JP2006005270A - レーザパワー判定装置、およびレーザパワー判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡単な構造を用いて外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光のレーザパワーを判定するレーザパワー判定装置及びレーザパワー判定方法を提供する。
【解決手段】 外部共振器型半導体レーザ50から射出されたレーザ光は、オプティカルウェッジ202によって分光され、一方が2分割ディテクタ203に提供される。オプティカルウェッジ202に入射した光は、反射して干渉縞を発生し、その反射光の強度を2分割ディテクタ203で検出する。2分割ディテクタ203によって検出された光強度の差が求められ、その差の値に応じて、射出されたレーザ光の波長が判定される。さらに、2分割ディテクタによって検出された光強度の和と、対応する波長の補正係数を用いて、正しいレーザパワーが求められる。こうして求められたレーザパワーに基づいて、外部共振器型半導体レーザ50から射出されるレーザ光のレーザパワーが制御される。
【選択図】 図13
【解決手段】 外部共振器型半導体レーザ50から射出されたレーザ光は、オプティカルウェッジ202によって分光され、一方が2分割ディテクタ203に提供される。オプティカルウェッジ202に入射した光は、反射して干渉縞を発生し、その反射光の強度を2分割ディテクタ203で検出する。2分割ディテクタ203によって検出された光強度の差が求められ、その差の値に応じて、射出されたレーザ光の波長が判定される。さらに、2分割ディテクタによって検出された光強度の和と、対応する波長の補正係数を用いて、正しいレーザパワーが求められる。こうして求められたレーザパワーに基づいて、外部共振器型半導体レーザ50から射出されるレーザ光のレーザパワーが制御される。
【選択図】 図13
Description
この発明は、外部共振器型半導体レーザを含むレーザ・システムに関し、より詳しくは、外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の強度を検出するレーザパワー判定装置、およびレーザパワー判定方法に関する。
近年、レーザ・システムは、小型でかつ低消費電力である等の理由から、情報機器に多く使われるようになってきた。たとえば、ホログラフィックデータストレージ(HDS:Holographic Data Storage)については、シングルモード・レーザが用いられる。HDSは、1本のレーザ光をビームスプリッタで2本に分けた後に記録メディア上で再び合わせ、その干渉によってデータを記憶する。
このような、ホログラム記録再生用の光源としては、シングルモードの光源であるガスレーザやSHGレーザが用いられることが多い。しかしながら、マルチモード発振である、レーザ・ダイオード(LD)のような半導体レーザでも、これを外部共振器と組み合わせることによってシングルモード化することができ、ホログラム記録再生用の光源として使用することが可能である。
ここで、従来の代表的な外部共振型半導体レーザを含むリットロー型のレーザ・システムの構成を、図16を参照して説明する。図16は、レーザ・システム300の平面図である。このレーザ・システム300の構成は、非特許文献1に記載されたレーザ・システムの構成と同様のものである。
L. Ricci, et al. :"A compact grating-stabilized diode laser system for atomic physics", Optics Communications, 117 1995, pp541-549
レーザ・システム300では、レーザ・ダイオード301のような半導体レーザ素子から出射された縦多モードのレーザ光(発振光)がレンズ302によって平行に集められ、グレーティング(回折格子)303に入射される。グレーティング303は、入射した光の1次回折光を出力する。グレーティング303の配置角度に応じて特定の波長の1次回折光が、レンズ302を介してレーザ・ダイオード301に逆注入される。この結果、レーザ・ダイオード301が、注入された1次回折光に共振してシングルモードの光(矢印Fによって表された0次光)を出射するようになり、その光の波長は、グレーティング303から戻ってきた光の波長と同じになる。
この例では、ネジ305をピエゾ素子と組み合わせて、微妙なグレーティング303の角度を調整している。
次に、図17のグラフを参照して、図16で説明したような外部共振器型のレーザ・システムから出力されるレーザ光のレーザパワーと波長の関係を説明する。図17に示すグラフの横軸はレーザパワーを示し、単位はmWである。一方、グラフの縦軸は波長を表しており、単位はnmである。図17から分かるように、レーザ光のレーザパワーの増加に伴って、レーザ光の波長は、概ね、のこぎり状の変化を示す。
外部共振器型のレーザ・システムでは、レーザパワーの増加に伴って射出されたレーザ光の波長が徐々に大きくなる外部共振器モードホップの領域と、レーザパワーが増加した場合に、射出されたレーザ光の波長が急激に小さくなる、半導体レーザ内のレーザーチップによるモードホップの領域が存在する。レーザ光の波長は、レーザパワーの増加に伴い、ある程度離散的に推移する。
また、たとえば、レーザパワーが30mW付近では単一の波長のレーザ光が射出されて完全なシングルモードとなっているが、レーザパワーが32mW付近では、3つのモード(3モード)の光が発生している。さらに、半導体レーザ内のレーザーチップによるモードホップの領域にあたる、レーザパワーが35mWの付近においては、波長409.75nm付近で3モードの光が発生し、さらに波長409.715nm付近で3モードの光が発生し、全体として6モードの光が射出されている。
これらのレーザ光をHDSに用いる場合、レーザパワーが32mW付近で生じるような3モードの光や、2モードの光は、完全なシングルモードの光と同等の記録再生特性を示すので、シングルモードの光と同様に使用することができる。ここでは、たとえば、レーザパワーが30mW付近で発生するような完全なシングルモードと、たとえば、レーザパワーが32mW付近で生じるような3モードや2モードを総称して使用可能モードと呼ぶことにする。
一方、たとえば、レーザパワーが35mW付近で生じるような6モード状態は、2つの3モードの組が、互いに約40pm程度離れているために、良好なホログラム記録を実現することができない。ここでは、このようなモードを使用不可モードと呼ぶことにする。たとえば、使用可能モードでM/#が6.5のホログラムメディアに対して、使用不可モードのレーザ光を用いて記録を行うと、M/#は2.5に劣化してしまう。
使用可能モードのレーザ光が得られる領域は、上述の、外部共振器モードホップの領域にほぼ対応し、使用不可モードのレーザ光が得られる領域は、上述の、半導体レーザ内のレーザーチップによるモードホップの領域にほぼ対応する。図17のグラフから分かるように、一般的には、使用可能モードのレーザ光が得られる領域の方が、使用不可モードのレーザ光が得られる領域よりはるかに広いので、使用不可モードのレーザ光を効果的に排除できれば、HDSに外部共振器型半導体レーザを用いることは十分可能である。
また、図17に示すような、レーザパワーとレーザ光の波長の関係は、外部共振器型半導体レーザ内の温度によって変動する。たとえば、外部共振器型半導体レーザの半導体レーザの温度が一定でないと、使用不可モードとなるレーザパワーの位置が変化する。したがって、従来より、この外部共振器型半導体レーザ内の温度を、ほぼ一定に保ち(たとえば、10mK内の変動に抑え)、使用不可モードのレーザ光が得られる領域が変動しないようにしたうえで、その領域に属するレーザパワーの使用を回避するという手法がとられている。
しかしながら、上述した従来の手法により、使用不可モードのレーザ光が射出されないよう外部共振器型半導体レーザを制御するためには、外部共振器型半導体レーザ内の温度を、ほぼ一定に保ったうえで、レーザパワーを制御する必要があり、レーザ・システムの構造や制御が複雑なものとなる。
また、波長の検出結果を利用して、外部共振器型半導体レーザのレーザパワーを制御する方法も考えられるが、従来の波長検出装置は非常に大きく、高価なものであり、HDS等の用途には適合しない。
したがって、この発明の目的は、簡単な構造を用いて外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の波長を検出・判定し、さらにシステムの部品点数を増加させることなく、当該レーザ光のレーザパワーを判定するレーザパワー判定装置、およびレーザパワー判定方法を提供することにある。
また、この発明のさらなる目的は、上記のようなレーザパワーの検出に基づいて、レーザパワーを所定のレベルに制御するレーザパワー判定装置、およびレーザパワー判定方法を提供することにある。
この発明の第1の実施態様は、外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の少なくとも一部を受光し、所定の方向に、異なる光強度分布を有する反射光を射出する反射手段と、反射手段からの反射光の光強度を、少なくとも2つの受光位置で検出する光検出手段と、少なくとも2つの受光位置における検出信号の差分値を求め、差分値に基づいて、レーザ光の波長の判定を行う波長判定手段と、レーザ光の波長ごとに補正係数を記録する記録手段と、少なくとも2つの受光位置における検出信号の合計値を求め、波長判定手段によって判定された波長に対応する補正係数を記録手段から取得し、取得された補正係数を用いて合計値を補正することによって、レーザ光のレーザパワーを判定するレーザパワー判定手段とを備え、少なくとも2つの受光位置は、所定の方向と平行な方向に沿って配置されるように構成されたレーザパワー判定装置である。
この発明の第2の実施態様は、前述の第1の実施態様のレーザパワー判定装置において、記録手段に記録される補正係数が、対応する波長のレーザ光について求められた合計値の大きさに基づいて決定されるように構成されたレーザパワー判定装置である。
この発明の第3の実施態様は、前述の第2の実施態様のレーザパワー判定装置において、レーザパワー判定手段が、補正係数を用いて、求められた合計値を、所定の波長範囲のレーザ光について得られる最大の合計値に変換するように構成されたレーザパワー判定装置である。
この発明の第4の実施態様は、前述の第1の実施態様のレーザパワー判定装置において、検出信号の差分値が、少なくとも2つの受光位置で得られた検出信号の合計値によってノーマライズされているように構成されたレーザパワー判定装置である。
この発明の第5の実施態様は、前述の第1の実施態様のレーザパワー判定装置において、光検出手段が、1つまたは複数の光検出器を有し、少なくとも2つの受光位置における反射光の強度の検出が、1つまたは複数の光検出器によって行われるように構成されたレーザパワー判定装置である。
この発明の第6の実施態様は、前述の第5の実施態様のレーザパワー判定装置において、光検出器がフォトダイオードまたはCCDであるように構成されたレーザパワー判定装置である。
この発明の第7の実施態様は、前述の第1の実施態様のレーザパワー判定装置において、反射手段がオプティカルウェッジであるように構成されたレーザパワー判定装置である。
この発明の第8の実施態様は、前述の第1の実施態様のレーザパワー判定装置において、レーザパワー判定手段により判定されたレーザパワーと所定のレーザパワーを比較し、レーザ光のレーザパワーが所定のレーザパワーとなるように、外部共振器型半導体レーザ内の半導体レーザに提供する電流値を、所定の値だけ増加または減少させる制御手段をさらに備えるように構成されたレーザパワー判定装置である。
この発明の第9の実施態様は、外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の少なくとも一部を受光し、所定の方向に、異なる光強度分布を有する反射光を射出する反射手段からの反射光の強度を、少なくとも2つの受光位置で検出する光検出ステップと、少なくとも2つの受光位置における検出信号の差分値を求め、差分値に基づいて、レーザ光の波長の判定を行う波長判定ステップと、少なくとも2つの受光位置における検出信号の合計値を求め、レーザ光の波長ごとに補正係数を記録する記録手段から、波長判定ステップによって判定された波長に対応する補正係数を取得し、取得された補正係数を用いて合計値を補正することによって、レーザ光のレーザパワーを判定するレーザパワー判定ステップとを備え、少なくとも2つの受光位置は、所定の方向と平行な方向に沿って配置されるように構成されたレーザパワー判定方法である。
この発明の第10の実施態様は、前述の第9の実施態様のレーザパワー判定方法において、記録手段に記録される補正係数が、対応する波長のレーザ光について求められた合計値の大きさに基づいて決定されるように構成されたレーザパワー判定方法である。
この発明の第11の実施態様は、前述の第10の実施態様のレーザパワー判定方法において、レーザパワー判定ステップが、補正係数を用いて、求められた合計値を、所定の波長範囲のレーザ光について得られる最大の合計値に変換するように構成されたレーザパワー判定方法である。
この発明の第12の実施態様は、前述の第9の実施態様のレーザパワー判定方法において、検出信号の差分値が、少なくとも2つの受光位置で得られた検出信号の合計値によってノーマライズされているように構成されたレーザパワー判定方法である。
この発明の第13の実施態様は、前述の第9の実施態様のレーザパワー判定方法において、光検出ステップの、少なくとも2つの受光位置における反射光の強度の検出が、1つまたは複数の光検出器によって行われるように構成されたレーザパワー判定方法である。
この発明の第14の実施態様は、前述の第13の実施態様のレーザパワー判定方法において、光検出器がフォトダイオードまたはCCDであるように構成されたレーザパワー判定方法である。
この発明の第15の実施態様は、前述の第9の実施態様のレーザパワー判定方法において、反射手段がオプティカルウェッジであるように構成されるレーザパワー判定方法である。
この発明の第16の実施態様は、前述の第9の実施態様のレーザパワー判定方法において、レーザパワー判定ステップにより判定されたレーザパワーと所定のレーザパワーを比較し、レーザ光のレーザパワーが所定のレーザパワーとなるように、外部共振器型半導体レーザ内の半導体レーザに提供する電流値を、所定の値だけ増加または減少させる制御ステップをさらに備えるように構成されたレーザパワー判定方法である。
この発明の第1の実施態様から第16に実施態様によって、レーザパワー検出専用のディテクタを備えることなく、本来、波長を検出するために備えられた2分割ディテクタによってレーザパワーを検出・判定することができる。
この発明に係るレーザパワー判定装置、およびレーザパワー判定方法によって、簡単な構造を用いて外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光のレーザパワーを検出することができる。また、このような検出に基づいて、半導体レーザのレーザパワーを制御することができる。
この発明は、オプティカルウェッジを用いて外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の波長を検出して、検出された波長からレーザ光のレーザパワーを検出し、必要に応じて半導体レーザのパワーを制御しようとするものである。
最初に、外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の波長を検出する、簡単な構造のレーザ・システムについて説明する。
ここで、オプティカルウェッジについて説明する。オプティカルウェッジとは、両面のなす角が数十分程度のガラス板である。これにレーザ光を約45度傾けて入射すると、ガラス板の表面と裏面で反射した光が干渉縞を形成する。
図1は、オプティカルウェッジ1にレーザ光3が入射された様子を示す略線図である。レーザ光3は、オプティカルウェッジ1で反射し、曇りガラス2に入射する。オプティカルウェッジ1は、図1に示す座標のz軸方向に進むにつれて、厚さdが小さくなるように形成されている。z軸方向は、図1の記載面または表示面の手前から裏側に向かう方向である。また、x軸方向は、オプティカルウェッジ1の表面1aおよび裏面1bに平行でかつy軸と垂直な方向であり、y軸方向は、x軸とz軸に直行する方向である。
図2は、図1のような状況の場合に、曇りガラス2で観察することができる干渉縞の例を示す略線図である。レーザ光3は、オプティカルウェッジ1の表面1aで反射して曇りガラス2に入射するとともに、オプティカルウェッジ1の裏面1bで反射して曇りガラス2に入射するため、光路差が生じ、その結果、図2のような干渉縞10が発生する。図2では、それぞれの干渉縞10が、z軸とほぼ垂直の方向に発生するように示されているが、必ずしもこのような方向に発生するとは限らない。収差等の影響によって、z軸に垂直な方向とは、かなり異なる角度で干渉縞10が発生する場合もある。
後で説明するように、上記レーザ・システムでは、図2に示された干渉縞10を人間が肉眼で見る必要はないので、曇りガラス2はこの発明に必須の構成要素ではない。上記レーザ・システムでは、干渉縞10の検出に、少なくとも2つのディテクタを用いる。
ここで、オプティカルウェッジについてさらに詳細に説明を行う。図3に示すような、1本のレーザ中の光線A、Bがオプティカルウェッジ1に入射する場合を考える。ここで、オプティカルウェッジ1は、図1に示すものと同様であり、図に示すz軸方向に進むにつれて、オプティカルウェッジ1の厚さdが小さくなるように形成されている。
光線Aは、オプティカルウェッジ1の表面1aで反射して光線Cとなり、光線Bは、オプティカルウェッジ1の裏面1bで反射して、やはり光線Cとなるとする。このとき、光線Aと光線Bの光路差を求め、それを使って光線Cでの位相差を計算する。まず、Snellの法則より、以下の式1の関係が成り立つ。
sinθ/sinθ’=n ・・・(式1)
一方、Lgの長さは、以下の式2で表される。
Lg=2d*tanθ’*sinθ ・・・(式2)
また、光線Bが、オプティカルウェッジ1内を通過する距離Lpは、以下の式3で表される。
Lp=2(Lp/2)=2(d/cosθ’)=2d/cosθ’ ・・・(式3)
sinθ/sinθ’=n ・・・(式1)
一方、Lgの長さは、以下の式2で表される。
Lg=2d*tanθ’*sinθ ・・・(式2)
また、光線Bが、オプティカルウェッジ1内を通過する距離Lpは、以下の式3で表される。
Lp=2(Lp/2)=2(d/cosθ’)=2d/cosθ’ ・・・(式3)
ここで、Lp’を、Lpの光学距離とすると、Lp’は以下の式4で表される。
Lp’=2nd/cosθ’ ・・・(式4)
Lp’とLgの光路差△Lは、以下の式5となる。
△L=Lp’−Lg=2nd/cosθ’−2d*tanθ’*sinθ=2d(n/cosθ’−sinθ*tanθ’) ・・・(式5)
△Lによる位相差△δは、以下の式6で表される。
△δ=2π*△L/λ+π ・・・(式6)
ただし、πは反射時の位相変化のために付加されている。
ここで、光強度Iは、以下の式7となる。
I=1+cos(△δ) ・・・(式7)
Lp’=2nd/cosθ’ ・・・(式4)
Lp’とLgの光路差△Lは、以下の式5となる。
△L=Lp’−Lg=2nd/cosθ’−2d*tanθ’*sinθ=2d(n/cosθ’−sinθ*tanθ’) ・・・(式5)
△Lによる位相差△δは、以下の式6で表される。
△δ=2π*△L/λ+π ・・・(式6)
ただし、πは反射時の位相変化のために付加されている。
ここで、光強度Iは、以下の式7となる。
I=1+cos(△δ) ・・・(式7)
図3に示すオプティカルウェッジ1は、x軸に沿って見ると、先端部15が角度(ウエッジ角)αで構成されるくさび型をしており、この様子が図4に示されている。しかしながら、オプティカルウェッジ1は、先端部15までを有している必要はなく、通常は、先細の先端部分を含まない、およそ台形の形状で構成される。また、図4に示すように、オプティカルウェッジ1の厚さdは、z軸座標における変位zの関数となり、以下の式8のように表される。ここで、zは、z軸上における、先端部15からの距離である。
d=z*tanα ・・・(式8)
d=z*tanα ・・・(式8)
オプティカルウェッジ1は、入射される光の波長、光が入射されるオプティカルウェッジ1の位置(図4に示すオプティカルウェッジ1の先端部15からz軸方向への距離(z))等により異なった干渉縞を発生させる。
ここで、オプティカルウェッジ1に入射される光は、外部共振器型半導体レーザからのレーザ光であり、図5に示すように、レーザパワーの変化に応じてのこぎり状の波長変化をするものとする。なお、これは、図17に示したグラフと同様の波長変化を概略的に表したものである。すなわち、レーザパワーの増加に伴って波長が約410.00nmから約410.04nmまで変化するが、レーザパワーがたとえば、23mWや35mW付近になると、急激に波長が変化して、410.00nmに戻り、この変化を繰り返す。また、この急激な変化が生じる際には、410.00nm付近の波長の光と410.04nm付近の波長の光とが混在して、ホログラム記録等には適さない光(使用不可モードの光)となる。
また、この例においては、オプティカルウェッジ1については、屈折率n=1.5、入射角θ=45度、オプティカルウェッジ1のウエッジ角α=0.02度とする。
次に、図6を参照して、前述した外部共振器型半導体レーザからのレーザ光をオプティカルウェッジ1に照射した場合に発生する干渉縞と2分割ディテクタ22の位置関係について説明する。図6の上部は、オプティカルウェッジ1の表面と裏面で反射した光に対応する曲線20を示すグラフである。グラフの横軸は、図3に示すz軸に対応し、縦軸は、干渉縞を構成する光の光量(光強度)を示す。この曲線20は、ある波長のレーザ光を例に取ったものであるが、外部共振器型半導体レーザ内の半導体レーザに提供するレーザパワーを変化させれば波長が変化し、それに応じて、曲線20の位相が変化する。図6の下部には、2分割ディテクタ22内のディテクタ22Aとディテクタ22Bが示されており、その位置において、曲線20で示された光の光量をそれぞれ検出する。
曲線20で示された光のうち、光量の小さい部分は、領域21として示されており、この部分は、干渉縞(縞模様)の暗く見える部分に対応する。ここで、図6に示した曲線20は、波長が410.02nmのレーザ光を入射した場合のものであり、ディテクタ22Aとディテクタ22Bは、このときに、最大の光量を受光するように位置調整されている。曲線20で示された光の位相は、上述のように、オプティカルウェッジ1に入射する光の波長が410.00nmから410.04nmまで変化すると、それに伴って変化し、上述の位置に設置されたディテクタ22Aとディテクタ22Bの受光光量も徐々に変化する。
また、ここで、ディテクタ22Aとディテクタ22Bの検出結果の差を求めることにより、プッシュプル値が求められ、これが図7に示されている。ただし、図7は、各波長の光が、単独でオプティカルウェッジ1の位置zに照射された場合である。しかしながら、たとえば、図5に示すように、急激な波長の変化が生じる場合は、約410.00nmの波長(λ1)の光と約410.04nmの波長(λ2)の光とが混在しており、それぞれの波長に対応する光がほぼ逆相であるような場合には、干渉縞は現れず、上記プッシュプル値は0に近い値となる。
なお、プッシュプル値は、通常、光ディスクのトラッキング制御に用いられるものであり、このプッシュプル値を示すプッシュプル信号に基づいて、ピックアップがプッシュまたはプルされる。このレーザ・システムでは、プッシュプル信号に基づいて、所定の構成要素がプッシュまたはプルされるものではないが、差信号としての共通性から、便宜的にこの用語を用いるものとする。
また、こうして求められたプッシュプル値は、光量の増減によっても変化してしまうので、和信号を用いてノーマライズすることが望ましい。このようにノーマライズされたプッシュプル値と波長の関係が、図8に表されている。
したがって、上述のレーザ・システムにおいては、このプッシュプル値を算出することによって、それに対応する波長、すなわち、外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の波長を把握することできる。
また、前述のように、ほぼ逆相のレーザ光が混在するような状態では、z軸に対して光量の変化が小さく、干渉縞ははっきりと現れない。上述の例では、波長が410.02nmの場合と、波長410.00nmと波長410.04nmが混在する場合には、2つのディテクタの検出結果の差がほとんど0となる。しかしながら、こうしたプッシュプル値の遷移を把握し、所定のしきいを設けて判定を行うことにより、外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の波長が使用不可モードに突入するのを回避するように制御することができる。
次に、このレーザ・システムの構成について説明する。図9に示したレーザ・システム51は、ビームスプリッタ52、およびオプティカルウェッジ53、さらに2分割ディテクタ54、およびレーザ制御部55を備える。レーザ・システム51のビームスプリッタ52は、外部共振器型半導体レーザ50からのレーザ光を受光する。外部共振器型半導体レーザ50は、たとえば、リットロー型のブルーレーザである。ビームスプリッタ52を通過した光56は、たとえばHDSに使用される。
ビームスプリッタ52で反射した光57は、外部共振器型半導体レーザ50からのレーザ光の10%以下が望ましく、発振モードをモニタするために使用される。逆に、ビームスプリッタ52で反射する光をHDSとして用い、ビームスプリッタ52を通過する光をモニタ用としてもよい。ただし、この場合でも、モニタ用に使用する光は、外部共振器型半導体レーザ50からのレーザ光の10%以下が望ましい。これは単に、HDSのような、レーザ光の本来の目的に、より多くのパワーを配分するためである。
オプティカルウェッジ53は、ビームスプリッタ52で反射した光57が約45度の角度で入射するように配置される。オプティカルウェッジ53の厚さdが徐々に薄くなっていく方向は図中に示したz軸方向である。z軸方向は、図の記載面または表示面の手前から裏側に向かう方向である。オプティカルウェッジ53の表面と裏面で反射した光58は、2分割ディテクタ54によって受光される。2分割ディテクタ54は、隣接する2つの独立したディテクタを有する。干渉縞をモニタする2分割ディテクタ54内の2つのディテクタは、発生した干渉縞とほぼ垂直の方向に並んで配置される。干渉縞は、z軸に対して垂直の方向に発生するとは限らないので、上記2つのディテクタは、z軸方向に並んで配置されるとは限らない。
レーザ制御部55は、2分割ディテクタ54の出力を元に、外部共振器型半導体レーザ50からのレーザ光の波長を把握し、使用不可モードのレーザ光が射出されないように、外部共振器型半導体レーザ50の半導体レーザに供給するレーザパワーを決定する。レーザ制御部55については、後で詳細に説明する。
また、図9に示す例では、外部共振器型半導体レーザ50の外部にレーザ・システム51を配置しているが、レーザ・システム51を外部共振器型半導体レーザ50内に組み込むこともできる。
次に、図10を参照して、ビームスプリッタ52を通過した光56がどのようにしてHDSに利用されるかを簡単に説明する。図10には、シングルモードのレーザ光源を用いてホログラム記録再生を行うホログラム記録再生システム60の構成が示されている。
ホログラムの記録および再生は、シングルモード・レーザの光源を使用して、参照光と信号光をホログラム記録メディアに照射することによって行われる。
レーザ光源61は、ここでは、図9に示した外部共振器型半導体レーザ50とレーザ・システム51を含むものに対応し、レーザ光源61から射出されたレーザ光70は、図9に示した光56に対応する。ホログラムの記録においては、所定の最適な時間だけ、所定のパワーのレーザ光をホログラム記録メディアに照射する必要があるが、そのような制御は、外部共振器型半導体レーザ50内の半導体レーザに提供する電流(電圧)を制御することによって可能となる。また、レーザ光源61の隣にシャッターを設け、そのシャッターによってレーザ光を照射するタイミングを制御するように構成してもよい。
レーザ光源61から射出されたレーザ光70は、ビームエキスパンダ62に向けて射出され、そこでビーム径の拡大されたレーザ光71となる。レーザ光71は次に、ビームスプリッタ63に入射し、2つのレーザ光に分けられる。
直進したレーザ光72は、ミラー64で反射され、さらにレンズ65で集光され、参照光としてホログラム記録メディア69に照射される。他方のレーザ光73は、液晶素子等で構成される空間変調器66で変調された信号光74となる。信号光74は、ミラー67で反射され、記録用レンズ68で集光され、ホログラム記録メディア69上に照射される。このとき、信号光74は、参照光72がホログラム記録メディア69上に照射される場所と同じ場所に照射され、これにより、ホログラム記録メディア69にホログラムパターンが記録される。
このようなホログラム記録再生システム60では、ホログラム記録メディア69の同一領域を用いて多重記録・再生が可能である。ホログラム記録メディア69に対して異なる入射角度の参照光を用いてホログラムを記録すれば、それぞれのホログラムは、記録時と同じ入射角度の参照光によって再生される。空間変調器66では、複数画素を有する液晶素子が用いられるが、それぞれの信号光74に対して異なる透過・遮蔽パターンの画素を用意することによって、ホログラム記録メディア69に所望のデータを多重記録することができる。
次に、レーザ制御部55の構成を、図11を参照して説明する。レーザ制御部55は、2分割ディテクタ54と外部共振器型半導体レーザ50内の半導体レーザ94に接続される。また、レーザ制御部55は、NS判定回路91、レーザパワー補正回路92、半導体レーザ駆動回路93を含む。
レーザ制御部55のNS判定回路91には、2分割ディテクタ54のディテクタ54Aとディテクタ54Bが入射光のレーザパワーに応じて出力するそれぞれの電流が提供される。そこで、NS判定回路91は、ディテクタ54Aの出力とディテクタ54Bの出力との差(差信号)、および和(和信号)を求める。次に、ノーマライズした差信号(以降、これをNSと呼ぶことにする)を求める。NSは、以下の式9によって求めることができる。
NS=差信号/和信号 ・・・(式9)
NS=差信号/和信号 ・・・(式9)
その後、NSの値を、前もって設定した範囲と比較し、NSの値がその範囲内の値であればディジタル値1を、NSの値が範囲外となっていればディジタル値0を出力する。設定範囲は、たとえば、−0.4から0.4の間とする。前述の図10の例では、NS(ノーマライズされたプッシュプル値)の値が、0.5に近づいた場合に、不安定な使用不可モードとなり、波長の急激な変化が生じることが認められるからである。ただし、上記のようなしきい値は、ディテクタの位置や、オプティカルウェッジからの反射光の曲線によって適宜調整することができる。このようなしきい値を用いることによって、外部共振器モードホップの領域で発生する波長の光が、外部共振器型半導体レーザに含まれる半導体レーザ内のレーザーチップによるモードホップの領域で発生する波長の光に遷移する境界を判定することができ、結果的に使用不可モードのレーザ光の射出を回避することができる。
NS判定回路91の出力が0である場合、レーザパワー補正回路92は、半導体レーザ駆動回路93に、半導体レーザ94のレーザパワーを変えるよう指示する。たとえば、最初に、半導体レーザ94のレーザパワーが33mWとなるようにし、NS判定回路91で0が出力されるたびに、レーザパワーを3mW下げる制御とレーザパワーを3mW上げる制御とを交互に繰り返すようにする。
半導体レーザ駆動回路93は、APC(Auto Power Control)を行う回路として既知のものであり、ここでは、これを流用することができる。
このような半導体レーザ94に関するフィードバック制御によって、動的に使用可能モードになるよう半導体レーザ94のレーザパワーをコントロールすることができる。このことは、たとえば、外部共振器型半導体レーザ50や半導体レーザ94の温度コントロールを行わない(あるいは、厳密な温度コントロールを行わない)ために、半導体レーザ94の温度が変化して使用不能モードとなるレーザパワーに近づいた場合でも、自動的に使用可能モードへの復帰が実現される。
上述の例では、レーザパワー補正回路92は、NS判定回路91の出力に応じて、レーザパワーを約10%変化させるよう制御を行う(たとえば、33mWを30mWに、または、30mWを33mWに変更する)が、この程度のレーザパワーの変化は、HDSの用途については問題とならない。HDSでは、ホログラム記録メディアへの照射パワーではなく、照射エネルギー(レーザパワー×記録時間)が問題となるので、レーザパワーが10%減少した場合は、記録時間を約11%(1/0.9=1.111)増加させればよいことになる。また、レーザパワー補正回路92の仕様を変更して、変化幅をより小さくしてもよい。
また、レーザパワーを徐々に増加させてホログラム記録を行うような場合は、NS判定回路91の出力が0となった場合、レーザパワー補正回路92は、半導体レーザ駆動回路93に、通常の規則的なレーザパワー増加ルーチンとは別に、半導体レーザ94のレーザパワーを数mW(たとえば、1ないし3mW程度)上げるよう指示し、波長が不安定となる使用不可モードをスキップするように制御することができる。
たとえば、外部共振器型半導体レーザからのレーザ光が、レーザパワーの増加によって図5のような変化をすると仮定すると(この時、半導体レーザの温度変化による波長の変化はないものとする)、最初に約18mWのレーザパワーを提供することによって410.02nmのレーザ光が射出され、それがレーザパワーの増加とともに、大きな波長となり、410.04nmに接近する。そうすると、2つのディテクタの検出結果から計算されたNSが−0.4以下となって、波長の不安定となる領域が近づいているという判断がされ、レーザパワー補正回路92は、半導体レーザ駆動回路93に、半導体レーザ94のレーザパワーを数mW一気に上げるよう指示する。その結果、24mW付近の領域はスキップされ、レーザ光は、安定した410.00nmを少し越えた波長となる。
その後、レーザパワーが徐々に増加して35mWに近づくと、再び、2つのディテクタの検出結果から計算されたNSが−0.4以下となって、波長の不安定となる領域が近づいているという判断がされ、レーザパワー補正回路92は、半導体レーザ駆動回路93に、半導体レーザ94のレーザパワーを一気に数mW上げるよう指示する。その結果、35mW付近の領域はスキップされ、レーザ光は、安定した410.00nmを少し越えた波長となり、以降、同様の制御が繰り返される。
上述したレーザ制御部55内の各回路は、CPUおよびメモリを含むマイコンによる制御によって実現することもできる。この場合、各回路の動作は、メモリにロードされたプログラムによってコントロールされる。そのプログラムは必要に応じて変更することが可能であり、CD−ROMのような可搬型記録媒体やネットワークを経由して、マイコン内の記録装置やメモリに記録させることができる。
次に、上記レーザ・システム51の変形例について説明する。図12に示したレーザ・システム101は、ビームスプリッタ102、オプティカルウェッジ103、2分割ディテクタ104、レーザ制御部105、およびディテクタ106を備える。
レーザ・システム51と比べると、ディテクタ106が追加になっている。オプティカルウェッジ103の厚さdが小さくなる方向は、レーザ・システム51と同様である。この例では、オプティカルウェッジ103を透過した光110を、総光量の代わりに用いることができる。たとえば、ディテクタ106で検出された結果を、上述した式9の分母である和信号として用いたり、半導体レーザ駆動回路93でAPCを行う際の信号として用いることができる。
ところで、上述のようなレーザ・システム51によれば、2分割ディテクタによって検出された光量の和は、外部共振器型半導体レーザからのレーザ光のレーザパワーに比例する。しかしながら、上記2分割ディテクタが、オプティカルウェッジを介して受光するレーザ光は縞模様であり、レーザ光の波長の変化に伴って縞模様が移動する。2分割ディテクタは、上述したように、波長が410.02nmの場合に最大の和信号を提供し、それ以外の場合は、縞模様の暗い部分も受光して、提供する和信号が小さくなる。したがって、レーザ光のレーザパワーが一定に保たれている場合であっても、波長ごとに2分割ディテクタで検出されるレーザパワーは変わってしまい、和信号の強度は変動してしまう。
また、上述したレーザ・システムの変形例(レーザ・システム101)では、外部共振器型半導体レーザからのレーザ光のレーザパワーを検出するために、別のディテクタ106を配置しているが、そのような追加の構成要素を設けずに、既存のディテクタのみでレーザパワーを検出することが好ましい。
そこで、この発明では、波長を検出するための上記2分割ディテクタを用いて、レーザパワーの判定を行うレーザパワー判定装置、およびレーザパワー判定方法を提供する。次に、この発明の一実施形態に係るレーザ・システムについて、図13を参照して説明する。
図13に示すレーザ・システム201は、オプティカルウェッジ202、2分割ディテクタ203、およびレーザ制御部204を備える。図6に関連して説明したように、2分割ディテクタに対する縞模様の位置は、波長によって一意に定まる。したがって、2分割ディテクタ203によって、縞模様の光量を検出した後、検出された波長に基づいて、縞模様の影響を補正し、和信号を推定する。この発明では、波長ごとに補正係数を記憶させておき、その補正係数を用いた補正を行うことにより、正しいレーザパワーを求めるものである。
この発明のレーザ・システム201では、外部共振器型半導体レーザ50からのレーザ光が、オプティカルウェッジ202に入射されると、このレーザ光が分光され、一方は、HDS等の本来の目的のために提供され(レーザ光205)、他方は2分割ディテクタ203に提供される(レーザ光206)。ここでは、オプティカルウェッジ202が、前述のレーザ・システム101のビームスプリッタ102の機能をも担っている。2分割ディテクタ203には、ディテクタ203Aとディテクタ203Bが含まれ、これらのディテクタによって、オプティカルウェッジ202からのレーザ光の光量が検出される。また、2分割ディテクタによって光量の検出が行われるため、レーザ・システム101のディテクタ106に対応するディテクタは必要がない。
また、この例では、オプティカルウェッジ202を透過して本来の用途に用いられるレーザ光205のレーザパワーは、外部共振器型半導体レーザ50からのレーザ光のレーザパワーの99%であり、2分割ディテクタ203に提供されるレーザ光206のレーザパワーは、外部共振器型半導体レーザ50からのレーザ光のレーザパワーの1%である。このことは、前述のレーザ・システム51やレーザ・システム101で、本来の用途に用いられるレーザ光のレーザパワーが、外部共振器型半導体レーザ50からのレーザ光のレーザパワーの90%程度であることとは対照的である。この発明のレーザ・システム201によって、より効率的なレーザパワーの利用が可能となる。
次に、この発明のレーザ・システム201の動作について、より詳細に説明する。図8に関連して説明した、「ノーマライズに利用した和信号」は、ここでは、2分割ディテクタ203の2つのディテクタ(203A、203B)からの検出結果の和(すなわち、光量の合計値)として提供される。ここで、波長410.02nmにおける和信号に対応する値を「1」とし、これを補正係数と呼ぶことにする。そうすると、補正係数は、受光したレーザ光の波長に対して、図14に示すような依存性を有している。すなわち、この例では、波長が410.02nmのときに、2分割ディテクタ203に最大光量が入るように、2分割ディテクタ203を配置してあり、波長が410.02nmから離れるにしたがって、2分割ディテクタ203で検出される光量が小さくなり、それに伴って補正係数が小さくなる。これは、前述のように、他の波長では、2分割ディテクタ203の一部が、縞模様の影の部分に入ってしまうからである。その意味では、見かけ上、光量が小さくなると言うことが出来る。
図14から分かるように、波長410.02nmの場合、補正係数は「1」であり、波長410.01nmや波長410.03nmの場合には、補正係数は約「0.95」である。また、波長410.00nmや波長410.04nmでは、補正係数は約「0.8」である。
したがって、たとえば、波長410.02nmで30mWを発光している場合に、波長が410.00nmに変動したとすると、実際にはレーザパワーが変わらなくても、見かけ上、レーザパワーが24mW(30mW*0.8=24mW)に減少したように見える。この誤差は非常に大きいものであり、このままでは、パワーモニターが適正になされているとは言い難い。
そこで、この発明では、波長ごとに対応する補正係数をROM(Read Only Memory)等の記録手段に記録させ、その補正係数で2分割ディテクタで求められたレーザパワー(和信号)を補正することによって、適正なレーザパワーを求める。たとえば、波長410.02nmに対応付けて補正係数は「1」を記録する。このような補正係数は、図14のような、実績を示すグラフから求められ得る。また、いくつかの波長について補正係数をそれぞれ記録し、補正係数のない波長については、周囲の補正係数から比例計算等によって近似するようにしてもよい。いくつの波長に関して補正係数を持つようにするかは、求めようとするレーザパワーの精度や、利用可能な記録手段の記録容量等に依存する。
そして、レーザ光の波長が、レーザ・システム51やレーザ・システム101と同様の手順で求められ、その波長が、たとえば、410.00nmであった場合、2分割ディテクタ203により得られた和信号が24mW相当に対応していれば、ROM内の対応する波長の補正係数「0.8」を取得し、24mW/0.8=30mWといった計算を行い、正しいレーザパワーを求める。同様に、2分割ディテクタ203により得られた和信号が24mW相当に対応している場合、波長が410.01nmであれば、レーザパワーは、24mW/0.95=25.26mWと求まり、波長が410.02であれば、24mW/1=24mWと求まる。
ここで、レーザ制御部204について、図15を参照して説明する。レーザ制御部204は、2分割ディテクタ203と外部共振器型半導体レーザ50内の半導体レーザ214に接続される。また、レーザ制御部204は、NS判定回路210、レーザパワー補正回路211、レーザパワー検出回路212、半導体レーザ駆動回路213を含む。
NS判定回路210は、前述のNS判定回路91と同様、NSを計算し、レーザパワー補正回路211にディジタル値1または0を提供する。レーザパワー補正回路211も、前述のレーザパワー補正回路92と同様、提供されたディジタル値に基づいて、半導体レーザ駆動回路213に、半導体レーザ214のレーザパワーを変えるよう指示する。たとえば、最初に、半導体レーザ214のレーザパワーが33mWとなるようにし、NS判定回路210で0が出力されるたびに、レーザパワーを3mW下げる制御とレーザパワーを3mW上げる制御とを交互に繰り返すようにする。
NS判定回路210は、上述したディジタル値の提供に加え、2分割ディテクタ203から提供された検出光量に対応する電流値から求められた、ディテクタ203Aとディテクタ203Bの和信号とNSを、レーザパワー検出回路212に提供する。レーザパワー検出回路212は、NSからレーザ光の波長を判定し、その波長に対応する補正係数をROM等の記録手段から検索し、上述した計算によりレーザパワーを検出する。この例では、補正係数を記録する記録手段は、レーザパワー検出回路212内に設けられているが、レーザパワー検出回路212からアクセス可能な他の場所に配置されてもよい。
レーザパワー検出回路212はさらに、こうして検出されたレーザパワーを、たとえば、所定のレーザパワーと比較し、受光するレーザ光が、その所定のレーザパワーとなるように半導体レーザ駆動回路213に指示する。ここで、半導体レーザ駆動回路213には、レーザパワー補正回路211とレーザパワー検出回路212の両方から、レーザパワーを変更する指示が提供されるが、半導体レーザ駆動回路213は、どちらかの指示を選択し、あるいは、両方の指示を組み合わせて採用するように制御されうる。
また、この発明においては、レーザパワー補正回路211を除いて構成することも可能であり、さらに、レーザパワー検出回路212において、レーザパワーを変更するための指示を行わず、レーザパワーの検出のみを行うように構成してもよい。
半導体レーザ駆動回路213は、半導体レーザ駆動回路93と同様、APC(Auto Power Control)を行う回路として既知のものであり、ここでは、これを流用することができる。
このように、レーザパワーの検出が可能になることによって、フィードバック制御を用いてレーザパワーを一定に保つ等のコントロールが実現される。
図7、図8、図14においては、オプティカルウェッジ角αは0.01度で、2分割ディテクタ内のそれぞれのディテクタは0.2mm幅であり、波長が410.02nmのときに和信号が最大になる位置に配置されるが、この発明のレーザ・システム201は、そのような条件に限定されるものではなく、様々なバリエーションを考えることができる。
また、この発明の説明では、オプティカルウェッジで反射したレーザ光を2分割ディテクタで受光し、それぞれ光量を検出していたが、2分割ディテクタ以外のディテクタを用いてこの発明を実現することができる。たとえば、2つの独立したディテクタによって、2箇所の光量を検出することができる。また、オプティカルウェッジで反射したレーザ光について、3カ所以上の光量を検知して、波長を判断することができる。
また、この例では、プッシュプル値を用いて波長の判断を行っているが、これは光ディスクのトラッキングを制御するためのプッシュプル回路を応用したものである。したがって、3スポットトラッキング方法やその他のトラッキング方法を実現する、他の光ディスクのトラッキング回路も流用することが可能である。
この発明で使用するディテクタは、たとえばフォトダイオードのような光検出器である。しかしながら、干渉縞をCCD(Charge Coupled Device)のような1次元または2次元のディテクタアレイで受光してもよい。干渉縞は、z軸方向に発生するので、1次元ディテクタを用いる場合は、z軸方向にディテクタを配置する。たとえば、1次元CCDアレイを用いて複数箇所における光量の検出を行うことができる。
さらに、いままで、この発明の外部共振器型半導体レーザにリットロー型を用いるものとして説明してきたが、たとえば、リットマン型のような、他の外部共振器型半導体レーザを用いることもできる。
また、この発明では、レーザ光がオプティカルウェッジに反射し、これによって発生した干渉縞の光強度を検知するものであり、オプティカルウェッジの使用を前提として実施例を説明してきた。しかしながら、オプティカルウェッジと同等の効果が得られる他の光学部品も存在し、この発明の範囲を、オプティカルウェッジを必ず含むものと限定して解釈すべきではない。この発明では、レーザ光を受光して縞模様の光を射出する反射手段のすべて、換言すれば、レーザ光を受光して、所定の方向に、異なる光強度分布を有する反射光を射出する反射手段のすべてを用いることが可能である。
たとえば、オプティカルウェッジの代わりに、両面がフラットなガラスを用いた場合、レーザ光がわずかでも拡散光あるいは収束光であれば、オプティカルウェッジと同様に、波長の変化に伴って縞模様が変化する。入射レーザ光と両面がフラットなガラスの角度によって、縞模様の各縞は、ほぼ直線の形状となったり、湾曲した形状となったりする。
拡散光あるいは収束光のレーザ光が入射された場合、波面が平面でないため、両面がフラットなガラスが所定の角度で入射光を受光すると、(たとえば、反射光を受光する曇りガラスには)同心円の縞模様が現れる。このときに、波長が変化すると同心円の縞模様は外に広がったり、内側に集まったりする。そこで、フラットなガラスの角度を変えると、(たとえば、同じ位置にある曇りガラスには)同心円の中心から離れた縞模様が現れ、この場合に、各縞が湾曲した縞模様となる。一方、フラットなガラスの角度をさらに調整すると、同心円の中心からさらに離れた縞模様が現れ、この場合に、各縞がほぼ直線の縞模様となる。
50・・・外部共振器型半導体レーザ、201・・・レーザ・システム、202・・・オプティカルウェッジ、203・・・2分割ディテクタ、204・・・レーザ制御部、210・・・NS判定回路、211・・・レーザパワー補正回路、212・・・レーザパワー検出回路、213・・・半導体レーザ駆動回路、214・・・半導体レーザ
Claims (16)
- 外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の少なくとも一部を受光し、所定の方向に、異なる光強度分布を有する反射光を射出する反射手段と、
前記反射手段からの前記反射光の光強度を、少なくとも2つの受光位置で検出する光検出手段と、
前記少なくとも2つの受光位置における検出信号の差分値を求め、前記差分値に基づいて、前記レーザ光の波長の判定を行う波長判定手段と、
前記レーザ光の波長ごとに補正係数を記録する記録手段と、
前記少なくとも2つの受光位置における検出信号の合計値を求め、前記波長判定手段によって判定された前記波長に対応する前記補正係数を前記記録手段から取得し、取得された前記補正係数を用いて前記合計値を補正することによって、前記レーザ光のレーザパワーを判定するレーザパワー判定手段とを備え、
前記少なくとも2つの受光位置は、前記所定の方向と平行な方向に沿って配置されることを特徴とするレーザパワー判定装置。 - 請求項1に記載のレーザパワー判定装置において、
前記記録手段に記録される前記補正係数は、対応する波長の前記レーザ光について求められた前記合計値の大きさに基づいて決定されることを特徴とするレーザパワー判定装置。 - 請求項2に記載のレーザパワー判定装置において、
前記レーザパワー判定手段は、前記補正係数を用いて、求められた前記合計値を、所定の波長範囲のレーザ光について得られる最大の合計値に変換するように補正することを特徴とするレーザパワー判定装置。 - 請求項1に記載のレーザパワー判定装置において、
前記検出信号の差分値が、前記少なくとも2つの受光位置で得られた検出信号の合計値によってノーマライズされていることを特徴とするレーザパワー判定装置。 - 請求項1に記載のレーザパワー判定装置において、
前記光検出手段は、1つまたは複数の光検出器を有し、
前記少なくとも2つの受光位置における反射光の強度の検出が、前記1つまたは複数の光検出器によって行われることを特徴とするレーザパワー判定装置。 - 請求項5に記載のレーザパワー判定装置において、
前記光検出器がフォトダイオードまたはCCDであることを特徴とするレーザパワー判定装置。 - 請求項1に記載のレーザパワー判定装置において、
前記反射手段がオプティカルウェッジであることを特徴とするレーザパワー判定装置。 - 請求項1に記載のレーザパワー判定装置において、
前記レーザパワー判定手段により判定されたレーザパワーと所定のレーザパワーを比較し、前記レーザ光のレーザパワーが前記所定のレーザパワーとなるように、前記外部共振器型半導体レーザ内の半導体レーザに提供する電流値を、所定の値だけ増加または減少させる制御手段をさらに備えることを特徴とするレーザパワー判定装置。 - 外部共振器型半導体レーザから射出されるレーザ光の少なくとも一部を受光し、所定の方向に、異なる光強度分布を有する反射光を射出する反射手段からの反射光の強度を、少なくとも2つの受光位置で検出する光検出ステップと、
前記少なくとも2つの受光位置における検出信号の差分値を求め、前記差分値に基づいて、前記レーザ光の波長の判定を行う波長判定ステップと、
前記少なくとも2つの受光位置における検出信号の合計値を求め、前記レーザ光の波長ごとに補正係数を記録する記録手段から、前記波長判定ステップによって判定された前記波長に対応する前記補正係数を取得し、取得された前記補正係数を用いて前記合計値を補正することによって、前記レーザ光のレーザパワーを判定するレーザパワー判定ステップとを備え、
前記少なくとも2つの受光位置は、前記所定の方向と平行な方向に沿って配置されることを特徴とするレーザパワー判定方法。 - 請求項9に記載のレーザパワー判定方法において、
前記記録手段に記録される前記補正係数は、対応する波長の前記レーザ光について求められた前記合計値の大きさに基づいて決定されることを特徴とするレーザパワー判定方法。 - 請求項10に記載のレーザパワー判定方法において、
前記レーザパワー判定ステップは、前記補正係数を用いて、求められた前記合計値を、所定の波長範囲のレーザ光について得られる最大の合計値に変換するように補正することを特徴とするレーザパワー判定方法。 - 請求項9に記載のレーザパワー判定方法において、
前記検出信号の差分値が、前記少なくとも2つの受光位置で得られた検出信号の合計値によってノーマライズされていることを特徴とするレーザパワー判定方法。 - 請求項9に記載のレーザパワー判定方法において、
前記光検出ステップの、前記少なくとも2つの受光位置における反射光の強度の検出が、1つまたは複数の光検出器によって行われることを特徴とするレーザパワー判定方法。 - 請求項13に記載のレーザパワー判定方法において、
前記光検出器がフォトダイオードまたはCCDであることを特徴とするレーザパワー判定方法。 - 請求項9に記載のレーザパワー判定方法において、
前記反射手段がオプティカルウェッジであることを特徴とするレーザパワー判定方法。 - 請求項9に記載のレーザパワー判定方法において、
前記レーザパワー判定ステップにより判定されたレーザパワーと所定のレーザパワーを比較し、前記レーザ光のレーザパワーが前記所定のレーザパワーとなるように、前記外部共振器型半導体レーザ内の半導体レーザに提供する電流値を、所定の値だけ増加または減少させる制御ステップをさらに備えることを特徴とするレーザパワー判定方法。
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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