JP2008101709A - 車両用エアコンホース - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のホースに比べて冷媒透過性を損なうことなく、かつ柔軟で、特にエンジンの回転に伴う共振振動吸収性に優れた車両用エアコンホースを提供する。
【解決手段】ホース断面が、複数のゴム層とこの複数のゴム層間に介在する補強層とで構成される内径14mm以上の車両用エアコンホースにおいて、このホースを所定長360mmに切断して試験ホースとし、前記試験ホースの一端側を加振側に他端側を受振側に固定して試験ホース自由長を330mmとなし、前記加振側を加振周波数40[Hz]以上の範囲において加速度3Gで加振した際、
振動伝達特性Gn[dB]〔=20Log10(A1/A0)〕の第1ピーク値が、−23〜−27[dB]の範囲であること。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車等の車両用エアコン(エアコンディショナー)の冷媒回路に用いられるホースに関し、更に詳しくは、車両に搭載されたエンジン等による振動吸収性に優れるエアコンホースに関する。
近年、自動車等の車体の軽量化を目的として、車両用エアコンの冷媒回路の配管にはアルミニウム合金製配管が使用されているが、エンジンや圧縮機等で発生する振動が配管を共振させることによって生じる騒音が問題となっている。そこで、配管の共振を抑制するために、ゴムと樹脂とからなる複合ホースが前記配管の途中に組み込まれて使用されているが、最近は、普通自動車において搭乗者に不快感を与えないよう、特に車両騒音を抑制した静粛性に優れる複合ホースが求められている。
ところで、車両用のエアコンの冷媒として、オゾン層の破壊物質であるフロン12に代えてHFC134aが多く用いられている。しかし、このHFC134aは、オゾン破壊係数は零であるが、地球温暖化係数が高く温暖化促進の原因となりつつある。
このような冷媒をホース内部から外気へ透過させないための、従来例に係る車両用エアコンホースの構造を、以下図4および図5を用いて説明する。図4および図5は、これら従来例に係る車両用エアコンホースの積層構造を示す図である。図4において、この従来例に係る車両用エアコンホースは、内面樹脂層20の外側に内側ゴム層21を積層し、更にその外側に第1補強層24、中間ゴム層22、第2補強層25、外側ゴム層23を順に積層した構造をなしている。
ここで、第1補強層24は、補強糸を内側ゴム層21の外周面に、一方向にスパイラル状に複数本巻き付けて構成してあり、また、第2補強層25は、同じく補強糸を第1補強層24とは逆方向に、中間ゴム層22の外周面にスパイラル状に複数本巻き付けて構成される。また、図5に示す従来例に係る車両用エアコンホースは、前記中間ゴム層22が省略されている点を除き、図4に示したものと同じ積層構造をなしている。
ところが、このような従来例に係る車両用エアコンホースは、前記内面樹脂層20に冷媒に対するバリヤー性に優れる樹脂を採用しており、この樹脂には高弾性率を示し、柔軟性に劣るものが用いられる。このような樹脂を車両用エアコンホースとして使用すると、エンジンや圧縮機等から発生する振動やこの振動に共振する部材の振動や騒音を吸収する機能が低下してしまうという問題点があった。
そこで、このような問題点を解消し、振動吸収特性に優れるものとして、以下の組成物から構成された従来例に係る車両用エアコンホースが提案されている。即ち、この従来例に係る車両用エアコンホースは、2層以上からなる内管、およびこの内管の外側に設けられる補強層からなる冷媒輸送用ホースであって、前記内管が樹脂層およびその外側の何れかの層としてゴム層を有している。
同時に、前記ゴム層が、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴムおよび変性ブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含有するゴム組成物により構成されている冷媒輸送用ホースである(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、前記内管の樹脂層がポリアミド樹脂組成物により構成されるため、その剛性によって優れた振動吸収性は期待できない。
そこで、この樹脂層を無くし、ゴム層と補強層からなるホースとして提案されている従来例に係る振動吸収性ゴムホースを、その基本的な構造の一例を示す斜視説明図である図6を用いて以下に説明する。
この従来例に係る振動吸収性ゴムホース30は、内側ゴム層32、補強層34および外側ゴム層36が、ホース径方向において、内側から外側に順次積層されて、一体化せしめられてなる構造のゴムホースにして、前記内層ゴム層32が、ブチルゴム材料および/またはハロゲン化ブチルゴム材料を用いて形成されている一方、前記外面ゴム層36が、エチレン−プロピレン共重合体よりなるEPM材料を用いて形成されている(特許文献2参照)。
特開2001−50434号公報 特開2003−56761号公報
しかしながら、前記従来例に係る振動吸収性ゴムホースは、構成材料の物理的性質が適正化されていないことから、前記内層ゴム層32がポリアミド樹脂組成物からなるホースより振動吸収性が優れるものの、未だ充分とは言い難い。また、前記従来例に係るエアコンホースにおいては、特に、車両に搭載されているエンジンの回転数に共振した共振振動を抑制するという点から、振動吸収性を追及したエアコンホースの記載は見当たらない。
従って、本発明の目的は、従来のホースに比べて冷媒透過性を損なうことなく、かつ柔軟で、特にエンジンの回転に伴う共振振動吸収性に優れた車両用エアコンホースを提供することにある。
本発明の請求項1に係る車両用エアコンホースが採用した手段は、ホース断面が、複数のゴム層とこの複数のゴム層間に介在する補強層とで構成される内径14mm以上の車両用エアコンホースにおいて、このエアコンホースを所定長360mmに切断して試験ホースとし、前記試験ホースの一端側を加振側ホース固定部に、他端側を受振側ホース固定部に各々幅15mmのホースバンドで固定して試験ホースの自由長を330mmとなし、前記加振側を加振周波数40[Hz]以上の範囲において加速度3Gで加振する。
そしてこの時、この車両用エアコンホースが採用した手段は、次式(1)で定義される振動伝達特性Gn[dB]の第1ピーク値が、−23〜−27[dB]の範囲であることを特徴とするものである。
Gn[dB]=20Log10(A1/A0) (1)
ここで、G:重力加速度(=9.8m/s
A0:加振側ホース固定部加速度[m/s
A1:受振側ホース固定部加速度[m/s
本発明の請求項2に係る車両用エアコンホースが採用した手段は、請求項1に記載の車両用エアコンホースにおいて、前記(1)式で定義される振動伝達特性Gn[dB]の第2ピーク値が、−29〜−33[dB]の範囲であることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係る車両用エアコンホースが採用した手段は、請求項1または2に記載の車両用エアコンホースにおいて、前記ホース断面が、内面、外面の二層または内面、外面およびそれらの中間の三層からなるゴム層と、これらのゴム層間に介在する少なくとも一層の補強層とで構成されたことを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係る車両用エアコンホースが採用した手段は、請求項1乃至3の何れか一つの項に記載の車両用エアコンホースにおいて、前記内面ゴム層を形成するゴム材質がブチル系ゴムであり、前記外面ゴム層を形成するゴム材質がエチレン−プロピレン系ゴム、ブチル系ゴムまたはこれらを主成分としたゴム組成物であることを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係る車両用エアコンホースが採用した手段は、請求項1乃至4の何れか一つの項に記載の車両用エアコンホースにおいて、前記外面ゴム層を形成するゴム材質の硬さHsを、30乃至60の範囲としたことを特徴とするものである。
本発明の請求項6に係る車両用エアコンホースが採用した手段は、請求項1乃至5の何れか一つの項に記載の車両用エアコンホースにおいて、前記車両用エアコンホースが、圧縮機の吸込側に用いられるサクションホースであることを特徴とするものである。
本発明の請求項1または2に係る車両用エアコンホースは、このエアコンホースを所定長360mmに切断して試験ホースとし、前記試験ホースの一端側を加振側ホース固定部に、他端側を受振側ホース固定部に固定して試験ホースの自由長を330mmとなし、前記加振側を加振周波数40[Hz]以上の範囲において加速度3Gで加振した際、前式(1)で定義される振動伝達特性Gn[dB]の第1ピーク値が−23〜−27[dB]の範囲に、また、第2ピーク値が−29〜−33[dB]の範囲に収まるよう構成されたので、車両のエンジン回転に伴う共振振動の伝達性が従来に比べ大幅に低減されて振動吸収性が特に優れている。
また、本発明の請求項3,4に係る車両用エアコンホースによれば、前記ホース断面が、内面、外面の二層または内面、外面およびそれらの中間の三層からなるゴム層と、これらのゴム層間に介在する少なくとも一層の補強層とで構成され、
また、前記内面ゴム層を形成するゴム材質がブチル系ゴムであり、前記外面ゴム層を形成するゴム材質がエチレン−プロピレン系ゴム、ブチル系ゴムまたはこれらを主成分としたゴム組成物であるので、前記内面ゴム層が冷媒のホース内部から外気への透過を阻止するとともに、前記外面ゴム層の動倍率が低いので振動伝達性の低減に優れている。
更に、本発明の請求項5に係る車両用エアコンホースによれば、前記外面ゴム層を形成するゴム材質の硬さHsを30乃至60の範囲としたので、非常に軟らかく振動吸収性の優れたエアコンホースを得ることができた。
更にまた、本発明の請求項6に係る車両用エアコンホースによれば、前記車両用エアコンホースが圧縮機の吸込側に用いられるサクションホースであるので、車室内に配置されるエバポレータへの振動の伝達を大幅に抑制して車室内の静粛性を大きく改善することが出来る。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用エアコンホースの積層構造を示す斜視図である。本図1において、符号1は本発明に係る車両用エアコンホースを示し、このホース1の積層断面は、内面ゴム層2、外面ゴム層4およびそれらの中間にある中間ゴム層3の三層からなるゴム層と、これら三つのゴム層間に介在する第1補強層5と第2補強層6とで構成されている。
本発明に係るこのような車両用エアコンホース1は、ホース内径が冷媒輸送能力の点から14mm以上のものが好ましい。ここで先ず、ゴム層について以下に説明する。前記内面ゴム層2のゴム材質としてはブチルゴム(IIR)が好ましい。このブチルゴムは、イソブチルとイソプレンの共重合体であって、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐薬品性および耐屈曲亀裂性に優れる上、ガス透過性が低いという特性を有するゴムであるからである。前記ブチルゴムは、塩素化ブチルゴムや臭素化ブチルゴム等のハロゲン化ブチルゴムでも良い。
また、前記中間ゴム層3および外面ゴム層4を形成するゴム材質は、エチレン−プロピレン系ゴム(EPM)、ブチル系ゴムまたはこれらを主成分としたゴム組成物であるのが好ましい。前記エチレン−プロピレン系ゴムは、耐熱性、耐候性、耐オゾン性に優れるからである。
本発明に係る前記エチレン−プロピレン系ゴムには、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(以下、EPDMと称す)も含まれる。このEPDMは、前記エチレン−プロピレン系ゴムに非共役ジエン系モノマーである第3成分を共重合して加硫させたゴムであって、前記ジエン系モノマーとしては、特に限定するものではないが炭素数5〜20のジエン系モノマーが好ましい。このEPDMの特性は、耐熱老化性がブチルゴムより若干優れ、耐寒性および耐候性にも優れる。
そして、本発明に係る車両用エアコンホースは、このようなゴム層の最外層を形成する外面ゴム層4の硬さ(ショアー硬さ)Hsを、30乃至60の範囲とするのが好ましく、40乃至50の範囲であるのがより好ましい。前記外面ゴム層4の硬さHsが30未満であると、外面ゴム層が柔らかすぎて接続する金属配管とのカシメ部において金具による十分なカシメが困難(カシメ強度の不足)となり、前記外面ゴム層4の硬さHsが60を越えると振動吸収のための柔軟性が不足するからである。
前記ゴム硬さHsを低減させるには、補強剤であるカーボンブラックの添加量を減らすとともに、軟化剤であるオイルの添加量を増加することにより達成される。また、前記ゴム硬さHsは、JIS−K6253に規定される測定方法によって測定される。
更に、前記ゴム層の最外層を形成する外面ゴム層4のゴム材質は、次式(2)で求められる動倍率を4.5以下とするのが好ましい。前記動倍率が4.5を越えると、振動吸収特性が低下し車両の静粛性が損なわれるからである。
動倍率=動的せん断弾性率/静的せん断弾性率 (2)
このようにエチレン−プロピレン系ゴムの動倍率を低減させるには、エチレンとプロピレンとの配合比においてエチレンの配合比を上げるとともに、ポリマーの高分子化を図り、静的せん断弾性率を大きくすることによって達成される。
前記動的せん断弾性率は、厚さ2mm、長さ35mm、幅5mmのゴム試験片を作成し、室温下で、周波数100Hz、動的歪率0.2%の条件にて、ヴィスコ・エラスティック・スペクトロメーター(株式会社岩本製作所製)を用いて測定される。また、前記静的せん断弾性率は、JIS−K6386に規定される測定方法によって測定される。
次に、補強層について説明すると、前記第1補強層5は、補強糸を内側ゴム層2の外周面にスパイラル状に複数本巻き付けて構成され、前記第2補強層6は、同一の補強糸を、第1補強層5とは逆方向に中間ゴム層3の外周面に、スパイラル状に複数本巻き付けて構成されてなる。前記補強糸は、複数本のポリエステル(PET)糸を加撚して構成されたものが強度上好ましい。
以上のような構成からなる本発明に係る車両用エアコンホースの振動吸収性について、図2および図3を用いて以下説明する。図2は振動伝達特性評価装置を説明するための模式的構成図、図3はこの振動伝達特性評価装置によって測定された加振側ホース固定部加速度AOおよび受振側ホース固定部下速度A1から、加振周波数f[Hz]に対して、(1)式により定義された振動伝達特性Gn[dB]を演算処理した結果を示した図である。
先ず、図2において、振動伝達特性評価装置は、床面GL上に設置された加振機11と受振機12とを備えるとともに、前記加振機11に固定された加振治具11aと、前記受振機12にラバーフローティング13を介して固定された受振治具12aとを備えている。
そして、所定長L=360mmに切断した試験ホース10を準備し、その一端を前記加振治具11aの加振側ホース固定部11bに差し込んで、幅L=15mmの加振側ホースバンド11cで固定する。一方、前記試験ホース10の他端を前記受振治具12aの受振側ホース固定部12bに差し込み、前記と同様に、幅L=15mmの受振側ホースバンド12cで固定する。
従って、試験ホース10の自由長Lは330mmとなって、加振機11によって加振された振動は、加振治具11aの加振側ホース固定部11bを介して試験ホース10に伝達され、この試験ホース10で一定量の振動を吸収された後、受振治具12aの受振側ホース固定部12bに到達する。
そして、加振治具11aの加振側ホース固定部11bに取り付けられた加振側加速度ピックアップセンサー14と、受振治具12aの受振側ホース固定部12bに取り付けられた受振側加速度ピックアップセンサー15とによって、夫々加振側ホース固定部11bの加速度A0および受振側ホース固定部12bの加速度A1を測定するよう構成されている。
前記加振側加速度ピックアップセンサー14と受振側加速度ピックアップセンサー15とによって測定された加速度信号A0,A1は、図示しない演算器に送信される。その結果、この演算器によって、加振周波数f[Hz]に対して、前式(1)により定義された振動伝達特性Gn[dB]がリアルタイムに演算されるように構成されている。試験条件は、アイドリング時から実車走行時までに発生する振動周波数を想定して下記の通りとした。
<試験条件>
・加振方向 :上下方向
・波 形 :SIN波形
・加速度 :3G(=29.4m/s)一定
・加振周波数:40〜600Hz
・周 期 :10min.(片道Log掃引)
・ホース内圧:無加圧
・雰囲気温度:23℃
前記条件によって測定された加振側ホース固定部加速度A0、および受振側ホース固定部加速度A1から、前式(1)で定義される振動伝達特性Gn[dB]を算出することによって、加振周波数f[Hz]に対する試験ホースの振動吸収性を評価できる。即ち、前式(1)で求められる振動伝達特性Gn[dB]は、加振側の加速度A0に対する受振側の加速度A1の減衰の程度を示しており、その値が小さいほど試験ホースの振動吸収性が大きいことを示している。
図3において、横軸は加振周波数f[Hz]を、縦軸は前式(1)で求められる振動伝達特性Gn[dB]を示している。そして、加振周波数40[Hz]以上において、前記振動伝達特性Gn[dB]が最初のピーク(即ち、振動吸収性の悪化)を示す第1ピーク値は、加振周波数fが70〜130[Hz]の間で発生し、2番目のピークを示す第2ピーク値は、加振周波数fが170〜250[Hz]の間で発生しているのが認められる。
前者の加振周波数70〜130[Hz]は、V型6気筒ガソリンエンジンにおいては1400〜2600[rpm]の回転数、直列4気筒ガソリンエンジンにおいては2100〜3900[rpm]の回転数に該当する。また、後者の加振周波数170〜250[Hz]は、V型6気筒ガソリンエンジンにおいては3400〜5000[rpm]の回転数、直列4気筒ガソリンエンジンにおいては5100〜7500[rpm]の回転数に該当する。
即ち、このようなエンジン回転数においては、エンジンの回転に伴い、車両に搭載されたエアコンホースの共振による第1ピークや第2ピークが発生するのである。従って、このような共振振動をエアコンホースで吸収させることは、車両全体の騒音発生を抑制し、ひいては車両の静粛性を保持する点から極めて有効である。
特に、圧縮機の吸込側においては、車室内に搭載されたエバポレータから気化された冷媒を輸送するサクションホースが接続され、このような用途に適用するのが最も効果的である。
そして、本発明に係る車両用エアコンホースは、前記(1)式で求められる振動伝達特性Gn[dB]の加振周波数40[Hz]以上における第1ピーク値が、図3にP1として示される−23〜−27[dB]の範囲に、そして、前記振動伝達特性Gn[dB]の第2ピーク値が、P2として示される−29〜−33[dB]の範囲に収まるよう構成されるのが好ましい。
前記振動伝達特性Gn[dB]の第1ピーク値が−23[dB]を越える場合、あるいは第2ピーク値が−29[dB]を越える場合は、エンジン回転に伴うエアコンホースの共振振動に対する振動吸収性が不十分で、車両の静粛性が従来例に比べて改善されないからである。
また、前記振動伝達特性Gn[dB]の第1ピーク値が−27[dB]未満の場合、あるいは第2ピーク値が−33[dB]未満の場合は、前記エアコンホースの振動吸収性は著しく改善されるが、極端に補強糸を除去しない限り達成し得ないレベルであり、エアコンホースとしての耐圧性が成立しない。
このように、前記(1)式で求められる振動伝達特性Gnの加振周波数40[Hz]以上における第1ピーク値および第2ピーク値が、上述したような範囲であれば、従来例に比べて特にエンジン回転に伴う共振振動の振動吸収性が特段に優れた車両用エアコンホースが得られるのである。
以上、本発明に係る車両用エアコンホースによれば、所定長に切断した前記車両用エアコンホースを試験ホースとし、この試験ホースの一端を加振周波数40[Hz]以上の範囲において加速度3Gで加振した際、前式(1)で定義される振動伝達特性Gn[dB]の第1ピーク値が−23〜−27[dB]の範囲に、第2ピーク値が−29〜−33[dB]の範囲に収まるよう構成されたので、エンジン回転数に伴う共振振動の伝達性が従来より大幅に低減されて振動吸収性が特に優れている。
また、前記ホース断面が、内面、外面の二層または内面、外面およびそれらの中間の三層からなるゴム層と、これらのゴム層間に介在する少なくとも一層の補強層とで構成され、前記内面ゴム層を形成するゴム材質がブチル系ゴムであり、前記外面ゴム層を形成するゴム材質がエチレン−プロピレン系ゴム、ブチル系ゴムまたはこれらを主成分としたゴム組成物であるので、前記内面ゴム層が冷媒のホース内部から外気への透過を阻止するとともに、前記外面ゴム層の動倍率が低いので振動伝達性の低減に優れるのである。
上記図2に示した振動伝達特性評価装置を用いて、試作した同一寸法を有するエアコンホースの振動伝達特性を前記試験条件と同一条件で評価し、更に、耐圧性試験と静粛性試験を行なった結果について以下に説明する。前記耐圧性試験は、
試作した前記エアコンホース内面に1.67MPaの空気圧を付与し、5分間放置して漏れや破裂の有無を確認した。また、前記静粛性試験は、試作した前記エアコンホースを実車に搭載し、エンジンとエアコンの運転状態を種々変化させて、車室内における車両騒音を同一人物の感性により相対的に判定した。
本発明に係るエアコンホースの実施例−1,2の仕様と振動伝達特性評価結果を、その他の評価結果と併せて下表1に示す。また、比較例−1として従来品のエアコンホース(HFC134a用ゴムホース、株式会社ニチリン製)の仕様と評価結果を、比較例−2として前記実施例−2において補強層を無くしたものの仕様と評価結果を表2に示す。そして、これら実施例および比較例に係るエアコンホースの振動伝達特性Gnの演算結果を図3に示す。
即ち、実施例−1および2に係るこれらのエアコンホースの振動伝達特性Gnは、第1ピーク値が、図3にP1として示された−23〜−27[dB]の範囲に、第2ピーク値が、P2として示された−29〜−33[dB]の範囲に収まるよう構成され、共振振動の伝達性が大幅に低減されたので、振動吸収性に優れ車室内の静粛性は良好であった。また、耐圧性についても特に問題なかった。
Figure 2008101709
次に、下表2の比較例−1に示された従来例に係るエアコンホースは、動倍率が7.5と高く、振動伝達特性Gnの第1ピーク値が、図3に示されるように−23[dB]を越え、第2ピーク値も−29[dB]を越えており、静粛性試験においても共振音が認められた。比較例−2は、実施例−2のエアコンホースにおいて補強層を削除して試作したものであるが、耐圧性不足のため耐圧試験において破裂を生じた。
Figure 2008101709
以上、本発明に係る車両用エアコンホースは、前記(1)式で定義される加振周波数40[Hz]以上における振動伝達特性Gn[dB]の第1ピーク値が−23〜−27[dB]の範囲に、また、第2ピーク値が−29〜−33[dB]の範囲に収まるよう構成されたので、車両のエンジン回転に伴う共振振動の伝達性が大幅に低減されて振動吸収性が特に優れている。
また、本発明に係る車両用エアコンホースは、前記ホース断面が、内面、外面の二層または内面、外面およびそれらの中間の三層からなるゴム層と、これらのゴム層間に介在する少なくとも一層の補強層とで構成され、前記内面ゴム層を形成するゴム材質がブチル系ゴムであり、前記外面ゴム層を形成するゴム材質がエチレン−プロピレン系ゴム、ブチル系ゴムまたはこれらを主成分としたゴム組成物であるので、前記内面ゴム層が冷媒のホース内部から外気への透過を阻止するとともに、前記外面ゴム層の動倍率が低いので振動伝達性の低減に優れている。
本発明に係るこのような車両用エアコンホースは、車両用エアコンの冷媒としてHFC134a用に用いられるのが好ましいが、この冷媒に限定されることなく、他の冷媒にも使用できることは言うまでもない。
本発明の実施の形態に係る車両用エアコンホースの積層構造を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る車両用エアコンホースの振動吸収性を試験評価する振動伝達特性評価装置を説明するための模式的構成図である。 本発明の実施の形態に係り、振動伝達特性評価装置によって測定された測定結果AOおよびA1から、加振周波数f[Hz]に対して、(1)式により定義された振動伝達特性Gn[dB]を演算処理した結果を示した図である。 従来例に係る車両用エアコンホースの積層構造を示す図である。 他の従来例に係る車両用エアコンホースの積層構造を示す図である。 従来例に係る振動吸収性ゴムホースの基本的な構造の一例を示す斜視説明図である。
符号の説明
GL:床面
1:車両用エアコンホース,
2:内側ゴム層, 3:中間ゴム層, 4:外側ゴム層,
5:第1補強層, 6:第2補強層,
10:試験ホース,
11:加振機,11a:加振治具,11b:加振側ホース固定部,11c:加振側ホースバンド,
12:受振機,12a:受振治具,12b:受振側ホース固定部,12c:受振側ホースバンド,
13:ラバーフローティング,
14:加振側加速度ピックアップセンサー,
15:受振側加速度ピックアップセンサー

Claims (6)

  1. ホース断面が、複数のゴム層とこの複数のゴム層間に介在する補強層とで構成される内径14mm以上の車両用エアコンホースにおいて、このエアコンホースを所定長360mmに切断して試験ホースとし、前記試験ホースの一端側を加振側ホース固定部に、他端側を受振側ホース固定部に各々幅15mmのホースバンドで固定して試験ホースの自由長を330mmとなし、前記加振側を加振周波数40[Hz]以上の範囲において加速度3Gで加振した際、次式(1)で定義される振動伝達特性Gn[dB]の第1ピーク値が、−23〜−27[dB]の範囲であることを特徴とする車両用エアコンホース。
    Gn[dB]=20Log10(A1/A0) (1)
    ここで、G:重力加速度(=9.8m/s
    A0:加振側ホース固定部加速度[m/s
    A1:受振側ホース固定部加速度[m/s
  2. 前記(1)式で定義される振動伝達特性Gn[dB]の第2ピーク値が、−29〜−33[dB]の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の車両用エアコンホース。
  3. 前記ホース断面が、内面、外面の二層または内面、外面およびそれらの中間の三層からなるゴム層と、これらのゴム層間に介在する少なくとも一層の補強層とで構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用エアコンホース。
  4. 前記内面ゴム層を形成するゴム材質がブチル系ゴムであり、前記外面ゴム層を形成するゴム材質がエチレン−プロピレン系ゴム、ブチル系ゴムまたはこれらを主成分としたゴム組成物であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つの項に記載の車両用エアコンホース。
  5. 前記外面ゴム層を形成するゴム材質の硬さHsを、30乃至60の範囲としたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つの項に記載の車両用エアコンホース。
  6. 前記車両用エアコンホースが、圧縮機の吸込側に用いられるサクションホースであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つの項に記載の車両用エアコンホース。













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