JP2008101592A - 圧縮着火式内燃機関の制御システム - Google Patents

圧縮着火式内燃機関の制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、所定量以上のEGRガスを気筒内へ導入することにより予混合燃焼運転を行う圧縮着火式内燃機関の制御システムにおいて、内燃機関をフューエルカット運転状態から予混合燃焼運転状態へ速やか且つ好適に移行させることを課題とする。
【解決手段】本発明は、内燃機関のフューエルカット運転終了時から気筒内の酸素濃度が所望の濃度へ低下するまでの期間は、気筒内にスワール流を発生させつつ内燃機関を拡散燃焼運転させることにより、失火やスモークの増加を伴うことなく燃料噴射量の増量補正を行えるようにし、以てEGRガス中の酸素濃度、及び気筒内の酸素濃度を早期に低下させるようにした。
【選択図】図6

Description

本発明は、圧縮着火式内燃機関の制御システムに関し、特に予混合燃焼運転可能な圧縮着火式内燃機関の制御システムに関する。
車両などに搭載される内燃機関として、予混合燃焼運転と拡散燃焼運転を切り換え可能な圧縮着火式内燃機関が知られている。
圧縮着火式内燃機関が予混合燃焼運転される場合は、燃料(或いは予混合気)の過早着火を防止するために、拡散燃焼運転時より多量のEGRガスを気筒内へ導入させる必要がある。しかしながら、内燃機関が拡散燃焼運転状態やフューエルカット運転状態から予混合燃焼運転状態へ移行する時は、EGRガス量を即座に増加させることができない。
これに対し、予混合燃焼運転時又は拡散燃焼運転時にEGRガスを貯蔵しておき、貯蔵されたEGRガスを気筒内へ適宜供給する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2005−325811号公報 特開2004−156519号公報
ところで、上記した従来の技術は、既存の構成に加え、EGRガスを貯蔵しておくための特別な機構が必要となる。
本発明は、上記したような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定量以上のEGRガスを気筒内へ導入することにより予混合燃焼運転を行う圧縮着火式内燃機関の制御システムにおいて、内燃機関をフューエルカット運転状態から予混合燃焼運転状態へ速やか且つ好適に移行させることにある。
本発明は、上記した課題を解決するために、以下のような手段を採用した。すなわち、本発明は、所定量以上のEGRガスを気筒内へ導入することにより予混合燃焼運転を行う圧縮着火式内燃機関の制御システムにおいて、フューエルカット運転終了時から気筒内の酸素濃度が所望の濃度へ低下するまでの期間は、前記内燃機関を拡散燃焼運転させる運転制御手段と、前記運転制御手段により前記内燃機関が拡散燃焼運転させられている時に、前記気筒内に所定のガス流動を発生させる流動発生手段と、前記流動発生手段により前記気筒内に所定のガス流動が発生させられている時に前記内燃機関の空燃比を適正空燃比より低下させる空燃比低下手段と、を備えるようにした。
フューエルカット制御の実行期間中は、気筒内で燃料が燃焼されないため、内燃機関から排出されるガスは空気のみとなる。このため、EGRガスの循環経路(すなわち、内燃機関の気筒内を起点に排気通路、EGR通路、及び吸気通路を順次経て再び気筒内へ戻る経路。以後、この循環経路を「EGR循環経路」と称する)内のガスは、空気の濃度が高く且つEGRガスの濃度が低いガスとなる。
EGR循環経路に空気濃度の高いガスが充満した状態で内燃機関がフューエルカット運転状態から予混合燃焼運転状態へ移行すると、移行直後に気筒内へ導入されるガスの大部
分が空気となる。その結果、内燃機関が予混合燃焼運転状態へ移行した直後は、気筒内の酸素濃度が過剰に高くなるため、燃料が過早着火して振動や騒音の増加を誘発する可能性がある。
これに対し、フューエルカット運転終了時から気筒内の酸素濃度がある程度低下するまでの期間は内燃機関を拡散燃焼運転させる方法が考えられる。但し、EGR循環経路にEGRガスが殆ど存在しない状態から気筒内の酸素濃度が予混合燃焼運転に適した濃度へ低下するまでには比較的長い時間がかかる。
そこで、内燃機関の拡散燃焼運転時に、燃料噴射量を適正量より増加させることにより該内燃機関の空燃比を低下させ、EGRガス中の酸素濃度を早期に低下させる方法も考えられる。
しかしながら、内燃機関の拡散燃焼運転時に燃料噴射量が適正量より増加させられると、燃料と吸気の混合が不十分となって失火やスモークの増加等が発生する可能性もある。特に、内燃機関のフューエルカット運転時は低温な空気が気筒内を通過するため、気筒内の温度が低下する。よって、内燃機関のフューエルカット運転終了直後は気筒内の燃料が気化及び霧化し難く、失火やスモークの増加等が発生し易い。
これに対し、フューエルカット運転終了後の拡散燃焼運転時に、気筒内にスワール流やタンブル流などのガス流動が発生させられると、燃料の霧化及び気化が促進されるとともに、燃料と吸気の混合も促進される。その結果、燃料噴射量が適正量より増加させられても、失火やスモークの増加を抑制することができる。
従って、本発明にかかる圧縮着火式内燃機関の制御システムによれば、内燃機関をフューエルカット運転状態から予混合燃焼運転状態へ早期に移行させることが可能となる。
尚、本発明にかかる流動発生手段は、既存のスワールコントロールバルブやタンブルコントロールバルブ等の気流制御弁を閉弁させることにより、気筒内にガス流動を発生させるようにしてもよい。この場合、既存のハードウェアを用いつつ内燃機関をフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行させることができる。
本発明によれば、気筒内へ所定量以上のEGRガス量を導入することにより予混合燃焼運転を行う圧縮着火式内燃機関の制御システムにおいて、内燃機関をフューエルカット運転状態から予混合燃焼運転状態へ速やか且つ好適に移行させることが可能となる。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。
図1に示す内燃機関は、予混合燃焼運転と拡散燃焼運転を適宜切り換えることが可能な圧縮着火式内燃機関(ディーゼルエンジン)である。内燃機関1は、各気筒2内へ直接燃料を噴射可能な燃料噴射弁3と、各気筒2内へ空気を導く吸気通路4とを備えている。吸気通路4の途中には、遠心過給器(ターボチャージャ)5のコンプレッサ50とインタークーラ6が配置されている。
コンプレッサ50により過給された吸気は、インタークーラ6により冷却された後に各気筒2内へ導かれるようになっている。各気筒2内へ導かれた吸気は、燃料噴射弁3から噴射された燃料とともに気筒2内で着火及び燃焼される。
各気筒2内で燃焼されたガスは、排気通路7へ排出される。排気通路7へ排出された排気は、排気通路7の途中に配置されたタービン51及び排気浄化装置8を経由して大気中へ放出される。
排気浄化装置8としては、酸化能とNOx吸蔵能を有する吸蔵還元型NOx触媒、酸化能とPM捕集能を有するパティキュレートフィルタ、或いは、吸蔵還元型NOx触媒が担持されたパティキュレートフィルタ等を例示することができる。
前記した吸気通路4と排気通路7は、EGR通路9により相互に接続されている。EGR通路9の途中には、該EGR通路9の流路断面積を調節するEGR弁10と、該EGR通路9を流れる排気(以下、「EGRガス」と称する)を冷却するためのEGRクーラ11が配置されている。
また、吸気通路4においてインタークーラ6より下流且つEGR通路9の接続部より上流の部位には吸気絞り弁12が配置されている。吸気通路4において、EGR通路9の接続部より下流は4つの分岐管に分岐され、更に各分岐管が2つの枝管に分岐されている。そして、各気筒2の燃焼室には2つの枝管が接続されている。各気筒2の2つの枝管の一方には本発明にかかる気流制御弁としてのスワールコントロールバルブ18が配置されている。
上記した燃料噴射弁3、EGR弁10、吸気絞り弁12、スワールコントロールバルブ18は、ECU13によって電気的に制御される。ECU13は、吸気通路4に配置されたエアフローメータ14の測定値、排気浄化装置8より下流の排気通路7に配置された空燃比センサ(A/Fセンサ)15の測定値、内燃機関1に取り付けられたクランクポジションセンサ16の測定値、及びアクセルポジションセンサ17の測定値などをパラメータとして、燃料噴射弁3、EGR弁10、吸気絞り弁12、スワールコントロールバルブ18を制御する。
例えば、ECU13は、内燃機関1の負荷(アクセル開度)Accp及び機関回転数Neから定まる機関運転状態が図2に示す予混合燃焼運転領域にある時には、内燃機関1を予混合燃焼運転させる。一方、機関運転状態が図2の拡散燃焼運転領域にある時は、ECU13は内燃機関1を拡散燃焼運転させる。
内燃機関1が予混合燃焼運転される場合は、ECU13は、図3に示すように、パイロット噴射量を零に設定(パイロット噴射を停止)するとともに主噴射時期を圧縮上死点より早い時期(圧縮行程の初期又は中期)に設定する。
一方、内燃機関1が拡散燃焼運転させられる場合には、ECU13は、図4に示すように、パイロット噴射量を零より多い量に設定(パイロット噴射を実行)するとともに主噴射時期を圧縮上死点近傍に設定する。
尚、内燃機関1が予混合燃焼運転される場合は、気筒2内の燃料が予混合気を形成する前に過早着火する可能性があるため、拡散燃焼運転時より多量のEGRガスを気筒2内へ導入して気筒2内の酸素濃度を下げる必要がある。
ところで、内燃機関1のフューエルカット運転時は気筒2内で燃料が燃焼されないため、EGR循環経路(内燃機関1の気筒2内を起点に排気通路7、EGR通路9、及び吸気通路4を順次経て再び気筒2内へ戻る経路)に空気濃度が高く且つ既燃ガス成分濃度が低いガスが充満する。更に、フューエルカット運転終了後において、最初の燃焼気筒の排気
がEGR循環経路を介して内燃機関1の燃焼室へ到達するまでには輸送遅れを生じる。
従って、フューエルカット運転終了時から上記輸送遅れが解消されるまでの期間は、気筒2内へ導入される既燃ガス成分量が極少或いは零となる。このため、内燃機関1がフューエルカット運転終了後に直ちに予混合燃焼運転されると、着火時期が変動(過早着火)して振動や騒音が増大する可能性がある。
これに対し、フューエルカット運転終了時から上記輸送遅れが解消されるまでの期間に、内燃機関1を拡散燃焼運転させる方法が考えられる。しかしながら、内燃機関1の全ての気筒2は、フューエルカット運転終了時に一斉に燃焼を再開するわけではなく、燃料噴射順序に従って順次燃焼を再開する。
このため、上記輸送遅れが解消された時点で気筒2内へ導入される既燃ガス成分量は、燃料の過早着火を抑制し得る量に対して過少となる。よって、上記輸送遅れが解消された後に内燃機関1を拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ速やかに移行させることは困難となる。
そこで、本実施例における内燃機関の燃焼制御システムでは、ECU13が以下に示す制御を行うようにした。
図5は、内燃機関1がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時の制御手順を示すタイミングチャートである。
ECU13は、フューエルカット運転終了時の機関運転状態が前述した図2の予混合燃焼運転領域にあると、先ず内燃機関1を拡散燃焼運転させる。具体的には、ECU13は、内燃機関1のフューエルカット運転が終了すると(図5中のt1)、圧縮上死点より前(図5中のT2)に少量の燃料をパイロット噴射させるとともに圧縮上死点近傍(図5中のT1)で主噴射させるべく燃料噴射弁3を制御する。
更に、ECU13は、フューエルカット運転終了時(図5中のt1)に、EGRガス量が過早着火を抑制し得る量(以下、「目標EGRガス量」と記す)となるようにEGR弁10の開度を制御する。
EGRガス量は内燃機関1の吸入空気量と相関するため、図5の例ではEGRガス量が目標EGRガス量となる時の吸入空気量(図5中のGN1)を目標吸入空気量と定め、内燃機関1の実際の吸入空気量(図5中の実GN)が目標吸入空気量GN1となるようにEGR弁10の開度が制御される。
尚、ECU13がEGR弁10に対する指令値を出力した時点(図5中のt1)から実GNが変化し始める時(図5中のt2)までには、EGRガスの輸送遅れに起因した応答遅れ(図5中の期間P1)が生じる。このため、ECU13は、上記した期間P1においては、内燃機関1の拡散燃焼運転を継続させるように燃料噴射弁3を制御する。
また、実GNが変化し始めた時(図5中のt2)から実GNが目標吸入空気量GN1と等しくなるまで(図5中のt3)には、各気筒2の燃焼順序に起因した応答遅れが(図5中の期間P2)が生じる。このため、上記した期間P2においては、気筒2内へ導入されるEGRガス量が前記目標EGRガス量より少なくなる。
よって、燃料の過早着火を防止するためには、上記期間P2の終了後に内燃機関1を拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ切り換えることが妥当である。しかしながら、内燃機関
1がフューエルカット運転を終了してから予混合燃焼運転を開始するまでの所要期間(期間P1と期間P2を合計した期間)が長くなるという問題がある。特に、機関回転数が低い場合は、EGRガスの輸送遅れが大きくなるため、上記の所要期間が過剰に長くなる虞がある。
これに対し、内燃機関1がフューエルカット運転される前にEGRガスを貯蔵しておき、貯蔵されたEGRガスをフューエルカット運転終了後に内燃機関1へ供給する方法も考えられるが、EGRガスを貯蔵しておく機構が必要となる。
そこで、ECU13は、フューエルカット運転終了時t1に燃料増量フラグをセット(=1)して、燃料噴射弁3の燃料噴射量を適正量より増量させる。この場合、内燃機関1で燃焼に供されるガスの空燃比が適正値より低下するため、内燃機関1の排気に含まれる既燃ガス成分ガス(COやHOなど)やHCの量が増加する。
上記した方法により排気中に含まれる既燃ガス成分ガス(COやHOなど)やHCの量が増加すると、単位量当たりのEGRガスに含まれる酸素量が減少(EGRガス中の酸素濃度が低下)する。EGRガス中の酸素濃度が低下すると、EGRガスの輸送遅れ解消時(図5中のt2)に気筒2内の酸素濃度が急速に低下する。
EGRガスの輸送遅れ解消時(図5中のt2)に気筒2内の酸素濃度が急速に低下すると、その時点で内燃機関1が拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ移行しても燃料の過早着火を回避可能となる。
但し、内燃機関1を拡散燃焼運転から予混合燃焼運転へ移行させる際に燃料噴射パラメータが急激に切り換えられると、燃焼状態が急変して排気エミッションの悪化やトルク変動等を発生する可能性がある。
そこで、ECU13は、燃料噴射パラメータを拡散燃焼運転用のパラメータから予混合燃焼運転用のパラメータへ連続的又は離散的に変更するようにしている。具体的には、ECU13は、パイロット噴射量を連続的又は離散的に減量するとともに主噴射時期を圧縮上死点近傍から連続的又は離散的に進角させる(以下、この処理を「移行処理」と称する)。
その際、燃料噴射パラメータの変更速度(例えば、1サイクル当たりのパイロット噴射量の減少量及び主噴射時期の進角量)は、内燃機関1の排気エミッションやトルク変動等が許容範囲に収まるように定められるものとする。
ECU13は、主噴射時期が予混合燃焼運転用の噴射時期まで進角し且つパイロット噴射量が燃料噴射弁3の最低噴射量Qpminに減少すると(図5中のt3)、上記した移行処理を終了する。
このような移行処理により燃料噴射パラメータが徐変されると、燃焼状態の急激な変化を抑制しつつ内燃機関1の運転を切り換えることが可能となる。
更に、上記した移行処理の実行期間(図5中の期間P2)中はEGRガス量が目標EGRガス量より少ないものの、単位量当たりのEGRガスに含まれる酸素量が大幅に減少しているため、過早着火の発生が抑制され或いは過早着火による騒音や振動の発生が抑制されるようになる。
ところで、フューエルカット運転終了後の拡散燃焼運転時に燃料噴射量が適正量より増
量されると、燃料と吸気の混合が不十分となって失火やスモークの増加等が発生する可能性もある。
特に、内燃機関1のフューエルカット運転時は低温な空気が燃焼室を通過するため、燃焼室内の温度が低下する。よって、内燃機関1のフューエルカット運転終了直後は燃焼室内の燃料が気化及び霧化し難く、失火やスモークの増加等が発生し易い。
そこで、ECU13は、フューエルカット運転終了後の拡散燃焼運転時(あるいは、拡散燃焼運転時と移行処理時の双方の期間)に、燃料噴射量を増量させると同時にスワールコントロールバルブ18(図5中のSCV)を閉弁させるようにした。
スワールコントロールバルブ18が閉弁されると、気筒2内に強いスワール流が発生するため、燃料噴射弁3から噴射された燃料の霧化及び気化が促進されるとともに、燃料と吸気との混合も促進されるようになる。その結果、失火やスモークの増加を抑制しつつEGRガス中の酸素濃度を急速に低下させることが可能となる。
尚、上記した移行処理の実行期間(図5中の期間P2)中は、燃料噴射量の増量補正量が一定量に設定されてもよいが、気筒2内へ導入されるEGRガス量(言い換えれば、実GN)に応じて変更されてもよい。
例えば、ECU13は、実GNと目標GNの差(実GN−目標GN)が大きくなるほど増量補正量を多くし、前記差が小さくなるにつれて増量補正量を少なくするようにしてもよい。
この場合、気筒2内へ導入されるEGRガス量が少なくなるほどEGRガス中の酸素濃度が低くなるとともに、気筒2内へ導入されるEGRガス量が多くなるほどEGRガス中の酸素濃度が高くなる。
その結果、気筒2内へ導入されるEGRガス量が少ない時に燃料の過早着火を抑制することができるとともに、気筒2内へ導入されるEGRガス量が多い時に燃料の失火やスモークの増加を抑制することができる。
以下、本実施例の制御手順について図6に沿って説明する。図6は、内燃機関1がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時の制御ルーチンを示すフローチャートである。
図6の制御ルーチンにおいて、ECU13は、先ずS101においてフューエルカット制御実行条件が成立しているか否かを判別する。フューエルカット制御実行条件としては、従来一般に公知の条件が使用され、例えば、アクセル開度Accpが零である、機関回転数Neが一定回転数以上である、内燃機関1の冷却水温度が一定温度以上である、等の条件を例示することができる。
前記S101において否定判定された場合は、ECU13は、本ルーチンの実行を一旦終了する。一方、前記S101において肯定判定された場合は、ECU13は、S102へ進む。
S102では、ECU13は、燃料噴射弁3からの燃料噴射を停止させるとともに、機関回転数の過剰な上昇を防止するために吸気絞り弁12及びEGR弁10を閉弁させる。
S103では、ECU13は、フューエルカット制御実行終了条件が成立したか否かを
判別する。フューエルカット制御実行終了条件は、上記したフューエルカット実行条件が不成立になることである。
前記S103において否定判定された場合は、ECU13は、フューエルカット制御実行終了条件が成立するまで前記S103の処理を繰り返し実行する。一方、前記S103において肯定判定された場合は、ECU13は、S104へ進む。
S104では、ECU13は、クランクポジションセンサ16の測定値より機関回転数Neを演算するとともに、アクセルポジションセンサ17の測定値(アクセル開度)Accpを入力し、それら機関回転数Ne及びアクセル開度Accpから定まる機関運転状態が予混合燃焼運転領域にあるか否かを判別する。
前記S104において否定判定された場合(機関運転状態が拡散燃焼運転領域にある場合)は、ECU13は、S110へ進み、燃料噴射弁3から燃料噴射を再開させることによりフューエルカット制御の実行を終了するとともに、EGR弁10及び吸気絞り弁12を通常の開度に復帰させる。
一方、前記S104において肯定判定された場合(機関運転状態が予混合燃焼運転領域にある場合)は、ECU13は、S105へ進み、内燃機関1を拡散燃焼運転させる。すなわち、ECU13は、前述した図4に示したようにパイロット噴射量を零より多い量に設定(パイロット噴射を実行)するとともに主噴射時期を圧縮上死点近傍に設定する。
更に、ECU13は、S106においてスワールコントロールバルブ18(SCV)を閉弁させるとともに、燃料増量フラグをセットして燃料噴射量の増量補正を行う。すなわち、ECU13は、気筒2内にスワール流を発生させつつ燃料噴射量の増量補正を行う。
この場合、気筒2内の酸素濃度(O濃度)は、図7に示すように、燃料噴射量の増量補正が行われない場合より早期に目標酸素濃度(目標O濃度)まで低下するようになる。また、気筒2内にはスワール流が発生しているため、燃料噴射量の増量補正に起因した失火やスモークの増加も抑えられる。
ここで図6の制御ルーチンに戻り、ECU13は、S107において、気筒2内の酸素濃度(O濃度)が目標酸素濃度(目標O濃度)以下まで低下したか否かを判別する。気筒2内の酸素濃度(O濃度)は、EGR率に基づいて推定演算することができる。
前記S107において否定判定された場合(O濃度>目標O濃度)は、ECU13は、気筒2内の酸素濃度(O濃度)が目標酸素濃度(目標O濃度)以下へ低下するまで、前記S107の処理を繰り返し実行する。一方、前記S107において肯定判定された場合(O濃度≦目標O濃度)は、ECU13は、S108へ進む。
S108では、ECU13は、スワールコントロールバルブ18(SCV)を開弁させ、次いでS109において内燃機関1を予混合燃焼運転させる。すなわち、ECU13は、前述した図3に示したように、パイロット噴射量を零に設定(パイロット噴射を停止)するとともに主噴射時期を圧縮上死点より早い時期(圧縮行程の初期又は中期)に設定する。
このようにECU13が燃焼制御ルーチンを実行すると、本発明に係る運転制御手段、流動発生手段、及び空燃比低下手段が実現される。依って、本実施例によれば、内燃機関1がフューエルカット運転状態から予混合燃焼運転状態へ移行する場合に、失火やスモークの増加等を伴うことなく速やか且つ好適に予混合燃焼運転状態へ移行することが可能と
なる。
尚、本実施例では、本発明にかかる気流制御弁として、スワールコントロールバルブ18を例に挙げたが、タンブル流を生成するためのタンブルコントロールバルブを備えた内燃機関1にはスワールコントロールバルブ18の代わりにタンブルコントロールバルブを用いてガス流動を発生させるようにしてもよい。
また、本実施例では、タービンハウジング51より上流の排気通路7からコンプレッサハウジング50より下流の吸気通路4へ排気を再循環させるEGR機構(高圧EGR機構)を備える内燃機関を例に挙げたが、タービンハウジング51より下流の排気通路7からコンプレッサハウジング50より上流の吸気通路4へ排気を再循環させるEGR機構(低圧EGR機構)を備える内燃機関にも好適であり、更に高圧EGR機構と低圧EGR機構の双方を具備する内燃機関にも好適である。
本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。 予混合燃焼運転と拡散燃焼運転を切り換えるためのマップを示す図である。 予混合燃焼運転時の燃料噴射タイミングを示すタイミングチャートである。 拡散燃焼運転時の燃料噴射タイミングを示すタイミングチャートである。図である。 内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時の制御手順を示すタイミングチャートである。 内燃機関がフューエルカット運転から予混合燃焼運転へ移行する時の制御ルーチンを示すフローチャートである。 気筒内の酸素濃度が低下するまでの時間を計測した結果を示す図である。
符号の説明
1・・・・・内燃機関
3・・・・・燃料噴射弁
4・・・・・吸気通路
7・・・・・排気通路
9・・・・・EGR通路
10・・・・EGR弁
11・・・・EGRクーラ
12・・・・吸気絞り弁
13・・・・ECU
18・・・・スワールコントロールバルブ

Claims (3)

  1. 所定量以上のEGRガスを気筒内へ導入することにより予混合燃焼運転を行う圧縮着火式内燃機関の制御システムにおいて、
    フューエルカット運転終了時から気筒内の酸素濃度が所望の濃度へ低下するまでの期間は、前記内燃機関を拡散燃焼運転させる運転制御手段と、
    前記運転制御手段により前記内燃機関が拡散燃焼運転させられている時に、前記気筒内に所定のガス流動を発生させる流動発生手段と、
    前記流動発生手段により前記気筒内に所定のガス流動が発生させられている時に前記内燃機関の空燃比を適正空燃比より低下させる空燃比低下手段と、
    を備えたことを特徴とする圧縮着火式内燃機関の制御システム。
  2. 請求項1において、前記流動発生手段は、前記内燃機関の吸気通路に設けられた気流制御弁を閉弁させることにより、前記気筒内にスワール流を発生させることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の制御システム。
  3. 請求項1において、前記流動発生手段は、前記内燃機関の吸気通路に設けられた気流制御弁を閉弁させることにより、前記気筒内にタンブル流を発生させることを特徴とする圧縮着火式内燃機関の制御システム。
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