JP2008112745A - プラズマディスプレイパネルとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保護層の構成を改良することにより、低電圧で駆動するとともに、保護層において電荷保持特性を発揮し、良好な画像表示性能の発揮を期待できるPDPを提供する。さらに放電遅れの発生を防止して、高精細規格においても良好に高速駆動を行うことで高品位な画像表示が期待できるPDPを提供する。
【解決手段】誘電体層7の放電空間側の面に、膜厚約1μmの表面層8と、当該表面層8の表面にMgO微粒子16分散して配設する。表面層8は、CaO、SrO、BaOの内の2種以上の固溶体で構成する。表面層8により、放電時のイオン衝撃から誘電体層7を保護し、放電開始電圧を低減させる。MgO微粒子16により、高い初期電子放出特性を発揮させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルとその製造方法に関し、特に低電圧駆動と電荷抜け防止の両立を図った技術に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと称する)は、気体放電からの放射を利用した平面表示装置である。高速の表示や大型化が容易であり、映像表示装置や広報表示装置などの分野で広く実用化されている。PDPには直流型(DC型)と交流型(AC型)があるが、面放電型AC型PDPが寿命特性や大型化の面で特に高い技術的ポテンシャルを持ち、商品化されている。 図8は、一般的なAC型PDPにおける放電単位である放電セル構造の模式的組図である。当図8に示すPDP1xはフロントパネル2及びバックパネル9を貼り合わせてなる。フロントパネル2は、フロントパネルガラス3の片面に、走査電極5及び維持電極4を一対とする表示電極対6が複数対にわたり配設され、当該表示電極対6を覆うように、誘電体層7および表面層8が順次積層されてなる。走査電極5、維持電極4は、それぞれ透明電極51、41及びバスライン52、42を積層して構成される。
誘電体層7は、ガラス軟化点が550℃〜600℃程度の範囲の低融点ガラスから形成され、AC型PDP特有の電流制限機能を有する。
表面層8は、上記誘電体層7及び表示電極対6をプラズマ放電のイオン衝突より保護すると共に、二次電子を効率よく放出し、放電開始電圧を低下させる役目をなす。通常、当該表面層8は二次電子放出特性、耐スパッタ性、光学透明性に優れる酸化マグネシウム(MgO)を用いて、真空蒸着法や印刷法で成膜される。なお表面層8と同様の構成は、誘電体層7及び表示電極対6を保護する他に、二次電子放出特性の確保を目的とした保護層として設けられることもある。
他方、バックパネル9は、バックパネルガラス10上に画像データを書き込むための複数のデータ(アドレス)電極11が前記フロントパネル2の表示電極対6と直交方向で交差するように併設される。バックパネルガラス10には、データ電極11を覆うように低融点ガラスからなる誘電体層12が配設される。誘電体層12において隣接する放電セル(図示省略)との境界上には、低融点ガラスからなる所定の高さの隔壁(リブ)13が放電空間15を区画するように、井桁状等のパターン部1231、1232を組み合わせて形成される。誘電体層12表面と隔壁13の側面には、R、G、B各色の蛍光体インクが塗布及び焼成されてなる蛍光体層14(蛍光体層14R、14G、14B)が形成されている。
フロントパネル2とバックパネル9は、表示電極対6とデータ電極11とが放電空間15をおいて互いに直交するように配置され、その各周囲で封着される。この際に内部封止された放電空間15には、放電ガスとしてXe-Ne系あるいはXe-He系等の希ガスが約数十kPaの圧力で封入される。以上でPDP1xが構成される。
PDPで画像表示するためには、1フィールドの映像を複数のサブフィールド(S.F.)に分割する階調表現方式(例えばフィールド内時分割表示方式)が用いられる。 ところで、近年の電化製品には低電力駆動が望まれており、PDPについても同様の要求がある。高精細なPDPにおいては、放電セルが微細化されて放電セル数も増大するので、書込放電の確実性を上げるために動作電圧が高くなる問題が生じる。PDPの動作電圧は、上記表面層の二次電子放出係数(γ)に依存する。γは、材料と放電ガスにより決まる値で、材料の仕事関数が小さいほどγが高くなることが知られている。そこで特許文献4には、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)等を保護層の主成分として用いることが記載されている。これによれば、MgO以上に良好な二次電子放出特性を有する高γ膜を形成でき、比較的低電圧でPDPを駆動できるとされている。
特開平8-236028号公報 特開平10-334809号公報 特開2006-54158号公報 特開2002-231129号公報 WO2005/043578
しかしながら保護層に酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)等を用いれば、PDPを比較的低電圧で駆動できる反面、保護層において「電荷抜け」の問題が生じうる。「電荷抜け」とは、PDP駆動時に保護層から過度の電子放出がなされる現象である。CaO、SrO、BaOは一般にMgOに比べて不純物吸着性が高く、当該不純物が吸着されると、保護層のバンド構造において酸素欠損とともに真空準位近傍で不要なエネルギー準位を形成する。これらの浅いエネルギー準位が電荷抜けの問題を誘発する。PDP駆動時に電荷抜けが生じると、サブフィールド中の維持期間において、維持放電に必要な電荷が保持できず、放電不良の原因となる。なお、電荷抜けの問題を解決するためには、放電に必要な電荷を保持するために外部から新たに電荷を供給することも考えられるが、これにより駆動電圧が高くなるのでCaO、SrO、BaOを用いる大きなメリットが失われる。
また、PDPでは「放電遅れ」の問題も存在する。すなわちPDP等のディスプレイ分野では、映像ソースの高精細化が進展しており、高精細画像を正しく表示するために走査電極(走査線)数が増加傾向にある。例えばフルHDTVでは、NTSC方式のTVと比べて走査線の数が2倍以上になる。1フィールドを1/60[s]以内で駆動する必要があるので,高精細映像をPDPで映像表示するためには、サブフィールド中の書込期間において、データ電極へ印加するパルスの幅を狭くする必要がある。しかしPDPの駆動時には、電圧パルスの立ち上がりから放電セル内で放電発生するまでに「放電遅れ」と呼ばれるタイムラグの問題がある。高速駆動のためにパルスの幅が短くなれば、「放電遅れ」の影響が大きくなり、各パルスの幅内で放電終了できる確率が低くなる。その結果、不灯セル(点灯不良)が生じ、画像表示性能が損なわれる。なおMgOを主成分とする保護層については、MgO結晶中にFe、Cr又はSi、Alを添加することで改質を行い、書込放電や維持放電のためのトリガー電子を放出し易くして高速駆動を図る技術がなされている(特許文献1、2)が、同様の対策はCaO、SrO、BaOについては有効と言い難い。
このように現状のPDPでは、両立し難い幾つかの課題が存在し、これについて解決すべき余地が残されている。
本願は以上の各課題に鑑みてなされたものであって、以下の各々を目的とする。
第一の目的として、保護層の構成を改良することにより、PDPを低電圧で駆動するとともに保護層において電荷保持特性を発揮し、良好な画像表示性能の発揮を期待できるプラズマディスプレイパネルを提供する。
第二の目的として、上記PDPの低電圧駆動化と電荷保持特性の発揮についての効果に加え、放電遅れの発生を防止して、高精細なPDPにおいても良好に高速駆動を行うことで高品位な画像表示が期待できるプラズマディスプレイパネルを提供する。
上記目的を達成するために、本発明に係るPDPは、表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、第一基板の放電空間に臨む面には、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、表面層は、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下で形成されたものであり、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも2種以上の固溶体である構成とした。
また本発明は、表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、第一基板の放電空間に臨む面には表面層が配設され、表面層は、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも1種以上を成膜してなり、且つ、真空準位からの深さが2eV以上における電子準位帯のみが存在し、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも2種以上の固溶体である構成とした。
ここで、表面層は、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下で形成することが可能である。
また本発明は、表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、第一基板の放電空間に臨む面には表面層が配設され、表面層は、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも1種以上を成膜してなり、且つ、真空準位からの深さが2eV未満における電子準位帯の存在が排除されたものであり、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも2種以上の固溶体である構成とした。
また本発明は、表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、第一基板の放電空間に臨む面には、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、表面層は、その表面に光エネルギーを照射した場合において、光エネルギーの強度を昇順に変化させたときに2eV以上のエネルギーで光電子放出を開始し、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも2種以上の固溶体である構成とした。
さらに本発明は、表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、第一基板の放電空間に臨む面には、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、表面層の放電空間側の表面にはMgO微粒子が配設されており、表面層は、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下で形成されたものであり、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも2種以上の固溶体である構成とした。
ここで、MgO微粒子は、気相酸化法で作製することができる。或いは、MgO前駆体を700度以上の温度で焼成して得ることができる。
また本発明は、表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、第一基板の放電空間に臨む面には、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、表面層の放電空間側の表面にはMgO微粒子が配設されており、表面層には、真空準位からの深さが2eV以上における電子準位帯のみが存在し、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも2種以上の固溶体である構成とした。
さらに本発明は、表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、第一基板の放電空間に臨む面には、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、表面層の放電空間側の表面にはMgO微粒子が配設されており、表面層は、真空準位からの深さが2eV未満における電子準位帯の存在が排除されたものであり、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも2種以上の固溶体である構成とした。
また、本発明は、表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、第一基板の放電空間に臨む面には、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、表面層の放電空間側の表面にはMgO微粒子が配設されており、表面層は、その表面に対して光エネルギーを照射した場合において、光エネルギーの強度を昇順に変化させたときに2eV以上のエネルギーで光電子放出を開始し、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも2種以上の固溶体である構成とした。
さらに本発明は、表示電極が配設された第一基板に、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層を、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下において形成する表面層形成工程と、第一基板と第二基板とを、放電空間を介して、当該放電空間に表面層が臨む状態で封着する封着工程とを有し、表面層形成工程では、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも2種以上の固溶体で前記表面層を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法とした。
ここで、表面層形成工程では、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法の内の1種以上の方法で表面層を形成することができる。
また本発明は、表示電極が配設された第一基板に、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層を、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下において形成する表面層形成工程と、MgO微粒子を、表面層に配設するMgO微粒子配設工程と、第一基板と第二基板とを放電空間を介して、放電空間に表面層が臨む状態で封着する封着工程とを有し、表面層形成工程では、CaO、BaO、SrOの内の少なくとも2種以上の固溶体で前記表面層を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法とした。
ここで、MgO微粒子配設工程では、気相酸化法で作製したMgO微粒子を用いることもできる。或いは、MgO前駆体を700℃以上の温度で焼成して作成したMgO微粒子を用いることも可能である。
上記の表面層の構成により、PDPを低電圧で駆動するとともに保護層において電荷保持特性を改善することができる。
さらに、上記表面層にMgO微粒子を配設する構成により、上記効果に加え、放電遅れの発生を抑制して高速駆動を実現することができる。
ここで、本発明における表面層とMgO微粒子の組み合わせは、一般的にはPDPにおいて、誘電体層の保護目的で設けられる保護層に相当する構成である。
以下に、本発明の実施の形態及び実施例を説明するが、当然ながら本発明はこれらの形式に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<実施の形態1>
(PDPの構成例)
図1は、本発明の実施の形態1に係るPDP1のxz平面に沿った模式的な断面図であ
る。当該PDP1は保護層周辺の構成を除き、全体的には従来構成(図8)と同様である。
PDP1は、ここでは42インチクラスのNTSC仕様例のAC型としているが、本発明は当然ながらXGAやSXGA等、この他の仕様例に適用してもよい。HD(High Definition)以上の解像度を有する高精細なPDPとしては、例えば、次の規格を例示できる。 パネルサイズが37、42、50インチの各サイズの場合、同順に1024×720(画素数)、1024×768(画素数)、1366×768(画素数)に設定できる。そのほか、当該HDパネルよりもさらに高解像度のパネルを含めることができる。HD以上の解像度を有するパネルとしては、1920×1080(画素数)を備えるフルHDパネルを含めることができる。
図1に示すように、PDP1の構成は互いに主面を対向させて配設されたフロントパネル2およびバックパネル9に大別される。
フロントパネル2の基板となるフロントパネルガラス3には、その一方の主面に所定の放電ギャップ(75μm)をおいて配設された一対の表示電極対6(走査電極5、維持電極4)が複数対にわたり形成されている。各表示電極対6は、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO)等の透明導電性材料からなる帯状の透明電極51、41(厚さ0.1μm、幅150μm)に対して、Ag厚膜(厚み2μm〜10μm)、Al薄膜(厚み0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み0.1μm〜1μm)等からなるバスライン52、42(厚さ7μm、幅95μm)が積層されてなる。このバスライン52、42によって透明電極51、41のシート抵抗が下げられる。
ここで、「厚膜」とは、導電性材料を含むペースト等を塗布した後に焼成して形成する各種厚膜法により形成される膜をいう。また、「薄膜」とは、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子線蒸着法等を含む、真空プロセスを用いた各種薄膜法により形成される膜をいう。
表示電極対6を配設したフロントパネルガラス3には、その主面全体にわたり、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi)または酸化燐(PO)を主成分とする低融点ガラス(厚み35μm)の誘電体層7が、スクリーン印刷法等によって形成されている。
誘電体層7は、AC型PDP特有の電流制限機能を有し、DC型PDPに比べて長寿命化を実現する要素になっている。
誘電体層7の放電空間側の面には、膜厚約1μmの表面層8と、当該表面層8の表面にMgO微粒子16が分散して配設されている。この表面層8及びMgO微粒子16の組み合わせにより、誘電体層7に対する保護層が構成されている。
表面層8は、放電時のイオン衝撃から誘電体層7を保護し、放電開始電圧を低減させる目的で配されるものであって、耐スパッタ性及び二次電子放出係数γに優れる材料からなる。当該材料には、さらに良好な光学透明性、電気絶縁性を備えている。一方、MgO微粒子16は、高い初期電子放出特性を発揮させるために配設されたものである。
これにより保護層では、互いに機能分離された表面層8及びMgO微粒子16が有する特性が相乗的に発揮される。また、表面層8の表面におけるMgO微粒子16の被覆領域において、放電空間15から不純物が付着するのを防止でき、PDP1のライフ特性の向上を図ることができる。表面層8、MgO微粒子16の詳細については、後述する。尚、図1では説明のため、表面層8の表面に配設されているMgO微粒子16を実際よりも大きく、模式的に表している。
バックパネル9の基板となるバックパネルガラス10には、その一方の主面に、Ag厚膜(厚み2μm〜10μm)、Al薄膜(厚み0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み0.1μm〜1μm)等のいずれかからなるデータ電極11が、幅100μmで、x方向を長手方向としてy方向に一定間隔毎(360μm)でストライプ状に並設される。そして、各々のデータ電極11を内包するように、バックパネルガラス9の全面にわたって、厚さ30μmの誘電体層12が配設されている。
誘電体層12の上には、さらに隣接するデータ電極11の間隙に合わせて井桁状の隔壁13(高さ約110μm、幅40μm)が配設され、放電セルが区画されることで誤放電や光学的クロストークの発生を防ぐ役割をしている。
隣接する2つの隔壁13の側面とその間の誘電体層12の面上には、カラー表示のための赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各々に対応する蛍光体層14が形成されている。なお、誘電体層12は必須ではなく、データ電極11を直接蛍光体層14で内包するようにしてもよい。
フロントパネル2とバックパネル9は、データ電極11と表示電極対6の互いの長手方向が直交するように対向配置され、両パネル2、9の外周縁部がガラスフリットで封着されている。この両パネル2、9間にはHe、Xe、Ne等を含む不活性ガス成分からなる
放電ガスが所定圧力で封入される。
隔壁13の間は放電空間15であり、隣り合う一対の表示電極対6と1本のデータ電極11が放電空間15を挟んで交叉する領域が、画像表示にかかる放電セル(「サブピクセル」とも言う)に対応する。放電セルピッチはx方向が675μm、y方向が300μmである。隣り合うRGBの各色に対応する3つの放電セルで1画素(675μm×900μm)が構成される。
走査電極5、維持電極4及びデータ電極11の各々には、図2に示すようにパネル外部において、駆動回路として走査電極ドライバ111、維持電極ドライバ112、データ電極ドライバ113が接続される。
(PDPの駆動例)
上記構成のPDP1は、駆動時には各ドライバ111〜113を含む公知の駆動回路(不図示)によって、各表示電極対6の間隙に数十kHz〜数百kHzのAC電圧が印加される。これにより任意の放電セル内で放電が発生し、励起Xe原子による波長147nm主体の共鳴線と励起Xe分子による波長173nm主体の分子線を含む紫外線(図1の点線及び矢印)が蛍光体層14に照射される。蛍光体層14は励起されて可視光発光する。そして当該可視光はフロントパネル2を透過して前面に発光される。
この駆動方法の一例としては、フィールド内時分割階調表示方式が採られる。当該方式は、表示するフィールドを複数のサブフィールド(S.F.)に分け、各サブフィールドをさらに複数の期間に分ける。1サブフィールドは更に、(1)全放電セルを初期化状態にする初期化期間、(2)各放電セルをアドレスし、各放電セルへ入力データに対応した表示状態を選択・入力していくアドレス(書込)期間、(3)表示状態にある放電セルを表示発光させる維持期間、(4)維持放電により形成された壁電荷を消去する消去期間という4つの期間に分割されてなる。
各サブフィールドでは、初期化期間で画面全体の壁電荷を初期化パルスでリセットした後、書込期間で点灯すべき放電セルのみに壁電荷を蓄積させる書込放電を行い、その後の放電維持期間ですべての放電セルに対して一斉に交流電圧(維持電圧)を印加することによって一定時間放電維持することで発光表示する。
ここで図3は、フィールド中の第m番目のサブフィールドにおける駆動波形例である。図3が示すように、各サブフィールドには、初期化期間、書込期間、放電維持期間、消去期間がそれぞれ割り当てられる。
初期化期間とは、それ以前の放電セルの点灯による影響(蓄積された壁電荷による影響)を防ぐため、画面全体の壁電荷の消去(初期化放電)を行う期間である。図3に示す駆動波形例では、走査電極5にデータ電極11および維持電極4に比べて高い電圧(初期化パルス)を印加し放電セル内の気体を放電させる。それによって発生した電荷はデータ電極11、走査電極5および維持電極4間の電位差を打ち消すように放電セルの壁面に蓄積されるので、走査電極5付近の表面層8及びMgO微粒子16の表面には、負の電荷が壁電荷として蓄積される。またデータ電極11付近の蛍光体層14表面および維持電極4付近の表面層8及びMgO微粒子16の表面には、正の電荷が壁電荷として蓄積される。この壁電荷により、走査電極5-データ電極11間、走査電極5-維持電極4間に所定の値の壁電位が生じる。
書込期間は、サブフィールドに分割された画像信号に基づいて選択された放電セルのアドレッシング(点灯/不点灯の設定)を行う期間である。当該期間では、放電セルを点灯させる場合には走査電極5にデータ電極11および維持電極4に比べ低い電圧(走査パルス)を印加させる。すなわち、走査電極5-データ電極11には前記壁電位と同方向に電圧を印加させると共に走査電極5-維持電極4間に壁電位と同方向にデータパルスを印加させ、書込放電(書込放電))を生じさせる。これにより蛍光体層14表面、維持電極4付近の表面層8及びMgO微粒子16の表面には、負の電荷が蓄積され、走査電極5付近の表面層8及びMgO微粒子16の表面には、正の電荷が壁電荷として蓄積される。以上で維持電極4-走査電極5間には所定の値の壁電位が生じる。
放電維持期間は、階調に応じた輝度を確保するために、書込放電により設定された点灯状態を拡大して放電維持する期間である。ここでは、上記壁電荷が存在する放電セルで、一対の走査電極5および維持電極4の各々に維持放電のための電圧パルス(例えば約200Vの矩形波電圧)を互いに異なる位相で印加する。これにより表示状態が書き込まれた放電セルに対し電圧極性の変化毎にパルス放電を発生せしめる。
この維持放電により、放電空間における励起Xe原子からは147nmの共鳴線が放射され、励起Xe分子からは173nm主体の分子線が放射される。この共鳴線・分子線が蛍光体層14表面に照射され、可視光発光による表示発光がなされる。そして、RGB各色ごとのサブフィールド単位の組み合わせにより、多色・多階調表示がなされる。なお、表面層8に壁電荷が書き込まれていない非放電セルでは、維持放電が発生せず表示状態は黒表示となる。
消去期間では、走査電極5に漸減型の消去パルスを印加し、これによって壁電荷を消去させる。
[表面層8について]
表面層8は、CaO、SrO、BaOの内の少なくとも1種以上を主成分とし、圧力0.025Pa以上の酸素分圧雰囲気下において、スパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法等のいずれかの方法で成膜されたものであり、放電開始電圧を低減するとともに、電荷抜けを改善する効果を発揮するものである。
(放電開始電圧の低減について)
表面層8は、CaO、SrO、BaOの内の少なくとも1種以上を主成分とする。CaO、SrO、BaOに固有の電子準位として存在するエネルギー準位は、MgOと比較して、真空準位からの深さが浅い領域に存在する。従って、PDP1を駆動する場合において、CaO、SrO、BaOに固有の電子準位として存在するエネルギー準位に存在する電子がXeイオンの基底状態に遷移する際に、別の電子のオージェ効果を受けて獲得するエネルギー量は、MgOの場合と比較して大きい。そして、このエネルギー量は、電子が真空準位を超えて放出されるには十分な量である。この結果、表面層8では、その材料がMgOの場合と比較して、良好な二次電子放出特性が発揮される。
具体的には、CaO、SrO、BaOに固有の電子準位として存在するエネルギー準位は、真空準位からの深さが6.05eV以下の領域に存在し、MgOに固有の電子準位として存在するエネルギー準位は、真空準位からの深さが6.05eV超の領域に存在する。
以下、表面層8及び放電空間に封入するガス間におけるエネルギーのやり取りに伴う電子の状態遷移経路の説明を用いて、上記の領域に固有の電子準位が存在する根拠について詳述する。
放電空間内で生じた放電ガスに起因するイオンが表面層8の表面に相互作用が可能なところまで接近すると、表面層8を構成する材料に固有の電子準位に存在する電子が、放電ガスイオンの基底状態に遷移することによって、別の電子がオージェ効果で、放電ガスイオンの基底状態の準位の深さから表面層8を構成する材料に固有の電子準位の深さを引いた分のエネルギーを得て、真空準位までのエネルギーギャップを飛び越えて2次電子を放出する(詳細は特許文献5を参照)。
図4に示すように、Xeイオンは、バンド構造において、真空準位から12.1eVの深さに基底状態のエネルギー準位を有する。従って、表面層8を構成する材料に固有の電子準位が、上記12.1eVの半分である6.05 eVより浅い領域に存在する場合(図4中の(a))、イオン化状態の準位の深さ(12.1eV)から表面層8を構成する材料に固有の電子準位の深さを引いた分のエネルギー(6.05eV超)を得ることによって、真空準位までのエネルギーギャップを飛び越えて電子を放出することができる。逆に、表面層8を構成する材料に固有の電子準位が、上記12.1eVの半分である6.05eVより深い準位に存在する場合(図4中の(b))、基底状態の準位の深さ(12.1eV)から表面層8を構成する材料に固有の電子準位の深さを引いた分のエネルギー(6.05eV未満)を得たとしても、真空準位までのエネルギーギャップを飛び越えることができず、電子を放出することができない。
一方、発明者の別の実験により、放電ガスにXeを用いた場合の放電開始電圧は、MgOを主成分とする保護層は、CaO、BaO、SrOを主成分とする本実施の形態1における表面層8と比べて、高くなることが確認された。この傾向は、放電ガス中のXe分圧に比例して、より顕著に見られた。
以上より、CaO、SrO、BaOに固有の電子準位として存在するエネルギー準位は、6.05eV以内の領域に存在し、MgOに固有の電子準位として存在するエネルギー準位は、真空準位からの深さが6.05eV超の領域に存在するものと考察できる。
なお、一般的に、各材料固有のバンドギャップと電子親和力の和は、MgOは約8.8eV、CaOは約8.0eV、SrOは約6.9eV、BaOは約5.2eVとされている。これは、表面層8におけるバルク部分の観測値である。一方、本発明においては、MgOのバンドギャップと電子親和力の和は6.05eVよりも大きく、CaO、BaO、SrOのバンドギャップと電子親和力の和は6.05eV以下と考察され、上記の値よりも2eVの低下が見られた。これは、本実施の形態1におけるバンドギャップと電子親和力の和は、表面層8のうち、実際に放電に影響する表面部分の観測値であるからである。表面層8におけるバルクのバンドギャップよりも表面近傍のバンドギャップが小さくなるのは、表面部分では、内部の状態と異なり、表面側にさらされている原子は結合が切れている状態にあるためと考えられる。
なお、”表面部分”とは、表面層8の最表面からおよそ数十原子層程度までの深さを指す。
(電荷抜けの改善について)
表面層8は、CaO、SrO、BaOのいずれか1種以上を0.025Pa以上の酸素分圧雰囲気下で成膜することにより、不純物の混入や酸素欠損の少ない結晶構造で形成されている。このため真空準位近傍における不要なエネルギー準位が排除され、真空準位からの深さが2eV以上の電子準位帯のみが存在する構成となっている。すなわち、本実施の形態1における表面層8では、真空準位からの深さが2eV未満の電子準位帯の存在が排除されている。これにより、真空準位に近接する不要なエネルギー準位から、PDPの駆動時に電子が過剰放出されるのが抑制され、前記低電圧駆動と二次電子放出特性の両立効果に加えて、適度な電子保持特性の効果も発揮される。この電荷保持特性は、特に初期化期間に貯めた壁電荷を保持しておき、書込期間において書込不良を防止して確実な書込放電を行う上で有効である。
具体的には、真空準位近傍における不要なエネルギー準位とは、エネルギーバンドにおいて真空準位からの深さが2eV未満に存在するエネルギー準位である。
以下、アルカリ土類金属酸化物からなる保護層におけるカソードルミネッセンス測定を行なった結果を用いて、上記の根拠を詳述する。
図5にアルカリ土類金属酸化物からなる保護層(サンプルA、サンプルB)のカソードルミネッセンス測定を行った結果を示す。照射電子線のエネルギーは3kVで測定波長領域は200〜900nmである。横軸は検出された波長をエネルギーに変換した値である。サンプルA、サンプルBともに、3eV付近に強い発光スペクトルが存在する。また、サンプルAにおいては、1〜2eV付近には発光スペクトルがほとんど見られず、サンプルBにおいては、1〜2eV付近に強い発光スペクトルが見られた。
一方、発明者の別の実験により、サンプルAの保護層を用いたPDPにおいては、通常設定駆動電圧において電荷抜けによる不灯セルが存在せず、電荷抜けが起こりにくい性質を有することが確認された。また、サンプルBの保護層を用いたPDPにおいては、通常設定駆動電圧において電荷抜けによる不灯セルが存在し、電荷抜けが起こり易い性質を有することが確認された。以上より、PDPの駆動時に過剰放出される電子は、エネルギーバンドにおいて真空準位からの深さが2eV未満に存在するエネルギー準位を占有する電子であることが考察できる。
(確認方法)
本実施の形態1における表面層8は、エネルギーバンドにおいて真空準位からの深さが2eV未満に存在するエネルギー準位が排除されていることは、CaO、BaO、SrOを主成分とする表面層8に光照射した際に、表面層8から放出される電子の量を測定した結果によって確認される。照射される光が有するエネルギー分だけ、電子準位帯に存在する電子がエネルギーを獲得し、真空準位までのエネルギーギャップを越えるだけのエネルギーを獲得したときに始めて電子放出(光電子放出)が開始されるからである。つまり、2eV未満に存在するエネルギー準位が排除されている表面層8においては、表面層8に照射する光のエネルギーを昇順に変化させたとき、2eV以上のエネルギーで電子の放出を開始すると思われる。
一方、0.01Pa程度の酸素雰囲気下でCaO、SrO、BaOを用いて成膜された
保護層(例えば特許文献4)は、2eV未満のエネルギーの準位に酸素欠損に起因する準位が多数形成されているので、2eV未満のエネルギーによっても、電子放出を開始すると考察することができる。すなわち、CaO、SrO、BaOに固有の電子準位として存在するエネルギー準位が、表面層8の表面部分において6.05eV以内の領域に存在し、かつ、表面層8において2eV未満のエネルギーの準位に酸素欠損等に起因する不要なエネルギー準位が存在しない構成とすることによって,放電開始電圧の低減と電荷抜けの改善を両立することができる。ここで、光とは、X線、紫外線、赤外線等の広範囲な光を指すものとする。
なお、本実施の形態1における表面層8は、真空準位からの深さが2eV以上の電子準位帯のみが存在する、もしくは、真空準位からの深さが2eV未満の電子準位帯が存在する構成を除くものとしたが、本発明の効果が奏する程度の量であれば、2eV未満に多少の電子準位帯が存在していても構わない。
さらに本実施の形態1においては、表面層8にCaO、SrO、BaOのうちの1種類以上を主成分とする構成としたが、このうちCaOは、比較的不純物の吸着性が低く、高純度の結晶構造を得る上で好適である。また、表面層8をCaO、SrO、BaOの固溶体として構成すると、当該層において不純物の吸着を抑制する効果もあり、複数の理由で単体材料から当該層を構成するより好適であることが分かっている。
なお上記のように、0.01Pa程度の酸素雰囲気下でCaO、SrO、BaOを用いて成膜された層(例えば特許文献4に記載の保護層)は、酸素欠損の多い結晶構造で形成されているので、真空準位に近接する不要なエネルギー準位から、PDPの駆動時に電子が過剰放出されてしまう。この場合、壁電荷の保持を補うために駆動電圧を上げる対策が存在するが、本発明ではこのような対策は不要であり、低電圧駆動によって消費電力の低減が図れる。さらに高い駆動電圧に対応した駆動回路の耐圧対策も不要となり、製造コストの低減の面でも大きなメリットが奏される。
また従来では、保護層に不純物をドープしたり、酸素欠損部分を設けて、真空準位から4eV以内の深さにエネルギー準位を設ける技術が存在する(詳細は特許文献5を参照)が、このような構成はPDPのライフ特性において本願発明に及ばないものである。すなわち保護層における不純物や酸素欠損等、本来の保護層の主成分に固有でないエネルギー準位は、PDPの経時的な使用により、保護層の結晶構造が変化することで次第に失われる。これに対しPDP1では、表面層8の主成分における固有のエネルギー準位を設けており、長期にわたり、安定した二次電子放出特性が発揮される高度なメリットがある。
[MgO微粒子16について]
MgO微粒子16は、本願発明者の実験により、主として書込放電における『放電遅れ』を抑制する効果と、「放電遅れ」の温度依存性を改善する効果が確認されている。そこで本実施の形態1ではMgO微粒子16が表面層8に比べて高度な初期電子放出特性に優れる性質を利用して、駆動時の初期電子放出部として配設したものである。
「放電遅れ」は、放電開始時において、トリガーとなる初期電子が表面層8表面から放電空間15中に放出される量が不足することが主原因と考えられる。そこで、放電空間15に対する電子放出性に有効に寄与するため、MgO微粒子16を表面層8の表面に分散配置し、広く表面積を確保したものである。これによって、駆動初期にMgO微粒子16中の電子が豊富に放出され、放電遅れの解消が図られる。従って、このような初期電子放出特性により、PDP1が高精細の場合等においても放電応答性の良い高速駆動ができるようになっている。なお表面層8の表面にMgO微粒子16群を配設する構成では、主として書込放電における「放電遅れ」を抑制する効果に加え、「放電遅れ」の温度依存性を改善する効果も得られる。
以上のようにPDP1では、表面層8において低電圧駆動と電荷保持の両立効果を奏する表面層8と、放電遅れの防止効果を奏するMgO微粒子16を組み合わせることによって、PDP1全体として、高精細なPDPでも高速駆動を低電圧で駆動でき、且つ、不灯セルの発生を抑制した高品位な画像表示性能が期待できる。
さらに、MgO微粒子16は、表面層8の表面に積層して設けられることにより、当該表面層8に対する一定の保護効果も有する。すなわち、表面層8は高い二次電子放出係数を有し、PDPの低電圧駆動を可能にする反面、水や二酸化炭素、炭化水素などの不純物の吸着性が比較的高い性質がある。不純物の吸着が起きると、二次電子放出特性等、放電の初期特性が損なわれる。そこで、このような表面層8をMgO微粒子16で被覆すれば、その被覆領域において、放電空間15から表面層8の表面に不純物が付着するのを防止できる。これによりPDP1のライフ特性の向上を図ることができる。
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2について、実施の形態1との差異を中心に説明する。図6は、実施の形態2に係るPDPの構成を示す断面図である。
実施の形態1では、表面層8にMgO微粒子16を分散配置して保護層を構成した。しかし、パネル規格がフルHD(縦900ライン以上)のシングルスキャン駆動ではなく、ダブルスキャン駆動である場合や、一般的なHD(縦800ライン以下)やVGA規格等の場合には、PDPにおいて高速駆動を行うことはそれほど要求されない。この場合、MgO微粒子16を配設してPDPを高速駆動する場合の放電遅れの防止する必要性は低いと言える。
実施の形態2に係るPDP1aは、このような場合に適用可能な構成である。具体的には図6に示すように、保護層を表面層8aのみで構成する。すなわち、表面層8aはBaO、CaO、SrOの少なくともいずれか1種以上を酸素雰囲気下で成膜してなる。
以上の表面層8aを持つ実施の形態2のPDP1aによれば、駆動時には酸素雰囲気下で処理して成膜されたBaO、CaO、SrOの少なくともいずれか1種以上を主成分とする表面層8aによって、良好な二次電子放出特性が発揮される。その結果、PDP1aでは実施の形態1と同様に低電圧駆動が可能となる。さらに表面層8aは、0.025Pa以上の酸素分圧雰囲気下で成膜されることで高純度に形成され、2eV未満の不要なエネルギー準位の発生が抑制されている。その結果、当該不要なエネルギー準位からの過度な電子放出が防止され、電荷抜けの問題が抑制されるこれにより実施の形態2では、低電圧駆動のもとに、不灯セルの発生を防いで優れた画像表示性能が発揮できるようになっている。
<PDPの製造方法>
次に、上記各実施の形態におけるPDP1及び1aの製造方法例について説明する。PDP1と1aとの違いは、実質的にはMgO微粒子16の配設の有無のみであり、その他の製造工程については共通する。
(バックパネルの作製)
厚さ約2.6mmのソーダライムガラスからなるバックパネルガラス10の表面上に、スクリーン印刷法によりAgを主成分とする導電体材料を一定間隔でストライプ状に塗布し、厚さ数μm(例えば約5μm)のデータ電極を形成する。データ電極11の電極材料としては、Ag、Al、Ni、Pt、Cr、Cu、Pd等の金属や、各種金属の炭化物や窒化物等の導電性セラミックスなどの材料やこれらの組み合わせ、あるいはそれらを積層して形成される積層電極も必要に応じて使用できる。
ここで、作製予定のPDP1を40インチクラスのNTSC規格もしくはVGA規格とするためには、隣り合う2つのデータ電極11の間隔を0.4mm程度以下に設定する。
続いて、データ電極を形成したバックパネルガラス10の面全体にわたって鉛系あるいは非鉛系の低融点ガラスやSiO材料からなるガラスペーストを厚さ約20〜30μmで塗布して焼成し、誘電体層を形成する。
次に、誘電体層12面上に所定のパターンで隔壁13を形成する。低融点ガラス材料ペーストを塗布し、サンドブラスト法やフォトリソグラフィ法を用い、隣接放電セル(図示省略)との境界周囲を仕切るように、放電セルの複数個の配列を行および列を仕切る井桁形状のパターンで形成する。
隔壁13が形成できたら、隔壁13の壁面と、隔壁13間で露出している誘電体層12の表面に、AC型PDPで通常使用される赤色(R)蛍光体、緑色(G)蛍光体、青色(B)蛍光体のいずれかを含む蛍光インクを塗布する。これを乾燥・焼成し、それぞれ蛍光体層14とする。
適用可能なRGB各色蛍光の化学組成例は以下の通りである。
赤色蛍光体;(Y、Gd)BO:Eu
緑色蛍光体;ZnSiO:Mn
青色蛍光体;BaMgAl1017:Eu
各蛍光体材料は、平均粒径2.0μmのものが好適である。これをサーバー内に50質量%の割合で入れ、エチルセルローズ1.0質量%、溶剤(α-ターピネオール)49質量%を投入し、サンドミルで撹拌混合して、15×10-3Pa・sの蛍光体インクを作製する。そして、これをポンプにて径60μmのノズルから隔壁13間に噴射させて塗布する。このとき、パネルを隔壁13の長手方向に移動させ、ストライプ状に蛍光体インクを塗布する。その後は500℃で10分間焼成し、蛍光体層14を形成する。
以上でバックパネル9が完成される。
なお上記方法例ではフロントパネルガラス3およびバックパネルガラス10をソーダライムガラスからなるものとしたが、これは材料の一例として挙げたものであって、これ以外の材料で構成してもよい。
(フロントパネル2の作製)
厚さ約2.6mmのソーダライムガラスからなるフロントパネルガラスの面上に、表示電極6を作製する。ここでは印刷法によって表示電極6を形成する例を示すが、これ以外にもダイコート法、ブレードコート法等で形成することができる。
まず、ITO、SnO、ZnO等の透明電極材料を最終厚み約100nmで、ストライプ等所定のパターンでフロントパネルガラス上に塗布し、乾燥させる。これにより透明電極41、51が作製される。
一方、Ag粉末と有機ビヒクルに感光性樹脂(光分解性樹脂)を混合してなる感光性ペーストを調整し、これを前記透明電極材料の上に重ねて塗布し、形成する表示電極6のパターンを有するマスクで覆う。そして、当該マスク上から露光し、現像工程を経て、590〜600℃程度の焼成温度で焼成する。これにより透明電極41、51上に最終厚みが数μmのバスライン42、52が形成される。このフォトマスク法によれば、従来は100μmの線幅が限界とされていたスクリーン印刷法に比べ、30μm程度の線幅までバスライン42、52を細線化することが可能である。バスライン42、52の金属材料としては、Agの他にPt、Au、Al、Ni、Cr、また酸化錫、酸化インジウム等を用いることができる。バスライン42、52は上記方法以外にも、蒸着法、スパッタリング法などで電極材料を成膜したのち、エッチング処理して形成することも可能である。
次に、表示電極6の上から、軟化点が550℃〜600℃の鉛系あるいは非鉛系の低融点ガラスやSiO2材料粉末とブチルカルビトールアセテート等からなる有機バインダーを混合したペーストを塗布する。そして550℃〜650℃程度で焼成し、最終厚みが膜厚数μm〜数十μmの誘電体層7を形成する。
(表面層8または8aの成膜)
実施の形態1における表面層8及び実施の形態2における表面層8aは、以下の形成工程で形成できる。
誘電体層7の表面に対し、少なくともCaO、SrO、BaOから選択される1種類を成膜材料に用い、酸素雰囲気下で成膜する。そのほか、上記の酸化物同士を固溶させた固溶体としても成膜できる。
成膜方法は、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法が適用できる。成膜時における雰囲気では、酸素が0.025Pa以上の圧力になるように設定する。なお当該圧力の実際上の上限は、成膜レートによって決定される。一例として、スパッタリング法では1Pa、蒸着法の一例であるEB蒸着法では0.1Paが実際上取り得る圧力の上限と考えられる。
また、成膜時の雰囲気は、表面層8(表面層8a)の成膜中に、水分付着や不純物の吸着を防止するため、外部と遮断された密閉状態とし、且つ、ドライガスを利用した乾燥雰囲気とする。ドライガスとしては、露点-20℃以下、望ましくは-40℃以下とする(詳細は特許文献4を参照)。
このような成膜時の雰囲気の調整により、不純物や酸素欠陥に起因する不要な電子準位の形成が抑制され、真空準位からの深さ2eV以上の電子準位帯のみが存在する表面層8となっている。
次に、実施の形態1におけるPDP1を作製する場合には、MgO微粒子16を用意する必要がある。MgO微粒子16は、粉体材料として用意すべく、以下に示す気相合成法または前駆体焼成法のいずれかで製造することができる。
[気相合成法]
マグネシウム金属材料(純度99.9%)を、不活性ガスが満たされた雰囲気下で加熱する。この加熱状態を維持しつつ、雰囲気に酸素を少量導入し、マグネシウムを直接酸化させて、MgO微粒子16を作製する。
[前駆体焼成法]
当該方法では、以下に例示するMgO前駆体を高温(例えば700℃以上)で均一に焼成し、これを徐冷してMgO微粒子を得る。MgO前駆体としては、例えばマグネシウムアルコキシド(Mg(OR))、マグネシウムアセチルアセトン(Mg(acac))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム(MgCl)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硝酸マグネシウム(Mg(NO))、シュウ酸マグネシウム(MgC)、の内のいずれか一種以上(2種以上を混合して用いてもよい)を選ぶことができる。なお選択した化合物によっては、通常、水和物の形態を取ることもあるが、このような水和物を用いてもよい。
MgO前駆体となるマグネシウム化合物は、焼成後に得られるMgOの純度が99.95%以上、最適値として99.98%以上になるように調整する。これはマグネシウム化合物に、各種アルカリ金属、B、Si、Fe、Al等の不純物元素が一定量以上混じっていると、熱処理時に不要な粒子間癒着や焼結を生じ、高結晶性のMgO微粒子を得にくいためである。このため、不純物元素を除去する等により予め前駆体を調整する。
上記何れかの方法で得られたMgO微粒子16を、溶媒に分散させる。そして当該分散液をスプレー法やスクリーン印刷法、静電塗布法に基づき、表面層8の表面に分散散布させる(MgO微粒子配設工程)。その後は乾燥・焼成工程を経て溶媒除去を図り、MgO微粒子16を表面層8の表面に定着させる。
(PDPの完成)
作製したフロントパネル2とバックパネル9を、封着用ガラスを用いて貼り合わせる。その後、放電空間15の内部を高真空(1.0×10-4Pa)程度に排気し、これに所定の圧力(ここでは66.5kPa〜101kPa)でNe-Xe系やHe-Ne-Xe系、Ne-Xe-Ar系等の放電ガスを封入する。
以上の工程を経ることにより、PDP1又は1aが完成する。
<性能評価実験>
[実験1]
BaOからなる保護層(実施の形態2の表面層8aに対応)をスパッタリング法で成膜し、その成膜時の成膜雰囲気中の酸素分圧と電荷抜け電圧の関係を調べた。図7にその結果(成膜時の酸素分圧と電荷抜け電圧との関係)を示す。電荷抜け電圧の値は、成膜雰囲気に酸素が無添加の場合の値を1とし、その相対値をプロットしている。
実験結果は図7に示すように、成膜雰囲気中の酸素分圧が上昇するに従い、電荷抜け電圧値が減少することが確認できた。これは成膜雰囲気に添加された酸素により、保護層の禁制帯内において、酸素欠損に起因する浅い電子準位の形成が抑えられた結果、保護層からの過度の電子放出が押さえられ、一定の電荷保持特性が確保されたためであると考えられる。
一方、電荷抜け電圧の相対値が0.5より大きくなると、駆動の際に必要な設定電圧下では不灯セルが生じ始める。
以上の実験の結果から、成膜雰囲気における好適な酸素分圧は0.025Pa以上であることが分かった。なお、本願発明者らの別の実験により、成膜方法をEB蒸着法、イオンプレーティング法として作製した膜においても、図7とほぼ同様の結果が得られた。また保護層の材料にCaO又はSrOを用いた場合でも、図7とほぼ同様の結果が得られることが分かった。
ここで従来の成膜法として、0.01Pa程度の酸素雰囲気下でCaO、SrO、BaOを用いて保護層の成膜を行う技術が存在する(例えば特許文献4)。しかしながら、このような酸素分圧値では、本発明の表面層は得られないことが図7の内容から分かる。すなわち、成膜雰囲気における酸素分圧が0.01Pa程度では、電荷の抜け電圧は1.0に近い値となり、成膜雰囲気に酸素を添加しない場合とほとんど変わらない電圧値となる。
従って、PDPにおいて電荷抜けの問題を効果的に防止するためには、前述の如く、酸素分圧を少なくとも0.025Pa以上とすべきである。
さらには、酸素分圧を0.2Pa以上とすることで、より顕著な改善効果を得ることが可能である。
[実験2]
次に、以下のサンプル1〜11のPDPを用意した。ここで、サンプル7及び8(実施例1及び2)は実施の形態2の構成に相当し、サンプル10及び11(実施例4及び5)は実施の形態1の構成に相当する。
サンプル1(比較例1):最も基本的なPDPの従来構成として、MgOからなる表面層とした。
サンプル2(比較例2):AlがドープされたMgOからなる表面層とした。
サンプル3(比較例3):MgOからなる表面層の上に、MgO前駆体を焼成して得たMgO微粒子を印刷法にて分散させた構成とした。
サンプル4(比較例4):AlがドープされたMgOからなる表面層の上に、MgO前駆体を焼成して得たMgO微粒子を印刷法にて分散させた積層体とした。
サンプル5(比較例5):酸素分圧0Pa(酸素無し)下で成膜されたBaOからなる表面層とした。
サンプル6(比較例6):酸素分圧0Pa(酸素無し)下で成膜されたBaOからなる表面層の上に、気相法で作製したMgO微粒子をスプレー法にて分散させた構成とした。
サンプル7(実施例1):酸素分圧0.2Pa下で成膜されたBaOからなる表面層とした。
サンプル8(実施例2):酸素分圧0.05Pa下で成膜されたSrOからなる表面層とした。
サンプル9(実施例3):酸素分圧0.05Pa下で成膜されたCaOからなる表面層とした。
サンプル10(実施例4):酸素分圧0.2Pa下で成膜されたBaOからなる表面層の上に、気相法で作製したMgO微粒子をスプレー法にて分散させた構成とした。
サンプル11(実施例5):酸素分圧0.05Pa下で成膜されたCaOからなる表面層の上に、MgO前駆体を焼成して作製したMgO微粒子をスプレー法にて分散させた構成とした。
(放電開始電圧の測定)
上記用意した各サンプル1〜11のPDPに対し、放電ガスとしてXe分圧が15%のXe-Ne混合ガス又はXeガスを中100%用いた場合における放電開始電圧の値を測定した。
(放電遅れ時間及び電荷抜けの測定)
放電ガスとして、Xe分圧が15%のNe-Xe混合ガスを用いた場合において、書込放電における放電遅れ、および、電荷抜けを評価した。評価方法としては、各サンプル1〜11のPDPにおける任意の1放電セルに、図3に示す駆動波形例の初期化パルスに相当するパルスを印加し、その後に、データパルス及び走査パルスを印加したときに生じる放電の統計遅れを測定した。
また、初期化パルスに相当するパルスを印加した後に壁電荷を保持するために必要な印加電圧を測定し、それを電荷抜けの電圧として測定した。
いずれの測定においてもパネル温度は25℃とした。
表1に上記の条件で行った各実験の結果を示す。
Figure 2008112745

(実験結果)
表1の結果から、実施の形態1の構成に相当するサンプル10及び11(実施例4及び5)は、サンプル1〜6(比較例1〜6)に比べ、放電開始電圧の低減効果、放電遅れ時間の低減効果、電荷抜け電圧低減効果の各特性をいずれもバランス良く発揮しており、PDPの保護層として特に優れた性能を有することが分かった。サンプル10及び11(実施例4及び5)は、放電ガスがXe100%の場合の放電開始電圧が350V以下と低く、電荷抜け電圧の低減に関しても良好であることに加えて、優れた放電遅れの抑制効果が備わっている。
このような各効果の高度なバランスが取れている理由は、表面層として所定の酸化雰囲気で成膜された高γ膜が、低電圧駆動と電荷保持の役割を担い、MgO微粒子群が書込放電時に必要な初期電子を放出する役割(初期電子放出特性の確保)を担うなど、機能分離された各膜の特性が相乗的に発揮されたことが考えられる。
なお、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下で成膜されたSrOからなる保護
層の上に、気相合成法もしくは、前駆体焼成法によって作製されたMgO微粒子をスプレー法にて分散させた構成とした場合でも、サンプル10及び11(実施例4及び5)と同様の特性を得ることができる。
一方、実施の形態2で述べたように、放電遅れ時間に関する特性がそれほど求められない場合には、サンプル7〜9(実施例1〜3)についても、放電開始電圧の低減効果と電荷抜け電圧の低減が高度に両立して発揮されており、比較例に対する明確な優位性を持っていると言える。これらサンプル7〜9(実施例1〜3)では、放電開始電圧がXe100%の放電ガスを用いた場合でも350V以下と低く、良好な電荷抜け電圧の低減効果を有している。従って、この2点においてサンプル10、11と遜色のない優れた特性を有する。
なお、本願発明者らの行った別の実験では、サンプル5、7〜9(比較例5、実施例1〜3)のような高γ膜では、放電開始電圧が放電時間、放置時間と共に上昇していくのに対し、サンプル6、10、11(比較例6、実施例4、5)のPDPでは、放電開始電圧の上昇が抑えられる結果も同時に得られた。
なお、サンプル1〜4(比較例1〜4)では、放電開始電圧がXe100%の放電ガスを用いた場合には400V以上であるため、低電圧駆動できないことが分かった。またサンプル5及び6(比較例5及び6)では、Xe100%の放電ガスを用いた場合の放電開始電圧は240V以下で良好であるが、電荷保持の効果は得られないため、十分な電荷抜け電圧の低減効果が得られない。従って、これらについても低電圧駆動は不向きであることが分かった。
以上の各実験の結果から、本願発明の優位性が確認された。
本発明のPDPは、特に高精細画像表示を低電圧で駆動できるがガス放電パネル技術として、交通機関及び公共施設、家庭などにおけるテレビジョン装置及びコンピューター用の表示装置等に利用することが可能である。
本発明の実施の形態1に係るPDPの構成を示す断面図である。 各電極とドライバとの関係を示す模式図である。 PDPの駆動波形例を示す図である。 本実施の形態1のPDPの表面層及び従来のPDPの保護層の各エネルギー準位を説明するための図である。 カソードルミネッセンス測定におけるアルカリ土類金属酸化物からなる保護層の特性を示す図である。 本発明の実施の形態2に係るPDPの構成を示す断面図である。 成膜時の酸素分圧と電荷抜け電圧との関係を示すグラフである。 従来の一般的なPDPの構成を示す組図である。
符号の説明
1、1x PDP
2 フロントパネル
3 フロントパネルガラス
4 維持電極
5 走査電極
6 表示電極対
7、12 誘電体層
8、8a 表面層(高γ膜)
9 バックパネル
10 バックパネルガラス
11 データ(アドレス)電極
13 隔壁
14、14R、14G、14B 蛍光体層
15 放電空間
16 MgO微粒子

Claims (18)

  1. 表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、
    第一基板の放電空間に臨む面には、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、
    表面層は、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下で形成されたものであり、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも2種以上の固溶体である
    プラズマディスプレイパネル。
  2. 表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、
    第一基板の放電空間に臨む面には表面層が配設され、
    表面層は、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも1種以上を成膜してなり、且つ、真空準位からの深さが2eV以上における電子準位帯のみが存在し、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも2種以上の固溶体である
    プラズマディスプレイパネル。
  3. 表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、
    第一基板の放電空間に臨む面には表面層が配設され、
    表面層は、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも1種以上を成膜してなり、且つ、真空準位からの深さが2eV未満における電子準位帯の存在が排除されたものであり、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも2種以上の固溶体である
    プラズマディスプレイパネル。
  4. 表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、
    第一基板の放電空間に臨む面には、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、
    表面層は、その表面に光エネルギーを照射した場合において、光エネルギーの強度を昇順に変化させたときに2eV以上のエネルギーで光電子放出を開始し、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも2種以上の固溶体である
    プラズマディスプレイパネル。
  5. 表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、
    第一基板の放電空間に臨む面には、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、
    表面層の放電空間側の表面には酸化マグネシウム微粒子が配設されており、
    表面層は、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下で形成されたものであり、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも2種以上の固溶体である
    プラズマディスプレイパネル。
  6. 表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、
    第一基板の放電空間に臨む面には、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、
    表面層の放電空間側の表面には酸化マグネシウム微粒子が配設されており、
    表面層には、真空準位からの深さが2eV以上における電子準位帯のみが存在し、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも2種以上の固溶体である
    プラズマディスプレイパネル。
  7. 表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、
    第一基板の放電空間に臨む面には、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、
    表面層の放電空間側の表面には酸化マグネシウム微粒子が配設されており、
    表面層は、真空準位からの深さが2eV未満における電子準位帯の存在が排除されたものであり、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも2種以上の固溶体である
    プラズマディスプレイパネル。
  8. 表示電極が配設された第一基板が、放電ガスが満たされている放電空間を介して、第二基板と対向した状態で封着されたプラズマディスプレイパネルであって、
    第一基板の放電空間に臨む面には、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層が配設され、
    表面層の放電空間側の表面には酸化マグネシウム微粒子が配設されており、
    表面層は、その表面に対して光エネルギーを照射した場合において、光エネルギーの強度を昇順に変化させたときに2eV以上のエネルギーで光電子放出を開始し、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも2種以上の固溶体である
    プラズマディスプレイパネル。
  9. 酸化マグネシウム微粒子は、気相酸化法で作製されたものである
    請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
  10. 酸化マグネシウム微粒子は、酸化マグネシウム前駆体を700度以上の温度で焼成されてなる
    請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
  11. 表面層は、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下で形成されたものである
    請求項2または請求項4に記載のプラズマディスプレイパネル。
  12. 表面層は、酸素分圧が0.2Pa以上の酸素雰囲気下で形成されたものである
    請求項1〜11のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
  13. 表示電極が配設された第一基板に、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層を、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下において形成する表面層形成工程と、
    第一基板と第二基板とを、放電空間を介して、当該放電空間に表面層が臨む状態で封着する封着工程とを有し、
    表面層形成工程では、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも2種以上の固溶体で前記表面層を形成する
    プラズマディスプレイパネルの製造方法。
  14. 表示電極が配設された第一基板に、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも1種以上を成膜してなる表面層を、酸素分圧が0.025Pa以上の酸素雰囲気下において形成する表面層形成工程と、
    酸化マグネシウム微粒子を、表面層に配設する酸化マグネシウム微粒子配設工程と、
    第一基板と第二基板とを放電空間を介して、放電空間に表面層が臨む状態で封着する封着工程とを有し、
    表面層形成工程では、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ストロンチウムの内の少なくとも2種以上の固溶体で前記表面層を形成する
    プラズマディスプレイパネルの製造方法。
  15. 酸化マグネシウム微粒子配設工程では、気相酸化法で作製した酸化マグネシウム微粒子を用いる
    請求項14に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  16. 酸化マグネシウム微粒子配設工程では、酸化マグネシウム前駆体を700度以上の温度で焼成して作成した酸化マグネシウム微粒子を用いる
    請求項14に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  17. 表面層形成工程では、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法の内の1種以上の方法で表面層を形成する
    請求項13または請求項14に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  18. 表面層を、酸素分圧が0.2Pa以上の酸素雰囲気下で形成する
    請求項13〜17のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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