JP2008112940A - レーザ装置およびレーザ装置のモード制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】出力光の光強度を変化させることなく、所望のモードで発振する外部共振器型のレーザ装置を提供し、外部共振器型のレーザ装置のモード制御方法を提供する。
【解決手段】マルチモードで発振するレーザ光源11と、レーザ光源11から出射する0次光21を受光して、回折光をレーザ光源11に戻す回折格子13と、レーザ光源11に戻す回折光の波長を変化させる、ピエゾアクチュエータ41とシャフト41aとレバー42と、レーザ装置11から外部に出射される出力光のモードに応じたモードホップ信号を検出する、ウェッジプリズム16とモード検出ディテクタ17と制御部30と、所望のモードの出力光を得るためにモードホップ信号に応じてピエゾアクチュエータ41を制御する制御部30と、を備えるものとした。
【選択図】図1
【解決手段】マルチモードで発振するレーザ光源11と、レーザ光源11から出射する0次光21を受光して、回折光をレーザ光源11に戻す回折格子13と、レーザ光源11に戻す回折光の波長を変化させる、ピエゾアクチュエータ41とシャフト41aとレバー42と、レーザ装置11から外部に出射される出力光のモードに応じたモードホップ信号を検出する、ウェッジプリズム16とモード検出ディテクタ17と制御部30と、所望のモードの出力光を得るためにモードホップ信号に応じてピエゾアクチュエータ41を制御する制御部30と、を備えるものとした。
【選択図】図1
Description
この発明は、レーザ装置およびレーザ装置のモード制御方法に関し、特に、外部共振器型のレーザ装置およびそのようなレーザ装置のモード制御方法に関する。
近年レーザ光源は種々の産業分野で利用されている。そのレーザ光源のうちでも、レーザ光の波長を変化させることができる可変波長レーザに対する注目が高まっている。このような可変波長のレーザ光源が必要とされている産業機器の代表としては、ホログラム記録再生装置がある。ホログラム記録再生装置は、参照光と信号光とを干渉させることによって、ホログラム記録再生媒体に情報をホログラムの形態で記録し、ホログラム記録再生媒体に記録されたホログラムに参照光を照射して情報を再生する記録再生装置である。
このようなホログラム記録再生装置に用いるレーザ光源としては、シングルモードにちかいレーザ光源が望ましく、ガスレーザ、SHGレーザ等が用いられる。近年、半導体レーザの発振波長が短波長化されてきており青色の半導体レーザも出現しているので、小型、省電力である半導体レーザを使用することが考えられる。しかしながら、ホログラムの記録再生に用いるレーザ光は極めてコヒーレンシーの良いことが必要とされ、通常の半導体レーザはマルチモードのためコヒーレンシーの点で不十分である。そこで半導体レーザを用いて、外部共振器型のレーザ装置を構成すことが提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照)。
図19に示す外部共振器型のレーザ装置100は、所謂、リトロウ型のレーザ装置であり、マルチモードで発振する半導体レーザ(LD:Laser Diode)101からの光ビームをレンズ103で平行光として、グレーティング102に照射して、支点105を中心としてグレーティング102をねじ104によって回転させて、グレーティング102と半導体レーザ101との相対角度を調整して、グレーティング102で回折して半導体レーザ101に戻る1次光のレーザ波長と等しい特定の波長を選択して発振させるものである。また、別の外部共振器型のレーザ装置の構成としては、回折格子と半導体レーザとを固定し、ミラーを用いて回折光を半導体レーザに戻すリットマン型のレーザ装置も知られている。
また、別の分野の技術として、ピエゾ素子を利用したアクチュエータが知られている(例えば、非特許文献2を参照)。
特開2005−75049号公報
Tomiji.Tanaka, et al. 「Littrow-type blue laser for holographic data storage」, Technical digest of Optical Data Storage 2004 p311
PiezoMotor社ホームページ[online] 平成18年10月4日検索インターネット<URL:http://WWW.Piezomotor.se/>
しかしながら、外部共振器型のレーザ装置では、半導体レーザに印加する電流によっては発振する縦モードがホップすることでコヒーレンシーが劣化することもあり、安定的なホログラム記録再生の動作の為にはコヒーレンシーの劣化を回避する制御が必要となってくる。発振モードの安定化の方法として半導体レーザに入力する電流値を変化させることでモードホップを回避する方法があるが、これを用いた場合は電流を大幅に変更しないとモードが安定しないことがあり、結果的にモード安定のために出力光量が変化してしまうという問題があった。また、半導体レーザの温度を変化させてモードを制御する方法も考えられるが、この場合にはレーザ装置が大型化し、温度を上げる場合には半導体レーザの寿命を短くするという問題が有った。さらに、ホログラム記録再生装置では、後述するシングルモードまたは外部共振器モードが要求されるが、他の電子機器では、シングルモードのみ、または外部共振モードのみ、あるいは、後述するチップモードのみが要求される等の種々の要求が有り、その要求を満たすための技術が求められていた。
本発明は、上述の課題を解決し、出力光の光強度を変化させることなく、所望のモードで発振する外部共振器型のレーザ装置を提供し、外部共振器型のレーザ装置のモード制御方法を提供することを目的とするものである。
本発明のレーザ装置は、外部共振器型のレーザ装置であって、マルチモードで発振するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射する光ビームを受光して、回折光を前記レーザ光源に戻す回折格子と、前記レーザ光源に戻す回折光の波長を変化させる機構部と、前記レーザ装置から外部に出射される出力光のモードに応じたモードホップ信号を検出するモードホップ検出器と、所望のモードの前記出力光を得るために前記モードホップ信号に応じて前記機構部を制御する制御部と、を備えるものである。
このレーザ装置では、回折格子を備えており、回折格子からの光ビームをレーザ光源に戻す。機構部を備え、この機構部によってレーザ光源に戻す回折光の波長を変化させてレーザ光源の発振モードを変化させることができる。モードホップ検出器は、このレーザ装置から得られる出力光のモードに応じたモードホップ信号を検出するので、このモードホップ信号に応じて機構部を制御して所望のモードの出力光を得ることができる。
本発明のレーザ装置のモード制御方法は、レーザ装置のモード制御方法であって、マルチモードで発振するレーザ光源から光ビームを出射し、前記レーザ光源から出射する光ビームを受光して、回折光を前記レーザ光源に戻し、前記レーザ装置から外部に出射される出力光のモードに応じたモードホップ信号を検出し、前記モードホップ信号に応じて前記回折光を前記レーザ光源に戻して所望のモードの前記出力光を得るものである。
このレーザ装置のモード制御方法では、レーザ光源から光ビームを出射し、回折光をレーザ光源に戻してレーザ光源の発振のモードを変化する。レーザ装置から外部に出射される出力光のモードに応じたモードホップ信号を検出し、モードホップ信号に応じて回折光をレーザ光源に戻して所望のモードの前記出力光を得ることができる。
本発明によれば、出力光の光強度を変化させることなく、所望のモードで発振する外部共振器型のレーザ装置を提供し、外部共振器型のレーザ装置のモード制御方法を提供できる。
(レーザ装置およびーザ装置のモード制御方法の概要)
実施形態のレーザ装置は、外部共振器型のレーザ装置、例えば、リトロウ型またはリットマン型の外部共振型のレーザ装置である。レーザ光源はマルチモードで発振する、半導体レーザ等である。また、回折格子を備え、レーザ光源から出射する光ビームを受光して、回折光をレーザ光源に戻す。また、機構部を備えている。機構部は、例えば、レーザ光源と回折格子との相対角度を変化させ、例えば、回折格子と補助ミラーとの相対角度を変化させて、レーザ光源に戻す回折光の波長を変化させるように構成されている。また、レーザ装置は出射光のモードに応じたモードホップ信号を検出するモードホップ検出器を備えている。モードホップ検出器は、シングルモード、外部共振器モード、チップモード等を区別して検出する。そして、制御部を備えており、所望のモードの出力光を得るためにモードホップ信号に応じて機構部を制御するものである。
実施形態のレーザ装置は、外部共振器型のレーザ装置、例えば、リトロウ型またはリットマン型の外部共振型のレーザ装置である。レーザ光源はマルチモードで発振する、半導体レーザ等である。また、回折格子を備え、レーザ光源から出射する光ビームを受光して、回折光をレーザ光源に戻す。また、機構部を備えている。機構部は、例えば、レーザ光源と回折格子との相対角度を変化させ、例えば、回折格子と補助ミラーとの相対角度を変化させて、レーザ光源に戻す回折光の波長を変化させるように構成されている。また、レーザ装置は出射光のモードに応じたモードホップ信号を検出するモードホップ検出器を備えている。モードホップ検出器は、シングルモード、外部共振器モード、チップモード等を区別して検出する。そして、制御部を備えており、所望のモードの出力光を得るためにモードホップ信号に応じて機構部を制御するものである。
また、モード制御方法は、レーザ装置のモード制御方法であって以下の処理をおこなう。マルチモードで発振するレーザ光源から光ビームを出射する。このレーザ光源から出射する光ビームを受光して、回折光を発生させてこの回折光をレーザ光源に戻す。このようにして得られ、レーザ装置から外部に出射される出力光のモードに応じたモードホップ信号を検出する。モードホップ信号に応じて回折光をレーザ光源に戻して所望のモードの前記出力光を得るようにする。以下、図面を参照してより詳細に説明する。
図1を参照して、実施形態のレーザ装置10について、説明する。レーザ装置10は、マルチモードの半導体レーザ11、コリメートレンズ12、回折格子13、ミラー14、角度検出ディテクタ15、ウェッジプリズム16およびモード検出ディテクタ17を備えるリトロウ型のレーザ装置に改良を加えたレーザ装置である。
ここで、ミラー14と回折格子13とは固着され、回転軸27を中心に紙面内の矢印で示す方向に回転可能とされている。ここで、回折格子形成面13aとミラー表面14aとの延長線が交わる点に回転軸27を設けている。この回転軸27を中心として回転をさせるために、回転機構として、レバー42、シャフト41aおよびピエゾアクチュエータ41から構成されている。すなわち、レバー42がミラー14と回折格子13とに固着され、このレバー42と連結して、シャフト41aが配されており、シャフト41aはピエゾアクチュエータ41の可動部に固着されている。これによって、シャフト41aの移動に応じて、回折格子形成面13aとミラー表面14aとのなす角度を一定に、例えば、90°の一定の角度に保ちながら、ミラー14と回折格子13とを回転軸27を中心として回転させることができる。また、ピエゾアクチュエータ41の制御をおこなうための制御部30を備える。
制御部30は、処理器30cと演算器30aを有する。処理器30cは、ハードウエアとして、RAM、ROM、外部回路とのインターフェイス(例えば、A/D変換器、D/A変換器、電力増幅器)およびCPU、並びに、ROMに記憶され、CPUが処理する処理手順を記載したソフトウエアを有するマイコンで構成される。また、演算器30aは差、和の演算をおこなう演算増幅器と割り算をおこなう割り算器とを有している。
図1に示すレーザ装置10の作用を説明する。半導体レーザ11から出射された光ビーム20はコリメートレンズ12で平行光とされ、平行光とされた光ビーム21は反射型の回折格子13で、波長ごとに異なった方向へ向かう回折光である0次光と1次光とに分離される。回折格子13は、その波長ごとに異なった方向へ回折するが、それらの1次光のうち、半導体レーザ11に戻る1次光もあり、半導体レーザ11に戻る1次光によって、回折格子13と半導体レーザ11とで共振器が構成され、半導体レーザ11は、回折格子13の格子形状と、回折格子13と半導体レーザ11の背面との間の距離と、で定まる波長で発振する。また、0次光は回折格子13がミラーであるかのように反射して0次光22として進行する。0次光22は、回折格子13と垂直に配置されたミラー14で反射して0次光24として進行する。0次光24は、さらにウェッジプリズム16を通過して0次光25が最終的に得られる。この0次光25として出射される出力光を種々の機器、たとえばホログラム記録再生装置に使用することができる。
上述したように、回折格子13の半導体レーザ11に対する角度を変えると、レーザ光の波長を変えることができるが、ミラー14がない場合には、0次光の出射方向も変わって、種々の機器に適用することは困難である。しかし、本実施形態のレーザ装置10では、回折格子13と所定角度を維持してともに回転移動をするミラー14を採用しているので、回折格子13を回転させて0次光の波長を変化させても、レーザ装置10からの0次光22は常に同じ方向に出射されるようになされ、背景技術に示すリトロウ型のレーザ装置を改良したものとされている。
ミラー14は、ミラー表面14aに照射される光ビームの5%程度がミラー14の背面に透過する透過型ミラーとされている。0次光22のうちの5%ほどの光量の0次光23がミラー14を透過して角度検出ディテクタ15を照射する。このとき、回折格子13およびミラー14の回転角度によって角度検出ディテクタ15における0次光23の照射位置が変わる。
角度検出ディテクタ15は、この照射位置の変化をとらえる方向に配置される2分割ディテクタとして構成されている。そして、この2つのフォトディテクタ15aとフォトディテクタ15bとから検出される電気信号の各々の差の電気信号である差信号を検出することによって、回折格子13およびミラー14の回転角度を検出することができるものである。そして、この回転角度は、0次光23の波長、すなわち、0次光25の波長と、1対1の関係を有しているので、差信号と0次光23の波長との対応関係を処理機30cのROMにテーブルとして記憶しておけば、差信号から直ぐに0次光23の波長を検知することができる。
図2は、角度検出ディテクタ15を用いて検出する回折格子13の回動の角度に対応した後述する規格化差信号S15dnと、0次光23の波長、すなわち、0次光25(出力光)の波長との関係を示す。図2に示すグラフの横軸は、規格化差信号S15dnであり、図2に示すグラフの縦軸は、オプティカル・スペクトラム・アナライザで測定した0次光25の波長である。規格化差信号S15dnは以下のようにして求める。まず、角度検出ディテクタ15を構成するディテクタである、フォトディテクタ15aからの電気信号である出力電圧V15aおよびフォトディテクタ15bからの電気信号である出力電圧V15bを求める。次に、この両者の差の信号である差信号S15dを求め、出力電圧V15aと出力電圧V15bの和の信号である和信号S15sで割る。以下の式1は、規格化差信号S15dnを求める式である。
S15dn=S15d/S15s
=(V15a―V15b)/(V15a+V15b)・・・(1)
=(V15a―V15b)/(V15a+V15b)・・・(1)
規格化差信号S15dnは、演算器30aにおいて得ることができ、このようにして、規格化することによって、0次光23の強度によらず、正確な回折格子13およびミラー14の回転角度を検出することができ、結果として0次光23、すなわち、出力光としての0次光25の波長を精度良く検出することができるものとなる。
(モードホップ検出器について)
レーザ装置10は、モードホップ検出器を具備している。モードホップ検出器については、図4ないし図8に沿って後述するが、光路中に置かれたウェッジプリズム16と、モード検出ディテクタ17と、制御部30の演算器30bおよび処理器30cと、を有して構成されるものである。実施形態のレーザ装置10における発振のモードについて説明をした後にモードホップ検出器について説明をする。
レーザ装置10は、モードホップ検出器を具備している。モードホップ検出器については、図4ないし図8に沿って後述するが、光路中に置かれたウェッジプリズム16と、モード検出ディテクタ17と、制御部30の演算器30bおよび処理器30cと、を有して構成されるものである。実施形態のレーザ装置10における発振のモードについて説明をした後にモードホップ検出器について説明をする。
図3は、レーザ装置10における半導体レーザ11の温度に対するレーザの発振波長を示すものである。半導体レーザ11の温度が変化するにつれて発振波長の本数(モード)とその間隔が変化する。図3において、符号Aを付した温度領域がシングルモードで発振しているシングルモードの領域である。符号Bを付した温度領域が外部共振器によるモードホップを起こしながら発振している外部共振器モードの領域である。このときの各々のモードの間隔は外部共振器長(半導体レーザ11と回折格子13の間の光路長)により決定されるものであり、実施形態では約5pm(ピコ・メータ)であった。符号Cを付した温度領域が半導体レーザによるモードホップを起こしているチップモードの領域(以下、領域Cと記す)である。このときのモード間隔は半導体レーザ11のチップ長により決定されるものであり、実施形態における半導体レーザ11ではモードホップ間隔は約40pmであった。
レーザ装置を用いた電子機器の一つとしてのホログラム記録再生装置においては、外部共振器モード程度のモードの分布であれば記録再生は良好な特性となるが、チップモードでは記録再生特性は悪化して正常な記録再生は困難となる。実施形態では、モードホップ検出器からのモードホップ信号を用いていずれのモードであるかの検出をおこなうようにしている。
モードホップ検出器について説明する。ミラー14で反射した0次光24は、ウェッジプリズム16にて透過光である0次光25と反射光である0次光26とに分離される。0次光25は出力光として種々の機器の光源として利用される。0次光26はモード検知に使用される。0次光26が、ウェッジプリズム16の両方の面の各々で反射するので、両方の反射光によって生じる干渉縞がモード検出ディテクタ17の受光面に形成される。ここで、ウェッジプリズム16の両方の面は、平行ではない角度を有するようにして形成されているので、上述した干渉縞の態様としては、0次光26のモードに応じたフリンジコントラストが生じることとなる。すなわち、このフリンジコントラストからシングルモードであるか、外部共振器モードであるか、チップモードであるかのモードを検出できることとなる。
ウェッジプリズム16は、レーザ光を透過するとともに、レーザ光の一部を透過方向とは異なる方向へ所定方向に対して光路差を有して導く光学部材として機能するものである。ウェッジプリズム16に入射する0次光24の大部分は透過して0次光25として利用されるが、残りの部分は、ウェッジプリズム16の表面および裏面で反射する(図4を参照)。この表面で反射する光ビームと、この裏面で反射する光ビームとの光路差によってモード検出ディテクタ17の受光面上で干渉縞を形成する。0次光26のモードが変化する場合には、この干渉縞のパターン(フリンジコントラスト)が変化するので、この変化を検出することによって、モードを検出できることとなる。このフリンジコントラストをどの様にして電気信号として検出するかについては、図5を参照して後述する。
図4に、ウェッジプリズム16によってモード検出ディテクタ17の受光面に生じるフリンジ(干渉縞)を模式的に示す。ここで、図4では、モード検出ディテクタ17から離れた位置の輝度が高く、モード検出ディテクタ17に近い位置の輝度が低いことを模式的に示すものである。そして、この振幅が大きい場合がフリンジコントラストが大きいと称し、この振幅が小さい場合がフリンジコントラストが小さいと称するものである。フリンジの形状は、ウェッジプリズム16の厚みと両面のなす角度によって定めることができるものである。実施形態では、例えば、ウェッジプリズム16の厚みを3.5mm、両面のなす角を90秒としている。
モード検出ディテクタ17は、ウェッジプリズム16によって生じる、上述した、フリンジ(干渉縞)の明暗の輝度の差(フリンジコントラスト)に応じた出力信号を出力するものである。モード検出ディテクタ17は、上述した干渉縞のパターンの変化をとらえる上述の所定方向に2以上の複数の受光素子である分割ディテクタを列状に配して構成されている。このような構成を有するものであれば、モード検出ディテクタ17は、個別のフォトディテクタを列状に配したものであっても、CCDまたはCMOSセンサのような複数の受光センサを一体として備えるものであっても良い。モード検出ディテクタ17の複数のフォトディテクタの各々から、出力電圧V17が出力され、演算をおこなうために演算器30bに入力されている。
図5は、このようなフリンジピッチを検出するに好適なるモード検出ディテクタ17の構成の一例を示すものである。モード検出ディテクタ17の配置される位置におけるフリンジピッチ(干渉縞の周期)は、本実施形態の光学部品と光学部品配置では290μm(マイクロ・メータ)であったので、モード検出ディテクタ17はこのような290μmのフリンジピッチを検出するに好適なる形態とした。モード検出ディテクタ17は、フォトディテクタ17aないしフォトディテクタ17fからなり、フォトディテクタ17aとフォトディテクタ17b、フォトディテクタ17cとフォトディテクタ17d、フォトディテクタ17eとフォトディテクタ17fの各々の組みで構成される組み合わせが繰り返して配置されている。各々のフォトディテクタのフリンジの変化方向への幅は、63μmとし、フォトディテクタ17aとフォトディテクタ17b、フォトディテクタ17cとフォトディテクタ17d、フォトディテクタ17eとフォトディテクタ17fの各々の組みの相互の離間距離は4μmとし、上述した各組の相互間のフリンジの変化する所定方向への距離は160μmとした。
図6は、モード検出ディテクタ17の6個のフォトディテクタからの複数個から構成される出力電圧V17の各々である出力電圧V17a、出力電圧V17b、出力電圧V17c、出力電圧V17d、出力電圧V17eおよび出力電圧V17fを示すものである。これらの出力電圧のうちから最大値(図6の上側の太線)と最小値(図6の下側の太線)を探し出し、式2によってモードホップ信号を検出する。
モードホップ信号=(最小値)/(最大値) (2)
式2から得られたモードホップ信号の値が小さいときはフリンジのコントラストが大きく、モードホップ信号の値が大きいときはフリンジのコントラストが小さいことを表すものとなる。上述したモードホップ信号を得るための演算は演算器30bで行うものである。具体的には、演算器30bは、力電圧V17a、出力電圧V17b、出力電圧V17c、出力電圧V17d、出力電圧V17eおよび出力電圧V17fの各々を検出して、それらの中の最大の値を検出する。また、出力電圧V17a、出力電圧V17b、出力電圧V17c、出力電圧V17d、出力電圧V17eおよび出力電圧V17fの各々を検出して、それらの中の最小の値を検出する。最大値を検出する簡便な回路としては、ダイオードのカソードを共通として、各々のアノードに出力電圧V17aないし出力電圧V17fの各々を印加して、カソードから得られる電圧を最大値として検出できる。最小値を検出する簡便な回路としては、ダイオードのアノードを共通として、各々のアノードに出力電圧V17aないし出力電圧V17fの各々を印加して、アノードから得られる電圧を最小値として検出できる。割り算は割り算回路をもちいることができる。また、別の回路構成としては、出力電圧V17aないし出力電圧V17fの各々を検出して、処理機30cのA/D変換器でデジタル信号に変換後にCPUで最大値と最小値とを検出して、CPUで割り算をするようにすることもできる。
図7は、モードホップ信号と半導体レーザ11の温度との関係を示すものである。グラフの横軸は、半導体レーザ11の温度を示し、図7に示すグラフの縦軸は、モードホップ信号およびレーザ装置10から出射される出力光の波長を示すものである。モードホップ信号を実線のグラフで示し、光出力の波長を破線で各々示している。破線で示す光出力の波長のグラフは図3に示すものと同様のものであり、モードホップ信号と対比するために図7では記載されている。
図7の実線で示すモードホップ信号と破線で示す波長とを対比すると、シングルモードである場合にはモードホップ信号の出力のレベルは小さく、外部共振器モードの場合にはモードホップ信号の出力のレベルはより大きく、モードホップ信号は、チップモードである場合にはモードホップ信号の出力のレベルはさらに大きなものとなっている。これは、モードホップ信号は、上述したようにして、モード検出ディテクタ17の受光面に生じるフリンジコントラストを検出しており、モードホップ信号のレベルは、このフリンジコントラストに応じたレベルとして検出されるためである。コヒーレンシーが良好なるシングルモードでは、フリンジコントラストが最大となり、モードホップ信号の出力のレベルは小さくなるからである。一方、外部共振器モードからチップモードへ移行するに従いコヒーレンシーが悪化して、フリンジコントラストは小さなものとなり、モードホップ信号の出力のレベルはフリンジコントラストの減少に応じて大きくなるからである。図7に示す閾値は、シングルモードおよび外部共振器モードとチップモードとを判別する境界のラインである。
例えば、ホログラム記録再生装置ではこのモードホップ信号を利用して以下の制御をおこなっている。モードホップ信号がこの閾値を超える場合には、記録再生はできないモードであるとして記録再生の動作を停止し、モードホップ信号がこの閾値を超えない場合には、記録再生ができるモードであるとして記録再生をおこなうように制御をしている。
(外部共振器について)
図8を参照して、レーザ装置10における外部共振器について、その作用をより詳細に説明する。図8は、外部共振器におけるモード競合を模式的に示している、図8の縦軸は共振特性を示し、横軸は波長を示すものである。大きい山状の曲線K1および曲線K2が回折格子13の回転角度に応じて生じる波長選択性を示し、より小さい山状の曲線L1ないし曲線L5は半導体レーザ11が有する固有の波長選択性を示し、細線Mn-1、細線Mn、細線Mn+1は半導体レーザ11の背面と回折格子13の回折格子形成面13aの距離に応じた波長選択性を示すものである。そして、レーザ装置10からの出力光の波長としては、これら3つの選択性を総合して、選択度が最も高い波長の付近の該当する波長が選択される。なお、曲線L1ないし曲線L5の隣接する山の間の波長差をダイオードモード間隔Δλldと称して以下では用いる。
図8を参照して、レーザ装置10における外部共振器について、その作用をより詳細に説明する。図8は、外部共振器におけるモード競合を模式的に示している、図8の縦軸は共振特性を示し、横軸は波長を示すものである。大きい山状の曲線K1および曲線K2が回折格子13の回転角度に応じて生じる波長選択性を示し、より小さい山状の曲線L1ないし曲線L5は半導体レーザ11が有する固有の波長選択性を示し、細線Mn-1、細線Mn、細線Mn+1は半導体レーザ11の背面と回折格子13の回折格子形成面13aの距離に応じた波長選択性を示すものである。そして、レーザ装置10からの出力光の波長としては、これら3つの選択性を総合して、選択度が最も高い波長の付近の該当する波長が選択される。なお、曲線L1ないし曲線L5の隣接する山の間の波長差をダイオードモード間隔Δλldと称して以下では用いる。
上述した、チップモードによるモードホップ状態は、回折格子13の選択性の山のピークが、曲線K1として示すように共振波長λ1にあり、半導体レーザ11の選択性の山と山の間(例えば、図8に図示するように曲線L2と曲線L3の間)に位置するということである。また、シングルモード状態は、回折格子13の選択性の山のピークが、曲線K2として示すように半導体レーザ11の選択性の山(例えは、図8に図示する曲線L3の山)と一致して共振波長λ2とされ、さらに、細線(例えば、細線Mn)を両方の山の中心部において含むということである。ここで、半導体レーザ11の選択性の山は半導体レーザ11の温度変化により移動するので、半導体レーザ11の発振の波長、すなわち、0次光25として得られる出力光の波長は、図3に示すように半導体レーザ11の温度変化に応じて変化することとなる。
レーザ装置10では、回折格子13およびミラー14を回転軸27の回りで回転させることによって、回折格子13の選択性の山のピークを移動させることができる。図8から見て取れるように、チップモードのモードホップから抜け出すには、回折格子13による選択波長(選択性のピーク)が回折格子13を回転することによって、ダイオードモード間隔Δλldの半分(Δλld/2)だけ共振波長を移動させれば良いことがわかる。
共振波長λと、回折格子の法線と入射光とのなす角度θと回折格子13の格子間隔を間隔dgとの間の関係は式3で表される。そして、チップモードのモードホップ状態から抜け出すために必要な回折格子13の回転角は、以下の式3以下の式で算出される。式3では、角度θは、図9に図示するように回折格子の法線と入射光との間の角度である。また間隔dgは回折格子13に形成された回折格子gの格子間隔である。
λ=2dgSinθ (3)
チップモードにおける回折格子13で構成される共振器の共振波長を共振波長λ1(図8を参照)とし、シングルモードにおける回折格子13で構成される共振器の共振波長を共振波長λ2(図8を参照)とすると、両者の関係は式4で表される。
λ2=λ1+Δλld/2 (4)
また、式3より共振波長λ1での回折格子13の角度θの値である角度θ1は式5で表される。
θ1=Arcsin(λ1/2dg) (5)
θ1=Arcsin(λ1/2dg) (5)
回折格子13の動くべき角度である角度Δθは式6で表される。
Δθ=θ2−θ1
=Arcsin(λ2/2dg)−Arcsin(λ1/2dg)
=Arcsin((λ1+Δλld/2) /2)−Arcsin(λ1/2dg) (6)
Δθ=θ2−θ1
=Arcsin(λ2/2dg)−Arcsin(λ1/2dg)
=Arcsin((λ1+Δλld/2) /2)−Arcsin(λ1/2dg) (6)
ここで、回折格子形成面13aに形成される回折格子gの間隔dgが277nm、半導体レーザ11に固有のダイオードモード間隔Δλldが40pm、共振波長λ1が405nmの場合において、回転させるべき回折格子の角度Δθは、これらの数値を式6に代入して、
Δθ=0.05[mrad(ミリ・ラジアン)]
を得ることができる。そして、回折格子13の回転中心点からレバー42とシャフト41aの接触点までの距離L(図1を参照)の長さを、例えば、10mmとする場合には、シャフト41aの移動すべき移動量Δp(図1を参照)は式8で表される。
Δθ=0.05[mrad(ミリ・ラジアン)]
を得ることができる。そして、回折格子13の回転中心点からレバー42とシャフト41aの接触点までの距離L(図1を参照)の長さを、例えば、10mmとする場合には、シャフト41aの移動すべき移動量Δp(図1を参照)は式8で表される。
Δp=Δθ10
=0.5[μm] (8)
=0.5[μm] (8)
図10は、移動量Δpをシャフト41aに発生させるためのピエゾアクチュエータ41の外観を示す図である。すなわち、移動量Δpよりも小さな刻み幅でシャフト41aを移動させることによって、刻み幅に応じた精度で移動量Δpを得ることができるものである。一般的にはΔpは正負のいずれの値も取り得ることとなるが、制御信号Spd(図1を参照)によってこの正負の方向も制御することができるようになされている。
図11は、ピエゾアクチュエータ41の主要構成部である、テンションスプリング41d、ローラベアリング41c、ベアリングホルダ41b、ドライブパッド41eの各々を分解して示すものである。図12は、ピエゾ素子ユニット41fを示すものである。ピエゾ素子ユニット41fは、ドライブパッド41eに保持され、ピエゾ素子脚a、ピエゾ素子脚b、ピエゾ素子脚cおよびピエゾ素子脚dから構成されている。各々のピエゾ素子脚は2つのピエゾ素子が貼り合わせられて形成されている。各々のピエゾ素子に印加する電圧に応じて、各々のピエゾ素子脚は左右に傾き、また上下にも伸び縮みする。これによってシャフト41aをリニアモータとしてピエゾアクチュエータ41は構成されている。
図13の(A)ないし図13の(F)はどの様にして、ピエゾアクチュエータ41のシャフト41aが移動するかをピエゾ素子脚aないしピエゾ素子脚dの運動を模式的に示して説明するものである。図13の(A)ではピエゾ素子脚aないしピエゾ素子脚dの各々のピエゾ素子脚は図に示すように屈曲し、すべてのピエゾ素子脚の長さは等しい。図13の(B)では、ピエゾ素子脚bとピエゾ素子脚dはシャフト41aとは接触せず、ピエゾ素子脚aないしピエゾ素子脚dの各々のピエゾ素子脚は図に示すように屈曲状態から直線状態へと変化する。このとき、シャフト41aを紙面の右方向へ送る。図13の(C)では、ピエゾ素子脚bとピエゾ素子脚dはシャフト41aとは接触せず、ピエゾ素子脚aないしピエゾ素子脚dの各々のピエゾ素子脚は図に示すように直線状態から屈曲状態へと変化する。このとき、はシャフト41aを紙面の右方向へ送る。図13の(D)ではピエゾ素子脚aないしピエゾ素子脚dの各々のピエゾ素子脚は図に示すように屈曲し、すべてのピエゾ素子脚の長さは等しい。図13の(E)では、ピエゾ素子脚aとピエゾ素子脚cはシャフト41aとは接触せず、ピエゾ素子脚aないしピエゾ素子脚dの各々のピエゾ素子脚は図に示すように屈曲状態から直線状態へと変化する。このとき、はシャフト41aを紙面の右方向へ送る。図13の(F)では、ピエゾ素子脚aとピエゾ素子脚cはシャフト41aとは接触せず、ピエゾ素子脚aないしピエゾ素子脚dの各々のピエゾ素子脚は図に示すように直線状態から直屈曲状態へと変化する。このとき、はシャフト41aを紙面の右方向へ送る。シャフト41aを紙面の左方向へ送るときには、上述した手順とは逆方向に各々のピエゾ素子脚を屈曲させれば良いものである。
図1に示すように、レバー42とシャフト41aとはヒンジ機構を構成して回動可能として連結され、移動量Δpに応じて、回転軸27を回転中心として、回折格子13とミラー14とは回動するようになされている。このようにして、回折格子13の半導体レーザ11に対する角度を変化させ共振器の共振周波数を変化させることができる。本実施例ではピエゾアクチュエータ41のシャフトを相互に固着された回折格子とミラーとに接続し、実施形態においては、1パルスで、シャフト41aを0.25μm(マイクロ・メータ)送るように設定している。なお、このようなピエゾアクチュエータ41を採用する場合には、制御信号Spdの1パルスに対応する移動幅を数百μmから2nm(ナノ・メータ)の範囲で適宜に設定することが可能である。また、シャフト41aがドライブパッド41eから抜けるまで可動範囲として確保でき、実施形態では10mm(ミリ・メータ)以上のシャフト41aの移動を可能としている。ピエゾアクチュエータ41に印加するパルスは処理機30cからの制御信号Spdとして得られる。
図14は、レーザ装置10から得られる出力光の波長とピエゾアクチュエータ41に印加されるパルスの回数である。図14から見てとれるように、4パルス〜5パルス間隔で出力光の波長が40pm程度変わるような領域C(図3を参照)を通過する。図14においては、この領域Cは破線で囲われた狭い範囲に対応している。この領域Cでは、チップモードで発振しているが、1パルス前後どちらかに動かすことでチップモードの発振を回避することができる。
図15はチップモードで発振している領域C(図3を参照)における出力光のスペクトラムを解析したスペクトラムアナライザの画面表示である。図16はシングルモードで発振している領域A(図3を参照)における出力光のスペクトラムを解析したスペクトラムアナライザの画面表示である。
図17は、レーザ装置10の制御の一実施形態を、処理機30cのCPUがおこなう処理として示すフローチャートである。スタートの前に初期値設定をおこなうが図17のフローチャートでは省かれている。初期値設定においては、移動フラグは0とされ、駆動方向フラグは1または0とされている。
ステップST10では、CPUはモードホップ信号を検出する。
ステップST20では、CPUはモードホップ信号の値が閾値以上かを判定する。モードホップ信号の値が閾値以上である場合(Yes)には処理はステップST30へ移り、モードホップ信号の値が閾値以上である場合ではない場合(No)には処理はステップST60へ移る。
ステップST30では、CPUは駆動方向フラグが正方向かを判定する。駆動方向フラグが正方向である場合(Yes)には処理はステップST40へ移り、駆動方向フラグが正方向である場合ではない場合(No)には処理はステップST50へ移る。
ステップST40では、CPUは負方向に1パルス分だけシャフト41aを送る制御信号Spdをピエゾアクチュエータへ送る。また、CPUは移動フラグを1にする。その後処理は、ステップST10へ戻る。
ステップST50では、CPUは正方向に1パルス分だけシャフト41aを送る制御信号Spdをピエゾアクチュエータへ送る。また、CPUは移動フラグを1にする。その後処理は、ステップST10へ戻る。
ステップST60では、CPUは移動フラグが1かを判定する。移動フラグが1である場合(Yes)には処理はステップST70へ移り、移動フラグが1である場合ではない場合(No)には処理はステップST10へ戻る。
ステップST70では、CPUは駆動方向フラグを反転する。すなわち、駆動方向フラグが正方向である場合には負方向に、駆動方向フラグが負方向である場合には正方向に書き換える。また、CPUは移動フラグを0にする。その後処理は、ステップST10へ戻る。
ステップST20では、CPUはモードホップ信号の値が閾値以上かを判定する。モードホップ信号の値が閾値以上である場合(Yes)には処理はステップST30へ移り、モードホップ信号の値が閾値以上である場合ではない場合(No)には処理はステップST60へ移る。
ステップST30では、CPUは駆動方向フラグが正方向かを判定する。駆動方向フラグが正方向である場合(Yes)には処理はステップST40へ移り、駆動方向フラグが正方向である場合ではない場合(No)には処理はステップST50へ移る。
ステップST40では、CPUは負方向に1パルス分だけシャフト41aを送る制御信号Spdをピエゾアクチュエータへ送る。また、CPUは移動フラグを1にする。その後処理は、ステップST10へ戻る。
ステップST50では、CPUは正方向に1パルス分だけシャフト41aを送る制御信号Spdをピエゾアクチュエータへ送る。また、CPUは移動フラグを1にする。その後処理は、ステップST10へ戻る。
ステップST60では、CPUは移動フラグが1かを判定する。移動フラグが1である場合(Yes)には処理はステップST70へ移り、移動フラグが1である場合ではない場合(No)には処理はステップST10へ戻る。
ステップST70では、CPUは駆動方向フラグを反転する。すなわち、駆動方向フラグが正方向である場合には負方向に、駆動方向フラグが負方向である場合には正方向に書き換える。また、CPUは移動フラグを0にする。その後処理は、ステップST10へ戻る。
上述した処理によってレーザ装置10は常時、チップモードの領域Cにいるかどうかを判断して、領域Cにいる場合には領域Cから抜け出すように制御信号Spdをピエゾアクチュエータ41に印加する。この処理において、一度、領域Cから抜け出す処理がなされた場合には、どちらの方向へ、回折格子の角度を変化させて領域Cから抜け出したかを駆動方向フラグによって記憶しておき、その次に再び領域Cに入った場合には、前回と逆方向にその角度を振るようにしている。これによって、シャフト41aの移動距離が大きくならないようにして、シャフト41aの可動可能範囲を逸脱しないようにしている。
また、規格化差信号S15dnの値をステップST10で検出し、ステップST30においては、駆動方向フラグ方向の判別に換えて、規格化差信号S15dnの値が規定の範囲の幅を超えた場合、すなわち、回折格子13の角度が規定の範囲を越えた場合には、その規定の範囲に入るようにステップST40またはステップST50のいずれかの処理をおこなうようにすることもできる。このようにしても、シャフト41aの可動可能範囲を逸脱しないようにすることができる。
さらに、変形例としては、図17に示すようにポーリング処理ではなく、所定時間毎の割り込み処理、または、レーザ装置10を使用する直前にのみモード設定の処理をおこなうようにしても良い。また、機構部に関しても、回折格子13を回動させるアクチュエータとしてピエゾアクチュエータに換えて、微小な回動を可能とする他のモータ(アクチュエータ)であっても良い。さらに、回折格子13の回転中心である回転軸27と、駆動力を伝達するレバー42とシャフト41aとの連結点との距離L(図1を参照)を長くすることで、微量な移動量を制御できないモータを使うこともできる。
図18は、別の実施形態として、リットマン型のレーザ装置11を示す。レーザ装置61において図1に示すレーザ装置10と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。レーザ装置61は、回折格子形成面86aを有する回折格子86と、ミラー表面87aを有する補助ミラー87とを新たな光学部品として具備する。リットマン型のレーザ装置11では、回折格子86とレーザダイオード11の位置関係は変化させることなく、補助ミラー87の回折格子86に対する角度を変化させて図8において、外部共振器の作用を説明したと同様に、共振特性を変化させる。補助ミラー87は回転軸27bを中心として、シャフト41aを介して伝達されるピエゾアクチュエータ41の駆動力で回転する。出力光85のモードは、ウェッジプリズム16、モード検出ディテクタ17、さらには、制御部30に含まれる制御部30の演算器30bおよびによって検出されて、処理器30cからの制御信号Spdによって、所定モードとなるように制御される。制御手順は、図17のフローチャートに示すと同様である。
上述した実施形態のレーザ装置を用いることによって、レーザ装置からの出力光のパワーを変化させることなく、また、強制的にレーザ光源の温度を変化させることなく、所望のモードを有する出力光を得ることができる。このようなレーザ装置は、上述したように、出力光が安定したパワーを有して、種々の産業機器に応用ができるものである。
一例を挙げれば、ホログラム記録再生装置においては、参照光と信号光との干渉縞によってホログラムを形成するので、可干渉距離(コヒーレント長)が長いことが非常に重要である。可干渉距離が短い場合には、ホログラム記録媒体に厚みがあるために記録再生が適切におこなえない。したがって、レーザ装置からの出力光は、シングルモードまたは外部共振器モードであることが要求され、チップモードでの使用は排除しなければならない。さらに、ホログラム記録に用いる場合には、出力光のパワーが安定していることも良好なる記録再生をおこなうには重要な要素となる。以上の点から、上述した実施形態のレーザ装置は、ホログラム記録再生装置の性能向上には不可欠な構成部品である。
また、モードホップ信号が図7に示す閾値以上となるように、機構部を制御する場合には、チップモードのみを使用するのが好適なる電子機器に用いることができる。さらに、図7に示した例では閾値を一つ設けたが、一つに限らずに、シングルモード、外部共振器モード、チップモードの各々を区別するための2つの閾値である第1閾値および第2閾値を設け、モードホップ信号の値が第1閾値未満である場合にはシングルモード、モードホップ信号の値が第1閾値以上、第2閾値未満である場合には外部共振モード、モードホップ信号の値が第2閾値以上である場合にはチップモードの各々を検出するものとすれば、各々のモードにレーザ装置のモードを設定できるのみならず、例えば、シングルモードとチップモードのいずれかを含む組み合わせ(モードホップ信号が第1閾値未満を表す場合または第2閾値以上である場合が該当)と、外部共振器モードとチップモードのいずれかを含む組み合わせ(モードホップ信号が第1閾値以上である場合が該当)でレーザ装置を動作させる事もできる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、開示された技術的思想の範囲内におよぶものである。また実施形態についても、上述の実施形態に限られず、これらを様々に変形し、組み合わせた実施形態が実施可能であることは言うまでもない。
10、61 レーザ装置、11 半導体レーザ、12 コリメートレンズ、13、86 回折格子、13a、86a 回折格子形成面、14、 ミラー、14a、87a ミラー表面、15 角度検出ディテクタ、15a、15b、17 モード検出ディテクタ、17a、17b、17c、17d、17e、17f フォトディテクタ、16 ウェッジプリズム、17 モード検出ディテクタ、20 光ビーム、21 光ビーム、22、23、24、26 0次光、25 出力光(0次光)27、27b 回転軸、30 制御部、30a、30b 演算器、30c 処理器、41 ピエゾアクチュエータ、41a シャフト、41b ベアリングホルダ、41c ローラベアリング、41d テンションスプリング、41e ドライブパッド、41f ピエゾ素子ユニット、42 レバー、85 出力光、87 補助ミラー
Claims (5)
- 外部共振器型のレーザ装置であって、
マルチモードで発振するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射する光ビームを受光して、回折光を前記レーザ光源に戻す回折格子と、
前記レーザ光源に戻す回折光の波長を変化させる機構部と、
前記レーザ装置から外部に出射される出力光のモードに応じたモードホップ信号を検出するモードホップ検出器と、
所望のモードの前記出力光を得るために前記モードホップ信号に応じて前記機構部を制御する制御部と、を備えるレーザ装置。 - 前記レーザ光源に戻す回折光の波長を変化させる機構部は、
前記レーザ光源と前記回折格子との相対角度を変化させることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。 - 前記モードホップ検出器は、
前記光ビームを透過するとともに、前記光ビームの光量の一部を前記光ビームの入射側の面と前記光ビームの出射側の面との各々の面で光路差を有して反射させる光学部材と、
前記光学部材によって生じる光路差が生じる干渉縞の輝度に応じた信号を出力する複数の受光素子と、
前記複数の受光素子の各々の出力信号の中の最小値と、前記複数の受光素子の各々の出力信号の中の最大値との比である比較信号を求める演算器と、を具備し、
前記複数の受光素子は、前記光ビームの前記モードに応じて、前記比較信号の値が異なるように配置されることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。 - 前記制御部は、
前記所望のモードがシングルモードまたは外部共振器モードとなるように前記機構部を制御することを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。 - レーザ装置のモード制御方法であって、
マルチモードで発振するレーザ光源から光ビームを出射し、
前記レーザ光源から出射する光ビームを受光して、回折光を前記レーザ光源に戻し、
前記レーザ装置から外部に出射される出力光のモードに応じたモードホップ信号を検出し、
前記モードホップ信号に応じて前記回折光を前記レーザ光源に戻して所望のモードの前記出力光を得るレーザ装置のモード制御方法。
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