JP2008101291A - 竹繊維織物の製造方法 - Google Patents

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Tomiya Hashimoto
富也 橋本
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Abstract

【課題】 防しわ性に優れ、繰り返し使用による強度低下の少ない竹繊維織物の製造方法を提供する。
【解決手段】 繊維素反応型樹脂を用いて竹繊維織物を樹脂加工し、アルカリ水溶液を付与した後、無張力又は低張力の状態で放置し、しかる後に中和、水洗する竹繊維織物の製造方法。本発明では、繊維素反応型樹脂を用いた樹脂加工により、織物に防しわ性が付与でき、アルカリ水溶液を付与した上で放置することにより、繰り返し使用による織物の強度低下を抑制することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防しわ性に優れ、繰り返し使用による強度低下の少ない竹繊維織物に関する。
従来から、天然竹繊維使いの織編物が知られている。例えば、特許文献1には、竹を解繊、分繊して得た分繊維と、綿とからなる混紡糸を用いた織物が開示されている。また、特許文献2には、解繊させた竹材を一定の繊維長に揃えることで得た竹繊維と、綿と、ポリエステル短繊維とからなる混紡糸を経緯糸に用いた織物が開示されている。
これらの織物は、抗菌性や涼感性などの機能を有しているため、衣料や寝具などの分野で好適に使用できる。
特開2005−307413号公報(実施例2) 特開2006−152503号公報(実施例2)
しかしながら、竹繊維を使用すると織物にしわが発生しやすいという問題があった。
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するものであり、防しわ性に優れ、繰り返し使用による強度低下の少ない竹繊維織物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、繊維素反応型樹脂を用いて樹脂加工した後、アルカリを付与して放置すれば、竹繊維織物の防しわ性を向上させると共に強度低下も抑制できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、繊維素反応型樹脂を用いて竹繊維織物を樹脂加工し、アルカリ水溶液を付与した後、無張力又は低張力の状態で放置し、しかる後に中和、水洗することを特徴とする竹繊維織物の製造方法を要旨とするものである。
本発明は、低コストで工業的に実施可能なだけでなく、従来の竹繊維織物が有するしわが発生しやすいという欠点を改善することができると共に繰り返し使用による強度低下も抑えることもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における竹繊維とは、竹レーヨン繊維と称される、竹を原料としたレーヨン繊維ではなく、真竹、孟宗竹など天然に生育する竹を分繊して得る、所謂天然竹繊維と称されるものである。本発明における竹繊維の形態としては、短繊維であり、断面中央長手方向に中空部を有している。また、単糸繊度としては、0.9〜20.0dtexが好ましく、2.0〜10.0dtexがより好ましい。
また、本発明における竹繊維織物とは、上記竹繊維を主として用いてなる織物であり、竹繊維のみを使用した織物や竹繊維以外の繊維が含有された織物も含まれる。ここで、竹繊維以外の繊維としては、綿、麻、羊毛、カシミヤ、絹などの天然繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、溶剤紡糸セルロース繊維などの再生繊維、ジアセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタンなどの合成繊維などがあげられ、特に、植物由来のポリ乳酸繊維などの生分解性合成繊維を採用すると、環境負荷を抑えることができる。これら竹繊維以外の繊維の形態としては、短繊維、長繊維の何れであってもよい。
本発明においては、まず、繊維素反応型樹脂を用いて竹繊維織物を樹脂加工する。
樹脂加工に供する竹繊維織物は、上記竹繊維を含んでなる糸条を従来公知の手段で製織したものでありさえすればよく、織組織、織物密度は任意である。本発明では、製織後の竹繊維織物をそのまま用いてもよいが、風合いや染色性を向上させる観点から、前処理しておくことが好ましい。前処理とは、糊抜き、精練、漂白、シルケット、染色などを単独又は複数組み合わせて行う処理をいう。
本発明においては、この樹脂加工よって織物が固定され、織物に優れた防しわ性を付与される。ここでいう固定とは、樹脂を介して織物を物理的あるいは化学的に固定することを意味する。物理的な固定としては、織物表面、糸条表面又は繊維表面などに樹脂を付着させる態様が例示できる。一方、化学的な固定としては、繊維分子と樹脂分子とを化学結合させることにより、繊維分子間を固定する態様が例示できる。化学結合とは、共有結合、イオン結合、水素結合などを指す。本発明では、防しわ性を一層向上させる点から後者の化学的な固定が好ましく、特に繊維分子間に樹脂分子を共有結合によって橋かけする、所謂架橋による固定が最も好ましい。
したがって、本発明に用いる繊維素反応型樹脂としては、織物を固定できる有機化合物でありさえすればよく、具体的には、グリオキザール系、尿素−ホルマリン系、エチレン尿素系、トリアジン系、ウロン系などのN−メチロール樹脂、もしくはエポキシ樹脂、ビス・スルフォン樹脂などがあげられ、中でもコストの観点からグリオキザール系のN−メチロール樹脂が好ましい。
樹脂加工後は、織物にアルカリ水溶液を付与する。アルカリ水溶液とは、アルカリ化合物を水に溶解させたものである。アルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどがあげられ、工業的には、水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリ水溶液の濃度としては、織物を十分に膨潤させることができる程度であればよく、アルカリ化合物の種類に応じて適宜設定する。アルカリ水溶液中には、必要に応じて浸透剤を含有させてもよい。また、前処理としてシルケットを採用した場合は、アルカリ水溶液として、シルケットに用いたアルカリ水溶液に比してアルカリ性が同程度もしくはそれ以上のものを用いることが好ましい。
アルカリ水溶液の付与方法としては、特に限定されるものでないが、一般には含浸法が好ましい。含浸法とは、織物を水溶液の中に浸した後マングルで絞るという手段である。アルカリ水溶液の温度としては、5〜50℃程度が好ましい。
アルカリ水溶液を付与した後は、無張力又は低張力の状態で織物を放置する。織物を放置するための手段としては、特に限定されるものでなく、例えば、アルカリ水溶液の付与した後、受台に振り落とすような簡単な手段でよい。放置時間としては、通常2分間以上が好ましい。
本発明では、その後、織物を中和、水洗する。これによりアルカリ化合物が織物内部及び表面から除去される。
本発明においては、上記のように織物にアルカリ水溶液を付与し、かつ無張力又は低張力の状態で放置することにより織物の経緯糸を収縮させることができるので、繰り返し使用による強度低下を抑えることができる。なお、経緯糸を収縮させると、織物にストレッチ性が付与されてしまう場合がある。ストレッチ性は、用途によって好ましい場合と好ましくない場合があり、例えば、経糸方向のみストレッチ性を低減したい場合は、連続ソーパーなどを使用して、経糸に張力を付加しながら急激に中和、水洗する方法、中和、水洗後に経糸に張力を付加しながらシルケット加工する方法などを採用すればよい。また、経緯糸方向ともストレッチ性を低減したい場合は、中和、水洗後に経緯糸に張力を付加しながらシルケット加工する方法などを採用すればよい。
本発明は、以上のような構成を有するものであり、必要により柔軟剤を付与したり、サンフォライズ加工、カムフィット加工、カレンダー加工などを行ってもよい。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、得られた織物の物性評価は、以下の手段に準じた。
(1)防しわ性の評価
JIS L1059−1(モンサント法)に準じて、織物の防しわ率を測定した。なお、しわ付けの荷重としては、5.0Nの荷重を使用し、織物を標準状態及び湿潤状態の両者について織物の防しわ率を測定した。
(2)織物強力の評価
JIS L1096 8.15.5D法(ペンジュラム法)に準じて、織物の経糸及び緯糸方向の引裂強さを測定した。
(3)繰り返し使用による強度低下の評価
JIS L1096 8.17.1A−3法(折目法)に準じて、織物の経糸及び緯糸方向の摩耗強さを測定した。
(比較例1)
中国産孟宗竹を分繊化して得た天然竹繊維(単糸繊度4.2dtex、平均繊維長38mm)を用い、綿紡績法により英式綿番手21番手の天然竹繊維からなる紡績糸を得た。
この紡績糸を経緯糸に用いて、経糸密度52本/2.54cm、緯糸密度58本/2.54cmの平織物を製織し、毛焼き、糊抜き、精練、漂白、シルケット、染色して織物を得た。
(比較例2)
比較例1で得た織物を下記処方1の樹脂溶液に含浸し、ピックアップが80質量%となるようにマングルで絞り、巾出ししながら100℃で乾燥した後、160℃で2分間熱処理して織物を得た。なお、この織物中の繊維分子は、グリオキザール系N−メチロール樹脂の分子によって架橋されていた。
〈処方1〉
繊維素反応型樹脂(住友化学工業(株)製、グリオキザール系N−メチロール樹脂、「スミテックスレジンNS−19(商品名)」) 100g/L
触媒(住友化学工業(株)製、金属塩、「スミテックスアクセラレーターX−80(商品名)」) 30g/L
(実施例1)
比較例2で得た織物を水酸化ナトリウム水溶液に含浸し、ピックアップが80質量%となるようにマングルで絞った。そして、受台に振り落として10分間放置し、中和、水洗、乾燥して、本発明の方法による竹繊維織物を得た。
以上の実施例、比較例で得られた織物の物性値を下記表1に示す。
表1から明らかなように、比較例1にかかる織物は、繊維素反応型樹脂を用いて樹脂加工されていないため、防しわ性に劣るものとなった。比較例2にかかる織物は、アルカリ水溶液を付与し放置するという工程を経ていないので、繰り返し使用による強度低下が著しいものとなった。
これに対し、実施例1にかかる竹繊維織物は、防しわ性に優れ、繰り返し使用による強度低下の少ないものであった。さらに、実施例1にかかる方法は、低コストで工業的に実施可能な方法であった。

Claims (1)

  1. 繊維素反応型樹脂を用いて竹繊維織物を樹脂加工し、アルカリ水溶液を付与した後、無張力又は低張力の状態で放置し、しかる後に中和、水洗することを特徴とする竹繊維織物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012046572A1 (ja) 2010-10-04 2012-04-12 株式会社東和コーポレーション 手袋

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