JP2008116662A - 定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】剥離部材の定着部材への摺動性と耐磨耗性を向上させて記録媒体の剥離性を長期にわたって維持し、さらに剥離部材への静電気による埃の付着を防止し、定着部材表面の磨耗や傷の発生を抑制した定着装置、及びそれを備える画像形成装置を提供すること。
【解決手段】例えば、定着装置28を構成する加熱ロール30の外周面に、定着後の用紙を剥離するための剥離部材32が設け、剥離部材32の加熱ロール30に接するように設けられる剥離シート32aを、カーボンブラックを含むポリイミド樹脂部材で構成する、又は体積抵抗率が10Ω・cm以上1013Ω・cmのポリイミド樹脂部材で構成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、定着装置、及び画像形成装置に関する。
プリンター、ファクシミリ又は電子写真複写機などには、種々の定着部材(例えば定着ロール)が用いられている。その中で、定着部材は記録媒体に転写されたトナー像を加熱して定着させるためのものであるが、定着部材から用紙が剥離されずに巻き付くことがある。
定着部材から用紙を剥離するために、特許文献1には、ポリイミド樹脂からなる分離爪、特許文献2には、フッ素樹脂を分散したポリイミド樹脂からなる分離爪、特許文献3、4には、例えばシートで構成した剥離部材を用いることが記載されている。さらに特許文献5には、剥離部材が定着部材を磨耗させないよう、必要時のみ剥離部材を変位させて定着ロールに接するようにする技術も開示されている。
いずれの場合においても、ポリイミド樹脂を用いる理由は、耐熱性のほか、摺動性があって磨耗しにくい材料であること、等であるが、長期の使用においては、剥離部材がロールを傷つけることもあれば、逆に汚染物によって剥離部材が傷つけられることがあって、よりよい材料が求められていた。また、ポリイミド樹脂は電気絶縁性が高いのであるが、静電気によって埃が付着し、ロールとの接触面に入り込んで定着部材表面を磨耗させることもある。
特開平1−72182号公報 特開平4−102883号公報 特開平11−84931号公報 特開平11−133776号公報 特開2003−186336号公報
そこで、本発明の課題は、剥離部材の定着部材への摺動性と耐磨耗性を向上させて記録媒体の剥離性を長期にわたって維持し、さらに剥離部材への静電気による埃の付着を防止し、定着部材表面の磨耗や傷の発生を抑制した定着装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
定着部材と、
前記定着部材から記録媒体を剥離するための剥離部材であって、カーボンブラックを含むポリイミド樹脂部材を有する剥離部材と、
を有することを特徴とする定着装置である。
請求項2に係る発明は、
前記剥離部材としての前記ポリイミド樹脂部材は、板状であり、且つ当該板面を前記定着部材の軸方向に対して平行にして配設したことを特徴とする請求項1に記載の定着装置である。
請求項3に係る発明は、
前記剥離部材としての前記ポリイミド樹脂部材は、板状であり、且つ当該板面を前記定着部材の軸方向に対して交差して配設したことを特徴とする請求項1に記載の定着装置である。
請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
本発明によれば、剥離部材の定着部材への摺動性と耐磨耗性を向上させて記録媒体の剥離性を長期にわたって維持し、さらに剥離部材への静電気による埃の付着を防止し、定着部材表面の磨耗や傷の発生を抑制した定着装置、及びそれを備える画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には全図面通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図2は、第1実施形態に係る定着装置を示す概略構成図である。図3は、第1実施形態に係る定着装置の主要部を示す斜視図である。
実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1〜第4のプロセスカートリッジ(画像形成ステーション)10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kは、中間転写ベルト20の外周面に沿って互いに所定距離離間して並設されている。なお、これらプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能となっている。
各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kの上方(図中)には、中間転写体としての中間転写ベルト20がその外周面を各プロセスカートリッジに対して対向するように延設されている。中間転写ベルト20は、互いに離間して配置された駆動ローラ22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて張力を付与されつつ配設され、第1プロセスカートリッジ10Yから第4プロセスカートリッジ10Kに向う方向に無端走行されるようになっている。
尚、支持ローラ24は、不図示のバネ等の弾性部材により駆動ローラ22から離れる方向に押し付けされており、両者の間に巻回された中間転写ベルト20に所定のテンションが与えられている。また、中間転写ベルト20の外周面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置20aが備えられている。
第1〜第4プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kは、略同一の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1プロセスカートリッジ10Yについて代表して説明する。尚、第1プロセスカートリッジ10Yと同一の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した同一参照符号を付すことにより、第2〜第4プロセスカートリッジ10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1プロセスカートリッジ10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ(帯電手段)2Y、静電潜像に帯電したトナー(現像剤)を供給して静電潜像を現像する現像装置4Y、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置6Yが順に配設されている。これらはハウジング11Y(筐体)内に一体的に構成されている。第1プロセスカートリッジ10M〜10Yも同様に、各部材がハウジング11M〜11Y(筐体)内に一体的に構成されている。
そして、第1プロセスカートリッジ10Yと共に、現像したトナー像(現像剤像)を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、及び帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電潜像を形成する露光装置3が配置され、画像形成部を構成している。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部(制御手段)による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
定着装置28は、図2及び図3に示すように、加熱ロール30及び加圧ベルト40が備えられており、加熱ロール30及び加圧ベルト40が対向して設けられている。加圧ベルト40は、その周内部に配置された加圧パッド50(加圧部材)により加熱ロール30に押圧され、圧接して接触部が形成されつつ、ベルト走行ガイド52に沿ってガイドされ、加熱ロール30からの駆動力を受けることで従動する。なお、図中、Tはトナー像を示す。
加熱ロール30は、例えば、内部にハロゲンランプ等の加熱源31を有する金属製の中空芯金属コア30aに弾性体層30b及び離型層30cが順次形成されて構成されている。
これらの金属コア30aは、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属製の円筒状体で構成される。弾性体層30bは、例えば、HTVシリコーンゴムやフッ素ゴム等(JIS−Aのゴム硬度45度程度、ゴム硬度は、Teclock社製のスプリングタイプのA型硬度計により、JIS K6301に準拠して、荷重1,000gfを付加して計測したもの)を2〜5mm程度の厚さで構成される。離型層30cは、例えば、フッ素ゴムやシリコーンゴム、フッ素樹脂等が20〜50μmの厚さで構成される。無論、これらに限られず、従来公知の材料により構成することができる。
加熱ロール30は、定着ロールは図示しない駆動源によって所定の速度、例えば260mm/secの周速で回転駆動される。加熱ロール30の外径は一般に例えば25〜80mm程度である。
加熱ロール30の表面温度は、表面に接触する不図示の温度センサーで検出され、表面温度が例えば175℃となるように、不図示の制御回路によって制御される。
加熱ロール30の外周面には、定着後の用紙を剥離するための剥離部材32が設けられている。剥離部材32は、加熱ロール30に接するように設けられる剥離シート32aと、当該剥離シート32aを支持する支持部材32bとを含んで構成されている。
剥離シート32aの厚みは、例えば50〜150μm程度である。そして、剥離シート32aは、カーボンブラックを含み、所定の体積抵抗率を持つポリイミド樹脂を含んで構成されている。このポリイミド樹脂については後述する。
剥離シート32aは、剥離シート32aの自由端の辺が加熱ロール30の外周面に軸方向と平行に接するように、少なくとも加熱ロール30の軸方向両端側に2つ配置されている。無論、当該両端以外にも剥離シートを配設してもよい。
加圧ベルト40は、例えば、ポリイミド樹脂等の耐熱性樹脂を含んで構成される樹脂基材上に離型層を形成されて構成されている。樹脂基材及び離型層は、従来公知の材料により構成することができる。
加圧パッド50(加圧部材)は、記録媒体Pの進行方向に沿って、異なる硬度の2つの加圧部51a、51bを有する。加圧パッド50における記録媒体P突入側の加圧部51aをゴム状弾性部材から構成させ、記録媒体P排出側の加圧部51bを金属等の硬い圧力付与部材から構成させ、接触領域の圧力を記録媒体P突入側より記録媒体P排出側が高くさせている。加圧部51a、51bは、ホルダ51cにより支持され、例えばテフロン(登録商標)を含むガラス繊維シートやフッ素樹脂シートなどの低摩擦層51dを介して加圧ベルト40内周面から加熱ロール30を押圧している。
以下、第1プロセスカートリッジ10Yにおいてイエロー画像を形成する動作を代表して、画像形成動作について説明する。
まず、画像形成動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が例えば−600V〜−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、例えば導電性の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、例えば通常は高抵抗であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(トナー像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロー着色剤とワックスと結着樹脂と脂肪族炭化水素−炭素数9以上の芳香族炭化水素共重合石油樹脂にて形成された体積平均粒径が7μmのイエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有している。感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にのみイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き所定速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が所定の1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに所定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1プロセスカートリッジ10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に定電流制御されている。
また、第2プロセスカートリッジ10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも同様に制御されている。
こうして、第1プロセスカートリッジ10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2〜第4プロセスカートリッジ10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が同様に重ねられて多重転写される。
第1〜第4プロセスカートリッジを通して全ての色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録媒体Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20との間に所定のタイミングで給紙され、所定の2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録媒体Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録媒体P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、定電圧で制御されている。
この後、記録媒体Pは定着装置28へ送り込まれ、矢印方向に回転駆動される加熱ロール30と、加圧ベルト40とが圧接し形成された接触領域に挿通される。この際、記録媒体Pの未定着のトナー像が形成された面と、加熱ロール30の表面とが、向き合うように記録媒体Pが挿通される。この接触領域を記録媒体Pが通過した際に、熱及び圧力が記録媒体Pに加えられることにより、未定着のトナー像が、記録媒体Pに定着される。定着後の記録媒体は接触領域を通過後、剥離部材32により加熱ロール30から剥離され、定着装置28から排出される。
このようにして定着処理が成され、記録媒体P上へ永久定着される。カラー画像の定着が完了した記録媒体Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
以上説明した本実施形態では、定着装置の加熱ロール30に配設した剥離部材32における剥離シート32aとして、カーボンブラックを含み、所定の体積抵抗率を持つポリイミド樹脂部材を適用しているので、剥離部材32(剥離シート32a)の加熱ロール30(定着部材)への耐磨耗性を向上させて記録媒体Pの剥離性を長期にわたって維持し、さらに剥離部材32(剥離シート32a)への静電気による埃の付着を防止し、加熱ロール30(定着部材)表面の磨耗や傷の発生が抑制される。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る定着装置を示す概略構成図である。図5は、第2実施形態に係る定着装置の主要部を示す斜視図である。
第2実施形態に係る定着装置28−2は、図4及び図5に示すように、剥離シート32aが加熱ロール30の外周面周方向の曲率に沿った形状の切欠き部32cを有している形態である。そして、本実施形態では、剥離シート32aは、当該切欠き部32cが加熱ロール30の外周面に周方向に沿って接すると共に、シート面を加熱ロール30の軸方向と交差(例えば直交)するように配置されている。これら以外は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
以上説明した本実施形態では、加熱ロール30に対し当該剥離シート32aを、そのシート面が加熱ロール30軸方向と交差(特に直交)するように接触させつつ配設しているので、当該接触面積が低減でき、より剥離シート32a即ち剥離部材32の磨耗が低減される。
以下、上記実施形態に係る定着装置の加熱ロール30に配設した剥離部材32における剥離シート32aに適用するポリイミド樹脂部材について詳細に説明する。
ポリイミド樹脂部材は、カーボンブラックを含み、体積抵抗率が10Ω・cm以上1013Ω・cm(望ましくは10〜1012Ω・cm、より望ましくは10〜1012Ω・cm)である。体積抵抗率が上記範囲とすることで、部材の強度が低下することなく、且つ静電気の蓄積による埃付着が抑制される。
なお、ポリイミド樹脂部材は、カーボンブラック以外の導電剤を含ませて、上記範囲の体積抵抗率を持たせてもよい。一方で、カーボンブラックは、ポリイミド樹脂に対する分散性が良好であり、部材の表面平滑性も良好であると共に、樹脂単体の部材に比べ耐磨耗性も向上するといった利点がある。
ここで、体積抵抗率は、図6に示す円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6911に従って、22℃、55%RHにて電圧100Vを印加し、30秒後の電流値から求めた値である。図6は、円形電極の例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)であり、外径16mmの第一電圧印加電極C’と外径40mmの第二電圧印加電極B’と、内径30mm、外径40mmのリング状電極部D’とを備える。また、第一電圧印加電極C’とリング状電極部D’とを試験片T’を介して第二電圧印加電極B’側へ押し付ける押付部材A’を備える。
円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に試験片T’を挟持し、円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、試験片T’の体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式中、tは試験片T’の厚さを示す。
式:ρv=19.6×(V/I)×t
一方、ポリイミド樹脂部材に配合するカーボンブラックとしては、pH5以下の酸化処理カーボンブラックが好適に用いられる。当該酸化処理カーボンブラックは、カーボンブラックを酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して製造することができる。この酸化処理は、高温雰囲気下で、空気と接触され、反応させる空気酸化法、常温(例えば25℃)下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、及び高温下での空気酸化後、低い温度下でオゾン酸化する方法などにより行うことができる。
具体的には、pH5以下の酸化処理カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。また、酸化処理カーボンブラックは、ガス又はオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。更に必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。なお、酸性カーボンブラックは、コンタクト法で製造することができるが、密閉式のファーネス法によって製造するのが通常である。ファーネス法では通常高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに上述の液相酸処理を施してpHを調整することができる。このため本発明においては、ファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節されたカーボンブラックも、pH5以下の酸化処理カーボンブラックに含まれるとみなす。
酸化処理カーボンブラックのpH値は、pH5.0以下であることが望ましく、pH4.5以下であることがより望ましく、pH4.0以下であることが更に望ましい。pH5.0以下の酸化処理カーボンは、表面にカルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基などの酸素含有官能基があるので、樹脂中への分散性がよく、良好な分散安定性が得られ、部材の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電圧による電界集中がおきずらくなる
カーボンブラックのpHは、水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求められる。また、前記カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、調整することができる。
酸化処理カーボンブラックは、その揮発成分の含有量が3.5〜25%であることが望ましく、3.5〜20%であることがより望ましく、3.5〜15%であることが更に望ましい。前記揮発成分の含有量が上記範囲であると、分散性を向上させることができる。
この揮発成分の含有量は、出てくる有機揮発成分(カルボキシル基、水酸基、キノン基、ラクトン基等)の割合により求めることができる。
酸化処理カーボンブラックは2種類以上含有してもよい。そのとき、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであることが望ましく、例えば酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法による比表面積等の物性が異なるものを用いる。このように導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを優先的に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類に酸化処理カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散を高めることができる。
酸化処理カーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「プリンテックス150T」(pH4.5、揮発分10.0%)、同「スペシャルブラック350」(pH3.5、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック100」(pH3.3、揮発分2.2%)、同「スペシャルブラック250」(pH3.1、揮発分2.0%)、同「スペシャルブラック5」(pH3.0、揮発分15.0%)、同「スペシャルブラック4」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック4A」(pH3.0、揮発分14.0%)、同「スペシャルブラック550」(pH2.8、揮発分2.5%)、同「スペシャルブラック6」(pH2.5、揮発分18.0%)、同「カラーブラックFW200」(pH2.5、揮発分20.0%)、同「カラーブラックFW2」(pH2.5、揮発分16.5%)、同「カラーブラックFW2V」(pH2.5、揮発分16.5%)、キャボット社製「MONARCH1000」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1300」(pH2.5、揮発分9.5%)、キャボット社製「MONARCH1400」(pH2.5、揮発分9.0%)、同「MOGUL−L」(pH2.5、揮発分5.0%)、同「REGAL400R」(pH4.0、揮発分3.5%)等が挙げられる。
酸化処理カーボンブラックは、一般的なカーボンブラックに比べ、前述したように表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよいため、導電性微粉末としての添加量を高くすることが望ましい。これにより、部材中のカーボンブラックの量が多くなるため、前記電気抵抗値の面内バラツキを押えることができる等の酸化処理カーボンブラックを用いることの効果を最大限発揮することができる。
なお、カーボンブラックとしては、カーボンブラックを造粒したカーボンビーズとして含まれていてもよい。
ここで、カーボンブラックの含有量は、10〜30質量%が望ましく、18〜30質量%がより望ましい。カーボンブラックの含有量は、上記体積抵抗率を発言させる範囲でなるべく高い量の方が耐摩耗性の点でよい。
また、カーボンブラック以外の導電剤としては、導電性物質としては、例えば、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、導電性酸化チタン、SnO2−In23複合酸化物等の導電性金属酸化物等が挙げられる。
次に、ポリイミド樹脂部材を、その好適な製造方法と共にさらに詳細に説明する。
ポリイミド樹脂部材の製造方法は、カーボンブラック等の導電剤を含有したポリイミド前駆体溶液を、円柱又は円筒状芯体表面に塗布し、ポリイミド前駆体塗膜を形成する工程(以下、「ポリイミド前駆体塗膜形成工程」と称する。)と、該ポリイミド前駆体塗膜を、乾燥、加熱させ、ポリイミド樹脂皮膜を形成する工程(以下、「ポリイミド樹脂皮膜形成工程」と称する。)と、該ポリイミド樹脂皮膜を円柱又は円筒状芯体から剥離する工程(以下、「ポリイミド樹脂皮膜剥離工程」と称する。)と、を要する。また、必要に応じて、他の工程を有していてもよい。なお、芯体は、円柱又は円筒状に限られず、無論、板状体であってもよい。
−ポリイミド前駆体塗膜形成工程−
ポリイミド前駆体は、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン系極性溶剤に、両者を溶解して合成される。合成時の濃度、粘度等は、適宜選択して行われる。
ポリイミド前駆体溶液に、カーボンブラック等の導電剤を含有させるには、ボールミルやサンドミル、ロールミル等の公知の分散方法を用いることができる。また、酸無水物かジアミンのいずれか、あるいは両方のモノマー溶液中にカーボンブラック等の導電剤を分散してから、ポリイミド前駆体を合成する方法もある。
ここで、ポリイミド前駆体溶液における導電剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、10〜40質量部でありことが望ましく、特には15〜35質量部が望ましい。
ポリイミド前駆体塗膜形成工程おいて、ポリイミド前駆体溶液を円柱又は円筒状芯体表面に塗布してポリイミド前駆体塗膜を形成するが、その塗布方法としては、円柱又は円筒状芯体をポリイミド前駆体溶液に浸漬して引き上げる浸漬塗布法、円柱又は円筒状芯体を回転させながらその表面にポリイミド前駆体溶液を吐出する流し塗り法、その際にブレードで皮膜をメタリングするブレード塗布法など、既存の公知の方法が採用できる。上記流し塗り法やブレード塗布法では塗布部を水平移動さで皮膜はらせん状に形成されるが、ポリイミド前駆体溶液は乾燥が遅いために継ぎ目は自然に平滑化される。なお、「円柱又は円筒状芯体表面に塗布する」とは、円柱も含まれる円筒状芯体の側面の表面、及び該表面に層を有する場合は、その層の表面に塗布することを意味する。
ポリイミド前駆体塗膜形成工程おいて、ポリイミド前駆体溶液は粘度が非常に高いので、膜厚が所望値より厚くなりすぎることがある。その際は、例えば、以下に示す環状体により膜厚を制御する塗布法が適用できる。
環状体により膜厚を制御する塗布法を、図を参照して説明する。
図7は、環状体を備えた停止時の環状塗布装置の概略断面図であり、図8は、塗布時の環状塗布装置の概略断面図である。但し、図は主要部のみを示し、芯体の保持機構や昇降装置等、他の装置は省略する。なお、以下において「芯体上に塗布」とは、芯体側面の表面に塗布することをいい、また「芯体を上昇させて塗布」とは、塗布時の液面との相対関係であり、「芯体を停止し、塗布液面を下降」させる場合を含む。
図7及び図8に示すように環状塗布法は、ポリイミド前駆体溶液2を環状塗布槽6に入れ、その下部から上部へ芯体1を通過させて塗布を行う方法である。環状塗布槽6の底部には、溶液が漏れないよう、ポリエチレンやシリコーンゴム等の柔軟性板材から成る環状のシール材7が設けられる。芯体1の下には、更に芯体1B(これは部材を作製しない中間体であってもよい)が取り付けられる。
芯体1は、環状塗布槽6の下部から上部に順次つき上げられ、シール材7を挿通させることにより、表面に塗膜3が塗布される。ポリイミド前駆体溶液2の液面上には、芯体1の外径よりも大きな円形の孔5を設けた環状体4が自由移動可能状態で設置される。塗膜3の濡れ膜厚は、芯体1と環状体4との間隙により定まるので、孔5の内径は、所望の膜厚を鑑みて設定される。すなわち、乾燥工程後の膜厚は、濡れ膜厚と溶液の不揮発分濃度の積であり、これから所望の濡れ膜厚が求められる。
なお、環状体4は中空構造であっても、また、沈没防止のために、環状体4の外周面又は塗布槽6に、環状体4を支える足や腕を設けてもよい。自由移動可能状態で設置される方法としては、ポリイミド前駆体溶液2の液面に浮遊させる方法のほか、環状体4をロールやベアリングで支える方法、環状体4をエア圧で支える方法などがある。
環状体4の材質は、溶液の溶剤によって侵されない金属やプラスチックから選ばれる。環状体4は円孔内径の真円度が低いと膜厚均一性が低下するので、JIS−B0621(1974年)に規定する真円度は20μm以下であることが望ましく、10μm以下であることがさらに望ましい。もちろん、真円度が0μmであることが最適なのであるが、加工上は困難である。
環状体4の内壁面は、溶液に浸る下部が広く、上部が狭い形状であれば、直線的傾斜面のほか、階段状や曲線状であってもよい。真円度を高く加工するために、円孔内壁面の上部には、芯体と平行になる部分があってもよい。
環状体4の孔5を通して芯体1を上昇させると、ポリイミド前駆体溶液2の介在により、芯体1と環状体4との間に摩擦抵抗が生じ、環状体4には上昇力が作用し、環状体4は少し持ち上げられる。この時、環状体4は芯体1との摩擦抵抗が周方向で一定になるように移動し、環状体4と芯体1との間隙が一定になるので、塗布される膜厚は周方向で均一になる。芯体1の引き上げ速度は、0.1〜1.5m/min程度が望ましい。
環状塗布装置には、芯体1を保持する芯体保持手段、並びに、該保持手段を上下方向に移動する第1の移動手段、及び環状塗布槽6を上下方向に移動する第2の移動手段を有してもよい。
環状塗布槽6の側面には、ポリイミド前駆体溶液を供給するための供給管8が周方向に沿って例えば等間隔で複数配設されている。供給管8の数は、環状塗布槽6の内径にもよるが、2〜20個程度、等間隔の位置に取り付けるのがよい。供給管8にはチューブを適宜接続して溶液が送り込まれる。槽内に溶液を送り込む方法としては、加圧空気を利用して圧送する方法や、任意のポンプにより圧送する方法がある。但し、高粘度の溶液を一定流量で、しかも気泡の巻き込みや不純物の混入を起こさないで圧送するには、ラジアルスクリューポンプを用いることが特に望ましい。
尚、環状塗布槽6を用いる環状塗布法は、浸漬塗布法より、ポリイミド前駆体溶液2が少なくて済む利点がある。
−ポリイミド樹脂皮膜形成工程−
ポリイミド樹脂皮膜形成工程においては、ポリイミド前駆体塗膜中に過度に残留する溶剤を除去する目的で、静置しても塗膜が変形しない程度の乾燥を行う。乾燥温度は例えば80〜180℃、乾燥時間は10〜60分程度である。その際、溶剤が極めて乾燥が遅い場合、乾燥中にポリイミド前駆体皮膜は重力の影響を受けて、垂れが生じやすい。その場合には、塗布された芯体を、その長手方向を水平にして、10〜60rpm程度で回転させながら乾燥することが望ましい。また、加熱することに加え、風を当てることも有効である。乾燥温度は、溶剤の溶存気体が気泡になることを低減させるために、時間内において、段階的に上昇させたり、一定速度で上昇させることが望ましい。
ポリイミド樹脂皮膜形成工程において、前記乾燥後、例えば200〜350℃で、10〜60分間程度、ポリイミド前駆体塗膜を加熱させることで、ポリイミド樹脂皮膜を形成することができる。
−ポリイミド樹脂皮膜剥離工程−
加熱後、形成されたポリイミド樹脂皮膜を円筒状芯体から剥離する工程を経て、管状のポリイミド樹脂部材が得られる。そして、当該ポリイミド樹脂部材を所定の大きさに裁断される。また、厚みが足りない場合には、裁断したものを貼り合わせてもよい。
なお、上記管状のポリイミド樹脂部材(ベルト)は、電子写真用の転写ベルト等としても利用することができる。したがって、体積抵抗率や厚みが所望の仕様に合致すれば、剥離部材(剥離シート)は、転写ベルトと同一材料で作製してもよい。さらに、剥離部材(剥離シート)は、転写ベルトを作製した後の端材や、転写ベルトとして使用できなかった不具合品を流用してもよい。こうすれば、資源の節約やコストダウンに貢献することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
−剥離部材−
ポリイミド前駆体溶液(商品名:UイミドKX、ユニチカ製、固形分散濃度18質量%)に、その固形分(樹脂成分)100質量部に対してカーボンブラック(商品名:「スペシャルブラック4(pH3.0、揮発分14.0%)」、デグザ社製)を30質量部加え、ジェットミル装置にて2時間に渡り攪拌・混合した。このポリイミド前駆体溶液の粘度を、円錐平板方式粘度計(東機産業(株)製、型式RE80U)を用いて、ローター:3°×R14を使用して、5rpmの条件下、25℃、55%RHの測定環境下で測定したところ、45Pa・sであった。
得られたポリイミド前駆体溶液を50cm角のアルミニウム板上に適量塗布し、塗布棒により引き伸ばして厚み0.5mmの塗膜を形成した。なお、アルミニウム板には離型剤(商品名:セパコート、信越化学製)を予め塗布してある。塗布後、120℃で30分間の加熱乾燥を行い、さらに250℃30分間、300℃30分間の加熱を行ってイミド化反応させた。常温(例えば25℃)に冷却後、一端に隙間を入れてから皮膜全体を剥離してポリイミド樹脂シートを得た。その体積抵抗率は1010Ωcm、膜厚は80μmであった。
ポリイミド樹脂シートを15mm×20mmの大きさ切断した。これを剥離シートとした。そして、剥離シートを0.8mm厚で15mm×15mmの大きさのステンレス板からなる支持部材に5mm幅で貼り付けて、剥離部材を得た。
−加熱ロール−
外径24mm、肉厚0.5mm、長さ310mmの円筒状の鉄製コアの外表面に、弾性層としてシリコーンゴム(ゴム硬度33度:JIS−A)を3mmの厚みで被覆し、さらに弾性層の表面に離型層として厚さ30μmのPFAチューブを被覆した。そして、コアの内部には、加熱源として最大960W(通常時600W)のハロゲンランプが配設される。これを加熱ロールとした。加熱ロールの表面温度は、175℃に制御される。
−加圧ベルト−
直径30mm、肉厚75μm、長さ330mmのポリイミド樹脂ベルトを基材とし、該基材の外周面にパーフルオロアルキルエーテルフッ素樹脂(PFA)を30μmの厚みに塗布して表面層を形成した。これを加圧ベルトとした。
<比較例1>
カーボンブラックを分散しない以外は、実施例1と同様にポリイミド樹脂シートを作製した。そのポリイミド樹脂シートは膜厚が80μmであり、体積抵抗率は1015Ωcmであった。このポリイミド樹脂シートを裁断し、これを剥離シートとして使用した以外は実施例1と同様にして定着装置を構成した。この定着装置を用い、5万枚の通紙耐久試験を行うと、剥離シートには静電気によって紙粉の付着が多くあり、加熱ロールとの接触部が数十μm程度ジグザグに磨耗し、わずかながら摺動音が発生するようになった。
<実施例2>
実施例1において、カーボンブラックを40質量部加えて、他は同様にしてポリイミド樹脂シートを作製した。このポリイミド樹脂シートは膜厚が80μmであり、体積抵抗率は10Ωcmであった。このポリイミド樹脂シートを306×20mmの大きさ切断した。これを剥離シートとした。そして、剥離シートを0.8mm厚で306×15mmの大きさのステンレス板からなる支持部材に貼り付けて、剥離部材を得た。
[評価]
実施例1で得たポリイミド樹脂シート(試験例1)と比較例1で得たポリイミド樹脂シート(試験例2)と実施例2で得たポリイミド樹脂シート(試験例3)とについて、耐磨耗性を比較した。すなわち、23℃55%RHの環境下で、#2000ラッピングテープ(富士フィルム製)を装着したテーバー磨耗試験機(品番812:コーティングテスター社製)を用い、荷重1kg、回転速度70rpmで5000回転させた時の磨耗量を測定した。実施例1のシートの場合、磨耗量は3mg以下であったが、比較例1のものは5mgであり、実施例2のものは7mgであり、実施例1の方が磨耗量は少なかった。
また、静電気による埃の付着性についても次のようにして評価した。実施例1で得たポリイミド樹脂シート(試験例1)と比較例1で得たポリイミド樹脂シート(試験例2)と実施例2で得たポリイミド樹脂シート(試験例3)とについて上記第1実施形態に係る定着装置と同じ構成の装置(図2及び図3参照)に剥離部材32として装着し、トナーを転写した記録媒体を毎分30枚の速度で通過させ、2万枚の通紙耐久試験後を行った。通紙耐久試験後の剥離部材への静電気による埃の付着性を目しにて確認した。結果を表1に示す。
Figure 2008116662
<実施例3>
まず、実施例1における剥離部材の作製で使用したポリイミド前駆体溶液を準備した。
別途、外径366mm、肉厚10mm、長さ900mmのアルミニウム製円筒を用意し、球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、表面をRa1.0μmに粗面化した。円筒の表面には、離型剤(商品名:セパコート、信越化学製)を塗布した。そして、円筒の軸方向両端部に、その周方向に沿って幅10mmのポリエステル粘着テープを巻き付けた。これは塗膜が芯体側面に回り込まないようにするためである。これを芯体とした。
次いで、ポリイミド前駆体溶液を用い、環状塗布装置(図7及び図8参照)により、ポリイミド前駆体の塗膜を芯体の表面(外周面)に形成した。この際、環状体として、外径420mm、円孔の最小部の内径367.1mm、高さ50mmのアルミニウム製のものを作製し用いた。環状体の内壁は直線傾斜状であり、鉛直線との傾斜角は10°とし、上端には芯体と平行になる部分を2mm形成した。
一方、内径450mm、高さ100mmの環状塗布槽の底面に、内径362mmの穴を有する厚さ0.5mmの硬質ポリエチレン樹脂製の環状シール材を取り付け、中央に芯体を通した。環状塗布槽にポリイミド前駆体溶液を入れ、環状体を配置した。なお、ポリイミド前駆体溶液の供給は、環状塗布槽の側面にその周方向に等間隔(45°間隔)で8箇所に設けた供給管から供給した。
次いで、最初は900mm/分、それから徐々に600mm/分まで減速しつつ、芯体を引き上げて塗布を行った。その際、環状体は20mm持ち上げられた。これにより、芯体には、濡れ膜厚が500μmのポリイミド前駆体溶液の塗膜を形成した。
塗布後、芯体を回転台に載せて水平にし、6rpmで回転させながら、160℃で20分間加熱してポリイミド前駆体溶液の塗膜を乾燥した。これにより、厚さ150μmのポリイミド前駆体皮膜を得た。乾燥後、粘着テープを剥離した。
次いで、芯体を鉛直にして、加熱装置に入れて200℃で30分、300℃で30分加熱反応させ、ポリイミド樹脂皮膜を形成した。
室温(例えば25℃)に冷えた後、芯体と皮膜の間にエアを吹き込みながら、芯体から皮膜を抜き取り、無端ベルトを得た。無端ベルトの膜厚は80±1.5μmであった。該無端ベルトを両端から80mmずつ切断すると共に、中央部の裁断し、幅360mmの無端ベルトを得た。得られた無端ベルトは、体積抵抗率を測定すると、10Ωcmの半導電性を有しており、電子写真用転写ベルトとして使用することができた。
一方、切断した端部の端材2本は、膜厚が不均一な部分もあるが、無端ベルトに近い側50mmずつは、膜厚が80±2μmであった。これを306×20mmの大きさに切断すると、9〜12枚のポリイミド樹脂シートを得ることができた。このシートも実施例1と同様に、所定のサイズに裁断し剥離シートとして使用することができた。従来は廃棄されていた端材であるが、利用することができた。
<実施例4>
−剥離部材−
実施例1で得たポリイミド樹脂シートを15mm×20mmに裁断し、自由端となる端部を加熱ロールの周方向の曲率と同様な切欠きを設けた。そして、この切欠きを有するシートを、25μm厚の両面テープを用いて張り合わせ、切欠きには両面テープがはみ出ないようにした。これを剥離シートとした。そして、剥離シートを0.8mm厚で15×15mmの大きさのステンレス板からなる支持部材に5mm幅で貼り付けて、剥離部材を得た。
実施例1と同じ加熱ロール、加圧ベルトを準備し、上記第2実施形態に係る定着装置と同じ構成の装置(図4及び図5参照)に装着し、トナーを転写した記録媒体を毎分30枚の速度で通過させ、定着試験を行った。その結果、5万枚の通紙耐久試験を行っても、剥離性能に変化はなく初期状態に近い状態の機能が発揮されていた。
第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る定着装置を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る定着装置の主要部を示す斜視図である。 第1実施形態に係る定着装置を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る定着装置の主要部を示す斜視図である。 体積抵抗率の測定するための測定装置の一例を示す概略構成図である。 環状体を備えた環状塗布装置の概略断面図であり、 塗布時の環状塗布装置の概略断面図である。
符号の説明
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置
10Y、10M、10C、10K プロセスカートリッジ
20 中間転写ベルト
20a 中間転写体クリーニング装置
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ
28 定着装置
30 加熱ロール
32 剥離部材
32a 剥離シート
32b 支持部材
32c 切欠き部
40 加圧ベルト
50 加圧パッド
52 ベルト走行ガイド
P 記録媒体

Claims (4)

  1. 定着部材と、
    前記定着部材から記録媒体を剥離するための剥離部材であって、カーボンブラックを含むポリイミド樹脂部材を有する剥離部材と、
    を有することを特徴とする定着装置。
  2. 前記剥離部材としての前記ポリイミド樹脂部材は、板状であり、且つ当該板面を前記定着部材の軸方向に対して平行にして配設したことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記剥離部材としての前記ポリイミド樹脂部材は、板状であり、且つ当該板面を前記定着部材の軸方向に対して交差して配設したことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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