JP5012756B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents
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Description
図2の処理フローについて、以下に詳細に説明する。
対物レンズ7の現在の条件、あるいは、現在の条件に基づいて決められる(例えば、現在のフォーカス条件からフォーカスを少しずらした条件)を条件1として対物レンズ7に設定する。次に、アライナー51の現在の条件、あるいは、予め決められた条件をアライナー51の条件1として設定する。この対物レンズ条件1とアライナー条件1で画像1を取得する。
アライナー51の条件をそのままにして、対物レンズの条件のみを対物レンズ条件1に対して予め決められた値だけフォーカスのずれた第2のフォーカス条件を設定して画像2を取得する。
アライナー51の条件を条件1に対して予め決められた値だけずらした条件を条件2として、これをアライナー51に設定する。そして、対物レンズの条件をステップ1とステップ2と同様に条件1、および条件2として、それぞれの画像(画像3,画像4)を取得する。
画像1と同条件で再度画像を取得し、これを画像5として登録する。
画像1と画像2の視差(画像のずれ)を画像処理により検出し、これを視差1として登録する。画像間の視差は、例えば、画像1と画像2の画像を互いに画素単位でずらしながら画像相関を求め、画像相関値が最大になる画像のずらし量から検出することが可能である。その他、視差の検出が可能な画像処理ならば、本実施例に適用が可能である。
画像1と画像2の視差を画像処理により検出して、これを視差2として登録する。
画像1と画像5の視差を画像処理により検出して、これを視差3として登録する。画像1と画像5とは同一条件で取得したものであるから、これらの画像間にずれ(視差3)があれば、このずれは試料やビームのドリフトによって作られたものである。即ち、荷電粒子線の光学条件を或る状態(第1の状態)とし、次に光学条件を他の状態(第2の状態)とした後、再度第1の状態とするときに、上記2つの第1の状態でそれぞれ試料像を検出し、両者間のずれに基づいてドリフトを算出している。
視差3からドリフト成分を検出して、視差1と視差2に対してドリフト成分を補正(除去)する。例えば、画像1と画像5の取り込み間隔がt秒であれば、単位時間(秒)当たりのドリフト(d)は、d=(視差3)/tで表される。一方、画像1と2,画像3と4の取り込み間隔がT12,T34とすれば、視差1と視差2には、それぞれ、d×T12、およびd×T34のドリフト成分が含まれていることになるため、視差1,視差2からドリフト成分を差し引くことで、軸ずれに起因した正確な視差を算出することができる。
ドリフト補正された視差1と視差2からアライナー51の最適値を計算して、アライナーに設定する。
ビームの傾きをWAL′(複素変数)とすると、電子光学理論(近軸理論)に基づく軌道計算が可能である。磁界形対物レンズの場合、レンズ電流値をI1からI2へとΔI(=I1−I2)だけ変化させたときに生じる像ずれ量(視差)をΔWi(複素変数:ΔXi+j・ΔYi)とすると、軌道計算により、ΔWiは次のように表すことができる。
ΔWi=K・ΔI・(WAL・A+WAL′・B) (1)
ここで、K,A,Bは、測定の際の軸ずれ状態と、対物レンズの動作条件(加速電圧や対物レンズの焦点距離、あるいは対物レンズの物点位置など)で決まるパラメータ(複素数)である。対物レンズに対して軸がずれた状態とは、式(1)においてΔWiが0以外の値を持つことを意味する。したがって、従来は、対物レンズの電流をΔIだけ周期的に変化させて、このときの像ずれΔWiをオペレータが認識し、像ずれを無くすようにアライナーの条件を調整していた。すなわち、軸ずれが補正されるアライナーの最適値とは、式(1)の右辺がΔIによらず0となる条件を指している。この条件を書き出すと、
(WAL・A+WAL′・B)=0 (2)となり、この条件を満たすアライナーの動作条件が最適値となる。軸ずれがあるとアライナー偏向面では入射ビームの傾きも伴うため、これをWAL0′とし、アライナーによる偏向角(制御値)をWAL1′とすると
WAL′=WAL0′+WAL1′ (3)で表される。よって、式(2)を満たすアライナーの条件WAL1′(アライナーの最適値)を求めることが軸調整機能の目的となる。アライナーを電磁コイルで構成する場合には、偏向角WAL1′はアライナーのコイル電流に比例する。以上の関係から式(1)を書き直すと、
ΔWi=ΔI・(A1+WAL1′・B1) (4)
が得られる。ここで、A1,B1は以下の項をまとめたものである。
A1=K・(WAL・A+WAL0′・B) (5)
B1=K・B (6)
式(4)より、アライナーの最適値WAL1′は
WAL1′=−A1/B1 (7)で与えられるため、A1とB1を求めることにより、アライナーの最適値を計算することができる。式(4)において、ΔIは対物レンズの電流変化量であるから、既知の値として予め決めることができる。したがって、アライナーを予め定めた任意の2条件に設定し
、その各々においてΔIに対する視差ΔWiを画像処理により検出すると、式(4)より未知数A1,B1を求めるための方程式が得られる。この方程式からA1,B1を解くことができるため、アライナーの最適条件を式(7)から決定することができる。
、アライナー51は、少なくとも対物レンズ主面におけるビーム通過位置を二次元的に制御可能な配置、あるいは構造を有している。仮に、アライナーによるビームの偏向支点が対物レンズ主面近傍に存在すると、対物レンズに対する軸ずれの状態が制御できなくなるためである。即ち本発明実施例のように電磁コイルを用いたアライメント偏向器(アライナー)の場合、光学条件によって変化するコイルへの励磁電流(偏向信号)を検出することが可能になる。例えば対物レンズの励磁条件の変化や、試料に印加するリターディング電圧の大きさによって、変化する励磁電流を、観察時の光学条件に基づいて検出することができるので、光学条件ごとに異なるパラメータを登録しておく必要がなくなり、また経時変化により、ビームの条件が変化したとしても、その変化した状態における適正なアライメントコイルへの励磁電流を検出することが可能になる。
、軸調整の自動化を容易に実現することが可能になる。
。したがって、例えば、試料交換や電子光学系の条件変更など、軸ずれが発生する可能性を伴う操作を行ったときに、ΔIによる視差ΔWiを検出する処理を実行すれば、軸ずれを未然に検出することができる。さらに、ΔWiがある所定の値を超えると、オペレータに軸調整が必要であることを伝えるメッセージを表示することができる。図5に、軸ずれを検出したときのメッセージ画面の一例を示す。オペレータは、このメッセージに従って
、必要となれば、入力手段により軸調整処理を実行させることができる。入力手段は、例えば、メッセージ画面(例えば、図5)に表示されたアイコンやモニタに表示された他の専用アイコンをマウスでクリックしたり、あるいは、メニュー画面から処理コマンドを指定するなど、種々の形態をとることができる。
一方、非点補正器52についても、本実施例では自動軸調整が可能である。非点補正器では、光軸と直交する面内において、ビームを収束させる作用とビームを発散させる作用とが方向を異にして発生する。したがって、ビームが非点補正場の中心を通過していないと、非点補正場中心からのずれに対応した方向に偏向作用を受けることになる。このとき
、非点収差の補正に連動して偏向作用も変化するため、非点収差の調整操作に連動して像が移動し、調整操作が困難になる。これを補正するために、従来は、非点補正器52の信号(Xstg,Ystg)に連動した信号を別のアライナー53に入力して、アライナー53で発生する像の動きでもって非点補正器による像の動きをキャンセルするようにしている。このとき、アライナー53に入力する信号(複素変数)をWs1とすると、Ws1は次の式で表される。
Ws1=Ksx・Xstg+Ksy・Ystg (8)
ここで、Ksx,Ksyは複素変数で表される係数である。いま、非点補正器の信号(Xstg,Ystg)をそれぞれΔXstg,ΔYstgだけ別々に変化させたとすると、各々の変化に対応する観察像の動き(視差)ΔWix,ΔWiyは、それぞれ次のようになる。
ΔWix=ΔXstg・(Asx+Bx・Ksx) (9)
ΔWiy=ΔYstg・(Asy+By・Ksy) (10)
ここで、Asx,Asyは、非点補正器に対するビームの軸ずれに対応してその値が決まる複素変数である。Ksx,Ksyは、装置で制御する軸調整パラメータ(複素変数)を表す。また、Bx,Byは、アライナーの位置や偏向感度,電子光学系の条件などで決まる複素変数である。従来は、非点補正器にそれぞれΔXstg,ΔYstgの変調信号を加えて、そのときの像の動き(ΔWix,ΔWiy)をオペレータが認識し、これを無くすようにパラメータKsx,Ksyの手動調整が行われていた。
Fi=ΣΣ[F(fx,fy)・fxn・fyn] (11)
ここで、F(fx,fy)は画像の二次元フーリエ変換(FFT)を表し、fx,fyは空間周波数を表す。指数nとして1以上の実数や整数を用いることにより、画質の適切な定量化が可能になる。すなわち、画像に構造情報がないと、fx,fyが0より大きい領域でF(fx,fy)が非常に小さい値になるため、式(11)の計算結果から、画質に適切な構造情報があるか否かの判断が可能である。この定量値Fiが予め決定された所定値以下、或いは未満の場合、アライメント信号演算に適さないという判断によって、警報を発生するようにすると良い。この警報は図5に示すような表示によるものや音によるものであっても良い。
図7は、本発明の第3の実施例を説明するための図であり、像表示装置に表示される自動軸ずれ補正の環境を設定するための設定画面を示す図である。走査電子顕微鏡の操作者はこの画面から自動軸調の環境を設定する。本実施例の場合は、設定画面上で、ポインティングデバイス60によって設定する例について説明する。まず、オペレータはアパーチャアライメントを自動的に実行するか否かを判断し、“視差検出に基づく補正”,“既定
値補正”又は“しない”のいずれかを選択する。“視差検出に基づく補正”は、実施例1
で説明したステップで軸ずれ補正を行うモードである。このモードを選択すれば一次電子線の経時変化によらず長時間安定した軸補正精度を得ることができる。“既定値補正”は
、対物レンズの励磁条件や試料と対物レンズ間の距離(ワーキングディスタンス等の複数の光学条件)毎に発生する軸ずれを図示しないメモリに予め登録しておき、所定の光学条件が設定されたとき、登録された軸調整条件で軸調を行うようにするモードである。このモードは例えば経時的な軸ずれの変化が発生しないような場合や、光学条件を変化させてもほぼ同様の軸ずれが認められる場合に選択すると良い。この設定では既定値に基づいて補正を行うため、軸調整条件の検出,演算時間を必要とせず処理時間の向上が可能である
。“しない”は軸調整を行わないモードであり、軸ずれが起きないような環境で選択する
ことが望ましい。
次に、特に半導体ウェハ上のパターンの幅やコンタクトホールの寸法を測定する走査電子顕微鏡や、半導体ウェハ上の欠陥の存在を検査したり、検出された欠陥をレビューしたりする走査電子顕微鏡のような、多くの試料が連続的に導入され、自動化が特に望まれる装置で、電子線を調整する光学素子(対物レンズや非点補正器)に対する軸調整を行うのに好適な実施例について説明する。
η=−1/(W2−W1) (12)
ステップ2007では予め与えられたフラグによってεを再計算するかどうかを判定する。ここで言うεとは後述するように本実施例において求められるべき装置固有の定数である。再計算する場合はステップ2008〜2010を実行する。しない場合は像移動W3=0とし、予め与えられる値をεに設定した後、ステップ2011を実行する。ステップ2008ではコンピュータ40に記憶したアライナーの初期値A0に対してずらし量ΔA2をずらした条件(上述の条件1,条件2と異なる条件3)をアライナーに設定する。ステップ2009では、ステップ3001〜3006の処理フローにより像移動W3を計算する。
ε=(W3−W2)/(W2−W1) (13)
そしてステップ2011では、像移動W1,η,ε、及び|ΔA1|より、式(14)に従って、アライメント補正値X,Yを計算し、アライナーにアライメント補正値X,Yを設定する。
X+jε・Y=|ΔA1|・η・W1 (14)
ステップ2012では、アライメント補正値(即ち実際の軸ずれ量)の絶対値(X・X+Y・Y)が予め定めたしきい値以上、或いはそれより大きい場合、リトライ処理(ステップ2001〜2012)を行う。リトライ処理は初期の調整が大きく外れている状態で画像を取り込んでずれ検出した場合のずれ校正精度を補うものである。このように複数回補正を繰り返すことで、ずれをより精度良く補正することができる。
WAL′=WAL0′+WAL1′+WAL2′ (16)となる。
ΔW=ΔI・K・(A1+B1・WAL2′) (17)
となる。ここで、ΔI・K・A1で与えられる像移動量は、現在のアライメント設定値の条件で生じる像移動量に対応する。
WAL2′=k・(X+jε・Y) (18)
ここで、kはアライメントコイルXの感度を表す係数であり、εはXに対するYの複素相対感度(εの絶対値が感度比、arg(ε)が直交度ずれ)を表す。式(18)を式(17)に代入して、無意味な係数をひとつにまとめて表現すると、対物レンズ電流を変化したときの像移動量ΔWは、
ΔW=A2+B2・(X+jεY) (19)
と書くことができる。
W1=A2 (21)
W2=A2+B2X1 (22)
これより、式(20)は、
図11は、全自動軸調整の実施例を説明するための図である。本実施例における全自動軸調整とは、予め定められたタイミングでステージ15を駆動し、電子ビーム直下に調整用のパターン16を位置付け、パターン情報から倍率や撮像を設定した後、例えば非点補正用アライナー53のX方向を調節し、その上で非点補正用アライナー53のY方向を調節し、対物レンズ用アライナー51を調節するという一連の動作を含む制御を自動的に行うことである。なお、非点補正用アライナー53と対物レンズ用アライナー51の調整順序は、電子光学系内のレンズの配置によって決定される。図1に示すような電子光学系の場合、対物レンズ用アライナー51による調整を行った後、非点補正用アライナー53で軸調整を行うと、対物レンズに対する光軸が再度ずれてしまう場合があるので、陰極から見てより近くに位置する光学素子から順に調整することが望ましい。逆に陰極から見て対物レンズ,非点補正器の順にレンズが配置されている電子光学系の場合は、対物レンズ用アライナー,非点補正器用アライナーの順で調整することが望ましい。
。そのため手動で軸調整をする場合であっても、ほとんど全ての軸調整を行う場合が殆どである。本発明実施例によれば、(a)焦点調整(オートフォーカス)、(b)非点補正
器に対する軸調整(第1のアライメント偏向器による軸調整)、(c)対物レンズに対す
る軸調整(第2のアライメント偏向器による軸調整)、(d)非点補正、という最も適切
な順番で自動的に光学調整を行うように制御しているため、高精度に且つ高スループットに軸調整を実行できる。
図13は、本発明の第6の実施例を説明するための図であり、自動軸調整実行後の自動非点合わせの概略処理フローである。処理は3つの大きなステップ(第1ステップ:ステップ6001〜6003,第2ステップ:ステップ6004〜6006,第3ステップ:ステップ6007〜6009)に分けられる。第1ステップでは対物レンズの正焦点位置を設定する。第2ステップは非点補正器(X方向)の最適値を設定する。第3ステップは非点補正器(Y方向)の最適値を設定する。
。ステップ6005では、非点補正器(X方向)の制御値の初期値S0から予め定められた幅dSずつ増加させながら画像を取り込む。dSはdS=ΔS/Nで求められ、Nは評価点数である。取り込んだ画像は画像処理装置27に転送し評価値を計算する。評価値は画像全体の信号量(例えば微分画像の総和)を求める。以上の処理をS0からS0+ΔSまで実行する。
Claims (7)
- 荷電粒子源と、
当該荷電粒子源から放出される荷電粒子線を調節する光学素子と、
当該光学素子に対して軸調整を行うアライメント偏向器を備えた荷電粒子線装置において、
前記光学素子の条件を変化させたときに得られる2つの画像のパターンの重心を検出する手段と、
前記アライメント偏向器の条件を少なくとも2つの状態に変化させたときに、それぞれのアライメント偏向条件にて、前記2つの画像のパターンの重心のずれを検出する手段と、
前記少なくとも2つの重心のずれを項に含む演算式に基づいて、前記アライメント偏向器の偏向量を算出する手段を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1において、
前記重心のずれを検出する手段は、少なくとも前記アライメント偏向器の条件を第1の条件としたときの重心のずれ量W1と、前記アライメント偏向器の条件を第2の条件としたときの重心のずれ量W2を検出することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項2において、
前記アライメント偏向器の偏向量を算出する手段は、前記W1とW2から求められる係数ηに基づいて、前記アライメント偏向器の偏向量を算出することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項3において、
前記係数ηは、−1/(W2−W1)の計算に基づいて求められるものであることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項2において、
前記重心のずれを検出する手段は、前記アライメント偏向器の条件を第3の条件としたときの重心のずれ量W3を検出することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項5において、
前記アライメント偏向器の偏向量を算出する手段は、前記W1,W2、及びW3から求められる係数εに基づいて、前記アライメント偏向器の偏向量を算出することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項4又は請求項6において、
前記アライメント偏向器の偏向量を算出する手段は、
X+jε・Y=|ΔA1|・η・W1、
X,Y:アライメント補正値、
ΔA1:アライメント偏向器に供給する信号のずらし量、
を演算することを特徴とする荷電粒子線装置。
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