JP2008106214A - 密閉容器用熱可塑性樹脂 - Google Patents

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絵美 井上
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慶次郎 高西
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Abstract

【課題】
透明で厚みを変えても優れた外観性を発現し、また水蒸気バリア性に優れ、かつ成形性、耐熱性、低吸水性、耐衝撃性、光学特性などが良好な密閉容器用熱可塑性樹脂を提供する。
【解決手段】
下記一般式(1)で示される2価フェノール残基を含み、厚さ1mmあたりにおける全光線透過率が80%以上99%以下であって、かつ厚さ50μmあたりにおける水蒸気透過度が温度40℃、相対湿度90%RHの測定条件で1g/m/24hr以上35g/m/24hr以下であることを特徴とする密閉容器用熱可塑性樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明は、外観性、水蒸気バリア性、成形性、耐熱性、低吸水性、耐衝撃性、光学特性などに優れた密閉容器用熱可塑性樹脂に関する。
従来、密閉容器の一つとして、射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形法によって成形される種々の形態のプラスチック製容器がある。これらプラスチック製容器は、ガラス製容器と比べ、軽量、割れにくい、安価、製造が容易、そして大量生産が可能等の種々の利点を有し、密閉容器として広く用いられている。
これらプラスチック製容器は、上記のような利点を有する一方、酸素、水蒸気、炭酸ガス等のガス透過性に劣るといった欠点がある。また、上記のプラスチック製容器においては、プラスチック組成中に含まれる可塑剤、安定剤、その他の添加剤、あるいは、残留モノマー等が溶出し、内容物の品質等に影響を与える恐れがあるといった問題もある。上記のような問題を解決するため、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、ナイロンMXD6、エチレンービニルアルコール共重合樹脂(以下、EVOHという)、ポリグリコール(以下、PGAという)、等の樹脂を中間層とすることでバリア層を設けた、水蒸気バリア性に優れるプラスチック製容器が開示されている。また、特許文献2には、ポリエステルにナイロンとコバルト金属とを含有させた樹脂層を設けることにより、酸素捕集機能を有するプラスチック製容器が開示されている。さらに、プラスチック製容器の表面に、ガスバリア性樹脂組成物をコーティングして、ガスバリア性被膜を形成したプラスチック製容器や、プラスチック製容器の表面や内面に、酸素珪素薄膜を形成したプラスチック製容器(特許文献3ないし5)等が提案されている。
しかしながら、いずれの方法も樹脂そのものの水蒸気バリア性を高めているわけではなく、水蒸気バリア性の高い層を設けることで、その複合体として水蒸気バリア性を向上させているに過ぎないため、上記のような方法では、樹脂の中にバリア層を設けたり、樹脂の表面にバリア性被膜を設けたりするための余計な工程が必要となる。このため、製造プロセスの簡略化や設備の初期投資といった観点では、上記の方法を採用することが好ましくない。したがって、成形体そのものでの水蒸気バリア性を向上させることが可能な樹脂が望まれていた。
一方、広く樹脂という枠組みの中では、水蒸気バリア性の高い樹脂は数多く存在し、実際に密閉容器として用いられているものも多い。だが、それらの樹脂成形体は全て不透明あるいは着色があり、成形体の厚みを薄くしたとしても外観性に問題がある。また、そのような水蒸気バリア性の高い樹脂は熱硬化性樹脂が多く、熱可塑性樹脂と比べると成形性の面で望ましくない。したがって、無色透明で水蒸気バリア性が高く、樹脂成形体単体で密閉容器として使用可能であり、かつ成形性に優れた樹脂が求められていた。
特開2003−136057号公報 特表平2−500846号公報 実開平5−35660号公報 特開2000−43875号公報 特開2000−117881号公報
本発明者らは、上記の要求を満たすために鋭意検討を重ね、外観性、水蒸気バリア性、成形性、耐熱性、低吸水性、耐衝撃性、光学特性などに優れた熱可塑性樹脂を見出し、本発明に至った。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。すなわち、
[1]下記一般式(1)で示される2価フェノール残基を含み、厚さ1mmあたりにおける全光線透過率が80%以上99%以下であって、かつ厚さ50μmあたりにおける水蒸気透過度が温度40℃、相対湿度90%RHの測定条件で1g/m/24hr以上35g/m/24hr以下であることを特徴とする密閉容器用熱可塑性樹脂。
Figure 2008106214
[一般式(1)中、R、Rは各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基およびニトロ基からなる群から選ばれた原子または官能基を表し、p、qはp+q=0〜8の整数、Yは単結合、エーテル基、チオエーテル基、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオキシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基およびフルオレン基からなる群からから選ばれた官能基を表す。一般式(1)は、さらに置換されていても良い。]
[2]上記一般式(1)で示される2価フェノール残基において、Yがシクロアルキリデン基であることを特徴とする[1]に記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
[3]上記一般式(1)で示される2価フェノール残基において、酸素官能基に対してo位に炭素を含む置換基を有することを特徴とする[1]または[2]に記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
[4]上記一般式(1)で表される2価のフェノール残基が、下記一般式(2)で示す化合物であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
Figure 2008106214
[5]ガラス転移温度が110℃以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
[6]曲げ弾性率が1000MPa以上であり、かつ曲げ強さが50MPa以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
[7]該熱可塑性樹脂からなる成形体における温度23℃の水中浸漬24時間後の吸水率が1%未満である[1]〜[6]のいずれかに記載の水溶液保存用熱可塑性樹脂製容器。
[8]ビシクロアルキル構造を有するホスホン酸残基を含むことを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
[9]ビシクロアルキル構造を有するホスホン酸残基が、下記一般式(3)で示されることを特徴とする[8]に記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
Figure 2008106214
[一般式(3)中、l、m、nはそれぞれ独立に1〜4の整数、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子および非共有電子対からなる群から選ばれた原子または電子対を表す。Rは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた官能基または原子を表し、rは0〜4の整数である。一般式(3)のホスホン酸残基は、さらに置換されていても良い。]
[10]カーボネート残基、および/または、下記一般式(4)で示されるホスホン酸残基を含み、全ホスホン酸残基のモル数と、カーボネート残基の合計モル数が式(I)を満足することを特徴とする[9]に記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
Figure 2008106214
1≧(a)/{(a)+(b)}≧0.01 (I)
[一般式(4)中、Rは有機基、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子および非共有電子対からなる群から選ばれた原子または電子対を表す。ただし、一般式(4)のホスホン酸残基は[9]の一般式(3)のホスホン酸残基とは異なる構造を有する。また、式(I)中、(a)は全ホスホン酸残基のモル数、(b)はカーボネート残基のモル数を示す。]
である。
本発明は、外観性、水蒸気バリア性、成形性、耐熱性、低吸水性、耐衝撃性、光学特性などに優れた密閉容器用熱可塑性樹脂に関する。
本発明によって得られた密閉容器用熱可塑性樹脂は、下記に示す効果がある。
(1)射出成形が可能であり、大量生産性および安価な密閉容器が得られる。
(2)低吸水性および高いガラス転移温度(Tg)を有する密閉容器が得られる。
(3)水蒸気バリア性に優れた密閉容器が得られる。
(4)耐衝撃性に優れ、厚みの薄い密閉容器が得られる。
(5)任意の形状への成形性において高温処理による変形や劣化がない密閉容器が得られる。
本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂は、厚さ1mmあたりにおける全光線透過率が80%以上99%以下であることが必要である。厚さ3mmあたりにおける全光線透過率は、その成形体の透明性の優位さを生かすため、85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
なお、全光線透過率は以下に定義される。厚さ3mmの試料をデジタルカラーコンピュータ(スガ試験機(株)社製:SM−7CH)を用いて、透過法により3刺激値(X、Y、Z)を求め、全光線透過率はそのY値として定義される。全光線透過率は、ランベルト・ベールの法則を適用することで、厚さの異なる試料においても換算可能である。
ここで、熱可塑性樹脂とは、樹脂のガラス転移温度または融点まで加熱することによって軟らかくなり成形加工しやすくなり、冷却すると硬化する性質をもつ合成樹脂のことを言う。
本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂は、下記一般式(1)で示される2価フェノール残基を含むことが必要である。
Figure 2008106214
一般式(1)中、R、Rは、各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基およびニトロ基からなる群から選ばれた原子または官能基である。p、qはp+q=0〜8の整数である。Yは、単結合、エーテル基、チオエーテル基、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオキシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基およびフルオレン基からなる群から選ばれた官能基である。一般式(1)の2価フェノール残基はさらに置換されていても良い。
前記一般式(1)で表される2価フェノール残基を構成する2価フェノールの中でも、水蒸気バリア性、力学特性および耐熱性的には、前記一般式(1)で示されるYが、シクロアルキリデン基、分岐鎖含有アルキレン基、分岐鎖含有シクロアルキリデン基およびビシクロアルキリデン基からなる群から選ばれたものが特に好適であり、具体的に例示すると、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナンである。
これら2価フェノールの中でも、発明者らは鋭意検討の結果、前記一般式(1)で示されるYが、シクロアルキリデン基からなり、かつ酸素官能基に対してo位に炭素を含む置換基を有するものが水蒸気バリア性に関して特に好適であることを見出した。この2価フェノールを具体的に例示すると、4,4‘−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4‘−シクロペンチリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4‘−(1−メチルエチリデン)ビス[2−メチルフェノール]、3,3‘−ジメチル[(1,1‘−ビフェニル)−4,4‘ジオール]があげられ、特に下記に示す4,4‘−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノール)が好適である。
Figure 2008106214
また、ジヒドロキシベンゼンを、本発明の効果が損なわれない範囲で用いることができる。これらジヒドロキシベンゼンとしては、レゾルシノール、ハイドロキノンおよび1,2−ジヒドロキシベンゼン等が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することができる。
また、本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂は、必ずしも直鎖状である必要はなく、得られる密閉容器用熱可塑性樹脂の性能に応じて、多価フェノールを共重合することができる。
このような多価フェノールの中でも好ましいものを具体的に例示すると、トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。これらは1種類でも、複数種含まれていても良い。
また、本発明で用いられるビシクロアルキル構造としては、環を形成する炭素数が12(ビシクロドデカン)以下のコンパクトな構造が、単位空間あたりにSP炭素を多く含有させるという観点から好ましく、より好ましくは環を形成する炭素数が9(ビシクロノナン)以下であるものが好ましい。
本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂は、ビシクロアルキル構造を有するホスホン酸残基を含むことが好ましい。
ビシクロアルキル構造を有するホスホン酸残基において、かかるビシクロアルキル構造とリン原子の結合については、空間にSP炭素をより多く含有させるために、ビシクロアルキル骨格に直接リン原子が結合していることが最も好ましいが、メチレン基あるいはエチレン基などのアルキレン基を間に介して結合していてもよい。ポリマー構造を疎水性にするという観点から、さらに好適なビシクロアルキル基を有するホスホン酸残基は、下記一般式(2)に示す構造のホスホン酸残基である。
Figure 2008106214
一般式(2)中、l、m、nは、それぞれ独立に1〜4の整数を表す。この範囲にあることにより、単位空間あたりにSP炭素を多く含有させることができる。l、m、nは、より好ましくは1〜3の整数である。また、Xは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子および非共有電子対からなる群から選ばれた原子または電子対を表す。また、一般式(2)は、さらに置換されていても良い。
ビシクロアルキル構造上におけるリン原子との結合位置は任意であり、橋頭あるいは橋どちらであってもよい。置換基Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた官能基または原子であり、またrは0〜4の整数である。rが2以上の整数である場合、同一原子ビシクロアルキル構造上に、異なる置換基Rを2種以上含んでもよい。また、熱可塑性樹脂中に、l、m、n、RあるいはXの異なるホスホン酸残基を2種以上含んでもよい。
かかるビシクロアルキル基の好適な構造を例示すると、ビシクロ[2,2,1]−1−ヘプチル(1−ノルボルニル)、ビシクロ[2,2,1]−2−ヘプチル(2−ノルボルニル)、ビシクロ[2,2,1]−7−ヘプチル(7−ノルボルニル)、ビシクロ[2,2,2]−1−オクチル、ビシクロ[2,2,2]−2−オクチル、ビシクロ[3,2,1]−2−オクチル、およびビシクロ[3,2,2]−1−ノニル、ビシクロ[4,2,2]−2−デカニル等が挙げられる。これらは1種類でも、複数種含まれていてもよい。
ビシクロアルキル構造上の置換基Rは、力学特性や熱特性を制御すべく、光学特性を損なわない程度に導入されていてもよいが、単位空間あたりにSP炭素をより多く含有させるという観点から、置換基Rとしてはメチル基、エチル基およびハロゲン基などコンパクトな構造が好ましい。また、その置換基rも同様の観点から、4以下が好ましく、より好ましくは2以下である。
本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂は、熱的、化学的あるいは力学的特性などを制御するために、前記一般式(2)で示されるホスホン酸残基以外に、下記一般式(3)で示されるホスホン酸残基を含有させることができる。
Figure 2008106214
一般式(3)中、Rは有機基、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子および非共有電子対からなる群から選ばれた原子または電子対を表すが、一般式(3)のホスホン酸残基は、前記一般式(2)のホスホン酸残基とは異なる構造を有する。
前記一般式(3)で表されるホスホン酸残基を構成する置換基Rを具体的に例示すると、フェニル、ハロ置換フェニル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、ベンジル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロ置換アルキルおよびアルキルサルファイド基等が挙げられる。
また、前記一般式(3)におけるXが硫黄原子であるチオホスホン酸残基や非共有電子対であるホスホナウス酸残基も同様に挙げられる。これらは1種類でも、複数種含まれていてもよい。
本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂は、熱的、化学的、力学的特性あるいは成形性などを制御するために、他の酸残基を含有させることができる。かかる他の酸残基を例示すると、ケイ素酸、硫酸、ホウ酸などのヘテロ酸残基、カーボネート残基、および2価カルボン酸残基が挙げられる。化学的安定性等の観点からは、カーボネート残基が好ましい。
かかるヘテロ酸残基、カーボネート残基および2価カルボン酸残基などの他の酸残基は、本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂に、下記式(I)で示される共重合分率の範囲内で含有させることによって、熱的、光学的、力学的特性および成形性などを制御することができる。
1≧(a)/{(a)+(b)}≧0.01 (I)
式(I)は、前記一般式(2)で示されるホスホン酸残基と前記一般式(3)で示されるホスホン酸残基の合計の、カーボネート残基を含んだ全酸残基に対する共重合分率を表す式である。すなわち、前記式(I)中の(a)は、前記一般式(2)で示されるホスホン酸残基と前記一般式(3)で示されるホスホン酸残基の合計モル数(全ホスホン酸残基のモル数)であり、(b)はカーボネート残基のモル数を示す。全ホスホン酸残基のモル分率である上記式(I)の[(a)/{(a)+(b)}]の値は、光学特性の観点から、0.05以上の範囲にあることが好ましく、0.25以上がより好ましい。
また、カーボネート残基とは、炭酸エステルや炭酸ハライドなどを原料として得られる構造単位であり、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどの炭酸エステル、ホスゲン、およびトリホスゲンなどの炭酸ハライドが挙げられる。
次に、本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂の製造方法および樹脂成形体の成形法について述べる。
ビシクロアルキルを有するホスホン酸残基を誘導する重合前駆体としては、対応する酸ハロゲン化物あるいはエステルなどを用いることができる。その合成法としては、リン含有ビニル誘導体と各種環状ジエン化合物とのディールス−アルダー反応と水素添加反応を経由する方法(例えば、Phosphorus, Sulfur and Silicon and Related Elements、1997、123号、35頁参照。)などが知られており、それら公知の方法を用いることができる。
すなわち、例えば、ビシクロ[2,2,1]−2−ヘプチルホスホン酸誘導体の場合は、シクロペンタジエンとビニルホスホン酸誘導体とを、ビシクロ[2,2,2]−2−オクチルホスホン酸誘導体の場合は、シクロヘキサジエンとビニルホスホン酸誘導体とをディールス−アルダー反応させた後、水素添加することによって得ることができる。
本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂の製造方法としては、酸ハロゲン化物と2価のフェノールを有機溶剤中で反応させる溶液重合法(例えば、特公昭37−5599号公報参照。)や、酸ハロゲン化物と2価のフェノールを塩化マグネシウム等の触媒存在下で加熱する溶融重合法、2価の酸と2価のフェノールをジアリルカーボネートの存在下で加熱する溶融重合法(例えば、特公昭38−26299号公報参照。)、および水と相溶しない有機溶剤に溶解せしめた2価の酸ハロゲン化物とアルカリ水溶液に溶解せしめた2価のフェノールとを混合する界面重合法(例えば、特公昭40−1959号公報参照。)等が挙げられるが、特に溶液重合法が好適に採用される。
溶液重合法について一例を説明すると、ホスホン酸残基の前駆体分子であるホスホン酸誘導体と、2価フェノールをトリエチルアミンなどの塩基存在下混合して反応させ、続いてカーボネート残基の前駆体分子、例えば、ホスゲン、トリホスゲンなどを添加して縮合重合することによって、本発明の樹脂を得ることができる。ホスホン酸誘導体、カーボネート誘導体としては、それらのハロゲン化物、酸無水物およびエステル等が用いられるが、その種類や2価フェノールに作用させる順序は特に限定されない。
本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂の分子量を調節する方法としては、重合時に一官能の物質を添加して行うことができる。ここで言う分子量調節剤として用いられる一官能物質としては、例えば、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライドおよびフェニルクロロホルメート等の一価酸クロライド類が挙げられる。
本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂には、その特性を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、チオエーテル系およびリン系の各種抗酸化剤を添加することができる。
さらに、本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂は、所望の効果を損なわない範囲で、他の樹脂と配合して、成形材料として使用することも可能である。配合する樹脂の例として、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、パラオキシベンゾイル系ポリエステル、ポリアリーレート、およびポリスルフィド等が挙げられる。
また、本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂は、有機溶媒に対して高い溶解性を有しており、このような溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、およびヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。
さらに、本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂は非晶性であるが、非晶性であるかどうかは公知の方法、例えば、示差走査熱量分析(DSC)や動的粘弾性測定等により融点が存在しているかどうかを確認すれば良い。
本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂の構成成分の分析法については、核磁気共鳴(NMR)スペクトルを用いる方法が好適で、特に、ホスホン酸残基におけるリン原子上の置換基については、プロトンあるいはリン原子核磁気共鳴が好適である。さらに、熱可塑性樹脂そのもののスペクトルによる同定の精度が十分でない場合には、本発明で用いられる熱可塑性樹脂をアルカリ類により加水分解し、モノマー成分へと分解した後、各成分を定量および定性分析することができる。例えば、本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂を無水アルコール中、大過剰のアルカリ金属アルコラートなどの強塩基で処理することにより、2価フェノール残基は2価フェノールに、各酸残基はアルコラートイオンに対応するエステルに分解する。これらはいずれも低分子量体であるため、高速液体クロマトグラフィーにより定量および分離した後、NMRスペクトルなどによる詳細な構造分析が可能である。
本発明に係る密閉容器用熱可塑性樹脂から、例えば、板状の成形体を得る方法については、公知の方法を採用して製造することができ、特に限定されないが、成形法としては、例えば、射出成形法、プレス成形法、圧縮成形法、トランスファ成形法、積層成形法および押し出し成形法などが挙げられる。
また、フィルム状に成形する場合には、溶液製膜法や溶融押し出し製膜法などが挙げられ、特に溶液製膜法が好適に採用される。溶液製膜法においては前記有機溶媒を適宜用いることができるが、好ましくはハロゲン含有溶媒、特に好ましくはクロロホルムを使用して成形することが好ましい。
本発明で用いられる密閉容器用熱可塑性樹脂は、熱可塑性であるがゆえに容易に成形することができる。本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂からなる成形体は、透明性が高く、かつ水蒸気バリア性に優れていることから、中身が確認可能な密閉容器を提供することができる。
本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂は、水溶液の保存用密閉容器用熱可塑性樹脂として好適に用いられる。ここで、水溶液とは水に塩などの水溶物を溶解させたものを言い、その水溶物は特に限定されない。また、水溶物がなく水のみの場合であっても、水溶液に含むものとする。 本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂からなる密閉容器とは、本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂のみでできた容器だけでなく、蓋部分のみに本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂を板状あるいはフィルム状にして用いたものでもよいし、蓋部分以外が本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂で、蓋部分が他の樹脂やガラス等を用いたものでもよい。また、本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂をフィルム状にしたものを熱シールし、袋状にしたものでもよい。また、本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂を密閉系のパイプ状にしたものでもよいし、本発明樹脂を板状にしたものの間にパッキンをかませたものでもよい。
本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂は、50μmあたりにおける水蒸気透過度が温度40℃、相対湿度90%RHの測定条件で1g/m/24hr以上35g/m/24hr以下であることが必要である。より好ましくは1g/m/24hr以上20g/m/24hr以下、さらに好ましくは1g/m/24hr以上10g/m/24hr以下である。ここで、水蒸気透過度の測定に用いるフィルムの成形方法は、上記のうちのいずれの方法であってもよい。また、厚さの異なる試料においては、厚さ50μmあたりに換算することができる。
水蒸気透過度の値は、一般に温度、湿度など他の条件が全て同じ場合、成形体の厚みに反比例すると言われる。したがって、ある一定の厚みのフィルム状の成形体を作製し、そのフィルムで水蒸気透過度を測定し、最後にその値を50μmでの値に換算すればよい。これにより他の樹脂の水蒸気透過度と比較可能となる。
本発明における密閉容器用熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、高温処理による変形や劣化がない110℃以上であることが望ましい。より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。ガラス転移温度が300℃を超えると、任意の形状に樹脂を成形しようとする際には、ガラス転移温度以上まで温度を上げることになるため、樹脂骨格が分解反応を起こしてしまう場合がある。また、ガラス転移温度が350℃を超えることは通常困難である。
本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂の曲げ弾性率は、1000MPa以上かつ曲げ強さが50MPa以上であることが、密閉容器用熱可塑性樹脂の扱い易さという観点から望ましい。密閉容器用熱可塑性樹脂は、密閉容器として取り扱われるため、高い柔軟性と非破砕性を有することが好ましく、具体的には曲げ弾性率は、1000MPa以上かつ曲げ強さが50MPa以上であることが好ましい。上限については特に制限はないが、曲げ弾性率は、100000MPa以下かつ曲げ強さが10000MPa以下であることが樹脂のその他の特性とのバランスをとるという観点から好ましい。
本発明の密閉容器用熱可塑性樹脂における温度23℃の水中浸漬24時間後の吸水率は1%未満であることが内容物の長期保存の観点から望ましい。1%以上であれば、長時間経過後に密閉容器の寸法変形が顕著に現れるため、密閉容器の実用面から好ましくない場合がある。また、下限は特に設けられない。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、各測定および評価は次の方法で行った。
1.全光線透過率
デジタルSMカラーコンピューター(スガ試験機(株)社製:SM−7−CH)を使用し、幅10mm、長さ25mm、厚さ3mmとなるように作製した樹脂成形体の全光線透過率(Tt%)を測定した。厚さが異なる樹脂成形体の場合は、厚さが2.9mmから3.1mmの範囲であれば、そのまま測定し、そうでない場合は厚さが2.9mmから3.1mmの範囲となるようスライス等を行い、測定した。
2.水蒸気透過度
水蒸気透過試験機(MOCON社製:PERMATRAN))を使用し、厚さ50μmとなるように作製した樹脂成型体(フィルム)の水蒸気透過度を測定した。測定条件は、温度40℃、相対湿度90%RHである。厚さが異なる樹脂フィルムの場合は、厚さが30μmから70μmの範囲であれば、そのまま測定し、そうでない場合は厚さが30μmから70μmの範囲となるようスライス等を行い、測定した。
3.ガラス転移温度
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)社製:SSC5200)を使用し、下記の条件で樹脂粉末のガラス転移温度(Tg)を測定した。なお、測定は1つのサンプルに対して、サンプルを測定器から取り出すことなしに2回の測定操作を行い、2回目の測定結果を使用した。すなわち、1回目の測定操作の終了後、直ちに下記の(ア)の条件で冷却と冷却後の温度の安定化を行い、その後直ちに同条件で2回目の測定を行って求めた。
試料容器:アルミニウム製開放型試料容器
サンプル量:約5mg
雰囲気:乾燥窒素流(20ml/min)
測定条件:0〜250℃
昇温速度:10℃/分
(ア)冷却、温度安定化条件
20ml/minの乾燥窒素流雰囲気下、冷却速度20℃/minで0℃まで冷却し、その状態で30分間保持し、温度を安定化させた。
4.曲げ弾性率と曲げ強さ
ロボットテンシロン(オリエンテック社製:RTM100)を使用し、幅10mm、長さ25mm、厚さ3mmとなるように作製した樹脂成形体の曲げ弾性率と曲げ強さを測定した。測定条件は、温度23℃、相対湿度50%RHである。
5.吸水率
幅10mm、長さ25mm、厚さ3mmとなるように作製した樹脂成形体を50℃に調節したオーブンで24時間乾燥した後、デシケータに入れて室温まで冷却し質量を測定する(mグラム)。次に、23℃に調節した蒸留水を入れた容器に樹脂成形体を入れる。24時間樹脂成形体を浸漬した後、水から取り出し、表面の水分を清浄で乾いた布で全てふき取る。水から取り出して1分以内に再度質量を測定する(mグラム)。吸水率は以下の式(2)にて表す。
(m−m)/m×100 (%) (2)
[式(2)中、mは初期乾燥後、浸漬前の試験片質量(mg)、mは浸漬後の試験片質量を表す。]
なお、本願の樹脂成形体は以下のとおり作製した。
[1]熱可塑性樹脂の合成
表1に示した組成に従って、実施例1〜8の各熱可塑性樹脂を合成した。その合成法を実施例3の組成を例にとって述べる。
窒素雰囲気下、塩化メチレン(40ml)中に、原料M1(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン)40mmolと原料M2(4,4‘−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノール)とトリエチルアミン168mmolを混合し、20℃で攪拌した。この溶液に氷浴下で濃度0.581mol/lである原料M8(トリホスゲン)の塩化メチレン溶液(11.5ml)を10分かけて滴下し、滴下終了後20℃で60分間攪拌した。この溶液に原料M6(2−ノルボルニルホスホン酸ジクロライド:40mmol)の塩化メチレン(5mol/L)溶液を15分間かけて滴下し20℃で3時間攪拌し、続いてこの溶液に氷浴下で濃度0.581mol/lである原料M8(トリホスゲン)の塩化メチレン溶液(9.2ml)を20分かけて滴下し、滴下終了後20℃で60分間攪拌した。この溶液にハイドロサルファイトが溶解しているアルカリ金属化合物である苛性ソーダ水溶液を添加し、続いてこの溶液に濃度0.581mol/lである原料M8(トリホスゲン)の塩化メチレン溶液(4.6ml)を20分かけて滴下し、滴下終了後20℃で60分間攪拌した。
その後反応溶液に塩化メチレン50mlを注入し、0.1NHCl水溶液および蒸留水を注ぎ、水溶液層のpHを6.5付近にして有機層を脱塩洗浄し分離した。その後分離した有機層を0.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、エタノール2000mlに投入して再沈しポリマーを濾取した後、100℃で20時間乾燥して目的の樹脂粉末を合計収率90%で得た。
その他の実施例1、2、4〜9についても、原料の添加量を表1に示した各組成になるように変更したこと以外は、同様にして、熱可塑性樹脂粉末を合成した。
表1に示した組成に従って、実施例10〜12の各熱可塑性樹脂を合成した。その合成法を実施例11の組成を例にとって述べる。
窒素雰囲気下、塩化メチレン(40ml)中に、原料M1(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン)80mmolとトリエチルアミン168mmolを混合し、氷浴下撹拌した。得られたこの溶液に、原料M6(2−ノルボルニルホスホン酸ジクロライド:12mmol)の塩化メチレン(5mol/L)溶液を15分間かけて滴下し、滴下終了後室温で60分間撹拌した。続いて、原料M7(フェニルホスホン酸ジクロライド:16mmol)の塩化メチレン(5mol/L)溶液を15分間かけて滴下し、滴下終了後室温で60分間撹拌した。
その後、M8(トリホスゲン、ホスゲン換算で52mmol)の塩化メチレン溶液(0.6mol/L)を15分かけて滴下し、滴下終了後60分間撹拌した。続いて反応溶液を孔径0.5μmの濾紙で濾過することにより固体成分を除去し、0.1N塩酸水溶液80mlと純水300mlの混合液で数回溶液を洗浄した。その後、分離した有機層をエタノール2000mlに投入して再沈し、ポリマーを濾取した。生成した固体状ポリマーを、(1)エタノール1000ml、(2)水/エタノール=1/1混合溶液1000ml、(3)水1000mlの順で洗浄し、乾燥して目的の熱可塑性樹脂粉末を収率95%で得た。
その他の実施例10、12についても、原料の添加量を表1に示した各組成になるように変更したこと以外は、同様にして、熱可塑性樹脂粉末を合成した。
[2]熱可塑性樹脂からなる板状成形体の作製
実施例1〜12については[1]で得られた熱可塑性樹脂粉末、比較例1についてはポリカーボネート樹脂ペレット(Bayer社製:商品名Makrolon(登録商標) 1857)、2についてはポリスルホン樹脂ペレット(Solvay社製:商品名Udel(登録商標) 1700)を射出成形法により、幅10mm、長さ25mm、厚さ3mmの板状の透明樹脂成形体を作製し、全光線透過率、ガラス転移温度、曲げ弾性率、曲げ強さおよび吸水率を測定した。各実施例および比較例における測定値を、表2に示した。
[3]熱可塑性樹脂からなるフィルムの作製
実施例1〜89については[1]で得られた熱可塑性樹脂粉末、比較例1についてはポリカーボネート樹脂ペレット(Bayer社製:商品名Makrolon(登録商標) 1857)、2についてはポリスルホン樹脂ペレット(Solvay社製:商品名Udel(登録商標) 1700)をクロロホルムで溶解させ、20重量%の溶液を得た。溶液を20cm四方のガラス基板上に塗布し、熱風乾燥機にて50℃で5分乾燥した。シート状の樹脂をガラス基板から剥離し、15cm四方の型を用いてフィルム外枠だけ固定し、熱風乾燥機にて70℃から樹脂のガラス転移温度+10℃までそれぞれ10分乾燥させた後、真空乾燥機にて120℃、10時間乾燥し、熱可塑性樹脂からなるフィルムを得た。フィルムの厚みは、おおよそ50μmになるように基板に塗布する溶液量を適宜調節した。得られたフィルムを用いて水蒸気透過度を測定した。各実施例および比較例における測定値を、表2に示した。
実施例10〜12については[1]で得られた熱可塑性樹脂粉末をクロロホルムで溶解させ、5重量%の溶液を得た。溶液を20cm四方のガラス基板上に塗布し、真空乾燥機にて60℃、1時間乾燥した。シート状の樹脂をガラス基板から剥離し、15cm四方の型を用いてフィルム外枠だけ固定し、そのまま真空乾燥機にて120℃、4時間乾燥し、熱可塑性樹脂からなるフィルムを得た。フィルムの厚みは、おおよそ50μmになるように基板に塗布する溶液量を適宜調節した。得られたフィルムを用いて水蒸気透過度を測定した。各実施例および比較例における測定値を、表2に示した
Figure 2008106214
(注)モノマー名称
M1:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
M2:4,4‘−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノール) 構造を下記に示す。
Figure 2008106214
M3:4,4‘−シクロペンチリデンビス(2−メチルフェノール) 構造を下記に示す。
Figure 2008106214
M4:4,4‘−(1−メチルエチリデン)ビス[2−メチルフェノール] 構造を下記に示す。
Figure 2008106214
M5:3,3‘−ジメチル[(1,1‘−ビフェニル)−4,4‘ジオール] 構造を下記に示す。
Figure 2008106214
M6:4,4‘−シクロドデキリデンビス(2−メチルフェノール)構造を下記に示す。
Figure 2008106214
M7:2−ノルボルニルホスホン酸ジクロライド
M8:フェニルホスホン酸ジクロライド
M9:トリホスゲン(共重合比はホスゲン換算)
Figure 2008106214
比較例1、2の樹脂成形体は、全光線透過率、ガラス転移温度、曲げ弾性率、曲げ強さ、吸水率の値は優れているが、水蒸気透過度において高い値を示していることから、密閉容器用熱可塑性樹脂として難点がある。
それに対し、実施例1〜12の樹脂成形体は、全光線透過率、ガラス転移温度、曲げ弾性率、曲げ強さ、吸水率ならびに水蒸気透過度について良好な値を示し、密閉容器用熱可塑性樹脂として好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で示される2価フェノール残基を含み、厚さ1mmあたりにおける全光線透過率が80%以上99%以下であって、かつ厚さ50μmあたりにおける水蒸気透過度が温度40℃、相対湿度90%RHの測定条件で1g/m/24hr以上35g/m/24hr以下であることを特徴とする密閉容器用熱可塑性樹脂。
    Figure 2008106214
    [一般式(1)中、R、Rは各々独立にハロゲン原子、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基およびニトロ基からなる群から選ばれた原子または官能基を表し、p、qはp+q=0〜8の整数、Yは単結合、エーテル基、チオエーテル基、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオキシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基およびフルオレン基からなる群からから選ばれた官能基を表す。一般式(1)は、さらに置換されていても良い。]
  2. 上記一般式(1)で示される2価フェノール残基において、Yがシクロアルキリデン基であることを特徴とする請求項1に記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
  3. 上記一般式(1)で示される2価フェノール残基において、酸素官能基に対してo位に炭素を含む置換基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
  4. 上記一般式(1)で表される2価フェノール残基が、下記化合物であることを特徴とする請求項請求項1〜3のいずれかに記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
    Figure 2008106214
  5. ガラス転移温度が110℃以上である請求項1〜4のいずれかに記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
  6. 曲げ弾性率が1000MPa以上であり、かつ曲げ強さが50MPa以上である請求項1〜5のいずれかに記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
  7. 温度23℃の水中浸漬24時間後の吸水率が1%未満である請求項1〜6のいずれかに記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
  8. ビシクロアルキル構造を有するホスホン酸残基を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
  9. ビシクロアルキル構造を有するホスホン酸残基が、下記一般式(2)で示されることを特徴とする請求項8に記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
    Figure 2008106214
    [一般式(2)中、l、m、nはそれぞれ独立に1〜4の整数、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子および非共有電子対からなる群から選ばれた原子または電子対を表す。Rは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた官能基または原子を表し、rは0〜4の整数である。一般式(2)のホスホン酸残基は、さらに置換されていても良い。]
  10. カーボネート残基、および/または、下記一般式(3)で示されるホスホン酸残基を含み、全ホスホン酸残基のモル数と、カーボネート残基の合計モル数が式(I)を満足することを特徴とする請求項8に記載の密閉容器用熱可塑性樹脂。
    Figure 2008106214
    [一般式(3)中、Rは有機基、Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子および非共有電子対からなる群から選ばれた原子または電子対を表す。ただし、一般式(3)のホスホン酸残基は請求項9の一般式(2)のホスホン酸残基とは異なる構造を有する。]
    1≧(a)/{(a)+(b)}≧0.01 (I)
    [式(I)中、(a)は全ホスホン酸残基のモル数、(b)はカーボネート残基のモル数を示す。]
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