JP2008108950A - 直動装置および電子部品実装装置 - Google Patents

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【課題】高い冷却能力により熱変形を極力抑制した直動装置を提供する。
【解決手段】作業面に平行な一方向に延伸されたビーム10と、ビーム10に一方向に延伸して設けられたガイド11と、ガイド11に一方向に移動可能に設けられたスライダ12と、スライダ12に設けられた可動子13とビーム10に設けられた固定子14を備えたリニアモータとを備えた直動装置6であって、スライダ12と可動子13を離間して配置するとともに可動子13のスライダ12と対向する側に放熱フィン17を設け、スライダ12と可動子13の間に形成された空隙部に空気流を形成するファン18をさらに備えた。
【選択図】図2

Description

本発明は、ビームの延伸方向にスライダを移動可能にした直動装置および直動装置を備えた電子部品実装装置に関するものである。
実装分野においては、固定された本体に対し実装ヘッドを水平移動させる機構を備えた実装装置が広く用いられている。この水平移動機構としては、実装ヘッドを第1の方向に移動させる第1のビームと、第1のビームを第1の方向と直交する第2の方向に移動させる第2のビームとで構成された直交移動機構が広く用いられ、第1のビームと第2のビームのそれぞれの移動長さを直交する2辺とした矩形領域内で実装ヘッドが移動自在となっている。
近年、更なる面積生産性の向上を目的として、従来は第1のビームの両端部を平行して配置された2つの第2のビームで支持した両持ち支持形式であった直交移動機構を、第1のビームの一端のみを1つの第2のビームで支持する片持ち支持形式に変更したものが用いられている。片持ち支持形式では、自重による下方への撓みと、移動の際の加減速による水平方向への撓みにより、特に自由端側においてヘッドの位置決め精度が悪化するため、従来のスチール等に比べ格段に比重の小さいCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を素材としたビームを用い、変形を最小限に抑えることが行われている。
実装ヘッドの移動機構としてはリニアモータや送りねじ機構等が用いられる。特にリニアモータは、実装ヘッド側に装着された可動子とビーム側に装着された固定子の間で作用する強力な磁力や可動子から発生する熱の影響でビームに変形が生じ、実装ヘッドのスムーズな移動を妨げるとともに位置決め精度を悪化させる要因となっていた。特許文献1には、可動子と可動子が装着されるスライダとの間に空隙部を形成し、可動子からスライダへの熱伝達を抑制するとともに空隙部に流通する空気により冷却することでスライダの変形を極小化したものが記載されている。
特開2005−64418号公報
実装装置においてスループットを向上させるためには、リニアモータの推力を増大させることが有効であるが、それに伴って発熱量も増大するという問題がある。特許文献1に記載されたものは、実装ヘッドの水平移動の際に空隙部を流通する空気による冷却効果を企図したものであるが、移動距離や移動速度により冷却効果にばらつきがあるとともに実装ヘッドの停止中には十分な冷却効果が期待できなかった。
そこで本発明は、高い冷却能力により熱変形を極力抑制した直動装置および直動装置を備えた電子部品実装装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の直動装置は、作業面に平行な一方向に延伸されたビームと、前記ビームに前記一方向に延伸して設けられたガイドと、前記ガイドに前記一方向に移動可能に設けられたスライダと、前記スライダに設けられた可動子と前記ビームに前記一方向に延伸して設けられた固定子を備えたリニアモータと、を備え、前記スライダと前記可動子を離間して配置するとともに前記可動子の前記スライダと対向する側に放熱フィンを設け、前記スライダと前記可動子の間に空気流を形成する空気流形成手段をさらに備えた。
請求項2に記載の直動装置は、請求項1に記載の直動装置において、前記空気流形成手段が前記スライダに一体的に設けられた。
請求項3に記載の電子部品実装装置は、前記作業面と前記直動装置を備えた電子部品実装装置であって、前記スライダに電子部品の実装ヘッドが設けられ、前記作業面において基板に電子部品の実装を行う。
本発明によれば、可動子に発生した熱が放熱フィンから放熱され、空気流により発散されるので、スライダやビームに発生する熱変形が極力抑制され、位置決め精度やガイドの耐久性の向上が期待できる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本実施の形態の電子部品実装装置の斜視図、図2は本実施の形態の直動装置の斜視図、図3は図2のAA断面図、図4は本実施の形態の直動装置の側面図である。
最初に、電子部品実装装置の構成および動作について説明する。図1において電子部品実装装置1は、基台2に設けられた基板搬送装置3、電子部品供給装置4、第1の直動装置5、第2の直動装置6、実装ヘッド7とで構成されている。基台2の上面は水平面をなす作業面2aとなっており、この作業面2a上で実装作業が行われる。基板搬送装置3は、基板8をX方向に搬送する機能を有するとともに作業面2a上の所定の位置に保持する機能を有し、実装前の基板8を電子部品実装装置1に搬入し、実装中は所定の位置で保持した状態を維持し、実装後は基板8の保持を解除して電子部品実装装置1から搬出する。なお、以下の説明においては、基板8の搬送方向をX方向とし、これに水平面内で直交する方向をY方向としている。電子部品供給装置4は、内部に収納した複数の電子部品を所定の個数ずつ所定の姿勢で外部に供給する機能を備え、基板搬送装置3の両側方に複数個ずつ配置されている。
第1の直動装置5および第2の直動装置6は、基台2の上方で対象物をそれぞれY方向およびX方向に直線的に移動させる機能を備えている。第2の直動装置6は、その一端が第1の直動装置5に支持されており、第1の直動装置5の駆動によりY方向に移動することができる。また、第2の直動装置6には実装ヘッド7が支持されており、第2の直動装置6の駆動によりX方向に移動することができる。従って、第1の直動装置5と第2の直動装置6の駆動の組み合わせにより、実装ヘッド7を基台2の上方で水平移動させ、任意の位置に位置決めすることができる。実装ヘッド7には電子部品を吸着するノズル9が設けられており、ノズル9は電子部品供給装置4から供給された電子部品を吸着して基板4に実装する。
次に、第2の直動装置の構成および動作について説明する。図2および図3において、第2の直動装置6は、作業面2a(図1参照)と平行なX方向に延伸されたビーム10と、ビーム10のY方向における側部にX方向に延伸して設けられた一対のガイド11と、一対のガイド11にX方向に移動可能に設けられたスライダ12と、スライダ12に設けられた可動子13とビーム10に設けられた固定子14からなるリニアモータとで構成されている。
ビーム10は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP=Carbon Fiber Reinforced Plastics)製の筒状体10a、10b、10cをZ方向に積層し、第1の筒状体10aの両側に第2の筒状体10b、10cを配置した構成となっ
ている。CFRPは、炭素繊維にエポキシ樹脂などの高分子材料を含浸させた後、硬化させて成形した複合材料であり、強度に優れ、鉄やアルミ等の金属に比べ、同等の強度、剛性であっても、より軽量化できるという特長を有しているが、炭素繊維の加工が難しく、複雑な形状に成形することは困難であり、コストアップの要因となる。ビーム10は、個々の断面形状は比較的単純な矩形状である3つの筒状体10a、10b、10cをZ方向に積層して一体的に成形するため、製造工程において特別な困難性はない。
第2の筒状体10b、10cのスライダ12と相対する面には一対のガイド11がX方向に延伸して設けられ、第1の筒状体10aのスライダ12と相対する面には固定子14がX方向に延伸して設けられている。なお、第1の筒状体10aと第2の筒状体10b、10cのスライダ12と相対する面には一対のガイド11とリニアモータのY方向における寸法差に応じた段差が必要となるため、第1の筒状体10aは第2の筒状体10b、10cに比べY方向における延長が短くなっている。
スライダ12の第2の筒状体10b、10cと相対する箇所にはガイドブロック15が設けられ、一対のガイド11と係合してX方向に摺動自在となっている。スライダ12の第1の筒状体10aと相対する箇所には、スペーサ16を介して可動子13が設けられ、固定子14と所定の距離(ギャップ)をおいて対向している。可動子13のスライダ12と対向する側には、可動子13とスライダ12の間に形成された空隙部aに突出する放熱フィン17がX方向に沿って設けられている。ビーム10の先端部には、可動子13とスライダ12の間に形成された空隙部aにX方向の空気流を形成するファン18が設けられている。
直動機構を構成するリニアモータの可動子13側に内蔵されたコイルに電気を流して磁束を発生させると、固定子14に配列された永久磁石との間で作用する引斥力により可動子13に推進力が発生し、スライダ12がX方向に移動する。可動子13には電流により発熱が生じるが、空隙部aに存在する空気層による断熱効果と、セラミックやフェノール樹脂等の熱伝導率の小さい断熱性素材で形成されるスペーサ16による断熱効果によりスライダ12側に伝達しにくくなっている。また、スライダ12が移動する際には、空隙部aが通気孔の役割を果たすため、電流により可動子13に発生した熱が放熱フィン17から発散される。なお、スライダ12の停止中には、可動子13の発熱が放熱フィン17の周囲に滞留してしまうので、ファン18の駆動により空隙部aにX方向の空気流を強制的に形成して放熱を促す。
これにより、スライダ12やガイド11の熱変形に起因するスライダ12のスムーズな移動の阻害を防止し、位置決め精度の向上とガイド11の耐久性の向上を図ることができる。さらに、可動子13と固定子14の間には磁力による強力な吸引力が作用するが、ビーム10を構成する3つの筒状体10a、10b、10cの対向する側面で形成される2つの接合部19がリブの役割を果たし、可動子13と固定子14の間のギャップの変位や一対のガイド11の変形を極小化し、可動子13と固定子14の間に作用する吸引力に起因するスライダ12のスムーズな移動の阻害と位置決め精度の悪化を防止している。なお、空気流形成手段であるファン18は、放熱フィン17に近接している程より強力な空気流を形成することができるので、スライダ12に一体的に設け、スライダ12の位置に関わらず常に放熱フィン17に近接した状態に維持することで高い放熱効果が期待できる。
第1の直動装置5についても、以上説明した第2の直動装置6と同様の構成となっており、Y方向に延伸されたビーム25と、ビーム25のX方向における側部にY方向に延伸して設けられた一対のガイド26と、一対のガイド26にY方向に移動可能に設けられたスライダ27を備え、直動機構としてリニアモータを備えている。スライダ27のガイド26と対向する側には一対のガイド11と係合するガイドブロック28が設けられ、スラ
イダ27はリニアモータの駆動によりY方向に摺動自在となっている。第2の直動装置6は、その一端がスライダ27に片持ち支持された状態で装着されている。
図3において、スライダ12の上部はビーム10の上方を通って反対側方に突出する上部アーム12aとなっており、ビーム10の上方となる箇所に実装ヘッド7の動作制御を行う制御基板20が設けられている。制御基板20は、電子部品実装装置1全体の動作制御を行う図示しない主制御部や電源と接続されており、その接続ケーブルがビーム10を挟んでスライダ12の反対側方に配線されている。図4において、ビーム10のY方向における側方には、接続ケーブル21の配線経路を形成する配線ボックス22が設けられている。
配線ボックス22は長尺の筒状体であり、その一端はスライダ12の上部アーム12aの突出部に固定され、他端は下部ブラケット23に固定されている。下部ブラケット23は、ビーム10の下部から側方にX方向に延伸して設けられ、配線ボックス22の他端は、ビーム10が第1の直動装置5に支持される一端側に向けて開口するように固定されている。制御基板20に接続された配線ケーブル21は、ビーム10の一端側に導かれ、第2の直動装置5を経由して主制御部と接続される。配線ボックス22は可撓性を備えており、スライダ12のX方向への移動に伴って移動する一端と下部ブラケット23に固定された他端の間に形成される接続ケーブル21の配線経路を容易に変更できるようになっている。
このように、第2の直動装置6では、比較的重量が嵩む制御基板20、実装ヘッド7、接続ケーブル21の配線経路の重量バランスを考慮してビーム10の所定の位置に配設することで、ビーム10に作用する重量バランスを整えている。特に重量バランスの中心をビーム10の断面中心に近づけることで、スライダ27をガイド26に係合させるガイドブロック28にかかる荷重が略均一になるので、ガイド26とガイドブロックとの間に生じる摩擦力のむらをなくしスライダ27のスムーズな移動を実現するとともに偏磨耗を防止し、耐久性の向上を図ることができる。また、ビーム10の捻れ等の変形が抑制されるので、スライダ12のスムーズな移動の阻害と位置決め精度の悪化を防止することができる。なお、制御基板20は、ビーム10の下方に配設することも可能であり、そのY方向における位置を実装ヘッド7および接続ケーブル21の配線経路の重量バランスを考慮して変位させてもよい。
本実施の形態においては、スライダ12を移動させる直動機構としてリニアモータを用いているが、リニアモータの代わりに送りねじ機構を用い、固定部として機能する固定子を送りねじ駆動部に置換し、可動部として機能する可動子を送りねじと螺合するナットに置換することも可能である。この場合、ビーム10を構成する断面矩形の筒状体10a、10b、10cの接合部19がリブの役割を果たし、送りねじ駆動部の取り付け剛性が向上するので、送りねじの回転軸のずれが抑制され、ナットのスムーズな移動が阻害されず、スライダ12の位置決め精度の低下を防止することができる。また、スライダ12には、実装ヘッド7の他にカメラ等の撮像装置やペースト塗布装置等を装着することも可能であり、何れの装置を装着した場合であっても位置決め精度が向上し、品質の向上を図ることができる。
本発明によれば、可動子に発生した熱が放熱フィンから放熱され、空気流により発散されるので、スライダやビームに発生する熱変形を極力抑制することができるという利点を有し、電子部品の実装分野において有用である。
本実施の形態の電子部品実装装置の斜視図 本実施の形態の直動装置の斜視図 図2のAA断面図 本実施の形態の直動装置の側面図
符号の説明
1 電子部品実装装置
2a 作業面
6 第2の直動装置
7 実装ヘッド
8 基板
10 ビーム
11 ガイド
12 スライダ
13 可動子
14 固定子
17 放熱フィン
18 ファン

Claims (3)

  1. 作業面に平行な一方向に延伸されたビームと、前記ビームに前記一方向に延伸して設けられたガイドと、前記ガイドに前記一方向に移動可能に設けられたスライダと、前記スライダに設けられた可動子と前記ビームに前記一方向に延伸して設けられた固定子を備えたリニアモータと、を備え、
    前記スライダと前記可動子を離間して配置するとともに前記可動子の前記スライダと対向する側に放熱フィンを設け、前記スライダと前記可動子の間に空気流を形成する空気流形成手段をさらに備えた直動装置。
  2. 前記空気流形成手段が前記スライダに一体的に設けられた請求項1に記載の直動装置。
  3. 前記作業面と前記直動装置を備えた電子部品実装装置であって、
    前記スライダに電子部品の実装ヘッドが設けられ、前記作業面において基板に電子部品の実装を行う電子部品実装装置。
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