以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る多重引き式引戸装置は、2個の扉体21,22が、それぞれの扉体21,22の上方に配置されたそれぞれのガイド部材となっているガイドレール30,39から吊り下げられ、これらのガイドレール30,39が扉体21,22を開閉移動方向へ案内する上吊り式の多重引き式引戸装置である。また、この引戸装置は、第1扉体となっている扉体21及び第2扉体となっている扉体22の同一方向への移動によって開口部が開閉されるとともに、この開口部は、扉体21より扉体22が閉じ側へ前進することにより開閉移動方向へずれた扉体21,22によって閉じられるものである。なお、この引戸装置は、全開位置まで達した扉体21,22を収納するための戸袋3を有するものであって、この戸袋3は、壁5の内部に収納された壁収納式の戸袋となっている。
図1は、例えば、建物内における廊下と部屋との間に配置され、開閉移動方向が同じとなっている第1扉体21と第2扉体22で開閉される開口部が、出入口2となっているこの引戸装置の全体を示す正面図である。
この引戸装置の外枠組みは、扉体21,22に対して不動となっている不動部材である上枠部材10と、図1で示すように第1及び第2扉体21,22で出入口2が全閉となったときに第2扉体22の先端が当接する戸先側の竪枠部材11と、この戸先側の竪枠部材11とは扉体21,22の移動方向反対側に配置されている戸尻側の竪枠部材12と、これらの竪枠部材11と12の間に配置されているとともに、出入口2を開けたときの扉体21,22が収納される戸袋3における出入口2の側の端部に配置された竪額縁部材13と、床4における戸袋3の下端に配置された幅木14とを含んで形成されている。このため、竪枠部材11は、扉体21,22の戸先側に配置された第1竪枠部材となっており、竪枠部材12は、扉体21,22の戸尻側に配置された第2竪枠部材となっている。
出入口2は、これらの枠部材10〜14で形成された外枠組みの内側の一部の空間となっている。上枠部材10は、戸先側の竪枠部材11から戸尻側の竪枠部材12まで延びているため、この上枠部材10は出入口2と戸袋3に跨る長さを有し、竪額縁部材13は、戸袋3における出入口2側の見切り部材となっている。
戸袋3は、上枠部材10と幅木14の長手方向(図1では左右方向であって、扉体21,22の開閉移動方向)に連続している補強部材20によって補強された構造となっており、長手方向の両端が竪枠部材12と竪額縁部材13に結合されているこの補強部材20は、竪枠部材11,12と竪額縁部材13の長手方向である上下方向に複数個配設されている。そして、これらの補強部材20の上下において、上枠部材10と幅木14の長手方向に細長い形状となっている内側壁材が接着テープ等による結合具で補強部材20に結合され、これらの内側壁材の外側に大面積を有する外側壁材が配置され、補強部材20にビスやステープル等の結合具で結合されているこの外側壁材の表面に、クロス等の壁仕上げ材が取り付けられている。このため、これらの内側壁材と外側壁材と壁仕上げ材により、戸袋3の部分の壁5が形成され、戸袋3は、補強部材20が構造材となって壁5の内部に形成されている。
上枠部材10の全長のうち、出入口2と対応する部分は、点検カバー23で開閉可能に塞がれる開口部10Aとなっている。また、上枠部材10の内部には、扉体21,22を開閉移動させるための扉体移動機構が収納配置されている。
図2及び図3は、点検カバー23を取り外し、かつ竪額縁部材13と戸袋3と壁5を除外して示した扉体移動機構の全体正面図であり、図2は、第1扉体21と第2扉体22が出入口2を全閉とする位置に達していて出入口2が閉じられているときであり、図3は、第1扉体2と第2扉体22が出入口2を全開とする位置に達していて出入口2が開けられているときである。図4は、図2のときにおける第1扉体21と扉体移動機構の一部を拡大して示した正面図であり、図5は、図2のときにおける第2扉体22と扉体移動機構の一部を拡大して示した正面図である。図6は、図2のときにおける第1扉体21と第2扉体22と扉体移動機構の要部を拡大して示した正面図である。図7は、点検カバー23を2点鎖線で示した図6のS7−S7線断面図である。なお、図2〜図6では、竪枠部材11の一部が破断して示されている。
図7に示されているとおり、点検カバー23は、上端に斜め下向きに形成され、上枠部材10の上面10Bの端部の傾斜延出部10Cに係止される係止部23Aと、この係止部23Aから鉛直又は略鉛直下向きに延びている正面部23Bと、この正面部23Bの下端から上枠部材10の内側へ水平又は略水平に屈曲している下面部23Cとを有する。上枠部材10の開口部10Aを塞いでいるときの点検カバー23は、係止部23Aが上枠部材10の傾斜延出部10Cに係止され、これにより点検カバー23の重量が上枠部材10で支持され、また、図1から分かるように、下面部23Cが、戸先側の竪枠部材11と竪額縁部材13に取り付けられているブラケット24,25にビス等の止着具26,27で止められている。
点検カバー23を取り外して上枠部材10の開口部10Aを開けるときには、止着具26,27を取り外し、これにより、点検カバー23は、上端の係止部23Aを中心に上枠部材10の内外方向に揺動可能となるため、上枠部材10の外側方向へ揺動させ持ち上げるなどすることにより、係止部23Aを上枠部材10の傾斜延出部10Cから抜き取る。これにより、点検カバー23が取り外されて上枠部材10の開口部10Aが開けられることになり、また、以上とは逆の作業を行うことにより、開口部10Aを点検カバー23で塞ぐことができる。
次に、前述の扉体移動機構について説明する。
図2及び図3に示されているように、無目である上枠部材10の内部には、この上枠部材10の全長より若干短い長さとなった第1ガイドレール30が、扉体21の上方において配置され、この第1扉体21を直線となっている開閉移動方向へ案内するための本実施形態の第1ガイド部材となっているこの第1ガイドレール30は、図7に示されているように、上下に延びる基端部30Aと、この基端部30Aの下端から扉体21の厚さ方向へ水平又は略水平に延びるアーム部30Bとを有する断面略L字の連続形状となっている。そして、基端部30Aは、上枠部材10の内部に補強のために配置されている取付部材29を介して上枠部材10にビス等の結合具31で結合されている。
このため、第1ガイドレール30は、扉体21,22に対して不動部材となっている上枠部材10に取り付けられており、また、この第1ガイドレール30は、水平かつ上枠部材10に平行に設けられている。
第1扉体21の上部には、第1ガイドレール30のアーム部30Bの先端に上向きに形成されたローラ載置部30Cの上に転動自在に載っている第1ローラ32がブラケット33を介して取り付けられている。第1ローラ32の外周面には、この第1ローラ32がローラ載置部30Cによって案内されるように、溝が全周にわたって設けられている。これらの第1ローラ32とブラケット33は、図4で示されているとおり、上枠部材10の長手方向である第1扉体21の開閉移動方向に複数(図示によれば2個)設けられている。
このため、第1扉体21は、この第1扉体21の上方に配置された第1ガイドレール30に第1ローラ32が載っていて、第1ガイドレール30に吊り下げられた上吊り式の扉体になっている。そして、第1ローラ32は、第1ガイドレール30に転動自在に係合した第1扉体21の第1係合部となっており、第1扉体21は、第1ガイドレール30に案内される第1ローラ32の転動によって開閉移動自在となっている。
図8は、図7では示されていない第1扉体21と第2扉体22の下部を示す断面図であり、第1扉体21の下端部には、この扉体21の開閉移動方向に連続する溝34が形成され、下向きに開口しているこの溝34の内部には、図1で示した床4に配置された第1ガイドローラ35が挿入されている。このため、第1ガイドレール30で案内される第1扉体21の開閉移動は、第1扉体21の下端部がこの第1ガイドローラ35で案内されることによっても行われる。
前述した第2扉体22に対して戸尻側(言い換えると、開き側)の扉体となっている第1扉体21は、図6及び図7で示されているように、前記第1ローラ32と前記ブラケット33が設けられた上側の第1構成部分21Aと、この第1構成部分21Aに連結された下側の第2構成部分21Bとの組み合わせで構成されており、第2構成部分21Bが第1扉体21の本体部分となっている。第1構成部分21Aは、第2構成部分21Bよりも上下寸法が小さくなっているが、第1構成部分21Aの開閉移動方向の長さ寸法は、第2構成部分21Bの開閉動方向の長さ寸法と同じ又は略同じとなっている。このため、図6に示すように、第1構成部分21Aと第2構成部分21Bの戸先側の端部は一致又は略一致しており、第1構成部分21Aと第2構成部分21Bの戸尻側の端部も一致又は略一致している。
また、第1構成部分21Aは、図7で示すとおり、板材の折り曲げによる枠部材36で形成されており、このため、断面箱形となっている第1構成部分21Aの内部は、扉体21,22の開閉移動方向に連続する空洞部となっている。また、枠部材36における扉体21,22の厚さ方向の一方の側は、水平部36Aから垂下する第1垂下部36Bとなっており、他方の側は、水平部36Aから垂下する第2垂下部36Cとなっている。
また、図7に示されているように、枠部材36の内側には、第1構成部分21Aを補強するための折り曲げによる枠部材37が配置されており、この枠部材37は、水平部37Aと、この水平部37Aにおける扉体21,22の厚さ方向の両端部のうちの一方の端部である取付部材29側の端部から垂下する垂下部37Bとからなる断面略逆L字形状となっている。そして、この枠部材37の水平部37Aが、ブラケット33と共に枠部材36の水平部36Aにビス等の結合具で結合されている。なお、図6のS9−S9線断面図である図9に示されているように、枠部材37の扉体21,22の開閉移動方向(長手方向)の長さ寸法は、枠部材36の扉体21,22の開閉移動方向の長さ寸法よりも短くなっている。
また、図7に示されているように、第1構成部分21Aの内部には、第1扉体21に対して戸先側(言い換えると、閉じ側)の扉体となっている前記第2扉体22のための第2ガイドレール39が貫通して配置され、本実施形態の第2ガイド部材となっているこの第2ガイドレール39は、第1ガイドレール30と同じく、上下に延びる基端部39Aと、この基端部39Aの下端から扉体22の厚さ方向へ水平又は略水平に延びるアーム部39Bとを有する断面略L字の連続形状であり、図2及び図3に示されているように、上枠部材10の全長又は略全長に渡る長さを有している。
図4及び図9に示されているように、第1竪枠部材となっている竪枠部材11における枠部材36の水平部36Aよりも下方の高さ位置には、水平部100Aと垂直部100Bとからなる断面略逆L字のブラケット100がビス等の結合具101で竪枠部材11の窪み部11Aに結合されている。また、図4、図7及び図9に示されているように、第2竪枠部材となっている竪枠部材12における枠部材36の水平部36Aよりも下方の高さ位置にも、ブラケット100がビス等の結合具101で竪枠部材12に結合されている。そして、図4に示されているように、竪枠部材11に結合されているブラケット100の水平部100Aの高さ位置は、竪枠部材12に結合されているブラケット100の水平部100Aの高さ位置と同じ又は略同じとなっている。
図4及び図9に示されているように、第2ガイドレール39の長手方向の一方の端部である戸先側の端部39Dにおけるアーム部39Bは、竪枠部材11に結合されたブラケット100の水平部101Aに載置され、ビス等の結合具98で結合されている。一方、第2ガイドレール39の長手方向の他方の端部である戸尻側の端部39Eにおけるアーム部39Bも、竪枠部材12に結合されたブラケット100の水平部101Aに載置され、ビス等の結合具98で結合されている。
このため、本実施形態では、第2扉体22のための第2ガイドレール39は、扉体21,22に対して不動部材となっている竪枠部材11と竪枠部材12との間に水平又は略水平に架設されており、図7及び図9に示すように、第2ガイドレール39と上枠部材10との間には、隙間部45が形成されている。これにより、第2ガイドレール39は、第1扉体21の第1構成部分21Aの内部を貫通して配置される。言い換えると、第1構成部分21Aを構成する枠部材36の第2垂下部36C及び枠部材37の垂下部37B等が、第2ガイドレール39と上枠部材10との間を通過することができる。また、第2ガイドレール39は、前記第1ガイドレール30と同様に、無目である上枠部材10に平行に設けられており、第1ガイドレール30と上下方向である高さ方向、扉体厚さ方向共に平行に設けられている。このため、第1扉体21と第2扉体22とは、平行に(偏りなく)開閉移動する。
図7に示されているように、第2扉体22の上部には、第2ガイドレール39のアーム部39Bの先端に上向きに形成されたローラ載置部39Cの上に転動自在に載っている第2ローラ40がブラケット41を介して取り付けられている。前記第1ローラ32と同様に、第2ローラ40の外周面には、この第2ローラ40がローラ載置部39Cによって案内されるように、溝が全周にわたって設けられている。これらの第2ローラ40とブラケット41は、図5で示されているとおり、第2扉体22の開閉移動方向に複数(図示によれば2個)設けられている。
このため、第2扉体22は、この第2扉体22の上方に配置された第2ガイドレール39に第2ローラ40が載っていて、第2ガイドレール39に吊り下げられた上吊り式の扉体になっている。そして、第2ローラ40は、第2ガイドレール39に転動自在に係合した第2扉体22の第2係合部となっており、第2扉体22は、第2ガイドレール39に案内される第2ローラ40の転動によって開閉移動自在となっている。
なお、第1ガイドレール30のローラ載置部30Cと、第2ガイドレール39のローラ載置部39Cとの扉体厚さ方向の位置関係は任意であるが、本実施形態では、好ましい一例として、第1ガイドレール30のローラ載置部30Cと、第2ガイドレール39のローラ載置部39Cとは、扉体厚さ方向に同じ位置又は略同じ位置となっている。
図8に示すとおり、第2扉体22の下端部には、この扉体22の開閉移動方向に連続する溝42が形成され、下向きに開口しているこの溝42の内部には、第1扉体21の前記溝34を形成している下部フレーム部材43に取り付けられた第2ガイドローラ44が挿入されている。このため、第2ガイドレール39で案内される第2扉体22の開閉移動は、第2扉体22の下端部がこの第2ガイドローラ44で案内されることによっても行われる。
また、図7及び図8で示されているように、第2扉体22の厚さは第1扉体21の厚さよりも小さく、そして、第1扉体21の内部は、前記第1構成部分21Aから前記第2構成部分21Bまで達する空洞部となっており、この空洞部に、開口した端面となっている第1扉体21の戸先側の端面から第2扉体22が出入り可能となっている。すなわち、第1扉体21と開閉移動方向が同じになっている第2扉体22は、第1扉体21の内部に出没可能な入れ子式となっている。そして、第2ガイドレール39は第1扉体21の内部を貫通している。
これらの第1扉体21と第2扉体22は連動機構によって連結され、この連動機構により、第1扉体21と第2扉体22は連動して開閉移動するようになっている。この連動機構は、図6のS10−S10線断面図である図10に示されている。連動機構50は、第1扉体21の枠部材36の水平部36Aの下面に取り付けられていてこの第1扉体21の戸先側の端部から突出した平板状のベース部材47の上面における戸先側の端部に、ブラケット51を介して回転自在に取り付けられた第1回転部材52と、前記枠部材36の水平部36Aの上面における戸尻側の端部にブラケット53を介して回転自在に取り付けられた第2回転部材54と、これらの回転部材52と54に緊張力をもって掛け回された紐状部材55とを含んで構成され、金属製ワイヤー又は合成樹脂製紐等で形成されている紐状部材55は、回転部材52,54を回転させながら走行する走行部材となっている。
図11は、図6のS11−S11線断面図である。この図11、図7及び図10に示されているように、ブラケット51はブラケット53と同じ又は略同じ形状、構造を有しており、ブラケット51をベース部材47に直接取り付けた場合には、第1回転部材52の高さ位置が第2回転部材54の高さ位置よりも低くなってしまうため、図4及び図11に示すように、ブラケット51とベース部材47との間にはスペーサ48が配置されている。これにより、図4に示すように、第1回転部材52の高さ位置は第2回転部材54の高さ位置と同じ又は略同じとなっている。
図7及び図10に示されているように、紐状部材55の一部は、不動部材となっている前述の上枠部材10の取付部材29に結合部材56で結合され、また、紐状部材55の両端部は、図11及び図5で示されているとおり、第2扉体22の前記第2ローラ40ごとに設けられている2個の前記ブラケット41のうち、戸先側のブラケット41に結合された連結部材57にビス等の止着具で止着されている。このため、図10に示すように、紐状部材55の両端部は連結部材57を介して連結されているため、この紐状部材55は実質的に無端の紐状部材になっているとともに、この紐状部材55の一部に第2扉体22が連結されていることになる。
これにより、図1で示されている把持部58を把持した手によって第2扉体22を移動させると、この移動は、紐状部材55の走行と回転部材52,54の回転とによって第1扉体21に伝達され、この伝達により、第1扉体21は、第2扉体22の速度の半分の速度で第2扉体22と同じ方向へ移動し、第1扉体21はこの引戸装置における低速扉体となり、第2扉体22はこの引戸装置における高速扉体となる。開き側へ移動した第1扉体21が、図1で示した戸尻側の竪枠部材12に取り付けられたストップ部材59(図9も参照)に当接することにより、第1扉体21と第2扉体22は前記出入口2を全開又は略全開とする図3の位置に達し、このときには、第1扉体21の全部又は略全部は図1で説明した戸袋3の内部に収納されているとともに、第2扉体22の略全部(把持部58がない場合は全部でも可)は第1扉体21の内部に侵入している。
なお、図面では示されていないが、第1扉体21と第2扉体22が出入口2を全開又は略全開とする図3の位置に達したときに、これらの扉体21,22のうちの一方をその位置に停止させて他方の扉体も連動機構50を介して停止させ、把持部58によって第2扉体22を閉じ側へ移動操作したときには、上記一方と上記他方が閉じ側へ移動することを許容する全開位置停止装置を上枠部材10や竪枠部材12等の不動部材に取り付けてもよい。
また、図3及び図5で示されているように、上枠部材10の内部空間には、2個の扉体21,22を自動的に閉じ移動させるための渦巻きばね式の自動閉鎖装置60が配置され、この自動閉鎖装置60は、竪枠部材11の窪み部11Aに取り付けられている。自動閉鎖装置60からは、この自動閉鎖装置60の内部に設けられている渦巻きばね機構に一端が連結された金属製ワイヤー又は合成樹脂製紐等による紐状部材61が導出され、この紐状部材61の他端は、第2扉体22の前記第2ローラ40ごとに設けられている2個の前記ブラケット41のうち、戸先側のブラケット41に連結されている。
第2扉体22の戸先側の端部が戸先側の竪枠部材11に当接していて2個の扉体21,22が前記出入口2を全閉としているときに、把持部58を握った手によって第2扉体22を第2ガイドレール39に案内させて開き移動させ、第1扉体21も連動機構50を介して第2扉体22の速度の半分の速度で開き移動させると、自動閉鎖装置60から繰り出される紐状部材61により、上記渦巻きばね機構の渦巻きばねにばね力が蓄圧される。そして、把持部58から手を離すと、この蓄圧されたばね力によって第2扉体22が自動的に閉じ移動し、第1扉体21も連動機構50を介して第2扉体22の速度の半分の速度で閉じ移動する。このため、本実施形態に係る引戸装置は、2個の扉体21,22が、前記出入口2を全閉とする図1及び図2の位置まで自動的に移動する自動閉鎖式の引戸装置になっている。
また、図4及び図7で示されているように、第1扉体21の前述した第1構成部分21Aの上部にはロータリー式ブレーキ装置70が配置されており、図12には、図4におけるこのブレーキ装置70をさらに拡大した図が示されている。収納ケースが2点鎖線で示されているこのブレーキ装置70は、図4に示すように、第1扉体21の前記第1ローラ32ごとに設けられている2個の前記ブラケット33のうち、戸先側のブラケット33に取り付けられている。すなわち、本実施形態では、このブラケット33は、第1扉体21に第1ローラ32とブレーキ装置70の両方を取り付けるための部材となっており、部材の兼用化が図られている。
ロータリー式ブレーキ装置70は、図12に示すように、ラック部材71に噛合するピニオンギア72を有し、このピニオンギア72の回転中心軸73は、図7に示すように、扉体21の厚さ方向に延びているとともに、この回転中心軸73の軸方向は水平又は略水平方向となっており、この回転中心軸73と上記第1ローラ32の回転中心軸74とは、平行又は略平行となっている。図7で示されているように、ラック部材71は、上枠部材10の内部の前記取付部材29に取り付けられた保持部材75で下向きに保持されている。
ラック部材71と保持部材75は、第1扉体21の開閉移動方向への長さを有しているとともに、この長さの大部分が第1ガイドレール30と平行であるこれらのラック部材71と保持部材75は、図3で示されているように、第1ガイドレール30の全長に渡る長さとなっておらず、ラック部材71と保持部材75の戸先側の端部の位置は、図12に示されているように、第1扉体21が第2扉体22と共に前記出入口2を全閉とする位置に達したときに、ピニオンギア72が到達している位置と同じ位置又はこれよりも少し戸先側の位置となっている。また、ラック部材71と保持部材75の戸尻側の端部の位置は、第2扉体22の戸先側の端部と戸先側の竪枠部材11との間に、例えば50cmなどの所定の間隔(制動距離が確保でき、この間の移動に時間が多く掛からない長さとして適宜定められる)が開いている位置まで第1扉体21が達しているときに、この第1扉体21におけるピニオンギア72と同じ位置又は略同じ位置となっている。
ロータリー式ブレーキ装置70の内部には、シリコンオイル等の粘性流体が充填され、この粘性流体の内部には、ピニオンギア72に前記回転中心軸73を介して結合されたブレードが収納され、ピニオンギア72が回転すると、このブレードも回転中心軸73を介して回転する。
このため、第1扉体21と第2扉体22が、前述した自動閉鎖装置60の渦巻きばね機構の渦巻きばねに蓄圧されたばね力による自動閉鎖力によって全開側から全閉側へ閉じ移動し、この閉じ移動の途中において、ピニオンギア72がラック部材71に噛合し始めたときには、このときからピニオンギア72がラック部材71によって回転することにより、第1扉体21には、ロータリー式ブレーキ装置70の上記粘性流体がブレードで撹拌されることで生ずる粘性力による制動力が発生し、連動機構50を介して第1扉体21と連結されている第2扉体22にも制動力が生じ、これにより、2個の扉体21,22は、ロータリー式ブレーキ装置70で制動されて減速しながら出入口2を全閉とする位置まで達する。
また、前述したように、図1で示した把持部58を握った手によって第2扉体22を開き移動させ、連動機構50を介して第2扉体22と連結されている第1扉体21も開き移動させる場合にも、ラック部材71と噛合しているピニオンギア72は回転するが、このピニオンギア72と、ピニオンギア72の前記回転中心軸73との間には一方向クラッチが介設されており、第1扉体21が開き側へ移動しているときのピニオンギア72の回転については、この一方向クラッチの接続は断絶されるため、2個の扉体21,22の開き移動を、ロータリー式ブレーキ装置70による制動力を発生させずに小さな力で軽く行うことができる。
なお、全閉側へ移動している2個の扉体21,22を減速させるためのブレーキ装置は、上記ロータリー式のものに限らず任意な形式のものを採用でき、例えば、シリンダ式のものでもよい。
前述したように、第1扉体21は、上側の第1構成部分21Aと、下側の第2構成部分21Bとの組み合わせで構成されているが、第1扉体21の本体部分となっている第2構成部分21Bは、以下に説明する構造となっている。この構造は、図7、図8及び第2扉体22を除外して示した第1扉体21の平断面図となっている図13とに示されている。
第1扉体21の第2構成部分21Bは、第1扉体21の厚さ方向両側の表面パネル81,82と、これらの表面パネル81,82の間に入れられた図8の前記下部フレーム部材43と、表面パネル81,82の間に入れられた図13の戸尻側の側部フレーム部材83とで構成され、表面パネル81,82の下端部と、下部フレーム部材43は、図8で示すビス等の結合具91,92で結合され、表面パネル81,82の戸尻側の端部と、側部フレーム部材83は、図13で示すビス等の結合具93,94で結合されている。
なお、それぞれの表面パネル81,82は、これらの表面パネル81,82の四周辺部に配置された骨組み材と、これら骨組み材に被せられた表面板とで形成されている。また、それぞれの表面パネル81,82の内面には、図13に示されているように、第1扉体21に耐火性を付与するための耐火材95が取り付けられている。そして、第2扉体22の内部にも、図7及び図8に示されているように、耐火材95が充填されている。
また、一方の表面パネル81は、図7で示されているように、第1構成部分21Aを形成している前記枠部材36の第2垂下部36Cに、この表面パネル81の上端に結合された連結部材97を介して連結されており、この連結部材97と第2垂下部36Cとの連結は、ビス等の結合具96で行われている。また、他方の表面パネル82も、枠部材36の前記第1垂下部36Bに、この表面パネル82の上端に結合された連結部材97を介して連結されており、この連結部材97と第1垂下部36Bとの連結は、ビス等の結合具96で行われている。
次に、以上説明した本実施形態に係る引戸装置の組立作業についてこの組立作業の途中状態が示されている図14及び図15も参照しながら説明する。
前述した引戸装置の外枠組みを形成する上枠部材10や、竪枠部材11,12、竪額縁部材13等は、工場において生産され、第1扉体21と第2扉体22も工場で生産され、これらは、引戸装置の設置現場に搬送される。この搬送時には、上枠部材10の取付部材29に、第1ガイドレール30と、ラック部材71を保持する保持部材75等が取り付けられており、連動機構50の紐状部材55も結合部材56で結合されており、第1扉体21の上側の第1構成部分21Aの枠部材36の水平部36Aの下面に、連動機構50の第1回転部材52が取り付けられたベース部材47が結合されており、また、第1構成部分21Aの枠部材36の水平部36Aの上面に、連動機構50の第2回転部材54が取り付けられており、このように、設置現場への搬送や設置現場での設置等に支障のでない実施可能の各種作業は予め工場で行われている。
しかし、上記搬送時には、第1扉体21の上側の第1構成部分21Aに下側の第2構成部分21Bは連結されておらず、このため、これらの第1構成部分21Aと第2構成部分21Bは、分離状態となって引戸装置の設置現場に搬送される。
また、上記搬送時には、第2構成部分21Bを構成する両方の表面パネル81と82は、下部フレーム部材43(図8参照)と側部フレーム部材83(図13参照)を介して結合されておらず、一方の表面パネル81に下部フレーム部材43と側部フレーム部材83が結合具91,93で結合され(図8及び図13を参照)、また、この表面パネル81の上端には、図7に示されている前記連結部材97が結合されている。なお、表面パネル82の上端にも、図7に示されている連結部材97が結合されている。
引戸装置の設置現場において、まず、竪枠部材11,12や上枠部材10によって前記外枠組みを形成する。なお、上枠部材10は、図7に示されているように、上側の壁5の下地材15にアンカー部材16を介して結合される。また、このとき、前記補強部材20や前記内側壁材と外側壁材と壁仕上げ材による戸袋3の部分の壁5のうちの前記点検カバー23が取り付けられる側とは反対側の壁5を形成する作業や、扉体21,22の厚さ方向両側に配置される2個の竪額縁部材13(図9及び図10参照)のうちの前記点検カバー23が取り付けられる側とは反対側に配置される竪額縁部材13を取り付ける作業も行われる。なお、点検カバー23が取り付けられる側の壁5を形成する作業や、点検カバー23が取り付けられる側に配置される竪額縁部材13を取り付ける作業や、上枠部材10に点検カバー23を取り付ける作業は、扉体21,22を設置した後に行う。
竪枠部材11,12や上枠部材10によって外枠組みを形成した後、図14に示されているように、第1扉体21の第1構成部分21Aにブラケット33を介して取り付けられている第1ローラ32を、上枠部材10の取付部材29に取り付けられている第1ガイドレール30の上に載せる作業、すなわち、第1ローラ32を第1ガイドレール30に係合させることによって第1構成部分21Aを第1ガイドレール30に吊り込む作業を行う。この吊り込み作業は、ブレーキ装置70のピニオンギア72を、上枠部材10の取付部材29に結合された保持部材75に保持されているラック部材71に噛合させながら行う。
なお、図6に示されているように、第1ガイドレール30が通常の第1扉体21の開閉における第1ローラ32の転動範囲よりも余分に戸先側へ長い場合には、ブレーキ装置70のピニオンギア72を、戸先側にラック部材71を避けて吊り込み作業を行うことも可能である。
上記吊り込み作業は、第1扉体21の上下を構成する第1構成部分21Aと第2構成部分21Bのうち、第1構成部分21Aだけについて行うため、第1扉体21の全体よりも軽量となっている第1構成部分21Aを第1ガイドレール30に容易に吊り込むことができる。
この後、図4に示すように、竪枠部材11,12に、第2ガイドレール39を架設するためのブラケット100の垂直部100Bをビス等の結合具101で結合する。次に、図4及び図9に示すように、第2ガイドレール39の戸先側の端部39Dにおけるアーム部39Bを、竪枠部材11に結合した前記ブラケット100の水平部100Aに載置し、また、第2ガイドレール39の戸尻側の端部39Eにおけるアーム部39Bも、竪枠部材12に結合した前記ブラケット100の水平部100Aに載置する。この後、前記端部39Dにおけるアーム部39Bをブラケット100にビス等の結合具98で結合するとともに、前記端部39Eにおけるアーム部39Bもブラケット100にビス等の結合具98で結合する。
次に、第1扉体21の第2構成部分21Bを構成する表面パネル81,82のうち、下部フレーム部材43と側部フレーム部材83が結合具91,93で結合されている表面パネル81を、図15に示されているように、この表面パネル81の上端に工場で結合された連結部材97を第1構成部分21Aの枠部材36の第2垂下部36Cに結合具96で結合することにより、第1構成部分21Aに連結する。この作業は、下部フレーム部材43の溝34に前記第1ガイドローラ35を挿入しながら行う。なお、前述の図9に示されているように、枠部材37の垂下部37Bの扉体21の開閉移動方向の長さは、枠部材36の第2垂下部36Cの扉体21の開閉移動方向の長さよりも短いため、表面パネル81の連結部材97を前記枠部材36の第2垂下部36Cに結合具96で結合する際に、この枠部材37の垂下部37Bが邪魔にならないようになっている。
この後、第2扉体22にブラケット41を介して取り付けられている第2ローラ40を第2ガイドレール39の上に載せる作業、すなわち、第2ローラ40を第2ガイドレール39に係合させることによって第2扉体22を第2ガイドレール39に吊り込む作業を行う。なお、この作業は、先に第1ガイドレール30に吊り下げられている第1扉体21が、第2ガイドレール39に吊り込もうとする第2扉体22と干渉しないように、予め第1扉体21を戸尻側へ開き移動させておく必要がある。
第2扉体22を第2ガイドレール39に吊り込んだ後は、この第2扉体22を戸尻側へ開き移動させて、図8で示されている第2扉体22の下端部の溝42に、前記表面パネル81に取り付けられている下部フレーム部材43に配置された第2ガイドローラ44を挿入する。
この後、第1扉体21の第2構成部分21Bを構成する前記表面パネル82の上端に工場で結合された連結部材97を第1構成部分21Aの枠部材36の第1垂下部36Bに結合具96(図7参照)で結合することにより、第1構成部分21Aに連結する作業と、この表面パネル82を、前記表面パネル81に取り付けられている下部フレーム部材43と側部フレーム部材83とに図8、図13の結合具92,94で結合する作業とを行う。これらの作業を行うことにより、表面パネル81,82と下部フレーム部材43と側部フレーム部材83とで構成される第1扉体21の第2構成部分21Bは出来上がることになり、この第2構成部分21Bは、第1構成部分21Aの下部に連結されることになる。
以上の作業を行った後、一部が結合部材56で上枠部材10の取付部材29に結合されている連動機構50の紐状部材55を2個の回転部材52,54に掛け回しながらこの紐状部材55の両端部を、第2扉体22の戸先側のブラケット41に結合されている連結部材57に止着具で止着する作業と、自動閉鎖装置60から導出されている紐状部材61の端部を、第2扉体22の戸先側のブラケット41に結合する作業を行う。
この後、前記補強部材20や前記内側壁材と外側壁材と壁仕上げ材による戸袋3の部分の壁5のうちの点検カバー23が取り付けられる側の壁5を形成する作業や、点検カバー23が取り付けられる側に配置される竪額縁部材13を取り付ける作業を行う。そして、最後に、上枠部材10に点検カバー23を取り付けセットする作業等を行うことにより、引戸装置は設置現場において組み立てられることになる。
なお、第2扉体22用の第2ガイドレール39を竪枠部材11,12に架設した後、先に点検カバー23が取り付けられる側の壁5を形成する作業や、点検カバー23が取り付けられる側に配置される竪額縁部材13を取り付ける作業を行い、この後、第1扉体21及び第2扉体22の設置作業を行うようにしてもよい。
以上説明した本実施形態では、第2扉体22を開閉移動方向へ案内するための第2ガイドレール39は、扉体21,22に対して不動部材となっている竪枠部材11,12との間に架設されている。すなわち、第2ガイドレール39は、従来の多重引き式引戸装置のように、第1扉体21には取り付けられていない。
このため、本実施形態によると、第2ガイドレールが第1扉体に取り付けられていた従来の多重引き式引戸装置と比較して、第1扉体の全体重量の軽量化を図ることができる。これにより、第1扉体の取付作業等にかかる労力が軽減される。さらに、本実施形態によると、第1扉体の構造の簡単化を図ることもできる。
また、本実施形態では、第1ガイドレール30で案内されて開閉移動する第1扉体21は、上側の第1構成部分21Aと、この第1構成部分21Aに連結される下側の第2構成部分21Bとの組み合わせで構成されているとともに、第1構成部分21Aには、第1ガイドレール30に転動自在に係合する第1係合部となっている第1ローラ32がブラケット33を介して取り付けられ、第1扉体21を第1ローラ32によって第1ガイドレール30に吊り込む作業を行うときには、第1構成部分21Aに第2構成部分21Bは連結されておらず、第1構成部分21Aだけを第1ガイドレール30に吊り込めばよいため、第1扉体21のローラ32を第1ガイドレール30に転動自在に係合するための作業を、第1扉体21の全体を持ち上げることなく、第1構成部分21Aだけの持ち上げによって容易に行える。
図16〜図18には、第2ガイドレールの別実施形態が示されている。図16は、本実施形態に係る第2ガイド部材となっている第2ガイドレール139を備えた多重引き式引戸装置の全体正面図である。また、図17は、図16のS17−S17線断面図であり、図18は、図16のS18−S18線断面図である。なお、図16では、竪枠部材11の一部が破断して示されている。また、前述の図1〜図15の実施形態と同一の部材、装置には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図17に示されているように、第2ガイドレール139は、前述の図1〜図16の実施形態の第2ガイドレール39と同様に、第1扉体21の第1構成部分21Aの内部を貫通して配置されており、また、上下に延びる基端部139Aと、この基端部139Aの下端から扉体21,22の厚さ方向へ水平又は略水平に延びるアーム部139Bとを有する略L字形状を有し、上枠部材10の全長又は略全長に渡る長さを有している。
本実施形態では、第2ガイドレール139は、前述の図1〜図16の実施形態の第2ガイドレール39とは異なり、不動部材である上枠部材10に取り付けられている。これを具体的に説明すると、図16及び図18に示されているように、第2ガイドレール139の戸先側の端部139Dにおける基端部139Aと上枠部材10のとの間には、スペーサ110が配置されており、図18に示されているように、前記端部139Dにおける基端部139Aはスペーサ110を介してビス等の結合具111で上枠部材10に結合されている。また、第2ガイドレール139の戸尻側の端部139Eにおける基端部139Aと上枠部材10のとの間にも、スペーサ110が配置されており、図18に示されているように、前記端部139Eにおける基端部139Aもスペーサ110を介してビス等の結合具111で上枠部材10に結合されている。
これにより、本実施形態では、前述の図1〜図16の実施形態の第2ガイドレール39と同様に、第2ガイドレール139の基端部139Aと上枠部材10との間には、隙間部45が形成されるので、扉体21の第1構成部21Aの枠部材36の第2垂下部36C及び枠部材37の垂下部37Bや、扉体21の第2構成部21Bの表面パネル81等がこの隙間部45を通過可能となっている。
なお、本実施形態では、第2ガイドレール139を竪枠部材11から竪枠部材12までの間の全長にわたって設けなくてもよい。この場合には、竪枠部材11から竪枠部材12までの間における第2ガイドレール139を設けない部分に、例えば、扉体の全閉状態を保持するためのロック装置の構成部材などの他の部材を設けてもよい。
具体的には、例えば、本実施形態に係る多重引き式引戸装置が、第1及び第2扉体21,22の全閉状態を保持するためのロック装置を備え、このロック装置は、第2扉体22に設けられた係合部材と、この係合部材が係合する被係合部材とを含んで構成されるものである場合には、第2ガイドレール139の戸先側の端部を竪枠部材11まで設けないようにし、前記戸先側の端部と竪枠部材11との間に形成される空間に前記被係合部材を配置するようにしてもよい。
なお、以上説明した実施形態では、第1及び第2扉体を開閉移動方向へ案内する第1及び第2ガイド部材はガイドレールであったが、スライドレール(スライディングレール)でもよい。
また、以上説明した実施形態に係る多重引き式引戸装置は、第2扉体が第1扉体の内部に出入り可能となっている入れ子式のものであったが、本発明は、第1扉体に対して第2扉体を、第1扉体の厚さ方向にずれて配置した多重引き式引戸装置等にも適用できる。
また、以上説明した実施形態では、扉体の数は2個であったが、本発明は、3個以上の扉体を備えている多重引き式引戸装置にも適用できる。
また、以上説明した実施形態では、第1及び第2扉体21,22の開閉移動は手動によるものであったが、電動によるものでもよい。すなわち、第1及び第2扉体21,22の開閉移動は、自動閉鎖式及び/又は自動開放式でよい。
また、以上説明した実施形態では、第1ガイドレール30の開閉移動方向の長さは、通常の第1扉体21の開閉における第1ローラ32の転動範囲よりも余分に戸先側へ長くなくてもよい。