発明の湿し水補充液組成物を用いる湿し水の補充管理方法によれば、pHが変動しやすく、汚れやすい印刷用紙の場合だけ、湿し水補充液組成物が供給されるシステムであるため、経済的である。
また印刷紙面が汚れて印刷できなくなることを未然に防ぐ事ができるため、損紙の削減や安定的した印刷品質を得ることが可能になる。
本発明の湿し水補充液組成物を用いることにより、界面活性剤や溶剤を過剰に添加することなく、汚れ防止の主成分である酸性成分のみを補充して、汚れ防止等湿し水の本来の効果を発揮することができる。
近年の印刷用紙はコストダウンのために低品質化が進み、汚れやすい紙やpHが変動しやすい紙が種々用いられている。
本発明の湿し水補充液組成物を用いる湿し水の補充管理方法によれば、pHが変動しやすく、汚れやすい印刷用紙の場合だけ、湿し水補充液組成物が供給されるシステムであるため、経済的である。
また印刷紙面が汚れて印刷できなくなることを未然に防ぐ事ができるため、損紙の削減や安定的した印刷品質を得ることが可能になる。
平版印刷機で印刷を行うと、湿し水は印刷用紙に付着して持ち去られることにより、また水分や溶剤分が蒸発するなどにより次第に量が減少し、また成分の組成が変化する。
印刷を安定して行うためには、湿し水の量や組成の変動を小さくすることが必要である。
本発明を実施する好ましい一例を図1に基づいて説明する。
印刷を安定して行うためには、湿し水の量や組成の変動を小さくすることが必要である。
本発明を実施する好ましい一例を図1に基づいて説明する。
湿し水は図1の二次タンク(4)と印刷機(9)との間でポンプ等により循環供給される。
湿し水は通常は濃縮組成物として提供される。この濃縮組成物を一定割合で水によって希釈し、設定された一定の濃度で印刷機に供給するための希釈液を準備するのが一次タンク(2)である。
一次タンク(2)の濃度は、印刷機で使用される湿し水組成物の濃度と同一にするのが一般的である。
湿し水は通常は濃縮組成物として提供される。この濃縮組成物を一定割合で水によって希釈し、設定された一定の濃度で印刷機に供給するための希釈液を準備するのが一次タンク(2)である。
一次タンク(2)の濃度は、印刷機で使用される湿し水組成物の濃度と同一にするのが一般的である。
タンク(2)の液量減少が液レベル計(5)によって検知されると、湿し水濃縮組成物のタンク(1)から該組成物が流量計測機能を持つ弁(7)を通してタンク(2)に補給され、同時に水が配管(10)を経由し、弁(7)を通して同じくタンク(2)に補給される。湿し水濃縮組成物と水との補給量は一定の比率となるように設定され、タンク(2)内の湿し水濃縮組成物の濃度は、常に設定された一定値となる。
二次タンク(4)の液量は液レベル計(5)で管理されており、常に設定された一定の液量となるように、一次タンク(2)から湿し水がポンプ等で補充される。
また本発明の湿し水補充液組成物は、図1の補充液タンク(3)にストックされている。
二次タンク(4)にはpH計(6)が取り付けられており、pHの値がアルカリ側(数値が大きくなる側)に設定された一定値以上シフトした場合は、設定されたpH値に入るまで、補充液タンク(3)から補充液が二次タンク(4)に補充される。
二次タンク(4)の液量は液レベル計(5)で管理されており、常に設定された一定の液量となるように、一次タンク(2)から湿し水がポンプ等で補充される。
また本発明の湿し水補充液組成物は、図1の補充液タンク(3)にストックされている。
二次タンク(4)にはpH計(6)が取り付けられており、pHの値がアルカリ側(数値が大きくなる側)に設定された一定値以上シフトした場合は、設定されたpH値に入るまで、補充液タンク(3)から補充液が二次タンク(4)に補充される。
pH値の管理数値はPH4.0〜5.5の間が好ましい。PHが4.0以下になると湿し水自体の親水性が高くなり、着肉不良(インキが画線部にのらなくなる)を起こしやすくなる。またPHが5.5以上になると耐汚れ性が低下してしまう。
なお、このシステムにおいては、一次タンク(2)から二次タンク(4)への補充は、一台の一次タンク(2)から複数台の二次タンク(4)へ補充してもよい。
複数の印刷機がある場合は、二次タンクはそれぞれの印刷機毎に設けると、それぞれの印刷機の条件(用紙、印刷物)に応じて細かく管理が行える。
一次タンクおよび二次タンクには、撹拌装置や温度調節装置を必要に応じて設けても良い。
なお、このシステムにおいては、一次タンク(2)から二次タンク(4)への補充は、一台の一次タンク(2)から複数台の二次タンク(4)へ補充してもよい。
複数の印刷機がある場合は、二次タンクはそれぞれの印刷機毎に設けると、それぞれの印刷機の条件(用紙、印刷物)に応じて細かく管理が行える。
一次タンクおよび二次タンクには、撹拌装置や温度調節装置を必要に応じて設けても良い。
本発明の平版印刷用湿し水補充液組成物は、有機酸及びまたは無機酸を含有し、さらに水溶性樹脂を含有する。
前記の有機酸として、酢酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、グリオキシル酸、及び又はそれらの第1〜第3ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩が好ましく使用される。
炭酸カルシウムのキレート効果、及び汚れ防止効果付与の面からコハク酸、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、グリオキシル酸、及び又は酢酸、リンゴ酸、クエン酸のそれぞれ第1〜第3ナトリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩がより好ましく使用される。
炭酸カルシウムのキレート効果、及び汚れ防止効果付与の面からコハク酸、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸、グリオキシル酸、及び又は酢酸、リンゴ酸、クエン酸のそれぞれ第1〜第3ナトリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩がより好ましく使用される。
前記の無機酸の好適なものとして、リン酸、ピロリン酸及びポリリン酸に代表される縮合リン酸の他、硝酸、及び又はこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩あるいはアンモニウム塩が例示される。
これらの中でも好ましくはリン酸、リン酸塩類としてリン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素アンモニウム、硝酸塩類の中では硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウムが汚れ防止効果付与の面において好ましく使用される。
これらの中でも好ましくはリン酸、リン酸塩類としてリン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素アンモニウム、硝酸塩類の中では硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウムが汚れ防止効果付与の面において好ましく使用される。
前記の水溶性樹脂の好適なものとして、繊維素系水溶性樹脂、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンが例示される。
繊維素系水溶性樹脂では、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましく使用される。
その他の水溶性樹脂ではポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが好ましい。
以上の水溶性樹脂の中でも、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が最も効果的である。これらは単独でも、二つ以上を併用することもできる。
繊維素系水溶性樹脂では、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましく使用される。
その他の水溶性樹脂ではポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが好ましい。
以上の水溶性樹脂の中でも、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が最も効果的である。これらは単独でも、二つ以上を併用することもできる。
本発明を実施例にて詳細に説明するがこれら実施例に限定されるものではない。尚%は特に指定のない限り質量%を示す。
本発明の湿し水補充液の実施例及び比較例の配合を表1に示す。
表1の原料の入手先は次の通りである。
クエン酸[1水和物]・・・国産化学株式会社製。
クエン酸ジアンモニウム・・・小松屋化学株式会社製。
グリコール酸(70%水溶液)・・・デュポン社製
酢酸マグネシウム[4水和物]・・・大東化学株式会社製。
リンゴ酸・・・扶桑化学株式会社製。
硝酸アンモニウム・・・日本化成株式会社製。
硝酸ナトリウム・・・日産化学工業株式会社製。
リン酸2水素アンモニウム・・・国産化学株式会社製。
リン酸2水素ナトリウム・・・国産化学株式会社製。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH−50)・・・信越化学株式会社製。
カルボキシメチルセルロース・・・ダイセル化学株式会社製。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル:C4、エチレンオキサイド7モル付加)・・・三洋化成工業株式会社製・
ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(アルキル:C4、プロピレンオキサイド20モル付加)・・・三洋化成工業株式会社製。
表1の組成に従って、各例の湿し水補充液を調整した。単位はグラムであり、表1の組成以外の残部として水を加えてそれぞれ全量を1000mlとした。
表1の原料の入手先は次の通りである。
クエン酸[1水和物]・・・国産化学株式会社製。
クエン酸ジアンモニウム・・・小松屋化学株式会社製。
グリコール酸(70%水溶液)・・・デュポン社製
酢酸マグネシウム[4水和物]・・・大東化学株式会社製。
リンゴ酸・・・扶桑化学株式会社製。
硝酸アンモニウム・・・日本化成株式会社製。
硝酸ナトリウム・・・日産化学工業株式会社製。
リン酸2水素アンモニウム・・・国産化学株式会社製。
リン酸2水素ナトリウム・・・国産化学株式会社製。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ60SH−50)・・・信越化学株式会社製。
カルボキシメチルセルロース・・・ダイセル化学株式会社製。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル:C4、エチレンオキサイド7モル付加)・・・三洋化成工業株式会社製・
ポリオキシプロピレンアルキルエーテル(アルキル:C4、プロピレンオキサイド20モル付加)・・・三洋化成工業株式会社製。
表1の組成に従って、各例の湿し水補充液を調整した。単位はグラムであり、表1の組成以外の残部として水を加えてそれぞれ全量を1000mlとした。
本発明の湿し水補充液実施例1〜6、及び比較例1〜4について、湿し水濃縮組成物であるエッチ液NA108W(大日本インキ化学工業株式会社製)を水で100倍に希釈(濃度1.0%、pH5.0)して湿し水とし、前述の湿し水循環二次タンク(容量100L)(4)に入れた。
更に湿し水濃縮組成物混合1次タンク(容量20L)(2)でNA108Wが濃度1.0%になるように定量管理を行なうように設定を行なった。
湿し水補充液組成物タンク(3)に、実施例及び比較例の湿し水補充液組成物をそれぞれいれて、pH補充センサー(8)がpH5.0になるように設定した。
更に湿し水濃縮組成物混合1次タンク(容量20L)(2)でNA108Wが濃度1.0%になるように定量管理を行なうように設定を行なった。
湿し水補充液組成物タンク(3)に、実施例及び比較例の湿し水補充液組成物をそれぞれいれて、pH補充センサー(8)がpH5.0になるように設定した。
実施例は本発明の湿し水組成物補充液を用いて湿し水管理を行う場合を想定している。
比較例は、一般の湿し水濃縮組成物を用いてpH管理を行う場合を想定している。比較例では湿し水の酸成分の補充と同時に、界面活性剤や溶剤も補充される。
比較例は、一般の湿し水濃縮組成物を用いてpH管理を行う場合を想定している。比較例では湿し水の酸成分の補充と同時に、界面活性剤や溶剤も補充される。
強制的に紙成分から溶出される炭酸カルシウムの影響を調査するため、炭酸カルシウムを溶解させた水溶液(pH6.8)5.0Lを(4)にいれて以下に示す(a)〜(d)のテストを実施した。
印刷条件は以下の通りである。
印刷機:ローランド−704(ディック・マンローランド社製)、
印刷速度:10,000枚/1時間、
印刷用紙:十条ダイヤコート57.5kg/A全、
湿し水機構:ローランドマチック
温湿度:23〜24℃,50〜60%RH、
インキ:フュージョンG紅−N(大日本インキ化学工業株式会社製)、
印刷版:TP−W(CTP版、コダックポリクロームグラフィックス株式会社製)。
印刷機:ローランド−704(ディック・マンローランド社製)、
印刷速度:10,000枚/1時間、
印刷用紙:十条ダイヤコート57.5kg/A全、
湿し水機構:ローランドマチック
温湿度:23〜24℃,50〜60%RH、
インキ:フュージョンG紅−N(大日本インキ化学工業株式会社製)、
印刷版:TP−W(CTP版、コダックポリクロームグラフィックス株式会社製)。
(a)水幅適性
印刷機の給水量の目盛り(目盛り1〜99、給水ローラーの回転数の目盛りでもある)で網点の絡みが発生する水目盛りを下限値、紙面のベタ部分の濃度が0.1落ちた水目盛りを上限値とする下限値と上限値の幅を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・35目盛り以上の水幅。
△・・・30〜25目盛り以内の水幅。
×・・・25目盛り以下の水幅。
印刷機の給水量の目盛り(目盛り1〜99、給水ローラーの回転数の目盛りでもある)で網点の絡みが発生する水目盛りを下限値、紙面のベタ部分の濃度が0.1落ちた水目盛りを上限値とする下限値と上限値の幅を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・35目盛り以上の水幅。
△・・・30〜25目盛り以内の水幅。
×・・・25目盛り以下の水幅。
(b)給水ローラー安定性
印刷10,000枚終了後の給水ローラーの汚れ具合を観察した。評価基準は次の通りである。
○・・・汚れなし。
△・・・若干汚れがある。
×・・・汚れる。
(c)耐汚れ適性
印刷を一旦停止してから約1時間放置後に再印刷したとき、印刷物の非画線部の汚れ解消具合を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・インキの汚れが非画線部からすぐ消える。
△・・・インキの汚れが若干残る。
×・・・インキの汚れが残る。
印刷10,000枚終了後の給水ローラーの汚れ具合を観察した。評価基準は次の通りである。
○・・・汚れなし。
△・・・若干汚れがある。
×・・・汚れる。
(c)耐汚れ適性
印刷を一旦停止してから約1時間放置後に再印刷したとき、印刷物の非画線部の汚れ解消具合を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・インキの汚れが非画線部からすぐ消える。
△・・・インキの汚れが若干残る。
×・・・インキの汚れが残る。
(d)乳化適性
印刷テストにおいて、インキ練ローラー及び紙面上のインキの乳化状態を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・適正な乳化状態。
△・・・やや過乳化状態。
×・・・過剰乳化状態。
印刷テストにおいて、インキ練ローラー及び紙面上のインキの乳化状態を調べた。評価基準は次の通りである。
○・・・適正な乳化状態。
△・・・やや過乳化状態。
×・・・過剰乳化状態。
前記の(a)〜(d)のテスト結果を次表に示す。
比較例1〜4ではpH設定で補充が入るため、炭酸カルシウムの影響で湿し水補充液が過剰に供給されるため、界面活性剤、溶剤の影響で水幅が狭くなる。即ちインキが乳化されやすくなる。
上限値では過乳化状態となり、給水ローラーまで過乳化したインキがフィードバックして給水ローラーまで汚れてきた。
上限値では過乳化状態となり、給水ローラーまで過乳化したインキがフィードバックして給水ローラーまで汚れてきた。
本発明の湿し水補充液組成物を用いることにより、湿し水の補充管理において界面活性剤や溶剤を過剰に添加することなく、汚れ防止の主成分である酸性成分のみを補充して、湿し水の本来の効果を発揮することができる。
近年使用が増加している低品質の汚れやすい印刷用紙に印刷する場合でも、汚れ発生を防止し、紙の無駄を削減して安定した印刷品質を得ることができる。
近年使用が増加している低品質の汚れやすい印刷用紙に印刷する場合でも、汚れ発生を防止し、紙の無駄を削減して安定した印刷品質を得ることができる。
1 湿し水濃縮組成物タンク
2 一次タンク
3 湿し水補充液組成物タンク
4 二次タンク
5 液レベル計
6 pH計
7 流量計及び電磁弁
8 ポンプ
9 印刷機
10 水道水供給配管
2 一次タンク
3 湿し水補充液組成物タンク
4 二次タンク
5 液レベル計
6 pH計
7 流量計及び電磁弁
8 ポンプ
9 印刷機
10 水道水供給配管
Claims (3)
- 印刷時における平版印刷用湿し水の補充において、その濃縮組成物の補充に併用して補充される、酸性水溶液を主成分とする平版印刷用湿し水補充液組成物。
- 次の(イ)および(ロ)の条件を満たす請求項1に記載の平版印刷用湿し水補充液組成物。
(イ)下記の群Aから選ばれる一つ以上の有機酸を含有するか、及び又は下記の群Bから選ばれる一つ以上の無機酸を含有する。
(ロ)繊維素系水溶性樹脂、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選ばれる一つ以上の水溶性樹脂を含有する。
群A:酢酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、グリオキシル酸、マロン酸、フイチン酸。
群B:リン酸、ピロリン酸及びポリリン酸に代表される縮合リン酸、硝酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩若しくはアンモニウム塩。 - 次の(ハ)及び(ニ)から成る印刷機の湿し水の補充管理方法。
(ハ)湿し水のpHを計測し、その値が設定範囲よりも高くなった場合には請求項1に記載の平版印刷用湿し水補充液組成物を一定量添加する。
(ニ)湿し水濃縮組成物を一定の濃度に希釈しておき、湿し水の減量分だけ補充する。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006305224A JP2008119921A (ja) | 2006-11-10 | 2006-11-10 | 平版印刷用湿し水補充液組成物および湿し水の補充管理方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017204104A1 (ja) * | 2016-05-27 | 2017-11-30 | 東レ株式会社 | 印刷物の製造方法 |
-
2006
- 2006-11-10 JP JP2006305224A patent/JP2008119921A/ja active Pending
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WO2017204104A1 (ja) * | 2016-05-27 | 2017-11-30 | 東レ株式会社 | 印刷物の製造方法 |
CN109153274A (zh) * | 2016-05-27 | 2019-01-04 | 东丽株式会社 | 印刷物的制造方法 |
JPWO2017204104A1 (ja) * | 2016-05-27 | 2019-03-22 | 東レ株式会社 | 印刷物の製造方法 |
US10906294B2 (en) | 2016-05-27 | 2021-02-02 | Toray Industries, Inc. | Method for producing printed matter |
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