JP2008104871A - すべり止め部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】基布の両面の静摩擦係数が高く、すべりにくく、密着性またはすべり止め性に優れたすべり止め部材を提供すること。
【解決手段】少なくともシート本体を有するすべり止め部材であって、シート本体の基布が主にナイロン系繊維の編物からなり、該基布の少なくとも一方の面にポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂よりなる樹脂皮膜を有し、該シート本体のウェル方向およびコース方向の少なくともどちらか一方の方向の破断点強度(JIS L1018)が350〜450Nの範囲内、かつ破断点伸度(JIS L1018)が50〜140%の範囲内にあることを特徴とするすべり止め部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、シート本体の静摩擦係数が高く、すべりにくく、密着性またはすべり止め性に優れたすべり止め部材に関する。
近年、高齢化社会や、経済の成熟とともに更なる安全、環境への取り組みが一段と要求されるようになってきた。介護の現場でも、特にレジデントの立場で考慮した介護用品の開発が重要との見識となっている。例えば、手の不自由な人の食事には、食器の転倒等の危険性があり、介添者が食事を口まで持って行き食べさせているのが現状であるが、食器の転倒を防止して介添え作業が軽減できるようにする観点から、さまざまなものが開発されている。開発されているものとしては、転倒しにくい食器や、取扱い易いスプーンなどの他、食器等を転倒しにくくするために食器の下に敷く転倒防止シートがある。また、自動車、列車、飛行機などの乗り物において、振動や傾きによる車内の小物の転倒、落下がよく起きている。
例えば、自家用車のダッシュボードの上に置いていた小物が急ブレーキなどで転落することが多々ある。このようなことを防止する手段として、箱型の物入れを設置したり、ボックスの中に入れたりしている。しかし、常時使用(移動)するような小物は、目の届く位置で、取りやすい場所に置きたいものであるから、転落を防止するためのシートを敷くことがある。
また、地震時等の住宅内の家具等のズレ防止として、ゴム製のすべり止めのマットが市販されている。これらのゴム製マットは厚みが厚く、手前の部分に敷いて、奥の壁にもたれるようにして用いるようになっているが、壁と家具との間に隙間を空けたいとき、または広い場所の中央に設置する場合は、ゴム製マットは厚みがあるため使いづらいものである。
このようなさまざまな目的のために、従来から、すべり防止を目的としたすべり止め部材が多数提案されている。
たとえば、エチレン・酢酸ビニル共重合体と、エチレンープロピレンゴムとの混合物を含む組成物を架橋発泡させた発泡体から構成し、成形性とすべり止め性を付与したもの(特許文献1参照)、発泡マイクロカプセルを含有して非粘着性の粘弾性体層を基材の一方の面または両面に設け、すべり止め性がありなおかつ薄く、ソフト感を付与したもの(特許文献2参照)、熱可塑性エラストマー繊維の不織布からなり、両面のすべり止め性とソフト感を付与したもの(特許文献3参照)、発泡樹脂シートの少なくとも一方の面に、表面に多数の凹部を有する吸着性シートが上記凹部を有する面を外側にして積層し、すべり止め性を向上させたもの(特許文献4参照)、パイル組織の編物を基材とし、パイル繊維を並べてすべり止め部を構成したもの(特許文献5参照)、パイル繊維の立毛突起部に樹脂を点状に塗布したもの(特許文献6参照)、摩擦係数の高い繊維を編糸に使用して樹脂不使用の編物を編成したもの(特許文献7、8参照)等が提案されている。
しかしながら、特許文献1、4の発泡体からなるすべり止めシートは、発泡体自身が硬く厚いためソフト感、ストレッチ性に乏しく、下敷き、マット用途のみにしか使用できず、また訪問介護等において折り畳んで携帯するには、折り畳み・収納性が悪く、携帯し難いという問題があった。
さらに、特許文献2の発泡マイクロカプセルを基布の一方の面または両面に設けたすべり止めシートは、使用を継続するにつれ、表面の発泡マイクロカプセルが摩擦、摩耗により剥落し、すべり止め性が低下するという問題があった。また、両面が同じすべり止め性を有するため、それぞれの面に接触する物体および表面形状が異なる場合、一方の物体(例えば床材)に対してはすべり止め性能を満足しているが、もう一方の物体(例えば家具)に対しては不十分であるという問題が生じることもあった。
またさらに、特許文献3の熱可塑性エラストマー繊維の不織布からなるすべり止めシートは、エラストマー繊維自身の強度が弱いため、引っ張った際に破れやすいという問題があった。
またさらに、特許文献5のパイル繊維を並べたすべり止めシートは、繊維間に微細な隙間が多数存在するため、隙間内に汚れが付着しやすく、またパイル繊維単体での摩擦抵抗は低いため、すべり止めとしては不十分であるという問題があった。
またさらに、特許文献6のパイル繊維の立毛突起部に樹脂を点状に塗布したすべり止めシートは、特許文献5と同様にパイル繊維の隙間内に汚れが付着しやすく、また樹脂が立毛突起部にのみ点状に付着しているため、摩擦、摩耗により樹脂が剥落しやすく、すべり止め性が低下するという問題があった。
このように従来のすべり止めシートはいずれもすべり止め性は高いものの、優れたストレッチ性、ソフト感、携帯性、耐摩擦・摩耗性、強度、両面に接触する2物体へのすべり止め性等について、全てを同時に満足しうるものではなかった。
特開2002一177125号公報 特開平11一105176号公報 特開平6一269347号公報 実用新案登録第3111513号公報 実用新案登録第03077907号公報 実開平05一077290号公報 特開2003一268658号公報 特開2005一029934号公報
そこで、本発明の目的は、従来技術の欠点を改良し、家庭や病院で手軽に使用でき、かつ、ストレッチ性、ソフト感があり、携帯しやすく、耐摩擦・摩耗性があり、破れにくく、接触面の物体に合わせてすべり止め性能を切り替え可能としたすべり止め部材を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明のすべり止め部材は下記の構成からなる。
すなわち、本発明のすべり止め部材は、少なくともシート本体を有するすべり止め部材であって、シート本体の基布が主にナイロン系繊維の編物からなり、該基布の少なくとも一方の面にポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂よりなる樹脂皮膜を有し、該シート本体のウェル方向およびコース方向の少なくともどちらか一方の方向の破断点強度(JIS L1018)が350〜450Nの範囲内、かつ破断点伸度(JIS L1018)が50〜140%の範囲内にあるものである。
さらに、かかる本発明のすべり止め部材において、好ましくは、少なくともシート本体を有するすべり止め部材であって、シート本体の基布が主にナイロン系繊維の編物からなり、該基布の少なくとも一方の面にポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂よりなる樹脂皮膜を有し、該シート本体のウェル方向およびコース方向の少なくともどちらか一方の方向の破断点強度(JIS L1018)が350〜450Nの範囲内、かつ破断点伸度(JIS L1018)が50〜140%の範囲内にあることを特徴とする。
さらに、かかる本発明のすべり止め部材において、好ましくは該シート本体が以下(1)〜(6)の特性を有することを特徴とする。
(1)樹脂皮膜表面の、綿織物との乾燥摩擦時における静摩擦係数(JIS K7125)が、0.6〜3.0であること、
(2)樹脂被膜表面の、豚皮との乾燥摩擦時における静摩擦係数(JIS K7125)が、0.8〜3.5であること、
(3)樹脂被膜表面の、金属板との乾燥摩擦時における静摩擦係数(JIS K7125)が、0.9〜5.0であること、
(4)シート本体の剛軟度が20〜60mmであること、
(5)シート本体の目付が400g/m以下であること、
(6)シート本体の厚さが0.1〜1.5mmであること、
さらに好ましくは、本発明のすべり止め部材は、基布の両面に樹脂皮膜を有し、一方の樹脂皮膜面の静摩擦係数値が、もう一方の樹脂皮膜面の静摩擦係数値の40%〜80%の範囲内にあることを特徴とするものである。
また、本発明のすべり止め部材は、その好ましい具体的用途して、小物置マット、車椅子のクッションずれ落ち防止シート、枕あるいはカーペットあるいは玄関マットのすべり防止下敷きマット、ベッド−ベッドパン間のずれ防止マット、グリップ補助テープ、足下すべり止めシート、食器棚シート、食器の転倒防止ランチョンマット、コースター、蓋開けからなる群から選ばれた少なくとも一つとして用いられるものである。
本発明によれば、基布の素材に強度、伸度のある素材を使用し、少なくとも一方の面にすべり止め性を有する樹脂を皮膜形成させることで、従来の技術にはないシート本体のストレッチ性と強度、耐摩擦・摩耗性の向上が可能となる。また、シート本体の基布の両面に異なるすべり止め性を有する樹脂を被膜形成し、軽量、柔軟とすることで、接触面に応じたすべり止め性の切り替えと、収納・携帯性の向上が可能となる。
以下、図面に示す一態様例を用いて、本発明のすべり止め部材を詳細に説明する。図1は、本発明のすべり止め部材の一態様を示す斜視図であり、図2は、本発明のすべり止め部材の他の態様を示す斜視図である。図3および図4は、本発明のすべり止め部材の使用例を説明する概要図である。また、図5は本発明のすべり止め部材の樹脂皮膜表面の一態様例をモデル的に示したものであり、該すべり止め部材の本体面と垂直な方向から見た正面図であり、図6は、図5に示したすべり止め部材のA−A’断面図である。
本発明のすべり止め部材は、構成する要素として、少なくともシート本体1を有する。シート本体1は基布と樹脂被膜からなり、基布2の少なくとも一方の面(以下、おもて面3aという。)にポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂およびゴム系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂よりなる樹脂皮膜を有する。
本発明のすべり止め部材のシート本体1を製造する方法は、図1に示すように、基布2のおもて面3aに樹脂をコーティングする方法などを用いることができる。該コーティング方法においては、基布2のおもて面3aに樹脂を乾式接着による方法か、別の方法として湿式凝固させる方法など、皮膜形成する方法であればいずれでもよいが、工程通過性、生産性の点で、おもて面3aに樹脂を乾式接着により皮膜形成させる方法が好ましい。
すべり止め樹脂面を基布に付与する方法としては、従来から知られているコーティング法、ラミネート法などを採用すればよい。コーティングにはナイフコータ、コンマコータリバースロールコータ等を用いればよい。また、静摩擦係数調整や軽量化のために、シリカ添加、発泡剤添加による乾式発泡、ポリウレタンの湿式凝固による微多孔化、エンボス加工による凹凸付与などの従来から知られている方法を採用すればさらによい。樹脂皮膜の中に、適宜、酸化チタン、カーボンブラック、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、あるいは難燃剤等が含まれていてもよい。
かかる樹脂被膜は、全面被覆であっても、柄状(ストライプ柄も含む)でも、あるいはドット状でもかまわないが、製造のしやすさやコストからして全面被覆が好ましい。
本発明で用いるすべり止め用の樹脂としては、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂のうちのいずれかがすべり止めを目的とした特定の静摩擦係数を付与するのに最適である。特定の静摩擦係数を付与するという点では、塩化ビニル系樹脂も適しているが、塩化ビニル系樹脂は燃焼時にダイオキシンが発生すると言われていることから、本発明には一般的に好ましくない。
かかるポリエステル系ポリウレタン樹脂としては、イソシアネート成分とポリオール成分とを反応させて得られる共重合体を使用することができる。該イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートの単独またはこれらの混合物を用いることができる。また、ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなどを用いることができる。
また、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂としては、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの重合反応によって得られる重合体や、ポリエーテルサルフオン、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルポリオールなどを使用することができる。上記ポリエーテルポリオールとしては特に限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、各種変成ポリエーテルポリオール等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
また、アクリル系樹脂としては、メタアクリル酸、メチルメタアクリレート、Nーブチルメタアクリレート等メタアクリレート系モノマーの1種もしくは2種以上の重合体、もしくは、これらとメタアクリル系モノマーと他の共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が使用される。
次に、ゴム系樹脂としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴムなどを使用することができる。
本発明においては、上記樹脂皮膜が基布2の少なくとも片面、すなわち、おもて面3aに形成されていることが必要であるが、基布2の両面、すなわち、おもて面3aおよびうら面3bの双方に形成されていることが好ましい。うら面3bに樹脂皮膜を形成する方法はおもて面3aに形成する方法と同じである。
前記樹脂皮膜(すべり止め樹脂)面の樹脂付着量としては、おもて面3aおよびうら面3b共に、樹脂皮膜すべり止め樹脂)面片面あたり、好ましくは20〜150g/m、さらに好ましくは40〜100g/mの範囲で付与されているのがよい。20g/m未満であれば、静摩擦係数が低く、対象物と樹脂皮膜(すべり止め樹脂)面との間ですべりやすくなり、すべり止めの目的が達成できなくなる。また150g/mを越えて付与していても、基布2が重く硬くなり、コストも上昇しすべり止め部材としては一般に適さない。
また、本発明のすべり止め部材のすべり止め性について、好ましくは、おもて面3aの静摩擦係数(JIS K7125)が、綿織物との摩擦時で0.6〜3.0の範囲内かつ、豚皮との摩擦時で0.8〜3.5の範囲内かつ、金属板との摩擦時で0.9〜5.0の範囲内であるものである。
静摩擦係数は、物体がすべり始める瞬間の物体重量と加えた力との比であり、数値が大きくなるほどすべりにくくなる。すべり止め樹脂面の静摩擦係数は樹脂の種類(重合度、分子量分布なども含む)や、樹脂皮膜の表面形態(凹凸、穴あき、気泡など)、樹脂付着量などの各種要因の組み合わせにより決まってくる。一般的に柔らかい樹脂は静摩擦係数が高く、硬い樹脂は低い傾向である。樹脂皮膜面をガラス板と接触するように載せて手で滑らそうとしても静摩擦係数が0.6位のものからすべりにくくなり、密着状態となってくる。0.6以上あれば、本発明が企図する各種用途への展開が可能である。逆に、静摩擦係数が高すぎると転倒や皮膚の損傷、床ずれ、工程通過性の悪化の問題が生じてくる。好ましい上限の範囲としては5.0である。静摩擦係数のより好ましい範囲は接触する物体により異なるが、シャツなどの衣服との摩擦を想定したとき、すなわち、綿織物との摩擦時で0.6〜3.0、皮膚との摩擦を想定したとき、すなわち、豚皮との摩擦時で0.8〜3.5、食器や家具との摩擦を想定したとき、すなわち、金属板との摩擦時で0.9〜5.0の範囲である。本発明者らの各種知見によれば、上述した、好ましい静摩擦係数(JIS K7125)の範囲内をそれぞれ満足するには、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂やアクリル系樹脂などのエラストマー樹脂を滑り止め被膜面に用い、該樹脂を凝固、発泡あるいはエンボス加工により表面に凹凸を付与することなどにより、摩擦抵抗を増加させることなどにより実現することができる。
なお、本発明のすべり止め部材の樹脂皮膜面の静摩擦係数は、JIS K7125に基づき、新東科学(株)製表面性試験機(HEIDON一14DR)を使用して荷重200g、引張速度1m/minの条件にて測定したものをいう。該評価において、摩擦布の綿織物と豚皮は、同社製のASTM平面圧子に貼り付けられたものを使用し、金属板はASTM平面圧子に何も貼り付けていない状態のものを使用した。
本発明においては、基布2の少なくとも一方の面にすべり止め性を有する樹脂を皮膜形成させることで、従来の技術以上にすべり止め性、耐摩擦・摩耗性の向上が可能となる。
なお、前述のように、本発明のすべり止め部材は、基布2のおもて面3aとうら面3bの両面にポリエーテル系ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂よりなる樹脂皮膜を有したものであってもよいが、その際に一方の面の静摩擦係数値は、もう一方の面の静摩擦係数値の40%〜80%の範囲であることが好ましい。
なお、本発明のすべり止め部材を、シート本体1の両面ですべり止めが必要な用途に使用するとき、それぞれの面に接触する物体および表面形状は異なっていることが多く、一方の物体(例えば、床面)に対して要求されるすべり止め性能と、もう一方の物体(例えば家具)に対して要求されるすべり止め性能は異なってくる。表面形状が荒い物体と接触する面や足下すべり止めシートなど人体の滑落・転倒防止のために高い制動力が要求される用途に対してはすべり止め性を高くする必要があり、表面形状が平滑な物体と接触する面に対してはすべり止め性を低くする必要がある。
本発明のすべり止め部材においては、図5、図6に示すように、すべり止め性を高くする必要がある面、すなわちシート本体1の少なくとも1方の面の樹脂皮膜表面のおもて面3aまたはうら面3bに、物体や人体から受ける荷重に対する抵抗力を向上させるため凹凸部6を設けることが好ましい。樹脂皮膜表面に凹凸部6を設けることにより、平面摩擦に対する摩擦抵抗に加え、樹脂皮膜表面の凹凸部6と物体や人体との引掛かりによる抵抗力が生じ、双方の作用ですべり止め性は高くなる。
樹脂皮膜表面の凹凸部6の形状としては特に限定されないが、物体や人体から受ける荷重が多方向であることから、多方向への抵抗を付与すべく、角数が3〜8の範囲の多角形であることが好ましい。角数が3未満であると、樹脂皮膜表面の凹凸部6の抵抗に多方向性が得られず、荷重の方向によっては滑りやすくなる。逆に角数が9以上であると、樹脂皮膜表面への凹凸加工の難易度が高く、いびつな形状や角のつぶれなど、表面欠点が発生しやすい。より好適な範囲は角数4〜7の範囲、最も好ましくは角数6であり、図5及び図6は角数6の一態様を示したものである。
樹脂皮膜表面の凹凸部6の溝の深さ8としては、0.2〜1.0mmの範囲であることが物体や人体から受ける荷重に対する強度と抵抗力のバランスがあり好ましい。凹凸部6の溝の深さ8が0.2mm未満であると、物体や人体が凹凸部6に引っ掛かる際、溝への食い込みが浅く十分な抵抗力が得られない。逆に1.0mmを超えると樹脂皮膜表面の凹凸部6が物体や人体から受ける力のモーメントが増大し、凹凸部6に亀裂や破壊が発生しやすくなる。より好適な範囲は0.2〜0.5mmである。
樹脂皮膜表面の凹凸部6の対角線の最大長さ7としては、1.0〜4.0mmの範囲であることが好ましい。凹凸部6の対角線の最大長さ7が1.0mm未満であると、凹凸部6の多角形において、物体や人体から受ける荷重に対する多角形1辺当たりの抵抗が減少し、局所的な力に対するすべり止め性が悪くなる。逆に4.0mmを超えると、シート本体1における凹凸部6の合計数が減少し、引っ掛かりが少なくなるため物体、人体とシート本体1との接触が平面接触に近づき、全体のすべり止め性が悪くなる。より好適な範囲は1.5〜3.0mmの範囲である。
かかるすべり止め部材の樹脂皮膜表面の凹凸部6を形成するための加工方法は、基布2のおもて面3aあるいはうら面3bに樹脂を塗布して湿式凝固または樹脂を乾式接着した後、所望の凹凸形状、大きさ、溝の深さを有した金型ローラで基布2の樹脂加工面と金型ローラが相対するように巻き取り、金型ローラ巻き取り時の圧力で樹脂皮膜表面の凹凸部6を押圧成型して樹脂皮膜表面に凹凸部6を形成する、いわゆるエンボス法などによる型付け方法等が好ましいものである。
また、本発明のすべり止め部材においては、たとえば、おもて面3a、すなわち家具や机など表面形状が荒い物体と接触する面のすべり止め性を高くし、うら面3b、すなわち床面やテーブルなど、表面形状が平滑な物体、あるいは人体1の皮膚と接触する面のすべり止め性を低くし、接触面を切り替えることによりすべり止めのバランスを調整できる。したがって、うら面3bの静摩擦係数値はおもて面3aの静摩擦係数値の40%〜80%の範囲であることが重要である。
かかるすべり止め部材のシート本体1の製造方法は、基布2のおもて面3aおよびうら面3b両面に樹脂を乾式接着するか、別の方法として湿式凝固させる方法、あるいは基布2のおもて面3aに樹脂を塗布して湿式凝固した後、うら面3bに樹脂を乾式接着させ形成する方法、あるいは、一方の面にすべり止め加工を施した基布2を2枚背中合わせに張り合わせておもて面3aおよびうら面3bを形成する方法など、いずれでもよいが、工程通過性、生産性などの点で、おもて面3aに樹脂を塗布して湿式凝固した後、うら面3bに樹脂を乾式接着させ形成する方法が好ましい。
また、本発明のすべり止め部材は、シート本体1のおもて面3aとうら面3bの両面にすべり止め性を有する樹脂を被膜形成する方法以外に、たとえばうら面3bに粘着性を付与するための粘着剤または接着剤の塗布をすること、すなわち、例えばすべり止めテープとして使用するようにしてもよい。
本発明においては、シート本体1の基布2の両面に異なる静摩擦係数(すべり止め性)を有する樹脂を被膜形成し、軽量、柔軟とすることにより、接触面に応じたすべり止め性の切り替えと、収納・携帯性の向上が可能となる。
また、本発明のすべり止め部材は、図1に示すようにシート本体1の剛軟度が20〜60mmの範囲で目付が400g/m以下、かつ厚さ4が0.1〜1.5mmの範囲にあることが好ましい。本発明のすべり止め部材は柔らかく、薄く、軽い構成とすることによりソフト感と収納・携帯性を兼ね備えたものとすることができる。剛軟度を低くするためには、基布2には繊維布帛(織物、編物、不織布など)、フィルムなどの柔軟性素材を用いればよく、目付を軽く、厚さ4を薄くするためには、基布2に薄地の素材を用いるあるいは樹脂を薄く塗布する、樹脂膜に比重の少ない樹脂を使用する、またはこれらを組み合わせるとよい。
シート本体1の剛軟度は20〜60mmの範囲内にあることが柔軟性の点で好ましい。20mm未満の場合は柔らか過ぎて使用時にシワが生じやすい。逆に60mmを超えると硬すぎて敷設がしづらく、折り畳み、収納・携帯が困難である。より好適な範囲は25〜45mmである。また、目付は400g/m以下であることが軽量感の点で好ましい。400g/mを超えると重く、携帯性が悪化する。より好適な範囲は150〜350g/mの範囲である。また、厚さ4は0.1〜1.5mmの範囲であることが収納・携帯性の点で好ましい。0.1mm未満だと、薄すぎて使用中に穴が開くなど破損しやすい。逆に1.5mmを超えると厚すぎて嵩張り、収納・携帯性が悪くなる。より好適な範囲は0.6〜1.0mmの範囲である。
本発明において、シート本体1の基布2の両面に異なる静摩擦係数(すべり止め性)を有するすべり止め樹脂面を形成し、軽量、柔軟とすることにより、接触面に応じたすべり止め性の切り替えと、収納・携帯性の向上も可能となる。
また、本発明のすべり止め部材は、基布2が主にナイロン系繊維の編物であり、シート本体1のウェル方向およびコース方向の少なくともどちらか一方の方向の破断点強度が350〜450Nの範囲かつ破断点伸度が50〜140%の範囲にあることが重要である。
なお、本発明のすべり止め部材の破断点強度および破断点伸度は、JIS L1018「ニット生地試験方法」引張り強さ及び伸び率に基づき、初荷重3g、引張速度20cm/minの条件にて測定したものをいう。
本発明のすべり止め部材において基布2は、合成繊維、天然繊維を使用して製造することができるが、樹脂コーティング時の移行昇華の抑制や洗濯耐久性、耐摩擦・摩耗性を要求される用途においては、主にナイロン系繊維からなることが重要であり、「主に」とは50重量%以上がナイロン系繊維から構成されていることをいう。
かかるナイロン系繊維としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロンMXD6などがあり、ナイロン66においてはアジピン酸とへキサメチレンジアミンを重合して作られたものが使用され、ナイロン6においてはε−カプロラクタムを開環重合したものが好ましく使用される。ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリへキサメチレンテレフタレートなどが好ましく使用される。
なお、本発明においては、基布2の素材がナイロン系繊維の他に、例えば、ポリエステル系繊維やポリアクリル等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合成繊維、木綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維が50重量%未満含まれていてもよい。
基布2に用いる繊維の種類は上記の通りであるが、それらの繊維は長繊維でも短繊維でもよく、紡績糸、捲縮糸、仮撚糸等の形態でもよい。ナイロン系繊維以外の繊維も用いる場合は、混紡糸や混繊糸としてもかまわない。
本発明において、基布2に用いる編物の編組織は特に限定されない。しかし、基布2には樹脂を付着させる工程が必要であるため、編物としてはループが小さく平滑な組織、たとえば経編物のトリコットが、樹脂の浸み出しが少なく均等に皮膜の形成ができる点で好ましい。
また、本発明のすべり止め部材は、そのシート本体1のウェル方向およびコース方向の少なくともどちらか一方の方向の破断点強度を350〜450Nの範囲、かつ破断点伸度が50〜140%の範囲内とすることにより、適度な破断点強度とストレッチ性を有するすべり止め部材とすることができる。より好適には、破断点強度が360〜430Nの範囲、かつ破断点伸度が50〜80%の範囲である。ここで、シート本体1のウェル方向、コース方向とは、基布2に用いた編物のウェル方向、コース方向と同じ方向を意味する。
本発明は、図3に示すように、主に階段の手摺り巻きテープやドアノブ、車いすハンドルなど、グリップ補助テープとしてテープ状で巻き付けることにより、人体5の把持動作を補助する用途などに好適に用いられる。このような用途に使用される場合、すべり止め部材は曲面に貼り付けられたり、巻き付けられたりするため、その際、引っ張りによる伸びと強力が加わるので、それに耐えうるストレッチ性と強度が要求される。シート本体1のどちらか一方の方向の破断点強度が350N未満の場合、使用中に破れる可能性がある。逆に、450Nを超える場合、繊維の結束力強化により風合いが硬化してしまう可能性がある。また、シート本体1のどちらか一方の方向の破断点伸度が50%未満の場合、引っ張りを加えて使用する用途にはストレッチ性が少なく使用しづらい。逆に140%を超える場合、伸びすぎてシートにひずみやたわみ、巻縮カールが生じる可能性がある。
本発明においては、基布2に強度、伸度のある編物を用いることにより、シート本体1のストレッチ性と強度の向上が可能となる。
本発明のすべり止め部材は、小物置マット、車椅子のクッションずれ落ち防止シート、枕あるいはカーペットあるいは玄関マットのすべり防止下敷きマット、ベッド−ベッドパン間のずれ防止マット、グリップ補助テープ、足下すべり止めシート、食器棚シート、食器の転倒防止ランチョンマット、コースター、蓋開けから選ばれたいずれかの用途に広く応用できるものである。
上記ランチョンマットや小物置マット等の場合はシート本体1の他に、取手やストラップ等を取り付けてもよい。
また、本発明のすべり止め部材は、シート本体1に抗菌性あるいは制菌性付与のために抗菌・制菌加工を施すことや、吸湿性付与のための吸湿加工、防水性付与のための防水加工等を行うことは何ら差し支えない。
ここでいう抗菌加工とは、JIS L1902「繊維製品の定量的抗菌性試験方法」において、抗菌性ありと判定されるものをいう。かかる抗菌加工としては、通常の抗菌加工を用いればよく、たとえば、銀、銅、または亜鉛などの無機系抗菌剤を合成繊維の紡糸段階で練り込む方法と、第四級アンモニウム塩に代表される有機系抗菌剤を、スプレーあるいはパディング処理して付与する後加工方法を採用することができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%および部とは、断らない限り重量基準である。
実施例および比較例において用いたすべり止め部材のすべり止め性、ソフト感、収納・携帯性、軽量感について被験者10人によるモニター評価を実施した。評価基準を表1に示す。被験者全員の評価点数の合計点数を各評価結果とし、各評価結果の合計点数を総合評価とした。総合評価が大きいものほど優れているが、20点以上を良好とした。
〔各種値の測定法〕
(1)静摩擦係数
JIS K7125(プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法)に基づき、新東科学(株)製表面性試験機(HEIDON一14DR)を使用して荷重200g、引張速度1m/minの条件で摩擦させ、荷重が移動し始めた瞬間の摩擦係数ピーク値を静摩擦係数として測定した。本評価において、摩擦布は綿織物と豚皮と金属板を使用してそれぞれ測定し、綿織物と豚皮は、同社製のASTM平面圧子に貼り付けたものを使用し、金属板はASTM平面圧子に何も貼り付けていない状態のものを使用した。豚皮はピッグスキン厚地を使用し、タンニンなめし後、スエード仕上げしたものを使用した。綿織物は、日本規格協会の「綿織物かなきん3号」を使用した。なお、測定はそれぞれn数を3として、その平均値を求めた。
また、基布の両面に樹脂皮膜を有している場合の、一方の樹脂皮膜面の静摩擦係数値と、もう一方の樹脂皮膜面の差異(比率)の求め方は、(一方の樹脂皮膜面の静摩擦係数値のうち、低い方の値)÷(一方の樹脂皮膜面の静摩擦係数値のうち、高い方の値)×100として求め、小数点1ケタを四捨五入した整数値とした。なお、単位は%とした。
(2)厚さ
JIS L1018(ニット生地試験方法−普通法)に基づき、23.5kPaの圧力をかけたときの厚さを測定した。なお、測定はそれぞれn数を3として、その平均値を求めた。
(3)剛軟度
JIS L1018(ニット生地試験方法−カンチレバー法)に基づき、(株)大栄科学機器製作所製カンチレバー型試験機を使用して測定した。なお、測定はそれぞれn数を3として、その平均値を求めた。
(4)目付
JIS L1018(ニット生地試験方法−単位面積当たりの重量)に基づき、20cm×20cmの生地の重量より、1m当たりの重量に換算して求めた。なお、測定はそれぞれn数を3として、その平均値を求めた。
(5)破断点強度および破断点伸度
JIS L1018(ニット生地試験方法)の引張り強さ及び伸び率に基づき、初荷重3g、引張速度20cm/minの条件にて、インストロン社製引張試験器を用いて測定した。なお、測定はそれぞれn数を3として、その平均値を求めた。
〔評価法〕
(1)すべり止め性評価
シート本体1を階段の手すりに巻いて把持し、階段昇降したときのすべりにくさと、ベッド横の足下床部分に敷き、ベッドから降りて立ち上がったときのすべりにくさを総合して4段階で評価した。本発明のすべり止め部材は、評価点数合計が5点以上の場合を良好とした。評価基準を表1に示す。なお、モニター評価者10人の評価点数合計を評価結果とした。
(2)ソフト感評価
シート本体1を把持し、折り曲げた際のソフト感、すなわち柔らかさを4段階で評価した。本発明のすべり止め部材は、評価点数が高いほどソフト感に優れている。評価点数合計が5点以上の場合を良好とした。評価基準を表1に示す。なお、モニター評価者10人の評価点数の合計を評価結果とした。
(3)収納・携帯性評価
シート本体1を可能なまでに折り畳んだときの収納・携帯性、すなわち持ち運びやすさを4段階で評価した。本発明のすべり止め部材は、評価点数が高いほど収納・携帯性に優れている。評価点数合計が5点以上の場合を良好とした。評価基準を表1に示す。なお、モニター評価者10人の評価点数の合計を評価結果とした。
(4)軽量感評価
シート本体1を手のひらに乗せたときの軽量感、すなわち軽さを4段階で評価した。本発明のすべり止め部材は、評価点数が高いほど軽量感に優れている。評価点数合計が5点以上の場合を良好とした。評価基準を表1に示す。なお、モニター評価者10人の評価点数の合計を評価結果とした。
実施例1
図1および表2に示したすべり止め部材、すなわち83デシテックスのナイロン66フイラメントを使用したトリコット経編物を、通常の方法で精練熱セット後、鏡面ロールを持つカレンダー加工機を用いて、温度180℃、圧力30kg/cm、速度20m/分の条件でおもて面3aにカレンダー加工を行ない、コーティング用の基布2を得た。
ここで、下記の処方1に示す組成でポリウレタン溶液をカレンダー面にナイフオーバーロールコーターにて130g/mの割合で塗工し、ジメチルホルムアミドを10重量%含有した水溶液を凝固液とする浴槽中に30℃にて3分間浸漬してポリウレタン塗布液を湿式凝固させ、次いで80℃の温湯にて10分間水洗し、140℃にて熱風乾燥後、160℃にて3分間の熱処理を行った。樹脂塗布したおもて面3aにはエンボス加工による六角形の凹凸部6を付与した。エンボス加工は凹凸模様の金型ローラを使用し、基布2のおもて面3aと金型ローラが相対するように巻き取り、金型ローラ巻き取り時の押圧で樹脂皮膜表面の凹凸部6を成型した。なお、凹凸部6の溝の深さ8は0.35mm、凹凸部6の対角線の最大長さ7は2.6mmとした。
[処方1]
・クリスボン8166(大日本インキ化学工業株式会社製、ポリエステル系ポリウレタン)100部
・バーノックD500(大日本インキ化学工業株式会社製、ブロックイソシアネート)1部
・ルーセンタイトSTN(コープケミカル株式会社製、粘土有機複合体)1部・サイリシア#740(富士デヴィソン化学株式会社製、多孔質シリカゲル、表面積700m/g)5部
次に、ハイムレンY−611−63(大日精化工業株式会社製:ホットメルト接着性を持つポリエーテル系ポリウレタン溶液:12μmの膜厚で軟化温度143℃)100重量部、N,N−ジメチルホルムアミド40重量部よりなる塗工液を、離型紙に乾燥後、40μmの膜厚になるように塗布して乾燥し、ホットメルト接着性を持つ樹脂膜を離型紙上に得た。この離型紙上の樹脂膜を、シート本体1のすべり止め未加工面に120℃で熱圧着積層し、離型紙を剥離することによりシート本体1を構成したすべり止め部材の、すべり止め性、ソフト感、収納・携帯性、軽量感を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。
なお、該すべり止め部材のおもて面3aの静摩擦係数は、綿織物:1.0、豚皮:1.5、金属板:1.6であり、うら面3bの静摩擦係数は、綿織物:0.7、豚皮:1.1、金属板:1.2であり、おもて面3aの静摩擦係数とうら面3bの静摩擦係数の差異は72%とした。厚さ4は0.7mm、剛軟度は35mm、目付は266g/m、破断点強度がウェル387N、コース361N、破断点伸度がウェル63%、コース207%の構成とした。表2、表3に各数値と評価結果を示す。
実施例2
図2および表2に示したすべり止め部材(ハイムレンY−611−63(大日精化工業株式会社製:ホットメルト接着性を持つポリエーテル系ポリウレタン溶液:12μmの膜厚で軟化温度143℃)100重量部、N,N−ジメチルホルムアミド40重量部よりなる塗工液を、離型紙に塗布して乾燥し、ホットメルト接着性を持たせた樹脂膜を、実施例1で使用したナイロン66トリコット経編物基布2のおもて面3aに40μm、うら面3bに30μmの膜厚で120℃で熱圧着積層し、離型紙を剥離してシート本体1を構成したすべり止め部材のすべり止め性、ソフト感、収納・携帯性、軽量感を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。
なお、該すべり止め部材のおもて面3aの静摩擦係数は綿織物:0.8、豚皮:0.9、金属板:1.2であり、うら面3bの静摩擦係数は、綿織物:0.6、豚皮::0.7、金属板:1.0であり、おもて面とうら面3bとの静摩擦係数の差異は80%とした。剛軟度は30mm、厚さ4は0.3mm、目付は200g/m、破断点強度がウェル360N、コース130N、破断点伸度がウェル56%、コース120%の構成とし、その他の構成は実施例1と同様にした。表2、表3に各数値と評価結果を示す。
実施例3
図3および表2に示したすべり止め部材、すなわち、シート本体1のうら面3bが、実施例1で使用したすべり止め性樹脂の代わりに粘着剤を使用し、うら面3bに塗布して接着可能なテープ状としたすべり止め部材のすべり止め性、ソフト感、収納・携帯性、軽量感を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。
なお、該すべり止め部材のおもて面3aの静摩擦係数は綿織物:1.0、豚皮:1.5、金属板:1.6であり、厚さ4は0.5mm、剛軟度は36mm、目付は230g/m、破断点強度が200N、破断点伸度が80%の構成とした。その他の構成は実施例1と同様にした。表2、表3に各数値と評価結果を示す。
実施例4
図3および表2に示したすべり止め部材、すなわち、実施例3で使用したおもて面3aの凹凸部6の形状を三角形とし、凹凸部6の溝の深さ8は0.2mm、凹凸部6の対角線の最大長さ7を1.0mmとしたすべり止め部材のすべり止め性、ソフト感、収納・携帯性、軽量感を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。
なお、該すべり止め部材のおもて面3aの静摩擦係数は、綿織物:0.7、豚皮:0.8、金属板:1.0であり、厚さ4は0.6mm、剛軟度は20mm、目付は130g/m、破断点強度が348N、破断点伸度が133%の構成とした。その他の構成は実施例1と同様にした。表2、表3に各数値と評価結果を示す。
実施例5
図3および表2に示したすべり止め部材、すなわち、実施例3で使用したおもて面3aの凹凸部6の形状を八角形とし、凹凸部6の溝の深さ8は0.9mm、凹凸部6の対角線の最大長さ7を3.8mmとしたすべり止め部材の、すべり止め性、ソフト感、収納・携帯性、軽量感を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。
なお、該すべり止め部材のおもて面3aの静摩擦係数は、綿織物:2.9、豚皮:3.4、金属板:4.8であり、厚さ4は1.5mm、剛軟度は58mm、目付は390g/m、破断点強度が443N、破断点伸度が52%の構成とした。その他の構成は実施例1と同様にした。表2、表3に各数値と評価結果を示す。
比較例1
図1および表2に示したすべり止め部材、すなわち、シート本体1が、基布2の素材に剛性のPETフィルム板を使用し、シリコン系樹脂を実施例1と同様の加工で基布2に塗布し、おもて面3a、うら面3bを形成したすべり止め部材の、すべり止め性、ソフト感、収納・携帯性、軽量感を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。
なお、該すべり止め部材のおもて面3aの静摩擦係数は、綿織物:0.3、豚皮:0.4、金属板:0.5であり、うら面3bの静摩擦係数は、綿織物:0.1未満、豚皮:0.1未満、金属板:0.1であり、おもて面3aとうら面3bとの静摩擦係数の差異は10%とした。厚さ4は3mm、剛軟度は100mm超過、目付は700g/m、破断点強度が2000N、破断点伸度が2%の構成とし、その他の構成は実施例1と同様にした。表2、表3に各数値と評価結果を示す。
比較例2
図1および表2に示したすべり止め部材、すなわち、タテ糸、ヨコ糸ともに総繊度90デシテックスのポリウレタン短繊維平織物で基布2を構成したすべり止め部材の、すべり止め性、ソフト感、収納・携帯性、軽量感を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。
なお、該すべり止め部材のおもて面3aの静摩擦係数は、綿織物:3.1、豚皮:3.6、金属板:5.2であり、うら面3bの静摩擦係数は、綿織物:3.1、豚皮:3.6、金属板:5.2であり、おもて面3aの静摩擦係数とうら面3bとの静摩擦係数の差異は0%とした。剛軟度が15mm、厚さ4が0.08mm、目付が300g/m、破断点強度が200N、破断点伸度が10%の構成とし、その他の構成は実施例1と同様にした。表2、表3に各数値と評価結果を示す。
比較例3
図3および表2に示したすべり止め部材、すなわち、実施例3で使用したシート本体1の基布2の素材に軟性のPPフィルムを使用し、おもて面3aの凹凸部6の形状を九角形とし、凹凸部6の溝の深さ8は0.1mm、凹凸部6の対角線の最大長さ7を0.9mmとしたすべり止め部材の、すべり止め性、ソフト感、収納・携帯性、軽量感を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。
なお、該すべり止め部材のおもて面3aの静摩擦係数は、綿織物:0.4、豚皮:0.6、金属板:0.8であり、厚さ4は1.7mm、剛軟度は16mm、目付は327g/m、破断点強度が289N、破断点伸度が153%の構成とした。その他の構成は実施例1と同様にした。表2、表3に各数値と評価結果を示す。
比較例4
図3および表2に示したすべり止め部材、すなわち、比較例3で使用した使用したシート本体1の基布2の素材に低発泡ポリエチレンを使用し、おもて面3aの凹凸部6の形状を四角形とし、凹凸部6の溝の深さ8は1.2mm、凹凸部6の対角線の最大長さ7を4.4mmとしたすべり止め部材の、すべり止め性、ソフト感、収納・携帯性、軽量感を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。
なお、該すべり止め部材のおもて面3aの静摩擦係数は、綿織物:3.1、豚皮:3.7、金属板:5.4であり、厚さ4は2.1mm、剛軟度は63mm、目付は432g/m、破断点強度が471N、破断点伸度が43%の構成とした。その他の構成は実施例1と同様にした。表2、表3に各数値と評価結果を示す。
表2と表3から明らかなように、本発明のすべり止め部材は、すべり止め性の優れたものであることがわかる。また、軽量感に優れ、ソフト感および収納・携帯性に優れたすべり止め部材であり、本発明のすべり止め部材の総合評価は高いものとなった。
Figure 2008104871
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Figure 2008104871
図1は、本発明のすべり止め部材の一態様例を示す斜視図である。 図2は、本発明のすべり止め部材の他の態様例を示す斜視図である。 図3は、本発明のすべり止め部材の使用例を示す使用図である。 図4は、本発明のすべり止め部材の他の使用例を示す使用図である。 図5は、本発明のすべり止め部材の樹脂皮膜表面の一態様例(凹凸部形状)を示す正面図である。 図6は、図5に示したすべり止め部材のA−A’断面図である。
符号の説明
1 シート本体
2 基布
3a おもて面
3b うら面
4 シート本体の厚さ
5 人体
6 樹脂皮膜表面の凹凸部
7 樹脂皮膜表面の凹凸部の対角線の最大長さ
8 樹脂皮膜表面の凹凸部の溝の深さ

Claims (5)

  1. 少なくともシート本体を有するすべり止め部材であって、シート本体の基布が主にナイロン系繊維の編物からなり、該基布の少なくとも一方の面にポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂よりなる樹脂皮膜を有し、該シート本体のウェル方向およびコース方向の少なくともどちらか一方の方向の破断点強度(JIS L1018)が350〜450Nの範囲内、かつ破断点伸度(JIS L1018)が50〜140%の範囲内にあることを特徴とするすべり止め部材。
  2. 前記シート本体の少なくとも一方の面の樹脂皮膜表面が、該シート本体面と垂直な方向から見たときに多角形状を呈した凹凸部を有し、該多角形の角数が3〜8の範囲かつ、凹凸の溝の深さが0.2〜1.0mmの範囲かつ、該多角形の対角線の最大長さが1.0〜4.0mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のすべり止め部材。
  3. 前記シート本体が、以下(1)〜(6)の特性を有することを特徴とする請求項1または2に記載のすべり止め部材。
    (1)樹脂皮膜表面の綿織物との乾燥摩擦時における静摩擦係数(JIS K7125)が、0.6〜3.0であること、
    (2)樹脂皮膜表面の豚皮との乾燥摩擦時における静摩擦係数(JIS K7125)が0.8〜3.5であること、
    (3)樹脂皮膜表面の金属板との乾燥摩擦時における静摩擦係数(JIS K7125)が、0.9〜5.0であること、
    (4)シート本体の剛軟度が20〜60mmであること、
    (5)シート本体の目付が400g/m以下であること、
    (6)シート本体の厚さが0.1〜1.5mmであること、
  4. 前記基布の両面に前記樹脂皮膜を有し、一方の樹脂皮膜面の静摩擦係数値が、もう一方の樹脂皮膜面の静摩擦係数値の40%〜80%の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のすべり止め部材。
  5. 小物置マット、車椅子のクッションずれ落ち防止シート、枕あるいはカーペットあるいは玄関マットのすべり防止下敷きマット、ベッド−ベッドパン間のずれ防止マット、グリップ補助テープ、足下すべり止めシート、食器棚シート、食器の転倒防止ランチョンマット、コースター、蓋開けからなる群から選ばれた少なくとも一つに用いられるものである請求項1〜4のいずれかに記載のすべり止め部材。
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