JP2008115383A - 発光素子用樹脂組成物、発光素子用積層体、発光素子 - Google Patents

発光素子用樹脂組成物、発光素子用積層体、発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】有機EL素子等の発光素子用の封止層、封止容器及び発光素子形成用の素材等として好適に使用可能な、発光素子用樹脂組成物、及び発光素子を提供すること。
【解決手段】共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、前記共役ジエン重合体中の不飽和結合に対する前記共役ジエン重合体環化物中に存在する不飽和結合の減少率(不飽和結合減少率)が30%以上である共役ジエン重合体環化物と脂環式オレフィン樹脂とを含有してなることを特徴とする発光素子用樹脂組成物、基板とこの基板の上に配置される発光層とこの発光層を覆蓋する発光素子用積層体とを備えて成る発光素子、基板とこの基板の上に配置される発光層とを発光素子用積層体とこの発光素子用樹脂組成物と同様の構造を有する組成物を含有する接着樹脂層とにより封止されて成る発光素子、及びこの発光素子の製造方法。
【選択図】図1

Description

この発明は発光素子用樹脂組成物、発光素子用積層体、及び発光素子に関し、さらに詳しくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子という。)等の発光素子用の基板、封止容器及び封止板等に用いられる発光素子用樹脂組成物及び発光素子用積層体、これらを用いた発光素子に関する。
発光素子として有用な有機EL素子は、原理的には有機発光層が陰極と陽極の間に配置された積層構造の発光素子である。具体的には、有機EL素子は、エレクトロルミネッセンス作用を持つ発光性有機化合物を含有する有機発光層を陰極層と陽極層との間に配置してなる積層構造体である発光素子本体を有して成る。通常、有機発光層は、発光性有機化合物を含有する発光性有機化合物層と、その陽極層側に形成される正孔注入層及び輸送層と、発光性有機化合物層の陰極層側に形成される電子注入層及び輸送層とを有して成る。そして、この発光素子本体を外界から保護することを目的として、発光素子本体の全体が基板と封止容器とで覆われている。基板はガラス製又はプラスチック製であり、封止容器は金属製が多い。そして、有機ELパネルにおいては、一つの基板上に複数の発光素子本体が配置されている。有機ELパネルにおいては、一つの封止容器で複数の発光素子本体を覆蓋し、又は基板上に配置される複数の発光素子本体を、発光素子本体ごとに複数の封止容器で覆蓋している。
有機EL素子は非常に有効な発光素子であるが、有機発光層が比較的不安定な発光性有機化合物を含有するため酸素及び水分等の有害物質によって劣化し易い欠点があるので、このような有害物質から有機発光層を保護せねばならない。そこで、通常、封止容器により形成される封止空間内に薬剤配置部を設け、その薬剤配置部に脱湿剤と無機物系の脱酸素剤とを配置することにより、前記封止空間内に存在する酸素及び水分を除去して、有機発光層の保護が図られている。
そのほかにも、特許文献1には、前記積層構造体の外表面にフッ素系高分子又は酸化物絶縁体で形成される保護層を形成し、この保護層のさらに外側をガラス容器等で覆い、保護層とガラス容器等との間に脱水剤及び酸素吸収剤を挿入するとともに不活性媒体を封入しておくことが、記載されている。特許文献2には、有機EL素子の側面を脱酸素剤を含有するエポキシ樹脂系接着剤で封止した有機EL素子装置が記載されている。特許文献3には、プラスチック製有機ELパネルの基板と積層構造体との接着剤として紫外線硬化性樹脂の適用が記載されている。
特許文献4には酸素反応性熱可塑樹脂と遷移金属触媒とを含む水添スチレンブタジエンゴムと他の熱可塑性樹脂との混合物を用いた酸素吸収フィルムからなる封止フィルムで有機EL素子を封止する方法が記載されている。
また、有機EL素子は発光に伴い、有機EL素子自体の発熱、基板上に形成した駆動素子や電極の発熱等により、発光性有機化合物を始めとする発光素子本体の劣化が促進され、発光効率の低下、発光素子の寿命低下を招くという問題がある。特許文献5には、発光素子により発生する熱を、導電性粒子を含有するシール材により、封止基板の設置した金属箔放熱部材に伝導し、この金属箔放熱部材から放熱する方法が、提案されている。しかし、保護用の基板や封止容器自体に放熱機能を持たせ、更に酸素吸収機能を兼ね合わせている直接封止材料を用いた有機EL素子はまだ見当たらない。
特開平10−275682号公報 特開2002−175877号公報 特開2004−47381号公報 特開2004−319136号公報 特開2004−186045号公報
上述のように、有機EL素子の寿命延長のための種々の工夫がなされているが、発光素子本体を長期間にわたって完全に外界から隔絶する、優れた材料、方法の開発が待たれていた。特に、可撓性を持たせた有機ELパネルにおいては、基板と封止用器の接着部分、可撓性を有するプラスチック基板、又は封止容器等からの酸素及び水分の侵入を防ぐことは困難であった。そこで、上述のように封止容器内に脱酸素剤や水分吸収剤を内蔵する有機EL素子が開発されているが、発光素子本体を長期間にわたって外界から隔離することができ、しかもフレキシブル化が可能な有機ELパネルの開発が望まれていた。
この発明は、このような従来からの課題を解決し、有機EL素子等の発光素子用の封止層、封止容器及び発光素子形成用の素材等として好適に使用可能な、発光素子用樹脂組成物、発光素子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段として、
請求項1は、
共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、前記共役ジエン重合体中の不飽和結合に対する前記共役ジエン重合体環化物中に存在する不飽和結合の減少率(環化率)が30%以上である共役ジエン重合体環化物と、脂環式オレフィン樹脂とを含有してなることを特徴とする発光素子用樹脂組成物であり、
請求項2は、
さらに、水分吸収性樹脂を含有する請求項1に記載の発光素子用樹脂組成物であり、
請求項3は、
前記水分吸収性樹脂が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸重合体、アクリルアミド樹脂、アセタール樹脂、ウレタン樹脂、及びセルロース樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項2記載の発光素子用樹脂組成物であり、
請求項4は、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子用樹脂組成物を含有する樹脂組成物層と、酸素透過率が0.01cc/cm・日以下であるガスバリアー層とを積層してなる発光素子用積層体であり、
請求項5は、
基板と、この基板の上に配置される発光層と、この発光層を覆蓋する、前記請求項4に記載の発光素子用積層体とを備えて成ることを特徴とする発光素子であり、
請求項6は、
前記発光素子用積層体が、前記基板及び発光層に密着して封止する封止層を形成して成る前記請求項5に記載の発光素子であり、
請求項7は、
前記発光素子用積層体が、前記発光層を密閉する封止容器を形成して成る前記請求項5又は6に記載の発光素子であり、
請求項8は、
基板と、この基板の上に配置される発光層と、この発光層を覆蓋する封止容器と、この封止容器内に配置された、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子用樹脂組成物とを有することを特徴とする発光素子であり、
請求項9は、
表面層と、接着樹脂層と、基板と、一対の電極を含む発光層と、請求項1〜3のいずれかに記載の発光素子用樹脂組成物を含有する樹脂組成物層と、酸素透過率が0.01cc/cm・日以下であるガスバリアー層とが、この順に積層され、
前記基板と前記発光層との外周縁部において前記接着樹脂層と前記樹脂組成物層とが貼り合わされて前記基板と前記発光層とが封止されて成り、
前記接着樹脂層は、極性基で変性された、共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、不飽和結合減少率が30%以上である共役ジエン重合体環化物、又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂を含んで成ることを特徴とする発光素子であり、
請求項10は、
前記表面層における前記接着樹脂層とは反対側の面に凹凸部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の発光素子であり、
請求項11は、
表面層と、接着樹脂層と、基板と、一対の電極を含む発光層と、請求項1〜3のいずれかに記載の発光素子用樹脂組成物を含有する樹脂組成物層と、酸素透過率が0.01cc/cm・日以下であるガスバリアー層とが、この順に積層された発光素子の製造方法であって、
前記基板上に前記発光層が設けられた第1の部材を準備する工程と、
前記表面層の一方の面に接着樹脂層が設けられた第2の部材を準備する工程と、
前記ガスバリアー層の一方の面に樹脂組成物層が設けられた第3の部材を準備する工程と、
前記第1の部材を収容した状態で、前記第1の部材の外周縁部において前記接着樹脂層と前記樹脂組成物層とを同時に貼り合わせるように、前記第2の部材と第3の部材とを当接させることにより、前記第1の部材を封止する工程と、
を備えることを特徴とする発光素子の製造方法である。
この発明の発光素子用樹脂組成物は、酸素及び水分を遮断する機能を有することにより、長寿命で劣化の少ない発光素子を実現することのできる保護材料として使用することができる。さらに、この発光素子用樹脂組成物を含有する層と特定の酸素透過率を有するガスバリアー層とを有する発光素子用積層体は、これを発光層を封止する封止層として、封止容器として、また封止容器内に配置される酸素・水吸収剤として使用することができ、この発光素子用積層体を使用する発光素子は長寿命を維持することができ、さらに、この発光素子を用いて、製造が簡単で、薄型で可撓性に優れた長寿命発光パネルを形成することができる。
前記発光素子は、表面層と接着樹脂層と基板と発光層と樹脂組成物層とが、この順に積層され、前記基板と前記発光層との外周縁部において前記接着樹脂層と前記樹脂組成物層とが貼り合わされて前記基板と前記発光層とが封止されて成り、樹脂組成物層と接着樹脂層とが同様の構造を有する組成物を含むので、樹脂組成物層と接着樹脂層とが密着して、その接着界面がほとんど消滅した状態となっている。その結果、この接着界面から酸素及び水分が内部に浸入するのが低減され、長寿命の発光素子を形成することができる。
また、この発明の発光素子の製造方法は、表面層と接着樹脂層と基板と発光層と樹脂組成物層とが、この順に積層され、前記樹脂組成物層と前記接着樹脂層とが同様の構造を有する組成物を含み、かつ、前記基板と前記発光層との外周縁部において前記接着樹脂層と前記樹脂組成物層とが同時に貼り合わされることにより前記基板と前記発光層とが封止される。したがって、前記接着樹脂層と前記樹脂組成物層とが密着して、その接着界面がほとんど消滅した状態となっているので、この接着界面から酸素及び水分が内部に浸入するのが低減される。さらに、熱残留応力の不均一性から発光層に歪が発生するのを防止することができることと相まって、信頼性の高い長寿命の発光素子を形成することができる。さらに、前記接着樹脂層と前記樹脂組成物層とが同時に貼り合わされるので、製造工程数を低減することができる。
1.発光素子用樹脂組成物
この発明に係る発光素子用樹脂組成物は、共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、前記共役ジエン重合体中の不飽和結合に対する前記共役ジエン重合体環化物中に存在する不飽和結合の減少率(不飽和結合減少率)が30%以上である共役ジエン重合体環化物と、脂環式オレフィン樹脂とを含有して成る。
1−1.共役ジエン重合体環化物
本発明に用いる共役ジエン重合体環化物は、共役ジエン重合体を、酸触媒の存在化に環化反応させて得られる。共役ジエン重合体としては、共役ジエン単量体の単独重合体及び共重合体並びに共役ジエン単量体とこれと共重合可能な単量体との共重合体を使用することができる。
共役ジエン単量体は、特に限定されず、その具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。
これらの単量体は、単独で使用しても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
共役ジエン単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン等の鎖状オレフィン単量体;シクロペンテン、2−ノルボルネン等の環状オレフィン単量体;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等の非共役ジエン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等のその他の(メタ)アクリル酸誘導体;等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリ・・・」の表現は、「アクリ・・・」及び「メタクリ・・・」の化合物または置換基を意味する。
これらの単量体は、単独で使用しても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
共役ジエン重合体の具体例としては、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体等の共役ジエンの単独重合体又は共重合体;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、イソプレン−イソブチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体、等の共役ジエンとこれと共重合可能な単量体との共重合体を挙げることができる。中でも、天然ゴム、ポリイソプレン、及びスチレン−イソプレンブロック共重合体が好ましく、ポリイソプレン及びスチレン−イソプレンブロック共重合体がより好ましい。
共役ジエンとこれと共重合可能な単量体との共重合体における共役ジエン単量体単位の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択されるが、通常、40モル%以上、好ましくは60モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。中でも、実質的に共役ジエン単量体単位のみからなるものが好ましい。共役ジエン単量体単位の含有量が少なすぎると、適切な範囲の不飽和結合減少率を得ることが困難になる恐れがある。
共役ジエン重合体環化物が芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の環化物である場合、環化物中の芳香族ビニル単量体単位含量は、特に限定されないが、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。この含量が少なすぎると、酸素吸収性樹脂組成物の初期の機械的強度が低下する傾向にあり、また、酸素吸収後の機械的強度の低下が大きくなる傾向にある。逆に、芳香族ビニル単量体単位含量が多すぎると、共役ジエン重合体環化物ブロックの割合が相対的に低下して、酸素吸収量が低下し又は酸素吸収速度が低下する傾向にある。
共役ジエン重合体の重合方法は常法に従えばよく、例えば、チタン等を触媒成分として含むチーグラー系重合触媒、アルキルリチウム重合触媒又はラジカル重合触媒等の適切な触媒を用いて、溶液重合又は乳化重合により行われる。
本発明で用いる共役ジエン重合体環化物は、前記の共役ジエン重合体を、酸触媒の存在下に環化反応させて得られる。
環化反応に用いる酸触媒としては、公知のものが使用できる。その具体例としては、硫酸;フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、炭素数2〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、これらの無水物及びアルキルエステル等の有機スルホン酸化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、エチルアンモニウムクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄等のルイス酸;等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。中でも、有機スルホン酸化合物が好ましく、p−トルエンスルホン酸やキシレンスルホン酸がより好ましい。
酸触媒の使用量は、共役ジエン重合体100重量部当たり、通常、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。
環化反応は、通常、共役ジエン重合体を炭化水素溶媒中に溶解して行なう。
炭化水素溶媒としては、環化反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素;等が挙げられる。これらの炭化水素溶媒の沸点は、70℃以上であることが好ましい。
共役ジエン重合体の重合反応に用いる溶媒と環化反応に用いる溶媒とは、同一種であってもよい。この場合は、重合反応が終了した重合反応液に環化反応用の酸触媒を添加して、重合反応に引き続いて環化反応を行なうことができる。
炭化水素溶媒の使用量は、共役ジエン重合体の固形分濃度が、通常、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%となる範囲である。
環化反応は、加圧、減圧及び大気圧のいずれの圧力下でも行なうことができるが、操作の簡便性の点から大気圧下で行なうことが望ましい。環化反応を、乾燥気流下、特に乾燥窒素や乾燥アルゴンの雰囲気下で行なうと水分によって引き起こされる副反応を抑えることができる。
環化反応における、反応温度や反応時間は、特に限定されない。反応温度は、通常、50〜150℃、好ましくは70〜110℃であり、反応時間は、通常、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間である。
環化反応を行った後、常法により、酸触媒を不活性化し、酸触媒残渣を除去し、次いで炭化水素系溶媒を除去して、固形状の共役ジエン重合体環化物を得ることができる。
本発明で用いる共役ジエン重合体環化物は、この発明の目的を阻害しない限り、変性されてなる共役ジエン重合体環化物(以下において、変性共役ジエン重合体環化物と略称することがある。)が未変性の共役ジエン重合体環化物よりも好ましい。変性共役ジエン重合体環化物の中でも極性基を含有するように変性されてなる極性基含有共役ジエン重合体環化物が好ましい。極性基が導入された変性共役ジエン重合体環化物は、これを含有する発光素子用樹脂組成物の被着物に対する接着性を発現させ、また、発光素子用樹脂組成物中に微粒子が含まれる場合には、その微粒子の分散性を向上させる効果がある。極性基を含有する変性共役ジエン重合体環化物は、その一種類が発光素子用樹脂組成物中に含まれていてもよく、また、極性基が異なる複数種類が発光素子用樹脂組成物中に含まれていてもよい。また、2種類以上の官能基を有する共役ジエン重合体環化物を用いてもよい。
極性基としては、特に限定されるものではなく、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、エステル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、及びハロゲンなどが挙げられる。
酸無水物基又はカルボキシル基としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸などのビニルカルボン酸化合物などが共役ジエン重合体環化物に付加した構造の基が挙げられ、なかでも、無水マレイン酸が共役ジエン重合体環化物に付加した構造の基が反応性、経済性の点で好ましい。
アミド基は、アミド基を含有する不飽和化合物を用いて共役ジエン重合体環化物にグラフト化することにより、アミド基を導入する方法;官能基を含有する不飽和化合物を用いて官能基を導入し、導入した官能基とアミド基を有する化合物を反応させる方法等により導入できる。アミド基を含有する不飽和化合物としては、アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミドなどが挙げられる。
水酸基としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、及び(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの不飽和酸のヒドロキシアルキルエステル類、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、及びN−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどのヒドロキシル基を有する不飽和酸アミド類、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)クリレートなどの不飽和酸のポリアルキレングリコールモノエステル類、並びにグリセロールモノ(メタ)アクリレートなどの不飽和酸の多価アルコールモノエステル類などが共役ジエン重合体環化物に付加した構造の基が挙げられ、これらの中でも、不飽和酸のヒドロキシアルキルエステル類が好ましく、特にアクリル酸2−ヒドロキシエチル、又はメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが共役ジエン重合体環化物に付加した構造の基が好ましい。
その他の極性基を含有するビニル化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
変性共役ジエン重合体環化物、特に極性基含有共役ジエン重合体環化物中の極性基の含有量は、特に制限されないが、通常、0.1〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%、より好ましくは1〜7モル%の範囲である。この含有量が少なすぎても多すぎても、酸素吸収機能が劣る傾向がある。なお、極性基の含有量は、変性共役ジエン重合体環化物の分子に結合している極性基の分子量相当量を1モルとしている。
変性共役ジエン重合体環化物を製造する方法としては、(1)上述の方法で得られた共役ジエン重合体環化物に極性基含有ビニル化合物を付加反応させる方法、(2)極性基を含有する共役ジエン重合体を、上述の方法で環化反応させて得る方法、(3)極性基を含有しない共役ジエン重合体に極性基を含有するビニル化合物を付加反応させた後、環化反応させて得る方法、及び(4)前記(2)又は(3)の方法で得たものにさらに極性基含有ビニル化合物を付加反応させる方法等が挙げられる。中でも、不飽和結合減少率をより調整しやすい点からは、前記(1)の方法が好ましい。
極性基含有ビニル化合物としては、共役ジエン重合体環化物に極性基を導入することができる化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、エステル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、及びハロゲンなどの極性基を有するビニル化合物が好ましく挙げられる。
酸無水物基又はカルボキシル基を有するビニル化合物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸などが挙げられ、なかでも、無水マレイン酸が反応性及び経済性の点で好ましく使用できる。水酸基を含有するビニル化合物としては、例えば、不飽和酸のヒドロキシアルキルエステル類が好ましく、特にアクリル酸2−ヒドロキシエチル、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましいビニル化合物として挙げられる。
共役ジエン重合体環化物に、極性基含有ビニル化合物を付加反応させて、この極性基含有ビニル化合物に由来する極性基を導入する方法は、特に限定されないが、一般にエン付加反応又はグラフト重合反応と呼ばれる公知の反応に従えばよい。この付加反応は、共役ジエン重合体環化物と極性基含有ビニル化合物とを、必要に応じて、ラジカル発生剤の存在下に、接触反応させることによって行われる。ラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、及びベンゾイルパーオキシドのようなパーオキシド類、並びにアゾビスイソブチロニトリルのようなアゾニトリル類などが挙げられる。
付加反応は、固相状態で行なっても、溶液状態で行なってもよいが、反応制御がし易い点で、溶液状態で行なうことが好ましい。使用される反応溶媒としては、例えば、前述したような環化反応における不活性溶媒と同様の種類の溶媒が挙げられる。極性基含有ビニル化合物の使用量は、反応条件によっても変化するが、導入された極性基の含有量が、前記した好ましい範囲になるよう適宜選択される。
極性基を導入する反応は、加圧、減圧又は大気圧いずれの圧力下でも行うことができるが、操作の簡便性の点から大気圧下で行うことが望ましく、なかでも乾燥気流下、とくに乾燥窒素や乾燥アルゴンの雰囲気下で行なうと水分由来の副反応を抑えることができる。また、反応温度及び反応時間等は常法に従えばよく、反応温度は、通常、30〜250℃、好ましくは60〜200℃であり、反応時間は、通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。
共役ジエン重合体環化物は、100%環化したものを除けば、少なくとも共役ジエン本来の直鎖状不飽和結合と環化した部分の環状不飽和結合との2種類の不飽和結合を有している。共役ジエン重合体環化物は、環状不飽和結合部分が酸素吸収に大きく寄与し、直鎖状不飽和結合部分はほとんど酸素吸収に寄与しないと考えられる。そのため、共役ジエン重合体中の不飽和結合に対する前記共役ジエン重合体環化物中に存在する不飽和結合の減少率(不飽和結合減少率)が30%以上の共役ジエン重合体環化物が、本発明の発光素子における酸素吸収部材の素材として必須である。共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率は、好ましくは40〜75%、より好ましくは55〜70%である。不飽和結合減少率が低すぎると、酸素吸収性が劣化する傾向がある。共役ジエン重合体環化物は、不飽和結合減少率を上記好ましい範囲の上限以下とすることで、共役ジエン重合体環化物が脆くなることを防ぎ、製造を容易にすると共に、製造時にゲル化の進行を抑え、透明性が向上し多くの用途に使用できる。また、不飽和結合減少率が50%を超えると、接着性が発現するので、この性質を活用することもできる。
ここで不飽和結合減少率は、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部位において、不飽和結合が環化反応によって減少した程度を表す指標であり、以下のようにして求められる数値である。すなわち、プロトンNMR(H−NMR)分析により、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部分において、全プロトンのピーク面積に対する二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積の比率を、環化反応前後について、それぞれ求め、その減少率を計算する。
いま、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部位において、環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT,二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBU,環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT,二重結合に直接結合したプロトンピークのピーク面積をSAUとすると環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、SB=SBU/SBTとして、環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、SA=SAU/SATとして表される。従って、不飽和結合減少率は、
不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SB
として求められる。
共役ジエン重合体環化物の重量平均分子量は、5,000〜2,000,000、好ましくは10,000〜1,000,000、より好ましくは20,000〜500,000が望ましい。この重量平均分子量が低すぎると、共役ジエン重合体環化物の酸素吸収量が低下する傾向にあり、高すぎると、共役ジエン重合体環化物の製造時や使用時に流動性及び可塑性等が小さくなり、取り扱い難くなる傾向がある。なお、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いて測定される、標準ポリスチレン換算の値である。
共役ジエン重合体環化物のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択出来るが、通常、0〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは30〜180℃、特に好ましくは40〜150℃の範囲である。共役ジエン重合体環化物のガラス転移温度が、これらの範囲を外れる場合は、共役ジエン重合体環化物の成形性、部材の強度、及び他の部材との接着性並びに取り扱い性に問題が生じる場合がある。共役ジエン重合体環化物のガラス転移温度は、原料として用いる単量体及び共役ジエン重合体環化物の分子量等、並びに不飽和結合減少率等を適宜選択して調節することができる。
本発明に用いる共役ジエン重合体環化物の酸素吸収量は、5ml/g以上、好ましくは10ml/g以上,より好ましくは50ml/g以上である。酸素吸収量とは、23℃において、共役ジエン重合体環化物を粉末または薄膜として十分に酸素を吸収させて飽和状態になったときの共役ジエン重合体環化物1gの吸収した酸素量である。酸素吸収量が少ないと、長期間安定して酸素を吸収させるためには、大量の共役ジエン重合体環化物が必要となる。酸素吸収量はおもに共役ジエン重合体環化物中の不飽和結合減少率と相関がある。
本発明においては、用いる共役ジエン重合体環化物は、表面からの酸素吸収速度が1.0ml/m・日以上、好ましくは5.0ml/m・日以上、さらに好ましくは10ml/m・日以上である。共役ジエン重合体環化物に大きな酸素吸収能力があったとしても、酸素吸収速度が遅すぎると外部から侵入してくる酸素を十分に吸収できず透過させてしまうことがある。また、発光素子の封止容器として使用した際、何らかの理由で封止空間内に存在、または侵入してきた酸素は、速やかに共役ジエン重合体環化物層により吸収除去されねばならない。このような観点からも上述の酸素吸収速度を持つものが望ましい。
酸素吸収量および酸素吸収速度の測定は、以下のように行う。
共役ジエン重合体環化物等の試料を、窒素雰囲気下で、100℃で圧縮成形後、延伸して、厚みが10μmのフィルム状とする。そして、これを100mm×100mmの寸法に裁断して酸素吸収用試料とする。この酸素吸収用試料を、150mm×220mmの寸法のポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)/アルミニウム箔(Al)/ポリエチレンフィルム(PE)の3層フィルムからなる酸素非透過性の袋に、200ミリリットルの空気と共に密封する。これを、測定したい温度で放置し、24時間毎に袋内の酸素濃度を酸素濃度計で測定し、酸素濃度が減少しなくなった時の酸素減少量から酸素吸収量を計算する。また、酸素吸収速度は測定開始後24時間の酸素吸収量で表す。なお、酸素濃度計は、市販の酸素濃度計を用いればよい。酸素吸収速度は、特に測定温度を表示していない場合は、23℃での測定値をいう。
前記共役ジエン重合体環化物の発光素子用樹脂組成物中の含有量は、通常の場合、5〜90重量%であり、好ましくは15〜70重量%である。この共役ジエン重合体環化物の含有量が前記下限値を下回ると、常温(25℃)における酸素吸収力及び密着力が低下するといった不都合を生じることがあり、また前記上限値を超えると機械的強度が低下するといった不都合を生じることがある。
1−2.脂環式オレフィン樹脂
この発明に用いる脂環式オレフィン樹脂とは、主鎖及び/または側鎖にシクロアルカン構造やシクロアルケン構造などの脂環式構造を有する非晶性の樹脂である。機械的強度や耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好適である。また、脂環式構造としては、単環、多環(縮合多環、橋架け環など)が挙げられる。脂環式構造の中では、シクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造の一単位を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形性の諸特性が高度にバランスされ好適である。
前記脂環式オレフィン樹脂の具体例としては、(1)ノルボルネン重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、光学特性、耐熱性、及び機械的強度の観点から、ノルボルネン重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体が好ましい。また、脂環式オレフィン樹脂として極性基を有する脂環式オレフィン樹脂を用いると、光線透過率を損なうことなく無機物との親和性を向上させ得ることができる。
(1)ノルボルネン重合体
この発明に用いるノルボルネン重合体としては、ノルボルネンモノマーの開環重合体、ノルボルネンモノマーとこれを開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、これらの水素化物、ノルボルネンモノマーの付加重合体、ノルボルネンモノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。ノルボルネンモノマーとしては、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ〔4.3.12,5.01,6〕−デカ−3,7−ジエン、テトラシクロ〔7.4.110,13.01,9.02,7〕−トリデカ−2,4,6,11−テトラエン、テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−エン及びこれらの環に置換基を有する誘導体などが挙げられる。環に存在する置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、及びアルコキシカルボニル基などが例示でき、上記ノルボルネンモノマーはこれらを2種以上有してもよい。これらのノルボルネンモノマーはそれぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。ノルボルネンモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、及びシクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。これらのノルボルネンモノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネンモノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加共重合体中のノルボルネンモノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。ノルボルネンモノマーと付加共重合可能なその他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜12のα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類;1,3−ブタジエン、イソプレン等の鎖状共役ジエン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類などが挙げられる。
(2)単環の環状オレフィン重合体
単環の環状オレフィン重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、及びシクロオクテンなどの単環環状オレフィン単量体の付加重合体を用いることができる。
(3)環状共役ジエン重合体
環状共役ジエン重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、及びシクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン単量体を1,2−又は1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などを用いることができる。
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、及びビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物、スチレン、及びα−メチルスチレンなどを初めとするビニル芳香族単量体を重合してなる重合体の、芳香族環部分の水素化物、が挙げられ、ビニル脂環式炭化水素単量体及びビニル芳香族単量体等と、これら単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体の水素化物などが挙げられる。
極性基を有する脂環式オレフィン樹脂における、極性基の種類としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及びケイ素原子を含む極性基、並びにハロゲン原子が挙げられるが、無機化合物との分散性及び他の樹脂との相溶性等の観点から、酸素原子及び窒素原子等を含む極性基が好ましい。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、及びスルホン基などが挙げられる。
この発明における脂環式オレフィン樹脂はまた、結合解離エネルギーが3.70eVを超え且つ4.20eV以下、好ましくは3.70eVを超え且つ4.17eV以下のC−H結合を有することが、好ましい。
前記脂環式オレフィン樹脂が、前記結合解離エネルギーが前記範囲内にあるC−H結合を有していると、この発明に係る発光素子用樹脂組成物が、室温での酸素吸収速度及び酸素吸収量に特に優れ、また、酸素吸収時に分解ガス成分を発生させない。その理由は、本発明を限定するものではないが、以下のように考えられる。
結合解離エネルギーが3.70eV以下のC−H結合を有する樹脂は、一般に、熱や光により、容易に>C・ラジカルを発生する。このとき、発光素子用樹脂組成物が酸素と出会うと、この>C・ラジカルが酸素と直ちに反応して、>COO・ラジカルを容易に生成する。発光素子用樹脂組成物中に結合解離エネルギーが低いラジカル受容体が存在すると、このラジカル受容体から水素が引き抜かれ、>COOHを生成し、これが分解して>CO・ラジカルやHO・ラジカルを生成して、発光素子用樹脂組成物全体が自動酸化に進み、この結果、酸素がラジカルにより消費されていき、その結果、酸素吸収が進む。この場合において、ラジカル受容体が脂環構造を有していると、水素を引き抜かれても分子全体の分解に到らず、結果として分解ガス成分の発生量が低くなる。即ち、この発明に係る発光素子用樹脂組成物は、ラジカル受容体である結合解離エネルギーが3.70eVを超え且つ4.20eV以下のC−H結合を有する脂環式オレフィン樹脂が存在すると、発光素子用樹脂組成物中の他の成分が酸素吸収反応を開始し、この酸素吸収反応が脂環式オレフィン樹脂による酸素吸収反応を引き起こし、酸素吸収が進行する。この脂環式オレフィン樹脂が脂環構造を有しているので、酸素吸収(結合解離)によっても、分解されることが少なく、この結果、分解ガス成分も減少する。また、このように脂環式オレフィン樹脂の含有量が大きいと、その酸素吸収による分解が少ないので、酸素吸収前後のいずれにおいても、機械的強度に優れた発光素子用樹脂組成物を得ることができる。
この発明に用いる脂環式オレフィン樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、トルエン又はシクロヘキサン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン(溶媒としてシクロヘキサンを使用した場合は標準ポリイソプレン)換算値で、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、より好ましくは20,000〜100,000の範囲である。重量平均分子量が過度に小さいと、この脂環式オレフィン樹脂と共役ジエン重合体環化物とを含有する発光素子用樹脂組成物の物理的強度が劣り、逆に過度に大きいと成形し難くなる場合がある。
この発明においては、これらの脂環式オレフィン樹脂の中でも、ノルボルネン重合体が好ましく、ノルボルネンモノマーとα−オレフィン類との付加共重合体がより好ましく、ノルボルネンモノマーとエチレンとの付加共重合体が特に好ましい。
前記脂環式オレフィン樹脂の発光素子用樹脂組成物中の含有量は、通常の場合、10〜80重量%であり、好ましくは15〜70重量%である。この脂環式オレフィン樹脂の含有量が前記下限値を下回ると機械的強度が低下するといった不都合を生じることがあり、また前記上限値を超えると常温(25℃)における酸素吸収力が低下するといった不都合を生じることがある。
1−3.その他の成分
この発明にかかる発光素子用樹脂組成物は、この発明の目的を阻害しない限り、水分吸収性樹脂、無機乾燥剤、放熱性微粉体、各種添加剤等を、含有していても良い。
1−3−1.水分吸収性樹脂
この水分吸収性樹脂が、この発光素子用樹脂組成物に含有されていると、外部から侵入する水分及び製造工程で素子表面及び素子内部に残留した微量の水分を、樹脂組成物全体に拡散して吸収することで素子の寿命を延ばすという作用効果が発揮される。
前記水分吸収性樹脂としては、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸重合体、アクリルアミド樹脂、アセタール樹脂、ウレタン樹脂、及びセルロース樹脂を挙げることができる。これらの重合体乃至樹脂はいずれも水分子を水素結合をする官能基を有するので水を吸収する水分吸収樹脂の機能を有する。そのため、本発明の実施態様において、同様の使用方法により使用でき、同様の効果を得られることが期待できる。
前記水分吸収性樹脂の発光素子用樹脂組成物中の含有量は、通常の場合、20〜50重量%であり、好ましくは30〜40重量%である。この水分吸収性樹脂の含有量が前記下限値を下回ると水分の吸収能力が低下し、発光素子の寿命が低下するといった不都合を生じることがあり、また前記上限値を超えると酸素吸収力が低下したり、樹脂組成物をシート状又はフィルム状に成形した場合に機械的強度が低下したりするといった不都合を生じることがある。
1−3−2.無機乾燥剤
この発明に係る発光素子用樹脂組成物には、数平均粒子径100μm以下の無機乾燥剤を分散させることが好ましい。無機乾燥剤が発光素子用樹脂組成物に含まれていると、その発光素子用樹脂組成物は水分を吸収して遮断することができる。
無機乾燥剤としては、水分を吸収する性質を有するものであれば特に制限されず、例えば酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム等アルカリ土類金属酸化物、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩、水素化カルシウム、水素化ストロンチウム等のアルカリ土類金属水素化物塩、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属等の水分反応性無機化合物、シリカゲル、アルミナ、各種ゼオライトなどの水分吸着型乾燥剤が使用できる。この中で水分反応性に優れ、市販品で粒子径の種類が豊富な酸化カルシウムが好ましい。分散方法として特に限定されるものではないが、二軸混練法、マスターバッチ混練などの混練法を採用することができ、また、トルエン等の溶剤中で樹脂成分と無機乾燥剤とを混合する方法を採用することもできる。
前記無機乾燥剤の発光素子用樹脂組成物中の含有量は、通常の場合、2〜50重量%であり、好ましくは5〜10重量%である。この無機乾燥剤の含有量が前記下限値を下回ると水分の吸収能力が低下し、素子寿命が低下するといった不都合を生じることがあり、また前記上限値を超えると組成物をシート状又はフィルム状とした場合での機械的強度が低下するといった不都合を生じることがある。
1−3−3.放熱性微粉体
この発明に係る発光素子用樹脂組成物には数平均粒子径100μm以下の放熱性微粉体を分散させることが好ましい。放熱性微粉体としては、放熱特性を有するものであれば特に制限されず、例えば、アルミニウム、鉄、銅、銀、金などの熱伝導率の大きな金属粉;ガラス粉、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。これら各種の放熱性微粉体の中でも、アルミニウム、銅、鉄の金属粉や、カーボンナノチューブが好ましい。
1−3−4.各種添加剤
この発明に用いる共役ジエン重合体環化物には、この発明の効果を本質的に損なわない限り、各種の添加剤、例えば酸化防止剤、酸素吸収性を高める作用を有する触媒、光開始剤、熱安定剤、接着剤材料、補強剤、充填剤、難燃剤、着色剤、可塑剤、紫外線吸収剤、滑剤、乾燥剤、脱臭剤、帯電防止剤、粘着防止剤、防曇剤、表面処理剤などの添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、従来から知られている各種の物質及び市販品の中から、目的に応じて、適宜選択し、適量配合することもできる。添加剤の配合方法は、特に制限されず、溶融混練したり、溶液状態で混合することにより行なうことができる。
共役ジエン重合体環化物に含まれているところの、イソプレン由来の二重結合であって環化せずにそのまま残った二重結合は、化学構造的に酸化劣化しやすい傾向があるため、不飽和結合率の低い共役ジエン重合体環化物には酸化防止剤を添加することが有効である。酸化防止剤としては、接着剤、樹脂材料又はゴム材料の分野において通常使用されるものであれば特に制限されない。
具体的には、フェノール系酸化防止剤やホスファイト系酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤は、単独でも、2種以上組み合わせて使用してもよい。酸化防止剤の含有量は、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、特に好ましくは300ppm以下である。この含有量が多すぎると、酸素吸収性を低下させる傾向が現れる。酸化防止剤の含有量の下限値は、好ましくは10ppm、より好ましくは20ppmである。酸化防止剤を含有しない環化イソプレンは、高温で劣化したり、酸素を吸収した後で機械的強度が低下したりする場合がある。
酸素吸収性を高める作用を有する前記触媒としては、遷移金属塩がその典型例として挙げられる。この発明における発光素子用樹脂組成物は、このような遷移金属塩を含有していなくても、十分な酸素吸収性を呈するが、遷移金属塩を含有させることにより、さらに酸素吸収性が向上する。ただし、この発明に使用する場合は金属成分の添加は透明性その他の使用目的に悪影響を与えないような配慮が必要である。このような遷移金属塩としては、例えば、オレイン酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト(II)、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルト(II)、ネオデカン酸コバルト(II)などが好ましく、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルト(II)、ネオデカン酸コバルト(II)がより好ましくい。前記遷移金属塩の配合量は、通常、酸化吸収剤全量の10〜10,000ppm、好ましくは20〜5,000ppm、より好ましくは50〜5,000ppmである。
前記光開始剤は、共役ジエン重合体環化物にエネルギー線を照射した際に、酸素吸収反応の開始を促進する作用を有するものである。光開始剤としては、特表2003−504042号公報に例示されたものが挙げられる。光開始剤を配合する場合の配合量は、通常、環化ポリイソプレン全量の0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。
1−4.発光素子用樹脂組成物の調製法
この発明に係る発光素子用樹脂組成物は、前記共役ジエン重合体環化物と脂環式オレフィン樹脂と、必要に応じて添加されるその他の成分とを混合乃至混練することにより調製されることができる。混合乃至混練には、例えば前記共役ジエン重合体環化物と脂環式オレフィン樹脂と、必要に応じて添加されるその他の成分とを押し出し機で溶融混練する混練方法等の樹脂混練の技術分野において通常に採用される方法を、採用することができる。前記押出し機としては一軸押出し機、二軸押出し機、バンバリーミキサー等の混練機を上げることができる。
2.発光素子用積層体
この発明に係る発光素子用積層体は、前記発光素子用樹脂組成物を含有する層(この層を樹脂組成物層と称する。)と、酸素透過率が0.01cc/cm・日以下であるガスバリアー層とを積層して成る。
2−1.樹脂組成物層
この樹脂組成物層は、発光素子用積層体を用いて形成される構造体の構造に応じてガスバリアー層を透過してくる外部からの酸素を吸収することができる。
この樹脂組成物層の厚みは、発光素子用積層体の用途及びその用途に向けて形成される構造によって適宜に決定され、例えば0.05〜10mmに調整されることができる。
この樹脂組成物層は、発光素子用積層体を用いて形成される構造体の構造に応じて様々の加工機器により形成されることができ、例えば、押出し機に結合されたT−ダイ、サーキュラーダイ等を通して層状、フィルム状、シート状、板状等の形態を取り得る。
2−2.ガスバリアー層
このガスバリアー層は、外部に存在する酸素が透過するのを阻止する層である。このガスバリアー層は、前記酸素透過率を実現することのできる、金属、無機材料及び樹脂等の各種素材を用いて形成することができる。ガスバリアー層の形成に用いることのできる金属としては、アルミニウム等を好適例として挙げることができ、前記無機材料としては、ケイ素及びアルミニウム等の金属の酸化物すなわち金属酸化物等を挙げることができる。前記樹脂は、ガスバリアー性という点においては前記金属及び無機材料には及ばないけれど、機械的性質、熱的性質、耐薬品性、光学的性質、並びに製造方法において多用な選択肢があり、これらの利点からガスバリアー層の材料として好ましく使用されることができる。
この発明におけるガスバリアー層に使用される樹脂は特に限定されず、良好なガスバリアー性を有する樹脂であればいずれも使用することができるが、塩素を含まない樹脂が、その焼却処分時に有害ガスを発生することがないので、好ましい。
ガスバリアー層として用いられる樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、MXDナイロン(ポリメタキシリレンアジパミド)、及びこれらの共重合体等のポリアミド樹脂;ポリアラミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリアセタール樹脂;フッ素樹脂;ポリエーテル系、アジペートエステル系、カプロラクトンエステル系、ポリ炭酸エステル系等の熱可塑性ポリウレタン;ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリアクリロニトリル;α−オレフィンと酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等との共重合体、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体;ポリエチレンやポリプロピレン等のα−オレフィン(共)重合体をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリα−オレフィン樹脂;エチレンとメタクリル酸との共重合体等にNaイオンやZnイオンを作用させたアイオノマー樹脂;脂環式オレフィン樹脂;これらの混合物;等を挙げることができる。
これらの樹脂は、ガスバリアー性、強度や靭性や剛性等の機械的特性、耐熱性、印刷性、透明性、接着性等、所望の要求特性を満たすことができるように、目的に応じて適宜に選択することができる。これらの樹脂は、一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を用いることもできる。
ガスバリアー層には、必要に応じて、耐熱安定剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;着色剤;顔料;中和剤;フタル酸エステル、グリコールエステル等の可塑剤;充填剤;界面活性剤;レベリング剤;光安定剤;アルカリ土類金属酸化物等の脱水剤;活性炭やゼオライト等の脱臭剤;粘着性付与剤(ひまし油誘導体、ソルビタン高級脂肪酸エステル、低分子量ポリブテン);ポットライフ延長剤(アセチルアセトン、メタノール、オルト酢酸メチル等);ハジキ改良剤;他の樹脂(ポリα−オレフィン等);ブロッキング防止剤;防曇剤;耐候性安定剤;滑剤;帯電防止剤;補強剤;難燃剤;カップリング剤;発泡剤;離型剤等配合することができる。
前記ガスバリアー層は、酸素を不透過とする機能を有する限り様々の形態を取ることができ、酸素透過率の低い、例えば酸素透過率が0.01cc/cm・日以下であるとともに金属で薄膜状に形成されて成る金属薄膜層、酸素透過率の多寡に拘わらない基材層とこの基材層の表面に金属を例えば蒸着により形成して成る金属蒸着基材層、セラミック例えばガラスで形成されたセラミック薄膜層等を挙げることができる。
ガスバリアー層の酸素透過率は、0.01cc/cm・日以下、好ましくは0.001cc/cm・日以下である。前記酸素透過率は、酸素透過速度測定装置(例えば、MOCON社製、「OXYTRAN」)により、温度25℃、湿度75%RHの雰囲気下で測定することにより算出することができる。
また、このガスバリアー層の厚みは、発光素子用積層体の用途及びその用途に向けて形成される構造によって適宜に決定され、例えば0.01〜5mmに調整されることができる。
このガスバリアー層には、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で表刷り印刷あるいは裏刷り印刷等を施すことができる。
2−3.積層構造
この発明に係る発光素子用積層体は、前記樹脂組成物層と、酸素透過率が0.01cc/cm・日以下であるガスバリアー層とを積層して成る限り、前記樹脂組成物層と前記ガスバリアー層との間に、また前記樹脂組成物層の前記ガスバリアー層とは反対側の表面に、また、前記ガスバリアー層の前記樹脂組成物層とは反対側の層に、別の機能を有する他の層が積層されていてもよい。
他の層として、密封剤層を積層形成することができる。密封剤層を発光素子用積層体における最外層として発光素子用積層体に含まれていると、その発光素子用積層体を発光層を被覆乃至覆蓋する封止層、封止部材又は覆蓋部材として使用する場合に、発光素子における基板にこの発光素子用積層体を簡単にヒートシールすることができ、この発光素子用積層体である覆蓋部材により発光素子の存在する空間と外部空間とを遮断してなる発光素子が形成されることができる。
3. 発光素子
この発明に係る発光素子は、基板と、この基板の上に配置される発光層と、この発光層を覆蓋するこの発明に係る発光素子用積層体とを備えてなる。
3−1. 基板
基板は、発光層及び発光素子用積層体を搭載することができる限り、この発光素子を設置する機器における発光素子周辺の状況に応じて適宜の素材により、適宜の形状に形成されることができる。
発光層から発せられる光をこの基板を通過させる必要のある発光素子、例えば前記基板が発光面であるような発光素子にあっては、この基板は透明であることが必要になる。
透明な基板としては、ガラス等の無機材料に限られず、例えば、脂環式オレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリメチル(メタ)アクリレート等の透明な合成樹脂で形成された板状体、フィルム、シート等を挙げることができる。
透明な発光層は、異なる材質又は同じ材質で形成された複数層からなる積層構造を有していても良い。
発光層から発せられる光をこの基板に反射させることにより前記発光素子用積層体から前記光を出射させる発光素子における基板としては、前記した透明な基板を採用するときにはその透明な基板に反射層を設けることが望ましい。この反射層としては、基板の前記発光素子の形成される表面とは反対側の面に金属層、金属蒸着層、金属フィルム、金属シート等を挙げることができる。この反射層としては、発光素子から出射する光を反射することができる限り、1枚の基板の表面に、又は積層構造を有する基板の最外層表面若しくは層と層との間に形成されることができる。
3−2. 発光層
発光層は、電気的エネルギーにより発光する層であり、通常の場合、陽極、正孔輸送層、発光化合物含有層、電子輸送層、及び陰極を有する積層体を例示することができる。
陽極は、正孔輸送層へ正孔注入する機能を有する。陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより形成されることができるまた、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などで陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液中に分散させて、前記基板上に塗布することにより形成することもできる。さらに、導電性高分子で陽極を形成する場合には、電解重合により前記基板上に直接重合薄膜を形成し、又は基板上に導電性高分子を塗布して形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、所望により金属で形成して基板を兼ねてもよい。
正孔輸送層は、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送する層である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、発光化合物含有層に接するために発光化合物含有層から発する光を消光し、又は発光化合物含有層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させないことが望ましい。上記の一般的要求以外に、車載表示用の発光素子を考慮すると、発光素子にはさらに耐熱性が要求されるので、85℃以上のガラス転移点(Tg)を有する材料が望ましい。
このような正孔輸送材料としては、例えば、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4′,4′−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2′,7,7′−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9′−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、複数種混合して用いてもよい。
上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。
正孔輸送層は、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常の塗布法や、インクジェット法、スクリーン印刷法など各種印刷法等の湿式成膜法や、真空蒸着法などの乾式成膜法で形成することができる。
塗布法の場合は、正孔輸送材料を1種又は2種以上を、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を添加し、適当な溶剤に溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極上に塗布し、乾燥して正孔輸送層を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向かい合って置かれた、陽極が形成された基板上に正孔輸送層を形成させる。
正孔輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。この様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
発光化合物含有層は、電界を与えられた電極間において、陽極から注入されて正孔輸送層を移動する正孔と、陰極から注入されて正孔阻止層を移動する電子との再結合により励起されて強い発光を示す化合物より形成される。
発光化合物含有層に用いられる発光化合物としては、安定な薄膜形状を有し、固体状態で高い発光(蛍光又は燐光)量子収率を示し、正孔及び/又は電子を効率よく輸送することができる化合物を挙げることができる。さらに、好適な発光化合物としては、電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物を挙げることができる。
発光素子の発光効率を向上させるとともに発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザー用蛍光色素をドープすること(J.Appl.Phys.,65巻,3610頁,1989年)等が行われており、この発明の発光素子における発光化合物含有層に対しても、蛍光色素をドープすることは好ましい。
ドープ用材料としては、クマリン以外にも各種の蛍光色素が使用できる。青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン及びそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
上記のドープ用蛍光色素以外にも、ホスト材料に応じて、レーザー研究,8巻,694頁,803頁,958頁(1980年);同9巻,85頁(1981年)、に列挙されている蛍光色素などが発光化合物含有層用のドープ材料として使用することができる。
ホスト材料に対して上記蛍光色素がドープされる量は、10−3重量%以上が好ましく、0.1重量%がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。下限値を下回ると、素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を越えると濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
一方、燐光発光を示す発光化合物含有層は、通常、燐光性ドーパントとホスト材料を含んで形成される。燐光性ドーパントとしては、例えば周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられ、このような金属錯体のT1(最低励起三重項準位)より高いT1を有する電荷輸送性有機化合物をホスト材料として使用することが好ましい。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、及び金が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは特開2006−203227号公報に記載の化合物が挙げられる。
発光化合物含有層中にドーパントとして含有される有機金属錯体の量は、0.1重量%以上が好ましく、また30重量%以下が好ましい。下限値を下回ると素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を上回ると有機金属錯体同士が2量体を形成する等の理由で濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
燐光発光をする発光化合物含有層における燐光性ドーパントの量は、従来の蛍光(1重項)を用いた素子において、発光化合物含有層に含有される蛍光性色素(ドーパント)の量より、若干多い方が好ましい傾向がある。また燐光性ドーパントと共に蛍光色素が発光化合物含有層中に含有される場合、該蛍光色素の量は、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
発光化合物含有層の膜厚は、通常3nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
なお、発光化合物含有層は、この発明の性能を損なわない範囲で上記以外の成分を含んでいてもよい。
上記以外の成分として発光化合物含有層に含有されていても良い成分として、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体(特開平6−322362号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−222484号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの金属錯体(特開平8−315983号公報)、シロール誘導体、等の蛍光発光を生じる化合物、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体(WO00/70655号公報)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(USP6,303,238号公報)、2,2’,2’'−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール](Appl.Phys.Lett.,78巻,1622項, 2001)、ポリビニルカルバゾール(特開2001−257076号公報)等の燐光発光を生じる化合物などを含有していても良い。
発光性化合物含有層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができる。上述の蛍光色素及び/又は燐光色素(燐光性ドーパント)を発光性化合物含有層のホスト材料にドープする方法を以下に説明する。
塗布の場合は、前記発光性化合物と、ドープ用色素、さらに必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整し、スピンコート法などの方法により正孔輸送層上に塗布し、乾燥して発光性化合物含有層を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔/電子移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、前記ホスト材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、ドープする色素を別のるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで1.0×10−4Torr程度にまで排気した後、各々のるつぼを同時に加熱して蒸発させ、るつぼと向かい合って置かれた基板上に層を形成する。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のるつぼを用いて蒸発させてもよい。
上記各ドーパントが発光物質含有層中にドープされる場合、発光物質含有層の膜厚方向において均一にドープされるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば、正孔輸送層との界面近傍にのみドープしたり、逆に、正孔阻止層界面近傍にドープしてもよい。発光物質含有層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
電子輸送層は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光化合物含有層に輸送することができる化合物を用いて形成される。このような化合物としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−又は5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第 5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N′−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。電子輸送層は、正孔輸送層と同様にして塗布法あるいは真空蒸着法により正孔阻止層6上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
陰極は、発光化合物含有層に電子を注入する役割を果たす。陰極として用いられる材料は、前記陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。さらに、陰極と発光化合物含有層又は電子輸送層の界面にLiF、MgF、LiO等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、発光素子の発光効率を向上させる有効な方法である(特開平10−74586号公報)。陰極の膜厚は通常、陽極と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは発光素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
3−3. 発光素子用積層体の形態
この発明に係る発光素子の構成要素となる発光素子用積層体は、この発明に係る発光素子用積層体で形成されることができる。
発光素子における発光素子用積層体は、発光層に密着してこれを封止する封止層、発光層を密封する封止容器、発光素子用積層体とは異なる材料で形成されるとともに発光層を覆蓋する封止容器内に配置される酸素吸収剤等として、使用される。
3−3−1 封止層
この封止層は、発光層の表面に密着してこの発光層を封止する層であり、この封止層によって発光層に酸素が移行するのを阻止することができる。
封止層は、発光層の表面に密着してこれを封止することができる限り種々の形態を取り得る。たとえば、図1に示されるように、基板1の表面に配置された発光層2の表面に密着するとともに、発光層2を埋め込んだ状態にしてなる封止層3を有する発光素子4を挙げることができる。基板1及び発光層2については既に説明したとおりである。
発光層2に反射層が形成され、封止層3が透明であると、発光層2から発する光は封止層から出射するので、この発光素子4は面状発光体として機能することができる。基板1が透明であり、前記発光素子用積層体から成る封止層3の外表面に反射層が形成されていると、この基板1から発光層2の光を出射させることができる。
発光素子用積層体が封止層として使用される場合における、発光素子の他の形態として、例えば、図2に示されるように、基板1と発光層2とにより形成される発光素子本体9の基板1側の表面に、基板側層10が設けられ、発光素子本体9が、封止層3と基板側層10とに埋設されてなる発光素子4を挙げることができる。このとき、発光素子本体9の外周縁部において前記封止層3と前記基板側層10とが接着されている。図2に示す例においては、基板側層10は、(A)接着樹脂層11と(B)表面層12と(C)凹凸部13とにより形成されており、基板1側からこの順に積層されている。封止層3は、ガスバリアー層14と樹脂組成物層15とにより構成されており、この樹脂組成物層15と接着樹脂層11とが、発光素子本体9の外周縁部において接着されている。樹脂組成物層15と接着樹脂層11とは後述する通り、同様の構造を有する組成物を含有しているので、樹脂組成物層15と接着樹脂層11とが密着して、その接着界面16が消滅した状態になり、この接着界面16から内部へと酸素及び水分が浸入するのを防止することができる。
基板側層10は、基板1に対面する位置に接着樹脂層11を有する限り、種々の機能を有する層及び/又は部材により形成されることができる。基板側層を発光層2から発する光を効率よく取り出す機能を有する光取出し層とする場合には、例えば、図2に示すように、表面層12と、この表面層12の一方の面に形成されている凹凸部13と、表面層12の他方の面に形成されている接着樹脂層11とを備えて成る構成とすることができる。以下においては、基板側層を光取出し機能を有する光取出し層とした場合について説明する。
基板側層を光取出し層とした場合の基板側層の厚みは、40〜600μm、好ましくは60〜300μm、より好ましくは80〜200μmである。基板側層は薄くなるほど光線透過率は高くなるが、強度や透湿性が低下するので上記範囲にすることが好ましい。
(A) 接着樹脂層
接着樹脂層は、表面層の凹凸部が設けられている面とは反対側の面に形成されている。
接着樹脂層は、極性基で変性された、共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、前記共役ジエン重合体中の不飽和結合に対する前記共役ジエン重合体環化物中に存在する不飽和結合の減少率が30%以上である共役ジエン重合体環化物、又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂からなる。この極性基は、酸無水物基及び/又はエポキシ基からなることが望ましい。
接着樹脂層の屈折率は、1.50〜1.58、好ましくは1.51〜1.54であることが望ましい。また、接着樹脂層の厚みは、0.1μm〜50μm、好ましくは2〜15μm、さらに好ましくは3〜8μmであることが望ましい。そして、接着樹脂層は、表面層の凹凸部が形成された面と反対側の面にプレコートされている。
接着樹脂層の厚みは、以下の方法により測定する。まず、表面層の厚みを、膜厚測定器(例えば、TOYO SEIKI社製、THICKNESS meter B−1)を用いて、任意の5点を測定し、その平均値を求める。次に、接着樹脂層を塗工・乾燥後の積層フィルム(表面層+接着樹脂層)の膜厚を表面層の厚みを測定したときと同じ要領で測定し、平均値を求める。そして、積層フィルムの厚みの平均値から表面層の厚みの平均値を引いた値を接着樹脂層の厚みとする。
また、基板と発光層とにより形成される発光素子本体が、前記樹脂組成物層と基板側層とで、発光素子本体の両面から封止される場合には、樹脂組成物層と接着樹脂層とは同様の構造を有する組成物を含有するのが好ましく、同じ組成物を含有するのがより好ましい。そうすることより、樹脂組成物層と接着樹脂層とが密着し、その接着界面が消滅した状態になるので、この接着界面から酸素及び水分が浸入するのを防止することができる。
接着樹脂層は、上述したように樹脂組成物層に含有される組成物と同様の構造を有する組成物を含有するのが好ましく、そのような接着樹脂層として、極性基で変性された不飽和結合減少率が30%以上である共役ジエン重合体環化物、又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂を好適例として挙げることができる。
(A−1) 共役ジエン重合体環化物
共役ジエン重合体環化物としては、前述した発光素子用樹脂組成物に含有される共役ジエン重合体環化物において挙げられている、共役ジエン重合体環化物と同じものが挙げられる。
接着樹脂層が前記共役ジエン重合体環化物を含む場合には、樹脂組成物層に含まれている共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率と、接着樹脂層に含まれている共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率とは、その差が±15%以内であるのが好ましく、±10%以内であることがより好ましく、その差がなく、樹脂組成物層と接着樹脂層とに含まれている共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率が同一であることが特に好ましい。上記範囲とすることにより、樹脂組成物層と接着樹脂層とがより密着して、その接着界面が消滅した状態になり、この接着界面から内部へと酸素及び水分が浸入するのを防止することができる。
共役ジエン重合体中の不飽和結合に対する前記共役ジエン重合体環化物中に存在する不飽和結合の減少率(不飽和結合減少率)は、30%以上であり、50〜80%であることが好ましく、60〜75%であることがより好ましい。共役ジエン重合体の不飽和結合減少率を上記範囲とすることにより、共役ジエン重合体環化物が脆くなることを防ぎ、製造を容易にすると共に、製造時にゲル化の進行を抑え、透明性が向上する。また、不飽和結合減少率が50%を超えると、接着性及び耐熱性が向上する。
(A−2) 脂環式オレフィン樹脂
脂環式オレフィン樹脂としては、前述した発光素子用樹脂組成物に含有される脂環式オレフィン樹脂において、好ましい樹脂として挙げている脂環式オレフィン樹脂と同じものが挙げられる。
(A−3) 極性基で変性された共役ジエン重合体環化物又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂
本発明において、接着樹脂層として用いる樹脂は、極性基で変性された共役ジエン重合体環化物又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂である。接着樹脂層と基板とが密着する必要のない態様の発光素子においては、共役ジエン重合体環化物及び脂環式オレフィン樹脂は極性基で変性されている必要はないが、接着樹脂層と基板との密着性の必要のある態様の発光素子においては、共役ジエン重合体環化物及び脂環式オレフィン樹脂は極性基で変性されている必要がある。
極性基で変性された共役ジエン重合体環化物としては、前述した発光素子用樹脂組成物に含有される共役ジエン重合体環化物において、好ましい樹脂として挙げている極性基を含有するように変性されてなる極性基含有共役ジエン重合体環化物と同じものが挙げられる。
極性基としては、酸無水物基、エポキシ基、カルボキシル基、酸アミド基、カルボキシアミド基、水酸基が挙げられ、好ましくは酸無水物基及び/又はエポキシ基が望ましい。なお、本発明において、変性共役ジエン重合体環化物又は変性脂環式オレフィン樹脂中の極性基は1種類だけでもよく、2種類以上含有していてもよい。
酸無水物基としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸などが共役ジエン重合体環化物又は脂環式オレフィン樹脂に付加した構造の基が挙げられ、無水マレイン酸が共役ジエン重合体環化物又は脂環式オレフィン樹脂に付加した構造の基が反応性、経済性の点で好ましい。
極性基で変性された共役ジエン重合体環化物を得る方法としては、(1)共役ジエン重合体環化物に極性基含有ビニル化合物を付加反応させる方法;(2)極性基を含有する共役ジエン重合体を上述の方法で環化させる方法;(3)極性基を含有しない共役ジエン重合体に極性基を含有するビニル化合物を付加反応させた後、環化反応させて得る方法、及び(4)前記(2)又は(3)の方法で得たものにさらに極性基含有ビニル化合物を付加反応させる方法等が挙げられる。中でも、不飽和結合減少率をより調整しやすい点からは、前記(1)の方法が好ましい。
極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂を得る方法としては、樹脂がノルボルネン重合体である場合、(i)ノルボルネンモノマーとして極性基を有するものを用い、必要に応じて、これと共重合可能な化合物と共に常法に従って重合反応を行うことにより得る方法;(ii)極性基を有しないノルボルネン系重合体に、ラジカル開始剤の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物などを用いて、グラフト反応させて極性基を導入することにより得る方法;(iii)目的とする極性基と置換しやすいエステル基などの極性基を含有するモノマーを共重合成分として共重合した後、このエステル基などを目的とする極性基と置換することにより得る方法が挙げられる。
極性基で変性された共役ジエン重合体環化物及び極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂中の極性基の含有量は、特に制限されないが、0.1〜15モル%であることが好ましく、0.5〜10モル%であることがより好ましい。なお、極性基の含有量は、変性共役ジエン重合体環化物又は変性脂環式オレフィン樹脂の分子に結合している極性基の分子量相当量を1モルとしている。極性基の含有量は、滴定法により算出する方法やH−NMRの測定値より算出する方法など公知の方法により測定できる。
(B) 表面層
表面層は、透明樹脂により形成される層である。表面層は、接着樹脂層の光出射側に設けられている。表面層は、波長400nm〜700nmにおける全光線透過率が好ましくは88%以上、より好ましくは90%以上である熱可塑性樹脂層である。そして、表面層は、屈折率1.50〜1.58を有する層が好ましい。前記全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して、市販の濁度計を用いて測定することができる。なお、前記光線透過率は、厚み100μmのフィルムとしたときの値である。
このような条件を満足する樹脂としては、脂環式オレフィン樹脂、アクリル樹脂、メク
クリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂が挙げられるが、
光線透過率、透湿度共に優れる点で脂環式オレフィン樹脂が好ましい。
脂環式オレフィン樹脂としては、前述した発光素子用樹脂組成物に含有される脂環式オレフィン樹脂において、好ましい樹脂として挙げている脂環式オレフィン樹脂と同じものが挙げられる。その中でも、ノルボルネンモノマーの開環(共)重合体の水素化物が特に好ましい。
(C) 凹凸部
凹凸部は、表面層の接着樹脂層とは反対側の面に備えられている。凹凸部は、集光機能又は光拡散機能などの利用目的に合わせた機能を有している。
凹凸部の形状は、図2においては、鋸歯形状としているが、光学機能を有する形状であれば、ゾーンプレート形状、矩形の凹凸形状などのように表面形状は特に限定されない。
また、凹凸部は、表面形状に限られず、例えば特開2003−59641号公報の表面に微小錐状レンズアレイを形成する構造、特開2004−47298号公報の略半球状の微小レンズアレイを形成する構造とすることもできる。また、光拡散機能を発揮させたい場合は、液晶バックライトに使用するストライプ構造の拡散シート(例えば、商品名ルミスルー、住友化学社製)などの構成を採用しても良い。
表面層上に作製する凹凸部は、屈折率が1.50〜1.58であり、表面層と同一部材(同一材料)で一体的に形成されていることが好ましい。凹凸部を表面層と同一部材でー体的に形成する方法は、特に限定されない。例えば、表面層を、凹凸形状を有する金型に対して加熱圧着することで表面層の片面に凹凸形状を転写する方法、凹凸形伏を有する金型と平面金型の間に溶融押し出しによりフィルム化する方法、凹凸形状を有する金型に樹脂を射出成型する方法などがある。
また、図2に示すように、表面層と凹凸部とを異なる部材(材料)で形成することもできる。表面層上に作製する凹凸部が表面層と異なる部材(材料)からなる場合、前記凹凸部は、屈折率が1.50〜1.58の光硬化性樹脂からなることが好ましい。屈折率が1.58の光硬化性樹脂としては、例えば、東洋合成社製、ナノインプリント樹脂PAK−02が挙げられる。また、前記凹凸部を構成する材料として光硬化性樹脂を用いる場合、光硬化性樹脂の他に、凹凸部の屈折率を調整する目的で無機微粒子を添加してもよい。また、表面層上に作製する凹凸部が表面層と異なる部材(材料)からなる場合、表面層を構成する樹脂材料の屈折率差と、凹凸部を構成する樹脂材料の屈折率との差が0.1以内(凹凸部の屈折率のほうを大きくする)とすることが好ましい。
この場合、脂環式構造を有するアクリル型光硬化型樹脂または光カチオン重合型エポキ
シ硬化型樹脂などをコーティングし、金型で形状を形成しながら、光照射して凹凸部分を
表面上に形成する方法などにより表面層の表面に凹凸部を形成することができる。
発光素子用積層体を封止層として使用した場合における発光素子の形態は、前記実施例に限定されず、本発明の目的が達成される限り、種々の設計変更をすることができる。
例えば、前記例においては、基板側層にのみ接着樹脂層を形成させているが、樹脂組成物層にも接着樹脂層を形成させ、発光素子本体の両面を接着樹脂層で挟むようにして封止してもよい。
前記例における発光素子は、ガスバリアー層と樹脂組成物層と発光層と基板と接着樹脂層と表面層と凹凸部とを備えているが、発光素子の使用目的に応じて、各種機能を有する他の層が適宜の位置に積層されていてもよい。
3−3−2 封止容器
この封止容器は、基板上に配置される発光層を覆蓋し、密閉する容器である。この封止容器が発光素子用積層体で形成されていると、外部から封止容器内に酸素が侵入するのを防止した発光素子を得ることができる。封止容器の形状については特に制限がない。
図3に示されるように、一例としての発光素子4は、基板1とその表面に形成された発光層2とこれら基板1及び発光層2を密封して収容する封止容器5とを有して成る。封止容器5の内部には空間6が形成されていてもよく、また、空間6が形成されていなくてもよい。空間6には、例えば酸素吸収剤、無機乾燥剤等を収容することもできる。
また、図4に示されるように、基板が酸素を通過させ難い部材で形成されているときには、基板1を覆蓋する覆蓋体5Aに、この発明に係る発光素子用積層体からなる封止容器を形成することもできる。酸素吸収能を有する発光素子用樹脂積層体で封止容器が形成されていると、外部から内部への酸素の侵入を防止することができる。
発光素子用積層体を封止容器として使用する場合における発光素子の他の形態として、図5に示されるように、例えば、基板1と発光層2とにより形成される発光素子本体9の基板1側の表面に、基板側層10が設けられ、発光素子本体9が、封止容器5Bと基板側層10とにより密封されてなる発光素子4を挙げることができる。このとき、発光素子本体9の外周縁部において前記封止容器5Bと前記基板側層10とが接着されている。基板側層10については既に説明したとおりであり、基板側層10は接着樹脂層11が基板1に対面して位置する限り、種々の機能を有する層及び/又は部材により形成されることができる。基板側層10を光取出し機能を有する層とする場合には、図5に示すように、例えば、基板側層10は接着樹脂層11と表面層12と凹凸部13とにより形成され、基板1側からこの順に積層される。封止容器5Bは、ガスバリアー層14と樹脂組成物層15とにより構成されており、この樹脂組成物層15と接着樹脂層11とが、発光素子本体9の外周縁部において接着されている。樹脂組成物層15と接着樹脂層11とは同様の構造を有する組成物を含有しているので、樹脂組成物層15と接着樹脂層11とが密着して、その接着界面16が消滅した状態になり、この接着界面16から内部へと酸素及び水分が浸入するのを防止することができる。
3−3−3 酸素吸収剤
この発明に係る発光素子用樹脂組成物は、この発明に係る発光素子用積層体以外の材料により形成されたところの、基板に形成された発光層を覆蓋する封止容器の内部に、酸素吸収剤として、この発明に係る発光素子用樹脂組成物が配置される。
図6に示されるように、この発明に係る発光素子4の一例として、基板1の表面に配置された発光層2を覆蓋するとともに、この発明に係る発光素子用積層体以外の素材で形成された封止容器7と、その内周面を被覆形成された、この発明の発光素子用樹脂組成物から成る、酸素吸収剤としての被覆層8とを有する発光素子が、示される。
4. 発光素子の製造方法
本発明に係る発光素子の一例である、図2に示した発光素子の製造方法の一実施例を以下に説明する。先ず、ガラス基板などの基板上に、前述した3−2.発光層に記載されているのと同様にして、発光層を形成し、発光素子本体を得る。得られた発光素子本体を第1の部材とする。
次いで、凹凸部を表面層の片面に形成するために、例えば、ピラミッド構造が表面層に転写できるように設計された金型を用いて、前述した表面層を形成する樹脂、例えばノルボルネン重合体を射出成形することによって、凹凸部を有する表面層を得る。
次いで、接着樹脂層を形成する組成物の一例である無水マレイン酸で変性された共役ジエン重合体環化物を、表面層の凹凸部が形成されている面の反対側の面全体に均一に塗布した後、この接着樹脂を塗布した表面層を自然乾燥させて、表面層に接着樹脂層を形成させて成る基板側層を得る。得られた基板側層を第2の部材とする。表面層に接着樹脂層を形成させる方法に特に制限はなく、例えば接着剤用の樹脂を用いて、溶液キャスト法や溶融押し出し法によればよい。接着樹脂層の膜圧をできるだけ均一にできる点で、溶液キャスト法を採用することが好ましい。
表面層に接着樹脂層を溶液キャスト法で形成する場合に用いる溶剤としては、エチルメチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;トルエン、キシレン、ターシャリーブチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリン、テトラリンなどの芳香族炭化水素類の水素添加物(但し、脂肪族性の炭素−炭素二重結合を有しないもの);等が挙げられる。なかでも、表面層表面のダメージの原因となる表面層表面の過剰溶解がなく、光学特性の劣化が抑制されることから、エーテル類;ケトン類又はエステル類と芳香族炭化水素類又はその水素添加物との組み合わせ;が好ましい。
次いで、1.発光素子用樹脂組成物に記載されているのと同様にして、発光素子用樹脂組成物を得る。発光素子用樹脂組成物を構成する成分の一例として、不飽和結合の減少率が30%以上である共役ジエン重合体環化物の一例である、無水マレイン酸で変性された変性共役ジエン重合体環化物、脂環式オレフィン樹脂の一例であるエチレン−ノルボルネン付加共重合体、必要に応じて添加されるその他の成分として酸化防止剤などを挙げることができる。この発光素子用樹脂組成物を、例えば、ラボプラストミル二軸押出機にTダイ、二軸延伸試験装置を接続して押し出し、樹脂組成物層を得る。この樹脂組成物層に、ガスバリアー層として、例えば、真空蒸着法によりアルミニウムを蒸着し、ガスバリアー層と樹脂組成物層により形成されて成る封止層を得る。得られた封止層を第3の部材とする。
次いで、前記基板側層(第2の部材)と前記封止層(第3の部材)との間に前記発光素子本体(第1の部材)を配置する。このとき、基板側層(第2の部材)の接着樹脂層が形成されている面を発光素子本体(第1の部材)の基板と対面させ、封止層(第3の部材)の樹脂組成物層が形成されている面を発光素子本体(第1の部材)の発光層とを対面させる。基板側層(第2の部材)と発光素子本体(第1の部材)と封止層(第3の部材)とを、例えば真空ラミネーターを用いて、界面に気泡が入り込まないように全面を同時に封止して、発光素子を得る。
前記例においては、接着圧を0.9Mpa、接着時間を300秒としているが、発光素子の大きさ及び発光素子を構成する材料などにより、接着圧及び接着時間などの封止条件を適宜選択することができる。
基板側層と発光素子本体と封止層とを接着する際の接着温度は、40〜120℃、好ましくは40〜90℃であり、かつ、接着樹脂層を形成する組成物のガラス転移温度(Tg)より低い温度であるのが好ましい。この温度範囲内であると、発光素子にダメージを与えることなく、基板側層と発光素子本体と封止層とを確実に貼り合わせることができる。
基板側層と発光素子本体と封止層とは、同時に封止されるのが好ましい。先ず、基板側層と発光素子本体とを貼り合わせ、次いで基板側層を接着した発光素子本体と封止層とを貼り合わせることもできるが、その場合、基板側層と発光素子本体とを貼り合わせる際に接着樹脂層が熱硬化してしまうので、次いで、基板側層を接着した発光素子本体と封止層とを貼り合わせるときには、同時に封止する場合に必要な接着温度よりも高い温度で接着する必要がある。一方、基板側層と発光素子本体と封止層とを同時に封止する場合には、前者に比べて接着温度を低くすることができるので、発光素子への熱ダメージを抑えることができると共に、封止時に発生する熱残留応力の不均一性から発光素子に歪が発生するのを抑えることができる。したがって、基板側層と発光素子本体と封止層とは、同時に封止されるのが好ましい。
基板側層と発光素子本体と封止層とを貼り合わせる方法は、熱圧着による方法であれば特に制限されず、真空ラミネーターの他に熱ロールを使用することもできる。
前記発光素子の製造方法によれば、発光素子本体の外周縁部において接着されている樹脂組成物層と接着樹脂層とは同一の分子構造を有する組成物、つまり無水マレイン酸で変性された変性共役ジエン重合体環化物を含んでいるので、この接着樹脂層と樹脂組成物層とを熱接着すると、接着樹脂層と樹脂組成物層とが密着して、その接着界面が消滅した状態になる。その結果、発光素子本体の外周縁部における、接着樹脂層と樹脂組成物層との接着界面から、酸素及び水分が内部に浸入することを防止することができる。また、封止層と発光素子本体と基板側層とを同時に接着するので、発光素子本体を封止層と基板側層とにより封止する際に発生する熱残留応力の不均一性から発光素子本体に歪が発生するのを低減することができ、さらに、製造工程数を低減することができる。
本発明に係る発光素子の製造方法は、前記実施例に限定されず、本発明の目的が達成される限り、種々の設計変更をすることができる。
例えば、前記例においては、発光素子用積層体の形態として封止層を選択しているが、発光素子用積層体の形態として封止容器を選択することもできる。
前記例における発光素子は、ガスバリアー層と樹脂組成物層と発光層と基板と接着樹脂層と表面層と凹凸部とを備えているが、各種機能を有する他の層が適宜の位置に積層されていてもよい。
実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載における「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準である。
各種の物性等の測定、評価は以下のように行った。
(1)共役ジエン重合体環化物の不飽和結合減少率(環化率)
不飽和結合減少率は、下記(i)および(ii)の文献に記載された方法を参考にしてプロトンNMRの測定結果に基づいて以下の計算式により求めた。
(i)M.a.Golub and J.Heller.Can.J.Chem,41,937(1963)
(ii)Y.Tanaka and H.Sato,J.Poiym.Sci:Poiy.Chem.Ed.,17,3027(1979)
いま、共役ジエン重合体中の共役ジエン単量体単位部位において、環化反応前の全プロトンピーク面積をSBT,二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積をSBU,環化反応後の全プロトンピーク面積をSAT,二重結合に直接結合したプロトンピークのピーク面積をSAUとすると
環化反応前の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SB)は、
SB=SBU/SBT
環化反応後の二重結合に直接結合したプロトンのピーク面積比率(SA)は、
SA=SAU/SAT
従って、不飽和結合減少率は下記式により求められる。
不飽和結合減少率(%)=100×(SB−SA)/SB
(2)酸素吸収量
試料を、窒素雰囲気下で、100℃で圧縮成形後、延伸して、厚みが100μmのフィルム状とする。そして、これを100mm×100mmの寸法に裁断して酸素吸収量測定用試料とする。この酸素吸収量測定用試料を、150mm×220mmの寸法のポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)/アルミニウム箔(Al)/ポリエチレンフィルム(PE)の3層フィルムからなる酸素非透過性の袋に、200ミリリットルの空気と共に密封する。これを、23℃で放置し、24時間毎に袋内の酸素濃度を酸素濃度計で測定し、酸素濃度が減少しなくなった時点で酸素の吸収が飽和に達したとして、試料1gが吸収した酸素吸収量を計算する。なお、酸素濃度計として、Neutronics社製、酸素分析計HS−750を用いた。
(3)酸素吸収速度
酸素吸収速度は、上記(3)の酸素吸収量の測定と同様にして酸素吸収量を測定し、測定開始後24時間後の酸素吸収量で表した。測定温度は、23℃とした。
(4)水分吸収量(48時間経過時)
押出、延伸機で作製した100μm厚みのフィルムを100mm×100mmに切り出し、ドライボックス中で正確に重量を測定する。60%に湿度制御したデシケーター中(窒素ガス充填)にこのフィルムを48時間放置し、48時間後の水分吸収量をフィルムの重量変化から測定した。積層体も100mm×100mmに切断したものを同様の操作を行い、水分吸収量を測定した。
(5)重量平均分子量
重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算値で示した。
(6)極性基の含有量
酸無水物基の含有量は、フーリエ変換赤外吸収スペクトル分析により酸無水物基のピーク強度(1760〜1780cm−1)を測定して、検量線法により酸無水物基の含有量を求める。同様にカルボキシル基のピーク強度(1700cm−1)を測定して、検量線法によりカルボキシル基の含有量を求めた。エポキシ基およびアミド基の導入量はNMRを測定し、それぞれ官能基由来のプロントの比率より含有量を求めた。
(7)全光線透過率
全光線透過率は、JIS K7361−1に準拠して、濁度計(日本電色工業製 ヘイズメーターNDH2000)により測定した。
(8)屈折率
シリコンウエハ上に樹脂ワニスを均一コート後、乾燥したフィルム(膜厚2〜4μm)を作製した。このフィルムをエリプソメーター(アルバック社製 ESM−1型)で測定し、屈折率を求めた。
(9)接着樹脂層の厚み
凹凸フィルムの厚みを、膜厚測定器(例えば、TOYO SEIKI社製、THICKNESS meter B−1)を用いて、任意の5点を測定し、その平均値を求めた。次に、接着樹脂層を塗工・乾燥後の積層フィルム(凹凸フィルム+接着樹脂層)の膜厚を凹凸フィルムの厚みを測定したときと同じ要領で測定し、平均値を求めた。そして、積層フィルムの厚みの平均値から凹凸フィルムの厚みの平均値を引いた値を接着樹脂層の厚みとした。
(製造例1)
攪拌機、温度計、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えた耐圧反応器に、10mm角に裁断したポリイソプレン(シス−1,4結合単位73%、トランス−1,4結合単位22%、3,4−結合単位5%、重量平均分子量174,000)300部を、トルエン700部とともに仕込んだ。反応器内を窒素置換した後、85℃に加温して攪拌下でポリイソプレンをトルエンに完全に溶解した後、p−トルエンスルホン酸(トルエン中で、水分量が150ppm以下になるように、還流脱水したもの)2.4部を投入し、85℃で環化反応を行った。4時間反応させた後、炭酸ナトリウム0.83部を含む25%炭酸ナトリウム水溶液を投入して反応を停止した。85℃で、イオン交換水300部を用いた洗浄を3回繰り返して、系中の触媒残渣を除去し、共役ジエン重合体環化物の溶液を得た。
得られた共役ジエン重合体環化物の溶液に、共役ジエン重合体環化物に対して、100ppmに相当する量のフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を添加した後、溶液中のトルエンの一部を留去し、さらに真空乾燥を行なって、トルエンを除去して、共役ジエン重合体環化物(B1)を得た。共役ジエン重合体環化物(B1)の不飽和結合減少率、酸素吸収量、酸素吸収速度、および重量平均分子量を測定した。その評価結果を表1に示す。
(製造例2)
製造例1で得られた共役ジエン重合体環化物(B1)に、キシレン10部、無水マレイン酸10部を添加し、窒素雰囲気下、160℃で4時間付加反応を行った。反応液中のキシレンを留去しながらバス温度180℃で1時間反応を行った。120℃に冷却した後、共役ジエン重合体環化物(B1)に対して、300ppmに相当する量のフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を添加した後、30分間攪拌した。さらに真空乾燥を行なって、キシレンおよび未反応の無水マレイン酸を除去して、無水マレイン酸で変性された変性共役ジエン重合体環化物(B2)を得た。これらについて、製造例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。なお、変性共役ジエン重合体環化物(B2)の極性基含有量は6.8モル%であった。
(製造例3)
窒素雰囲気下で、ポリイソプレン(Rf1)(シス−1,4結合単位73%、トランス−1,4結合単位22%、3,4−結合単位5%、重量平均分子量174,000)を100℃で圧縮成形して厚みが100μmのポリイソプレンフィルムを作成した。このポリイソプレンフィルムを、100mm×100mmに裁断して試験片を得た。製造例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(製造例4)
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000部、スチレン320部、n−ブチルリチウム(1.56モル/リットル濃度のヘキサン溶液)19.9ミリモルを仕込み、内温を60℃に昇温して30分間重合させた。スチレンの重合転化率は、ほぼ100%であった。重合溶液の一部を採取し、得られたポリスチレンの重量平均分子量を測定したところ、14,800であった。次いで、内温が75℃を超えないように制御しながら、イソプレン1840部を、60分間に亘り、連続的に添加した。添加終了後、70℃で、さらに1時間反応させた。この時点の重合転化率は、ほぼ100%であった。上記の重合溶液に、β−ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のナトリウム塩の1%水溶液0.362部を添加して、重合反応を停止して、ポリスチレンブロックとポリイソプレンブロックとからなるジブロック構造のブロック共重合体aを得た。
得たブロック共重合体aの溶液1000部(固形分濃度=20.9%)を攪拌しながら、120℃で、固形分濃度が80重量%になるまで、溶剤を留去した。これに、無水マレイン酸4.41部を添加し、160℃で、3時間付加反応を行った。その後、減圧下、160℃で、未反応の無水マレイン酸と溶剤とを除去し、フェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.062部を添加した後、それを、四弗化エチレン樹脂で被覆を施した容器に流延した。これを75℃で、減圧乾燥して、無水マレイン酸を付加させた変性共役ジエン共重合体(Rf2)を得た。製造例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
(製造例5)
製造例1の条件においてp−トルエンスルホン酸の使用量を3.2質量部に、反応時間を7時間に変更し、環化反応後に添加する炭酸ナトリウムの量を1.11質量部に変更する以外は、製造例1と同様にして、共役ジエン重合体環化物(B3)を得た。得られた共役ジエン重合体環化物(B3)について、不飽和結合減少率、重量平均分子量、を測定した。その測定結果を表2に示す。
(製造例6)
得られた共役ジエン重合体環化物(B3)100質量部に対して、キシレン10質量部、無水マレイン酸10質量部を添加し、製造例1と同一条件で無水マレイン酸変性を行って、無水マレイン酸で変性された変性共役ジエン重合体環化物(B4)を得た。得られた変性共役ジエン重合体環化物(B4)について、不飽和結合減少率、重量平均分子量、極性基含有量、及び屈折率を測定した。その測定結果を表2に示す。なお、変性共役ジエン重合体環化物(B4)の極性基含有量は6.6モル%であった。
(製造例7)
製造例5で得た共役ジエン重合体環化物(B3)100質量部に対してt-ブチルベンゼン10質量部、アリルグリシジルエーテル10質量部を添加し、150℃で1時間攪拌した。反応終了後、トルエン300質量部を加え、室温攪拌して均一溶液とした。この樹脂溶液を5倍量のアセトン中に滴下し、樹脂を凝固回収及び真空乾燥して、エポキシ変性された変性共役ジエン重合体環化物(B5)を得た。得られた変性共役ジエン重合体環化物(B5)について、不飽和結合減少率、重量平均分子量、極性基含有量、及び屈折率を測定した。その測定結果を表2に示す。なお、変性共役ジエン重合体環化物(B5)の極性含有量は2.3モル%であった。
(製造例8)
底辺の長さ20μm、高さ10μmのピラミッド構造をフィルム表面に転写できるように設計された金型に脂環式オレフィンポリマーの一種であるノルボルネン重合体(商品名:ゼオノア1600、ガラス転移温度(Tg)160℃、屈折率1.53、波長400〜700nmにおける全光線透過率92%、日本ゼオン社製)を射出成形によって凹凸フィルムを作製した。凹凸フィルムの厚みは200μmである。このフィルムの裏面(凹凸面が形成されている面とは反対側の面)に製造例2で合成した変性共役ジエン重合体環化物(B2)のトルエン溶液(固形成分濃度20質量%)をブレードを用い均一塗工後、乾燥して接着樹脂層の厚みが6μmの多層フィルム(F5)を作製した。
(製造例9)
製造例8において、接着樹脂層として製造例6で製造した変性共役ジエン重合体環化物(B4)を用いた以外は同様の製造方法で光取出し機能を有する多層フィルム(F6)を作製した。
(製造例10)
製造例8において、接着樹脂層として製造例7で製造した変性共役ジエン重合体環化物(B5)を用いた以外は同様の製造方法で光取出し機能を有する多層フィルム(F7)を作製した。
Figure 2008115383
Figure 2008115383

(実施例1)
上記製造例1で得た共役ジエン重合体環化物(B1)の溶液に、共役ジエン重合体環化物(B1)に対して、100ppmに相当する量の酸化防止剤であるチオジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名「イルガノックス1010」)及び200ppmに相当するリン系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(株式会社ADEKA製、商品名「アデカスタブHP−10」)及び脂環式ポリオレフィン樹脂であるエチレン−ノルボルネン付加共重合体(ノルボルネン/エチレン組成比=65/35)(A1)(ポリプラスチック株式会社製、商品名「TOPAS 8007X」)700部を添加した後、溶液中のトルエンの一部を留去し、更に真空乾燥を行なって、トルエンを除去して、固形状の共役ジエン重合体環化物(B1)とエチレン−ノルボルネン付加共重合体(A1)とのブレンド物を得た。ブレンド物を粉砕し、単軸混練押し出し機(ダイスφ3mm×1穴)を用いて丸ペレット化して、樹脂組成物(O−1)のペレットを得た。この樹脂組成物(O−1)はこの発明の発光素子用樹脂組成物の一例である。
なお、エチレン−ノルボルネン付加共重合体(A1)は、化1に示す構造を有しており
、式中、矢印で示すC−H結合の解離エネルギーは、4.13eVである。
Figure 2008115383
樹脂組成物(O−1)の特性を表3に記載した。
(実施例2)
実施例1の条件において、共役ジエン重合体環化物(B1)に代えて、製造例2で得られた変性共役ジエン重合体環化物(B2)を用いた以外は前記実施例1と同様にして樹脂組成物(O−2)のペレットを得た。この樹脂組成物(O−2)はこの発明の発光素子用樹脂組成物の一例である。この樹脂組成物(O−2)の特性を表3に記載した。
(実施例3)
実施例1で得られ、さらに機械粉砕された樹脂組成物(O−1)450部に、微粉化した酸化カルシウム(商品名:Fライム−2000、株式会社カルファイン製、数平均粒子径1.5〜2μm)50部を、ドライブレンドして混合物を得た。この混合物に、さらに水分吸収性樹脂としてエチレン−ビニルアルコール共重合体(省略名:EVOH、エチレン含有量44モル%、株式会社クラレ製、商品名:E105B)のペレット300部をドライブレンドし、樹脂組成物(M−1)を得た。この樹脂組成物(M−1)はこの発明の発光素子用樹脂組成物の一例である。
この樹脂組成物(M−1)をラボプラストミル二軸押出機にTダイ、及び二軸延伸試験装置(ともに、株式会社東洋精機製作所製)を接続して押し出し、幅100mm,厚さ100μmのフィルム(F1)を得た。このフィルム(F1)の酸素吸収量、水分吸収量を表2に記載する。
(実施例4)
実施例1で得られ、さらに機械粉砕された樹脂組成物(O−1)450部に、微粉化した酸化カルシウム(Fライム−2000、株式会社カルファイン製、数平均粒子径1.5〜2μm)50部を、ドライブレンドして混合物を得た。この混合物に、さらに水分吸収性樹脂としてアクリル酸重合体(商品名:アクアパールAシリーズ、サンダイヤポリマー株式会社製)の粉体300部を、ドライブレンドして、樹脂組成物(M−2)を得た。この樹脂組成物(M−2)はこの発明の発光素子用樹脂組成物の一例である。
この樹脂組成物(M−2)をラボプラストミル二軸押出機にTダイ、二軸延伸試験装置(ともに、株式会社東洋精機製作所製)を接続して押し出し、幅100mm、厚さ60μmのフィルム(F2)を得た。このフィルム(F2)の酸素吸収量、水分吸収量を表3に記載する。
(実施例5)
実施例2で得られ、機械粉砕された樹脂組成物(O−2)450部に、微粉化した酸化カルシウム(Fライム−2000、株式会社カルファイン製、数平均粒子径1.5〜2μm)50部を、ドライブレンドして混合物を得た。この混合物に、さらに水分吸収性樹脂としてエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、エチレン含有量44モル%、株式会社クラレ製、商品名:E105B)のペレット300部を、ドライブレンドし、樹脂組成物(M−3)を得た。この樹脂組成物(M−3)はこの発明の発光素子用樹脂組成物の一例である。
この樹脂組成物(M−3)をラボプラストミル二軸押出機にTダイ、及び二軸延伸試験装置(ともに、株式会社東洋精機製作所製)を接続して押し出し、幅100mm、厚さ100μmのフィルム(F3)を得た。このフィルム(F3)の酸素吸収量、水分吸収量を表3に記載する。
(実施例6)
実施例2で得られ、機械粉砕された樹脂組成物(O−2)450部に微粉化した酸化カルシウム(Fライム−2000、株式会社カルファイン製、数平均粒子径1.5〜2μm)50部をドライブレンドして混合物を得た。この混合物に、さらに水分吸収性樹脂としてアクリル酸重合体(商品名:アクアパールAシリーズ、サンダイヤポリマー株式会社製)の粉体300部を、ドライブレンドし、樹脂組成物(M−4)を得た。この樹脂組成物(M−4)はこの発明の発光素子用樹脂組成物の一例である。
この樹脂組成物(M−4)をラボプラストミル二軸押出機にTダイ、及び二軸延伸試験装置(ともに、株式会社東洋精機製作所製)を接続して押し出し、幅100mm,厚さ100μmのフィルム(F4)を得た。このフィルム(F4)の酸素吸収量、水分吸収量を表3に記載する。
(比較例1)
実施例1における共役ジエン重合体環化物(B1)の代わりに製造例3のポリイソプレン(Rf1)を使用した外は実施例1と同様にして樹脂組成物Aを調製した。実施例3における樹脂組成物(O−1)の代わりに前記樹脂組成物Aを使用した外は、前記実施例3と同様にして、ガス吸収性シート(Rf3と記す)を作製した。このガス吸収性シートは、ポリイソプレン、エチレン−ノルボルネン付加共重合体、酸化カルシウム及びエチレン−ビニルアルコール共重合体を含有する組成物からなり、その特性を表3に記載する。
(比較例2)
実施例2における変性共役ジエン重合体環化物(B2)の代わりに製造例4で調製した変性共役ジエン共重合体(無水マレイン酸で変性されたスチレン−イソプレン共重合体、Rf2)を使用した外は、実施例2と同様にして樹脂組成物Bを調製した。実施例5における樹脂組成物(O−2)の代わりに前記樹脂組成物Bを用いた外は、前記実施例5と同様に実施してシート(Rf4と記す)を作製した。このシート(Rf4)は、無水マレイン酸で変性されたスチレン−イソプレン共重合体、エチレン−ノルボルネン付加共重合体、酸化カルシウム及びエチレン−ビニルアルコール共重合体を含有する組成物からなり、その特性を表3に記載する。
(比較例3)
機械粉砕された脂環式ポリオレフィン樹脂であるエチレン−ノルボルネン付加共重合体(ノルボルネン/エチレン組成比=65/35)(A1)(ポリプラスチック株式会社製、商品名「TOPAS 8007X」)450部に、微粉化した酸化カルシウム(Fライム−2000、株式会社カルファイン製)50部を、ドライブレンドして混合物を得た。この混合物に、さらにエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、エチレン含有量44モル%、株式会社クラレ製、商品名:E105B)のペレット300部を、ドライブレンドし、樹脂組成物Cを得た。
この樹脂組成物Cをラボプラストミル二軸押出機にTダイ、二軸延伸試験装置(ともに、株式会社東洋精機製作所製)を接続して押し出し、幅100mm,厚さ100μmのフィルム(Rf5)を得た。このフィルム(Rf5)の酸素吸収量、水分吸収量を表3に記載する。
(比較例4)
製造例1で得た共役ジエン重合体環化物(B1)の溶液に、共役ジエン重合体環化物(B1)に対して、100ppmに相当する量の酸化防止剤:チオジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名「イルガノックス1010」)及び200ppmに相当するリン系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(株式会社ADEKA製、商品名「アデカスタブHP−10」)及び製造例4で製造した変性スチレン−ポリイソプレン共重合体(Rf2)700部を添加した後、溶液中のトルエンの一部を留去し、更に真空乾燥を行なって、トルエンを除去して、固形状の共役ジエン重合体環化物(B1)と変性共役ジエン共重合体(Rf2)とのブレンド物450部を得た。このブレンド物450部に、微粉化した酸化カルシウム(Fライム−2000、株式会社カルファイン製)50部を、ドライブレンドして混合物を得た。この混合物に、さらにエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、エチレン含有量44モル%、株式会社クラレ製、商品名:E105B)のペレット300部を、ドライブレンドして、樹脂組成物Dを得た。
この樹脂組成物Dをラボプラストミル二軸押出機にTダイ、二軸延伸試験装置(ともに、株式会社東洋精機製作所製)を接続して押し出し、幅100mm,厚さ100μmのフィルム(Rf6)を得た。このフィルム(Rf6)の酸素吸収量、水分吸収量を表3に記載する。
(実施例7)
実施例5で得たフィルム(F3)をアルム箔(厚さ100μm、住軽アルミ箔株式会社製、酸素透過率0.001cc/cm・日以下)とテフロン(登録商標)シートとの間に挟み、真空ラミネーターを用い、真空引き60秒、接着温度100℃、接着圧0.9MPa、接着時間300秒で界面に気泡をかまないように接着し、アルミ箔/フィルム(F3)/テフロン(登録商標)剥離シートを作製した。常温に冷却した後フッ素樹脂(商品名:テフロン(登録商標))シートを剥がしてアルミ箔/フィルム(F3)から成る積層体(R−1)を製造した。この積層体(R−1)は、この発明の発光素子用積層体の一例である。
この発光素子用積層体(R−1)の酸素吸収量、水分吸収量を測定した。結果を表3に記載する。
一方、ガラス基板(0.7mm、ダウコーニング社製)上に陽極であるITOをDCスパッタリングにより膜厚が200nmとなるように形成し、該透明電極上に発光層を構成する材料としてN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(以下、TPDと略記する)、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(以下、DPVBiと略記する)、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、Alqと略記する)を用い、真空蒸着法により、TPD層の膜厚が60nm、DPVBiの膜厚が40nm、Alqの膜厚が20nmとなるように形成し、Alq層上に陰極としてマグネシウムと銀の混合物を真空蒸着法により膜厚が150nmとなるように形成し、更にアルミニウム層を真空蒸着法により膜厚100nmになるように形成した。さらに短時間のガス進入を防止する目的で蒸着シリカ層をアルミニウム層表面に形成した。さらに前記蒸着シリカ層と、積層体(R−1)のフィルム(F3)面とを重ね合わせ、真空ラミネーターを用いて基板表面にガスを噛まないように貼り合わせて、有機EL発光素子を形成した。この有機EL発光素子は、この発明の発光素子の一例である。貼り合わせ条件は、真空引き60秒、接着温度80℃、接着時間300秒、接着圧0.9MPaであった。真空ラミネーター接着操作以外は、酸素および水分を完全に排除した条件下で行った。
得られた有機EL発光素子を点灯し、該素子のダークエリアの生成の有無を確認したところ、500時間連続点灯後でもダークエリアの生成はみられなかった。
得られた有機EL発光素子を温度60℃、湿度90%の条件下で点灯し、該素子のダークエリアの生成の有無を確認したところ、350時間連続点灯時点で素子外周部にダークスポットが観察された。
Figure 2008115383

(実施例8)
ノルボルネン樹脂(日本ゼオン株式会社製・ZEONOR1430、Tg=140℃)を押出成形することにより、幅100mm、長さ500mm、肉厚1mmのシートを作製した。このシートを50mmの正方形に切断して、片方の面に実施例3で得たフィルム(F1)を圧着して積層シートを作製した。この積層シートから140℃でプレス成形により、フィルムF1が内側になるようにして幅40mm、横40mm、高さ5mmの箱型容器を作製した。この箱型容器の外表面に蒸着法により100nmのシリカ膜を形成した。これを発光素子用積層体で作った発光素子用の封止容器と見立てた。なお、箱型容器を形成する操作は、フィルム(F1)が高温下で空気に触れないように、窒素雰囲気中で行った。以後の操作の雰囲気も同じ窒素雰囲気中である。
実施例7におけるのと同様にして、ガラス基板(厚さ0.7mm、ダウコーニング社製)上に陽極であるITO透明電極を形成し、その透明電極上に有機発光材料を含む発光層を形成し、発光層上に陰極として金属電極を形成した。ガラス基板上の発光層に、内側に前記フィルム(F1)が露出している箱型容器を、被せるとともに箱型容器とガラス基板とをUV硬化型エポキシ樹脂接着剤で接着させることにより箱型容器内の発光層を完全に封止して、有機EL発光素子を形成した。この有機EL発光素子は、この発明の発光素子の一例である。ここまでの操作を酸素および水分を完全に排除したドライボックス中で行った。得られた有機EL発光素子を点灯し、該素子のダークエリアの生成の有無を確認したところ、500時間連続点灯後でもダークエリアの生成はみられなかった。
(実施例9)
実施例7におけるのと同様にして、ガラス基板(厚さ0.7mm、ダウコーニング社製)上に陽極であるITO透明電極を形成し、該透明電極上に有機発光材料を含む発光層を形成し、発光層上に陰極として金属電極を形成し、さらに短時間のガス進入を防止するための蒸着シリカ層で発光層の表面を封止した。箱型ガラス容器(40mm(縦)×40mm(横)×3mm(深さ)の内側に実施例3で製造したフィルム(F1)を貼り付けて封止容器を形成した。アルゴンガス中で、ガラス基板上に形成され、蒸着シリカ層で封止された発光層を、前記封止容器で被せ、前記封止容器内をUV硬化型エポキシ樹脂接着剤で充填して、発光層を封止して有機EL発光素子を得た。この有機EL発光素子は、この発明の発光素子の一例である。得られた有機EL発光素子を点灯し、該素子のダークエリアの生成の有無を確認したところ、500時間連続点灯後でもダークエリアの生成はみられなかった。
(比較例5)
一方、実施例7におけるのと同様にして、ガラス基板(0.7mm、ダウコーニング社製)上に陽極であるITO透明電極を形成し、該透明電極上に有機発光材料を含む発光層を形成し、発光層層上に陰極として金属電極を形成し、さらに短時間のガス進入を防止するための蒸着シリカ層で発光層の表面を封止した。このガラス基板上に形成され、発光層上を封止する蒸着シリカ層全体及び発光層の形成されていないガラス基板表面に、比較例1で製造されたシート(Rf3)を、そのシート(Rf3)面がガラス基板表面に向うように、真空ラミネーターを用いて、ガスを噛まないように貼り合わせることにより、有機EL発光素子を形成した。貼り合わせ条件は真空引き60秒、接着温度80℃、接着時間300秒、接着圧0.9MPaであった。真空ラミネーター接着操作以外は酸素および水分を完全に排除したドライ条件下で行った。得られた有機EL発光素子を点灯し、該素子のダークエリアの生成の有無を確認したところ、連続点灯して500時間経過時に素子の周辺部にダークスポットが見られた。これは、酸素による素子劣化が起きたと考えられる。
(実施例10)
ガラス基板(0.7mm、ダウコーニング社製)上に陽極である透明電極のITOをDCスパッタリングにより膜厚が200nmとなるように形成する。該透明電極上に発光層を構成する材料としてN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(以下、TPDと略記する)、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(以下、DPVBiと略記する)、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(以下、Alqと略記する)を用い、真空蒸着法により、TPD層の膜厚が60nm、DPVBiの膜厚が40nm、Alqの膜厚が20nmとなるようにこの順に形成する。Alq層上に陰極としてマグネシウムと銀との混合物を真空蒸着法により膜厚が150nmとなるように形成し、更にアルミニウム層を真空蒸着法により膜厚100nmになるように形成した。短時間のガス進入を防止する目的で蒸着シリカ層をアルミニウム層表面に形成した。
この発光素子ガラス基板の光取出し面に多層フィルムF5を逆側の素子作製面に実施例7で作製した積層体(R−1)を配置し、真空ラミネーターを用い、真空引き60秒、接着温度80℃、接着圧0.9Mpa,接着時間300秒で界面に気泡を噛まないように貼り合せ、アルミ箔/フィルムF3/発光素子/ガラス基板/光取り出しフィルムF5の構成で素子の全面を同時封止して、有機EL発光素子を作製した。この有機EL発光素子は、この発明の発光素子の一例である。素子の外周部はF3とF5の同分子構成の変性共役ジエン重合体同士が直接熱接着しているため、接着界面が消失した状態になっている。なお、電源用配線は事前に素子からガラス基板端面から引き出しておき、配線のみが2枚の接着樹脂層に挟まれて外部に通じる構成にしてある。
得られた有機EL発光素子を温度60℃、湿度90%の条件下で点灯し、該素子のダークエリアの生成の有無を確認したところ、500時間連続点灯後においても素子外周部にダークスポットの生成が見られなかった。
(実施例11)
実施例10の条件で光取出しフィルムF5に替えてF6を用いアルミ箔/フィルムF3/発光素子/ガラス基板/光取り出しフィルムF6の構成にした以外は同一条件で両面封止した有機EL発光素子を作製した。この有機EL発光素子は、この発明の発光素子の一例である。
得られた有機EL発光素子を温度60℃、湿度90%の条件下で点灯し、該素子のダークエリアの生成の有無を確認したところ、500時間連続点灯後においても素子外周部にダークスポットの生成が見られなかった。
(実施例12)
実施例10の条件で光取出しフィルムF5に替えてF7を用いアルミ箔/フィルムF3/発光素子/ガラス基板/光取り出しフィルムF7の構成にした以外は同一条件で両面封止した有機EL発光素子を作製した。この有機EL発光素子は、この発明の発光素子の一例である。
得られた有機EL発光素子を温度60℃、湿度90%の条件下で点灯し、該素子のダークエリアの生成の有無を確認したところ、500時間連続点灯後においても素子外周部にダークスポットの生成が見られなかった。
図1は、この発明に係る発光素子用樹脂組成物を封止層とする発光素子を示す説明図である。 図2は、この発明に係る発光素子用樹脂組成物を封止層として、封止層と基板側層とで発光素子本体が封止された発光素子を示す説明図である。 図3は、この発明に係る発光素子用樹脂組成物を封止容器とする発光素子を示す説明図である。 図4は、この発明に係る発光素子用樹脂組成物を封止容器とする他の例としての発光素子を示す説明図である。 図5は、この発明に係る発光素子用樹脂組成物を封止容器として、封止容器と基板側層とで発光素子本体が封止された発光素子を示す説明図である。 図6は、この発明に係る発光素子用樹脂組成物を封止容器内に酸素吸収剤として含む発光素子を示す説明図である。
符号の説明
1 基材
2 発光層
3 封止層
4 発光素子
5、5B 封止容器
5A 覆蓋体
6 空間
7 封止容器
8 被覆層
9 発光素子本体
10 基板側層
11 接着剤層
12 表面層
13 凹凸部
14 ガスバリアー層
15 樹脂組成物層
16 接着界面

Claims (11)

  1. 共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、前記共役ジエン重合体中の不飽和結合に対する前記共役ジエン重合体環化物中に存在する不飽和結合の減少率が30%以上である共役ジエン重合体環化物と、脂環式オレフィン樹脂とを含有してなることを特徴とする発光素子用樹脂組成物。
  2. さらに、水分吸収性樹脂を含有する請求項1に記載の発光素子用樹脂組成物。
  3. 前記水分吸収性樹脂が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸重合体、アクリルアミド樹脂、アセタール樹脂、ウレタン樹脂、及びセルロース樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つである請求項2記載の発光素子用樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子用樹脂組成物を含有する樹脂組成物層と、酸素透過率が0.01cc/cm・日以下であるガスバリアー層とを積層してなる発光素子用積層体。
  5. 基板と、この基板の上に配置される発光層と、この発光層を覆蓋する、前記請求項4に記載の発光素子用積層体とを備えて成ることを特徴とする発光素子。
  6. 前記発光素子用積層体が、前記基板及び発光層に密着して封止する封止層を形成して成る前記請求項5に記載の発光素子。
  7. 前記発光素子用積層体が、前記発光層を密閉する封止容器を形成して成る前記請求項5又は6に記載の発光素子。
  8. 基板と、この基板の上に配置される発光層と、この発光層を覆蓋する封止容器と、この封止容器内に配置された、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光素子用樹脂組成物とを有することを特徴とする発光素子。
  9. 表面層と、接着樹脂層と、基板と、一対の電極を含む発光層と、請求項1〜3のいずれかに記載の発光素子用樹脂組成物を含有する樹脂組成物層と、酸素透過率が0.01cc/cm・日以下であるガスバリアー層とが、この順に積層され、
    前記基板と前記発光層との外周縁部において前記接着樹脂層と前記樹脂組成物層とが貼り合わされて前記基板と前記発光層とが封止されて成り、
    前記接着樹脂層は、極性基で変性された、共役ジエン重合体を環化反応させることにより得られる共役ジエン重合体環化物であって、不飽和結合減少率が30%以上である共役ジエン重合体環化物、又は極性基で変性された脂環式オレフィン樹脂を含んで成ることを特徴とする発光素子。
  10. 前記表面層における前記接着樹脂層とは反対側の面に凹凸部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の発光素子。
  11. 表面層と、接着樹脂層と、基板と、一対の電極を含む発光層と、請求項1〜3のいずれかに記載の発光素子用樹脂組成物を含有する樹脂組成物層と、酸素透過率が0.01cc/cm・日以下であるガスバリアー層とが、この順に積層された発光素子の製造方法であって、
    前記基板上に前記発光層が設けられた第1の部材を準備する工程と、
    前記表面層の一方の面に接着樹脂層が設けられた第2の部材を準備する工程と、
    前記ガスバリアー層の一方の面に樹脂組成物層が設けられた第3の部材を準備する工程と、
    前記第1の部材を収容した状態で、前記第1の部材の外周縁部において前記接着樹脂層と前記樹脂組成物層とを同時に貼り合わせるように、前記第2の部材と第3の部材とを当接させることにより、前記第1の部材を封止する工程と、
    を備えることを特徴とする発光素子の製造方法。
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