JP2008119573A - 水性塗料の塗装方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗膜の平滑性を損なうことなく、塗着時の塗膜固形分を高めることができる水性塗料の塗装方法を提供する。
【解決手段】水性塗料を噴霧式塗装機によって被塗物の吹き付ける水性塗料の塗装方法であって、上記塗装機に供給する塗料の粘度を0.059Pa・s以下とし、上記塗装機による噴霧塗粒の平均粒子径を10μm以下とし、塗着時の塗膜粘度が10Pa・s以上、該塗着時から1分経過後の塗膜の固形分が70質量%以上、並びに塗膜の乾燥後の膜厚が1μm以上40μm以下となるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は水性塗料の塗装方法に関する。
自動車の車体塗装では、一般に下塗り塗装(電着塗装)、中塗り塗装、上塗り塗装(ベース塗装及びクリヤ塗装)の順で行なわれている。その中塗り及びベース塗装には従来から溶剤型塗料が広く採用されてきたが、近年は環境負荷軽減の観点から、低溶剤型ないしは無溶剤型の塗料への置換が求められている。そのような塗料としては、水性塗料、粉体塗料、パウダースラリー塗料などが既に実用化されているが、塗装作業性の向上という観点から水性塗料への置換が進みつつある。
ところで、ウェットオンウェットにより、水性塗料による塗装に続いて溶剤型塗料のクリヤ塗装を行なった後に塗膜の焼付け乾燥を行なうと、水性塗料による塗膜に残存する水分によって突沸現象を生じ、ピンホールなどの塗膜欠陥が発生する。このような塗膜欠陥の発生を抑制するには、水性塗料による塗装後にその塗膜中の水分を蒸発させるプレヒート工程を組み込めばよいが、そのためのエネルギーが別途必要になるため、プレヒート工程を要しない水性塗料塗装技術の開発が要望されている。
これに対して、特許文献1には、水性塗料の噴霧粒子の平均粒子径を25μm以下にするとともに、該水性塗料による塗膜の固形分が40質量%以上の状態でクリヤ塗装をすることが開示されている。これは、上記平均粒子径を小さくすることにより、塗装段階で当該水性塗料からの水分の蒸発を促して塗膜の固形分を高め、プレヒート工程を不要にするというものである。
特開2002−126624号公報
しかし、水性塗料の噴霧粒子の平均粒子径を小さくすると、水分の蒸発が促進されるものの、被塗物に塗着した塗料の粘度が高くなる問題がある。すなわち、塗着した塗料の流動性が低下し、かえってクリヤ塗装後の塗膜の平滑性ないしは表面外観が悪化するという問題である。
そこで、本発明は、上記塗膜の平滑性を損なうことなく、上記水性塗料による塗膜の固形分を高め、プレヒート工程を簡略(乾燥温度の低減又は乾燥時間の短縮)に或いは省略できるようにすることを課題とする。
本発明は、このような課題に対して、水性塗料の噴霧粒子の平均粒子径を小さくするとともに、該水性塗料の粘度を低くするようにした。
請求項1に係る発明は、水性塗料を噴霧式塗装機によって被塗物に吹き付ける水性塗料の塗装方法であって、
上記塗装機に供給する塗料の粘度を0.059Pa・s以下とし、
上記塗装機による噴霧塗粒の平均粒子径を10μm以下とし、
塗着時の塗膜粘度が10Pa・s以上、該塗着時から1分経過後の塗膜の固形分が70質量%以上、並びに塗膜の乾燥後の膜厚が1μm以上40μm以下となるようにすることを特徴とする。
すなわち、本発明者は、プレヒート工程の簡略化ないしは省略を課題として塗装方法を研究した結果、塗粒(噴霧式塗装機による塗料の噴霧粒子)の乾燥効率を下式のように塗粒の重量に対する塗粒の表面積の比で定義できることを見出した。そして、重量を塗粒の体積で近似すると、結局、乾燥効率はその粒子径に反比例すると定義付けることができる。
乾燥効率∝(塗粒の表面積)/(塗粒の重量)
∝(粒子径)/(粒子径)
∝1/(粒子径)
そこで、固形分48質量%の水性塗料を用いて上記定義式を検証した。その結果、図1に示すように、塗粒の平均粒子径を50μm(従来の塗装方法の平均的な粒子径)から10μmまで小さくすると、塗着時(塗装機による塗料の吹付け終了時)の塗膜の固形分が55質量%から80質量%以上にまで上昇することがわかった。固形分80質量%は、当該水性塗料による塗膜のプレヒートによる目標固形分である。
一方、上記平均粒子径の微小化は乾燥効率の向上に有効であるものの、塗装機に供給する塗料の粘度を粒子径が大きいときと同じように設定すると、被塗物に塗着した塗料の粘度が高くなって、その流動性が低下してしまう。
そこで、本発明では、上記平均粒子径を10μm以下にするとともに、塗装機に供給する塗料の粘度を従来よりも低い0.059Pa・s以下として、塗着した塗料の良好な流動性を確保した。この場合、塗料の粘度を低くすると、流動性の確保に有利になるだけでなく、塗装機によって塗料を噴霧したときの塗料の微粒化が容易になるという効果が得られる。
そうして、このような設定において、塗着時の塗膜粘度が10Pa・s以上、塗膜の乾燥後の膜厚が40μm以下となるようにすることにより、塗膜のタレ(流れ)を抑制して平滑性の高い塗膜を形成できるようにした。また、塗着時から1分経過後の塗膜の固形分を70質量%以上とすることにより、仮にウェットオンウェットを行なってもピンホール等の欠陥を生じ難いようにした。換言すれば、当該塗膜への重ね塗りを行なう場合であっても、プレヒート工程を簡略に或いは省略できるようにようにした。また、上記平滑性を高める観点から、塗膜の乾燥後の膜厚は1μm以上が好ましい。
請求項2に係る発明は、請求項1において、
上記塗装機による上記噴霧塗粒の平均粒子径を5μm以下とすることを特徴とする。
これにより、表面が平滑な塗膜を得る上でさらに有利になる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
塗装ブース内の温度を50℃以下とすることを特徴とする。
これにより、噴霧された塗粒の粘度が過度に上昇することを防止し、塗着した塗料の流動性を確保して平滑な塗膜を得る上で有利になる。塗装ブース内の温度は30℃以下が好ましい。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
塗装ブース内の相対湿度RHを90%以下とすることを特徴とする。
すなわち、塗装ブース内の相対湿度RHが高すぎると、噴霧された塗粒からの水分の蒸発が進まなくなる。そこで、当該相対湿度RHを90%以下とするものである。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一の水性塗料の塗装方法をウェットオンウェットにおける下層塗膜の形成に用いることを特徴とする。
すなわち、上述の如く塗粒の平均粒子径を10μm以下とし、塗着時から1分経過後の塗膜の固形分が70質量%以上となるようにしたから、ウェットオンウェットにおいてプレヒート工程の簡略化ないしは省略が可能になる。
請求項6に係る発明は、請求項5において、
上記水性塗料の塗装方法による塗着時から1分経過後の当該下層塗膜の固形分が80質量%以上となるようにすることを特徴とする。
従って、上層塗膜形成後の焼付け乾燥時にピンホール等の表面欠陥を生ずることを防止する上でさらに有利になる。
請求項7に係る発明は、請求項5又は請求項6において、
上記下層塗膜の表面粗さRaが0.3μm以下である状態で上層塗膜を形成する塗装を行なうことを特徴とする。
従って、上層塗膜の平滑性を高める上で有利になる。
請求項8に係る発明は、請求項5乃至請求項7のいずれか一において、
上記下層塗膜の粘度が1000Pa・s以上である状態で上層塗膜を形成する塗装を行なうことを特徴とする。
従って、上層塗膜の平滑性を高める上で有利になる。
以上のように本発明によれば、噴霧式塗装機に供給する水性塗料の粘度を0.059Pa・s以下、該塗装機による噴霧塗粒の平均粒子径を10μm以下とし、塗着時の塗膜粘度が10Pa・s以上、該塗着時から1分経過後の塗膜の固形分が70質量%以上、並びに塗膜の乾燥後の膜厚が1μm以上40μm以下となるようにしたから、塗膜のタレを招くことなく、被塗物に塗着した塗料の良好な流動性を確保し、且つ塗膜の乾燥効率を高めることができ、平滑性の高い塗膜を得ることができる。
また、ウェットオンウェットを行なう場合であっても、プレヒート工程の簡略化ないしは省略が可能になり、省エネルギー及び作業効率の向上に有利になる。
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
<塗膜構成>
図2に本実施形態に係る塗装鋼板の塗膜構成を示す。同図において、1はSPC鋼板、2は電着塗装した下塗り塗膜、3は水性塗料による中塗り塗膜、4は水性塗料によるベース塗膜、5は溶剤系クリヤ塗料によるクリヤ塗膜である。
<塗装方法>
リン酸亜鉛処理したSPC鋼板1に電着塗装を行ない、焼付け乾燥処理を施して下塗り塗膜2を形成する。この下塗り塗膜2の上に噴霧式塗装機を用いて水性塗料を均一に塗装することにより、中塗り塗膜3を形成する。次にこの中塗り塗膜3の上に噴霧式塗装機を用いウェットオンウェットにて別の水性塗料を均一に塗装することにより、ベース塗膜4を形成する。最後にベース塗膜4の上に噴霧式塗装機を用いウェットオンウェットにて溶剤系クリヤ塗料を均一に塗装し、焼付け乾燥を行なうことにより、クリヤ塗膜5を形成する。
本発明の特徴とするところは、上記水性塗料による中塗り塗膜及びベース塗膜4の形成にあたって、次の塗装条件を採用した点にある。
A.噴霧式塗装機に供給する水性塗料の粘度を0.059Pa・s以下とする。
B.噴霧式塗装機による噴霧塗粒の平均粒子径を10μm以下、好ましくは5μm以下とする。
C.被塗物に対する塗着時の塗膜粘度は10Pa・s以上となるようにする。
D.塗着時から1分経過後の塗膜の固形分は70質量%以上、好ましくは80質量%以上になるようにする。
E.塗膜の乾燥後の膜厚は1μm以上40μm以下となるようにする。
F.塗装ブース内の温度を50℃以下とする。
G.塗装ブース内の相対湿度RHを90%以下とする。
また、クリヤ塗装は、ベース塗膜4の表面粗さRaが0.3μm以下である状態で、そして、ベース塗膜4の粘度が1000Pa・s以上である状態で行なう。
<塗装条件の評価試験>
試験片に塗装条件を種々に変えて塗装を行ない、塗装条件の評価を行なった。
試験片はリン酸亜鉛処理した厚み0.7mm、縦100mm、横300mmのSPC鋼板である。下塗り塗膜用の塗料には、日本ペイント社製商品記号PN1020Mの電着塗料を採用し、乾燥後の20μmとなるように電着塗装した後、150℃で30分の乾燥を行なった。
中塗り塗膜の形成には次の配合の水性塗料を採用した。すなわち、下記配合のうちの前四者を混合した後、これにウレタン会合型増粘剤を添加して混合攪拌し、中塗り用の水性塗料とした。
ルチル型二酸化チタン分散ペースト 130重量部
(ビックケミー社製Disperbyk190分散剤含有ペースト,樹脂固形分75質量%)
アクリルエマルション 165重量部
(日本ペイント社製,樹脂固形分30質量%)
ウレタンエマルション 65重量部
(アビシア社製,樹脂固形分30質量%)
硬化剤 35重量部
(三井サイテック社製商品名サイメル327(メラミン樹脂,樹脂固形分90質量%))
ウレタン会合型増粘剤 1重量部
(旭電化工業社製商品名アデカノールUH-814N(有効成分30質量%))
ベース塗膜の形成には日本ペイント社製商品記号AR2000の水性塗料を採用した。また、中塗り及びベースの塗装には、アネスト岩田社製の塗装ガンLPH-100-144LVGを採用し、エア圧4.8kg/cmとし、塗装ブース内の温度は25℃、湿度は70%とした。
クリヤ塗膜の形成には日本ペイント社製商品記号O−1600の溶剤型クリヤ塗料を採用した。そうして、クリヤ塗装にはベル型回転噴霧式塗装機(回転数30000rpm,吐出速度150cc/分,シェーピングエアの流速150NL/分)を採用し、塗装後に140℃で20分の焼付け乾燥処理を施した。
[評価用諸元(因子)の測定(判断)]
後に示す表1〜5における緒元の内容は以下の通りである。
塗料吐出量;塗装ガンからの塗料の吐出量である。
塗粒の粒子径;ガラス板上にシリコンオイルを塗布し、その上に瞬間的に塗料を吹き付けた。その後、顕微鏡(ニコン社製EPIPHOT)にてシリコンオイル上の塗粒の粒子径を測定し、測定数50の平均値をとった。
塗料粘度;塗装ガンに供給される塗料の粘度である。
初期固形分,塗膜固形分;質量既知のアルミ箔に塗料を塗布し、その直後にアルミ箔を塗料が乾燥しないように折り畳んでこのアルミ箔とウェット塗膜との合計質量(ウェット質量)を測定した。その後、140℃で20分の乾燥を行ない、得られたアルミ箔とドライ塗膜との合計質量(ドライ質量)を測定し、次式により固形分(質量%)を求めた。初期固形分は塗装ガンに供給される塗料の固形分である。塗膜固形分は塗装ガンから噴霧された塗料を用いて測定したものであり、試験片に塗着した塗膜の固形分に対応する。
固形分=(ドライ質量−アルミ箔質量)/(ウェット質量−アルミ箔質量)×100
表面粗さ;ミツトヨ社製表面粗さ測定器(Mitutoyo S-3000)を用いRa(算術平均粗さ)を測定した(n=3)。
塗膜厚;乾燥後の塗膜の厚さである。
ピンホール;塗膜のピンホールの有無は目視にて判断した。
タレ;塗膜のタレの有無は目視にて判断した。
仕上がり性;BYK社製のWave Scan DOIを用い、試験片を水平にして塗装したとき、並びに垂直にして塗装したとき各々に関し、構造スペクトルWa(0.1〜0.3mm)、Wc(1.0〜3.0mm)及びWd(3.0〜10.0mm)で塗膜表面のうねりの程度を測定した。
塗膜粘度;鋼板への塗着直後の塗膜をスパチュラにてかき取り、EH型粘度計にて測定した。
[塗粒の粒子径の影響]
中塗り用及びベース用水性塗料の噴霧塗粒の平均粒子径を変化させて、中塗り及びベースの塗膜及びクリヤ塗膜に与える影響を調べた。結果を表1に示す。なお、表1欄外の「アルミムラ」は光輝材(アルミフレーク)の配向から生ずる光輝感のムラを意味する。この点は他の表も同じである。
Figure 2008119573
表1の実施例1〜3及び比較例1〜3は、塗装ガンのエア圧を4.8kg/cmの一定とし、塗料の吐出量を変化させることにより、塗粒の平均粒子径を変化させたものである。平均粒子径が小さくなるにつれて塗膜固形分が増大しており、図1の結果と符号している。換言すれば、比較例1〜3のように塗粒の平均粒子径が10μmを超えると、塗膜固形分が低くなる。その結果、比較例2,3では、クリヤ塗装後の焼付け乾燥において、中塗り塗膜及びベース塗膜に残存する水分によって突沸現象を生じ、ピンホールを発生しており、さらにウエットオンウェットによる混層を生じている。
表面粗さをみると、表面粗さが0.3μm以下である実施例1〜3では、仕上がり性が良好である。これに対して、塗粒の平均粒子径が10μmを超えて12μmになった比較例1はRa1.4であり、仕上がり性が悪くなっている。なお、比較例2,3は平均粒子径が比較例1よりも大きいにも拘わらず、表面粗さRaが小さくなっている。これは、粒子径が大きいため水分が飛ばず、試験片に塗着した塗料の流動性が良かったためであるが、上述の混層の問題を生じている。
そうして、比較例1〜3は、上記ピンホールを生じ、或いは中塗り塗膜やベース塗膜の表面粗さが大きいことにより、クリヤ塗装後の仕上がり性が、実施例に比べて悪くなっている。
以上から、塗粒の平均粒子径は10μm以下、特に仕上がり性の観点から5μm以下であることが好ましいということができる。該平均粒子径の下限は1μmを目安にすれば良い。
[塗料粘度の影響]
塗装機に供給される水性塗料の粘度を変化させて、中塗り及びベースの塗膜及びクリヤ塗膜に与える影響を調べた。結果を表2に示す。
Figure 2008119573
表2の実施例1,2及び比較例1,2は、水性塗料を調製する時に添加する水の量を変えて塗料粘度を変化させたものである。従って、実施例1,2及び比較例1,2は、塗料の初期固形分も相異なる。
塗料粘度が0.059Pa・s以下である実施例1,2は、塗装ガンによる噴霧の際に塗料が微粒化し易くなり、塗粒の平均粒子径が比較例に比べて小さくなっている。その結果、塗着後の塗膜固形分も高くなり、ピンホールの発生が見られなくなっている。また、塗料粘度が0.059Pa・s以下であるということは、塗粒が被塗物に塗着した際に塗粒が流動し易いということであり、塗膜の平滑性確保に有利になる。
これに対して、塗料粘度が高い比較例1,2では、塗粒の平均粒子径が大きくなり、塗着後の塗膜粘度も低くなっている。そのため、塗膜の表面粗さが粗くなったり、或いは混層を生じている。
以上から、塗料粘度は0.059Pa・s以下であることが好ましいということができる。その下限は0.040Pa・s程度を目安にすれば良い。
[塗膜粘度の影響]
水性塗料塗着時の塗膜粘度を変化させて、中塗り及びベースの塗膜及びクリヤ塗膜に与える影響を調べた。結果を表3に示す。
Figure 2008119573
表3の実施例1〜3及び比較例1,2は、塗装ガンの吐出量或いは塗料粘度を調節して水性塗料塗着時の塗膜粘度を変化させたものである。
塗膜粘度が10Pa・s以上である実施例1〜3では、塗膜固形分が多く、ピンホールやタレは発生しなかった。これに対して、塗膜粘度が低い比較例1,2では、塗膜固形分が少なく、ピンホールやタレの発生がみられ、仕上がり性も実施例に比べて劣っている。
以上から、塗膜粘度は10Pa・s以上であることが好ましいということができる。その上限は10000Pa・s程度を目安にすれば良い。
[塗膜固形分の影響]
水性塗料塗着時から1分経過後の塗膜固形分を変化させて、中塗り及びベースの塗膜及びクリヤ塗膜に与える影響を調べた。結果を表4に示す。
Figure 2008119573
表4の実施例1〜3及び比較例1,2は、塗装ガンの吐出量或いは塗料粘度を調節して上記塗膜固形分を変化させたものである。
塗着1分後の塗膜固形分が70質量%以上である実施例1〜3では、ピンホールや混層の発生がなかった。これに対して、塗膜固形分が低い比較例1,2では、ピンホール及び混層がみられた。
従って、塗着1分後の塗膜固形分は70質量%以上であることが好ましく、仕上がり性の観点からさらに80質量%以上が好ましいということができる。その上限は95質量%程度を目安にすれば良い。
[塗膜厚の影響]
水性塗料による塗膜厚を変化させて、中塗り及びベースの塗膜及びクリヤ塗膜に与える影響を調べた。結果を表5に示す。
Figure 2008119573
中塗り及びベース各々の塗膜厚が1μm以上40μm以下の実施例1〜5では、塗膜のタレはなく、発色性にも問題がなかったが、塗膜厚が0.5μmの比較例1では発色性が悪く、塗膜厚が50μmの比較例2では塗膜のタレを生じている。塗膜厚が1μm以上であれば、発色性及び耐チッピングを確保することができる。
従って、当該塗膜厚は1μm以上40μm以下が好ましいということができる。
塗粒の平均粒子径と塗着時の塗膜固形分との関係を示すグラフ図である。 本発明の実施形態に係る塗膜構成を示す断面図である。
符号の説明
1 鋼板
2 下塗り塗膜
3 中塗り塗膜
4 ベース塗膜
5 クリヤ塗膜

Claims (8)

  1. 水性塗料を噴霧式塗装機によって被塗物に吹き付ける水性塗料の塗装方法であって、
    上記塗装機に供給する塗料の粘度を0.059Pa・s以下とし、
    上記塗装機による噴霧塗粒の平均粒子径を10μm以下とし、
    塗着時の塗膜粘度が10Pa・s以上、該塗着時から1分経過後の塗膜の固形分が70質量%以上、並びに塗膜の乾燥後の膜厚が1μm以上40μm以下となるようにすることを特徴とする水性塗料の塗装方法。
  2. 請求項1において、
    上記塗装機による上記噴霧塗粒の平均粒子径を5μm以下とすることを特徴とする水性塗料の塗装方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    塗装ブース内の温度を50℃以下とすることを特徴とする水性塗料の塗装方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    塗装ブース内の相対湿度RHを90%以下とすることを特徴とする水性塗料の塗装方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一の水性塗料の塗装方法をウェットオンウェットにおける下層塗膜の形成に用いることを特徴とする塗装方法。
  6. 請求項5において、
    上記水性塗料の塗装方法による塗着時から1分経過後の当該下層塗膜の固形分が80質量%以上となるようにすることを特徴とする塗装方法。
  7. 請求項5又は請求項6において、
    上記下層塗膜の表面粗さRaが0.3μm以下である状態で上層塗膜を形成する塗装を行なうことを特徴とする塗装方法。
  8. 請求項5乃至請求項7のいずれか一において、
    上記下層塗膜の粘度が1000Pa・s以上である状態で上層塗膜を形成する塗装を行なうことを特徴とする塗装方法。
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JP2015175285A (ja) * 2014-03-14 2015-10-05 マツダ株式会社 断熱層の形成方法
JP2016087569A (ja) * 2014-11-07 2016-05-23 日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社 複層塗膜の形成方法

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