JP2008112748A - 走査形荷電粒子顕微鏡、並びに走査形荷電粒子顕微鏡の非点収差補正方法 - Google Patents

走査形荷電粒子顕微鏡、並びに走査形荷電粒子顕微鏡の非点収差補正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】走査形荷電粒子顕微鏡の非点収差補正作業の簡易化方法に関する。
【解決手段】荷電粒子銃1と対物レンズ6との間に荷電粒子ビーム2のクロスオーバー11を設け、荷電粒子ビーム2をクロスオーバー11を頂点とする円錐の母線に沿って錐面を周回するように偏向したときの顕微鏡像の軌跡が真円状に位置移動するように非点収差補正器15を調節する。
【選択図】図2

Description

本発明は、細く絞った荷電粒子ビームを試料に照射し、それを走査して試料の顕微鏡像をCRT等の表示装置上に得る走査形荷電粒子顕微鏡に関するものであり、特に、その顕微鏡の非点収差補正作業の簡易化方法に関する。
走査形電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)や走査形イオン顕微鏡(Scanning Ion Microscope:SIM)などの荷電粒子顕微鏡では、細く絞った電子ビームやイオンビーム等の荷電粒子ビームで試料面を走査し、試料より発生した2次電子等の2次粒子の信号をCRTの輝度変調信号に使ってCRT上に顕微鏡像を描く。顕微鏡像の焦点合わせは、通常は試料に対面した、対物レンズの焦点距離を調節することで行う。近年のSEMでは、2次粒子信号を走査距離に対して微分した信号を使ってこの焦点合わせ作業を自動化している。オペレータがボタンを押すと、微分信号が最大となる焦点距離を求めて対物レンズの動作条件が自動的に変化する。この微分信号を使った焦点合わせ法にはまだ不完全な部分がある。それは、微分信号の強度がビームの細さのみならず顕微鏡像のコントラスト(模様の濃淡変化)にも関係するためで、コントラストの小さい顕微鏡像では、微分信号の値が小さくなり、この自動焦点合わせ法の信頼性は低くなる。高倍率像のコントラストは一般に小さいので、高倍率像を焦点合わせしようとした時、この自動焦点合わせ法では対応できない場合もある。また、模様の少ない試料に対する焦点合わせも、この自動焦点合わせ法は不得意である。
一方、SEMとは顕微鏡法の原理が基本的に異なっている透過形電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)にはワブラー装置と称する焦点合わせ・援用装置があり、長い年月、便利で、かつ、信頼性の高い装置として使われて来た。ワブラー装置は、試料を照射する電子線を光軸に関して交互に傾ける。オペレータは蛍光版上に拡大された試料の顕微鏡像を観察する。もし、顕微鏡が焦点ハズレの状態にあれば、蛍光板上の像が左右に揺れるので、その揺れがなくなるようにオペレータが対物レンズの焦点距離を調節する。
SEMの自動焦点合わせ法における微分信号は顕微鏡像の画素ごとの情報を抽出しているのに対し、TEMのワブラー法での像揺れの認識は像全体の情報を抽出し、使っている。そこで、像揺れの検出は微分信号検出に比べると極めて高い信号対雑音比、即ち、高い信頼性のもとに実施され、その結果、コントラストの低い試料に対しても問題点なく焦点合わせできる。近年には、この原理を応用してTEMの世界でも、自動焦点合わせが実施されるようになった。
SEMやSIMにおいても、像の移動を検出してそれを焦点合わせに利用する方法が見つかれば、高倍率の像に対しても容易に焦点合わせできるようになるはずである。また、TEM・ワブラー法自動焦点合わせのように、異なった角度の試料照射で得たたった2枚の顕微鏡像のみを使って自動焦点合わせできるようになれば、荷電粒子線を試料に当てることによって発生する試料汚染や試料損傷を著しく軽減できる。ただし、SEMやSIMとTEMとでは顕微鏡像の形成原理が全く異なるので、従来のSEM/SIMにおいて試料を照射するビームをワブラーのように傾けてみても、顕微鏡像には、傾斜角に比例した量の位置ズレが発生するだけで焦点合わせの不正合度に関する情報は得られない。即ち、ピントが合っていても顕微鏡像の移動が発生する。
本発明の第1の目的は、走査形荷電粒子顕微鏡の非点収差補正が簡単にできるようにする装置を提供することである。本発明の第2の目的は、短時間で非点収差補正をすることによって、ビーム照射が招く試料の損傷や汚染を著しく軽減する荷電粒子顕微鏡を提供することである。
上記の目的を達成するため本発明の走査形荷電粒子顕微鏡では、荷電粒子銃とビーム走査器との間に荷電粒子ビームのクロスオーバーを発生するように光学系を構成し、かつ、そのクロスオーバーを支点としてビームが偏向するように駆動するビーム偏向器を設けた。
すなわち、本発明による走査形荷電粒子顕微鏡は、荷電粒子ビームを発生する荷電粒子銃と、荷電粒子ビームを試料上に細く絞って照射する対物レンズと、荷電粒子ビームを試料上で2次元的に走査する走査器とを含む走査形荷電粒子顕微鏡において、荷電粒子銃と走査器との間に荷電粒子ビームのクロスオーバーを設け、該クロスオーバーを支点として荷電粒子ビームを偏向する偏向器を備えることを特徴とする。
そして、本発明による走査形荷電粒子顕微鏡は、非点収差補正器と、荷電粒子銃と走査器との間に荷電粒子ビームのクロスオーバーを設け、このクロスオーバーを頂点とする円錐の母線に沿って錐面を周回するように荷電粒子ビームを偏向する偏向器とを備え、荷電粒子ビームをクロスオーバーを頂点とする円錐の母線に沿って錐面を周回するように偏向したときの顕微鏡像の軌跡に基づいて、非点収差補正器を制御することを特徴とする。
偏向器によるビーム偏向動作は時間に対して周期的な様式で繰り返し行うことができる。
また、荷電粒子ビームを用いて得た複数枚の顕微鏡像を記憶する画像メモリと、この画像メモリに記憶した複数枚の顕微鏡像の位置移動の軌跡にフィットする楕円を求め、当該楕円の長軸・短軸の長さと傾きに基づいて、非点収差の大きさと方向とを計算する演算手段と、当該非点収差の大きさと方向に基づいて、非点収差補正器を制御する制御器とを備えることができる。
偏向器により荷電粒子ビームを、クロスオーバーを頂点とする円錐の母線に沿って錐面を周回するように偏向すると、ビーム偏向による顕微鏡像の位置移動の情報を元にして非点収差補正を行うことができる。すなわち、荷電粒子ビームを用いて得た複数枚の顕微鏡像をそれぞれ記憶する画像メモリと、この画像メモリに記憶した複数枚の顕微鏡像の位置移動の軌跡にフィットする楕円を求め、その楕円の長軸と短軸の長さと傾きに基づいて、非点収差の大きさと方向を計算する演算手段と、当該非点収差の大きさと方向に基づいて、非点収差補正器を制御する制御器とを備えることで非点収差を自動補正することができる。
本発明による走査形荷電粒子顕微鏡の非点収差補正方法は、荷電粒子ビームを発生する荷電粒子銃と、荷電粒子ビームを試料上に細く絞って照射する対物レンズと、荷電粒子ビームを試料上で2次元的に走査する走査器と、荷電粒子ビームの非点収差を補正する非点収差補正器とを備える走査形荷電粒子顕微鏡の非点収差補正方法において、荷電粒子銃と走査器との間に荷電粒子ビームのクロスオーバーを設け、荷電粒子ビームをクロスオーバーを頂点とする円錐の母線に沿って錐面を周回するように偏向したときの顕微鏡像の軌跡が真円状に位置移動するように非点収差補正器を調節することを特徴とする。
本発明の走査形荷電粒子顕微鏡は、試料微小部の元素分析、試料微小部の加工、試料微小部の測長等に応用することができる。
本発明によると、走査形荷電粒子顕微鏡の非点収差補正を簡単に行うことができるようになり、それらの作業中に発生する試料汚染や損傷を軽減することができる。
本発明によると、荷電粒子ビームの非点収差補正が簡単にできるようになり、作業者の負担を軽減すると共に、ビーム照射に伴う試料の損傷や汚染が軽減されるようになった。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。理解を容易にするため、以下の図において同じ機能部分には同一の番号を付して説明する。
図1は、本発明をSEMに応用した本発明の実施形態を示す図である。電子銃1より発射された電子ビーム2はコンデンサーレンズ3、偏向器4、走査器5を通って対物レンズ6に入る。電子ビーム2は、対物レンズ6の集束作用により細く絞られて試料7を照射する。顕微鏡像を得るために、電子ビームは走査器5により試料7上を2次元走査され、同時に、試料7から発生した2次電子が2次電子検出器8により全体制御器9に取り込まれる。全体制御器9は、この信号をCRT10の輝度変調信号に使ってCRT10のディスプレイ上に顕微鏡像を描く。
以上の構成において、本発明の特徴とする構成は、(1)電子ビーム2を偏向するために偏向器4を設け、かつ、(2)偏向器4の偏向支点に電子ビーム2がクロスオーバー11を持つようにコンデンサーレンズ3の焦点距離が調節されていることである。また、電子ビーム2を試料7上に細く絞る原理は、クロスオーバー11の像を対物レンズ6により試料7上に縮小投影して小さなスポットを得ることであることは言うまでもない。
顕微鏡像の観察中に電子ビーム2を点線で示したビームのように白抜き矢印方向に偏向すると、以下の現象が発生する。もし、図1に示されたように、クロスオーバー11の像22が、試料7上にピントの合った状態で投影されていなければ、即ち、クロスオーバー11の像22が対物レンズ6と試料7の間に作られている場合には、図のように、試料上でのビーム走査の中心点がA点(ビーム偏向前の中心点)からB点に移動する。その結果、CRT10上に描かれる顕微鏡像は、図のように、実線の形のものから破線の形のものに変化する。即ち、模様が移動する。もし、クロスオーバー11の像が正確に試料7上に在る場合には、ビームを偏向しても走査中心位置は変らない。このことは図1より容易に分かる。
対物レンズ6のレンズ収差を考慮してこの考察を進めると、ビームを偏向器4で角度θだけ偏向した時の像の移動量dを計算することができる。即ち、球面収差係数がCsの対物レンズにΔfの焦点ハズレ(クロスオーバー11が試料7上に結像されている状態からの対物レンズ6の焦点距離の差分)がある時の像の移動量dは、次の〔数1〕のように数式で表すことができる。ここで、Mは電子ビームに対する対物レンズ6の結像倍率、Mは試料像の拡大倍率(顕微鏡の倍率)である。
Figure 2008112748
この〔数1〕を使えば、本発明を利用して顕微鏡像の焦点合わせを行うに必要な対物レンズの調節条件が分かる。即ち、電子ビームを偏向してもCRT10上の顕微鏡像が動かなくなるように、即ち、dが零となるように対物レンズ6の焦点距離を調節したとすると、その時、対物レンズ6の焦点ハズレ量は−Cs・(θ/Mになっている。本発明ではこの原理を利用して、顕微鏡像の移動を認識することによる焦点合わせを行う。
ここでは、顕微鏡像形成のビーム走査を1/30秒周期で行い、かつ、ビーム偏向はビーム走査に同期して行った。即ち、顕微鏡像1枚作成毎にビーム偏向を設定・解除した。奇数枚目の顕微鏡像はビーム偏向無しの状態で得られたものがCRT上に表示され、偶数枚目の像は偏向されたビームで作られる。目の残像効果により、ビーム偏向前後の像の動きは、動きとしては認識されず、図1に図示したような2重像模様の絵の様に見えた。ビーム偏向の周期を長くすると、2重像ではなく像の揺れのように見える。
オペレータは2重像模様が1重像模様になるように対物レンズ6の焦点距離を調節する。1重像模様になった時点で全体制御器9に設けられたフォーカスボタン12を押し下げる。全体制御器9には前もって、電子ビームに対する対物レンズ6の結像倍率Mとビーム偏向角度θと球面収差係数Csの値が登録されている。全体制御器9はそれらの値を使って、その時の対物レンズ6の焦点ハズレ量Δfを計算し、さらに、焦点ハズレ量を−0.25Csαに設定するための焦点距離変化量、−Cs・(θ/M+0.25Csαを計算して、焦点距離をそれだけ変えるように対物レンズ電源13に指令する。ここで、αは試料から見た電子ビームの半開角でビーム偏向角度θとは違ったものであることに注意する必要がある。αはアパーチャ14の孔径と電子ビーム光学系のレンズ倍率とで決めており、これも既知の量である。
顕微鏡の焦点正合状態として対物レンズ6をΔfが零ではなく−0.25Csαだけ焦点ハズレのある状態にするのは走査形顕微鏡の顕微鏡像形成原理を考察した結果である。即ち、シャープな顕微鏡像を得るためにはなるべく細い走査ビームを使う必要があるが、最も細いビームが得られるのは、対物レンズ6がクロスオーバー11をきちんと試料7上に結像している時ではなく、対物レンズ6が若干不足焦点気味で、いわゆる最小錯乱円が試料7上に形成されている時である。この点においてもTEMとSEMとでは顕微鏡像の焦点合わせの条件が全く異なる。また、厳密なピント合わせを必要としない場合には1重像模様を得た状態で焦点合わせ作業を完了しても良いことは言うまでもない。
本実施の形態では、オペレータがCRTで顕微鏡像の重なり具合を認識して焦点合わせを行う方法を説明した。2重像から1重像への像の変化を認識することは、コントラストの小さい試料に対しても容易にでき、特に、高倍率の像に対して焦点合わせが楽になった。
図2は、本発明をSEMの非点収差補正に応用した本発明の他の実施形態を説明する図である。図2では偏向器より試料の側の部分のみを描いている。本実施形態では、偏向器4による電子ビーム2の偏向を偏向器4のすぐ下に描いた円弧状矢印のように、クロスオーバー11を頂点とする円錐面に沿って円錐を周回する様式で行う。偏向の周回時間は一周あたり例えば(8×1/30)秒であり、1/8周ごとにビーム偏向は1/30秒間停止し、偏向された電子ビームを偏向位置を中心に走査器5で2次元走査して顕微鏡像を形成する。顕微鏡像形成時間はやはり1/30秒で、前記実施の形態と同様に、ビーム偏向動作に同期していることは言うまでもない。
SEM像における非点収差は対物レンズ6の焦点距離がレンズ軸に関して軸対称でない場合に発生する。そこで、電子ビーム2を図のように周回させた時、もし非点収差が在れば、試料7上の走査中心点は真円ではなく楕円状の軌跡を描く。即ち、CRT10上の顕微鏡像も楕円状に移動する。非点収差の無い時に電子ビームを周回させると、CRT10上の像は一定値の焦点ハズレ量に対応した半径の円を描く。このように、非点収差のある時は楕円を、無い時は円を描く。この現象を対物レンズ6の非点収差補正に応用する。即ち、オペレータは偏向器4を使って電子ビーム2を円錐面に沿って周回させ、同時にCRT10の顕微鏡像を観察する。CRT10の像が真円を描いて移動する様になるまで非点収差補正器15を調節する。非点収差補正器15は非点収差の方向とその量とを制御する2つのツマミを備え、オペレータはCRT10の像が真円を描いて移動するようになるまでこれらのツマミを調節する。 図2のCRT10には、非点収差が補正されていない時、SEM像の模様が楕円状に動いている様子が描かれている。
従来のSEMでは非点収差補正はなかなか厄介な問題であった。即ち、オペレータが、顕微鏡像を観察し、そのボケ具合が等方的でない、例えば、模様がなんとなく流れているように見える様子を捉えて、それを無くす様、非点収差補正器を操作した。この時もコントラストの低い試料に対しては特に調整が難しかった。本発明ではこの異方性の情報を円形と楕円形の違いとしてCRTに明瞭に表示するようになったため非点収差補正作業が楽になった。
非点収差補正作業は、自動化することも可能である。自動化は、偏向器4によって電子ビーム2の偏向をクロスオーバー11を頂点とする円錐面に沿って円錐を周回させるとき得られる複数の顕微鏡画像(ここで説明した例の場合8枚の顕微鏡画像)から、像の位置移動の軌跡に最も合致する楕円を見つけ、その長軸と短軸及び傾きを算出することで行うことができる。像の位置移動の軌跡に最も合致した楕円は、例えば8枚の顕微鏡画像の相互相関を計算することで得られる。楕円の長軸の長さと短軸の長さは前記〔数1〕で示した移動量dに対応するので、それらから対物レンズ6のレンズ軸に直交する方向の焦点距離の差を求めることができる。即ち、 全体制御器9は、この長軸・短軸の長さの差、ならびに回転角の情報を基にしてそれらが解消されるように、先に述べた非点収差補正器の2つのツマミの調節に対応した信号を発生するよう非点収差補正器15の電源に制御指令を送って非点収差を補正する。
図3は、本発明をSIMの自動焦点合わせに応用した本発明の他の実施形態を示す図である。SIMではイオンビームを使うので、顕微鏡像の観察は、試料の損傷をも招いてしまう。従って、焦点合わせは極力短時間のイオンビーム照射で完了することが要求される。
イオン銃16から出たイオンビーム23は偏向器4の内部にイオンビームのクロスオーバー11を作る。イオン銃16は液体金属イオン源17と3枚の円盤状の電極とで構成されており、中央電極の電圧を変えることでイオン銃のレンズ作用の強さを任意に変えることができるように作られている。そこで、図1の実施例のようにコンデンサーレンズは、特には、使わなくても任意の位置にイオンビーム23のクロスオーバーを作ることができる。即ち、図3の実施形態では、イオン銃16がコンデンサーレンズ(3)をも兼ねた形に構成されており、全体制御器9がイオン銃レンズ電源21を駆動して、クロスオーバー11を偏向器4の偏向支点に設けるように指示している。偏向器4を出たイオンビームは走査器5により、2次元的に走査され、かつ、対物レンズ6により絞られて顕微鏡像を形成する。
先に示した図1の実施形態では、偏向器4の偏向動作を時間に対して周期的に行い、かつ、SEM像を時々刻々CRTに表示したが、本実施形態では偏向動作はただ1度だけ行い、その偏向前後のSIM像をそれぞれ画像メモリA18と画像メモリB19とに貯えるようにしている。演算器20は画像メモリA18と画像メモリB19に貯えたSIM像の画像データの相互相関を計算し、両画像の間の模様の移動量dを、移動方向の符号を含めて算出する。移動量dの理論式はすでに〔数1〕に示した。
演算器20は両画像の間の模様の移動量dと前記〔数1〕とから対物レンズ6の現在の焦点はずれ量Δfを計算する。さらに、図1の実施形態での説明と同じ原理を使って、イオンビームの最小錯乱円を試料7上に設けるのに必要な対物レンズ6の焦点距離補正量を計算する。全体制御器9はこの補正量だけ焦点距離を変えるよう対物レンズ電源13に指令する。即ち、図1の実施形態では、何枚もの顕微鏡像を観察しながら顕微鏡の焦点合わせを実行したが、また、従来のSIMではさらに多い枚数の顕微鏡像の観察により焦点合わせを実行していたが、この実施形態では2枚の像を取り込むだけで焦点合わせを行うことができる。そこで本発明によれば、従来に比べて極めて少ない量のイオンビーム照射で焦点合わせができるようになり、イオンビーム照射が招くところの試料損傷が著しく軽減された。
この試料損傷軽減の特徴は細束イオンビームを使って試料微小部の加工を行う方法(集束イオンビーム加工装置)や元素分析を行う方法(微小部2次イオン質量分析計)に有用利用される。何れの方法においても、イオンビームを極力細く絞る必要性から、それぞれの作業の前に顕微鏡像の焦点合わせを必要とする工程が欠かせないが、その工程でイオンビームが試料を壊してしまうので、目的の加工位置が正確に決まらなくなったり、目的の分析物がなくなってしまったりする場合がある。
また、図3の実施形態を電子ビーム装置に応用すると電子ビーム照射が招く試料汚染の問題点を著しく軽減することができる。試料汚染は、2次電子の発生効率を下げ、顕微鏡像の品質を低下させる。像質の低下は、SEMを利用して微小部の測長を行う場合(測長SEM)には測長精度を低下させる。また、汚染は炭化物の堆積であるから、電子ビームを用いて試料の元素分析を行おうとした時(X線マイクロアナライザ)、もし電子ビームによる汚染があれば、その分析結果はもともとの試料に炭素が含まれていたように間違った解釈を与えてしまう。本発明は、これらの問題を解決する手段を提供する。
本発明をSEMに応用した実施形態を示す図。 SEMの非点収差補正に応用した他の実施形態を説明する図。 本発明をSIMの自動焦点合わせに応用した他の実施形態を示す図。
符号の説明
1…電子銃、2…電子ビーム、3…コンデンサーレンズ、4…偏向器、5…走査器、6…対物レンズ、7…試料、8…2次電子検出器、9…全体制御器、10…CRT、11…ビームのクロスオーバー、12…フォーカスボタン、13…対物レンズ電源、14…アパーチャ、15…非点収差補正器、16…イオン銃、17…液体金属イオン源、18…画像メモリA、19…画像メモリB、20…演算器、21…イオン銃レンズ電源、22…対物レンズによるクロスオーバーの結像点、23…イオンビーム

Claims (4)

  1. 荷電粒子ビームを発生する荷電粒子銃と、前記荷電粒子ビームを試料上に細く絞って照射する対物レンズと、前記荷電粒子ビームを試料上で2次元的に走査する走査器とを備える走査形荷電粒子顕微鏡において、
    当該走査形荷電粒子顕微鏡は、さらに、
    非点収差補正器と、
    前記荷電粒子銃と前記走査器との間に前記荷電粒子ビームのクロスオーバーを設け、該クロスオーバーを頂点とする円錐の母線に沿って錐面を周回するように前記荷電粒子ビームを偏向する偏向器と
    を備え、
    前記荷電粒子ビームを前記クロスオーバーを頂点とする円錐の母線に沿って錐面を周回するように偏向したときの顕微鏡像の軌跡に基づいて、前記非点収差補正器を制御することを特徴とする走査形荷電粒子顕微鏡。
  2. 請求項1記載の走査形荷電粒子顕微鏡において、
    前記偏向器によるビーム偏向動作を時間に対して周期的な様式で繰り返し行うことを特徴とする走査形荷電粒子顕微鏡。
  3. 請求項1又は2記載の走査形荷電粒子顕微鏡において、
    荷電粒子ビームを用いて得た複数枚の顕微鏡像を記憶する画像メモリと、
    前記画像メモリに記憶した複数枚の顕微鏡像の位置移動の軌跡にフィットする楕円を求め、該楕円の長軸・短軸の長さと傾きに基づいて、前記非点収差の大きさと方向とを計算する演算手段と、
    当該非点収差の大きさと方向に基づいて、前記非点収差補正器を制御する制御器と
    を備えることを特徴とする走査形荷電粒子顕微鏡。
  4. 荷電粒子ビームを発生する荷電粒子銃と、前記荷電粒子ビームを試料上に細く絞って照射する対物レンズと、前記荷電粒子ビームを試料上で2次元的に走査する走査器と、前記荷電粒子ビームの非点収差を補正する非点収差補正器とを備える走査形荷電粒子顕微鏡の非点収差補正方法において、
    前記荷電粒子銃と前記走査器との間に前記荷電粒子ビームのクロスオーバーを設け、
    前記荷電粒子ビームを前記クロスオーバーを頂点とする円錐の母線に沿って錐面を周回するように偏向したときの顕微鏡像の軌跡が真円状に位置移動するように前記非点収差補正器を調節する
    ことを特徴とする走査形荷電粒子顕微鏡の非点収差補正方法。
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