JP2008110401A - レーザ加工装置、レーザ加工方法、配線基板の製造方法、表示装置の製造方法、及び配線基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】材料の異なる2以上の層からなる多層膜を有する加工対象物3に対し、多層膜を構成する各層の反射率に基づいてレーザ光Lの波長を選定して、加工物に対するレーザ光Lの照射を行う。
【選択図】図1
Description
しかしながら、これらの構造物は、その製造において所定のパターンが完全に形成されるとは限らず、部材や素子が過剰に形成されて例えば所定の領域からはみ出してしまうとか、不十分となって例えば所定の領域内で不均一にしか形成されないといった不都合が生じることがある。
表示装置(例えばフラットパネルディスプレイ)は、2次元マトリクス状に設けられた多数の画素によって画面が構成され、薄型、軽量、低消費電力などの優れた特性を有している。このような表示装置は、駆動方式に応じて分類されるが、各画素電極にスイッチ素子が電気的に接続されてなるアクティブマトリックス方式の表示装置は、隣接画素間でのクロストークが抑制されるなど、特に良好な画質(画像)が得られる。このため、アクティブマトリックス型の表示装置は、研究・開発が盛んに行われており、パーソナルコンピュータ(PC)やテレビ(TV)等の表示装置として、広く用いられている。なお、フラットパネルディスプレイは、発光方式によっても、液晶表示や有機EL表示などに分類される。
下層の金属配線パターンと上層の金属配線パターンとは、互いに直交する方向に延在して格子状に配置され、格子の各マス目(交点)に相当する位置が画素とされる。上層の金属配線パターンは、ITO(Indium-Tin-Oxide)等の透明導電材料からなる画素電極に連結される。また、各画素には、電極を制御するスイッチング素子が設けられている。このスイッチング素子が薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)である場合には、TFTのゲート電極は走査線に、ドレイン電極は信号線にそれぞれ電気的に接続され、ソース電極が画素電極に電気的に接続される。
配線基板でこのような局所的不良が生じると、例えば表示装置では、一部の画素が発光しなくなる所謂滅点化や、線状に複数の画素が滅点化する所謂滅線化が発生するなど、画像表示性能が著しく損なわれてしまう。そのため、局所的不良の発生を抑制するために、異物の低減や欠陥の抑制などの製造工程の管理が図られているが、発生を完全に回避することは難しい。
また、上部配線パターン間でのショートを修正する手法が開示されている(例えば特許文献2参照)。この手法は、上部配線パターン間でのショートを修正する手法である。しかしながら、レーザカットの必要な領域に下部配線部が存在する場合には、下層まで含めたレーザカットを行ってしまうこととなる。このため上層と下層間の層間ショートの発生が必ずしも防げず、他領域のレーザカットにより層間ショート部の影響を除く必要があり、工程が複雑となっている。
なお、本実施形態においては、加工対象物が(例えばTFT基板などの)配線基板である配線基板の製造装置を例として、レーザ加工装置の実施の形態を説明する。
本実施形態に係るレーザ加工装置1は、図1Aに示すように、加工対象物3の配置部となる支持台2と、この支持台2上に支持される加工対象物3に対向して配置された、局所的な排気を行う局所排気装置4とを有する。本実施形態ではこの局所排気装置4が成膜機能とエッチング機能を兼ね備えた局所加工ヘッドを構成する。なお、本実施形態において、加工対象物3としては例えば配線基板に適用可能であり、少なくとも、材料の異なる2以上の層からなる多層膜を有している。
局所排気部6は、原料供給手段5とは別に、原料ガスとともに雰囲気を構成するパージガスを供給するパージガス供給手段7も連結されている。原料供給手段5及びパージガス供給手段7は、それぞれ、局所排気装置4内の原料ガス流路17及びパージガス流路18を介して、この局所的空間に連結されている。局所排気部6のレーザ光導入側にはレーザ光Lを透過する透過光20が設けられ、透明窓19が嵌め込まれて局所排気部6の雰囲気が保持される。
なお、パージガス流路18の局所排気部6に対向する開口を、やや透明窓19側に向かう角度に傾けて設けることにより、透明窓19の汚れを抑制することができる。また、局所排気部6に連結して局所排気手段(図示せず)が設けられる場合には、排気手段10及び11との排気のバランスを調整することにより、局所排気部6において上昇気流を発生させ、エッチング除去されて気化した材料が加工対象物3に再付着することを抑制することができる。
なお、実際に加工を行う際には、静圧浮上によって、加工対象物3の厚さよりも大となる高さに、局所排気装置4を支持台2から浮上させておくことによって、支持台2及び局所排気装置4の少なくとも一方を移動する際に、加工対象物3をスムーズに局所排気装置4の下へ挿入することが可能となる。
また、局所排気装置4の高さすなわち支持台2からの浮上量は、多孔質通気膜13を例えば気孔率40%の多孔質体によって構成した場合、不活性気体の噴出量の選定によって、数μm〜100μm程度の広範囲に渡る調整が可能とされる。多孔質通気膜13の気孔率はこれに限られず、多孔質通気膜13の材料も、多孔質アルミニウム(Al)に限られず、多孔質の金属、セラミックス、合成樹脂等の材料から所望の材料を選定することが可能である。
そして、局所排気装置4の底面には、支持台2側に向けて噴射された圧縮ガスと、加工対象物3に向けて供給されたガス(原料ガスやパージガス等)の余剰分とを、それぞれ、排気手段10及び11によって排気するためのリング状吸引溝(排気流路)15及び16が設けられている。そして、前述の局所排気部6は、局所排気装置4の底面に臨んで、排気流路15及び16の端部を構成する吸引溝が形成する略同心環状の内側に、図1Aにおいて示す透明窓19や透過孔20から加工対象物3までの高さを占める略円筒状空間として、形成される。
本実施形態に係るレーザ加工装置1においては、レーザ加工装置1において、例えば図示しないレーザ光源装置からのレーザ光Lを、対物レンズ等によって集光し、透明窓19を有する透過孔20を通じて局所排気部6に導入することにより、局所排気部6内におけるレーザCVD法による薄膜形成やレーザエッチングによる薄膜除去などの加工が可能となる。
なお、このパルス幅の選定は、対象とする部材材料にも配慮すると、より好ましいと考えられる。例えば、加工対象物3上の除去対象(例えば配線のうち過剰に形成された一部)がアルミニウム(Al)よりなる場合には、適度なパルス幅として例えば2ピコ秒〜10ピコ秒程度のパルス幅を選定することが好ましい。
まず、圧縮ガス供給手段(供給源)9から圧縮ガスを圧縮ガス供給路14に供給し、多孔質通気膜13を通して加工対象物3側に噴射し、局所排気装置4を加工対象物3から所定間隔だけ浮上させ、動作を開始する。この際、局所排気装置4の直下から離れた位置に、加工対象物3と略同程度の厚さを有しかつ加工対象物3に近接した浮上ステージ(図示せず)を用意しておき、この浮上ステージに載置しておいた局所排気装置4を浮上させてから、この局所排気装置4を加工対象物3上に移動させる手順を経ると、加工対象物3上に移動させる際に接触を確実に回避できるので、好ましいと考えられる。
その後、レーザ光源装置からのレーザ光Lを透過孔20、透明窓19及び局所排気部6を通じて加工対象物3の成膜すべき局所に照射することにより、原料ガスの熱分解により、加工対象物3の局所にCVD膜を成膜することができる。
次に、本発明に係るレーザ加工方法の実施の形態を説明する。なお、本実施形態では、レーザ加工によって配線基板の修正(製造)を行う場合を例として、説明を行う。また、加工装置としては、前述した実施形態のレーザ加工装置(配線基板の製造装置)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
本実施形態に係るレーザ加工方法に適用する加工対象物、例えば配線基板の多層膜は、層間絶縁膜22を介し、配線基板の配線パターンに対応する第1の導電層として例えば上層配線23と、第2の導電層として例えば下層配線21とが積層された構成である。そして、この多層膜において、異物等の混入による短絡部(層間及び層内ショート)24が下層配線21と上層配線23とを貫通して存在する。
そして、短絡部24を含む上層配線23の一部を、所定の条件でレーザエッチングすることにより、図2Aの上面図及び図2Cの断面図に示すように、絶縁層上においてパターニングされた上層配線23の間がレーザカット部25として除去され、欠陥修正部26が形成される。また、必要に応じてレーザカット部25が埋め込まれることにより、欠陥修正部26が形成される。
なお、図2Aでは、簡略化のため層間絶縁膜22の記載を省略する。
本実施形態に係るレーザ加工方法に適用する加工対象物、例えば配線基板の多層膜は、層間絶縁膜32を介し、配線基板の配線パターンに対応する第1の導電層として例えば2本の上層配線33と、第2の導電層として例えば下層配線31とが積層された構成である。そして、この多層膜において、異物等の混入による短絡部(層間及び層内ショート)34が、2本の上層配線73同士の間に存在する。
そして、短絡部34を含む上層配線33の一部を、所定の条件でレーザエッチングすることにより、図3Aの上面図及び図3Cの断面図に示すように、絶縁層上においてパターニングされた上層配線33の間がレーザカット部35として除去され、欠陥修正部36が形成される。また、必要に応じてレーザカット部35が埋め込まれることにより、欠陥修正部36が形成される。
なお、図3Aでは、簡略化のため層間絶縁膜32の記載を省略する。
この際、レーザ光Lは、前述したようにパルス幅が10ピコ秒以下のパルスレーザ光であることが好ましい。また、パルスレーザ光Lの波長を、加工対象物3の被照射部となる多層膜の膜厚及び反射率とともに選定し、この波長を、(必要に応じて膜厚及び反射率とともに)レーザ光源部と連動する入力部に入力して加工に反映することが好ましい。
まず、窒化シリコン層の厚さを150nm、酸化シリコン層の厚さを150nmとした場合の、層間絶縁膜に対する反射率のシミュレーション結果(反射スペクトル)を、図4Bに示す。厚さに応じて、スペクトルは全体の形状が変化するが、この厚さ条件において、波長が390nmの光に対する反射率は、可視光領域における平均反射率(41%)を大きく下回っている。すなわち、反射率は22%となり、残りの78%はMo層で吸収されることになると考えられる。
したがって、この厚さ条件では、層間絶縁膜の下側に位置するモリブデン層が強いダメージを受けてしまうおそれが強い。
したがって、この厚さ条件であれば、波長390nmのパルスレーザ光で加工を行う際にモリブデン層が受けるダメージを低減でき、図2C及び図3Cに示したような、下層配線を残存させながらショートを解消する修正加工が可能になると考えられる。
この値よりもエネルギー密度を上げた加工では、下層の破壊現象が発生する可能性が高まり、選択加工性が失われるおそれがある。また、この値よりもエネルギー密度を下げた加工では、上層の膜残りの可能性が高まるおそれがある。なお、レーザカット領域は、確実に修正を行うために、短絡部領域よりも約1μm程度大きめにとることが好ましい。
本実施形態に係るレーザ加工方法に適用する加工対象物、例えば配線基板の多層膜は、層間絶縁膜62を介し、配線基板の配線パターンに対応する第1の導電層として例えば2本の上層配線63と、第2の導電層として例えば下層配線61とが積層され、さらに、これらを覆う上層絶縁膜67が積層された多層膜が形成される。そして、この多層膜において、異物等の混入による短絡部(層間及び層内ショート)64が、2本の上層配線63同士の間に存在する。
そして、短絡部64を含む上層配線63の一部を、所定の条件でレーザエッチングすることにより、図6Aの上面図及び図6Cの断面図に示すように、絶縁層上においてパターニングされた上層配線63の間がレーザカット部65として除去され、欠陥修正部66が形成される。また、必要に応じてレーザカット部65が埋め込まれることにより、欠陥修正部66が形成される。
なお、図6Aでは、簡略化のため層間絶縁膜62の記載を省略する。
この場合、予め、上層絶縁膜に対応する窒化シリコン(SiN)層及び酸化シリコン(SiO)膜の膜厚に応じた反射率の変化を測定し、複数の波長の少なくとも一部において、可視光領域における平均反射率に比して低い反射率を示す波長が生じる膜厚の多層膜に、平均反射率に比して低い反射率に相当する波長のレーザ光を照射して加工を行う。つまり、特定の膜厚の上層絶縁膜における反射の抑制を図って、レーザ光の波長を選定する。
まず、図7Aに示すような、チタン(Ti)層上に窒化シリコン層の厚さを200nm、酸化シリコン層の厚さを100nmとした積層構造(厚さ条件)の、上層絶縁膜に対する反射率のシミュレーション結果(反射スペクトル)を、図7Bに示す。厚さに応じて、スペクトルは全体の形状が変化するが、この厚さ条件において、波長が390nmの光に対する反射率は、可視光領域における平均反射率(50%)を上回っている。すなわち、反射率は57%となり、残りの43%はTi層で吸収されることになると考えられる。
したがって、この厚さ条件では、上層絶縁膜の下側に位置するチタン層を加工しにくくなるおそれが強い。
したがって、この厚さ条件であれば、波長390nmのパルスレーザ光で加工を行う際にチタン層が吸収するエネルギーを増大でき、下層配線を残存させながら短絡部(ショート)を解消する修正加工が可能になると考えられる。
図9Aの上面図、及び、図9Bの断面図に示すように、加工対象物、例えば配線基板の多層膜は、層間絶縁膜72を介して、第1の導電層として例えば2本の上層配線73と、第2の導電層として例えば下層配線71とが積層され、さらに、これらを覆う上層絶縁膜77が積層された多層膜が形成される。そして、この多層膜は、2本の上層配線73同士の間に異物等の混入による短絡部(層間及び層内ショート)74を有している。
なお、図13Aでは、簡略化のため層間絶縁膜72及び上層絶縁膜77の記載を省略する。
これにより、図10Aの上面図、及び、図10Bの断面図に示すように、レーザカット部において、短絡部74の周囲の上層配線73がレーザ加工により除去され、欠陥修正部76が形成される。なお、図10Aでは、説明の簡略化のため層間絶縁膜72及び上層絶縁膜77の記載を省略する。
図10Bに示すように、欠陥修正部76は、上層絶縁膜77側から、層間絶縁膜72までを貫通し、上層配線73を完全に切断するように形成する。また、図10Aに示すように、欠陥修正部76は、短絡部74近傍において、上層配線73の短絡部74を含む部分を、他の上層配線73の部分から完全に切断するように形成する。
このため、この欠陥修正部76により、上層配線73と短絡部74との導通を取り除くことができる。
従って、上述の多層膜において、短絡部74による上層配線73同士の短絡を修正することができる。また、このとき必要に応じて欠陥修正部76を絶縁性の部材等により埋め込んでもよい。
なお、上述の実施の形態では、上層配線を第1の導電層とし、下層配線を第2の導電層としたが、これらの導電層は上層配線や下層配線に限らず、短絡部を有する多層膜等の加工対象物に対して適用することができる。
また、上述のレーザ加工方法では、図6〜8を用いて説明した方法と同様に、予め、上層絶縁膜に対応する窒化シリコン(SiN)層及び酸化シリコン(SiO)膜の膜厚に応じた反射率の変化を測定する。そして、複数の波長の少なくとも一部において、可視光領域における平均反射率に比して低い反射率を示す波長が生じる膜厚の多層膜に、平均反射率に比して低い反射率に相当する波長のレーザ光を照射して加工を行う。つまり、特定の膜厚の上層絶縁膜における反射の抑制を図って、レーザ光の波長又は前記多層膜の厚さを選定する。これにより、上層絶縁膜に覆われている場合においても、上層配線の選択的な除去が可能となり、下層配線に影響を与えることなく欠陥部分の修正が可能となる。
図11Aの上面図、及び、図11Bの断面図に示すように、加工対象物、例えば配線基板の多層膜は、層間絶縁膜82を介して、第1の導電層として例えば上層配線83と、第2の導電層として例えば下層配線81とが積層され、さらに、これらを覆う上層絶縁膜87が積層された多層膜が形成される。そして、この多層膜において、異物等の混入による短絡部(層間及び層内ショート)84が下層配線81と上層配線83とを貫通して存在する。
なお、図15Aでは、簡略化のため層間絶縁膜82及び上層絶縁膜88の記載を省略する。
これにより、図12Aの上面図、及び、図12Bの断面図に示すように、レーザカット部において、短絡部84の周囲の上層配線83がレーザ加工により除去され、欠陥修正部86が形成される。なお、図12Aでは、説明の簡略化のため層間絶縁膜82及び上層絶縁膜88の記載を省略する。
図12Bに示すように、欠陥修正部86は、上層絶縁膜88側から、層間絶縁膜82までを貫通し、上層配線83を完全に切断するように形成する。また、図12Aに示すように、欠陥修正部86は、短絡部84近傍において、上層配線83の短絡部84を囲み、他の上層配線83の部分から完全に切断するように形成する。
このため、この欠陥修正部86により、上層配線83と短絡部84との導通を取り除くことができる。
従って、上述の多層膜において、短絡部84による上層配線83同士の短絡を修正することができる。また、このとき必要に応じて欠陥修正部86を絶縁性の部材等により埋め込んでもよい。
なお、上述の実施の形態では、上層配線を第1の導電層とし、下層配線を第2の導電層としたが、これらの導電層は上層配線や下層配線に限らず、例えば上層配線と下層配線とを逆にした構成や、導電層が複数層形成された場合においても、短絡部等による欠陥を有する多層膜等の加工対象物に対して適用することができる。
また、上述レーザ加工方法では、図6〜8を用いて説明した方法と同様に、予め、上層絶縁膜に対応する窒化シリコン(SiN)層及び酸化シリコン(SiO)膜の膜厚に応じた反射率の変化を測定する。そして、複数の波長の少なくとも一部において、可視光領域における平均反射率に比して低い反射率を示す波長が生じる膜厚の多層膜に、平均反射率に比して低い反射率に相当する波長のレーザ光を照射して加工を行う。つまり、特定の膜厚の上層絶縁膜における反射の抑制を図って、レーザ光の波長又は前記多層膜の厚さを選定する。これにより、上層絶縁膜に覆われている場合においても、上層配線の選択的な除去が可能となり、下層配線に影響を与えることなく欠陥部分の修正が可能となる。
前述した実施形態に係る、レーザ加工方法の具体例である配線基板の製造方法によれば、製造された配線基板と、他の通常の部材とを組み合わせることにより、液晶ディスプレイをはじめとする表示装置が備えるバックライト等の、所謂光源装置を製造することも可能となる。
直下方式は、ディスプレイ面(表面)に対向する背面(裏面)に、蛍光管を複数備えた光源装置が設けられた構成を有する。光源装置からの光が直接的に利用できるため、高輝度化、高効率化、大型化に有利とされるが、薄型化が困難で、消費電力も大きい。
一方、エッジライト方式は、ディスプレイ面に対向する背面に、例えばアクリル製板状の導光部(ライトガイド)と光源装置とが配置された構成を有する。導光部で光が拡散されるため、小型化、薄型化、低消費電力化に有利とされるが、大画面のディスプレイでは重量が問題となる。なお、エッジライト方式は更に、光源装置の位置が導光部よりも背面側となるバックライトタイプと、光学素子において反射光を生じさせることを前提に光源装置の位置が導光部よりも表面側とされた、フロントライトタイプとに分類される。
なお、本実施形態に係る光源装置42において、導光部46を構成する樹脂は、エポキシ、シリコーン、ウレタンのほか、様々な透明樹脂を用いることができる。
ここで、偏光板50及び59は、特定の方向に偏光する光を選択するものである。また、TFTガラス基板51とドット電極52及び電極55は、特定の方向に偏光する光のみを透過する液晶層53をスイッチングするために設けられるものであり、配向膜54が併せて設けられることにより、液晶層53内の液晶分子の傾きが一定の方向に揃えられる。また、ブラックマトリクス56が設けられていることにより、各色に対応するカラーフィルタ57a〜57cから出力される光のコントラストの向上が図られている。なお、これらのブラックマトリクス56及びカラーフィルタ57a及び57cは、ガラス基板58に取着される。
本発明に係るレーザ加工方法の具体例として、配線基板(アレイ基板)の製造方法の実施例(検討結果)について説明する。
これに対し、下層および層間絶縁膜の反射特性が図5Bのようであった加工対象物にレーザ加工を行った顕微鏡写真を、図15A及び図15Bに示す。下層に影響を与えることなく、上層のみを選択除去できていることが確認できた。
上層絶縁膜の反射特性が図8Bのようであった配線基板においては、レーザ加工による短絡除去を試みた結果、図16に実線aで示すように上層配線の抵抗に変化がみられなかった(高い抵抗を維持できた結果リーク電流が抑制されていた)ことから、下層に影響を与えることなく、上層のみを選択除去できていることが確認できた。
これに対し、上層絶縁膜の反射特性が図7Bのようであった配線基板においては、レーザ加工による短絡除去を試みた後でも、図16に実線bで示すように大規模な電流リークが発生してしまい、短絡が除去できていないことが確認できた。
また、図11及び図12で例示した方法によって、加工対象物にレーザ加工を行った場合において、レーザ加工前の加工対象物の表面状態の顕微鏡写真を図18Aに示し、この顕微鏡写真に基づく模式図を図18Bに示す。また、レーザ加工後の加工対象物の表面状態の顕微鏡写真を図18Cに示し、この顕微鏡写真に基づく模式図を図18Dに示す。
この加工対象物に対し、図17C及び図17Dに示すように短絡部74近傍の上層配線73にレーザ加工を行うことにより、上層配線73に欠陥修正部76が形成された。そして、欠陥修正部76によって、上層配線73の端部に形成された短絡部74を上層配線73から切断した。
このように、レーザ加工により欠陥修正部76を形成し、上層配線73と短絡部74との導通を除去し、短絡部74による欠陥を修正した。この結果、加工対象物において、下層配線に影響を与えることなく上層配線のみを選択的に除去できることを確認できた。また、上層配線におけるレーザ加工により、安定した短絡部の除去ができることを確認できた。
この加工対象物に対し、図18B及び図18Dに示すように、短絡部84の周囲を囲んで上層配線83にレーザ加工を行うことにより、欠陥修正部86が形成された。そして、欠陥修正部86により、上層配線83において短絡部84の周囲を囲むように切断した。
このように、レーザ加工により欠陥修正部86により、短絡部84による欠陥を修正し、上層配線83と短絡部84との導通を除去し、短絡部84による欠陥を修正した。この結果、加工対象物において、下層配線に影響を与えることなく上層配線のみを選択的に除去できることを確認できた。また、上層配線におけるレーザ加工により、安定した短絡部の除去ができることを確認できた。
また、前述の溶融物は、加工対象物の部材を構成する材料の結合性にも影響を受けるが、特に金属などの熱伝導の良い材料においては、加工部周辺に盛り上がりが生じやすく、上述の飛散距離も大きくなることから、本実施形態に係るレーザ加工方法によれば、熱伝導性が良好である部材を対象とする場合に、特段のダスト低減を図ることが可能となる。
なお、この加熱は、レーザ加工装置1を、例えば局所加工ヘッド3や支持台4の内部もしくは外部にヒーターを備えた構成とすることによって可能とされる。なお、加熱温度は、例えば上述の多孔質通気手段35や部材5に過度の熱的負担を与えない程度に、例えば200℃程度とすることが望ましく、局所加工ヘッド3自体にも同様の加熱を施すことにより、部材や不活性気体の温度低下を回避することが可能とされる。
Claims (20)
- 材料の異なる2以上の層からなる多層膜を有する加工対象物に対し、前記多層膜を構成する各層の反射率に基づいてレーザ光の波長を選定して、前記加工物に対するレーザ光の照射を行う
ことを特徴とするレーザ加工方法。 - 前記選定されたレーザ光の波長において、可視光領域の平均反射率よりも高い反射率を示す厚さに前記多層膜を構成する各層の厚さを選定し、前記選定されたレーザ光を前記多層膜に照射して加工を行うことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 予め、前記レーザ光の複数の波長について、前記多層膜の膜厚に応じた反射率の変化を測定し、
前記複数の波長の少なくとも一部において、反射率の極大値が生じる厚さに、前記多層膜の膜厚を選定し、
前記極大値に相当する波長のレーザ光を、前記多層膜に照射して加工を行うことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。 - 前記レーザ光が、パルス幅が10ピコ秒以下のパルスレーザ光であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 前記レーザ光が、1パルスあたりのエネルギー密度が0.1J/cm2以下のパルスレーザ光であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 前記多層膜が、互いに異なる導電層が絶縁膜を介して立体交差する立体交差部であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 前記加工対象物が、前記多層膜上に、上層絶縁膜を有し、
予め、前記レーザ光の複数の波長について、前記上層絶縁膜及び前記多層膜の膜厚に応じた反射率の変化を測定し、
前記複数の波長の少なくとも一部において、可視光領域における平均反射率に比して低い反射率を示す波長が生じる厚さに、前記上層絶縁膜及び前記多層膜の厚さを選定し、
前記平均反射率に比して低い反射率に相当する波長のレーザ光を、前記上層絶縁膜及び前記多層膜に照射して加工を行うことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。 - 前記加工対象物が、前記多層膜上に、上層絶縁膜を有し、
予め、前記レーザ光の複数の波長について、前記上層絶縁膜及び前記多層膜の膜厚に応じた反射率の変化を測定し、
前記複数の波長の少なくとも一部において、前記反射率の極小値が生じる厚さに、前記上層絶縁膜及び前記多層膜の膜厚を選定し、
前記極小値に相当する波長のレーザ光を、前記上層絶縁膜及び前記多層膜に照射して加工を行うことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。 - 絶縁層を介して積層された第1の導電層と第2の導電層とからなる前記多層膜と、前記第1の導電層同士又は前記第1の導電層と前記第2の導電層とを短絡させる短絡部 とを有する前記加工対象物において、前記短絡部近傍の前記第1の導電層を前記レーザ光により加工し、前記短絡部近傍の前記第1の導電層を除去することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 前記短絡部の近傍において、前記短絡部の周囲を囲むように前記第1の導電層を除去することを特徴とする請求項9に記載のレーザ加工方法。
- 配線基板上の、材料を互いに異にする2以上の層からなる多層膜に対するレーザ光の照射を、前記多層膜の反射率に基づいて前記レーザ光の波長を選定して行う
ことを特徴とする配線基板の製造方法。 - 絶縁層を介して積層された第1の導電層と第2の導電層とからなる前記多層膜と、前記第1の導電層同士又は前記第1の導電層と前記第2の導電層とを短絡させる 短絡部とを有する前記配線基板において、前記短絡部近傍の前記第1の導電層を前記レーザ光により加工し、前記短絡部近傍の前記第1の導電層を除去することを特徴とする請求項11に記載の配線基板の製造方法。
- 前記短絡部の近傍において、前記短絡部の周囲を囲むように前記第1の導電層を除去することを特徴とする請求項12に記載の配線基板の製造方法。
- 配線基板を備える表示装置の製造方法であって、
前記配線基板の製造を、
前記配線基板を構成する、材料を互いに異にする2以上の層からなる多層膜の反射率に基づいて、前記多層膜に照射するレーザ光の波長を選定することによって行う
ことを特徴とする表示装置の製造方法。 - 絶縁層を介して積層された第1の導電層と第2の導電層とからなる前記多層膜と、前記絶縁層を貫通した前記第1の導電層と前記第2の導電層の短絡部とを有する前記配線基板において、前記短絡部近傍の前記第1の導電層を前記レーザ光により加工し、前記短絡部近傍の前記第1の導電層を除去することを特徴とする請求項14に記載の表示装置の製造方法。
- 前記短絡部の近傍において、前記短絡部の周囲を囲むように前記第1の導電層を除去することを特徴とする請求項15に記載の表示装置の製造方法。
- 絶縁層を介して積層された配線パターンに対応する第1の導電層と第2の導電層からなる多層膜を備え、
前記絶縁層上においてパターニングされた前記第1の導電層の間に欠陥修正部を有する
ことを特徴とする配線基板。 - 前記多層膜に、前記第1の導電層同士又は前記第1の導電層と前記第2の導電層とを短絡させる短絡部を有し、前記欠陥修正部において前記短絡部近傍の前記第1の導電層が除去され、前記欠陥修正部により前記第1の導電層から前記短絡部近傍が切断されることを特徴とする請求項17に記載の配線基板。
- 前記欠陥修正部において、前記短絡部の周囲を囲むように前記第1の導電層が除去され、前記第1の導電層から前記短絡部近傍が切断されることを特徴とする請求項18に記載の配線基板。
- 加工対象物を支持する支持台と、
前記支持台上で局所的に圧力調整がなされる局所排気部へ向けてレーザ光を導入する局所排気装置と、
前記レーザ光を出力するレーザ光源部とを有し、
前記局所排気装置が、前記支持台に対する浮上用ガスの噴射によって、前記支持台から相対的に浮上可能とされ、
前記レーザ光源部に、前記加工対象物の反射率が入力される入力部が連結されている
ことを特徴とするレーザ加工装置。
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