JP2008097800A - スタンパとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光記録媒体成形基板の離型性を向上させたスタンパを低コストで提供する。
【解決手段】本発明のスタンパは、グルーブを記録エリアの外周側まで延設した光記録媒体成形基板作製用のスタンパであり、グルーブが当該スタンパにより成形される光記録媒体成形基板の直径よりも大きい直径範囲まで形成されている。とくに、光記録媒体成形基板の直径が120mmである場合には、グルーブの延設端位置が、直径118.7mmを超え、121mm以下に相当する位置となっている。このスタンパによれば、加速度の記録特性に優れた光記録媒体が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明はビデオディスク、光ディスク等の光記録媒体(光情報記録媒体)を作製するための基板(光記録媒体成形基板)の成形に用いるスタンパとその製造方法、これを用いた光記録媒体成形基板および、この光記録媒体成形基板により成形された光記録媒体に関する。
近年、CD,DVDを代表とした光情報記録媒体及びその記録再生ドライブが広く普及している。それに伴い、高速・高密度の光情報記録媒体と、その記録再生ドライブ化が進んでおり、また低価格化も進んでいる。これらの媒体の基材となる光ディスク用基板を射出成形機で成形する際には、射出成形機に搭載された金型にスタンパと呼ばれる、予め光ディスクに必要な所定の信号及び溝が形成されたドーナッツ状の金属板を装着し、金型内に溶融樹脂を充填して、スタンパ上の信号及び溝を成形基板上に正確に転写し、正確にスタンパから成形基板を離型させることが重要である。
一般に、光情報記録媒体(光ディスク)はニッケルスタンパ等のスタンパを用いて射出成形法等により製造されるが、以下に、このようなスタンパ製造工程を含む光ディスク製造工程の概略を説明する。
まず、ガラス基板上にフォトレジストを塗布し乾燥させ、ガラス原盤を作製する。次いで、作製されたこのガラス原盤のフォトレジスト塗布面に、同心円状又は螺旋状の溝(グルーブ)又は信号用ピットをレーザカッティングにより形成する。レーザカッティングされたガラス原盤を現像し、同心円状又は螺旋状の溝又は信号用ピットをフォトレジストで形成する。このように溝又は信号用ピットの形成されたガラス原盤上に、スパッタリング法等により金属被膜を形成して導電性を付与した後、電鋳法により溝又は信号用ピットの転写された金属スタンパを得る。
このように作製された金属スタンパを用いた射出成形法等により、ポリカーボネート等の透明樹脂を用いて、金属スタンパから溝又は信号用ピットが転写された透明基板を得る。次いで、転写済みの透明基板上にレーザ光により物理的又は光化学的に変化する記録層を形成し、さらにその上に、金属の反射層を形成し、さらにその上に、紫外線硬化樹脂等の保護層を形成し、最終的に光ディスクを完成させる。
ところが、光情報記録媒体の低価格に伴い、生産性の向上により射出成形のサイクルタイムも短縮されており、そのため基板の冷却不足が原因でスタンパからの離型時にグルーブの変形などが起こっており、加速度等が悪化する問題が発生していた。
特に大容量、高速記録・高速再生に対応した媒体には、記録/再生時における、面ぶれ加速度、偏芯加速度等の加速度が規定値内となることで記録特性が良いことが一般的に求められている。この加速度は、高速記録再生時のドライブ信号特性にも大きく寄与しており、最も大切な特性の一つである。
下記特許文献1には、スタンパからの基板離型性向上に関する発明として、スタンパ表面のうち非記録領域を荒らすことで、スタンパに対する剥離状態を良好にするものが公開されている。この発明は、記録情報エリアを有する情報面と、該情報面の裏側の平坦面とを有する光記録媒体の基板において、前記情報面の記録情報エリアの外の領域、または該領域に対応する裏側平坦面の領域のいずれか、あるいは両領域に、表面粗さRmaxが20nm〜100nmの微小な条溝および/または凹部を形成したことを特徴とする光記録媒体の基板である。
しかし、この発明では、スタンパの非記録領域を新たに荒らす結果、記録領域に傷が発生しやすくなったり、異物が付着しやすくなったりする。また、上記加工のための作業時間が余分に必要となり、スタンパの作製コストが上昇してしまうなどの問題があった。
更に、下記特許文献2には、情報面の全面にわたってグルーブを形成された光ディスク基板で情報記録領域と同様なグルーブが情報記録領域外にも形成されている事が公開されているが情報記録領域と情報記録領域外の位置が判りにくい為、このスタンパを使用して射出成形した場合、成形基板の全面にグルーブが転写され、次の工程の記録材料(色素塗布、スパッタ)を形成する時に記録領域と領域外の境目が判り難くいため、外周部の記録領域外についた記録材を洗い流す事が困難になり、作業性の低下や歩留りの低下などでコストが上昇してしまうなどの問題があった。
特開平9−180252号公報 特開平6−87142号公報
したがって、本発明の目的は、光記録媒体成形基板の基板離型性を向上させたスタンパを低コストで提供することにある。
本発明に係るスタンパは、光記録媒体成形基板を作製するためのスタンパにおいて、グルーブを記録エリアの外周側まで延設したことを特徴とする。
また本発明に係る光記録媒体成形基板作製用のスタンパ製造方法は、集光レンズによりレーザ光を集光させてレーザカッティングを行ったフォトレジスト記録原盤を用い、現像・表面導体化・電鋳・剥離洗浄を行うことによりスタンパを得るものである。そして本発明のスタンパは、トラッキング案内溝を原盤の外周側まで延設した形態に特徴がある。
(1):光記録媒体成形基板を作製するためのスタンパにおいて、グルーブを記録エリアの外周側まで延設したことを特徴とするスタンパである
(2):前記グルーブは、記録エリアの外周側において形状を変更して延設したことを特徴とする上記(1)に記載のスタンパである。
(3):前記グルーブは、記録エリアの外周側においてピッチを変更して延設したことを特徴とする上記(1)に記載のスタンパである。
(4):前記グルーブは、記録エリアの外周側において溝幅を変更して延設したことを特徴とする上記(1)に記載のスタンパである。
(5):前記グルーブは、記録エリアの外周側において溝深さを変更して延設したことを特徴とする上記(1)に記載のスタンパである。
(6):グルーブが当該スタンパにより成形される光記録媒体成形基板の直径よりも大きい直径範囲まで形成されていること特徴とする上記(1)に記載のスタンパである。
(7):光記録媒体成形基板の直径が120mmである場合には、前記グルーブの延設端位置が、直径118.7mmを超え、121mm以下に相当する位置であることを特徴とする上記(1)に記載のスタンパである。
(8):集光レンズによりレーザ光を集光させてレーザカッティングを行ったフォトレジスト記録原盤を用い、これに現像・表面導体化・電鋳・剥離洗浄の各処理を施して光記録媒体成形基板作製用のスタンパを製造する方法において、前記レーザカッティングでは、グルーブを当該スタンパにより成形される光記録媒体成形基板の直径よりも大きい直径範囲まで形成することを特徴とする光記録媒体成形基板作製用スタンパの製造方法である。
(9):上記(8)に記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするスタンパである。
(10):上記(1)〜(7)のいずれかに記載のスタンパを用いて製造されたことを特徴とする光記録媒体成形基板である。
(11):上記(9)に記載のスタンパを用いて製造されたことを特徴とする光記録媒体成形基板である。
(12):上記(10)または(11)に記載の光記録媒体成形基板を用いて製造されたことを特徴とする光記録媒体である。
本発明のスタンパにより成形された光記録媒体成形基板では、グルーブがこの成形基板の最外周部まで形成されているから、この成形基板のスタンパからの離型性が向上する。
また、本発明のスタンパでは、グルーブが記録エリアよりも外周側に延設されているから、スタンパ外周でのグルーブ部の記録領域と非記録領域をなくすことができ、スタンパの作製所要時間を短縮することができるし、他の設備投資も掛からないという効果が得られる。
さらに本発明のスタンパによれば、光記録媒体成形基板の直径が120mmである場合において、グルーブがこの成形基板の最外周部まで形成されているから、この成形基板のスタンパからの離型性が向上する。
そして本発明のスタンパ製造方法によれば、グルーブがこの成形基板の最外周部まで形成されているから、この成形基板のスタンパからの離型性が向上する。
また本発明の光記録媒体成形基板はスタンパから円滑に離型することができるから、これらの成形基板により、情報の記録・再生特性に優れた光記録媒体を提供することができる。また、これらの成形基板の外周部ではグルーブにより基板の機械的強度が高まる結果、この基板外周部でのグルーブ変形などが抑えられ、上記加速度特性の良い成形基板が提供される。
さらに本発明の光記録媒体によれば、加速度の記録特性に優れた光記録媒体が提供される。
以下、本発明の実施例および比較例を、図面をもとに説明する。
[比較例1]および[実施例1]
図1(a)は、比較例1および実施例1のスタンパに形成されたグルーブの形状・寸法を示す説明図である。図1(b)は比較例1のスタンパの断面説明図、図1(c)は実施例1のスタンパの断面説明図である。これらのスタンパは、直径120mmの光記録媒体成形基板を作製する(最終的には、直径120mmの光ディスクを得る)ためのものである。
比較例1に係るスタンパについて説明する。先ず、スタンパ製法の概略は、フォトレジスト原盤に対して、レーザカッティングが行われる。レーザビームは対物レンズによって集光され、フォトレジスト層表面に下段に挙げる溝形状が得られるように照射を行なう。次いでフォトレジスト原盤を現像して潜像部分を除去する。得られたフォトレジスト層表面に電鋳法により溝又は信号用ピットの転写された金属スタンパを得るものである。ここでスタンパの材質は純ニッケルとした。図1(a)において、溝幅のトップAが0.46μm、溝幅のボトムBが0.25μm、溝深さCが160nmのグルーブ形状で1ピッチが0.74μmのトラックピッチDを有するDVD用のスタンパを前掲方法にて形成した。
この場合、内周の開始位置Eをφ44.2mmとし、この開始位置Eから外周部F(位置はφ118.55mm)までをスパイラル状にレーザカッティングした。また、厚みが0.295mmになるように電鋳を行い、内径φ22mm、外径φ138mmとなるよう、日化エンジニアリング製のスタンパ打ち抜きプレス機で打ち抜き、図1(b)に示す形状・寸法の光記録媒体用スタンパを作製した。
実施例1のスタンパでは、外周部Fの位置すなわち、グルーブの終了位置を120.1mm(比較例1ではφ118.55mm)とした点以外は、比較例1と同様の条件で、図1(c)に示す本発明のスタンパを作製した。
図1(b)(c)のスタンパではφ118.55mmまでが光記録媒体の記録エリアに対応するものである。また、図1(c)ではグルーブがφ120.1mmまで形成され、したがって、この図1(c)においては、φ118.55mmよりも外周側に、かつφ120.1mmまでの範囲にグルーブの形状が形成されるように変更されており、この外周側グルーブが、スタンパからの光記録媒体成形基板の剥離性向上に寄与している。
このように、図1(c)に示す実施例1のスタンパでは、グルーブがこのスタンパにより成形される光記録媒体成形基板の直径(φ120mm)よりも大きい直径範囲(φ120.1mm)まで形成されている点に特徴がある。
[実施例2]
DVDでは、一般的に記録領域のグルーブのトラックピッチDは、0.74μmで形成されており、φ118.7mm以降のレーザカッティングの送り量を変更し、図2(a)トラックピッチDを1.5μmに変更したスタンパを作製した。
〔実施例3]
また、φ118.7mm以降のレーザのパワーを調整する事で、図2(b)の溝幅のトップAが0.20μm、溝幅のボトムBが0.10μm、溝深さCが160nmに溝幅を変更したスタンパを作製した。
[実施例4]
更に、φ118.7mm以降のレーザのパワーを調整する事で、図2(c)の溝幅のトップAが0.46μm、溝幅のボトムBが0.25μm、溝深さCが30nmに溝深さを変更したスタンパを作製した。
上記比較例1、実施例2〜4で作製したスタンパを使用し、光記録媒体成形基板を成形した。成形には図3に示す、株式会社精工技研製のDVD用金型(光ディスク基板成形用金型)を使用した。図3はこの金型の要部構造を示す概略断面図である。
この金型は、固定金型26と可動金型37からなる2プレートタイプであり、固定金型26には、溶融樹脂を充填するスプルブッシュ21、その外側に固定ブッシュ22、製品をスタンパから離型させるエアーブロー23、スタンパを押えるスタンパ押え24、スタンパを固定する固定鏡面25が設けられている。図2はスタンパ44を備え付けた状態を示している。
また、可動金型37には、基板内径を形成するカットパンチ31、その外側に製品を取り出すフローティングパンチ32、可動ブッシュ33、スタックリブ形成部34、可動鏡面35、キャビリング36が設けられている金型を使用し、光ディスク用成形機(住友重機械工業社製SD40E)に金型を取り付け、外径120mm、内孔径15mm、厚さ0.6mmの成形基板を作製した。成形条件には、金型温度120℃、最大射出速度140mm/s、最大型締め力40t、樹脂温度380℃、サイクルタイム4.0秒の条件で成形基板の作製を行った。
基板成形用樹脂材料には、代表的な光学用途のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製のユーピロンH−4000)を用いた。得られた成形基板に反射層をスパッタリング方式で形成した。反射層の材料には一般的な銀ターゲット(田中貴金属工業株式会社製)を使用し、2種類の基板(比較例1、実施例1)を作製した。
上で得られた各々の基板にカバー基板(厚さ0.6mmのガラス基板)を添え、パルステック社製DDU−1000(OPTICAL DISK DRIVER)を使用し、58mmのトラッキング信号を比較した。
図4(a)は比較例1のスタンパ(通常のスタンパ)による基板の特性を示すグラフ、図4(b)は実施例2、図4(c)は実施例3、図4(d)は実施例4のスタンパによる基板の特性を示すグラフである。これら図4(a)〜(d)は基板グルーブの、半径58mm位置のトラッキング信号の写真であり、横軸は1周期の1トラック、縦軸はトラッキング信号の電圧である。
測定結果から分かるように、(1)通常スタンパからの基板のトラック信号は、1周期のある部分のトラッキング信号が大きいのに比べ、(2)本発明のスタンパを用いて成形した基板では、トラッキング信号が小さいことが確認された。
なお、上記実施例では、一般的なポリカーボネート樹脂を使用した場合を示したが、これ以外の樹脂を用いて射出成形する場合においても、本発明はそのまま適用可能である。 また、光ディスク成形機のメーカーの違いによる影響がないことも確認した。
図1(a)は比較例1および実施例1のスタンパに形成されたグルーブの形状・寸法を示す説明図である。図1(b)は比較例1のスタンパの断面説明図である。図1(c)は実施例1のスタンパの断面説明図である。 図2(a)は実施例2のスタンパに形成されたグルーブの形状・寸法を示す説明図である。図2(b)は実施例3のスタンパに形成されたグルーブの形状・寸法を示す説明図である。図2(c)は実施例4のスタンパに形成されたグルーブの形状・寸法を示す説明図である。 比較例1、実施例1〜4で得たスタンパを使用して光記録媒体成形基板を成形するのに用いた金型の要部構造を示す概略断面図である。 図4(a)は比較例1のスタンパ(通常のスタンパ)による基板の特性を示すグラフである。図4(b)は実施例2のスタンパによる基板の特性を示すグラフである。図4(c)は実施例3のスタンパによる基板の特性を示すグラフである。図4(d)は実施例4のスタンパによる基板の特性を示すグラフである。
符号の説明
A 溝幅のトップ
B 溝幅のボトム
C 溝深さ
E 内周の開始位置
F 外周部(グルーブの終了位置)
21 スプルブッシュ
22 固定ブッシュ
23 エアーブロー
24 スタンパ押え
25 固定鏡面
26 固定金型
31 カットパンチ
32 フローティングパンチ
33 可動ブッシュ
34 スタックリブ形成部
35 可動鏡面
36 キャビリング
37 可動金型
44 スタンパ

Claims (12)

  1. 光記録媒体成形基板を作製するためのスタンパにおいて、グルーブを記録エリアの外周側まで延設したことを特徴とするスタンパ。
  2. 前記グルーブは、記録エリアの外周側において形状を変更して延設したことを特徴とする請求項1に記載のスタンパ。
  3. 前記グルーブは、記録エリアの外周側においてピッチを変更して延設したことを特徴とする請求項1に記載のスタンパ。
  4. 前記グルーブは、記録エリアの外周側において溝幅を変更して延設したことを特徴とする請求項1に記載のスタンパ。
  5. 前記グルーブは、記録エリアの外周側において溝深さを変更して延設したことを特徴とする請求項1に記載のスタンパ。
  6. グルーブが当該スタンパにより成形される光記録媒体成形基板の直径よりも大きい直径範囲まで形成されていること特徴とする請求項1に記載のスタンパ。
  7. 光記録媒体成形基板の直径が120mmである場合には、前記グルーブの延設端位置が、直径118.7mmを超え、121mm以下に相当する位置であることを特徴とする請求項1に記載のスタンパ。
  8. 集光レンズによりレーザ光を集光させてレーザカッティングを行ったフォトレジスト記録原盤を用い、これに現像・表面導体化・電鋳・剥離洗浄の各処理を施して光記録媒体成形基板作製用のスタンパを製造する方法において、前記レーザカッティングでは、グルーブを当該スタンパにより成形される光記録媒体成形基板の直径よりも大きい直径範囲まで形成することを特徴とする光記録媒体成形基板作製用スタンパの製造方法。
  9. 請求項8に記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするスタンパ。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のスタンパを用いて製造されたことを特徴とする光記録媒体成形基板。
  11. 請求項9に記載のスタンパを用いて製造されたことを特徴とする光記録媒体成形基板。
  12. 請求項10または11に記載の光記録媒体成形基板を用いて製造されたことを特徴とする光記録媒体。
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