JP2008109649A - マイクロフォンパッケージ - Google Patents

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Abstract

【課題】ハウジング内の空洞部にマイクロフォンチップを設けたマイクロフォンパッケージにおいて、空洞部を外方に連通させる音響孔の大きさを小さくしても音質の向上を容易に図ることができるようにする。
【解決手段】中空の空洞部S1及び該空洞部S1を外方に連通させる音響孔3aを有するハウジング3と、前記空洞部S1内の搭載面9aに搭載されて音響を検出するマイクロフォンチップ5とを備え、前記音響孔3aが、前記搭載面9aに対向する前記ハウジング3の内面11aに開口し、前記空洞部S1内に、前記マイクロフォンチップ5の周囲及び前記搭載面9aを封止する樹脂封止部31が形成されていることを特徴とするマイクロフォンパッケージ1を提供する。
【選択図】図1

Description

この発明は、マイクロフォンパッケージに関する。
従来、マイクロフォンパッケージは、例えば特許文献1のように、中空の空洞部を形成したハウジング内の搭載面に、音響を検出するマイクロフォンチップやこれを制御するLSIチップを搭載して構成されている。また、ハウジングには空洞部を外方に連通させる音響孔が形成されている。
この種のマイクロフォンパッケージにおいては、音響孔を介して空洞部内に塵埃が侵入したり、光が入り込んでマイクロフォンチップに到達すると、誤作動が生じたりマイク特性に変化が生じることがあるため、音響孔の大きさは小さくすることが好ましい。
特表2004−537182号公報
ところで、中空の空洞部及び音響孔を有するハウジングでは、音響孔の周辺においてヘルムホルツの共鳴が発生するが、この音響孔の大きさを小さくすると、上記共鳴に基づくハウジングの共振周波数が可聴領域内の周波数まで下がってしまう虞があり、マイクロフォンチップにおいて検出する音響の質が低下するという問題がある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、音響孔の大きさを小さくしても音質の向上を容易に図ることができるマイクロフォンパッケージを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、中空の空洞部及び該空洞部を外方に連通させる音響孔を有するハウジングと、前記空洞部内の搭載面に搭載されて音響を検出するマイクロフォンチップとを備え、前記音響孔が、前記搭載面に対向する前記ハウジングの内面に開口し、前記空洞部内に、前記マイクロフォンチップの周囲及び前記搭載面を封止する樹脂封止部が形成されていることを特徴とするマイクロフォンパッケージを提案している。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のマイクロフォンパッケージにおいて、前記樹脂封止部の容積が、前記マイクロフォンチップの容積を除いた前記空洞部の容積の半分以上であり、かつ、該空洞部の容積よりも小さいことを特徴とするマイクロフォンパッケージを提案している。
これらの発明に係るマイクロフォンパッケージによれば、空洞部内に樹脂封止部を形成しておくことで、空洞部のうち実際の空洞部分となる実効空洞部の容積を容易に小さくすることができる。そして、ハウジングの共振周波数は、実効空洞部の容積が小さい程高くなるため、樹脂封止部の容積を調整するだけで、上記共振周波数を容易に可聴領域の周波数よりも高い周波数に引き上げることが可能となる。
特に、樹脂封止部の容積が、マイクロフォンチップの容積を除いた空洞部の容積の半分以上であれば、上記共振周波数を確実に可聴領域の周波数よりも高い周波数とすることができる。なお、マイクロフォンチップの容積を除く空洞部の容積よりも樹脂封止部の容積を小さくすることは、外方から音響孔に到達した音響が、実効空洞部を介してマイクロフォンチップまで到達できるようにするためである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載のマイクロフォンパッケージにおいて、前記マイクロフォンチップが、支持部の内孔を覆うようにダイヤフラムを設けて構成されると共に、前記ダイヤフラムを前記搭載面に対向させるように搭載され、前記樹脂封止部が、シリコン系樹脂によって形成されていることを特徴とするマイクロフォンパッケージを提案している。
この発明に係るマイクロフォンパッケージによれば、樹脂封止部を弾性率が低く応力の小さいシリコン系樹脂により形成することで、ハウジングと樹脂封止部との熱膨張係数差に基づいて樹脂封止部が膨張収縮する際に、樹脂封止部が容易に弾性変形できるため、上述の膨張収縮がマイクロフォンチップに伝達されてダイヤフラムが変形することを防止できる。
請求項1に係る発明によれば、空洞部内に樹脂封止部を形成しておき、その占有容積を調整するだけで、ハウジングの共振周波数を容易に可聴領域の周波数よりも高い周波数に引き上げることができるため、音響孔の大きさを小さく形成したとしても、マイクロフォンパッケージにおける音質向上を容易に図ることができる。
請求項2に係る発明によれば、ハウジングの共振周波数を確実に可聴領域の周波数よりも高い周波数とすることができる。
請求項3に係る発明によれば、樹脂封止部を弾性変形しやすいシリコン系樹脂により形成することで、ハウジングと樹脂封止部との熱膨張係数差に基づく樹脂封止部の膨張収縮がマイクロフォンチップに伝達されてダイヤフラムが変形することを防止できるため、マイクロフォンチップのマイク特性が変化することを防止できる。
以下、図1を参照して本発明の一実施形態に係るマイクロフォンパッケージについて説明する。図1に示すように、この実施形態に係るマイクロフォンパッケージ1は、中空の空洞部S1及び空洞部S1を外方に連通させる音響孔3aを有するハウジング3と、空洞部S1内に配されたマイクロフォンチップ5及びLSIチップ7とを備えている。
ハウジング3は、略板状に形成されてマイクロフォンチップ5及びLSIチップ7を搭載する搭載面9aを有する回路基板9と、回路基板9の搭載面9aから厚さ方向に離間して配置される略板状の天板部材11と、これら回路基板9の搭載面9a及び搭載面9aに対向する天板部材11の対向面11aの周縁に固定される略環状の側壁部材13とから構成されている。
ここで、回路基板9は、その内部に電気的な配線部(不図示)を設けた所謂多層配線基板からなり、搭載面9aに露出する上記配線部がワイヤー(不図示)等によりLSIチップ7と電気接続されるようになっている。また、音響孔3aは、天板部材11の厚さ方向に貫通して形成されており、天板部材11の対向面(内面)11aに開口している。
マイクロフォンチップ5は、シリコンからなり、環状の支持部21の内孔21aを覆うようにダイヤフラム23を設けて構成されている。ダイヤフラム23は音響を振動により検出するものであり、マイクロフォンチップ5はこの振動を電気信号に変換する所謂音圧センサチップを構成している。このマイクロフォンチップ5は、ダイヤフラム23が内孔21aを介して回路基板9の搭載面9aに対向するように、不図示のダイボンド材によって回路基板9の搭載面9aに固定されている。
LSIチップ7は、マイクロフォンチップ5を駆動制御する役割を果たしており、例えばマイクロフォンチップ5からの電気信号を増幅するための増幅回路を含んで構成されている。このLSIチップ7は、マイクロフォンチップ5と同様に、不図示のダイボンド材によって回路基板9の搭載面9aに固定されている。
そして、このLSIチップ7の上面7aに形成された一の電極パッド7bは、ワイヤー25によってマイクロフォンチップ5の上面5aに形成された電極パッド5bと電気接続されている。また、LSIチップ7は、上述したように回路基板9と電気接続されているため、回路基板9とマイクロフォンチップ5とがこのLSIチップ7を介して電気接続されることになる。
また、このマイクロフォンパッケージ1は、ハウジング3の空洞部S1内に、回路基板9の搭載面9a、マイクロフォンチップ5の支持部21の周囲、LSIチップ7の全体及びワイヤー25の一部を封止する樹脂封止部31を形成して構成されている。
樹脂封止部31は、弾性率が低く応力の小さいシリコン系樹脂によって形成されており、マイクロフォンチップ5の上面5aを覆わない程度で、搭載面9aからマイクロフォンチップ5と略同等の高さ位置まで満たされている。したがって、この実施形態において、ハウジング3の空洞部S1のうち実質的に空洞部分となる実効空洞部Srは、マイクロフォンチップ5の上面5aや樹脂封止部31の上面と、天板部材11の対向面11aとの間の空間であり、この実効空洞部Srに音響孔3a及びダイヤフラム23が露出している。
すなわち、樹脂封止部31の容積は、マイクロフォンチップ5及びLSIチップ7の合計容積を除いた空洞部S1の容積よりも小さくなっている。
次に、上記構成のマイクロフォンパッケージ1の製造方法について、以下に述べる。
このマイクロフォンパッケージ1を製造する際には、はじめに、回路基板9の搭載面9aの周縁に略環状の側壁部材13を固定しておく(側壁部形成工程)と共に、回路基板9の搭載面9aにマイクロフォンチップ5及びLSIチップ7を搭載する(搭載工程)。次いで、ワイヤーボンディングを施してマイクロフォンチップ5とLSIチップ7とをワイヤー25により電気接続し、さらにLSIチップ7と回路基板9とを電気接続する(電気接続工程)。なお、側壁部形成工程は、搭載工程や電気接続工程の後に行われるとしても構わない。
その後、溶融した樹脂(ポッティング材)を回路基板9の搭載面9a上に流し込み、回路基板9の搭載面9a、マイクロフォンチップ5の支持部21の周囲、LSIチップ7の全体及びワイヤー25の一部を封止する樹脂封止部31を形成する(封止工程)。
この封止工程において使用するポッティング材はシリコン系樹脂からなるが、その粘度は適度な大きさとしておくことが望ましい。これは、ポッティング材の粘度が大きすぎるとポッティング材が搭載面9aの全体にわたって広がりにくくなり、粘度が小さすぎるとポッティング材がワイヤー25を伝ってマイクロフォンチップ5の上面5aに流れ込むためである。なお、具体的な適正粘度(動粘度)Vpの範囲は6.0Pa・s<Vp<30Pa・sであり、この粘度はシリコン系樹脂に溶媒を加える等して重合度を大きくするように調整すればよい。
最後に、側壁部材13の先端部分に天板部材11を固定する(天板部形成工程)ことで、マイクロフォンパッケージ1の製造が完了する。
以上のように構成されたマイクロフォンパッケージ1において、ヘルムホルツの共鳴に基づくハウジング3の共振周波数を測定した結果の一例を表1に示す。なお、この測定においては、音響孔3aの直径寸法が0.76mm、天板部材11の厚さ寸法が0.1mmとなっている。また、空洞部S1全体の容積が6.5mm、マイクロフォンチップ5及びLSIチップ7の合計容積が2.0mmとなっている。
Figure 2008109649
なお、表1に記載の実効容積は、ハウジング3の空洞部S1のうち実際に空洞部分となる容積を示している。すなわち、樹脂封止部31を形成した場合の実効容積は、図1に示す実効空洞部Srの容積に相当している。
上記測定結果によれば、樹脂封止部31を空洞部S1内に形成してハウジング3内の実効容積を小さくすることで、ハウジング3の共振周波数が高くなることが分かる。また、一般に可聴領域の周波数の上限は20kHzと呼ばれているが、表1に示すように、樹脂封止部31の容積を1.3mmとすることで、共振周波数が可聴領域の周波数の上限よりも高くなることが分かる。
さらに、表1の樹脂封止部31の容積2.5mm,3.5mm,4mmに対応する共振周波数の値からもわかるように、ハウジング3内の実効容積が小さくなるにつれ、共振周波数も高くなることがわかる。したがって、樹脂封止部31の容積が1.3mm以上であると、共振周波数が可聴領域の周波数の上限を超えることが分かる。
本測定結果より、樹脂封止部31の容積は、マイクロフォンチップ5及びLSIチップ7の合計容積を除いた空洞部S1の容積(4.5mm)の半分以上とすることが好ましい。これにより、確実に共振周波数を可聴領域の周波数よりも高い周波数とすることが可能となる。
なお、ここでは可聴領域の周波数の上限を20kHzとして測定結果を説明したが、可聴領域の周波数の上限はマイクロフォンパッケージ1を搭載する各種機器の仕様等に応じて変化するため、ハウジング3の共振周波数が各種機器の仕様等に応じた可聴領域の周波数の上限よりも高くなるように、樹脂封止部31の容積を適宜調整すればよい。
上記マイクロフォンパッケージ1によれば、空洞部S1内に樹脂封止部31を形成することで、空洞部S1のうち実際の空洞部分となる実効空洞部Srの容積を容易に小さくすることができる。そして、ハウジング3の共振周波数は、実効空洞部Srの容積が小さい程高くなるため、樹脂封止部31の容積を調整するだけで、上記共振周波数を容易に可聴領域の周波数よりも高い周波数に引き上げることが可能となる。したがって、音響孔3aの大きさを小さく形成したとしても、マイクロフォンパッケージ1における音質向上を容易に図ることができる。
この時、本実施形態のマイクロフォンパッケージ1においては、各種機器の仕様等に応じて、封止工程においてポッティング材の充填量を調整するだけで、音響孔3aの大きさを変更することなく、共振周波数を容易に設定することができる。したがって、マイクロフォンパッケージ1の音質向上を図った上で、製造効率を向上させることができるとともに、設計の自由度を向上させることができる。
そして、樹脂封止部31の容積が、マイクロフォンチップ5及びLSIチップ7の合計容積を除いた空洞部S1の容積の半分以上であれば、上記共振周波数を確実に可聴領域の周波数よりも高い周波数とすることができる。
また、樹脂封止部31を弾性変形しやすいシリコン系樹脂により形成することで、ハウジング3と樹脂封止部31との熱膨張係数差に基づいて樹脂封止部31が膨張収縮する際に、樹脂封止部31が容易に弾性変形できるため、上述の膨張収縮がマイクロフォンチップ5に伝達されてダイヤフラム32が変形することを防止できる。したがって、上記膨張収縮に基づくマイクロフォンチップ5のマイク特性が変化することを防止できる。
なお、上記実施形態において、ハウジング3は、回路基板9、天板部材11及び側壁部材13の3つにより構成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも中空の空洞部S1、空洞部S1を外方に連通させる音響孔3a、及び、マイクロフォンチップ5やLSIチップ7を搭載する搭載面9aを有するように構成されていればよい。例えば、上記実施形態の側壁部材13は、回路基板9と共に多層配線基板をなすように上記実施形態の回路基板3と一体に形成されるとしてもよいし、天板部材11と共に回路基板9の搭載面9aを覆う蓋体部材をなすように、天板部材11と一体に形成されるとしても構わない。
なお、天板部材11及び側壁部材13が上記蓋体部材をなす場合には、搭載工程及び電気接続工程の完了後に、この蓋体部材を回路基板9の搭載面9aに固定した後で、ポッティング材を空洞部S1内に流し込む封止工程を行う必要がある。そして、この場合の封止工程では、例えば音響孔3aから樹脂材料を流し込めばよい。
また、樹脂封止部31は、シリコン系樹脂により形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくとも樹脂封止部31の膨張収縮に基づくダイヤフラム23の変形を防止できる程度に、弾性率が低く応力の小さい樹脂によって形成されていればよい。
さらに、樹脂封止部31は、搭載面9aからマイクロフォンチップ5と略同等の高さ位置まで満たされるとしたが、これに限ることはなく、少なくともマイクロフォンチップ5の上面5aを覆わないようにマイクロフォンチップ5の支持部21の周囲を封止していればよい。
また、上記実施形態においては、LSIチップ7を搭載したマイクロフォンパッケージ1について述べたが、これに限ることはなく、少なくともマイクロフォンチップ5を搭載したマイクロフォンパッケージに適用することができる。なお、マイクロフォンチップ5のみを搭載したマイクロフォンパッケージにおいても、樹脂封止部31の容積がマイクロフォンチップ5の容積を除いた空洞部S1の容積の半分以上となれば、ハウジング3の共振周波数を確実に可聴領域の周波数よりも高い周波数とすることができる。ただし、この構成の場合でも、樹脂封止部31の容積は、外方から音響孔3aに到達した音響が実効空洞部Srを介してマイクロフォンチップ5のダイヤフラム23に到達できるように、空洞部S1の容積よりも小さくする必要がある。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
この発明の一実施形態に係るマイクロフォンパッケージを示す概略側断面図である。
符号の説明
1・・・マイクロフォンパッケージ、3・・・ハウジング、3a・・・音響孔、5・・・マイクロフォンチップ、9・・・回路基板、9a・・・搭載面、11a・・・対向面(内面)、21・・・支持部、21a・・・内孔、23・・・ダイヤフラム、31・・・樹脂封止部、S1・・・空洞部

Claims (3)

  1. 中空の空洞部及び該空洞部を外方に連通させる音響孔を有するハウジングと、前記空洞部内の搭載面に搭載されて音響を検出するマイクロフォンチップとを備え、
    前記音響孔が、前記搭載面に対向する前記ハウジングの内面に開口し、
    前記空洞部内に、前記マイクロフォンチップの周囲及び前記搭載面を封止する樹脂封止部が形成されていることを特徴とするマイクロフォンパッケージ。
  2. 前記樹脂封止部の容積が、前記マイクロフォンチップの容積を除いた前記空洞部の容積の半分以上であり、かつ、該空洞部の容積よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のマイクロフォンパッケージ。
  3. 前記マイクロフォンチップが、支持部の内孔を覆うようにダイヤフラムを設けて構成されると共に、前記ダイヤフラムを前記搭載面に対向させるように搭載され、
    前記樹脂封止部が、シリコン系樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマイクロフォンパッケージ。
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