JP2008111256A - 杭頭部の接合構造及び施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】杭頭部2Aの接合構造1は、杭頭部2Aの周囲を取り囲む外鋼管部9及び外鋼管部9の下端9aに固着されて杭頭部2Aを挿通可能に形成した水平ダイアフラム10からなり、杭頭部2Aの外周面に配置されてなる拡径部材3と、拡径部材3の上端部3aに載置される受け筋4と、杭頭部2Aと拡径部材3との間に上下方向に向けて配置される複数のアンカー筋6、6、…及びアンカー筋6、6同士を連結させてなるフープ筋7から形成された鉄筋かご体5と、杭頭部2Aと拡径部材3との間に充填されてなる硬化材8とを備えている。受け筋4にフープ筋7を載置することで、鉄筋かご体5を杭頭部2Aの所定位置に配置させた。
【選択図】図1
Description
特許文献1では、杭頭部と外鋼管部との間の上下端面を閉塞する上ダイアフラムと下ダイアフラムとが設けられ、外鋼管部に複数のアンカー筋の一端を溶接し、その他端側を基礎コンクリートに埋設するようにした杭頭部の接合構造である。
特許文献1では、例えば工場などで予めアンカー筋を外鋼管部に溶接して固着する場合には、アンカー筋を取り付けた状態で拡径部材を搬送することになる。そのため、拡径部材から突出したアンカー筋が変形などしないように重ねたり、傾けた状態でトラックに載せることができず、効率よく運搬できないという欠点があった。
また、拡径部材の取付け位置を変更できないため、杭が高止まりした場合に基礎の配筋の妨げになるという問題があった。
また、本発明に係る杭頭部の施工方法では、杭を構造物の基礎に接合する杭頭部の施工方法であって、杭頭部と、杭頭部の周囲を取り囲む外鋼管部、及び外鋼管部の下端に固着されて杭頭部を挿通可能に形成した水平ダイアフラムからなる拡径部材との間に上下方向に向けて配置される複数のアンカー筋、及び複数のアンカー筋同士を連結させてなる横連結部材から形成された鉄筋かご体を製作する工程と、鉄筋かご体を拡径部材に設置する工程と、拡径部材の上端部に受け筋を載置する工程と、受け筋を拡径部材の上端部に固定手段により固定する工程と、拡径部材を杭頭部の外周面に配置する工程と、杭頭部と拡径部材との間に硬化材を充填する工程とを有していることを特徴としている。
本発明では、鉄筋かご体の横連結部材を受け筋に載せることで、複数のアンカー筋を備えた鉄筋かご体を拡径部材に対して所定位置に位置決めすることができる。これにより、複数のアンカー筋を、溶接作業を行なうことなく拡径部材と杭頭部との間に容易に且つ短時間で配置することができ、その配置後に拡径部材と杭頭部との間に硬化材を充填することで、複数のアンカー筋が杭頭部に強固に固定された杭頭部の接合構造を構築することができる。
本発明では、定着部材は、アンカー筋の軸方向に作用する引抜き力に抵抗することになり、アンカー筋の定着強度を高める働きをなしている。
本発明では、第二横連結部材が硬化材に定着し、鉄筋かご体の定着強度を増強させることができる。
本発明では、硬化材と拡径部材と杭頭部とのそれぞれの付着力を向上させることができる。さらに、硬化材に埋設されるアンカー筋の下端付近に突起状の定着部材が埋設されている場合には、アンカー筋に引抜力が作用したときに、硬化材内の定着部材よって生じる破壊の影響領域(引抜き破壊線)を小さくすることができる。そして、定着部材から発生する引抜き破壊線を突起部材に当接させることで、その引抜き破壊線が硬化材の上面に達することを抑制し、アンカー筋の定着力が低下すること防止することができる。
本発明では、受け筋を設けることで、拡径部材を杭頭から所定の位置に容易にセットできるばかりでなく、受け筋上に鉄筋かご体の横連結部材を載せる作業において、受け筋が動いてずれることがないことから、鉄筋かご体を所定箇所に位置合わせする作業が容易となるうえ、受け筋に対して安定した状態で鉄筋かご体を配置することができる。
また、工場などで製作した拡径部材は、アンカー筋を備えた状態でないためトラック上で重ねたり適宜並べた状態で運搬することができることから、運搬効率の低下をなくすことができる。
さらに、溶接作業を行なうことなく鉄筋かご体の横連結部材を受け筋に載せることで、複数のアンカー筋を備えた鉄筋かご体を所定位置に位置決めすることができ、複数のアンカー筋を拡径部材と杭頭部との間に容易に且つ短時間で配置することができる。そのため、従来のように現場でアンカー筋を溶接する作業をなくすことができ、溶接作業の手間をなくして作業工数を削減できることから工費の低減が図れる。
図1は本発明の実施の形態による杭頭部の接合構造を示す立断面図、図2は硬化材充填前における杭頭部の接合構造を示す平面図、図3は鉄筋かご体の全体概要を示す斜視図、図4は拡径部材内における硬化材の引抜き破壊線を示す図である。
図1及び図2に示すように、杭頭部の接合構造1は、杭頭部2Aの周囲の所定位置に設けられる拡径部材3と、拡径部材3の上端部3aに載置される受け筋4と、杭頭部2Aと拡径部材3との間に上下方向に向けて配置される複数のアンカー筋6、6、…及び複数のアンカー筋6、6、…同士を連結させてなるフープ筋7(横連結部材)から形成された鉄筋かご体5と、杭頭部2Aと拡径部材3との間に充填されてなる硬化材8とから概略構成されている。
なお、拡径部材3は、外鋼管部9と水平ダイアフラム10とを溶接などにより固定する作業を、例えば工場などの作業性のよい場所で実施することができる。
また、拡径部材3内(外鋼管部9と杭頭部2Aとの間の空間)には、コンクリート、モルタル等からなる硬化材8が充填されている。これにより、拡径部材3と杭頭部2Aとは剛接合となる。
なお、これらの受け筋4、4は、溶接或いは止め具などの固定手段によってずれないように固定するようにしてもよい。この場合、受け筋4、4上に鉄筋かご体5のフープ筋7を載せる作業において、受け筋4、4が動いてずれることがないことから、鉄筋かご体5を所定箇所に位置合わせをする作業が容易となるうえ、受け筋4、4に対して安定した状態で鉄筋かご体5を配置することができる。
そして、このようなフープ筋7は、アンカー筋6の上下方向の所定箇所に、例えば溶接、結束線、フープクリップ7a(図3参照)などの固定手段によって2段設けられている。ここでは、上段の第一フープ筋を符号7Aとし、下段の第二フープ筋を符号7Bと区別して用いる。
第二フープ筋7Bの取り付け位置は、アンカー筋6の下端部6bより少し上の位置6d(図3参照)、例えばアンカー筋6の下端部6bからアンカー筋6の径寸法の2倍の長さ寸法だけ上部の位置に取り付けられる。第二フープ筋7Bは、硬化材8に定着して鉄筋かご体5の定着強度を増強させる働きをなしている。
このように構成される鉄筋かご体5は、工場などで予め製作し、施工現場に運搬することができる。なお、この組み立て作業は、現場で行なっても勿論かまわない。
この仕切り部材11は、弾性を有する材料からなるリング形状をなし、杭頭部2Aの外周部を囲うように配置され、上述した杭頭部2Aの周囲の所定領域を掘削してなる掘削底盤13上に設置されている。そして、仕切り部材11の上面が所定の高さ位置(拡径部材3が仕切り部材11に載置したときに、その拡径部材3が所定の高さに配置される位置)となるように配置される。そのため、仕切り部材11は、掘削地盤13と拡径部材3の下面との両者に隙間なく密接した状態で配置されることになる。そして、拡径部材3と杭頭部2Aとの間に硬化材8を充填したとき、その硬化材8は仕切り部材11よってそれより外方への流出が阻止されることになる。
先ず、工場などで図1及び図2に示す拡径部材3を製作し、同じく工場或いは現場において鉄筋かご体5を製作しておく。
そして、鉄筋かご体5を拡径部材3の内周側に挿入させ、上下部フープ筋7A、7Bの上下方向の間の位置に受け筋4、4を挿通させて拡径部材3の上端部3a上に配置し、拡径部材3と略同軸となるように配置された受け筋4、4上に上部フープ筋7Aを載せ、鉄筋かご体5を位置決めする。これにより、複数のアンカー筋6、6、…が拡径部材3内の所定位置に配置されることになる。さらに、拡径部材3(外鋼管部9)の内面上端部及び杭頭部2Aの外面上端部には、突起部材12、12を固着させる。
このような手順により、複数のアンカー筋6、6、…が杭頭部2Aに強固に固定された杭頭部の接合構造1を構築することができる。
また、工場などで製作した拡径部材3は、アンカー筋6を備えた状態でないためトラック上で重ねたり適宜並べた状態で運搬することができることから、運搬効率の低下をなくすことができる。
さらに、溶接作業を行なうことなく第一フープ筋7Aを受け筋4、4に載せることで、複数のアンカー筋6、6、…を備えた鉄筋かご体5を所定位置に位置決めすることができ、複数のアンカー筋6、6、…を拡径部材3と杭頭部2Aとの間に容易に且つ短時間で配置することができる。そのため、従来のように現場でアンカー筋を溶接する作業をなくすことができ、溶接作業の手間をなくして作業工数を削減できることから工費の低減が図れる。
例えば、本実施の形態では1箇所の第二フープ筋7Bをアンカー筋6の下端部材6b付近に備えているが、これに限定されることはなく、例えば第1フープ筋7Aのみでもよく、第二フープ筋7Bを二本以上設けるようにしてもかまわない。
また、本実施の形態では受け筋4、4を2本平行に配置しているが、数量や平行であることに限定されず、3本以上を設けてもよい。また、配置間隔も適宜設定することができる。
さらに、仕切り部材11、突起部材12等の具体的な構造、形状、数量、設置位置についても、何ら上記のものに限定されることはない。突起部材12は、外鋼管部9の内面上端部及び杭頭部2Aの外面上端部の少なくとも一方に固定されていればよいとされる。
さらにまた、定着部材6A、6Bは、必要に応じて適宜設けることができる。アンカー筋の上端部は、例えば構造物の基礎に埋設される箇所であり、本実施の形態の定着部材6Aであることに限定されない。そのため、定着部材6Bは、例えばアンカー筋6の下端部のみに設けるようにしてもかまわない。
また、アンカー筋は外鋼管の外周或いは内周面に溶接し、受け筋を外鋼管上端部に溶接する方法としてもよい。
2A 杭頭部
3 拡径部材
4 受け筋
5 鉄筋かご体
6 アンカー筋
7 フープ筋(横連結部材)
7A 第一フープ筋(第一横連結部材)
7B 第二フープ筋(第二横連結部材)
8 硬化材
9 外鋼管部
10 水平ダイアフラム
11 仕切り部材
12 突起部材
Claims (6)
- 杭を構造物の基礎に接合するための杭頭部の接合構造であって、
前記杭頭部の周囲を取り囲む外鋼管部、及び該外鋼管部の下端に固着されて前記杭頭部を挿通可能に形成した水平ダイアフラムからなり、前記杭頭部の外周面に配置されてなる拡径部材と、
前記拡径部材の上端部に載置される受け筋と、
前記杭頭部と前記拡径部材との間に上下方向に向けて配置される複数のアンカー筋、及び該複数のアンカー筋同士を連結させてなる横連結部材から形成された鉄筋かご体と、
前記杭頭部と前記拡径部材との間に充填されてなる硬化材と、
を備え、
前記受け筋に前記鉄筋かご体の前記横連結部材が載置されていることを特徴とする杭頭部の接合構造。 - 前記アンカー筋には、該アンカー筋の上下端部のうち少なくとも下端部に、突起状に形成された定着部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の杭頭部の接合構造。
- 前記横連結部材は第一横連結部材であり、
前記鉄筋かご体には、該第一横連結部材の下方に前記硬化材に定着する第二横連結部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の杭頭部の接合構造。 - 前記外鋼管部の内面上端部及び前記杭頭部の外面上端部の少なくとも一方に突起部材が固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の杭頭部の接合構造。
- 前記受け筋は、前記拡径部材の上端部に固定手段により固定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の杭頭部の接合構造。
- 杭を構造物の基礎に接合する杭頭部の施工方法であって、
前記杭頭部と、前記杭頭部の周囲を取り囲む外鋼管部、及び該外鋼管部の下端に固着されて前記杭頭部を挿通可能に形成した水平ダイアフラムからなる拡径部材との間に上下方向に向けて配置される複数のアンカー筋、及び該複数のアンカー筋同士を連結させてなる横連結部材から形成された鉄筋かご体を製作する工程と、
前記鉄筋かご体を前記拡径部材に設置する工程と、
前記拡径部材の上端部に受け筋を載置する工程と、
前記受け筋を前記拡径部材の上端部に固定手段により固定する工程と、
前記拡径部材を前記杭頭部の外周面に配置する工程と、
前記杭頭部と前記拡径部材との間に硬化材を充填する工程と、
を有していることを特徴とする杭頭部の施工方法。
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