JP2008113118A - 音響再生システムおよび音響再生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リスナの頭部の位置関係変化や頭部の動き変化があっても、仮想的に作り出された音像の定位感が損なわれないようにした音響再生システムを提供する。
【解決手段】リスナ4の両耳とは非接触の状態で、リスナの両耳の近傍の所定の位置に、2個のスピーカ11SW1,11SW2を保持する。入力音声信号を、頭部伝達関数を用いた仮想音源処理を施して、2個のスピーカに供給する。2個のスピーカに対するリスナの頭部の位置関係および/またはリスナの頭部の動きを検出する検出手段と、2個のスピーカに対するリスナの頭部の位置関係および/またはリスナの頭部の動きに応じた複数の前記頭部伝達関数を記憶する頭部伝達関数記憶部を設ける。検出手段で検出された2個のスピーカに対するリスナの頭部の位置関係および/またはリスナの頭部の動きに応じた頭部伝達関数を、頭部伝達関数記憶部から読み出して、仮想音源処理に用いる。
【選択図】図1

Description

この発明は、仮想音源処理した音声信号を音響再生する音響再生システムおよび音響再生方法に関する。
ホームシアターシステムと呼ばれる映像音響再生システムが普及しつつある。この映像音響再生システムにおいては、例えばDVD(Digital Versatile Disc)からの映像再生は、比較的大画面のディスプレイに表示して行なうと共に、音響再生は、マルチチャンネルサラウンド音声方式、最近は、5.1チャンネル方式を採用して、迫力のある映像および音響再生ができるようにしている。
5.1チャンネル方式の音響再生システムでは、リスナの前方(以下フロントという)、リスナの正面(以下センターという)、リスナの後方(以下リアという)、低域専用と、4種類のスピーカが必要で、低域専用のスピーカであるサブウーハは、本来、100Hz以下の帯域をモノラルで受け持っている。その他のスピーカは、100Hzから20kHzを受け持つ。
従来、5.1チャンネル方式の音響再生システムにおけるスピーカ配置は、図22に示すようなものとされている。すなわち、図22に示すように、リスナ4の前方の、左側にフロント左チャンネル用スピーカ10FLが、右側にフロント右チャンネル用スピーカ10FRが、また、正面にセンターチャンネル用スピーカ10Cが、それぞれ配置される。
また、リスナ4の後方の、左側にリア左チャンネル用スピーカ10RLが、右側にリア右チャンネル用スピーカ10RRが、それぞれ配置される。さらに、適宜の位置に、LFE(Low Frequency Effect)チャンネル用(低域専用)のサブウーハスピーカ10SWが配置される。
これらの6個のスピーカ10FL,10FR,10C,10RL,10RR,10SWは、それぞれスピーカボックス(箱)に取り付けられて、それぞれの位置に配置される。通常、前後の6個のスピーカは、リスナ4との距離dsが、例えば2メートル程度とされて配置されることが多い。
従来の音響再生システムでは、例えば15リットル程度のスピーカボックスが利用されていたフロント左右チャンネル用のスピーカは、1リットル前後の小さなボックスに変わり、サテライトスピーカとも呼ばれている。当然低域は出ないので、それを補助するためにサブウーハと呼ばれる低域専用のスピーカが1個追加されている。このように、サブウーハ以外のスピーカを小型のボックスとした場合には、サブウーハ10SWに供給する音声信号のクロスオーバ周波数は、150Hzと、前記の100Hzよりも若干高めになっていることも多いが、かなり低い周波数であることには変わりはない。
このような配置のスピーカシステムで、DVDからの5.1チャンネルの音声信号を再生すると、当然のことであるが充分な低音が再生される。しかも、低域専用に再生側も特別にチャンネルを設けているので、映画などのソースでは従来にないほどの重低音が部屋中に響きわたり、迫力のある臨場感を得ることができる。
しかしながら、家が小さな日本の家屋では、マルチチャンネルサラウンド音声を音響再生するための上述したような6個のスピーカを配置するスペースを確保することができないという問題と、外部への音漏れによる騒音の問題がある。
すなわち、通常の5.1チャンネルのスピーカ構成では、DVDの映像音響鑑賞において、迫力ある音を再生するためには、90dB程度以上の音量を必要とする。したがって、リスナがマルチチャンネルサラウンドの効果を良好に得ようとした場合には、外部への騒音の問題を考慮する必要が生じる。
この時、一般に、高域の音は遮音が容易で、壁とかドア1枚でかなりの音を減衰させることが可能である。しかしながら、例えば100Hz以下のような低域の音の場合には、遮音は簡単にできず、家が小さな日本の家屋では、この低域の音を遮るほど部屋の広さがとれないことが多い。特にサブウーハが受け持つ50Hz、40Hzといった低音は、響き、かなりの範囲に音が伝播されることになる。
このため、サブウーハから音が再生されたときに、隣の部屋はもちろん、上下の部屋まで音が届いて迷惑をかけるおそれがある。特に低い帯域の音ほど遮音が難しく、サブウーハは、日本の住宅事情では大きな問題であり、せっかくの5.1チャンネルの音響再生システムも、充分使いきることが出来ない現状がある。
この問題点を解決するため、特許文献1(特開平5−95591号公報)には、中高音は小型スピーカ(スピーカユニットがスピーカボックスに収納されるタイプ)で音響再生し、低音域は低音用ヘッドホンや骨伝導で、リスナの耳の近傍で音響再生するようにした音響再生システムが提案されている。
この特許文献1の技術によれば、低音はヘッドホンや骨伝導でリスナの耳の近傍で音響再生されるので、リスナには大音量に聴こえても、隣家には伝わらないようにすることができる。
上記の特許文献は、次の通りである。
特開平5−95591号公報
しかしながら、上記の特許文献1の発明では、低域の音を耳の近傍で再生するものであっても、スピーカではなく、ヘッドホンや骨伝導を利用した振動体とされている。スピーカ以外の振動体で、スピーカと同等の低域感を得ることは、個人差もあるが、一般的に受け入れられるほど素直な感覚ではないと思われる。また、リスナはヘッドホンや骨伝導用のヘッドセットを装着しなければならず、煩わしいという問題もある。
さらには、特許文献1の発明では、低域の音に関する騒音の問題は軽減されるが、多数個のスピーカを狭いスペースに配置しなければならないという問題は、特許文献1の発明では解決されていない。
この点にかんがみ、出願人は、先に、特願2006−24302(平成18年2月1日出願)として、2個のスピーカを、リスナの頭部を挟んで、リスナの左および右の耳の近傍に配置するようにする保持すると共に、スピーカで音響再生したときに、リスナが他のスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように入力音声信号を仮想音源処理して、前記2個のスピーカに供給するようにした音響再生システムを提供した。
この先に提案した発明においては、2個のスピーカは、リスナの耳の近傍に保持されるように構成されているので、スピーカを大音量で鳴らさなくても、リスナには大音量に聴こえるようにすることができる。このため、隣家に伝播される音声は軽減される。
さらに、先に提案した発明においては、この2個のスピーカにより、例えばマルチチャンネルサラウンド音声のフロントチャンネルの音声やリアチャンネルの音声が、仮想音源処理されて供給されて、それらのフロントチャンネルやリアチャンネルの音声が、音響再生される。このため、フロントチャンネル用スピーカやリアチャンネル用スピーカを設ける必要が無くなるという効果を奏する。
ところで、先に提案した発明においては、仮想音源処理された音声信号が前記2個のスピーカにより音響再生されることによる音像は、リスナが、当該2個のスピーカの真ん中に座って動かないことを前提条件として仮想的に作り出すようにしている。これは、多くの場合、リスナは映像を見つめているため、頭の位置を変えたり、顔の向き(頭の向き)を変えたりすることはほとんど無いであろうとの仮定に基づいている。
しかしながら、現実には、リスナは、時々、顔(頭)の向きを変えたり、左右のスピーカのどちらかの方向に、一時的偏るように頭の位置を変えたり、頭を前後に移動したりすることが多々あった。そして、そのようなリスナの頭部の2個のスピーカに対する位置変化や頭部の動き変化があると、仮想的に作り出された音像の定位感が損なわれてしまうという問題があった。
この発明は、この問題点にかんがみ、スピーカに対するリスナの頭部の位置関係変化や頭部の動き変化があっても、常に、仮想的に作り出された音像の定位感が損なわれることが無いようにした音響再生システムを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、
2個のスピーカと、
リスナの両耳とは非接触の状態で、前記リスナの両耳の近傍の所定の位置に、前記2個のスピーカを保持するようにする保持手段と、
前記2個のスピーカに対する前記リスナの頭部の位置関係および/または前記リスナの頭部の動きを検出する検出手段と、
前記2個のスピーカで音響再生したときにリスナが他のスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように、入力音声信号を、頭部伝達関数を用いた仮想音源処理を施して、前記2個のスピーカに供給する音声信号出力手段と、
前記2個のスピーカに対する前記リスナの頭部の位置関係および/または前記リスナの頭部の動きに応じた複数の前記頭部伝達関数を記憶する頭部伝達関数記憶部と、
前記検出手段で検出された前記2個のスピーカに対する前記リスナの頭部の位置関係および/または前記リスナの頭部の動きに応じた頭部伝達関数を、前記頭部伝達関数記憶部から読み出して、前記音声信号出力手段に供給する制御手段と、
を備えることを特徴とする音響再生システムを提供する。
この発明においては、頭部伝達関数記憶部は、2個のスピーカに対するリスナの頭部の位置関係および/またはリスナの頭部の動きに応じた複数の頭部伝達関数を記憶している。
そして、検出手段は、2個のスピーカに対するリスナの頭部の位置関係および/またはリスナの頭部の動きを検出し、その検出結果を制御手段に渡す。制御手段は、検出手段で検出された2個のスピーカに対するリスナの頭部の位置関係および/またはリスナの頭部の動きに応じた頭部伝達関数を、頭部伝達関数記憶部から読み出して、音声信号出力手段に供給する。
音声信号出力手段は、制御手段から渡された頭部伝達関数を用いて仮想音源処理した音声信号を、2個のスピーカに供給するようにする。
したがって、音声信号出力手段は、リスナが、その頭部を2個のスピーカに対して位置変化および動き変化させたときにも、当該変化後の位置や動き状態に応じた頭部伝達関数を用いて仮想音源処理した音声信号を生成し、その生成した音声信号を2個のスピーカに供給する。これにより、仮想的な音像について、常に、定位感が損なわれることなく、再生音声を楽しむことができる。
この発明によれば、頭部伝達関数を用いて仮想音源処理した音声信号による仮想的な音像の定位感が、リスナが、その頭部を2個のスピーカに対して位置変化および動き変化させたときにも、損なわれることが無い音響再生システムを提供することができる。
以下、この発明による音響再生システムの幾つかの実施の形態を、前述した5.1チャンネル方式のマルチチャンネルサラウンド音声を音響再生する場合を例に、図を参照しながら説明する。
[第1の実施の形態]
この第1の実施の形態は、DVDプレーヤで再生された映像信号および音声信号を用いて、また、テレビ受像機で受信したデジタル放送信号を用いて、映像監視および5.1チャンネルのサラウンド音声聴取を行う場合の例である。
図1は、この第1の実施の形態による音響再生システムの概要を示す図である。
図1に示すように、この第1の実施の形態の音響再生システムは、2個のスピーカ11FLおよび11FRを具備する映像モニター装置としてのテレビ受像機1と、DVDプレーヤ2と、音声信号出力装置部3と、ユーザ4の両耳の近傍に設けられる2個のスピーカ11SW1および11SW2と、この例ではテレビ受像機1の上に載置されて、リスナ4および2個のスピーカ11SW1および11SW2側を撮像するための撮像部5と、撮像画像においてスピーカ11SW1および11SW2の位置を簡単に認識させるためのマーカ手段6Lおよび6Rと、音声信号受信部7と、を備えて構成されている。
この第1の実施の形態では、5.1チャンネルサラウンド音声のうちのフロント左右2チャンネルの音声再生用として、テレビ受像機1の2個のスピーカ11FLおよび11FRを用いる。この2個のスピーカ11FLおよび11FRは、テレビ受像機1に内蔵されていてもよいし、また、テレビ受像機1とは分離独立して設けられていても良い。
また、この第1の実施の形態では、ユーザ4の両耳の近傍に設けられる2個のスピーカ11SW1および11SW2は、5.1チャンネルサラウンド音声のうちの低域音声(LFEチャンネル)再生用、すなわち、サブウーハとされる。そして、この第1の実施の形態では、このサブウーハとなる2個のスピーカ11SW1および11SW2には、低域音声信号LFEに加えて、後述するように、5.1チャンネルサラウンド音声のうちのリア左右2チャンネル音声の音声信号が、音声信号出力装置部3において仮想音源処理されて供給される。
テレビ受像機1は、デジタル放送信号を受信することができる機能を備え、受信したデジタル放送信号から、デジタル放送番組の映像信号および音声信号を再生し、テレビ受像機1の表示画面1Dに、デジタル放送番組の再生映像を表示すると共に、スピーカ11FLおよび11FRによりデジタル放送番組の再生音声を音響再生する。
この場合、デジタル放送番組の音声がマルチチャンネルサラウンド音声であるときには、スピーカ11FLおよび11FRから放音されるデジタル放送番組の再生音声は、フロント左右2チャンネルの音声に、センターチャンネル、リア左右2チャンネルなどの音声が含まれている。
そして、この実施の形態では、テレビ受像機1で受信されて再生された音声信号Au1は、音声信号出力装置部3に供給される。
DVDプレーヤ2は、DVDに記録されている映像信号および音声信号を再生して出力する。この例では、DVDプレーヤ2で再生された映像信号Viは、テレビ受像機1に供給されて、表示画面1Dに、前記再生映像信号Viによる再生映像が表示される。また、DVDプレーヤ2で再生された音声信号Au2は、この例では、音声信号出力装置部3に供給される。
音声信号出力装置部3は、この実施の形態では、5.1チャンネルのマルチチャンネルサラウンド音声方式に対応するデコード機能を備え、テレビ受像機1で受信したデジタル放送番組の音声を5.1チャンネルサラウンド音声で再生する際には、ユーザ4の両耳の近傍に設けられる第1および第2のスピーカ11SW1および11SW2に供給する音声信号を生成する。そして、音声信号出力装置部3は、生成した第1および第2のスピーカ11SW1および11SW2に供給する音声信号を多重化(マルチプレックス)して、この例では電波を用いて音声信号受信部7に無線送信する。
音声信号受信部7は、音声信号出力装置部3から電波を受信し、その受信した電波から多重化されている音声信号を抽出し、デ・マルチプレックスして、第1のスピーカ11SW1に供給する音声信号と、第2のスピーカ11SW2に供給する音声信号とに分離し、それぞれ第1のスピーカ11SW1および第2のスピーカ11SW2に供給する。
なお、音声信号出力装置部3からの無線送信は、電波に限らず、超音波や光を用いるようにしても良い。
また、音声信号出力装置部3は、DVDプレーヤ2で再生した映像および音声の再生時には、ユーザ4の両耳の近傍に設けられる第1および第2のスピーカ11SW1および11SW2に供給する音声信号のみではなく、テレビ受像機1の左右2チャンネル用の2個のスピーカ11FLおよび11FRに供給する音声信号を生成し、それぞれ対応する各スピーカに供給するようにする。
この第1の実施の形態では、音声信号出力装置部3は、テレビ受像機1の左右2チャンネル用の2個のスピーカ11FLおよび11FRに対しては、フロント左チャンネルの音声信号Lとセンターチャンネルの音声信号Cとの和信号およびフロント右チャンネルの音声信号Rとセンターチャンネルの音声信号Cとの和信号を供給する。
また、音声信号出力装置部3は、リスナ4の両耳の近傍の2個のスピーカ11SW1および11SW2に対しては、後述するいわゆる仮想音源処理されたリア左チャンネルの音声信号RL*と低域音声信号LFEとの和信号および仮想音源処理されたリア右チャンネルの音声信号RR*と低域音声信号LFEとの和信号を供給する。
マーカ部6Lは、後述するように、リスナ4の左耳側のスピーカ11SW1の位置を特定することができるようにするため、このスピーカ11SW1の近傍に設置される。同様に、マーカ部6Rは、後述するように、リスナ4の右耳側のスピーカ11SW2の位置を特定することができるようにするため、このスピーカ11SW2の近傍に設置される。
撮像部5の構成は、後で詳述するが、この例では、撮像素子としてのCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを備えると共に、近赤外光を発光してリスナ4に対して照射する発光源としてのLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)を備える。
近赤外光をリスナ4に対して照射するのは、後述するようにリスナ4の瞳孔からの反射を容易に認識することができるようにするためである。
撮像部5は、リスナ4およびマーカ部6L,6Rを含むエリアを撮像して、その撮像画像データCAMを、この例では、接続ケーブルを通じて音声信号出力装置部3に送るようにする。なお、撮像部5と音声信号出力装置部3との間の信号伝送も、音声信号出力装置部3と音声信号受信部7との間の信号伝送と同様に無線により行なうようにしても良いことはいうまでもない。
音声信号出力装置部3は、後述するように、撮像部5から受信した撮像画像データCAMを解析して、リスナ4のスピーカ11SW1および11SW2に対する位置および顔(頭部)の向きを検出し、その検出結果を、仮想音源処理に反映させるようにする。
すなわち、仮想音源処理では、頭部伝達関数が用いられるが、そのため、予め、頭部伝達関数が求められて音声信号出力装置部3に記憶されている。従来は、リスナ4が動かないことを前提にしているので、正面のテレビ受像機1の画面を向いていて、スピーカ11SW1および11SW2の間の中央の位置にリスナ4が固定的に存在している状態における頭部伝達関数のみを記憶している。
これに対して、この実施の形態では、より細かく、リスナ4のスピーカ11SW1および11SW2に対する種々の位置、およびリスナ4の顔の種々の向きにおける頭部伝達関数を求めて、音声信号出力装置部3の記憶部に記憶しておく。そして、音声信号出力装置部3では、撮像部5から受信した撮像画像データCAMの解析結果からリスナ4のスピーカ11SW1および11SW2に対する位置および顔の向きを検出し、その検出結果に応じた頭部伝達関数を、頭部伝達関数の記憶部から読み出し、当該読み出した頭部伝達関数を用いて仮想音源処理するようにする。
これにより、この実施の形態では、リスナ4が頭部を動かした場合でも、リスナ4は、定位感を損なわずに、再生音声を聴取することができるようにしている。以上の処理は、後でさらに詳述する。
[第1の実施の形態のスピーカ配置例]
次に、図2に、以上説明したこの実施の形態における音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明する。
図2に示すように、この実施の形態においては、リスナ4の前方の、左側にフロント左チャンネル用スピーカ11FLが、右側にフロント右チャンネル用スピーカ11FRが、それぞれ配置される。
これらのスピーカ11FL,11FRは、この例では、テレビ受像機1に内蔵されているので、例えば小型のスピーカボックス12FL,12FRの前面側(例えばテレビ受像機の前面パネル)をバッフル板として、それぞれ用のスピーカユニット13FL,13FRが取り付けられたもので構成されている。これらのスピーカ11FL,11FRは、どのチャンネルかを区別する必要がないときには、以下、フロントスピーカと称する。
そして、この実施の形態では、リスナ4の左右の耳の近傍において、2個のスピーカ11SW1および11SW2が、その振動板がそれぞれの耳に対向するように、リスナ4の頭部を挟んで配置される。そして、これら2個のスピーカ11SW1および11SW2は、そのスピーカユニットの振動板の前後から放射される音が混合可能となるように、当該スピーカユニットはスピーカボックスには収納されてはおらず、かつ、バッフル板に取り付けられてもいない。
そして、この実施の形態では、リスナ4の両耳の近傍の2個のスピーカ11SW1および11SW2には、LFEチャンネルの低域音声信号が共通に供給され、これらスピーカ11SW1および11SW2から同相でLFEチャンネルの低域音が放音されるようにされている。したがって、この実施の形態では、スピーカ11SW1および11SW2は、サブウーハとなる。以下、このスピーカ11SW1および11SW2をサブウーハと呼ぶことにする。
このように構成される結果、LFEチャンネルの低域音は、リスナ4の両耳の近傍で放音されるため、リスナ4には大音量で聴取されるが、リスナ4から離れた位置では、サブウーハ11SW1,11SW2のスピーカユニットの振動板の前と後から出てくる音が、互いに180度位相が異なり、互いに打ち消し合うため、殆ど聴取されないようになる。これにより、従来のように低域の音が隣家にまで伝播して、迷惑をかけてしまうという事態を防止することができる。
低域の音の減衰を確かめるために、無響室において、図3に示すように、サブウーハ用とされる例えば17センチメートルの口径のスピーカユニット11SWからの音を、スピーカユニット11SWから距離dだけ離れた位置のマイクロホン14で収音して、その音圧レベルの周波数特性を測定したところ、図4に示すようなものとなった。この場合、スピーカユニット11SWは、ボックスに収納したり、バッフル板に取り付けたりされてはいない。
図4における4個の周波数特性曲線は、同図に示すように、前記スピーカユニット11SWとマイクロホン14との距離dが、それぞれd=10センチメートル、d=20センチメートル、d=40センチメートル、d=80センチメートルの時のものである。
この図4から、スピーカユニットをボックスに入れない構成にすると、1kHz以下の音はかなり減衰することが分かり、特に低域の音になるほどその減衰量が大きいことが確かめられた。
そして、この実施の形態の場合、2個のサブウーハ11SW1,SW2と、リスナ4の左耳、右耳との間のそれぞれの距離dswは、低域の音がリスナ4の耳にそれほど減衰されること無く伝達される距離、この例では、dsw=20センチメートル程度とされる。
例えば、サブウーハ2SWとリスナ4の耳までの距離を2メートルとした一般的なものに対して、この実施の形態では、サブウーハ11SW1,11SW2とリスナ4の両耳のそれぞれとの距離は、20センチメートルとした場合、この実施の形態の場合には、従来のものと比較して距離が1/10になる。
このために、この実施の形態において、リスナ4が同じ音圧を感じるために必要なエネルギーは、上述の一般的なものの場合の1/100でよいことになる。つまり、上述の一般的な例で仮に100W(ワット)のアンプを必要としていた場合には、この実施の形態の場合には、1Wのアンプでも同じ音圧を感じることになる。
この実施の形態では、スピーカに供給する音声信号出力の違いによるだけでも音の拡散が小さい上に、低い音、例えば周波数が20Hz,30Hz,40Hz当たりになると、位相の点でキャンセルし、サブウーハのスピーカユニットのごく近傍以外ではほとんど音は聴こえなくなる。その一方で、DVDソフトに含まれる迫力ある音響効果は、この低音の帯域に大きなエネルギーを収録することで得るようにしてあるため、防音の効果はより大きくなる。
以上の構成により、低域音のみに注目して、当該低域音のみを減衰させることを考えた場合には、十分に効果が得られる。なお、同様にして、スピーカ11SW1および11SW2から、低域音以外の音を音響再生して放音する場合にも、上述と同様の防音効果を得ることができることは言うまでもない。
5.1チャンネルサラウンド音声の場合、さらにセンターチャンネルの音声およびリア左右2チャンネルの音声がある。従来は、センターチャンネルの音声用スピーカ11Cは、図2で、リスナ4の前方において点線で示すように、スピーカボックス12Cの前面側をバッフル板として、スピーカユニット13Cが取り付けられたものが、図示のように、リスナ4の前面側に配置される。
同様に、従来は、リア左右2チャンネルの音声用スピーカ11RLおよび11RRは、図2で、リスナ4の後方において点線で示すように、小型のスピーカボックス12RLおよびRRのそれぞれに、当該スピーカボックスの前面側をバッフル板として取り付けられたリア用のスピーカユニット13RLおよび13RRが配置されるものである。
しかし、この実施の形態では、センターチャンネルの音声およびリア左右2チャンネルの音声は、それら専用のスピーカ11Cや11RL,11RRを設けずに、前述したようにして、テレビ受像機の2個のスピーカ11FL,11FRおよびリスナ4の両耳近傍の2個のスピーカ11SW1および11SW2により、音響再生するようにする。
すなわち、センターチャンネルの音声信号Cは、フロント左右2チャンネルの音声信号LおよびRにそれぞれ加算して、スピーカ11FL,11FRのそれぞれに供給して、これらスピーカ11FL,11FRにより音響再生するようにする
また、リア左チャンネルの音声信号RLは仮想音源処理した音声信号RL*とし、リスナ4の左耳に対向するスピーカ11SW1に供給して音響再生する。さらに、リア右チャンネルの音声信号RRは仮想音源処理した音声信号RR*とし、リスナ4の右耳に対向するスピーカ11SW2に供給して音響再生する。
上述したように、スピーカ11SW1および11SW2は、リスナ4の耳までの距離が小さい位置に配置されているので、リア左右2チャンネル音声信号RLおよびRRについても、その音域での放射エネルギーを小さくして、防音に寄与させることができる。
そして、リスナ4の耳元近くに配置したサブウーハ11SW1,11SW2により、仮想音源処理したリア左右2チャンネルの音声を音響再生することは、元々、リア左右2チャンネル音声は、リスナ4の背面からの残響音等が主な音源であるため、それほど定位位置が重要でないことから、省スピーカ、低騒音を実現しながら、良好なサラウンド音声を得ることができるという効果がある。
また、上述もしたように、サブウーハ11SW1,11SW2の音圧は、当該サブウーハ11SW1,11SW2とリスナ4の耳との間の距離dswが、一般的な例の2メートルに比べ20センチメートルになることで20dB下げることができるので、リア左右2チャンネル音声信号RL,RRについても同様とすることができて、省エネルギーを実現することができる。
以上のことを考慮した、スピーカ配置の例としては、例えばマッサージチェアのような構造の椅子に、それぞれスピーカを設置する方法が考えられる。
図5は、その場合の一例を示すものであり、前述したリスナ4の両耳の近傍に配置されるべき2個のスピーカ11SW1,11SW2が、椅子に装着された構造とされたものを示す図である。
すなわち、この例においては、例えば、椅子20は、飛行機のビジネスクラスのシートのような構造で、椅子20の背もたれ部21の頂部21aに、スピーカ保持具22が取り付けられ、このスピーカ保持具22に、サブウーハ11SW1,11SW2が取り付けられて保持される。
そして、この実施の形態では、スピーカ保持具22には、そのサブウーハ11SW1,11SW2の取り付け位置の上方において、マーカ部6Lおよび6Rが取り付けられている。
図6(A),(B)は、スピーカ保持具22の一例を示す図である。このスピーカ保持具22は、例えばアルミニュームなどの金属からなるパイプ221により構成されている。図6(B)に示すように、パイプ221は扁平のリング状に構成され、そのリングにより形成される空間に、サブウーハ11SW1,11SW2と、さらに補助用のサブウーハ11SW3,11SW4とが固定保持される構造となっている。そして、マーカ部6Lおよび6Rが、スピーカ保持具22の、サブウーハ11SW1,11SW2の固定保持部上に取り付けられている。
補助用のサブウーハ11SW3,11SW4は、リスナ4の耳の横に配置されているサブウーハ11SW1,11SW2のみでは、聴感上、低域の音がパワー不足と感じられる場合があるので、当該パワー不足を補充するためのもので、これら補助用のサブウーハ11SW3,11SW4は必須のものではない。
なお、これらの補助用のサブウーハ11SW3,11SW4には、この実施の形態では、低域音声信号(LFE信号)のみが供給されるようにされている。これらの補助用サブウーハ11SW3,11SW4にも、サブウーハ11SW1,11SW2と同様にして、仮想音源処理した音声信号を供給するようにしてもよい。
パイプ221は、扁平なリング状形状に構成されており、かつ、そのリング状部分が、図6(A)に示すように、リスナ4の顔の正面方向を除く頭部の横(左右の耳と対向する側)と頭部の後部とを囲むように、ほぼコ字状に構成されている。
そして、このリング状パイプ221には、椅子20の背もたれ部21に取り付けるための取り付け脚部222a、222bが連結して設けられており、この取り付け脚部222a、222bにより、椅子20の背もたれ部21に、例えば取り外し可能に取り付けられることができるようにされている。すなわち、例えば椅子20の背もたれ部21の頂部21aには、取り付け脚部222a、222bが挿入嵌合する長孔(図示は省略)が設けられており、取り付け脚部222a、222bが、当該背もたれ部21の長孔に挿入嵌合されることにより、取り付け固定されるように構成されている。
そして、このコ字状のリング状パイプ221の、リスナ4が椅子に座ったときに、リスナ4の左右の耳と対向する位置に、それぞれサブウーハ11SW1および11SW2が、パイプ221に固定されて保持される。また、リスナ4の頭部の後方となるリング状パイプ位置に、補助用のサブウーハ11SW3,11SW4が、パイプ221に固定されて保持される。そして、前述したように、マーカ部6Lおよび6Rが、スピーカ保持具22の、サブウーハ11SW1,11SW2の固定保持部上に取り付けられる。
この例の場合、リスナ4が椅子20に座ったとき、サブウーハ11SW1〜SW4と、リスナ4の頭部(特に耳)との距離は、例えば20センチメートル程度となるように、構成されている。
そして、各スピーカ11SW1〜11SW4への対応するチャンネルの音声信号は、この例では、音声信号出力装置部3から、それぞれ信号線(スピーカケーブル)を通じて供給されるように構成されている。また、マーカ部6Lおよび6Rを構成するLEDに対しても、この例では、音声信号出力装置部3から、それぞれケーブルを通じて発光制御信号が供給されている。
[第1の実施の形態における音声信号出力装置部3の構成例]
図7は、この第1の実施の形態における音声信号出力装置部3の構成例を示すブロック図である。この第1の実施の形態における音声信号出力装置部3は、音声信号処理部300と、マイクロコンピュータからなる制御部100とを備える。
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101に対して、システムバス102を通じて、ソフトウエアプログラムなどが格納されているROM(Read Only Memory)103、ワークエリア用のRAM(Random Access Memory)104、複数個の入出力ポート105〜108、ユーザ操作インターフェース部110、頭部リア伝達関数記憶部111、撮像画像解析部112、マーカ部ドライブ部113などが接続されて構成されている。なお、ユーザ操作インターフェース部110は、音声信号出力装置部3に対して直接的に設けられるキー操作部などの他、リモートコマンダとリモコン受信部とで構成されるものを含むものである。
前述したように、この実施の形態では、音声信号出力装置部3は、テレビ受像機1からの音声信号Au1と、DVDプレーヤ2からの音声信号Au2とを受信することが可能とされており、これら受信された音声信号Au1およびAu2は、入力選択用スイッチ回路301に供給される。
この入力選択用スイッチ回路301は、ユーザ操作インターフェース部110を通じたユーザの選択操作に応じて、制御部100の入出力ポート105を通じた切り替え信号により切り替えられる。すなわち、ユーザにより、テレビ受像機1からの音声が選択された場合には、スイッチ回路301は、音声信号Au1を選択するように切り替えられ、また、DVDプレーヤ2からの音声が選択された場合には、スイッチ回路301は、音声信号Au2を選択するように切り替えられる。
そして、このスイッチ回路301で選択された音声信号は、5.1チャンネルデコード部302に供給される。5.1チャンネルデコード部302では、スイッチ回路301からの音声信号Au1またはAu2を受けて、チャンネルデコード処理をして、フロント左右チャンネルの音声信号L,Rと、センターチャンネルの音声信号Cと、リア左右チャンネルの音声信号RL,RRと、低域音声信号LFEを出力する。
5.1チャンネルデコード部302からのフロント左チャンネルの音声信号Lと、センターチャンネルの音声信号Cとは、合成部303に供給されて合成され、その合成出力音声信号(L+C)が、アンプ305を通じて音声出力端子307に導出される。この出力端子307に得られる音声信号は、テレビ受像機1の一方のスピーカ11FLに供給される。
また、5.1チャンネルデコード部302からのフロント右チャンネルの音声信号Rと、センターチャンネルの音声信号Cとは、合成部304に供給されて合成され、その合成出力音声信号(R+C)が、アンプ306を通じて音声出力端子308に導出される。この出力端子308に得られる音声信号は、テレビ受像機1の他方のスピーカ11FRに供給される。
アンプ305および306は、音声信号出力を遮断するミューティング機能を備えており、制御部100の入出力ポート107を通じたミューティング信号によりミューティング制御されるように構成されている。
そして、この実施の形態では、テレビ受像機1からの音声信号Au1を受信するときには、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRからは、テレビ受像機1で再生された音声信号が音響再生されるので、アンプ305および306は、ミューティング制御されて、音声信号装置部3からの音声信号が、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRに供給されないように遮断される。
一方、DVDプレーヤ2からの音声信号Au2を受信するときには、アンプ305および306は、ミューティング制御されず、音声信号装置部3からの音声信号が、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRに供給される。
なお、アンプ305および306をミューティング制御する構成に代えて、5.1チャンネルデコード部302において、テレビ受像機1からの音声信号のデコード時には、フロント左右チャンネルの音声信号L、Rおよびセンターチャンネルの音声信号Cをデコード出力しないように構成しても良い。その場合には、そのための制御信号は、入出力ポート106を通じて供給するようにすれば良い。
次に、5.1チャンネルデコード部302でデコードされて得られたリア左右2チャンネルの音声信号RL,RRは、仮想音源処理部としてのリア伝達関数畳み込み回路310に供給される。
リア伝達関数畳み込み回路310は、例えばデジタルフィルタを用いて、予め、頭部リア伝達関数記憶部111に用意されている頭部リア伝達関数を、5.1チャンネルデコード部302からのリア左右2チャンネルの音声信号RLとRRに対して、畳み込むようにする。
このため、リア伝達関数畳み込み回路310では、その入力音声信号がデジタル信号ではないときにはデジタル信号に変換され、頭部リア伝達関数が畳み込まれた後、アナログ信号に戻されて出力される。
頭部リア伝達関数は、この例では、次のようにして測定されて求められ、頭部リア伝達関数記憶部111に格納される。図8は、頭部リア伝達関数の測定方法を説明するための図である。
すなわち、図8(A)に示すように、リスナ4の左右両耳の近傍に、左チャンネル測定用マイクロホン41および右チャンネル測定用マイクロホン42を設置する。次に、リスナ4の後方の、通常、リア左チャンネル用スピーカを配置するような場所に、当該リア左チャンネル用スピーカ11RLを配置する。そして、このリア左チャンネル用スピーカ11RLで、例えばインパルスを音響再生したときの放音音声を、それぞれのマイクロホン41,42で収音し、その収音した音声信号から、リアスピーカ11RLからの左右の耳までの伝達関数(リア左チャンネルについての頭部リア伝達関数)を測定する。
同様にして、リア右チャンネル用スピーカ11RRで、例えばインパルスを音響再生したときの放音音声を、それぞれのマイクロホン41,42で収音し、その収音した音声信号から、リアスピーカ11RRからの左右の耳までの伝達関数(リア右チャンネルについての頭部リア伝達関数)を測定する。
なお、頭部リア伝達関数は、リアスピーカRLおよびRRを、例えば、リスナ4の後方中央から左右に30度で、2mの位置にスピーカを置いたときに、各スピーカから耳までの伝達関数を測定し、得た伝達関数とすると良い。
伝達関数について更に補足する。例えば図8(A)の左後方から左耳に来る伝達関数を伝達関数Aとする。次に左耳の近傍にあるスピーカ11SW1からマイク41までの伝達関数を測定し、得た伝達関数を伝達関数Bとする。そして、伝達関数Bに、ある伝達関数Xを掛けると伝達関数Aになる様な伝達関数Xを求め、近傍のスピーカ11SW1に送り込まれる信号音に、求めた伝達関数Xを畳み込めば、そのときにスピーカ11SW1から放音される音は、あたかも左後方2mから来たように感じる訳である。
ただし、必ずしも伝達関数Xを求めればよい訳ではなく、場合により伝達関数Aだけでもよいこともある。なお、以上の説明は、伝達関数の1つとして、リスナ4の左後方から左耳に来る伝達関数を代表して記述したが、図8(A)にも示されるように、伝達関数は、実際には、リスナ4の左後方から右耳に来る伝達関数、リスナ4の右後方から右耳に来る伝達関数、リスナ4の右後方から左耳に来る伝達関数など、複数あることは言うまでもない。
このリア伝達関数畳み込み回路310からの音声信号RL*およびRR*を、両耳近傍に配置したスピーカ11SW1および11SW2に供給して音響再生したときには、リスナ4は、あたかも、後方の左右のリアスピーカ11RLおよび11RRから音声が放音されたように、再生音声を聴取する。
このときの仮想音源処理されたリア左右チャンネルの音声信号RL*およびRR*のレベルは、スピーカ11RLおよび11RRに供給する場合の信号レベルよりも、低いレベルでよい。スピーカ11SW1および11SW2は、リスナ4の耳の近傍にあるからである。
この明細書では、上述の頭部伝達関数畳み込みにより、仮想的なスピーカ位置から音声が放音されるように聴取されることから、以上の処理を仮想音源処理と呼ぶものである。
以上のようにして、リア伝達関数畳み込み回路310からの仮想音源処理がなされた音声信号RL*およびRR*は、合成部311および312に供給される。合成部311および312には、5.1チャンネルデコード部302からの低域音声信号LFEが供給される。
そして、この合成部311および312の出力音声信号は、それぞれスピーカ11SW1および11SW2に供給すべき信号である。この合成部311および312の出力音声信号は、多重化部313に供給されて多重化(マルチプレックス)され、無線送信部314から、音声信号受信部7に無線送信される。
音声信号受信部7は、この実施形態では、図10に示すように構成されている。音声信号出力装置部3から無線送信されてくる信号は、無線受信部71で受信され、デ・マルチプレックス部72に供給される。デ・マルチプレックス部72では、当該受信した信号に多重化されている音声信号がデ・マルチプレックスされて、第1のスピーカ11SW1に供給する音声信号と、第2のスピーカ11SW2に供給する音声信号とに分離される。そして、分離されたそれぞれの音声信号が、それぞれアンプ73および74を通じて、出力端子75および76を通じて第1のスピーカ11SW1および第2のスピーカ11SW2に供給される。
したがって、スピーカ11SW1および11SW2は、サブウーハとして、低域音声信号LFEを音響再生すると共に、仮想音源処理されたリア左右チャンネルの音声信号RL*およびRR*を音響再生する。
この場合に、テレビ受像機1からの音声信号Au1を5.1チャンネルデコード部302でデコードして、上述のような音響再生をする場合、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRからの放音音声には、リア左右チャンネルの音声が含まれていることを考慮する必要がある。
すなわち、リスナ4の両耳の近傍に配置されているスピーカ11SW1および11SW2から放音されるリア左右チャンネルの音声が、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRからの放音音声に含まれるリア左右チャンネルの音声により、音源定位が狂ってしまうのではないかという問題である。
しかしながら、この実施の形態においては、スピーカ11SW1および11SW2は、リスナ4の耳の近傍に設けられているため、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRの位置よりも十分にリスナ4に近く、このため、スピーカ11SW1および11SW2からの放音音声の方が、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRからの放音音声よりも、はるかに早くリスナ4に到達する。
したがって、ハース(Haas)効果によって、リスナ4は、リア音声としては、スピーカ11SW1および11SW2からの放音音声のみを聴取する状態となり、テレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRに供給する音声信号から、リア左右チャンネルの音声信号を予め除去するなどの処理は不要である。
なお、音声信号受信部7を設けずに、音声信号出力装置部3からスピーカケーブルを通じて、第1および第2のスピーカ11SW1および11SW2に、対応する音声信号を供給するように構成してももちろん良い。
また、補助用のサブウーハ11SW3および11SW4に供給する音声信号系については、図7では、省略したが、前述もしたように、これらの補助用のサブウーハ11SW3および11SW4には、低域音声信号LFEのみを供給するようにしてもよいし、また、仮想音源処理されたリア左右チャンネルの音声信号RLおよびRRを、低域音声信号LFEに加えて供給するようにしてもよい。
以上のようにして、図5に示した椅子20にマルチチャンネル用スピーカを取り付けた、第1の実施の形態の音響再生システムによれば、椅子20に座ったリスナ4は、チャンネル数よりも数のスピーカを用いて、大音量で、臨場感のあるマルチチャンネル音声を楽しむことができると共に、周囲への音の漏れを大幅に減少させることができる。
特に、この実施の形態では、サブウーハ用のスピーカ11SW1および11SW2をボックスに収納せずにリスナ4の耳の近傍に配置するようにしたことにより、重低音が隣接した部屋に漏れるのを大幅に減衰させることができる。また、前述したように、サブウーハ用のチャンネル以外のリア左右チャンネルの音声も、このスピーカ11SW1および11SW2により仮想音源処理して放音するようにしたので、その音声信号レベルを低くすることができるようにしたことにより、低音のみでなく、周囲への音の漏れのレベルをさらに低くすることができる。このため、例えば深夜のDVD鑑賞でも他者を気にせずに、十分な音量で楽しむことができる。
また、スピーカ11SW1および11SW2は、リスナの耳の近傍に配置したので、音声信号出力パワーは極端な場合、従来の場合の1/100程度にすることができ、省エネルギー化ができ、また、ハードウエア(出力アンプ)のコストを大幅に引き下げることができる。さらに、音声出力パワーは、小さなパワーで済むことで、スピーカは大きなストロークを必要としない薄く、軽い、安価なスピーカを用いることができるという利点もある。また、音声出力パワーが小さくなることにより、発熱が減り、電源などの装置の小型化も出来るため、電池駆動も可能で、椅子等のデザインの中に埋め込むことが出来る。
したがって、トータルで音響再生システムの省エネルギー化が実現でき、かつ、鑑賞する人の満足度を落とさず、周りへの騒音も減らす音響再生システムを提供できるメリットがある。
通常の防音窓においても、5kHzで45dB減衰できる性能があっても、1kHzでは36dB、100Hzでは20dBまで落ちてくる。まして、50Hz以下では、さらに減衰量は少なくなるため、この実施の形態によるサブウーハの防音効果は著しく、部屋の防音工事までして、映像音響再生を楽しむことを考えると、その節約できる費用効果は非常に大きなものがある。
ところで、従来は、リスナ4は、椅子に座り、ほとんど両スピーカ11SW1,11SW2の真ん中で、正面を見て、DVD映像を鑑賞しながら音声を聴取することが大前提であった。しかし、よりリアルな仮想音源定位を実現するためには、リスナ4の顔がどの位、正面からずれたかを検出し、その補正を行うことで、仮想音源定位の精度が上がることが報告されている(日本音響学会2003年3月、ヘッドホンを用いたバーチャルサウンドイメージング 横手 龍次 参照)。
そこで、この実施の形態では、リスナ4が頭部の位置を変えたり、顔の向きを変えたりすることに対応して、上記の複数の頭部リア伝達関数のそれぞれは、2個のスピーカ11SW1および11SW2に対するリスナ4の種々の位置およびリスナ4の顔(頭)の種々の方向において、測定して取得する。
この例では、2個のスピーカ11SW1および11SW2に対するリスナ4の種々の位置としては、2個のスピーカ11SW1および11SW2に挟まれる位置におけるリスナ4の、スピーカ11SW1および11SW2との距離が種々に変化した位置とする。
すなわち、2個のスピーカ11SW1および11SW2に挟まれる位置にリスナ4の頭部が存在する場合において、リスナ4の頭部の中心線位置とスピーカ11SW1(スピーカ11SW1の例えば振動板位置)との距離をd1とし、リスナ4の頭部の中心線位置とスピーカSW2(スピーカ11SW1の例えば振動板位置)との距離をd2としたとき、その差Δ=d1−d2により、リスナ4の頭部の、2個のスピーカ11SW1および11SW2間の位置を表すものとする。ただし、差Δの絶対値は、d1+d2よりも小さい。
つまり、差Δ=0のときには、リスナ4の頭部は、図8(A)に示すように、2個のスピーカ11SW1および11SW2間の中央の位置にある。差Δが正の値のときには、リスナ4の頭部は、図8(B)に示すように、スピーカ11SW2側に寄った位置であって、当該差Δの値に応じた位置にある。また、差Δが負の値のときには、リスナ4の頭部は、図8(C)に示すように、スピーカ11SW1側に寄った位置であって、当該差Δの値に応じた位置にある。
この実施の形態では、正および負の差Δの値の所定値ごとの位置、例えば差Δが4cmの整数倍ごとの位置(頭部の位置で言えば、2cmおきの位置)において、上述した頭部伝達関数を測定する。その場合に、各位置において、図8(D)に示すように、リスナ4の顔の方向についても、正面方向に対する角度θが、所定の角度ごと、例えば2度ごとの位置について、頭部伝達関数を測定する。
以上のようにして測定された頭部リア伝達関数が頭部リア伝達関数記憶部111に記憶され、リア伝達関数畳み込み回路310に、入出力ポート108を通じて供給されて、リア伝達関数畳み込み回路310において畳み込まれる。
図9に、頭部リア伝達関数記憶部111に記憶されている一つの頭部伝達関数についての、リスナ4の頭部の種々の位置および顔の向きに応じた情報の例を示す。すなわち、この図9には、差Δ=d1−d2の一つの値Δj(j=0,±1,±2,・・・)が示す位置において、顔の向きを所定角度ずつ異ならせた方向θi(i=1,2,・・・,n)のときにおける頭部伝達関数が、それぞれ示されている。
ここで、頭部伝達関数HLji(+)は、頭部が値+Δjの位置での、顔が左向きの方向θiの場合における頭部伝達関数を意味しており、頭部伝達関数HRji(+)は、頭部が値+Δjの位置での、顔が右向きの方向θiの場合における頭部伝達関数を意味している。また、頭部伝達関数HLji(−)は、頭部が値−Δjの位置での、顔が左向きの方向θiの場合における頭部伝達関数を意味しており、頭部伝達関数HRji(−)は、頭部が値−Δjの位置での、顔が右向きの方向θiの場合における頭部伝達関数を意味している。
ここで、頭部伝達関数Hj0(+)およびHj0(−)(ただし、Δ0(j=0)の位置ときには、(+)、(−)はなし)は、頭部が値Δjの位置での顔の方向θiが正面を向いている場合における頭部伝達関数を意味している。
図9は、一つの頭部伝達関数に関する記憶値を示しており、上述したように、頭部伝達関数は、複数個あるので、それら複数個の頭部伝達関数に関して、図9と同様の記憶値が、頭部リア伝達関数記憶部111に格納されるものである。
なお、以上の説明では、リスナ4の頭部は、スピーカ11SW1と11SW2とを結ぶ線上を横方向に動いて位置を変えるものと想定したが、リスナ4の頭部が上下方向に動いて位置を変える場合を想定して、例えば2cmおきの上下方向の各位置についても、上述した頭部伝達関数の測定を行って、それを頭部リア伝達関数記憶部111に記憶するようにしても良い。
また、リスナ4の頭部が正面方向に前後する(後ろへの移動は、椅子の場合には、制限される)場合を想定して、各値±Δjの位置において、リスナ4の頭部の前後方向の移動について変化させて、その変化の各位置において、上述の頭部伝達関数を測定して、それを頭部リア伝達関数記憶部111に格納するようにしてもよい。
この場合、頭部リア伝達関数記憶部111に記憶される頭部伝達関数の数が大量になるが、適宜最適化して、記憶する頭部伝達関数の数を少なくするようにすることもできる。
この実施の形態では、制御部100では、この頭部リア伝達関数記憶部111に格納された種々の位置および顔の向きに応じた頭部リア伝達関数の中から、DVD映像を観視しながら、音声を聴取しているリスナ4の実際の頭部の位置、および顔の方向に応じた適切な頭部リア伝達関数を選択して読み出し、リア伝達関数畳み込み回路310に供給する。
この実施の形態の場合、適切な頭部伝達関数の選択のために、撮像部5は、DVD映像を観視しながら音声を聴取しているリスナ4および前記マーカ部6L,6Rの部分を撮像し、その撮像画像データCAMを、音声信号出力装置部3に供給する。
音声信号出力装置部3では、この撮像画像データを撮像画像解析部112で受ける。撮像画像解析部112では、受け取った撮像画像データCAMによる撮像画像を解析して、後で詳述するように、スピーカ11SW1および11SW2に対するリスナ4の頭部の位置を検出すると共に、リスナ4の顔(頭)が向いている方向を検出し、その検出出力をシステムバスに送出する。
CPU101は、撮像画像解析部112からのリスナ4の頭部の位置検出結果および顔の向き検出結果を受け取り、それらを読み出しのための引数として、頭部リア伝達関数記憶部111の記憶内容を検索し、リスナ4の位置検出結果および顔の向き検出結果に対応する頭部リア伝達関数を、頭部リア伝達関数記憶部111から読み出す。この場合、検出された位置および顔の方向に最も近い位置および顔の方向で測定された頭部リア伝達関数が、リスナ4の位置検出結果および顔の向き検出結果に対応する頭部リア伝達関数として読み出されるものである。
音声信号出力装置部3の制御部100は、撮像部5からの撮像画像データCAMを、リスナ4がDVD映像および音声を鑑賞している間は常に受信して、時々刻々と変化するリスナ4の頭部の位置および顔の向きを検出して、その検出結果に応じた頭部伝達関数を、頭部リア伝達関数記憶部111から読み出して、音声信号処理部300に供給する。このため、音声信号処理部300では、リスナ4の頭部の位置変化および動きにリアルタイムに応じた仮想音源処理を行うようにする。
したがって、リスナ4が頭部の位置を移動したり、顔の向きを変えたりしたとしても、常に、リスナ4は、仮想的な音像について定位感を損なうことなく、マルチチャンネルサラウンド音を楽しむことができる。
なお、撮像部5を用いずに、リスナの頭部にジャイロセンサを装着して、頭部の位置変化および顔の向きの変化を検出することも考えられる。
しかし、この実施の形態の音響再生システムにおいては、ヘッドホンではなく、リスナ4とは離れた位置に配置されたスピーカにより音声を音響再生するもので、リスナ4は、椅子に座って、機器が体に接触しない心地よさを獲得している。そのため、リスナ4の頭部の位置変化および顔の向きの変化を検出するために、ジャイロセンサ等のセンサをリスナ4に装着させることは、せっかくのリスナの心地よさを破壊してしまうので、リスナ4にとって機器装着の不快さを避けることができる撮像部5を用いる構成の方がよい。
[撮像部5の構成例]
図11に、この実施の形態における撮像部5の構成例を示す。
この実施の形態の撮像部5においては、撮像レンズ51を透過した被写体からの光がイメージセンサ52で受光されて、被写体が撮像される。この実施の形態の場合、イメージセンサ52としては、撮像画像信号の高速読み出しが可能なものを使用する。すなわち、通常のイメージセンサから読み出される撮像画像信号のフレームレートは、60フレーム/秒であるが、この実施の形態で用いるイメージセンサ52からの撮像画像信号のフレームレートは、例えば、その4倍速である240フレーム/秒とされている。
このような高速のフレームレートの撮像画像信号とするのは、リスナ4の頭部の位置変化や顔の方向の変化に追従した仮想音源処理は、当該リスナ4の頭部の位置変化や顔の方向の変化の検出時点から20〜30ミリ秒以内に行う必要があるからであり、これが60ミリ秒以上になると、仮想的な音像の定位感が損なわれることが報告されているからである。
このイメージセンサ52からの撮像画像信号は、撮像画像信号処理部53に供給されて、所定の処理がなされ、この撮像画像処理部53から、撮像画像の輝度情報および色情報からなる撮像画像データCAMが得られる。
そして、この撮像画像処理部53からの撮像画像データCAMは、出力端子54に接続されたケーブルを通じて、音声信号出力装置部3に送られる。音声信号出力装置部3では、当該撮像画像データCAMを受信して、それに基づいて検出したリスナ4の頭部の位置および顔の方向に応じた頭部伝達関数を読み出し、その読み出した頭部伝達関数を用いた仮想音源処理を終了するまでの時間は、リスナ4の頭部の位置変化や顔の方向の変化の検出時点からの時間が上記20〜30ミリ秒以内になるように高速処理される。
この実施の形態の撮像部5は、また、近赤外光を発生する例えばLEDからなる近赤外光源55を備える。この近赤外光源55は、近赤外光源駆動部56により、電源オンのときに発光駆動される。
人の瞳孔は、入射した光を、ほぼ、同方向に反射する性質があり、顔の他の部分に比べて同軸照明状態の輝度が際立って大きくなることが知られている。そして、人の顔に弱い近赤外光を照射して撮像すると、その撮像画像においては、瞳孔は特に明るく撮像されることが知られている。
したがって、イメージセンサ52で撮像された撮像画像60は、図12に示すようなものとなる。図12において、61は、リスナ4の頭部の画像であり、左右の瞳孔の画像61EL,61ERが、特に明るくなっている。
また、62Lおよび62Rは、左右のマーカ部6Lおよび6Rの画像、この例では、LED光の画像である。すなわち、マーカ部6Lおよび6Rは、この例では、LEDで構成され、図3に示したマーカ部ドライブ部113によりドライブされて点灯されるように構成されている。
[リスナ4の頭部の位置および顔(頭部)の向きの検出の説明]
前述したように、この実施の形態では、イメージセンサ52で撮像された、図12に示すような撮像画像60の撮像画像データが、撮像部5から音声信号出力装置部3に無線送信される。
音声信号出力装置部3では、この撮像画像データを無線受信部112で受け、撮像画像解析部112で画像解析する。
この画像解析においては、まず、図12に示すように、リスナ4の頭部の撮像画像61の中心線61Cを検出し、この中心線61Cと、左右のマーカ部6Lおよび6Rの画像62Lおよび62Rとの距離d1およびd2を検出する。そして、前述したように、差Δj=d1−d2として、スピーカ11SW1と11SW2との間におけるリスナ4の頭部の位置を検出する。
また、リスナ4の頭部の前後方向(リスナ4からテレビ受像機1に向かう方向)の位置は、この例では、リスナ4の頭部の画像の大きさの、基準画像におけるリスナ4の頭部の画像の大きさの比較から検出する。
すなわち、この実施の形態では、音声信号出力装置部3は、図示を省略したが、基準画像を記憶する記憶部を備える。この記憶部は、撮像画像解析部112が内蔵していても良いし、別個にシステムバスに接続されていても良い。
この基準画像は、リスナ4がテレビ受像機1の画面に正対している状態で、リスナ4の頭部が、スピーカ11SW1と11SW2との間の中央位置にあって、かつ、前後方向の基準位置(例えば頭部を椅子20のヘッドレストにもたれさせた状態であって、リスナ4の耳がスピーカ11SW1と11SW2の振動板に正対している状態の位置)にあるときのイメージセンサ51による撮像画像である。
この場合、音声信号出力装置部3は、基準画像の登録モードを備え、この実施の形態の音響再生システムを設置したときに、ユーザにより前記基準画像の登録モードが実行され、当該ユーザの基準画像が登録されて記憶部に記憶される。
この実施の形態の音響再生システムを利用する前に、基準画像の登録モードを実行して、当該利用を開始しようとするユーザの基準画像を登録して、記憶部に記憶させるようにしても良い。
また、予め、当該音響再生システムを利用するユーザが特定の複数人である場合には、それぞれのユーザの識別子と対応して、それぞれのユーザの基準画像を登録して、撮像画像解析部112の記憶部に記憶させるようにしても良い。その場合には、当該音響再生システムの利用に際して、ユーザは、自分の識別子を入力して、音響再生システムにリスナ4の基準画像を認識させるようにする。
なお、リスナ4の頭部の上下方向の移動を考慮する場合においては、マーカ部6Lおよび6Rの画像62Lおよび62Rに対するリスナ4の頭部画像61の上下方向の位置変化を検出するようにすればよい。この場合にも、基準画像を基準として、上下方向の位置変化を検出することができる。このとき、リスナ4の頭部画像61の全体としての上下方向の位置変化を検出する代わりに、リスナ4の瞳孔の画像62ELおよび62ERの上下方向の位置変化を検出する方が容易である。前述したように、リスナ4の瞳孔の画像62ELおよび62ERは、近赤外光の照射に対して明るく撮像されるからである。
次に、リスナ4の顔の向きの検出方法について説明する。この実施の形態では、リスナ4は、テレビ受像機1の画面でDVD映像を見ているので、頭を水平方向に回転することにより、顔の向きを変える場合を想定する。そして、撮像部5で、リスナ4の頭部を撮像したときのリスナ4の両眼の間隔が、顔の向きに応じて変化することを利用して、顔の向きを検出するようにする。この実施の形態の場合、近赤外光の照射により明るく撮像されるリスナ4の瞳孔の画像62Lおよび62Rの距離として、リスナ4の両眼の間隔を検出し、顔の向きを検出するようにする。
説明の簡単のために、リスナ4の頭部が基準画像位置にあって、その位置において、リスナ4が顔の向きを変えた場合として、リスナ4の顔の向きを検出する方法について説明する。
図13(A)は、基準画像中のリスナ4の頭部画像61を示しており、図から明らかなように正面を向いている状態である。図13(B)は、当該基準画像中のリスナ4の頭部を頭上から見た参考図である。このように、リスナ4が顔を正面に向けている状態での撮像画像におけるリスナ4の両眼の間隔が最も大きくなる。このときの両眼の間隔は、基準画像から求めることができ、この値をaとする。なお、図13(B)では、リスナ4の両眼の間隔を示すことを主眼しているので、両眼の間隔を直線63で示している。
図14(A)は、基準画像位置において、リスナ4が顔を右側に水平方向に回転させた状態のときの、撮像画像中のリスナ4の頭部画像61を示しており、このときの両眼の間隔の値をbとする。図14(B)は、この図14(A)の状態のときのリスナ4の頭部を頭上から見た参考図である。
この図14から分かるように、リスナ4の両眼の間隔の値aと値bとを比較すると、a>bであり、かつ、正面方向に対する顔の回転角(向き)をθとすると、
cosθ=b/a
の関係にある。
例えば両眼の間隔が16cm(上記の値aに対応)の人が、水平方向に顔を60度回転させたときには、上記の値bは、b=a・cos60°=8cmとなる。
ここで、値aは、基準画像から求められる既知の値であるので、値bを、撮像画像から求めることにより、顔の回転角θを求めることができる。両眼の間隔が16cmの人について、顔を回転させたときに、正面方向から撮像した画像から求められる両眼の間隔bと、対応する顔の回転角(向き)θとの、対応関係の幾つかを示すと、次のようになる。
すなわち、
b=14cmのとき、θ=29°
b=12cmのとき、θ=41.4°
b=10cmのとき、θ=51.3°
b=8cmのとき、θ=60°
b=6cmのとき、θ=68°
b=4cmのとき、θ=75.5°
b=2cmのとき、θ=82.8°
である。
なお、リスナ4の頭部がテレビ受像機1の方向に移動する場合には、上記値aおよび値bは、その移動位置に応じた値に変化させることで、上述と同様にしてリスナ4の顔の向きを検出することが可能である。
以上のようにして、撮像画像におけるリスナ4の両眼の間隔bを検出することで、リスナの顔の向きの回転角θを検出することはできる。しかし、この場合に、間隔bを求めるだけでは、リスナ4が、正面方向に対して右方向に顔を回転させたのか、左方向に回転させたのかは、判別することができない。
そこで、この実施の形態では、2個のスピーカ11SW1、11SW2の位置に対応して設けるマーカ部6Lおよび6Rからの発光光(特にその近赤外光)の両眼からの反射光を利用して、リスナ4が左右方向のいずれの方向に顔を回転させたのかを検出するようにする。
そのため、この実施の形態では、マーカ部6Lおよび6Rは、図15に示すように、リスナ4が基準位置にあるときに、顔よりも前の位置になるように取り付けられている。
このようにすると、図16(A)に示すように、リスナ4が正面方向に対して右方向に顔を向けたときには、マーカ部6Rからの光の右目に対する入射光が増加し、また、マーカ部6Lからの光の左目に対する入射光が減少するようになり、右目の輝度が、左目に対して大きくなる。
また、図16(B)に示すように、リスナ4が正面方向に対して左方向に顔を向けたときには、マーカ部6Rからの光の右目に対する入射光が減少し、また、マーカ部6Lからの光の左目に対する入射光が増加するようになり、左目の輝度が、右目に対して大きくなる。
したがって、両目の輝度の違いにより、リスナ4が正面方向に対して右方向に顔を回転させたのか、左方向に回転させたのかを判別することができる。
なお、この場合に、マーカ部ドライブ部114により、マーカ部6Lおよび6Rの両方を同じ輝度で光らせるのではなく、一方のマーカ部の輝度を高速で変化させるようにしてもよい。
なお、画像認識処理の速度が速い場合には、頭部画像61中における両眼の画像62EL,62ERの位置が、どちら側に偏っているかにより、リスナ4が正面方向に対して右方向に顔を回転させたのか、左方向に回転させたのかを判別するようにしてもよい。
以上説明したようにして、この実施の形態では、リスナ4の2個のスピーカ11SW1および11SW2に対する位置および顔の向きを検出し、その検出結果に最も近い位置および顔の向きにおいて測定された頭部リア伝達関数を、頭部リア伝達関数記憶部111から読み出して、リア伝達関数畳み込み回路310に供給する。
リア伝達関数畳み込み回路310は、リア左右チャンネルの音声信号RLおよびRRに対して、時々刻々と変化する頭部リア伝達関数を用いて、リスナ4の頭部の位置変化および顔の回転などの動きに応じた仮想音源処理を施して、当該仮想音源処理された音声信号RL*および音声信号RR*を生成し、両耳近傍に配置したスピーカ11SW1および11SW2に供給する。
なお、上述の第1の実施の形態の説明では、DVDプレーヤ2の再生時には、音声信号Au2は、音声信号出力装置部3を介してテレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRに供給するようにしたが、DVDプレーヤ2からの音声信号Au2をテレビ受像機1に供給するようにして、デジタル放送番組の受信時と同様に、スピーカ11FLおよび11FRからは、5.1チャンネルの音声が混合された音声が放音されるようにしても良い。その場合には、音声信号出力装置部3からテレビ受像機1のスピーカ11FLおよび11FRに供給される音声信号系路は、不要となる。
なお、音声信号出力装置部3は、椅子20の座面の下などの所定の位置に設けるようにすることができる。その場合に、音声信号出力装置部3は、マルチチャンネル音声信号の供給源、テレビ受像機1やDVDプレーヤ2からの音声信号Au2を、信号ケーブルを通じて受け取るように構成することもできるが、それでは、テレビ受像機1やDVDプレーヤ2と椅子との間を信号ケーブルで接続しておく必要がある。そこで、DVDプレーヤなどに、電波や光を用いて、無線でマルチチャンネルの音声信号を送出する手段を設けると共に、音声信号出力装置部3に、当該無線送信されてくるマルチチャンネルの音声信号を受信する受信部を設けることで、DVDプレーヤ2などと、椅子20との間の信号ケーブルを不要とすることができる。
このように、DVDプレーヤなどのマルチチャンネル音声信号の供給源からの音声信号出力を、電波や光で伝送するようにした場合には、DVDプレーヤなどと音響再生システムとの間はコードレスとなり、例えば音響再生システムを装備した椅子20は、自由に移動ができるという利点がある。
なお、上述の説明では、フロントスピーカは、テレビ受像機のスピーカを用いるようにしたが、別個に専用のフロントスピーカを設けるようにしても勿論よい。その場合に、センターチャンネル用のスピーカも設けるようにしても良い。
[第2の実施の形態]
この第2の実施の形態は、5.1チャンネルのサラウンド音声のすべてを、リスナ4の耳の近傍に設けた2個のスピーカ11SW1および11SW2により、放音するようにして、低騒音化および省エネルギー化の効果を最大に発揮する事ができるようにした場合である。
図17は、この第2の実施の形態の音響再生システムの概要を示す図である。図17に示すように、この第2の実施の形態では、DVDプレーヤ2からの映像出力信号Viは、スピーカ無しの表示モニター装置15に供給されて、その表示画面15Dに再生映像が映出される。
スピーカは、リスナ4の近傍に設けられるサブウーハとしてのスピーカ11SW1および11SW2のみが設けられる。
そして、音声信号出力装置部3には、DVDプレーヤ2からの音声信号Au2のみが供給される。音声信号出力装置部3では、音声信号Au2から、サブウーハ11SW1および11SW2(補助サブウーハ11SW3および11SW4を含む場合もある)に供給する低域音声信号LFEを生成すると共に、フロント左右2チャンネル音声信号FL、FRおよびリア左右2チャンネル音声信号RLおよびRRを生成して、それぞれ仮想音源処理し、その仮想音源処理した音声信号を、サブウーハ11SW1および11SW2に供給する音声信号に加算する処理を行う。なお、センターチャンネルの音声信号Cは、この例では、仮想音源処理されるフロント左右2チャンネル音声信号LおよびRのそれぞれに合成するようにする。
[第2の実施の形態のスピーカ配置例]
図18は、この第2の実施の形態におけるスピーカ配置例を説明するための図である。すなわち、この第2の実施の形態では、実スピーカとしては、実線で示すように、リスナ4の両耳の近傍に設けられる2個のスピーカ11SW1および11SW2のみである。
センターチャンネル用のスピーカ11C、フロント左右2チャンネル用のスピーカ11FLおよび11FR、リア左右2チャンネル用のスピーカ11RLおよび11RRは、図18において破線で示すように、実体としては設けられない。そして、それらのスピーカに供給される音声信号が仮想音源処理されて、スピーカ11SW1および11SW2に供給され、それらのスピーカが、それぞれ、点線で示す位置にあるかの如く、リスナ4が聴取できるように音響再生される。
なお、センターチャンネルの音声信号は、フロント左右2チャンネルの音声信号に加算され、その後、当該センターチャンネルの音声信号が合成されたフロント左右2チャンネルの音声信号が仮想音源処理されることにより、仮想的に、図18において点線で示すスピーカ11Cの位置から放音されるようにリスナ4が聴取できるようにされている。
この第2の実施の形態においても、スピーカ11SW1および11SW2(必要に応じて補助用サブウーハ11SW3および11SW4を含む)は、例えば、前述の図5および図6に示したようにして、椅子20に取り付けられたものとして構成されている。
[第2の実施の形態の音声信号出力装置部3の構成例]
図19は、この第2の実施の形態の音声信号出力装置部3の構成例を示すブロック図である。この第2の実施の形態における音声信号出力装置部3も、前述の実施の形態における音声信号出力装置部3と同様に、音声信号処理部300と、マイクロコンピュータからなる制御部100とを備える。
そして、この第2の実施の形態における制御部100は、第1の実施の形態における制御部100と比較すると、頭部リア伝達関数記憶部111に加えて、頭部フロント伝達関数記憶部114を備えると共に、入出力ポート109が追加される点が異なる。制御部100のその他の構成は、第1の実施の形態の場合とほぼ同様である。
また、この第2の実施の形態における音声信号処理部300においては、第1の実施の形態の場合における入力選択用スイッチ回路301は設けられない。そして、この第2の実施の形態における音声信号処理部300においては、5.1チャンネルデコード部302が設けられると共に、第1の実施の形態の場合におけるリア伝達関数畳み込み回路310の他に、フロント伝達関数畳み込み回路320が設けられる。
そして、5.1チャンネルデコード部302では、DVDプレーヤ2からの音声信号Au2を受けて、チャンネルデコード処理をして、フロント左右チャンネルの音声信号L,Rと、センターチャンネルの音声信号Cと、リア左右チャンネルの音声信号RL,RRと、低域音声信号LFEを出力する。
5.1チャンネルデコード部302からのフロント左チャンネルの音声信号Lと、センターチャンネルの音声信号Cとは、合成部303で合成され、その合成出力音声信号(L+C)が、仮想音源処理部を構成するフロント伝達関数畳み込み回路320に供給される。また、5.1チャンネルデコード部302からのフロント右チャンネルの音声信号Rと、センターチャンネルの音声信号Cとは、合成部304で合成され、その合成出力音声信号(R+C)が、フロント伝達関数畳み込み回路320に供給される。
フロント伝達関数畳み込み回路320は、リア伝達関数畳み込み回路310と同様の構成を備えるもので、例えばデジタルフィルタを用いて、予め、頭部フロント伝達関数記憶部115に用意されている頭部フロント伝達関数を、合成部303および304からの音声信号に対して、畳み込むようにする。
このため、フロント伝達関数畳み込み回路320では、その入力音声信号がデジタル信号ではないときにはデジタル信号に変換され、頭部フロント伝達関数が畳み込まれた後、アナログ信号に戻されて出力される。
頭部フロント伝達関数は、この例では、次のようにして測定されて求められ、頭部フロント伝達関数記憶部114に格納される。図20は、頭部フロント伝達関数の測定方法を説明するための図である。
すなわち、図20に示すように、リスナ4の左右両耳の近傍に、左チャンネル測定用マイクロホン41および右チャンネル測定用マイクロホン42を設置する。次に、リスナ4の前方の、通常、フロント左チャンネル用スピーカを配置するような場所に、当該フロント左チャンネル用スピーカ11FLを配置する。そして、このフロント左チャンネル用スピーカ11FLで、例えばインパルスを音響再生したときの放音音声を、それぞれのマイクロホン41,42で収音し、その収音した音声信号から、フロントスピーカ11FLからの左右の耳までの伝達関数(フロント左チャンネルについての頭部フロント伝達関数)を測定する。
同様にして、フロント右チャンネル用スピーカ11FRで、例えばインパルスを音響再生したときの放音音声を、それぞれのマイクロホン41,42で収音し、その収音した音声信号から、フロントスピーカ11FRからの左右の耳までの伝達関数(フロント右チャンネルについての頭部フロント伝達関数)を測定する。
なお、頭部フロント伝達関数は、フロントスピーカFLおよびFRを、例えば、リスナ4の前方中央から左右に30度で、2mの位置にスピーカを置いたときに、各スピーカから耳までの伝達関数を測定し、得た伝達関数とすると良い。
伝達関数について更に補足する。例えば図20の左前方から左耳に来る伝達関数を伝達関数Aとする。次に、耳の近傍にあるスピーカ11SW1からマイクロホン41までの伝達関数を測定し得た伝達関数を伝達関数Bとする。さらに、伝達関数Bに、ある伝達関数Xを掛けると伝達関数Aになる様な伝達関数Xを求め、近傍のスピーカ11SW1に送り込まれる信号音に、求めた伝達関数Xを畳み込めば、そのときにスピーカ11SW1から放音される音は、あたかも左前方2mから来たように感じる訳である。
ただし、必ずしも伝達関数Xを求めればよい訳ではなく、場合により伝達関数Aだけでもよいこともある。なお、以上の説明は、伝達関数の1つを代表して記述したが、図20にも示されるように、伝達関数は、実際には複数あることは言うまでもない。
そして、この場合にも、前述の頭部リア伝達関数の測定の場合と同様にして、リスナ4が頭部の位置を変えたり、顔の向きを変えたりすることに対応して、上記の複数の頭部フロント伝達関数のそれぞれは、2個のスピーカ11SW1および11SW2に対するリスナ4の種々の位置およびリスナ4の顔(頭)の種々の方向において、測定して取得する。
すなわち、前述した頭部リア伝達関数の測定の場合と同様にして、2個のスピーカ11SW1および11SW2に挟まれる位置にリスナ4の頭部が存在する場合において、リスナ4の頭部の中心線位置とスピーカ11SW1(スピーカ11SW1の例えば振動板位置)との距離をd1とし、リスナ4の頭部の中心線位置とスピーカSW2(スピーカ11SW1の例えば振動板位置)との距離をd2としたとき、その差Δ=d1−d2により、リスナ4の頭部の、2個のスピーカ11SW1および11SW2間の位置を表すものとする。ただし、差Δの絶対値は、d1+d2よりも小さい。
つまり、差Δ=0のときには、リスナ4の頭部は、図20(A)に示すように、2個のスピーカ11SW1および11SW2間の中央の位置にある。差Δが負の値のときには、リスナ4の頭部は、図20(B)に示すように、スピーカ11SW1側に寄った位置であって、当該差Δの値に応じた位置にある。また、差Δが正の値のときには、リスナ4の頭部は、図20(C)に示すように、スピーカ11SW2側に寄った位置であって、当該差Δの値に応じた位置にある。
この実施の形態では、正および負の差Δの値の所定値ごとの位置、例えば差Δが4cmの整数倍ごとの位置(頭部の位置で言えば、2cmおきの位置)において、上述した頭部伝達関数を測定する。その場合に、各位置において、図20(D)に示すように、リスナ4の顔の方向についても、正面方向に対する角度θが、所定の角度ごと、例えば2度ごとの位置について、頭部伝達関数を測定する。
なお、以上の説明では、リスナ4の頭部は、スピーカ11SW1と11SW2とを結ぶ線上を横方向に動いて位置を変えるものと想定したが、リスナ4の頭部が上下方向に動いて位置を変える場合を想定して、例えば2cmおきの上下方向の各位置についても、上述した頭部伝達関数の測定を行って、それを頭部リア伝達関数記憶部111に記憶するようにしても良い。
また、リスナ4の頭部が正面方向に前後する(後ろへの移動は、椅子の場合には、制限される)場合を想定して、各値±Δjの位置において、リスナ4の頭部の前後方向の移動について変化させて、その変化の各位置において、上述の頭部伝達関数を測定して、それを頭部リア伝達関数記憶部111に格納するようにしてもよい。
この場合、頭部リア伝達関数記憶部111に記憶される頭部伝達関数の数が大量になるが、適宜最適化して、記憶する頭部伝達関数の数を少なくするようにすることもできる。
以上のようにして測定されて得られた、前述の図9に示したものと同様の頭部フロント伝達関数が頭部フロント伝達関数記憶部114に記憶され、フロント伝達関数畳み込み回路320に、入出力ポート109を通じて供給されて、フロント伝達関数畳み込み回路320において畳み込まれる。
そして、この実施の形態においては、制御部100では、撮像画像解析部112からのリスナ4の頭部の位置検出結果および顔の向き検出結果を受け取り、それらを読み出しのための引数として、頭部フロント伝達関数記憶部114の記憶内容を検索し、リスナ4の位置検出結果および顔の向き検出結果に対応する頭部フロント伝達関数を、頭部フロント伝達関数記憶部114から読み出す。すなわち、制御部100は、この頭部フロント伝達関数記憶部114に格納された種々の位置および顔の向きに応じた頭部フロント伝達関数の中から、DVD映像を観視しながら、音声を聴取しているリスナ4の実際の頭部の位置、および顔の方向に応じた適切な頭部フロント伝達関数を選択して読み出し、フロント伝達関数畳み込み回路320に供給する。
これにより、このフロント伝達関数畳み込み回路320からは、仮想音源処理されたフロント左チャンネルの音声信号FL*にセンターチャンネルの音声信号Cが合成されたものと、仮想音源処理されたフロント右チャンネルの音声信号FR*にセンターチャンネルの音声信号Cが合成されたものとが得られる。
このフロント伝達関数畳み込み回路320からの音声信号(FL*+C)および(FR*+C)を、両耳近傍に配置したスピーカ11SW1および11SW2に供給して音響再生したときには、リスナ4は、あたかも、前方の左右のフロントスピーカ11FLおよび11FRから音声が放音されたように、再生音声を聴取すると共に、センターチャンネル音声を中央に設置されたスピーカから放音されたように聴取する。
このときの音声信号(FL*+C)および(FR*+C)のレベルは、スピーカ11RLおよび11RRに供給する場合の信号レベルよりも、低いレベルでよい。スピーカ11SW1および11SW2は、リスナ4の耳の近傍にあるからである。
以上のようにして、仮想音源処理がなされたフロント伝達関数畳み込み回路320からの音声信号(FL*+C)および(FR*+C)は、合成部321および322に供給される。合成部321および322には、5.1チャンネルデコード部302からの低域音声信号LFEが供給される。そして、この合成部321および322の出力音声信号が、アンプ323および324を通じて、合成部331および合成部332に供給される。
また、5.1チャンネルデコード部302からのリア左右2チャンネルの音声信号RLおよびRRは、前述の第1の実施の形態と同様に、仮想音源処理部を構成するリア伝達関数畳み込み回路310に供給される。
そして、頭部リア伝達関数記憶部111には、第1の実施の形態で、図8および図9を用いて説明したようにして測定された頭部リア伝達関数が記憶されている。この頭部リア伝達関数記憶部111からは、前述したように、撮像画像解析部112からのリスナ4の頭部の位置検出結果および顔の向き検出結果に基づいて、検出されたリスナ4の位置および顔の向きに最も近い状態で測定された頭部リア伝達関数が読み出されて入出力ポート108を通じてリア伝達関数畳み込み回路310に供給され、このリア伝達関数畳み込み回路310で、5.1チャンネルデコード部302からのリア左右2チャンネルの音声信号に畳み込まれる。
そして、フロント伝達関数畳み込み回路320からの仮想音源処理された、センターチャンネルの音声信号が合成されているフロント左チャンネルの音声信号は、合成部321において、5.1チャンネルデコード部302からの低域音声信号LFEと合成された後、合成回路331に供給されて、リア伝達関数畳み込み回路310からの仮想音源処理されたリア左チャンネルの音声信号と合成される。
同様にして、フロント伝達関数畳み込み回路320からの仮想音源処理された、センターチャンネルの音声信号が合成されているフロント右チャンネルの音声信号は、合成部322において、5.1チャンネルデコード部302からの低域音声信号LFEと合成された後、合成回路332に供給されて、リア伝達関数畳み込み回路310からの仮想音源処理されたリア右チャンネルの音声信号と合成される。
そして、この合成回路331および332からの合成音声信号が、多重化部313に供給されて多重化(マルチプレックス)され、無線送信部314から、音声信号受信部7に無線送信される。
音声信号受信部7は、音声信号出力装置部3から電波を受信し、その受信した電波から多重化されている音声信号を抽出し、デ・マルチプレックスして、第1のスピーカ11SW1に供給する音声信号と、第2のスピーカ11SW2に供給する音声信号とに分離し、それぞれ第1のスピーカ11SW1および第2のスピーカ11SW2に供給する。
したがって、スピーカ11SW1および11SW2は、サブウーハとして、低域音声信号LFEを音響再生すると共に、仮想音源処理されたフロント音声信号(FL*+C)および(FR*+C)、また、仮想音源処理されたリア音声信号RL*およびRR*を音響再生する。
なお、補助用のサブウーハ11SW3および11SW4に供給する音声信号系については、図19では、省略したが、これらの補助用のサブウーハ11SW3および11SW4には、低域音声信号LFEのみを供給するようにしてもよいし、また、仮想音源処理された音声信号(FL*+C)および(FR*+C)、また、仮想音源処理されたリア音声信号RL*およびRR*を、低域音声信号LFEに加えて供給するようにしてもよい。
以上のようにして、この第2の実施の形態においては、リスナ4の両耳の近傍のスピーカ11SW1,11SW2のみによって、大音量で、臨場感のあるマルチチャンネル音声を楽しむことができると共に、周囲への音の漏れを大幅に減少させることができ、また、音響再生システムの省エネルギー化が実現できる。
そして、リスナ4が頭部の位置を変化させたり、顔の向きを変更させたりしたとしても、この実施の形態では、その頭部の位置変化や動きにリアルタイムに対応した仮想音源処理をするようにするので、常に定位感を損なわずにマルチチャンネルサラウンド音声を楽しむことができる。
[その他の実施の形態または変形例]
なお、上述の実施の形態では、リスナ4の両耳の近傍に配置するスピーカ11SW1,11SW2は、リスナ4の耳に対向する位置に設けたので、リスナ4に到達する低域の音としては高効率となる。しかし、このスピーカの配置位置は、このような位置に限定されるものではなく、例えば、図21に示すように、リスナ4の頭部を中心とした、例えば半径が(dsw+リスナ4の頭部の半径)の球面上の位置であれば、いずれの位置であっても良い。ただし、このスピーカの配置位置としては、リスナ4の顔面よりもリスナ正面側の空間は好ましくなく、図21に示すように、リスナ4の顔面よりも後方側の区間内であることが望ましい。
また、上述の実施の形態では、リスナ4の両耳の近傍に配置したスピーカ11SW1および11SW2は、常に、サブウーハとするようにしたが、必ずしもサブウーハ用のスピーカではなくてもよく、サブウーハは、別個に設けても良い。
なお、スピーカ11SW1、11SW2等のスピーカユニットを、その振動板の前後から出る音が加算可能なように取り付ける方法としては、上述の実施形態のようなパイプに取り付ける構造に限られるものではなく、例えば、比較的大きな多数の孔が穿かれた板に、低域再生用のスピーカユニットを取り付け、それらの多数の孔を通じて、前記振動板の前後から出る音が加算可能なようにされる構成であってもよい。
また、上述の実施の形態では、スピーカ11SW1および11SW2は、椅子に対して固定して取り付けるようにしたが、スピーカ11SW1および11SW2の保持形式としてはこれに限られるものではない。例えば、スピーカ11SW1および11SW2のそれぞれを、1個ずつ、床置きのスタンド形式で保持するように構成しても良いし、天井から吊るすようにする構成しても良い。
また、仮想音源処理をする対象を、第1の実施の形態では、リア左右2チャンネルの音声信号とし、第2の実施の形態では、リア左右2チャンネルとフロント左右2チャンネルとセンターチャンネルの音声信号としたが、リア左右2チャンネルは、実スピーカで音響再生し、フロント左右2チャンネルおよびセンターチャンネルを仮想音源処理するようにしてもよい。その場合、リア左右2チャンネルの実スピーカは、スピーカ11SW1および11SW2の保持具に共に取り付けるようにすることで、リスナ4の近傍に取り付けて、再生音量を小さくするようにすると良い。
また、上述の実施の形態の説明は、5.1チャンネルのマルチチャンネル音声信号を再生するシステムの場合について説明したが、この発明は、5.1チャンネルに限らず、複数チャンネルの音声信号を再生するようにする音響再生システムの全てに適用可能である。
また、上述の実施の形態では、マーカ部6L,6Rは、LEDを発光させるように構成したが、撮像部5からの光や周辺光を反射する反射板により構成して、他の部分よりも撮像時に高輝度で撮像されるようにするもので構成してもよい。
また、上述の実施の形態では、リスナ4のスピーカ11SW1および11SW2に対する位置と、頭部の動き(顔の向きなど)との両方を検出して、その両方に対応した頭部伝達関数を読み出すようにしたが、この発明は、リスナ4のスピーカ11SW1および11SW2に対する位置のみ、あるいは、リスナの頭部の動き(顔の向きなど)のみを検出して、それぞれ、リスナ4のスピーカ11SW1および11SW2に対する位置のみ、あるいは、リスナの頭部の動き(顔の向きなど)のみに対応して予め測定されて記憶されている頭部伝達関数を、その記憶部から読み出すようにしても良い。
また、上述の実施の形態では、スピーカ11SW1および11SW2に対するリスナ4の位置および顔の向きを、イメージセンサを用いた撮像部での撮像画像から検出するようにしたが、スピーカ11SW1および11SW2に対するリスナ4の位置および顔の向きの検出方法としては、これに限られるものではない。
例えば、超音波を頭部およびマーカ部に向けて発射し、その反射波を検出することにより、上記検出を行うようにすることもできる。
なお、以上の説明は、リスナの耳の近傍にいわゆる裸のスピーカユニットを配置するようにした音響再生システムに、この発明を適用した場合についてであるが、リスナの両耳の近傍に、スピーカユニットがスピーカボックスに収容されたスピーカが配置される場合における仮想音源処理についても適用可能である。
この発明による音響再生システムの第1の実施の形態の概要の構成例を説明するための図である。 第1の実施の形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 第1の実施の形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 この発明による音響再生システムの実施形態の動作説明に用いる図である。 第1の実施の形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 第1の実施の形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 第1の実施の形態の音響再生システムにおける音声信号出力装置部の構成例を示すブロック図である。 仮想音源処理に用いる頭部リア伝達特性を説明するための図である。 記憶部に記憶される頭部リア伝達特性の一例を説明するための図である。 図1の音声信号受信部の構成例を示す図である。 図1の撮像部の構成例を示す図である。 図11の例の撮像部で撮像した画像の例を説明するための図である。 この発明の実施の形態において、リスナの顔の向きを検出する方法を説明するために用いる図である。 この発明の実施の形態において、リスナの顔の向きを検出する方法を説明するために用いる図である。 この発明の実施の形態において、リスナの顔の向きを検出する方法を説明するために用いる図である。 この発明の実施の形態において、リスナの顔の向きを検出する方法を説明するために用いる図である。 この発明による音響再生システムの第2の実施の形態の概要の構成例を説明するための図である。 第2の実施の形態の音響再生システムにおけるスピーカ配置例を説明するための図である。 第2の実施の形態の音響再生システムにおける音声信号出力装置部の構成例を示すブロック図である。 仮想音源処理に用いる頭部フロント伝達特性を説明するための図である。 この発明による音響再生システムの一実施形態における他のスピーカ配置を説明するための図である。 従来の音響再生システムにおける一般的なスピーカ配置例を説明するための図である。
符号の説明
3…音声信号出力装置部、4…リスナ、5…撮像部、6L,6R…マーカ部、11FL…前方左チャンネル用のスピーカ、11FR…前方右チャンネル用のスピーカ、11C…センターチャンネル用のスピーカ、11RL…後方左チャンネル用のスピーカ、11RL…後方右チャンネル用のスピーカ、11SW1〜11SW4…リスナの耳の近傍に配置されるスピーカ、20…椅子、22…スピーカ保持具、111…頭部リア伝達関数記憶部、113…撮像画像解析部、115…頭部フロント伝達関数記憶部、310…リア伝達関数畳み込み回路、320…フロント伝達関数畳み込み回路

Claims (9)

  1. 2個のスピーカと、
    リスナの両耳とは非接触の状態で、前記リスナの両耳の近傍の所定の位置に、前記2個のスピーカを保持するようにする保持手段と、
    前記2個のスピーカに対する前記リスナの頭部の位置関係および/または前記リスナの頭部の動きを検出する検出手段と、
    前記2個のスピーカで音響再生したときにリスナが他のスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように、入力音声信号を、頭部伝達関数を用いた仮想音源処理を施して、前記2個のスピーカに供給する音声信号出力手段と、
    前記2個のスピーカに対する前記リスナの頭部の位置関係および/または前記リスナの頭部の動きに応じた複数の前記頭部伝達関数を記憶する頭部伝達関数記憶部と、
    前記検出手段で検出された前記2個のスピーカに対する前記リスナの頭部の位置関係および/または前記リスナの頭部の動きに応じた頭部伝達関数を、前記頭部伝達関数記憶部から読み出して、前記音声信号出力手段に供給する制御手段と、
    を備えることを特徴とする音響再生システム。
  2. 請求項1に記載の音響再生システムにおいて、
    前記2個のスピーカは、スピーカユニットが、その振動板の前後から出る音が加算可能なように、バッフル板に取り付けられることなく、前記保持手段により保持されて前記リスナの耳の近傍に配置される
    ことを特徴とする音響再生システム。
  3. マルチチャンネルサラウンド音声を音響再生する請求項1に記載の音響再生システムであって、
    前記音声信号出力手段は、前記マルチチャンネルサランド音声のうちの後方チャンネルの音声信号を前記2個のスピーカで音響再生したときに、リスナが、その後方に配置されたスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように、前記後方チャンネルの音声信号を仮想音源処理して、前記2個のスピーカに供給する
    ことを特徴とする音響再生システム。
  4. マルチチャンネルサラウンド音声を音響再生する請求項1に記載の音響再生システムであって、
    前記音声信号出力手段は、前記マルチチャンネルサランド音声のうちの前方チャンネルの音声信号を前記2個のスピーカで音響再生したときに、リスナの前方に配置されたスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように、前記前方チャンネルの音声信号を仮想音源処理して、前記2個のスピーカに供給する
    ことを特徴とする音響再生システム。
  5. マルチチャンネルサラウンド音声を音響再生する請求項1に記載の音響再生システムであって、
    前記音声信号出力手段は、前記マルチチャンネルサランド音声のうちの前方チャンネルの音声信号を前記2個のスピーカで音響再生したときに、リスナの前方に配置されたスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように、前記前方チャンネルの音声信号を仮想音源処理して、前記2個のスピーカに供給すると共に、前記マルチチャンネルサランド音声のうちの後方チャンネルの音声信号を前記2個のスピーカで音響再生したときに、リスナの後方に配置されたスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように、前記後方チャンネルの音声信号を仮想音源処理して、前記2個のスピーカに供給する
    ことを特徴とする音響再生システム。
  6. マルチチャンネルサラウンド音声を音響再生する請求項3〜請求項5のいずれかに記載の音響再生システムであって、
    前記2個のスピーカは、前記マルチチャンネルサラウンド音声の低域音声信号が供給される低域用スピーカである
    ことを特徴とする音響再生システム。
  7. 請求項1に記載の音響再生システムにおいて、
    前記検出手段は、イメージセンサを備え、前記イメージセンサからの撮像画像から、前記2個のスピーカに対する前記リスナの頭部の位置関係および/または前記リスナの頭部の動きを検出する
    ことを特徴とする音響再生システム。
  8. 請求項7に記載の音響再生システムにおいて、
    前記リスナの方向に向けて光照射する発光源を設けると共に、前記2個のスピーカの位置を発光光または反射光で示すためのマーカを設け、
    前記検出手段は、前記イメージセンサからの撮像画像から、前記マーカおよび前記リスナの瞳孔の位置を検出し、その検出結果から、前記2個のスピーカに対する前記リスナの頭部の位置関係および/または前記リスナの頭部の動きを検出する
    ことを特徴とする音響再生システム。
  9. 検出手段と音声信号出力手段と制御手段とを備える音響再生システムによる音響再生方法であって、
    前記検出手段が、リスナの両耳とは非接触の状態で、前記リスナの両耳の近傍の所定の位置に、保持手段により保持された2個のスピーカに対する前記リスナの頭部の位置関係および/または前記リスナの頭部の動きを検出する検出工程と、
    前記音声信号出力手段が、前記2個のスピーカで音響再生したときにリスナが他のスピーカ装置から音声が放音されたように聴取するように、入力音声信号を、頭部伝達関数を用いた仮想音源処理を施して、前記2個のスピーカに供給する音声信号出力工程と、
    前記制御手段が、前記検出工程で検出された前記2個のスピーカに対する前記リスナの頭部の位置関係および/または前記リスナの頭部の動きに応じた頭部伝達関数を、頭部伝達関数記憶部から読み出して、前記音声信号出力手段に供給する制御工程と、
    を備えることを特徴とする音響再生方法。
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