JP2008118400A - 自動車用制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の仕様に対して共通的に用いられる電子コントロールユニットに、仕様を特定するためのデータが設定されていない状態では、特定仕様に対応する制御処理の正常実行時に対応する通信情報をネットワークに対して出力し、他の電子コントロールユニットが異常判定しないようにする。
【選択図】図3
Description
特許文献2には、車両に搭載される各電子制御機器が、通信にて相互に故障診断を行い、故障時にバックアップ動作を行う車両用制御装置が開示されている。
前記複数の制御仕様を記憶する電子コントロールユニットを車両工場(車両組み立て工場)で車両に搭載し、他の電子コントロールユニットとネットワークで結ばれる状態にしてから、その車両の仕様情報を与えるべく電源を投入すると、前記複数の制御仕様を記憶する電子コントロールユニットは、制御仕様が特定されるまでは本来の制御処理を実行しないため、他の電子コントロールユニットがこれを異常と診断し、故障情報を記憶することになってしまう。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、制御仕様を特定する情報を与える前の状態で、誤った故障情報が記憶されてしまうことを回避できるようにして、複数の仕様に対して共通化できる電子コントロールユニットを用いつつ、車両工場における組み立て時の作業性を向上させることを目的とする。
上記発明によると、仕様別電子コントロールユニットに、仕様を特定するためのデータが設定されておらず、特定仕様に対応する制御処理を実行し得ない状態では、係る状態であることを警告する警告手段を作動させ、車両工場での作業者やユーザーに対して、仕様を特定できていないことを知らせる。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、仕様別電子コントロールユニットに備えられる、前記仕様を特定するためのデータが書き込まれるメモリに、前記仕様を特定するためのデータが書き込まれていない状態を前記非設定状態として判断させると共に、前記メモリの故障状態を前記非設定状態として判断させることを特徴とする。
請求項4記載の発明では、仕様別電子コントロールユニットが、前記仕様を特定するためのデータの非設定状態において自己診断処理を停止することを特徴とする。
上記発明によると、仕様別電子コントロールユニットに、仕様を特定するためのデータが設定されておらず、特定仕様に対応する制御処理が実行されない状態では、自己診断処理が停止され、特定仕様に対応する制御処理が実行されないことを異常と自己診断してしまうことがないようにする。
図1は、実施形態における自動車用制御装置を示す。
図1に示す自動車101には、エンジン(内燃機関)102が搭載され、該エンジン102から取り出される動力は、オートマチックトランスミション103を介してトランスファ104に入力され、該トランスファ104によって前後車軸に分配される。
前記TF−ECU105は、マイクロコンピュータ105a,入力回路105b,通信回路105c,駆動回路105d,外部メモリ105eを含んで構成される。
前記車両の仕様とは、例えば、アンチロック・ブレーキ・システム(以下、ABSという)の有無、前記トランスミションが自動変速機(AT)であるか手動変速機(MT)であるかの違い、エンジン102の出力特性の違いなどである。
前記複数の制御プログラムのうちのどのプログラム(制御定数)を実際に用いるか、換言すれば、車両がどの仕様に対応しているかを示す情報は、車両工場において、TF−ECU105が車両に取り付けられ、対応する仕様が確定した後で、前記外部メモリ105eに書き込まれる。
外部メモリ105eに書き込まれた情報に基づく制御プログラム(制御定数)の選定は、具体的には、図2のフローチャートに示すようにして行われる。
仕様情報を読み出すと、予めROM105fに仕様別に記憶されている制御定数の中から、読み出された仕様情報に対応する制御定数を読み出してRAMにコピーし(ステップS13)、前記RAMにコピーした制御定数を用いて制御プログラムを実行させる(ステップS14)。
上記のように、複数の仕様に対応する複数の制御プログラム(制御定数)を予め記憶して、取り付けられた車両の仕様に応じて実際に実行させる制御プログラム(制御定数)を選択するようにすれば、複数の仕様毎に異なるTF−ECU105を用意し、取り付けるTF−ECU105を車両毎に選別する場合に比べて、TF−ECU105の製造コストを下げられると共に、部品管理が容易になり、更に、仕様変更にも部品交換なしで対応することができる。
前記入力回路105bは、4WDモード切替えスイッチ106の信号や、前記トランスファ104の状態(油温,作動圧,ライン圧など)を検出するセンサなどからの信号を、前記マイクロコンピュータ105aに読み込ませるために設けられる。
前記2WDモードは後輪駆動に固定されるモードであり、AUTOモードは、後輪の滑りに応じて前輪への動力分配を0%から50%にまで(後輪駆動から4輪駆動まで)自動調整するモードであり、LOCKモードは、直結4輪駆動(50:50の動力分配)に固定するモードである。
前記TF−ECU105の他、本実施形態の車両には、前記エンジン102を制御するエンジン制御用の電子コントロールユニット(以下、ENG−ECUという)110、オートマチックトランスミション103を制御するAT制御用の電子コントロールユニット(以下、AT−ECUという)111、ABSを構成するABS制御用の電子コントロールユニット(以下、ABS−ECUという)112が設けられている。
また、前記AT−ECU111は、シフトソレノイドの制御することで、オートマチックトランスミション103における変速動作を制御する。
前記ENG−ECU110,AT−ECU111及びABS−ECU112は、前記TF−ECU105と同様にそれぞれマイクロコンピュータを備えてなる。
そして、前記TF−ECU105,ENG−ECU110,AT−ECU111及びABS−ECU112の4つの電子コントロールユニットは、ネットワーク115で結ばれ、通信回路を介して相互に通信を行うことによって情報を共有化すると共に、通信情報から他の電子コントロールユニットの故障を判断して故障履歴の記憶などを行う。
そこで、本実施形態では、図3のフローチャートに示すように、前記TF−ECU105での処理を行わせることで、外部メモリ105eに仕様を特定するデータが書き込まれていない状態で誤った故障判定がなされることを回避するようになっている。
ステップS102では、車両工場設備120からの仕様情報の書き込み要求があるか否かを判断する。
ここで、車両工場設備120からの仕様情報の書き込み要求がある場合には、ステップS103へ進み、指定された仕様情報を外部メモリ105eに書き込む。
ステップS104では、外部メモリ105eが初期状態であるか否か、即ち、仕様情報が書き込まれていない状態(仕様を特定するためのデータの非設定状態)であるか否かを判別する。
次のステップS106では、読み出し結果などから外部メモリ105eが正常状態であるか否かを判別する。
ここで、仕様情報が正常に読み出され、外部メモリ105eが正常状態であると判断される場合には、ステップS107へ進み、仕様情報に対応する制御定数をROM105fから読み出してRAMにコピーし、このRAMに格納した制御定数に基づいて前記トランスファ104の制御プログラムを実行させる。
車両工場において、TF−ECU105を車両に取り付けた後、仕様情報の外部メモリ105eへの書き込みを行わせるべく電源投入し、実際に書き込みが完了するまでは、ステップS104からステップS109へと進むことになる。
前記トランスファ104に対する駆動出力をオフ状態に固定すると、トランスファ104は後輪駆動状態に固定されることになる。
TF−ECU105に仕様情報が書き込まれていないために通常のトランスファ制御が実行されない状態は、制御異常ではないから、他の電子コントロールユニット110,111,112がTF−ECU105の故障を判定して記憶してしまうと、係る故障履歴の記憶を車両工場からの出荷前にクリアしておく必要が生じる。
更に、前記インジケータランプ107の点灯によって、車両工場の作業者は、仕様情報の書き込みが完了していないことを容易に確認でき、仕様情報の書き込み漏れ・書き込み不良の発生などを未然に防止できる。
また、ステップS106で、外部メモリ105eの故障が判定されると、ステップS108へ進み、外部メモリ105eの故障判定結果を記憶した後、ステップS109へ進む。
また、ネットワーク115に対し、トランスファ制御プログラムの実行時と同様な正常出力を行うから、外部メモリ105eの故障によるトランスファ制御の停止によって、他の電子コントロールユニット110,111,112がTF−ECU105の故障(制御異常)を判定することを防止できる。
また、ユーザーの使用中に外部メモリ105eに故障が生じ、これによって仕様情報の読み出しが行えなくなってトランスファ104が後輪駆動状態に固定されるようになると、インジケータランプ107の点灯で係るフェイルセーフ状態が警告されるので、通常に駆動力の分配制御が行われるとの認識で運転されてしまうことを回避でき、また、早期の整備を促すことにもなる。
更に、ネットワーク115に接続される電子コントロールユニットを、上記のTF−ECU105,ENG−ECU110,AT−ECU111及びABS−ECU112に限定するものではなく、例えば、燃料ポンプの駆動を制御する電子コントロールユニットや、計器板に設けられるメータの表示を制御する電子コントロールユニットなどを含めることができ、また、これらを仕様別電子コントロールユニットとすることができる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動車用制御装置において、
前記仕様を特定するためのデータの非設定状態において、前記仕様別電子コントロールユニットが、駆動出力をオフにすることを特徴とする自動車用制御装置。
従って、仕様を特定できずに通常の制御を行えない場合の制御安定性を確保できる。
(ロ)請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動車用制御装置において、
前記仕様別電子コントロールユニットが、動力の前後車軸に対する分配を可変とするトランスファを制御するトランスファ制御用の電子コントロールユニットであることを特徴とする自動車用制御装置。
(ハ)請求項3記載の自動車用制御装置において、
前記メモリの故障を、前記仕様別電子コントロールユニットの故障とは個別に記憶することを特徴とする自動車用制御装置。
これにより、仕様の設定(仕様データのメモリへの書き込み)が行われる前の状態と、メモリ故障によって仕様が不明となり制御が行えない状態とを区別できる。
Claims (4)
- ネットワークで結ばれる複数の電子コントロールユニットを備え、各電子コントロールユニットが相互通信によって他の電子コントロールユニットの故障状態を判定する自動車用制御装置であって、
前記複数の電子コントロールユニットのうちの少なくとも1つが、複数の仕様に対して共通的に用いられ、仕様を特定するためのデータが設定されることで特定仕様に対応する制御処理を実行する仕様別電子コントロールユニットである自動車用制御装置において、
前記仕様別電子コントロールユニットが、前記仕様を特定するためのデータの非設定状態において、特定仕様に対応する制御処理の正常実行時に対応する通信情報をネットワークに対して出力することを特徴とする自動車用制御装置。 - 前記仕様別電子コントロールユニットが、前記仕様を特定するためのデータの非設定状態において、該非設定状態を警告する警告手段を作動させることを特徴とする請求項1記載の自動車用制御装置。
- 前記仕様別電子コントロールユニットが、前記仕様を特定するためのデータが書き込まれるメモリを備え、前記メモリに前記仕様を特定するためのデータが書き込まれていない状態と共に、前記メモリの故障状態を、前記仕様を特定するためのデータの非設定状態として判断することを特徴とする請求項1又は2記載の自動車用制御装置。
- 前記仕様別電子コントロールユニットが、前記仕様を特定するためのデータの非設定状態において、自己診断処理を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動車用制御装置。
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