近年、レーザ装置は、小型かつ低消費電力である等の理由から、情報機器に多く使われるようになってきた。例えば、ホログラフィックデータストレージ(HDS:Holographic Data Storage)については、1本のレーザ光をビームスプリッタで2本に分けた後に記録メディア上で再びあわせ、その干渉によってデータを記憶する。
このような、ホログラム記録再生用の光源としては、シングルモードのレーザ光源を使用する。例えば、ガスレーザ、SHGレーザを用いる。また、レーザダイオード(LD)を使用した外部共振器型半導体レーザも用いることができる。
通常のレーザダイオードは、マルチモードであるためコヒーレンシーの点で不十分である。そこで、レーザダイオードを用いて、外部共振器型半導体レーザを構成すれば、シングルモード化でき、コヒーレンシーの良好なホログラム記録再生用の光源が実現できる。このような、外部共振器型半導体レーザを含むレーザ装置の代表的な構成が下記の非特許文献1に記載されている。
図1は、レーザダイオードを用いたリットロー(Littrow)型と呼ばれる外部共振器型半導体レーザの構成を示す。レーザダイオード1から出射されたレーザ光は、コリメータレンズ2で平行光とされて、反射型回折格子(以下、グレーティングと称する)3に入射される。
グレーティング3は、グレーティング取付部4に取り付けられている。グレーティング取付部4は、板バネ5を介して支柱6に保持されている。グレーティング取付部4の板バネ5が取り付けられた位置から離れた位置がネジ7の回転に応じて上下に変位されることによって、グレーティング3の角度が可変される。ネジ7は、図示しないが、ネジ支えに挿入されている。
グレーティング3でレーザ光が反射される際に、レーザ光が0次光L0と1次光L1a,L1b,L1cに分離される。1次光の反射角が波長によって変化するので、1次光L1a,L1b,L1cは、それぞれ異なる波長に対応している。
グレーティング3の角度に応じて特定の波長の1次光L1aが再びコリメータレンズ2を通り、レーザダイオード1に逆注入される。この結果、レーザダイオード1が注入された1次光L1aの波長が優勢となってシングルモードとなる。シングルモードにおいて出射される光の波長は、グレーティング3から戻ってきた光の波長と同じである。すなわち、1次光L1aによりグレーティング3とレーザダイオード1の間で共振器が形成され、グレーティング3の格子形状と、グレーティング3とレーザダイオード1との距離で定まる波長で、レーザダイオード1が発振する。0次光L0は、通常のミラーと同じように反射して外部に出射され、例えばホログラム記録再生用に使用される。
外部共振器型のレーザ装置では、レーザパワーの増加に伴って射出されたレーザ光の波長が徐々に大きくなる外部共振器モードホップの領域と、レーザパワーが増加した場合に、射出されたレーザ光の波長が急激に小さくなる、半導体レーザ内のレーザチップによるモードホップの領域が存在する。レーザ光の波長は、レーザパワーの増加に伴い、ある程度離散的に推移する。
レーザ装置から出力されるレーザ光のレーザパワーと波長の関係は、グラフの横軸はレーザパワーをとり、グラフの縦軸に波長をとると、レーザ光のレーザパワーの増加に伴って、レーザ光の波長は、のこぎり波状の変化を示す。パワーと波長変化との関係において、レーザダイオードのモードホッピングによって生じる波長変化は、約0.04nm程度である。所定のレーザパワーでは、図2に示すように、特定の波長のレーザ光のみを発生させることができる。なお、図2の例では、波長(407.89nm)が示されている。
図3に示すように、チューナブルレーザ装置では、グレーティング3の角度を変えることによって、中心波長例えば403.5nmに対して波長を例えば±2nm程度変える構成とされる。演算出力(A−B)/(A+B)は、後述するように、レーザの波長によって変化するスポットの位置を2分割ディテクタで検出した検出信号AおよびBを演算したものである。
一例として、中心波長で演算出力が0となるように設定される。波長多重方法でホログラムメディアに対して記録を行う場合に、波長変化のステップとしては、100pm程度が要求される。この波長変化のステップは、グレーティング3の回転角度の変化のステップに関して0.015°となる。
しかしながら、グレーティング3の角度を変化させた場合、出射される0次光L0の方向も変化し、レーザ装置を光源として使用する上で問題を生じる。グレーティング3の角度を変えても、出射光が同じ光路のとるように、グレーティングとミラーを組み合わせる構成が下記の非特許文献2に記載されている。
図4は、かかる構成のレーザ装置を示す。グレーティング3とミラー8とが例えば90°の開き角でもって対向されている。レーザダイオード1からのレーザ光がグレーティング3で反射され、さらに、ミラー8で反射されて外部に出射される。グレーティング3とミラー8は、回転軸9を中心に、開き角を維持したまま回転する。回転軸9は、グレーティング3の他端に設けられ、レーザダイオード1からのレーザ光の光軸に垂直で、かつ、グレーティングの格子溝の延長方向と平行に延びる。
グレーティング3とミラー8とが実線で示す位置にある場合と、矢印で示すように、これらが回転されて破線で示す位置にある場合とで、0次光L0の出射方向が変化する。このように、0次光の出射方向が変化することは、レーザ光源として使用する上で好ましいことではない。
次に、上述した非特許文献2に記載されているグレーティング3とミラー8を回転させた時に、出射されるレーザ光の方向が変化しないことについて図5を参照して説明する。ここで、グレーティング3の一端とミラー8の一端は、グレーティング3とミラー8の反射面を延長した線の交点の位置で、グレーティングの格子溝の延長方向に水平な回転軸11で連結される。回転軸11は、円12の中心でもある。また、グレーティング3の反射面とミラー8の反射面がなす角はVである。
ここで、点cから点dまで所定の入射光13が与えられると、その入射光13が点dでグレーティング3に入射し、0次光14は入射角と同じ角度で反射し、点eに進む。そこで、ミラー8が0次光14を受光し、点fに向けて反射光15を出射する。入射光13を延長した線と反射光15を延長した線は点jで交差し、これらの延長線と0次光13の線は、それぞれ円12の接線となっている。
さらにここで、グレーティング3とミラー8を、回転軸11を中心に角度Vを維持したまま回転させると、これらはそれぞれ、点線で示す位置に移動する。このとき、所定の入射光13は、点cから点gまで延び、点gにおいてグレーティング3に入射し、0次光16が出射される。0次光16は、点gから点hまで延び、そこでミラー8に反射し、反射光15が点hから点fまで延びる。
グレーティング3とミラー8を回転させた後も、入射光13を延長した線、反射光15を延長した線および0次光16の線は、それぞれ円12の接線となっている。このことから、グレーティング3とミラー8を、それぞれの反射面の延長線の交点を支点として回転させれば、所定の入射光13と反射光15のなす角はWという一定の値に維持されるということが分かる。
この原理を応用すれば、波長を変えるためにグレーティング3の傾きを変更しても、出力レーザ光を一定の位置に出射させることができ、チューナブルレーザを構成することができる。
半導体レーザ1を使用した場合にモードホップにより発振波長が不安定となる領域が生じる。この点について以下に説明する。図6に示すグラフの横軸はレーザパワーを示し、単位はmWである。一方、グラフの縦軸は波長を表しており、単位はnmである。図6から分かるように、レーザ光のレーザパワーの増加に伴って、レーザ光の波長は、概ね、のこぎり波状の変化を示す。
また、例えば、レーザパワーが30mW付近では単一の波長のレーザ光が射出されて完全なシングルモードとなっているが、レーザパワーが32mW付近では、3つのモード(3モード)の光が発生している。さらに、半導体レーザ内のレーザチップによるモードホップの領域にあたる、レーザパワーが35mWの付近においては、波長409.75nm付近で3モードの光が発生し、さらに波長409.715nm付近で3モードの光が発生し、全体として6モードの光が射出されている。
図7は、いくつかのレーザ光のスペクトラムを表している。上述したように、レーザ光の波長が徐々に大きくなる外部共振器モードホップの領域では、図7A、図7B、図7Cに示すようなスペクトラムとなる。一方、例えば、レーザパワーが35mW付近の半導体レーザ内のレーザチップによるモードホップの領域では、図7Dに示すようなスペクトラムとなる。
これらのレーザ光をホログラフィックデータストレージに用いる場合、レーザパワーが32mW付近で生じるような(すなわち、図7Aに示すような)3モードの光や、2モードの光(すなわち、図7Bに示すような光)は、完全なシングルモードの光(図7Cに示すスペクトラムの光)と同等の記録再生特性を示すので、シングルモードの光と同様に使用することができる。ここでは、例えば、レーザパワーが30mW付近で発生するような完全なシングルモードと、例えば、レーザパワーが32mW付近で生じるような3モードや2モードを総称して使用可能モードと呼ぶことにする。
一方、例えば、図7Dに示すような、レーザパワーが35mW付近で生じるような6モード状態は、2つの3モードの組が、互いに約40pm程度離れているために、良好なホログラム記録を実現することができない。ここでは、このようなモードを使用不可モードと呼ぶことにする。
使用可能モードのレーザ光が得られる領域は、上述の、外部共振器モードホップの領域にほぼ対応し、使用不可モードのレーザ光が得られる領域は、上述の、半導体レーザ内のレーザチップによるモードホップの領域にほぼ対応する。図6のグラフから分かるように、一般的には、使用可能モードのレーザ光が得られる領域の方が、使用不可モードのレーザ光が得られる領域よりはるかに広いので、使用不可モードのレーザ光を効果的に排除できれば、ホログラフィックデータストレージに外部共振器型半導体レーザを用いることは十分可能である。
図8は、図6のグラフをのこぎり波で表した図である。上述したように、外部共振器型半導体レーザは、B領域とD領域のレーザパワーでは、レーザ光の発振スペクトラムが乱れる。このような発振スペクトラムの乱れるレーザ光を使用して、ホログラムの記録再生を行うとホログラムの記録再生特性が悪化する。
また、周囲の温度が変化すると図6および図8に示すグラフが示す特性も乱れ、発振スペクトラムの乱れる領域となるレーザパワーの位置が変化する。したがって、外部共振器型半導体レーザ内の温度を、ほぼ一定に保ち、発振スペクトラムの乱れる領域が変動しないようにして、その領域を回避するようにレーザパワーをコントロールする必要がある。さらに、グレーティングの角度を変えることによって中心波長例えば407nm付近に対して波長を±3nm程度変える構成とした場合には、所望の波長に制御するために、波長を変えた際に実際の波長の値を把握することが重要であり、少なくとも数十pmの精度で波長を検出する必要がある。
したがって、半導体レーザを含む外部共振器型半導体レーザを用いてホログラムの記録再生を行う際に、レーザ光の発振波長を判定し、この波長判定結果に対応して、レーザ光の波長を所望のものに制御することが望ましい。本願出願人は、先に、波長に応じてビームの位置が動くことを2分割ディテクタまたはポジションセンサーのような検出素子で検出し、検出結果からレーザパワーを制御するレーザ装置を提案している。
図9は、かかるレーザ装置を示すものである。図9に示したレーザ・システムは、外部共振型半導体レーザ21、ビームスプリッタ22、オプティカルウェッジ23、2分割ディテクタ24、レーザ制御部25、およびディテクタ26を備える。外部共振型半導体レーザ21からのレーザ光がビームスプリッタ22を透過して例えばホログラフィックデータストレージの光源として使用される。
ビームスプリッタ22で反射されたレーザ光がオプティカルウェッジ23に対して入射される。オプティカルウェッジ23は、光の干渉によって明の帯と暗の帯とが交互に位置する縞模様を発生する。干渉縞の位相が波長によって変化し、オプティカルウェッジ23の反射光29を受光する2分割ディテクタ24の二つのフォトディテクタの出力信号AおよびBの差信号(A−B)のレベルが変化する。
オプティカルウェッジ23を透過したレーザ光30がディテクタ26に入射され、総光量が検出される。ディテクタ26で検出された結果を、差信号を除算する和信号として用いたり、APC(Automatic Power Control)を行う際の信号として用いることができる。
2分割ディテクタ24およびディテクタ26の出力信号がレーザ制御部25に供給される。
レーザ制御部25は、2分割ディテクタ24からの差信号をディテクタ26からの和信号で除算することによって差信号を正規化する。正規化された差信号に基づいて、現在のレーザ光の波長が検出される。検出された波長がモードホップによる波長の急激な変化領域に含まれないように、外部共振型半導体レーザ21の半導体レーザに対するパワーを制御する制御信号が生成される。この制御信号が外部共振型半導体レーザ21にフィードバックされる。
次に、図10を参照して、先に提案されている外部共振器型半導体レーザの他の構成例について説明する。図10の構成では、チューナブルレーザ装置の内部で波長検出を行うものである。
図10に示すように、レーザ40は、レーザダイオード41、コリメートレンズ42、グレーティング43、半透過ミラー44および2分割ディテクタ45を備えている。グレーティング43および半透過ミラー44は、所定の角度を維持したまま軸46を支点として回転する。レーザダイオード41は、マルチモードのレーザ光を発光する。コリメートレンズ42は、レーザ光を平行光とする。なお、本明細書において、半透過ミラーの「半」の用語は、透過率50%を意味するものではなく、透過率が10%以下例えば5%のような少量の透過光を生じさせるミラーを意味する。
グレーティング43は、波長毎に異なる方向へ1次光を発生し、その内の特定の波長例えば410nmに対応した1次光がレーザダイオード41に戻るように、グレーティング43の角度が設定されている。その結果、レーザダイオード41内でその波長成分だけが大きくなり、シングルモードとなる。レーザダイオード41により発光されるレーザ光の大半は、1次光ではなく、0次光である。したがって、リットロー型と呼ばれる外部共振器型半導体レーザでは、グレーティング43の角度を変えることで発振波長を可変することができる。
半透過ミラー44の透過光が2分割ディテクタ45に入射される。2分割ディテクタ45は、グレーティング43および半透過ミラー44と一体に回転される。2分割ディテクタ45は、図3に示すように、波長を例えば±2nmにわたって変化させる場合の波長をモニタするものである。このようなチューナブルレーザとしての波長変化をモニタするユニットを波長モニタまたは波長モニタ用2分割ディテクタと称する。
半透過ミラー44で反射した0次光がオプティカルウェッジ47に入射され、オプティカルウェッジ47の反射光が2分割ディテクタ48によって受光される。オプティカルウェッジ47を透過した光が出力光として出射され、例えばホログラフィックデータストレージの光源として使用される。オプティカルウェッジ47および2分割ディテクタ48は、図8に示すような例えば0.04nmの波長変化をモニタするものである。このようなモードホップによる波長変化をモニタするユニットを波長変化モニタまたは波長変化モニタ用2分割ディテクタと称する。図9におけるオプティカルウェッジ23および2分割ディテクタ24は、波長変化モニタを構成する。
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。この発明の一実施形態では、外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の波長を検出するために、オプティカルウェッジが使用される。
ここで、最初に、干渉縞を生じさせる光学素子の一例であるオプティカルウェッジについて説明する。オプティカルウェッジとは、両面のなす角が数十分程度の断面くさび形のガラス板である。これに単一波長のレーザ光を約45度傾けて入射すると、ガラス板の表面と裏面で反射した光が干渉縞を形成する。すなわち、二つの反射光の位相が一致すれば、明となり、二つの反射光の位相が反対であれば、暗となる。位相差は、オプティカルウェッジの厚みによって変化するので、厚みの変化する方向に明暗の縞模様の像が得られる。また、波長が変化すると、明暗の位置が変化する。
図11は、オプティカルウェッジ101にレーザ光103が入射された様子を示す。レーザ光103は、オプティカルウェッジ101で反射し、曇りガラス102に入射する。オプティカルウェッジ101は、図11に示す座標のz軸方向に進むにつれて、厚さdが小さくなるように形成されている。z軸方向は、図11の記載面または表示面の手前から裏側に向かう方向である。また、x軸方向は、オプティカルウェッジ101の表面よび裏面方向である。
レーザ光103は、オプティカルウェッジ101の表面101aで反射して曇りガラス102に入射するとともに、オプティカルウェッジ101の裏面101bで反射して曇りガラス102に入射するため、光路差が生じ、その結果、図12のような干渉縞110が発生する。なお、オプティカルウェッジ101の厚さdが小さくなる方向は、x軸方向でも良い。この場合、図12に示す干渉縞110が横向きとなる。
後で説明するように、この発明では、図12に示された干渉縞110を人間が肉眼で見る必要はないので、曇りガラス102はこの発明に必須の構成要素ではない。この発明では、干渉縞110の検出に、少なくとも2つのディテクタを有する2分割ディテクタを用いる。
ここで、オプティカルウェッジについてさらに詳細に説明する。図13に示すように、1本のレーザ中の光線A、Bがオプティカルウェッジ101に入射する場合を考える。ここで、オプティカルウェッジ101は、図11に示すものと同様であり、図に示すz軸方向に進むにつれて、オプティカルウェッジ101の厚さdが小さくなるように形成されている。
光線Aは、オプティカルウェッジ101の表面101aで反射して光線Cとなり、光線Bは、オプティカルウェッジ101の裏面101bで反射して、やはり光線Cとなるとする。このとき、光線Aと光線Bの光路差を求め、それを使って光線Cでの位相差を計算する。まず、Snellの法則より、以下の式1の関係が成り立つ。
sinθ/sinθ’=n ・・・(1)
一方、Lgの長さは、以下の式2で表される。
Lg=2d*tanθ’*sinθ ・・・(2)
また、光線Bが、オプティカルウェッジ101内を通過する距離Lpは、以下の式3で表される。
Lp=2(Lp/2)=2(d/cosθ’)=2d/cosθ’ ・・・(3)
ここで、Lp’を、Lpの光学距離とすると、Lp’は以下の式4で表される。
Lp’=2nd/cosθ’ ・・・(4)
Lp’とLgの光路差△Lは、以下の式5となる。
△L=Lp’−Lg=2nd/cosθ’−2d*tanθ’*sinθ=2d(n/cosθ’−sinθ*tanθ’) ・・・(5)
△Lによる位相差△δは、以下の式6で表される。
△δ=△L/λ+π ・・・(6)
ただし、πは反射時の位相変化のために付加されている。
ここで、光強度Iは、以下の式7となる。
I=(cos△δ)2 ・・・(7)
図14に示すように、オプティカルウェッジ101は、x軸に沿って見ると、先端部15が角度(ウェッジ角と適宜称する)αで構成されるくさび型をしている。しかしながら、オプティカルウェッジ101は、先端部115までを有している必要はなく、通常は、先細の先端部分を含まない、およそ台形の形状で構成される。また、図14に示すように、オプティカルウェッジ101の厚さdは、z軸座標における変位zの関数となり、以下の式8のように表される。ここで、zは、z軸上における、先端部115からの距離である。
d=z*tanα ・・・(8)
次に、オプティカルウェッジ101で反射される光がどのような干渉縞を発生するのかを、2つの波長の光の強度に着目して実験する。ここでは、外部共振器型半導体レーザにおけるのこぎり波状の波長変化で見られる典型的な下限波長(λ1)および上限波長(λ2)の光を用いるものとする。すなわち、λ1を410.00nm、λ2を410.04nmとする。また、屈折率n=1.5、入射角θ=45度、オプティカルウェッジ101のウェッジ角α=0.02度とする。
図15は、波長λ1の光と波長λ2の光が入射されるオプティカルウェッジ101の位置に応じて、オプティカルウェッジ101の反射光の強度がどのように変化するかを示すグラフであり、縦軸は相対的な光強度を表し、横軸はオプティカルウェッジ101の先端部15からの距離、すなわち、図14に示すオプティカルウェッジ101の先端部115からz軸方向への距離を表している。図15は、波長λ1の光と波長λ2の光を、オプティカルウェッジ101の先端部115から3mm程度までの間に照射した場合の、反射光の強度の変化を表している。
上述したように、反射光により像を生じさせると、強度が大きい位置が明るい帯となり、強度が小さい位置が暗い帯となり、明るい帯と暗い帯が交互に位置する干渉縞が現れる。この場合、2つの波長λ1とλ2が非常に近接しており、さらに、それらの光がオプティカルウェッジ101の先端部115に近い部分に照射されているため、光路差もきわめて小さい。したがって、波長λ1の光の反射光の強度を表す曲線121と波長λ2の光の反射光の強度を表す曲線122は、ほぼ同一の曲線となり、干渉縞は重なって見える。
図16は、図15と同様に、オプティカルウェッジ101に入射した光の反射光の強度がどのように変化するかを示すものである。図16は、光の入射する位置が、オプティカルウェッジ101の先端部115から1000mm(1m)付近である場合について示したものである。オプティカルウェッジ101の先端部115からの距離が約1mといっても、1mの長さのオプティカルウェッジが必要なわけではない。上述したように、先端部115から1m付近の部分を台形に切り出して形成されるので、オプティカルウェッジ自体の大きさは小さくすることが可能である。
この場合、オプティカルウェッジ101の先端部115から約1mの位置では、オプティカルウェッジ101の厚さdがかなり大きく、これによって、λ1とλ2の波長差0.04nmが蓄積され、曲線121と曲線122のわずかな位相差が生じてくる。位相差が小さいため、それぞれの場合に観察される縞模様はほとんど変わらない。
これは、波長λ1の光と、波長λ2の光を個別に所定の位置に照射して実験した結果である。図2に示すような、のこぎり波状の波長変化を繰り返す光が、このオプティカルウェッジ101に照射されたと仮定する。ここで、波長変化における波長の下限はλ1であるとし、上限はλ2であるとする。そうすると、最初は、波長λ1の光の反射光による曲線121が現れる。その後、半導体レーザのレーザパワーを増加していくと、波長はλ1からλ2に徐々に変化して曲線122に近づく。その後、さらにレーザパワーを増加していくと、曲線121と曲線122の両方が存在する状態となり、その後、波長λ1の光の反射光による曲線121のみとなる。これ以降、レーザパワーの増大に伴って、このような干渉縞の変化が周期的に観察されることになる。
図17は、図15と同様に、オプティカルウェッジ101に入射した光の反射光の光強度がどのように変化するかを示すものである。図17では、光の入射する位置が、オプティカルウェッジ101の先端部115から約6000mm(6m)の場合について示したものである。この場合は、波長λ1の光の反射光の強度を表す曲線121と、波長λ2の光の反射光の強度を表す曲線122がほぼ逆相となっており、両方の光が同時にオプティカルウェッジ101に入射した場合は、干渉縞が観察しづらい状態になる。
また、図16に示す状態で、ウェッジ角αを0.02度から0.04度に変えると、曲線121と曲線122の周期がどちらも小さくなり、同じ距離における縞の数が、図16に示すものより多くなる。このように、オプティカルウェッジの光が照射される位置や、ウェッジ角α等を調整することによって、干渉縞の態様を自在に調整することが可能となる。
次に、オプティカルウェッジ101からの反射光から得られるプッシュプル値について、図18を参照して説明する。図18では、前述の下限波長(λ1)による曲線121と上限波長(λ2)による曲線122に加えて、波長λ3(410.01nm)、波長λ4(410.02nm)、波長λ5(410.03nm)の光による曲線を、それぞれ曲線123、曲線124、および曲線125として表している。また、ここでは、オプティカルウェッジ101の形状や、ウェッジ角α等の条件については、図17に示すものと同様とする。
ここで、オプティカルウェッジ101の先端部115からの距離(z)が6001.6mmの位置の前後に、それぞれ0.3mm幅の、第1のディテクタ131と第2のディテクタ132を並べた2分割ディテクタによって差信号(プッシュプル)を生成する。ここで、差信号は、ディテクタ131とディテクタ132によってそれぞれ検出された光強度の差を示すものである。ディテクタ131によって検出される光の位置は、矢印Dによって示されており、ディテクタ132によって検出される光の位置は、矢印Eによって示されている。また、ディテクタ131および132に近接した位置にディテクタ135および136を設けられる。これらのディテクタ135および136によって検出される光の位置が矢印FおよびGでそれぞれ示されている。以下の説明では、ディテクタ131および132による検出に注目する。
ディテクタ131とディテクタ132による検出の結果、各波長ごとに、図19に示すようなプッシュプル値が得られる。ただし、これは、各波長の光が、単独でオプティカルウェッジ101の位置zに照射された場合の信号である。
また、こうして求められたプッシュプル値は、光量の増減によっても変化してしまうので、和信号を用いてノーマライズすることが望ましい。このようにノーマライズされたプッシュプル値と波長の関係が図20に表されている。
次に、外部共振器型半導体レーザの光の波長変化とプッシュプル値の関係について説明する。今、図21に示すように、レーザパワーに応じてのこぎり波状の波長変化をする外部共振器型半導体レーザがあるとする。なお、これは、波長変化を模式的に表したものである。すなわち、レーザパワーの増加に伴って波長が410.00nmから410.04nmまで変化するが、レーザパワーが例えば、23mWや35mW付近になると、急激に波長が変化して、410.00nmに戻り、この変化を繰り返す。また、この急激な変化が生じる際には、410.00nm付近の波長の光と410.04nm付近の波長の光とが混在して、ホログラム記録等には適さない光(使用不可モードの光)となる。
そこで、この急激な変化が生じる場合、すなわち、410.00nmの波長(λ1)の光と410.04nmの波長(λ2)の光とが混在する場合に、図18で説明したような位置関係のディテクタ131およびディテクタ132によってプッシュプル値を取得してみる。図22では、波長λ1の光に関して得られる光量は曲線121で表され、波長λ2の光に関して得られる光量は曲線122で表されている。曲線121と曲線122はほとんど逆相となっているため、これらの光によって全体的に得られる光強度は、オプティカルウェッジ101への照射位置が変化しても、あまり変化しない。ディテクタ131およびディテクタ132による検出の結果、ディテクタ131で検出される光量と他のディテクタ132で検出される光量はほぼ等しく、プッシュプル値は0に近い値となる。
一方、外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の波長が、レーザパワーの増加に応じて単調に上昇する場合(使用可能モード)では、シングルモード、あるいは非常に近い波長の2モード、または3モードの光となる。そのため、この場合は、代表的なピークを構成する波長のシングルモードの光が射出されると仮定する。その波長が、410.01nm(λ3)である場合は、図23に示すように、ディテクタ131およびディテクタ132によって検出される光量の差が小さく、プッシュプル値が小さな値となる。
図24には、波長410.02nm(λ4)について、ディテクタ131およびディテクタ132が光量を検出する様子が示されている。この場合は、それぞれのディテクタで検出される光量に差があり、比較的大きなプッシュプル値が得られる。また、図25には、波長410.03nm(λ5)について、ディテクタ131およびディテクタ132が光量を検出する様子が示されているが、この場合は、それぞれのディテクタで検出される光量に大きな差があり、頗る大きなプッシュプル値が得られる。
ディテクタ131およびディテクタ132に代えてディテクタ135および136からなる2分割ディテクタを使用した場合には、プッシュプル値の変化が異なったものとなる。このように、実際の、外部共振器型半導体レーザの波長変化を前提として得られたプッシュプル値は、波長410.02nm付近で0に近づけることができる。一方、図19および図20に示した、波長ごとに得られたプッシュプル値を見ると、波長410.00nmや波長410.04nmは、その波長単独では大きなプッシュプル値を示すことがわかる。また、外部共振器モードホップの領域で発生する波長の光については、少なくとも、それぞれ異なるプッシュプル値が得られる。
したがって、この発明では、外部共振器モードホップの領域において得られたプッシュプル値から、レーザ光の波長が410.00nm(または410.04nm)に近づいたことを検出し、その場合に、半導体レーザのレーザパワーを所定の値だけ変化させて、これらの波長の光が混在するモード、すなわち使用不可モードを回避するように、レーザパワーを制御する。
この制御によって、外部共振器型半導体レーザから射出されているレーザ光の波長を把握することができ、半導体レーザ等の温度管理を厳密に行わなくても、レーザ光の波長を適切なものに維持するように制御することが可能となる。
次に、図26を参照して、2分割ディテクタの2つのディテクタ131、132と干渉縞との位置関係について説明する。図26において、参照符号140は、オプティカルウェッジの表面と裏面で反射した光の明暗に対応する曲線を示す。横軸は、z軸に対応し、縦軸は、光量(光強度)を示す。この曲線140は、ある波長を例に取ったものであるが、外部共振器型半導体レーザ内の半導体レーザに提供するレーザパワーを変化させれば波長が変化し、それに応じて、曲線140の位相も変化する。図26の下部には、2分割ディテクタ内のディテクタ131とディテクタ132とが示されており、その位置で曲線140で示される光量をそれぞれ検出する。
曲線140のうち、光量の小さい部分は、領域141として示されており、この部分は、干渉縞の暗く見える部分に対応する。図26に示す状態の場合、ディテクタ131は、曲線140の、光量の大きな部分に配置されており、結果的に大きな光量を検出する。一方、ディテクタ132は、曲線140の、光量の小さい部分に配置され、小さな光量を検出する。ここで、各ディテクタの検出信号の差を求めることにより、プッシュプル値が求められ、それに対応する波長が把握できる。
図27は、この発明の一実施形態のレーザの構成を示す。前述した図10の構成と対応する部分には同一の参照符号を付す。図27に示すように、レーザ50は、レーザダイオード41、コリメートレンズ42、グレーティング43、半透過ミラー44、波長モニタ用2分割ディテクタ45、オプティカルウェッジ51および波長変化モニタ用2分割ディテクタ52を備えている。グレーティング43および半透過ミラー44は、所定の角度を維持したまま軸46を支点として回転する。図示しないが、グレーティング43および半透過ミラー44の裏面を支持する支持部材が設けられ、この支持部材が例えばピエゾ圧電
効果による圧電素子の伸びまたは縮みにより生じた直線運動によって支持部材を回転させるリニアモードによって回転される。前述したように、グレーティング43および半透過ミラー44の回転によって反射後のレーザ光の方向も位置も変動しない。反射後のレーザ光が例えばホログラフィックデータストレージの光源として使用される。
レーザダイオード41を出射したマルチモード光は、コリメートレンズ42で平行光とされた後、グレーティング43に照射される。各波長の光が1次回折光をそれぞれ生じ、グレーティング43の角度を調整すると、特定波長の1次回折光のみがレーザダイオード41に戻る。これによって、この波長が他の波長より優勢となり、シングルモードとなる。グレーティング43の角度を変えることで発振波長が変化し、チューナブルレーザが構成される。
半透過ミラー44は、グレーティング43で反射された0次光を所定の方向に反射するが、完全に光を反射せずに、一部の0次光を透過させる。半透過ミラー44として例えば数%の透過性があるものが使用され、半透過ミラー44の透過光が波長モニタおよび波長変化モニタのために使用される。オプティカルウェッジ51は、半透過ミラー44の裏側で、且つ透過光の光路となる位置に、固定用部材によって半透過ミラー44に対して固定される。波長モニタ用2分割ディテクタ45が半透過ミラー44およびオプティカルウェッジ51を透過した光が当たる位置に配置されている。波長変化モニタ用の2分割ディテクタ52は、オプティカルウェッジ51の反射光が入射する位置に配されている。
グレーティング43の角度によってグレーティング43で反射されて半透過ミラー44に対して入射されるレーザ光の方向も変化する。その結果、グレーティング43の角度を変えると、2分割ディテクタ45に対する光の入射位置が矢印Aで示すように変化する。この変化を検出することによって、レーザ光の波長の変化を検出することができる。
すなわち、2分割ディテクタ45の二つのディテクタからの光電流AおよびBを以下の式にしたがって演算することによって位置、すなわち、数nmの波長変化を検出することができる。
位置(波長)=(A−B)/(A+B)
光量=A+B
波長モニタ用2分割ディテクタ45は、オプティカルウェッジ51の透過光の位置に設けられる。オプティカルウェッジは、本来、反射光にのみ干渉縞が生じ、透過光には、干渉縞が生じないはずである。しかしながら、実際には、透過光によっても光の強弱が発生する。その原因は、オプティカルウェッジ内の多重反射と考えられる。2分割ディテクタ45が検知すべき光の中に干渉縞が生じると誤差が生じ、波長を正確に測定できないおそれがある。
この問題を避けるためには、オプティカルウェッジ51の反射率を0.5〜5%程度にすれば良いことが実験的に判った。オプティカルウェッジ51を45°傾けて配置した場合の反射率が8%程度であるので、表面にコーティングを施すことによって所望の反射率を得、透過光における干渉縞の発生を防止している。
この発明の一実施形態では、オプティカルウェッジ51の反射光を波長変化モニタ用2分割ディテクタ52によって受光し、例えば0.04nmのようなモードホップによる波長変化がモニタされる。複数組の2分割ディテクタを使用しても良い。この発明の一実施形態では、オプティカルウェッジ51が半透過ミラー44と一体に回転する。この一実施形態と異なり、オプティカルウェッジをレーザ50の矩形の線で示す台座に対して固定したと仮定する。この場合には、グレーティング43を回転させると、オプティカルウェッジが固定されているので、透過光のオプティカルウェッジに対する入射位置が変化する。このため、オプティカルウェッジが必ず透過光を反射するためには、変動する範囲全体をカバーできる長いオプティカルウェッジが必要となり、また、オプティカルウェッジに対する入射角度も変化するために反射角度も変化してしまう。
上述したように、オプティカルウェッジ51は、半透過ミラー44と一体に回転するので、オプティカルウェッジ51の反射光が常に同じ方向に生じる。この理由は、グレーティング43と半透過ミラー44を一体に回転させて、半透過ミラー44の反射光の方向および位置が変化しないことと同じである。但し、グレーティング43の面の延長線とオプティカルウェッジ51の面の延長線が交叉する位置に回転の支点が設けられてはいないので、オプティカルウェッジ51の反射光の方向が若干変動する。実験的には、407±3nmの範囲で波長を変えても干渉縞が2分割ディテクタ52の受光面上に存在することが確認できた。
2分割ディテクタ52の検出信号は、上述した2分割ディテクタ45の場合と同様の式で表されるものである。モードホップのために生じる不安定な領域を避けるために、2分割ディテクタ52の検出信号によってレーザダイオード41に対するパワーをフィードバック制御するようになされる。
なお、検出素子としては、2分割ディテクタ45,52に限らず、1次元PSD(Position Sensitive Detector)を使用することができる。PSDは、高抵抗半導体基板の片面
または両面に均一な抵抗層が形成され、抵抗層の両端に信号取り出し用の一対の電極が設けられた構成を有している。受光面が抵抗層と同時にPN接合も形成し、光起電力効果によって光電流が生成される。受光面上の光スポットの位置に応じて両端の電極から光電流A、Bが発生する。受光面の中央位置に光スポットが位置する場合には、光電流AおよびBが等しい値となる。
図28を参照して、グレーティング43および半透過ミラー44を回転させた場合の光路の変化について説明する。図28では、波長モニタ用2分割ディテクタ45の図示が省略されている。例えば実線で示す位置から破線で示す位置にグレーティング43および半透過ミラー44が回転される。その結果、レーザダイオード41から2分割ディテクタ52に至る光路が実線で示すものから破線で示すものに変化する。前述したように、半透過ミラー44で反射した出力光の方向は、グレーティング43の回転によって変化しない。
図29は、図28に示すように、グレーティング43および半透過ミラー44を回転させた場合に、2分割ディテクタ52の受光面の位置におけるビームスポットの位置の変化を示している。すなわち、図29Aが実線で示す位置の場合のビームスポットを示し、図29Bが破線で示す位置の場合のビームスポットを示す。レーザダイオード41の出射光の断面が円ではなく、長軸と短軸の比が(3:1)程度の楕円であるため、ビームスポットを楕円形状とされている。
図29において、破線で示すビームスポットLaは、オプティカルウェッジ51の表面で反射した光により生じたものであり、実線で示すビームスポットLbは、オプティカルウェッジ51の裏面で反射した光により生じたものである。2分割ディテクタ52は、これらの反射光そのものを検知しているのではなく、その二つの反射光によって生じた干渉縞(図29では、斜線を付した長方形とその間の白い部分)を検知している。
グレーティング43および半透過ミラー44を回転させると、図29Bに示すように、オプティカルウェッジ51の表面と裏面からの反射光によるビームスポットLaおよびLbの位置が多少ずれたものとなる。しかしながら、干渉縞と2分割ディテクタ52の受光面との位置関係は、変化せず、2分割ディテクタ52によって波長の変化を検知することができる。これは、実際に実験により確認した。
上述したように、グレーティング43および半透過ミラー44を回転させた場合に、2分割ディテクタ52に対するオプティカルウェッジ51の反射光の照射位置が多少変化しても、干渉縞と2分割ディテクタ52との関係に変化がなく、波長の変化を検知することかできる。
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えばこの発明は、複数の波長のレーザ光を発生するチューナブルレーザに限らず、所定の波長のレーザ光を発生する構成に対しても適用できる。その場合は、グレーティング43および半透過ミラー44を回転させる必要がなく、また、波長モニタ用2分割ディテクタ45を設ける必要がない。また、この発明は、ホログラム装置以外のレーザ光源として使用することができる。
また、この発明は、オプティカルウェッジと同等の効果が得られる他の光学部品を使用しても良い。例えば、オプティカルウェッジの替わりに、両面がフラットなガラスを用いた場合、レーザ光がわずかでも拡散光あるいは収束光であれば、オプティカルウェッジと同様に、波長の変化に伴って縞模様が変化する。入射レーザ光とフラットなガラスの角度によって、縞模様の各縞は、ほぼ直線の形状となったり、湾曲した形状となる。
拡散光あるいは収束光のレーザ光が入射された場合、波面が平面でないため、フラットなガラスが所定の角度で入射光を受光すると、同心円の縞模様が現れる。このときに、波長が変化すると同心円の縞模様は外に広がったり、内側に集まったりする。そこで、フラットなガラスの角度を変えると、同心円の中心から離れた縞模様が現れ、この場合に、各縞が湾曲した縞模様となる。一方、フラットなガラスの角度をさらに調整すると、同心円の中心から、さらに離れた縞模様が現れ、この場合に、各縞がほぼ直線の縞模様となる。