以上の目的を達成するために本発明の第1の光学式変位計は、測定対象物の変位を測定する光学式変位計であって、測定対象物に光を第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射、又は第1の方向に走査して照射するための投光部と、測定対象物からの反射光を受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力するための2次元受光素子と、2次元受光素子からの受光信号を増幅するための増幅器と、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点において増幅器で得られた増幅信号に基づき、測定対象物のプロファイル形状を演算可能なプロファイル演算手段と、プロファイル演算手段で演算された測定対象物のプロファイル形状を表示可能な表示部と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定するための登録プロファイル指定手段と、入力されたプロファイル形状中に、登録プロファイル指定手段で指定された登録プロファイルが含まれているかどうかのマッチングを行うプロファイルサーチを行い、プロファイルサーチ結果に基づいて入力プロファイル形状を回転または移動させるプロファイルマッチング手段とを備えることができる。これにより、測定対象物が傾いている場合等にも、予め登録された登録プロファイルに基づきプロファイルサーチによりその位置を特定できるので、プロファイルサーチ結果に基づき入力プロファイル形状を回転・移動させることができる。
第2の光学式変位計は、測定対象物の変位を測定する光学式変位計であって、測定対象物に光を第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射、又は第1の方向に走査して照射するための投光部と、測定対象物からの反射光を受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力するための2次元受光素子と、2次元受光素子からの受光信号を増幅するための増幅器と、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点において増幅器で得られた増幅信号に基づき、測定対象物のプロファイル形状を演算可能なプロファイル演算手段と、プロファイル演算手段で演算された測定対象物のプロファイル形状を表示可能な表示部と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定するための登録プロファイル指定手段と、登録プロファイル指定手段で指定された登録プロファイル中で、プロファイルサーチの際の重要度を低下させた無効領域を指定するための無効領域指定手段と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイル及び無効領域に基づき、プロファイルサーチを行うためのプロファイルマッチング手段とを備えることができる。これにより、登録プロファイル中でプロファイルサーチの対象としない、あるいは対象とするが重み付けを低くするなど重要度を抑えた無効領域を指定可能とし、登録プロファイル中に含まれる不安定な要素によってプロファイルサーチの精度が低下する虞を低減でき、安定したプロファイルサーチ結果を得ることができる。
第3の光学式変位計は、測定対象物の変位を測定する光学式変位計であって、測定対象物に光を第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射、又は第1の方向に走査して照射するための投光部と、測定対象物からの反射光を受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力するための2次元受光素子と、2次元受光素子からの受光信号を増幅するための増幅器と、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点において増幅器で得られた増幅信号に基づき、測定対象物のプロファイル形状を演算可能なプロファイル演算手段と、プロファイル演算手段で演算された測定対象物のプロファイル形状を表示可能な表示部と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定するための登録プロファイル指定手段と、登録プロファイル指定手段で指定された登録プロファイル中で、変化の大きい部位を自動的に抽出し、無効領域として設定するための無効化手段と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイル及び無効領域に基づき、プロファイルサーチを行うためのプロファイルマッチング手段とを備えることができる。これにより、プロファイルサーチの基準となる登録プロファイル中から、安定性の悪い部位を自動的に抽出して無効領域を設定できるため、ユーザが手動で無効領域を指定する手間を省き、また登録プロファイル中の安定した部位に基づいたプロファイルサーチを行うためプロファイルサーチ結果もより安定した精度の高い結果を得ることができる。
第4の光学式変位計は、測定対象物の変位を測定する光学式変位計であって、測定対象物に光を第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射、又は第1の方向に走査して照射するための投光部と、測定対象物からの反射光を受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力するための2次元受光素子と、2次元受光素子からの受光信号を増幅するための増幅器と、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点において増幅器で得られた増幅信号に基づき、測定対象物のプロファイル形状を演算可能なプロファイル演算手段と、プロファイル演算手段で演算された測定対象物のプロファイル形状を表示可能な表示部と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定するための登録プロファイル指定手段と、登録プロファイル指定手段で指定された登録プロファイル中で、投光部からの照射光が照射できない部位を抽出し、無効領域として指定可能な無効化手段と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイル及び無効領域に基づき、プロファイルサーチを行うためのプロファイルマッチング手段とを備えることができる。これにより、プロファイルサーチの基準となる登録プロファイル中に、いわゆる死角などが含まれていても、自動的にこれを検出してプロファイルサーチの対象から排除或いは重み付けを低くしてプロファイルサーチを行えるため、安定性の悪い部位を自動的に排除した高精度なプロファイルサーチ結果を得ることができる。
第5の光学式変位計は、測定対象物の変位を測定する光学式変位計であって、測定対象物に光を第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射、又は第1の方向に走査して照射するための投光部と、測定対象物からの反射光を受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力するための2次元受光素子と、2次元受光素子からの受光信号を増幅するための増幅器と、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点において増幅器で得られた増幅信号に基づき、測定対象物のプロファイル形状を演算可能なプロファイル演算手段と、プロファイル演算手段で演算された測定対象物のプロファイル形状、及び増幅器で増幅された受光信号に基づき生成された受光画像を表示可能な表示部と、照射光と略平行なエッジ面を有する測定対象物の受光画像中から、隣接する2次元受光素子の画素間の受光光量の変化に基づいて該略平行なエッジ面の位置を算出するエッジ面算出手段とを備えることができる。これにより、測定対象物が垂直に近い断面を有するような形状であっても、受光素子の分解能による制限を受けることなく高精度な該断面位置の検出が可能となる。
第6の光学式変位計はさらに、プロファイル形状を表示部に表示させた状態で、所望の計測領域を指定するための計測領域指定手段と、領域指定手段で指定された計測領域に対して所望の演算を行うことが可能な計測処理部とを備えることができる。これにより、プロファイルサーチ処理を、プロファイル形状の計測にも利用でき、より高精度な計測結果を得ることができる。
第7の光学式変位計は、プロファイルマッチング手段が、登録プロファイルを構成する座標位置情報に基づいて、入力されたプロファイル形状を構成する座標位置情報に、登録プロファイルを構成する座標位置情報が含まれているかどうかを検索するプロファイルサーチを行うことができる。このように、プロファイル形状は画像データと異なり、座標位置情報であるため、座標位置情報に基づくプロファイルサーチは、画像データに基づく画像サーチに比較してデータ量や処理量が少なく、低負荷で高速なサーチが実現できる。
第8の光学式変位測定方法は、測定対象物の変位を光切断法に基づき測定可能な光学式変位測定方法であって、測定対象物に対して投光部で光を第1の方向に走査して照射、又は第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射して、測定対象物からの反射光を2次元受光素子で受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力すると共に、2次元受光素子からの受光信号を増幅器で増幅し、増幅信号をさらにデジタル変換手段でデジタル信号に変換し、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点においてデジタル変換手段で得られたデジタル信号から、プロファイル演算手段が測定対象物のプロファイル形状を演算し、プロファイル形状を表示部に表示させる工程と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定する工程と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイルに基づき、プロファイルサーチを行う工程と、プロファイルサーチ結果に基づき、入力プロファイル形状を回転または移動させる工程とを含むことができる。これにより、測定対象物が傾いている場合等にも、予め登録された登録プロファイルに基づきプロファイルサーチによりその位置を特定できるので、プロファイルサーチ結果に基づき入力プロファイル形状を回転・移動させることができる。
第9の光学式変位測定方法は、測定対象物の変位を光切断法に基づき測定可能な光学式変位測定方法であって、測定対象物に対して投光部で光を第1の方向に走査して照射、又は第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射して、測定対象物からの反射光を2次元受光素子で受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力すると共に、2次元受光素子からの受光信号を増幅器で増幅し、増幅信号をさらにデジタル変換手段でデジタル信号に変換し、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点においてデジタル変換手段で得られたデジタル信号から、プロファイル演算手段が測定対象物のプロファイル形状を演算し、プロファイル形状を表示部に表示させる工程と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定する工程と、指定された登録プロファイル中で、プロファイルサーチの際の重要度を低下させた無効領域を指定する工程と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイル及び無効領域に基づき、プロファイルサーチを行う工程とを含むことができる。これにより、登録プロファイル中でプロファイルサーチの対象としない、あるいは対象とするが重み付けを低くするなど重要度を抑えた無効領域を指定可能とし、登録プロファイル中に含まれる不安定な要素によってプロファイルサーチの精度が低下する虞を低減でき、安定したプロファイルサーチ結果を得ることができる。
第10の光学式変位測定方法は、測定対象物の変位を光切断法に基づき測定可能な光学式変位測定方法であって、測定対象物に対して投光部で光を第1の方向に走査して照射、又は第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射して、測定対象物からの反射光を2次元受光素子で受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力すると共に、2次元受光素子からの受光信号を増幅器で増幅し、増幅信号をさらにデジタル変換手段でデジタル信号に変換し、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点においてデジタル変換手段で得られたデジタル信号から、プロファイル演算手段が測定対象物のプロファイル形状を演算し、プロファイル形状を表示部に表示させる工程と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定する工程と、指定された登録プロファイル中で、変化の大きい部位を自動的に抽出し、無効領域として設定する工程と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイル及び無効領域に基づき、プロファイルサーチを行う工程とを含むことができる。これにより、プロファイルサーチの基準となる登録プロファイル中から、安定性の悪い部位を自動的に抽出して無効領域を設定できるため、ユーザが手動で無効領域を指定する手間を省き、また登録プロファイル中の安定した部位に基づいたプロファイルサーチを行うためプロファイルサーチ結果もより安定した精度の高い結果を得ることができる。
第11の光学式変位測定方法は、測定対象物の変位を光切断法に基づき測定可能な光学式変位測定方法であって、測定対象物に対して投光部で光を第1の方向に走査して照射、又は第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射して、測定対象物からの反射光を2次元受光素子で受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力すると共に、2次元受光素子からの受光信号を増幅器で増幅し、増幅信号をさらにデジタル変換手段でデジタル信号に変換し、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点においてデジタル変換手段で得られたデジタル信号から、プロファイル演算手段が測定対象物のプロファイル形状を演算し、プロファイル形状を表示部に表示させる工程と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定する工程と、指定された登録プロファイル中で、投光部からの照射光が照射できない部位を抽出し、無効領域として指定する工程と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイル及び無効領域に基づき、プロファイルサーチを行う工程とを含むことができる。これにより、プロファイルサーチの基準となる登録プロファイル中に、いわゆる死角などが含まれていても、自動的にこれを検出してプロファイルサーチの対象から排除或いは重み付けを低くしてプロファイルサーチを行えるため、安定性の悪い部位を自動的に排除した高精度なプロファイルサーチ結果を得ることができる。
第12の光学式変位測定方法は、測定対象物の変位を光切断法に基づき測定可能な光学式変位測定方法であって、測定対象物に対して投光部で光を第1の方向に走査して照射、又は第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射して、測定対象物からの反射光を2次元受光素子で受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力すると共に、2次元受光素子からの受光信号を増幅器で増幅し、増幅信号をさらにデジタル変換手段でデジタル信号に変換し、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点においてデジタル変換手段で得られたデジタル信号から、プロファイル演算手段が測定対象物のプロファイル形状を演算し、プロファイル形状を表示部に表示させ、或いは増幅器で増幅された受光信号に基づき生成された受光画像を表示させる工程と、照射光と略平行なエッジ面を有する測定対象物の受光画像中から、隣接する2次元受光素子の画素間の受光光量の変化に基づいて該略平行なエッジ面の位置を算出する工程とを含むことができる。これにより、測定対象物が垂直に近い断面を有するような形状であっても、受光素子の分解能による制限を受けることなく高精度な該断面位置の検出が可能となる。
第13の光学式変位測定方法はさらに、プロファイル形状を表示部に表示させた状態で、所望の計測領域を指定する工程と、指定された計測領域に対して所望の演算を行う工程とを含むことができる。これにより、プロファイルサーチ処理を、プロファイル形状の計測にも利用でき、より高精度な計測結果を得ることができる。
第14の光学式変位測定プログラムは、測定対象物の変位を光切断法に基づき測定可能な光学式変位測定プログラムであって、測定対象物に対して投光部で光を第1の方向に走査して照射、又は第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射して、測定対象物からの反射光を2次元受光素子で受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力すると共に、2次元受光素子からの受光信号を増幅器で増幅し、増幅信号をさらにデジタル変換手段でデジタル信号に変換し、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点においてデジタル変換手段で得られたデジタル信号から、プロファイル演算手段が測定対象物のプロファイル形状を演算し、プロファイル形状を表示部に表示させる機能と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定する機能と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイルに基づき、プロファイルサーチを行う機能と、プロファイルサーチ結果に基づき、入力プロファイル形状を回転または移動させる機能とをコンピュータに実現させることができる。これにより、測定対象物が傾いている場合等にも、予め登録された登録プロファイルに基づきプロファイルサーチによりその位置を特定できるので、プロファイルサーチ結果に基づき入力プロファイル形状を回転・移動させることができる。
第15の光学式変位測定プログラムは、測定対象物の変位を光切断法に基づき測定可能な光学式変位測定プログラムであって、測定対象物に対して投光部で光を第1の方向に走査して照射、又は第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射して、測定対象物からの反射光を2次元受光素子で受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力すると共に、2次元受光素子からの受光信号を増幅器で増幅し、増幅信号をさらにデジタル変換手段でデジタル信号に変換し、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点においてデジタル変換手段で得られたデジタル信号から、プロファイル演算手段が測定対象物のプロファイル形状を演算し、プロファイル形状を表示部に表示させる機能と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定する機能と、指定された登録プロファイル中で、プロファイルサーチの際の重要度を低下させた無効領域を指定する機能と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイル及び無効領域に基づき、プロファイルサーチを行う機能とをコンピュータに実現させることができる。これにより、登録プロファイル中でプロファイルサーチの対象としない、あるいは対象とするが重み付けを低くするなど重要度を抑えた無効領域を指定可能とし、登録プロファイル中に含まれる不安定な要素によってプロファイルサーチの精度が低下する虞を低減でき、安定したプロファイルサーチ結果を得ることができる。
第16の光学式変位測定プログラムは、測定対象物の変位を光切断法に基づき測定可能な光学式変位測定プログラムであって、測定対象物に対して投光部で光を第1の方向に走査して照射、又は第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射して、測定対象物からの反射光を2次元受光素子で受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力すると共に、2次元受光素子からの受光信号を増幅器で増幅し、増幅信号をさらにデジタル変換手段でデジタル信号に変換し、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点においてデジタル変換手段で得られたデジタル信号から、プロファイル演算手段が測定対象物のプロファイル形状を演算し、プロファイル形状を表示部に表示させる機能と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定する機能と、指定された登録プロファイル中で、変化の大きい部位を自動的に抽出し、無効領域として設定する機能と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイル及び無効領域に基づき、プロファイルサーチを行う機能とをコンピュータに実現させることができる。これにより、プロファイルサーチの基準となる登録プロファイル中から、安定性の悪い部位を自動的に抽出して無効領域を設定できるため、ユーザが手動で無効領域を指定する手間を省き、また登録プロファイル中の安定した部位に基づいたプロファイルサーチを行うためプロファイルサーチ結果もより安定した精度の高い結果を得ることができる。
第17の光学式変位測定プログラムは、測定対象物の変位を光切断法に基づき測定可能な光学式変位測定プログラムであって、測定対象物に対して投光部で光を第1の方向に走査して照射、又は第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射して、測定対象物からの反射光を2次元受光素子で受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力すると共に、2次元受光素子からの受光信号を増幅器で増幅し、増幅信号をさらにデジタル変換手段でデジタル信号に変換し、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点においてデジタル変換手段で得られたデジタル信号から、プロファイル演算手段が測定対象物のプロファイル形状を演算し、プロファイル形状を表示部に表示させる機能と、表示部上で表示されたプロファイル形状中から、プロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定する機能と、指定された登録プロファイル中で、投光部からの照射光が照射できない部位を抽出し、無効領域として指定する機能と、入力されたプロファイル形状に対して、登録プロファイル及び無効領域に基づき、プロファイルサーチを行う機能とをコンピュータに実現させることができる。これにより、プロファイルサーチの基準となる登録プロファイル中に、いわゆる死角などが含まれていても、自動的にこれを検出してプロファイルサーチの対象から排除或いは重み付けを低くしてプロファイルサーチを行えるため、安定性の悪い部位を自動的に排除した高精度なプロファイルサーチ結果を得ることができる。
第18の光学式変位測定プログラムは、測定対象物の変位を光切断法に基づき測定可能な光学式変位測定プログラムであって、測定対象物に対して投光部で光を第1の方向に走査して照射、又は第1の方向に広がりを有する帯状の光として照射して、測定対象物からの反射光を2次元受光素子で受光して、第1の方向の各位置における受光信号として出力すると共に、2次元受光素子からの受光信号を増幅器で増幅し、増幅信号をさらにデジタル変換手段でデジタル信号に変換し、投光部からの照射光の反射光により、第1の方向の各点においてデジタル変換手段で得られたデジタル信号から、プロファイル演算手段が測定対象物のプロファイル形状を演算し、プロファイル形状を表示部に表示させ、或いは増幅器で増幅された受光信号に基づき生成された受光画像を表示させる機能と、照射光と略平行なエッジ面を有する測定対象物の受光画像中から、隣接する2次元受光素子の画素間の受光光量の変化に基づいて該略平行なエッジ面の位置を算出する機能とをコンピュータに実現させることができる。これにより、測定対象物が垂直に近い断面を有するような形状であっても、受光素子の分解能による制限を受けることなく高精度な該断面位置の検出が可能となる。
第19の光学式変位測定プログラムはさらに、プロファイル形状を表示部に表示させた状態で、所望の計測領域を指定する機能と、指定された計測領域に対して所望の演算を行う機能とをコンピュータに実現させることができる。これにより、プロファイルサーチ処理を、プロファイル形状の計測にも利用でき、より高精度な計測結果を得ることができる。
第20のプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記録した機器は、上記プログラムを格納するものである。記録媒体には、CD−ROM、CD−R、CD−RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、Blu−ray(登録商標)、HD DVD等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、上記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記録した機器には、上記プログラムがソフトウェアやファームウェア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア、又はプログラムソフトウエアとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための光学式変位計、光学式変位測定方法、光学式変位測定プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器を例示するものであって、本発明は光学式変位計、光学式変位測定方法、光学式変位測定プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(実施の形態1)
図1〜図3に、本発明の実施の形態1に係る光学式変位計100を示す。図1は本発明の実施例1に係る光学式変位計100の構成を示すブロック図、図2は光学式変位計100のシステム構成を示す斜視図、図3はマイクロプロセッサ44によるフィードバック制御の構成を示すブロック図を、それぞれ示している。ここでは主にフィードバック制御の一例について説明する。
図1は、光学式変位計100の測定原理を示している。光学式変位計100はレーザ変位計ともいわれ、三角測量の原理を用いて対象物の変位を非接触で測定するのに用いられる。LDドライバ11の制御によってレーザダイオード12から発せられたレーザ光は、投光レンズ13を通りワークWKを照射する。ワークWKで反射したレーザ光の一部は、受光レンズ14を通って2次元受光素子15により受光される。2次元受光素子15は、複数の画素構成部が平面状に配列されたCCD又はCMOSイメージセンサであり、受光量に相当する電荷が画素構成部ごとに蓄積され、取り出される。
ワークWKが図1に破線で示すように変位すると、ワークWKで反射して2次元受光素子15に達するレーザ光の光路が破線のように変化する。その結果、2次元受光素子15の受光面における受光スポットの位置が移動し、上記の受光信号波形、すなわち受光像の位置が変化する。2次元受光素子15の各画素構成部における受光量に応じた蓄積電荷が読み出し回路16によって読み出され、信号処理によって一次元の受光量分布である受光波形が得られる。この受光波形のピーク位置や重心からワークWKの変位が求まる。
図2は、光学式変位計100のシステム構成を示している。この光学式変位計100は、センサヘッド部21とコントローラ部22、表示器27からなる。センサヘッド部21は、図1で示したLDドライバ11、レーザダイオード12、投光レンズ13、受光レンズ14、2次元受光素子15及び読み出し回路16を内蔵している。コントローラ部22は、センサヘッド部21を接続するヘッド接続部24と共に、表示部を構成する表示器27を接続する表示器接続部25を備える。コントローラ部22は、マイクロプロセッサ(制御部)を有し、センサヘッド部21のLDドライバ11を介してレーザダイオード12の出力(発光量)を制御すると共に、2次元受光素子15から読み出された信号からワークWKの変位を求める処理を実行する。なお、レーザダイオード12の制御を、センサヘッド部21で行わせることも可能であり、この場合はセンサヘッド部に制御部を持たせる。また、コントローラ部22の前面には、各種の設定、操作を行うための入力インターフェースとして、押ボタンスイッチやコンソール、あるいはこれらを接続するためのコネクタ類を備えることもできる。さらにコントローラ部22は、半導体メモリを挿入するためのスロットや電源端子台、拡張コネクタ、USBやRS232C等のシリアルポートといったインターフェースを備える。さらにまたコントローラ部22は、複数台のセンサヘッド部21を接続するため、増設ユニット26を接続することもできる。図2の例では、コントローラ部22を構成するメインのアンプユニット28に対して、1台の増設ユニット26を接続しており、計2台のセンサヘッド部21を接続可能としている。増設ユニット26を更に増やすことで、より多くのセンサヘッド部を接続可能とできる。なお、コントローラ部22を構成するアンプユニット自体に複数のセンサヘッド部21を接続するためのヘッド接続部を複数設けたり、増設ユニットに2以上のヘッド接続部を設けてもよいことは言うまでもない。センサヘッド部21とコントローラ部22は電気ケーブル23で接続され、相互に電気信号がやりとりされると共に、電源電圧がコントローラ部22からセンサヘッド部21に供給される。表示器27は、計測結果の数値表示や各種設定値の表示に使用される。この表示器27は、LCDやCRT等を用いたディスプレイを備える。
図1に示すように、レーザダイオード12から発せられたレーザ光は、投光レンズ13を通りワークWKを照射する。ワークWKで反射したレーザ光の一部は、受光レンズ14を通って2次元受光素子15に入射する。2次元受光素子15の各画素構成部に蓄積された電荷は、読み出し回路16によって読み出される。読み出し回路16は、読み出し用パルス信号である画素選択信号を2次元受光素子15に与えて各画素構成部を順次走査することによって、一次元の受光量分布に相当する時系列の電圧信号を得る。
例えば、2次元受光素子15が256画素からなり、画素ごとの転送レートが1マイクロ秒の場合は、256マイクロ秒要して全画素構成部の蓄積電荷が読み出され、読み出し回路16から時系列の電圧信号として出力される。この全画素の蓄積電荷を読み出すのに要する時間に、制御演算に要する時間を加えたものがサンプリング周期である。読み出し回路16の出力信号は、コントローラ部22に渡される。
レーザダイオード12から発せられるレーザ光の強さ(発光量)はLDドライバ11を介して図3に示すマイクロプロセッサ44によって制御される。レーザ光の強さが変われば、ワークWKで反射され、2次元受光素子15に入射する光量(受光量)も変化する。そこで、ワークWKの光反射率(明るさ)に応じてレーザダイオード12から発せられるレーザ光の強さを調節することにより、2次元受光素子15の各画素構成部における蓄積電荷の飽和を回避しながら、そのダイナミックレンジを十分に活用できるようにしている。具体的には、レーザダイオード12を駆動するパルスのパルス幅又はデューティ比を変えることによってレーザ光の強さを調節する。もちろん、パルス電圧(ピーク値)を変えることによって、レーザ光の強さを調節してもよい。
上記のようなマイクロプロセッサ44による発光量(レーザ光の強さ)の制御は、一種のフィードバック制御として行われる。つまり、受光量に相当する値(例えばピーク値)が所定の目標値になるように、発光量(レーザ光の強さ)のフィードバック制御が行われる。発光量のフィードバック制御に代えて、増幅器のゲイン(増幅率)のフィードバック制御を行ってもよい。あるいは、発光量のフィードバック制御と増幅器の増幅率のフィードバック制御とを併用するようにしてもよい。例えば目標値に対するフィードバック量の誤差が所定の範囲内に収まっている間は増幅器の増幅率のフィードバック制御を行い、フィードバック量の誤差が所定の範囲を超えたときは発光量のフィードバック制御を行うように構成することが可能である。したがって、レーザダイオード12の発光量及び増幅器の増幅率を含む操作量の少なくとも一つのフィードバック制御を実行すればよい。
図3は、マイクロプロセッサ44によるフィードバック制御の構成を示すブロック図である。マイクロプロセッサ44(が実行するプログラム)によって、比較部441、操作量算出部442及び出力部443が構成されている。また、図1におけるLDドライバ11及びレーザダイオード12が制御対象451に相当し、2次元受光素子15、読出し回路16等がフィードバック回路(FB回路)52に相当する。
比較部441は、あらかじめ定められた目標値とフィードバック量とを比較し、その誤差を出力する。この誤差に基づいて操作量算出部442が操作量を算出し、出力部443に与える。この操作量は、上述の発光量又は(及び)増幅率に相当する。操作量は、マイクロプロセッサ44の出力部443から制御信号として制御対象451に与えられる。すなわち、LDドライバ11又は(及び)増幅器に制御信号が与えられ、レーザダイオード12の発光量又は(及び)増幅器の増幅率が制御される。そして、フィードバック回路452(2次元受光素子15、読出し回路16等)によって得られる受光量のピーク値が再びマイクロプロセッサ44の比較部441にフィードバックされることにより、フィードバックループが形成されている。
光学式変位計は、プロファイル形状の生成に加えて、生成されたプロファイル形状に基づいて各種の演算を行う計測処理部と、所望の計測領域を指定する計測領域指定手段とを備えているため、ユーザ側でアプリケーションに応じた専用の変位演算プログラム等を組む必要がなく、容易にワークのプロファイル形状測定と変位測定を行うことができる。
(実施の形態2)
次に本発明の実施2の形態に係る光学式変位計200のブロック図を、図4に示す。この図に示す光学式変位計200も、センサヘッド部1とコントローラ部2とを接続して構成される。センサヘッド部1は、ワークWKに帯光を照射する投光部3と、ワークからの帯光の反射光を受光して受光画像を撮像し、第1の方向の各位置における受光信号として出力するための2次元受光素子15とを備える。コントローラ部2は、投光部3に含まれる投光素子の光量を制御するドライバなどの光量制御部51と、2次元受光素子15の受光特性を制御する受光素子制御部52と、受光素子で撮像された受光画像を読み込む画像読込部56と、画像読込部56で取得された受光信号に基づいて光量制御部51や受光素子制御部52をフィードバック制御する受光データ制御部60と、受光データ制御部60で得られたプロファイルに対して所望の演算を行うための計測処理部54と、受光データ制御部60で取得された受光画像やプロファイル形状を表示する表示部70と、受光データ制御部60や表示部70を操作するためのインターフェース部80と、必要なデータを保持するメモリ部90と、受光ピーク波形の安定度を出力する安定度出力手段58と、測定モードと設定モードとを切り替えるモード切替手段53と、アラーム信号を生成するアラーム検出手段55とを備える。また画像読込部56は、2次元受光素子15からの受光信号を増幅するための増幅器と、増幅器で得られた増幅信号をデジタル信号に変換するためのデジタル変換手段を含む。
(投光部3)
投光部3は、投光素子、投光レンズを備える。投光素子としては、半導体レーザ(LD:Laser Diode)の他、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いることもできる。投光レンズは、コリメートレンズ、シリンドリカルレンズ及びロッドレンズで構成される。投光部3の投光素子である半導体レーザから発光される光を、投光レンズで帯状とし、測定対象物に照射する。帯光はレーザシート光、スリット光、ラインビーム等とも呼ばれる。
投光部3の発光量は、投光素子の駆動電流の振幅、ONデューティ等のパラメータを調整することで制御できる。したがって操作量には、このような投光素子の駆動電流の振幅又は発光レベル、デューティ比又は発光時間、2次元受光素子15の露光時間、あるいは増幅器の増幅率(信号レベルのゲイン)等のパラメータが含まれる。
(2次元受光素子15)
投光素子の帯光は、ワーク表面(あるいは裏面、中間)で反射され、受光レンズを介して2次元受光素子15で受光され、受光画像が取得される。2次元受光素子15としては、リニアイメージセンサであるCCDやCMOSセンサを複数列配置して2次元状とした2次元イメージセンサが使用できる。例えば1次元のリニアイメージセンサであるCCDを画素のライン数分だけ平行に配置して2次元受光素子15を構成する。CCDは受光波形のピークの検出に好適な撮像素子である。特に、受光素子にポジションセンシティブディテクタ(PSD)を使用すると、受光面全体での照度重心位置を検出するため2次反射や3次反射、乱反射等による影響が大きい。これに対しCCDは、画素情報に基づいて受光ピーク位置を正確に検出でき、このような乱反射の影響を受けず正確な測定が可能となる。
(受光データ制御部60)
受光データ制御部60は、受光画像から各ラインのピークレベル等を算出し、受光量制御を行う受光レベル制御手段61と、受光画像データからプロファイル形状を演算する等、各種の画像処理を行う画像処理部62と、ワークの状態を判別する等、各種の演算を行う演算部610の機能を実現する。さらに画像処理部62は、プロファイルを演算するプロファイル演算手段64、トレンドグラフを作成するトレンドグラフ作成手段65、プロファイル着色手段66やプロファイルハイライト手段67、受光画像着色手段68、多重合成手段69等の機能を実現する。
(演算部610)
また演算部610は、水平基準位置と現実の水平線とがなす傾斜角を演算する傾斜角演算手段611、高低差基準位置同士の間の高低差を演算する高低差演算手段612、ワークの段差を示すプロファイル形状に対してワークに対するセンサヘッド部の傾きを補正する傾き補正手段613、複数のプロファイル形状の段差部分に基づきプロファイル形状同士を合成するためプロファイルサーチを行うプロファイルマッチング手段614、プロファイルマッチング手段614で合成された共通するプロファイル形状から差分情報を抽出する差分抽出手段615、ワークの状態を判別するワーク判定手段63、受光画像に対して画像サーチを行う画像サーチ手段616、画像サーチ結果に応じて適切な位置に受光マスク領域を移動させるマスク移動手段617、照射光と略平行なエッジ面を有するワークの受光画像中から、隣接する2次元受光素子の画素間の受光光量の変化に基づいてエッジ面の位置を算出するエッジ面算出手段618等の機能を実現する。これらの詳細については後述する。この受光データ制御部60はASIC等のマイクロプロセッサで構成できる。なお図4、図10等の例では、光量フィードバック制御を行う受光データ制御部60をコントローラ部2に設けているが、センサヘッド部1側でレーザダイオード12の制御を行わせてもよい。例えば、図5に示すように、センサヘッド部1側にヘッド制御部50を設け、ヘッド制御部50でレーザダイオード12の発光量の制御、あるいは光量フィードバック制御を行わせることもできる。
(受光レベル制御手段61)
受光レベル制御手段61は、デジタル変換手段で得られたデジタル信号の、各ラインにおける受光信号波形のピークレベルの分布が適切な範囲に収まるよう、投光部3の発光量や2次元受光素子15の利得、増幅器の増幅率等を適正値に設定する。また、全範囲にわたって受光量を取得する他、測定に必要な領域のみに制限して制御することもできる。例えば暗い部位の情報のみが必要な場合は、明るい部位の飽和を無視して制御でき、測定目的に適したより高精度な受光画像を得ることができる。
これに加えて、ライン間の受光信号波形のピークレベルの分布が所定の範囲内となるように、投光部3の発光量や増幅器の増幅率を含む操作量の少なくともいずれかのパラメータをフィードバック制御する。ここでは、受光量が一定となるようなフィードバック制御を行う。操作量は、受光レベル制御手段61にて演算、調整する他、インターフェース部80の操作量調整手段81からユーザが操作することもできる。
(プロファイル演算手段64)
プロファイル演算手段64は、光切断法に基づきワークの変位を測定し、ワークのプロファイル形状を演算する。演算されたワークのプロファイル形状は、表示部70上で波形状に表示される。
(計測処理部54)
計測処理部54は、プロファイル演算手段64で演算されたプロファイル形状に対して、設置補正処理、位置補正処理、計測処理等を行う。計測処理としては、指定した線分の高低差測定や傾斜角度検出、指定した面積の演算等、各種の演算が含まれる。
(インターフェース部80)
インターフェース部80は、コントローラ部2に対する設定等、必要な入力や操作を行うための入力手段を構成する。ユーザが設定や操作を行うための部材として、入出力デバイスを利用することもできる。また光学式変位測定計を操作するための光学式変位測定プログラムのユーザインターフェース画面としてもよい。インターフェース部を構成する入出力デバイスはコンピュータと有線もしくは無線で接続され、あるいはコンピュータ等に固定されている。一般的な入力部としては、例えばマウスやキーボード、スライドパッド、トラックポイント、タブレット、ジョイスティック、コンソール、ジョグダイヤル、デジタイザ、ライトペン、テンキー、タッチパッド、アキュポイント等の各種ポインティングデバイスが挙げられる。またこれらの入出力デバイスは、プログラムの操作のみに限られず、光学式変位測定計等のハードウェアの操作にも利用できる。さらに、インターフェース画面を表示する表示部70のディスプレイ自体にタッチスクリーンやタッチパネルを利用して、表示部70とインターフェース部80とを兼用させることもでき、画面上をユーザが手で直接触れることにより入力や操作を可能としたり、または音声入力その他の既存の入力手段を利用、あるいはこれらを併用することもできる。
図4の例では、インターフェース部80は、操作量調整手段81、計測領域指定手段82、時刻指定手段83、サンプリング指定部84、制御領域指定手段85、マスク領域指定手段86、多重合成条件設定手段87、多重合成範囲制限手段88、合成前画像選択手段89、プロファイル形状中から水平基準位置を指定する水平部位指定手段812、既知の高低差を有する段差形状を有するワークのプロファイル形状中で段差を構成する面を各々高低差基準位置として指定する高低差指定手段814、傾斜角演算手段611で演算された傾斜角を手動で調整するための傾斜角調整手段816、高低差演算手段612で演算された高低差を手動で調整するための高低差調整手段818、段差形状を有するワークのプロファイル形状中から段差を示す段差プロファイル形状を各々指定するための共通プロファイル指定手段820、表示部に表示されるプロファイル形状を上下又は左右に反転可能な反転手段822、表示部に表示されるプロファイル形状を手動で移動及び/又は回転可能なプロファイル移動手段824、傾き補正手段613で演算された傾きを手動で調整するための傾き調整手段826、ワークの変位を測定する測定モードにおいて2以上のセンサヘッド部の配置レイアウトを、横配置、縦配置、挟み込み配置のいずれかから選択する配置モード選択手段828、プロファイル形状中からプロファイルサーチを行うための基準となる登録プロファイルを指定する登録プロファイル指定手段830、登録プロファイル中でプロファイルサーチの際の重要度を低下させた無効領域を指定する無効領域指定手段832、登録プロファイル中で変化の大きい部位を自動的に抽出し無効領域として設定する無効化手段834、表示部上の所望の計測ライン上に複数の受光信号波形が存在する場合に、いずれの受光信号波形を計測光として計測対象とするかを選択するための計測光選択手段836等の機能を実現する。操作量調整手段81は、フィードバック制御の操作量を調整するための手段である。計測領域指定手段82は、計測処理部54で計測を行う対象となる計測領域を、表示部70のプロファイル表示領域71から指定する。時刻指定手段83は、表示部70のトレンドグラフ表示領域72から時刻を指定する。サンプリング指定部84は、メモリ部90でプロファイル形状を記録するタイミング及び/又は枚数を指定する。制御領域指定手段85は、フィードバック制御の対象とする制御領域を指定する。マスク領域指定手段86は、フィードバック制御の対象としないマスク領域を指定する。ここでは、プロファイル形状上に設定するプロファイルマスク領域と、受光画像上に設定する受光マスク領域とを、共通のマスク領域指定手段86で指定可能としている。また、個別のマスク領域指定手段を設け、プロファイルマスク領域を設定するプロファイルマスク領域指定手段と、受光マスク領域を指定する受光マスク領域指定手段とを備えることもできる。
(プロファイルマスク領域指定機能)
逆に、フィードバック制御の対象としないプロファイルマスク領域を、プロファイル形状上に指定することもできる。ここでは、マスク領域指定手段86によって、プロファイル表示領域71上から、フィードバック制御の対象としないプロファイルマスク領域PMを指定する。図6の例では、プロファイル形状が不安定になっている範囲を一点鎖線で示す枠状のプロファイルマスク領域PMを指定する。フィードバック制御に際しては、プロファイルマスク領域PMの計測値が無視されるため、このような不安定な領域が排除された正確なフィードバック制御結果を得ることができ、安定した信頼性の高い制御と測定が実現される。
また多重合成条件設定手段87は、多重合成を行うための多重合成条件を設定するための部材であって、さらに多重合成範囲を制限するための多重合成範囲制限手段88を備える。さらにまた合成前画像選択手段89は、合成前画像の撮像条件を指定するための部材である。
(メモリ部90)
メモリ部90は、受光ピーク記憶手段91及び合成前画像記憶手段92として機能する。受光ピーク記憶手段91は、ワーク判定手段63でピーク数記憶受光量制御を行う際に、計数した受光ピーク数を保持する。
またメモリ部90で撮像された受光画像及び演算されたプロファイル形状を、測定した時間情報と共に逐次保存するプロファイルストレージ機能を実現することもできる。これにより過去のプロファイル変化の履歴を保持できる。保存するデータは、プロファイルを波形状のラインとして保存する他、数値データ(点)の集合、あるいはプロファイル形状を表示するプロファイル画像として保存することもできる。また、各種の設定を保持するメモリ部90と兼用することもできる。さらにメモリ部90に、トレンドグラフや、アラーム検出手段55がアラーム信号を出力した期間を記録することもできる。
(プロファイルデータストレージ機能)
また、プロファイルデータをメモリ部のプロファイルデータストレージ領域に保存するプロファイルデータストレージ機能を有しており、これにより後でデータを呼び出して確認することができる。これを利用することで、ワークの形状が時間的に異なる場合に、その変化量の測定に好適に利用できる。例えば図103の斜視図及び図104の断面図に示すように、接着剤SZを塗布する塗布装置TSがワークWK15上の所定の位置に適量の接着剤SZを正しい形状に塗布しているかどうかを確認する用途においては、バックグラウンド、すなわち塗布対象のワークWK15の形状が一定であれば、これを登録画像として予め登録しておき、測定モードにおいては塗布後のプロファイル形状のみを登録画像と対比すれば確認できる。しかしながら、現実にはワークの形状が一定でないことがあるため、個別に塗布前のプロファイル形状と塗布後のプロファイル形状を計測する必要がある。この場合、同一のワークに対して時間的に異なるタイミングでプロファイル形状を取得しなければならない。
このような用途においては、プロファイル形状を保存するプロファイルデータストレージ機能が好適に利用できる。すなわち、所定のタイミングで接着剤塗布前、塗布後のワークのプロファイル形状を各々取得し、これをメモリ部のデータストレージ領域に保存した上で、取得時間を指定して表示部に呼び出すことにより、容易に前後のプロファイル形状を対比することができる。表示部においては、取得時間の異なるプロファイル形状を複数並べて表示することも、またこれらを切り替えて表示させることもできる。さらに必要に応じてプロファイル形状の差分を差分プロファイルとして表示することもできる。
プロファイルデータストレージ機能を利用すれば、センサヘッド部が1台でも、同一のセンサヘッド部で同一のワークを異なるタイミングで各々撮像し、後にこれらをデータストレージ領域から読み出して表示部で表示させることができる。図106に、1台のセンサヘッド部でワークの加工前の形状及び加工後の形状を測定するタイミングチャートを示す。図において、N、M等で示す位置は、センサヘッド部1によるワークの計測位置を示している。図106では、Nの位置にあるセンサヘッド部1で加工前のワークの形状を測定し、同じワークの加工後の形状をMの位置にあるセンサヘッド部1で測定する。同様に、N+1の位置にあるセンサヘッド部1で加工前のワークの形状を、M+1にあるセンサヘッド部で加工後のワークの形状を、各々測定する。この場合、測定の順序としては一のセンサヘッド部1又はワークを相対的に移動させて、N→M→N+1→M+1の順に測定する。このようにして、センサヘッド部を加工前、加工後の測定に共用し、少ないハードウェア資源でも効率よく時間差処理、すなわち時間的に異なるタイミングのプロファイル形状を取得、対比等することができる。この場合は、図104に示すように、接着剤SZ塗布前のワークWK15及び塗布後のワークWK15を撮像できる位置にセンサヘッド部1を移動させる機構、あるいはワークWK15側を、搬送後にセンサヘッド部1の垂下に戻す機構が必要となる。このため、好ましくは2台若しくはそれ以上のセンサヘッド部を用いて、塗布前後のワークを個別のセンサヘッド部で各々撮像する。この構成であれば、センサヘッド部やワークの移動機構を簡略化できる。本実施の形態では、後述する図40に示すように、2台のセンサヘッド部を使用し、図103、図104に示すワークWK15に対して、接着剤SZの塗布前のプロファイル形状と塗布後のプロファイル形状を、各々のセンサヘッド部1で取得している。図40は2台のセンサヘッド部を接続可能なコントローラ部2のブロック図を示している。このセンサヘッド部1で、図105(a)に示す接着剤塗布前のプロファイル形状と、図105(b)に示す塗布後のプロファイル形状を各々計測し、後述するマッチング手段を用いて、ワークの形状に基づきこれらのプロファイル形状を合成し、図105(c)のような合成プロファイルを得る。さらに図105(d)に示すように、これらの差分プロファイルを抽出することで、塗布された接着剤の正確なプロファイルを得ることができる。
なお、図103の例では、ワークWK15上の接着剤SZ塗布位置とは異なる部位を、塗布前のプロファイル形状として測定している。図103に示すように、塗布位置がワークの溝状で、どの位置でも同一のプロファイルが得られる場合は、塗布位置と異なる部位を塗布前のプロファイル形状として代用してもよい。この方法であれば、実質的に同一のタイミングで塗布前と塗布後のプロファイル形状を同時に取得できる。もちろん、同一部位のプロファイル形状を、塗布前後で撮像することもでき、これによって特にワークの成形精度が劣る場合でもより正確な接着剤の測定が可能となる。
また、ここでは一例として接着材の塗布量を計測する例を説明したが、本実施の形態はこれに限られず、加工形状の確認など、処理の前後で変化する形状を比較する用途において広く活用できる。
さらに、逐次的に表示や処理などを行う形態の他、所定のデータが集まった時点で一括して処理する用途にも利用できる。例えば図107に示すように、接着剤の塗布前のプロファイル形状を複数箇所で測定して保存しておき、塗布後にこれら複数箇所の形状を計測し、例えば接着剤塗布面積の和など、複数のプロファイル形状を利用した一括処理を行うこともできる。図107の例では、纏めて加工前のワークについて測定した後、加工後のワークを測定するよう、N→N+1→N+2→...→M→M+1→M+2の順で測定する。この場合は、2台のセンサヘッド部1を利用して、各々加工前のワーク、加工後のワークを測定する構成とすることも、また1台のセンサヘッド部1で加工前後のワークを測定する構成とすることもできる。
(計測ピッチ)
メモリ部のデータストレージ領域にプロファイル形状を保存するタイミング又は計測ピッチは、ワークの搬送ラインの速度や求められるプロファイル形状の精度等に応じて、任意に設定できる。図108に示すように、計測ピッチが比較的粗い場合には直前で取得したプロファイル形状を順次表示できる。図108の例では、同一のワークにつき、加工前、加工後を順次測定することができ、N→M→N+1→M+1→N+2の順に、ワークを測定して順次読み出し、加工前後の形状を対比できる。一方、計測ピッチを細かくしたい場合には、接着剤塗布前のプロファイルデータが複数存在するため、これらを一旦保存しておき、表示の際に改めて読み出す必要がある。図109の例では、接着剤塗布前の計測位置から塗布後の計測位置までの間に、4周期進んでいる。すなわち、塗布前のワークの計測位置Nに対応する塗布後の計測位置はM+4であり、また塗布前の計測位置N+1に対応する塗布後の計測位置はM+5、同様にN+2に対応する位置はM+6となる。このため、保存のタイミングと表示のタイミングに応じて、計測ピッチを設定し、例えば表示部で表示させるプロファイル形状が、何回分の計測ピッチあるいはサンプリング周期に相当するのか、等で指定できるようにする。
また、プロファイル形状を保存するタイミングは、種々の方法で指定でき、例えばコントローラ部内部で自律的に作成されるタイミング信号を利用したり、外部から入力されるトリガ信号を利用して保存することもできる。また複数のセンサヘッド部を接続している態様においては、タイミング信号やトリガ信号は、各センサヘッド部共通としたり、あるいはセンサヘッド部毎に個別の信号とすることもできる。例えば、一のトリガ信号に応じて、個々のセンサヘッド部が個別に動作する態様、あるいはトリガ信号に応じて2個のセンサヘッド部が同期して動作する態様、あるいはトリガ信号に応じて動作するが、1個のトリガ信号に対して複数回のプロファイル取得を行う態様など、種々の動作を設定できる。
なお、保存したプロファイル形状を単に表示部に表示させるのみならず、他の処理を含めることが可能であることはいうまでもない。例えば、図105(d)に示すような差分プロファイルを演算して表示部に表示させる処理、あるいはプロファイル形状の表示を省略して、差分プロファイルの面積や高さを演算して、演算結果のみを表示させる等、種々の処理とできる。
(保存データ種別設定)
また保存する対象となるデータは、任意に設定でき、例えば全てのプロファイルとする他、異常が発生しているプロファイル(NGプロファイル)のみとしてもよい。全プロファイルを保存する場合、異常が頻発している場合にはさほど問題にならないが、一方異常の発生が少ない場合には、多数保存されたプロファイルデータの中から、不具合の発生しているプロファイルデータを見つけ出すことは容易でない。
そこで、本実施の形態においては、プロファイルデータストレージ領域にプロファイルデータを保存する際、異常の発生しているプロファイルデータについては、その旨を付記して保存する。図7に、保存されたプロファイルデータの一覧を示す。この例では、一覧表示される各プロファイルデータに、プロファイル番号とプロファイル取得時刻に加えて、計測でエラー(NG)が発生しているデータには、エラー発生を示すフラグを付加している。
保存されたプロファイルデータは、表示部にて一覧表示することが可能であり、例えば図7のような表形式で表示できる。一覧表示からプロファイル番号を選択すると、選択されたプロファイル波形がプロファイル表示領域71に表示される。また、選択されたプロファイル以外にも、比較用のプロファイルを複数表示させることもできる。このように複数のプロファイルを並列的に表示し、これらを対比しやすくして異常発生箇所の確認や発生過程の確認などに利用できる。さらに、プロファイルに着色等のハイライト処理を施して表示部に表示させることもできる。例えば、全てのプロファイルデータを表示した上に、選択されているプロファイルのみを異なる色で重ねて表示することで、プロファイルの傾向やばらつき等を直感的に把握できるようにする。
なお、異常が発生しているプロファイルデータかどうかの判断は、予め設定した判定条件に従う。例えば、プロファイルデータに飽和点が含まれている場合、所定の下限閾値よりも低い受光量の点が含まれている場合等とできる。
(表示部70)
表示部70は、演算結果や撮像された画像データ等を表示する。図4に示す例では、プロファイル形状を表示するためのプロファイル表示領域71、トレンドグラフを表示するためのトレンドグラフ表示領域72、光量グラフを表示するための光量グラフ表示領域73、受光画像を表示するための受光画像表示領域74等を備える。これらの領域は、表示部の領域を適宜分割して一画面で複数表示させたり、あるいは複数の画面を切り替えて表示することもできる。例えば、図8に示すようにプロファイル演算手段64で演算されたワークのプロファイル形状を表示する。これにより、ワークのプロファイル形状を視覚的に確認できる。また、プロファイル形状に対して、計測処理部54により各種演算を行うことができる。例えば、段差部分の高低差を演算したり、指定した線分の長さや面積等を演算できる。演算すべき部位は、インターフェース部80を構成するマウスやキーボード等のポインティングデバイスで構成される計測領域指定手段82で指定する。
また図9に示すように、2次元受光素子15で撮像した受光画像を受光画像表示領域74に表示することもできる。受光画像は、ワークのプロファイル形状が適切に計測できていない場合等に、受光素子で取得した生画像として受光輝度分布を確認する際に好適に利用できる。これらプロファイル形状や受光画像の表示は、表示画面を切り替えて行う他、同時に表示させることもできる。特に、2画面で個別にプロファイル形状と受光画像を並べて表示させる他、これらを一画面で重ねて表示することもできる。この表示部70は、CRTモニタや液晶ディスプレイ等が利用できる。また表示部70は、コントローラ部2に組み込む構成の他、コントローラ部2と別部材に構成することもできる。
図4のブロック図において、太線で示す矢印は画像データの流れ、破線矢印はプロファイルデータの流れ、細線矢印は制御信号の流れを、それぞれ示している。この光学式変位計200では、まず投光部3の投光素子を点灯させ、帯光をワークに照射し、その反射光を受光素子で結像する。このアナログ信号は画像読込部56で取り込まれ、増幅器で増幅され変換手段でデジタル信号に変換される。これにより画像読込部56で受光画像が取得されると共に、受光データ制御部60の画像処理部62でプロファイル形状が生成される。これらの画像データは、表示部70にて表示される。また一方で受光レベル制御手段61がフィードバック制御を行い、受光量のピーク値が適切に得られるよう、操作量が調整される。
なお、以上のセンサヘッド部とコントローラ部との切り分けは一例に過ぎず、コントローラ部の機能の一部をセンサヘッド部に持たせたり、センサヘッド部とコントローラ部とを一体とすることもできる。また、一のコントローラ部に複数のセンサヘッド部を接続し、これらを制御することも可能である。コントローラ部とセンサヘッド部との接続は、I/O接続の他、データ通信によることも可能である。
(通信手段57)
光学式変位計はさらに、外部機器GKとの通信を行うための通信手段57を備えることもできる。実施の形態2の変形実施例として、図10に通信手段57を備える光学式変位計300のブロック図を示す。この光学式変位計300は、測定モードと、操作量調整手段81が通信手段57を介して外部機器GKと通信することによって操作量を調整する操作量調整モードとを、モード切替手段53で切り替える。操作量調整モードにおいて、受光レベル制御手段61で演算された操作量は、操作量調整手段81及び通信手段57を介して外部機器GKに送信され、外部機器GKで操作量データが記憶される。このように光学式変位計は、フィードバック制御の操作量の調整を操作量調整手段81で行う他、通信手段57を介して光学式変位計と接続された外部機器GKから調整することもできる。例えば、外部機器GKとしてコンピュータを接続し、該コンピュータ上で動作するプログラムによって操作量調整機能を実現できる。この場合は、コンピュータの表示装置や入力装置によって提供されるユーザインターフェイスにより、操作量の調整操作をより分かりやすいものとすることができる。
なお通信手段57による外部機器GKとの通信は、有線に限られず無線接続も利用できる。また、外部機器GKであるコンピュータ上で動作するプログラムが、操作量データに基づいて適切な操作量の調整量を決定するのではなく、ユーザが調整量を任意に設定又は変更するための表示等のユーザインターフェイスを提供することもできる。
(受光画像撮像条件の最適化)
実際に光学式変位計で計測対象として考えられるワークのパターンとしては、図11に示すような表面が平坦で表面状態も均一なワークWK1、又は図12に示すように表面は平坦であるが、部位によって表面状態、特に反射率が異なるワークWK2、あるいは図13に示すように、立体形状であり、部位によって反射状態が異なるワークWK3等が考えられる。図11のようなワークWK1では、反射光量の分布がほぼ一定であるため、ピークレベルのばらつきも少なく、一枚の受光画像で全体の反射量を把握できる。一方、図12のようなワークWK2では、部位によって反射光量が異なるため、操作量の調整が必要となり、あるいは撮像条件を変更した複数の受光画像を撮像して、これらを合成するマルチ露光が必要となる。さらに図13のようなワークWK3でも同様の処理が必要となる。この場合において、ワークのどのようなプロファイル情報を利用したいかに応じて、撮像すべきポイントも異なる。例えば、極力、多くの部位を計測したい場合は、上述のように全体の受光量分布を把握できるよう、露光時間の調整やマルチ露光が必要となる。一方で、ワークWK3において、極端に反射光量が少ない隅部の測定精度が無視できる場合は、ワークの頂点部分に受光量制御が働けばよい。あるいは幅などの測定用途等、頂点部分の精度よりも隅部の精度が求められる場合は、隅部に受光量制御が働けばよい。このように、用途や目的に応じた受光量制御を行うことで、極端に反射光量が少ない部位は計測しなくても良い用途であれば、ワークの表面部分のみを撮像できれば足りる。あるいは、極端に反射光量が多い部分は計測しなくても良い用途であれば、逆にワークの表面部分を撮像対象あるいは処理対象、制御対象から省いて、隅部のみを撮像すれば足りる。このように、用途や目的に応じた撮像を適切に行うことで、効率よく、また精度よくプロファイル情報を取得できる。本実施の形態は、このような用途別の撮像に好適な機能を備えている。以下、具体的に各機能について説明する。
受光画像やプロファイル形状が適切に得られるように調整すべき操作量としては、発光素子の発光レベルや発光時間、2次元受光素子の露光時間、増幅器の回路増幅率の信号レベルのゲイン等が挙げられる。これらの操作量は、操作量調整手段でユーザが直接設定する他、光学式変位計側で自動的に設定することもできる。特に、受光レベル制御手段でフィードバック制御することによって、適切な値に設定できる。しかしながら、操作量の設定可能な範囲が広大であり、またワークに応じて反射光量などが大きく変化するため、受光レベル制御手段による自動制御が追従できないことがあり、フィードバック制御が働かず発散したり、あるいは制御が安定するまで時間がかかることもある。そこで、より安定した動作を得るための手法として、2次元受光素子の感度特性を調整し、飽和しないような曲線の受光特性を有する2次元受光素子を使用する。具体的には、Log特性を備える2次元受光素子を使用する。これによって、受光信号の高い領域で絶対値が抑えられ、低い領域の信号との差が相対的に縮まり、2次元受光素子のライン間で受光信号に高低差があってもこれを軽減できるので、一枚の受光画像で対応可能な受光信号の範囲を広く取ることができる。すなわち、1度の撮像で済ませることができ、また複数枚の受光画像を合成するマルチ露光を行う場合においても、撮像回数を低減できる。
(モード切替手段53)
モード切替手段53は、測定対象物の変位を測定する測定モードと、操作量を設定する設定モードとを切り替える。設定モードにおいては、予め測定対象物に対して投光部3で帯光を照射し、第1の方向の各位置における増幅信号のピークの分布状態を測定し、受光レベル制御手段61が、第1の方向における分布状態に応じて操作量を調整することができる。これにより、受光レベル制御手段61が第1の方向における各位置でのピークの分布に基づいて、適切な操作量に調整できるので、2次元受光素子15で得られるピークレベルの第1方向におけるライン間の格差を低減し、有効にピークレベルを捕捉して変位量を測定できる。このように、実際の運用に先立ち、一旦ワークをラインに流して、最適な調整を行うなど、予め設定モードで適切な操作量に調整した状態で測定モードを実行することにより、敢えてフィードバック制御を行わずとも適切な制御が実現できる。特に、実際のワークに対して変化させるべき範囲を予め設定しておくことで、フィードバック制御させた場合の発散を防止して、より安定した動作が見込まれる。
あるいは、用途や目的によっては、測定モードにおいても受光レベル制御手段61でフィードバック制御を実行しながら測定対象物の変位を測定する構成も可能であり、設定モードを経ることなく測定モード中で適切な操作量に設定したり、あるいは予め設定モードで大まかな操作量を設定した後、測定モードでさらに最適な操作量に調整しながら稼働させることもできる。
(自動調整機能)
さらに後述するように2次元受光素子として受光特性を調整可能な素子を使用する場合は、設定モードにおいて、受光画像の輝度分布情報から2次元受光素子の受光感度を受光レベル制御手段で自動調整する機能を持たせてもよい。具体的には、実際にワークを配置あるいはラインに流し、ワークの受光画像を2次元受光素子で撮像し、輝度分布データを取り込む。この輝度分布情報に基づいて、受光レベル制御手段が2次元受光素子の受光特性を自動調整する。すなわち、実際のワークを撮像して得られた輝度分布データから、すべての輝度情報を適切に取得できるよう、受光特性を調整する。具体的には、図14のプロファイル表示領域71の例に示すように、ワークWKの各位置における反射光量を2次元受光素子でライン毎に検出する。図14において示す矢印は、2次元受光素子のラインに相当する。この結果、各ラインの受光量のピーク値を抽出し、受光画像全体でピーク値(輝度)の頻度をカウントして、図15に示すような受光画像の輝度分布のヒストグラムを取得する。このヒストグラムに基づき、分布の範囲を把握し、この範囲をカバーできるように、2次元受光素子の受光特性(図16等)を調整あるいは選択する。最も適切な選択肢あるいは調整が不可能な場合は、近接した設定を行うと共に、ユーザに対して最適設定が不可能であることを警告することもできる。また必要に応じて受光特性を変化させて2枚以上の受光画像を撮像することもできる。これにより、測定モードに入る前のセッティング時において、適切な受光特性となるよう予め設定できるので、測定モードでより安定した運用を図ることができる。
さらに、このような自動調整は、輝度分布のすべての範囲が一枚の受光画像で捉えられる方向で2次元受光素子の受光特性を調整する方法に限られず、輝度分布の一部のみを捉えるよう受光特性を調整する方法も採用できる。特に、計測に際してすべての輝度情報が必要でない場合は、必要な部位の輝度がカバーされるように調整することで、より効率よく、また精度も確保した受光画像を取得できる。
さらに調整すべき対象として、2次元受光素子の受光特性の選択に限られず、上述した操作量を適宜利用できる。例えば、発光素子の発光レベルや発光時間、2次元受光素子の露光時間、増幅器の回路増幅率の信号レベルのゲイン等が挙げられる。
さらに、以上のようにして受光レベル制御手段等により自動調整された操作量、あるいはフィードバック制御により調整された操作量を、ユーザがさらに操作量調整手段から調整することもできる。ユーザは、必要に応じて微調整や再設定を行うことができ、計算値や理論値と異なる挙動を示す場合の調整や、自動調整が働かない場合に手動で設定し直す、あるいは当初から設定を行う場合などに利用できる。
(候補パターンの提示)
さらに、自動調整に際しては、一の結果(操作量)のみを演算するのでなく、用途に応じた複数の候補パターンを生成し、これを表示部上でユーザに提示して選択させるように構成してもよい。具体的には、受光レベル制御手段等により複数の候補パターンを演算し、表示部に一覧表示に表示する。図17に、このような候補パターンKPの表示例を示す。候補パターンKPは、異なる操作量でプロファイル形状を演算した場合に得られるプロファイル形状として表示している。表示部は、プロファイル形状を表示するプロファイル表示領域71を複数有している。これによりユーザは、所望の結果が得られている候補パターンKPを表示部の画面上から選択することで、容易に必要な結果を得ることができる。図17の例では、3つの候補パターンKPを表示しているが、この例に限られず4つ以上あるいは2つ以下を表示することもできる。候補パターンをサムネイル状に小さく表示すれば、一画面で表示できる候補パターンの数を多くできる。また一画面で候補パターンを一覧表示する例に限られず、複数の画面を切り替えて表示すれば、候補パターンを大きく表示でき、細かな点の視認性も良くなる。
(ハイライト処理)
図18にプロファイル表示領域71の拡大図を示す。この図に示すように、プロファイル形状に対し、プロファイルハイライト手段で受光量に応じたハイライト処理を施すこともできる。この例では、プロファイル形状の各位置における受光量のレベルに応じて、異なる色を着色している。例えば、光量が適切な範囲にある部位は青色(図18においてBAで示す幅狭ハッチング領域)、閾値以上で光量過多の部位は赤色(図18においてRAで示す2線ハッチング領域)、光量不足の部位は灰色(図18においてGAで示す幅広ハッチング領域)等、受光量のレベルに応じて異なる色に着色する。これにより、プロファイル形状の位置毎の受光量をユーザは視覚的に把握でき、測定に必要な部位にて光量が不適切な部分の少ないプロファイル形状を容易に選択できる。プロファイルハイライト手段による色分けは、受光量のレベルと色の割り当てが予め設定される。またプロファイルハイライト手段は、受光量のレベルに応じてプロファイルの描画色を変更する他、蛍光色やグレーアウト、枠線の表示、太字・細字・破線などの線種のパターン変更、ハッチングのパターンを変更するなど、他の部位と区別できる手法が適宜利用できる。
(光量グラフ)
さらに、図19に示すように、候補パターンKPとしてプロファイル形状に加えて、プロファイル形状の位置毎の光量を示す光量グラフを表示することもできる。光量グラフは、図20の拡大図に示すように、各々プロファイル表示領域71の下に設けられた光量グラフ表示領域73に表示される。これにより、プロファイル形状と光量レベルが同時に表示され、特に上下に配置することで、プロファイル形状の対応する位置における光量を視認でき、選択の際のより客観的な指標として利用できる。
また、候補パターンとして光量グラフのみを表示させたり、受光画像を表示することもできる。また画像全体でなく、一部のみを表示させることもできる。特に、測定に必要な領域が限られている場合は、該領域のみを表示あるいは拡大表示することで、より対比、確認が容易で、視認性を一層高めることができる。
(複数ラインでのフィードバック制御)
2次元受光素子を用いた光学式変位計では、リニアイメージセンサを2次元状に配列しているため、リニアイメージセンサでの受光量のフィードバック制御に加えて、複数列のリニアイメージセンサ同士の間、すなわちライン間での受光量の分布を考慮したフィードバック制御も必要となる。具体的には、2次元受光素子15の場合は、図21(a)のようなリニアイメージセンサLIが画素のライン数分だけ並列に配置されたような構造となるため、図21(b)に示すように一の受光信号のピークなども画素列数分存在する。1次元CCDやCMOSなどのリニアイメージセンサの場合は、受光信号のピークなどに基づいてレーザ光のパワーなど決定するのみで足りていたのに対し、2次元受光素子15の場合は、ピークレベルが複数列存在するので、これらライン間のピーク高低差も考慮した制御を行う必要がある。特に表面状態の大きく異なる部位が混在しているワークの場合、列毎にピークレベルが大きく異なるため、安定制御や高精度な変位算出に悪影響が生じる。このため本実施の形態では、受光レベル制御手段61で受光量をフィードバック制御する手法として、以下の方法を採用している。
(1)計測したピークレベルのうち大きさの上位a%目を抽出し、制御対象とする方法
(2)計測したピークレベルのうち大きさの上位b%〜c%目までの平均を算出し、制御対象とする方法
(3)受光特性(受光量−出力電圧関係)が非線形の2次元受光素子を用いることにより、ピークレベルの列間格差を軽減した上で上記(1)又は(2)の制御を行う方法
(1)の方法では、ピークレベルが大きい箇所に注目することで、受光信号が飽和し難い制御が可能になる。a%は、任意の値に設定でき、好ましくは50%に設定できる。一例として、5%〜15%、例えば上位10%目に設定することで、突発的、局所的に反射光量が大きい列を除外し、より安定的な制御を行うことができる。
(2)の方法では、ピークレベルの大きい箇所のみならず、小さい箇所にも注目することで、反射光量の小さいワークを検出しつつ、反射光量の大きいワーク部分も光量過多にならないような制御を実現できる。b%〜c%目は、5%〜95%、好ましくは10%〜90%とする。特に上位10%〜90%とすることで、突発的、局所的にピークレベルが大きい、もしくは小さい異常点を除外することができる。
(3)の方法では、非線形の受光特性、具体的には受光量が多い領域でも出力が飽和し難くなるような特性を有する2次元受光素子を用いる。通常のCCDやCMOSなどの受光特性は直線状であり、受光光量が強すぎると出力信号は飽和するが、高出力の領域で非線形とすることで広いダイナミックレンジを確保できる。特に、受光光量の強い領域での出力信号の大きさが抑えられる結果、相対的に低い領域の信号との差が縮まり、列間におけるピークの高低差を軽減し、上記(1)、(2)の処理をより効果的に行うことができる。好ましくは、Log特性等と呼ばれる、2次元受光素子の受光特性(感度曲線)が、対数のグラフのような曲線若しくはこれに近い折れ線を有する2次元受光素子を使用する。Log特性を強くする程、受光信号の高い領域を低く抑えることができる。
(Log特性)
Log特性とは、図16に示すように、入出力特性が非線形なカーブを示す特性である。ここでは、受光量が高い領域で、感度が低下するようなカーブを有するものとする。これにより、受光量が飽和する虞を低減し、広いレンジで受光量を再現できるようになる。このことは、受光レベルに高低差のあるワークでも、適切に一枚の受光画像で撮像できることに繋がる。またマルチ露光を行う際の合成前画像の枚数を低減できる。これにより、撮像に要する処理時間を短くし、また処理量低減して高速且つ低負荷の処理が実現される。
Log特性を強くする程、受光光量の高い領域での、出力信号の大きさを抑えることができる。例えば光量ピークの分布の下端が相対値で500を下回る場合にはLog特性を強くする。
また、受光特性として、受光量が低い領域でピークを増すような特性を付加してもよい。さらに、任意の受光特性カーブを作成可能なマルチスロープ特性を備える2次元受光素子や、受光特性曲線を任意に調整可能な2次元受光素子を利用することもできる。複数の特性カーブの切り替えや受光特性曲線の調整は、受光素子制御部52にて行う。また、これらの受光特性は曲線状のもののみならず、直線状、折れ線状のものを利用することも可能であることは言うまでもない。これにより、測定対象物に応じた感度に2次元受光素子の受光特性を選択あるいは調整し、適切な測定が実現できる。なお測定モードにおいてフィードバック制御を行う例に限られず、設定モードにおいてもLog特性等の非線形な受光特性を備える2次元受光素子を使用することは有効である。
受光特性の調整は、フィードバック制御と関連させて行うこともできる。例えば、計測したプロファイル形状の波形ピークの分布を示す光量グラフを作成した際、光量グラフ中の明るい側の10%、及び暗い側の10%を測定対象から排除し、これらを除いた残りの80%が、所定の光量範囲に入るように、受光特性を調整する。このように、すべての受光レベルをカバーせずとも、中心的な値を網羅できるように調整すれば、より正確で信頼性の高い制御結果が期待できる。なお、この例では光量は相対値で表示され、例えばレベル500〜900に入るように受光特性が決定される。
(ワーク判定手段63)
さらに2次元受光素子15で受光する受光量のフィードバック制御を行う際の問題点として、受光ピークが確認されない列の処置が挙げられる。受光ピークが確認されない場合の原因として、(a)レーザの発光量が足りない、(b)列に対応した位置に実際にワークがない、の2つの理由が挙げられる。しかしながら、従来はフィードバック制御系でいずれの原因が該当するかを区別することは不可能であった。
原因が(a)であれば、レーザの光量を大きくする方向で制御をかけることで対応できる。しかしながら、実際の原因が(b)であった場合は、レーザ光量をどれほど大きくしても受光ピークを確認できない。それどころか、レーザ光量を上げる結果、受光ピークを確認できていた他の列の受光信号まで飽和してしまい、精度悪化を招くこともありえる。
このような問題に対して、本実施の形態では、適切なフィードバック制御が行えるように、ワーク判定手段63が受光ピーク数に基づいてワークの状態を判別する。具体的には、図22のフローチャートに示すように、まず前準備としてステップS221で発光素子を最大発光量で発光させ、計測できた受光ピーク数をカウントし、メモリ部90の受光ピーク記憶手段91に記憶しておく(ステップS222)。この状態で受光ピークを検出する際に受光ピーク数をカウントし(ステップS223)、検出された受光ピーク数を、受光ピーク記憶手段91に保存されている受光ピーク数と比較する(ステップS224)。比較の結果、検出受光ピーク数と保存受光ピーク数との差が既定値以下であれば、ワークに変化無しとして受光量フィードバック制御、すなわち上記(1)〜(3)のいずれかの制御を行うと共に、ステップS223に戻って制御を繰り返す。一方、検出受光ピーク数と保存受光ピーク数との差が既定値よりも大きい場合、ワークの状態に大きな変化が生じていると判断し、再びステップS221に戻り、最大光量での受光ピーク数をカウントし直した上で、比較を行う。このようにワーク判定手段63で、ワークの状態変化を受光ピーク数に基づいて確認するというピーク数記憶受光量制御を行うことで、受光量の変化がワークの状態変化によるものか、単に反射光量が不足しているかを判別できるので、受光レベル制御手段61において正確なフィードバック制御を実現できる。
(制御領域指定手段85)
さらに別の方法として、受光量制御を行う範囲として制御領域を指定可能とすることも、制御の安定に好適である。例えば、光学式変位計においてはマスク機能など、計測対象とする計測領域を計測領域指定手段82で指定する機能を備えたものが存在する。しかしながら、これはあくまでも変位測定など、計測領域の設定を主眼としているため、制御すべき操作量の安定化とは異なる観点から選定される。その結果、計測領域内にワークの存在しない部位が含まれていたり、反射光量の極端に小さい、もしくは大きい部位等が混在することがある。このような部位は、受光量ピークレベルが他の部位と大きく異なるため、このようなデータを含めたままフィードバック制御を行ったのでは正確な操作量に調整することができなくなる虞がある。
そこで、本実施の形態ではこのような計測領域とは別個に、制御対象の範囲として制御領域を制御領域指定手段85で指定可能とし、これにより制御に適した領域範囲を独自に設定可能とした。この様子を図23に基づいて説明する。この例では、図23(b)に示すようなワークWK4に対してレーザ光の帯光を照射する例を考える。図23(a)は、図23(b)に示すワークWK4を上面から撮像した受光画像を表示部70上に表示させた状態を示している。この画面上で、計測領域指定手段82にて矩形状で示す計測領域KRを指定している。計測領域KR内には、丸で囲んだ領域にはワークが存在せず、したがってこの部分の反射光量は他の部位に比べて極めて低く、変動の要因となる。そこで、計測領域と別に制御領域SRを指定する。図23(c)は、図23(a)で示す計測領域KRに重ねて、このような制御領域SRを制御領域指定手段85から指定した例を示している。この図に示すように、制御領域SRは帯状に指定されており、特にワークの存在しない部位を排除して指定しているため、受光量ピークレベルが低い部位、或いはばらつく部位を排除して、全体のレベルを一定化でき、より高精度で安定した受光量フィードバック制御が実現できる。図23(c)の例では制御領域SRを帯状に指定したが、これに限られず、矩形状、多角形状、円形状、楕円状や任意の領域等に設定することも可能であることは言うまでもない。
なお、制御領域SRを指定する制御領域指定手段85は、計測領域を指定する計測領域指定手段82と同じ部材を使用することもできる。すなわち、一の指定手段で、制御領域と計測領域を各々指定するよう部材を共通化できる。
(安定度出力手段58)
さらに一方、受光ピーク波形の安定性に関する指標である安定度を出力する安定度出力手段58を備えることもできる。受光信号に基づきフィードバック制御を行う際には、高速でワーク形状で搬送する場合、反射率が異なる場合や、受光量が安定するまでの過渡的な期間に受光信号が飽和、もしくは不足した状態で撮像されることもある。このような場合、変位等計測値の精度は、受光量制御が安定した場合に比べて低下したり、真値と大きく異なる異常値を示すといった問題がある。図24は正常な受光信号の波形を示しており、これに対して図25は異常な受光信号の波形を示している。具体的には、図25(a)はブロードな波形、図25(b)はノイズなどの外乱が加わりギザギザした波形、図25(c)はCCDの端で切れている波形をそれぞれ示している。信号波形が異常を示す状態で、このような信号波形を処理して計測演算を行うと、誤差要因となる。
これに対して本実施の形態では、フィードバック制御が安定したかどうかを示す指標として、安定度を安定度出力手段58で出力でき、算出された計測値の信頼度や、この状態で計測値を算出するかどうかの指標として利用できる。本実施の形態では、(1)飽和した受光量ピークの数、及び/又は光量不足の受光量ピークのライン数、(2)受光信号が異常な形状を示すピークのライン数に基づいて、制御の安定/不安定を判別する。安定度は、異常な受光ピークのライン数等、予め設定されたアラーム条件を満たすと、アラーム出力を出力する。また、異常なピークのライン数や種別などの情報を、安定度情報として直接出力することもできる。
さらに安定度出力手段58が出力する安定度に基づいて、段階的な警告を発する警告手段59を備えてもよい。図4に示したブロック図の例では、安定度出力手段58が、アラームレベルを段階的に設定可能な警告手段59を含んでいる。例えば「1列でも飽和又は光量不足があれば、アラーム出力とする」段階や、「飽和又は光量不足が幾つあっても計測値を算出する」段階等、用途や目的などに応じて任意に設定できる。このような安定度出力手段58を用いた受光量制御安定検出機能により、ユーザの求める精度と計測安定性に即した変位計測が可能になる。
(計測光選択手段836)
また図101や図102に示すようなワークWK13、WK14に対してプロファイルを計測しようとすると、計測ライン上に複数の受光信号波形が生じる場合がある。このような場合に、いずれの受光信号波形を計測光として計測対象とするかを選択するための計測光選択手段836を、光学式変位計に設けることもできる。具体的には、計測ライン上に複数の波形が存在する場合に、波形の順番を認識して、一番Near側を計測する、あるいはNear側からn番目、Far側からm番目といった方法で、波形の順番を認識して何番目の波形を計測対象として処理するか選択できる。このように、適切な計測光を計測光選択手段836で選択することで、反射光が多く発生する場合でも不要な反射光を排除して、本来の計測光を計測対象とできる。
(受光マスク機能)
上記の方法は、反射が安定していて、どの位置でも波形数が安定している場合には好適に利用できる。しかしながら、波形数が不安定な場合もあり、この場合は上記の方法では計測光を定める、あるいは他の波形を排除する方法として不十分である。このような場合には、マスク領域指定手段86で受光マスク領域JMを指定することで対処できる。具体的には、図26に示すように、受光画像を表示した表示部の画面上で、計測処理の対象外とする受光マスク領域JMを設定する。図26の例では、2本の反射光が確認されているので、この内、測定に不要な反射光成分を含むように、受光マスク領域JMを設定する。受光マスク領域JMは、長方形や台形、三角形、あるいは直線や円弧などにより指定可能である。図26の例では、長方形と2つの台形を組み合わせてM字状に受光マスク領域JMを指定している。この結果、図27に示すように、波線で示す反射光成分が適切に排除され、実線で示す反射光成分を残して、この情報に基づいて計測処理部54が計測を行う。
(マスク移動手段617)
受光マスク領域JMは、図28に示すように計測光に合わせてぎりぎりに設定すると、正確な測定が見込まれる。しかしながら、ワークによっては、マスク機能を使用した場合でもワーク位置が安定しない場合もあり得る。例えばライン上を搬送されるワークをCCDカメラで撮像するような用途では、ワークの位置が撮像毎に変化し、波形の出現位置も一定しない。このような場合に、図28のように受光マスク領域JMを計測光に合わせてぎりぎりに設定すると、図29に示すようにワークが位置ずれした結果、本来の計測対象である計測光の一部がマスクされ、測定ができなくなることがある。これに対して、図30に示すようにワークの位置ずれを見越して余裕をもって受光マスク領域JMを設定すると、図31に示すように計測光をマスクしてしまう事態は回避できるが、逆にこれらの図で波線枠UMで示すように、反射光の一部を除外できなくなる。このように、ワークの位置ずれが生じる用途においては、受光マスク領域JMの設定が適切に行えないという不都合が生じ得る。
そこで、予め受光画像に対して画像サーチを行い、サーチ結果に応じて適切な位置に受光マスク領域JMを移動させるためのマスク移動手段617を用意する。以下、設定モードにおいてマスク移動手段617の設定手順と、計測モードにおいて実際にマスク移動手段617が受光マスク領域JMを移動させる手順を、図32、図35のフローチャート、及び図33〜図34、図36〜図37のイメージ図に基づいて説明する。まず、設定時の手順を図32のフローチャートに基づいて説明すると、ステップS321で基準となる受光画像を取得し、この画像中から、サーチの際の基準となる登録画像TGを登録する。ここでは図33に示すように、受光画像中の安定している領域に対して、登録画像TGを枠線などにより設定する。次にステップS322で、画像サーチを行う範囲を設定する。例えば、画像の全領域に対して画像サーチを行う他、ワークが移動する範囲が予め判明している範囲は、その移動範囲を画像サーチ範囲として指定する。さらにステップS323で、受光画像中からマスク領域指定手段86により受光マスク領域JMを指定する。好ましくは図34に示すように、測定に不要な反射光をほぼカバーできるよう、ぎりぎりの範囲に指定する。
以上のようにして設定モードでマスク画像及びマスク移動の設定を行った上で、計測モードにてマスク移動が行われる手順を以下、図35のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS351で受光画像取得のトリガ入力を受けると、ステップS352で受光画像の取り込みが実行される。次にステップS353で、入力された受光画像中から、登録画像TGがどの位置に存在するかを調べるため、画像サーチ手段616が画像サーチを行う。画像サーチ手段616が実行する画像サーチとしては、パターンマッチングなど、既存の画像処理の手法が適宜利用できる。画像サーチを行った結果、図36に示すように、受光画像中における登録画像TGの位置が特定される。そしてステップS354で、サーチ結果に基づいて、受光マスク領域JMを移動させる。具体的には、図36に示すようにサーチされた登録画像TGの座標位置に応じて、図37に示すように受光マスク領域JMを追従させるように貼り付ける。そしてステップS355で、マスク処理を行い、受光画像データからプロファイル演算手段がプロファイル形状を作成し、ステップS356でプロファイル形状に対して、計測処理部54が計測処理を実行する。この手順を、入力された受光画像毎に繰り返す。
このように、入力された受光画像に対して各々画像サーチを行い、サーチ結果に応じて、受光マスク領域JMを移動させることで、受光マスク領域JMを計測光或いは反射光にぎりぎりに設定しても、ワーク位置の変動に追従でき、不要な反射光などの外乱を確実にカットでき、精度の高い演算が行える。
(センサヘッド部較正機能)
また一方、光学式変位計は、センサヘッド部の設営に際して、センサヘッド部の投光部が発する照射光とワークとの位置関係を較正するためのセンサヘッド部較正機能を備えている。照射光である帯光とワークとの角度が正確に調整されていないと、正確な変位測定結果を得ることができない。例えば図98に示すように、凸状を有するワークWK5が水平に載置され、帯光OKが垂直に入射する状態で、図98で実線矢印で示すワークWK5の凸状の高さHを測定する例を考えると、図99に示すように帯光OKの入射面に対してワークWK5が傾斜していると、波線矢印で示す高さH’が測定されることとなって、測定誤差が生じる。同様に、帯光OKの幅方向と直交する方向にワークが傾いても、測定誤差が生じる。例えば図100に示すように帯光OKがワークWK12の入射面に対して傾いた場合、波線で示す帯光OK’が入射されて測定誤差を生じる。このような問題を解消するために、物理的にセンサヘッド部とワークとの相対位置の位置決めを行う方法と、センサヘッド部とワークとの相対位置の位置ずれを予め光学式変位計に較正値として記憶させておき、計測結果を較正値で補正した結果を演算結果として表示する方法が挙げられる。いずれの方法に対しても、センサヘッド部較正機能は有効である。以下、センサヘッド部較正機能について説明する。
(傾き補正機能)
図38に示すように、平坦なワークWK6が水平面に対して傾斜している状態を考える。この状態で帯光が鉛直方向に入射されるとした場合、測定誤差が生じる。そこで、この傾斜角を検出する。まず、平坦なワークWK6に対して投光部から帯光を照射して、プロファイル形状を表示部に表示させる。この状態で、プロファイル形状中で、水平部位指定手段812により、水平とみなす水平線上に位置する水平基準位置として2つの部位を水平部位指定手段812で指定する。この指定は、図38に示すように矩形状の領域で水平基準位置指定枠SKとして指定する。そして傾斜角演算手段611が、水平基準位置同士を結ぶ見なし水平線と、現実の水平線とがなす傾斜角を演算する。さらに、見なし水平線を水平として扱うよう、較正角を設定する。具体的には、指定された領域中に含まれるプロファイル形状を、傾斜角演算手段611で抽出し、さらに領域内に含まれるプロファイルの中心位置と平均高さを算出する。そして2箇所の領域で得られた平均高さが水平となるように、較正角に基づき、計測に際して角度補正を行う。このように、センサヘッド部とワークとの物理的な位置調整を行うことなく、傾斜角を較正量として保持し、光学式変位計の内部処理で演算結果を補正することにより、面倒な位置調整をソフトウェア的に処理でき、設置時の調整作業を大幅に省力化できる。
また、水平基準位置を点で指定するのでなく、領域として指定できるので、指定作業を容易にできる。また、指定された領域内からプロファイルの傾斜角を傾斜角演算手段611で自動的に演算できるので、より精度良く且つ確実に水平位置を較正できる利点も得られる。
なお、マウスなどのポインティングデバイスを使用して水平基準位置を点で指定する構成としても良い。この場合は、エッジ検出処理などを用いて、自動的にプロファイル形状の線状が選択されるようなスナップ機能を備えることで、選択を容易にできる。
また、較正角に基づく補正を行う他、傾斜角の演算のみを傾斜角演算手段611で行うようにしてもよい。演算結果に基づき、物理的にセンサヘッド部とワークとの角度調整を行うこともできる。例えば演算された傾斜角を表示部に表示させる、あるいは外部に出力することで、本来水平面に設定すべきワークの傾斜角度が判明するので、この角度を0にするよう、ワークやセンサヘッド部の位置を調整する。また調整結果に対して同様の作業を繰り返すことで、再調整を可能とし、最終的に見なし水平線と現実の水平線を一致させることができる。
また傾斜角演算手段611が、演算された傾斜角に基づいて光学式変位計の傾斜を自動的に補正する機能を持たせても良い。例えば、投光部を備えるセンサヘッド部の角度調整機構を備え、角度調整機構を傾斜角演算手段611の演算結果に応じて制御し、センサヘッド部がワークに対して水平位置となるよう自動調整する。これにより、面倒な設置時の水平位置較正を自動化できる。
なお、ここでいう水平線は説明のための一例であって、実際の用途に応じて、水平線に代わって垂直線や任意の角度の線あるいは平面に一致させるよう調整できることは言うまでもない。また、水平基準位置は3以上指定することもできる。
(傾斜角調整手段816)
さらに、演算された傾斜角を調整する傾斜角調整手段816を設けても良い。これにより、傾斜角をユーザが手動で微調整することができ、現実の設置状態や計測目的に適応させた柔軟な調整が可能となる。
(高低差補正機能)
以上は、センサヘッド部較正機能の内、傾斜角を調整する傾き補正機能について説明した。これに加えて、高低差を較正する高低差補正機能、すなわち図100に示したように、投光の帯光の幅方向と直交する方向に傾斜している場合の較正も行うことができる。以下、図39に基づいて高低差補正機能について説明する。ここでは、高低差が既知の凸状を有するワークWK7を配置して計測を行う。図39に示すように、プロファイル形状を取得し、表示部に表示させた状態で、段差を構成する第1の面である上面と第2の面である下面を各々、高低差基準位置として、高低差指定手段814で指定する。高低差指定手段814による高低差基準位置の指定は、上記水平部位指定手段812と同様、矩形状の領域で高低差基準位置指定枠KKとして指定することで安定して指定できる。これにより、高低差演算手段612が、領域内の平均高さを各々算出し、さらにこれら2つの領域の平均高さの高低差を算出する。このようにして得られた高低差に対し、既知の凸状の高低差(実寸)を入力することで、これらの差から、帯光の幅方向と直交する方向への傾斜が演算できる。よって、高低差が実寸と一致するように較正量を設定することで、以降の演算において高低差を較正した演算結果を得ることができる。また、上述の通りプロファイルの高低差が実寸値と一致するように、物理的な調整を行う際の指標として利用することもできる。
なお、水平部位指定手段812や高低差指定手段814による水平基準位置、高低差基準位置等の基準位置の指定は、矩形状による指定に限られず、円や楕円、任意の領域などとすることもできる。また、指定された領域内からエッジ面を検出する他、直接点若しくは線でこれら基準位置を指定してもよい。
(実施の形態3)
上記の光学式変位計は、1台のコントローラ部に1台のセンサヘッド部を接続する例を説明した。一方、1台のコントローラ部に2台以上のセンサヘッド部を接続するヘッド接続部を設けることもできる。図40に実施の形態3として、2台のセンサヘッド部を接続可能なヘッド接続部4を備えるコントローラ部の例を示す。この光学式変位計では、2台のセンサヘッド部を使った処理が可能である。すなわち、2台のセンサヘッド部で同一のワークの異なる部位を計測したり、同一のワークを異なるタイミングで計測したり、あるいは異なるワークを計測することもでき、これらの演算結果を組み合わせることで高度な計測が可能となる。図41(a)に、2台のセンサヘッド部を横並びに配置して、測定可能な領域を実質的に拡張して使用する例を示す。理想的には、各センサヘッド部をワークWK8に対して同じ姿勢で設置することで、図41(b)に示すように各センサヘッド部で得られたプロファイル形状を、図41(c)に示すように合成することができる。しかしながら現実には、同一のワークWK8に対して2台のセンサヘッド部の位置を誤差なく設置することは困難である。この結果、図42(a)に示すようにセンサヘッド部の傾きなどによって、図42(b)等に示すように得られたプロファイルにも誤差が生じ、そのまま連結することはできない。そこで、光学式変位計は複数台のセンサヘッド部を連結するためのセンサヘッド部結合機能を備える。
(センサヘッド部結合機能)
2台のセンサヘッド部で各々得られたプロファイル形状を重ねるために、図41(a)に示すように、帯光OKの照射光が一部重なるように配置されることがあるが、実際に得られた2個のプロファイル形状を結合する際には、どれだけ重ねれば良いか、その判断は容易でない。特に、センサヘッド部の設置に際して傾斜や位置ずれがあるため、これらを解消するには、高さ方向と幅方向にプロファイルを移動させた上で、結合のための処理を行う必要がある。
(補正プロファイル作成機能)
このため、上述した傾き補正手段613を用いて、各プロファイル形状の段差部を利用して、ワークに対する各センサヘッド部の傾きを補正する補正プロファイル作成機能を備える。ここでは、傾き補正機能及び高低差補正機能を利用する。この手順を、図43の模式図に基づいて説明する。まず図43(a)に示すように、凸状などの段差を有するワークWK9を用意し、2台のセンサヘッド部の帯光OKの照射領域がいずれも段差を含むように配置する。そして図4の傾き補正手段613で、図43(b)に示すように各センサヘッド部の傾き補正及び/又は高低差補正を行い、補正プロファイルを作成する。さらに図43(c)に示すように、各センサヘッド部の補正プロファイルに対して、同じ部位、すなわち段差部分に相当する共通プロファイル形状を共通プロファイル指定手段820で指定する。ここでは、ユーザが共通プロファイル指定手段820により、手動で段差部を指定する構成としている。ただ、共通プロファイル指定手段820が各補正プロファイルを比較して、共通プロファイル形状を自動的に抽出するよう構成してもよい。そして、共通プロファイル指定手段820で指定された共通プロファイル形状が一致するように、プロファイルマッチング手段614がプロファイルサーチ(後述)を行い、2個のプロファイル形状の高さや間隔等を自動的に調整した上で、これらを合成する。なお、プロファイルマッチング手段614による共通プロファイル形状の高さや間隔等を自動演算結果に対して、ユーザが手動で微調整できる機能を設けてもよい。図4の例では、プロファイル形状のオフセット量を設定可能なプロファイル移動手段824、傾斜角を調整可能な傾き調整手段826を設けている。また、高低差演算手段で演算された高低差を手動で調整するための高低差調整手段814を利用することもできる。このようにして、図43(d)に示すように、複数のセンサヘッド部で測定されたプロファイルを連結するよう合成できる。
(直接マッチング機能)
さらに、センサヘッド部毎に傾き補正や高低差補正を行うことなく、図44に示すように、補正前の各プロファイル形状に対して、共通プロファイル指定手段820で共通プロファイル形状の指定を行い、直接マッチングを行う直接マッチング機能を備えることもできる。この手順を、図44の模式図及び図45のフローチャートに基づいて説明する。まず、必要に応じてステップS451でセンサヘッド部の個々の傾斜を補正する。プロファイルの結合のみを行うのであれば、この高低を省略することもできる。次にステップS452で、2つのセンサヘッド部からの照射光の重複部分にワークWK9の凸状部分が位置するよう、ワークWK9を配置する。そしてステップS453で、各センサヘッド部でプロファイル形状を取り込む。次にステップS454で、各センサヘッド部のプロファイル形状に対し、共通プロファイル形状の範囲を共通プロファイル指定手段820で各々指定する。なお、各センサヘッド部で得られる共通プロファイル形状が同一の場合は、一方のセンサヘッド部でのみ共通プロファイル形状を指定すれば足りる。またこの際も、ユーザが共通プロファイル指定手段820を操作して手動で共通プロファイル形状を指定する他、共通プロファイル指定手段820で自動的に共通プロファイル形状を抽出することもできる。この方法であれば、ユーザによる領域指定を省いて極めて簡単に複数プロファイルのマッチングを実現できる。次にステップS455で、両方のセンサヘッド部で共通プロファイル形状が一致するように、プロファイルマッチング手段614でプロファイルサーチを行う。最後にステップS456で、プロファイルサーチの結果に基づき、プロファイル形状の結合条件をプロファイルマッチング手段614で演算し、合成を行う。
なお、上記の例では2つのセンサヘッド部を利用した2つのプロファイル形状の合成について説明したが、3以上のプロファイル形状の合成についても同様に行えることは言うまでもない。すなわち、例えば3台のセンサヘッド部A、B、Cを接続した光学式変位計においては、まずセンサヘッド部A、Bのプロファイル形状の合成を行った後、合成後のプロファイル形状A+Bとプロファイル形状Cとの合成を行えばよい。
(プロファイル反転機能)
以上は、センサヘッド部を横並びに配置した例について説明した。複数のセンサヘッド部をレイアウトする例としては、他にもセンサヘッド部同士を対向させて配置することも考えられる。複数のセンサヘッド部を隣接して配置する際には、物理的にセンサヘッド部が干渉しないように配置するスペースが確保できるかどうかが問題となる。言い換えると、配置スペースの関係からセンサヘッド部を同じ姿勢で配置することができず、上下左右に反転した姿勢で配置しなければならない事態も起こり得る。例えば、図46に示すようにセンサヘッド部を鏡面状に配置する結果、得られたプロファイル形状が左右反転した状態となり、そのままでは形状の比較などに不都合となる。このため、プロファイル形状を反転させる機能を備えており、具体的には反転手段822がプロファイル形状を、必要に応じて上下又は左右に反転させて表示部に表示可能としている。これにより、センサヘッド部の配置状態の制約によらず、各センサヘッド部で取得されたプロファイル形状の対比を、適切に行うことが可能となる。
(左右反転)
反転手段822により、プロファイルの差分を取得する例を、図47に基づいて説明する。まず、図48に示すように一のワークWK10に対して、異なる部位のプロファイル形状を取得するよう、2台のセンサヘッド部を配置する。各センサヘッド部で得られたプロファイル形状に対して、各々傾き補正及び/又は高低差補正を実行し、図47(a)に示すように補正プロファイルを作成する。次に、共通プロファイル指定手段820を用いて、各センサヘッド部の補正プロファイルに対して、共通の部位を指定する。具体的には、図47(b)で波線で示す枠状の共通プロファイル指定枠KWに共通プロファイル形状を含める。そして、設定された枠内の共通プロファイル形状がマッチングするように、プロファイルマッチング手段614が2個のプロファイルの高さと位置を自動演算する。この結果、図47(c)に示すように2個のプロファイル形状が重ね合わせて表示部に表示される。ここでは、異なる部位を観察しているため、完全一致でなく部分一致のパターンマッチングを行う。また、図47(d)に示すようにプロファイルの差分を差分プロファイルとして表示することもできる。またこの方法に限られず、上述の通り自動演算されたプロファイル形状の高さや位置をユーザが微調整する機能を設けたり、あるいはセンサヘッド部毎に傾き補正や高低差補正を行うことなく、補正前のプロファイル形状に対して共通プロファイル形状を指定し、直接マッチングを行うこともできる。
(上下反転)
さらに、図49に示すように2台のセンサヘッド部で同一のワークWK11を挟み込んで計測することもできる。この際、ワークWK11上の計測箇所が離れて存在する場合には、センサヘッド部を同じ向きに設置することもできる。しかしながら、計測箇所が近い場合は、図50に示すように、センサヘッド部の投光側が対向するように設置する必要がある。この場合には、2台のセンサヘッド部でプロファイルの左右が反転されてしまうので、形状の比較に不都合となる。そこで、反転手段822により左右反転や上下反転を組み合わせることで、調整できる。この例を図51に基づいて説明する。ここでは、図49に示すようにワークWK11の上下を2台のセンサヘッド部で挟み込んで、凸状部分の厚さdを計測する。図51(a)に示すように、各センサヘッド部で計測されたプロファイル形状の傾き補正及び/又は高低差補正を行い、補正プロファイルを作成する。次に図51(b)に示すように、補正プロファイルの一方(図51(a)において右側)を反転手段822で上下反転し、さらに図51(c)に示すように左右反転する。この状態で、各補正プロファイルに対して位置合わせを行う部位を共通プロファイル指定手段820で指定する。図51(c)の例では、凸状の立ち上がり部分を含めるよう波線で示す枠状の共通プロファイル指定枠KWで囲む。そして共通プロファイル指定枠KW内のプロファイルが一致するように、プロファイルマッチング手段614が2個のプロファイル形状の高さと位置を自動演算し、これらを合成する。ここでは、プロファイルを連結するのでなく、図51(d)に示すように、ワークWK11の凸状の厚さdが計測できるように、上下にプロファイルを配置している。
なお、プロファイル形状の上下反転/左右反転は反転手段822により個別に行われるが、計測用途に応じて自動的に反転処理が選択、実行されるよう構成することもできる。具体的には、ワークの変位を測定する測定モードとして、2台以上のセンサヘッド部の配置レイアウトを、横配置、縦配置、挟み込み配置のいずれかから選択する配置モード選択手段828を設け、配置モード選択手段828で選択された配置モードに応じて、反転手段822の反転方向を自動的に選択するよう構成する。これにより、2台以上のセンサヘッド部の配置レイアウトに応じたプロファイル波形の反転が自動的に行われ、設定の手間を省くと共に設定ミスを回避できる。一例として、センサヘッド部A、Bの2つで得られたプロファイル形状を反転手段822で反転させる手順を、図52のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS521で、センサヘッド部Aを上下反転させるかどうかを判定する。反転させない場合は、そのままステップS523に進み、反転させる場合は、ステップS522に進み、センサヘッド部Aで得られたプロファイル形状を反転手段822で上下に反転させた上で、ステップS523に進む。次にステップS523では、センサヘッド部Aのプロファイル形状を左右反転させるかどうかを判定し、反転させない場合はステップS525に進み、反転させる場合はステップS524に進み、センサヘッド部Aのプロファイル形状を左右反転させた上でステップS525に進む。以下同様にしてセンサヘッド部Bについても、先ずステップS525で上下反転の有無を判定し、反転させる場合はステップS526を介して上下反転させた後、ステップS527に進む。さらにステップS527では左右反転の有無を判定し、反転させる場合はステップS528を介して左右反転させた後、ステップS529に進み、後処理を行う。このように、各センサヘッド部毎に上下、左右の反転の有無を判定し、必要な反転を行わせることにより、対比させやすい姿勢でプロファイル形状を表示部に表示、あるいは計測処理部54で演算することができる。
(プロファイルサーチ)
受光マスク領域JMの自動追従や傾き補正/高低差補正、2以上のプロファイルの合成等においては、プロファイル形状に対するプロファイルサーチが有効に機能する。上記で説明したプロファイルサーチでは、登録プロファイルを一旦設定した上で、同じ登録プロファイルに基づいてマッチングを行っている。プロファイルサーチは、登録プロファイルを構成する座標位置情報に基づいて、入力されたプロファイル形状を構成する座標位置情報に、登録プロファイルを構成する座標位置情報が含まれているかどうかを検索する。プロファイル形状は画像データと異なり、座標位置情報であるため、プロファイルサーチは、画像データのサーチに比較してデータ量や処理量が少なく、低負荷で高速なサーチが実現できる。なおプロファイルサーチは実寸法で行われる。一方、ワークによっては登録プロファイル自体が確定し難いものもある。このような場合には、登録プロファイルを毎回変更することも可能である。以下、プロファイル形状に対するプロファイルサーチの詳細な手順について説明する。
(回転/移動のプロファイルサーチ)
先ず、図98、図99に示すようにワークWK5が傾いた場合にも安定して計測できるように、プロファイル波形を登録プロファイルとしてプロファイルサーチを行う例について説明する。ここでは、表示部70のプロファイル表示領域71に表示されたプロファイル形状上から予めプロファイル形状を登録プロファイルとして、図4に示す登録プロファイル指定手段830を用いて領域で指定し(図54(a)において破線枠で示す登録プロファイル指定領域PS)、入力された測定対象のプロファイル形状中から、最も合致する位置をプロファイルマッチング手段614がプロファイルサーチで検出し、サーチ結果に基づいて計測プロファイルを回転・移動させて形状測定を行う。この手順を、図53のフローチャート及び図54のイメージ図に基づいて説明する。まず、ステップS611に示すように、プロファイルサーチを開始する回転角度及び移動距離を設定する。次にステップS612で登録プロファイルのプロファイルを回転/移動させる。さらにステップS613で、プロファイルマッチング手段614が入力プロファイルの各点との差を演算する。次にステップS614で、各点の差を基にプロファイルのマッチング度を演算する。さらにステップS615で、マッチング度の最も高い条件(ここでは回転角度・移動量)を記憶する。上記の手順を所定のサーチ範囲(回転角度・移動量)で繰り返す。具体的にはステップS616で、入力プロファイルのすべての範囲を走査したかどうか判定し、未だの場合はステップS612に戻って上記処理を継続し、一方すべての範囲を走査し終えた場合は、ステップS617に進み、マッチング度の最も高い条件を検出位置として出力する。このようにして、図54(b)に示すように入力プロファイルから、登録プロファイルのプロファイルサーチにより、回転されたプロファイルを検出し、その座標位置を出力できる。この結果に従い、プロファイルマッチング手段614は必要に応じて入力プロファイルを回転、移動させて表示部70に表示させることもできる。
(無効領域設定)
一方、光切断の原理を使った光学式変位計ではワークのエッジ部分の形状が安定しない場合がある。例えば図55(a)に示すような凸状を有するワークにおいては、図55(b)に示すように凸状のエッジ部分でピーク状のノイズが載ることがある。このようなノイズ成分によって、測定誤差が低下する。そこで、登録プロファイル中に、プロファイルサーチの対象としない無効領域を設けることで、このような形状変動の影響を受け難くすることができる。無効領域は、プロファイル表示領域71上から、図4に示す無効領域指定手段832で指定する。図55の例では図55(b)に示すように、凸状のエッジ部分に生じるピーク状ノイズを含むよう、登録プロファイル指定領域PS中に矩形状の無効領域MAを設定する。
なお、この例では無効領域を1のみ設定したが、2以上設定することも可能であることは言うまでもない。例えば図55(c)に示すように、登録プロファイル指定領域PS中で凸状のエッジ部分2カ所に、各々無効領域MAを設定することができる。また、無効領域についてプロファイルサーチの対象から完全に除外する他、プロファイルサーチの対象とはするが重み付けを低く設定することもできる。
(傾き無効化機能)
また、図56に示すようなエッジ部分を有するワーク等、形状の安定しないワークにおいて、登録プロファイル中から手動で無効領域を設定する他、自動的に傾斜の変化が大きい領域を登録プロファイル中から抽出して、これらの部分を無効化あるいは重み付けを低くするよう設定することもできる。この処理は、図4に示す無効化手段834が自動的に行う。以下、この手順を図57のフローチャート及び図56のイメージ図に基づいて説明する。先ず図53と同様にステップS651で、プロファイルサーチを開始する回転角度及び移動距離を設定し、次いでステップS652で、登録プロファイルのプロファイルを回転/移動させる。さらにステップS653で、無効化手段834が登録プロファイルのデータを解析し、形状の変化が急峻な領域と緩やかな領域とを抽出する。さらにステップS654で、プロファイルマッチング手段614が入力プロファイルの各点との差を演算する。そしてステップS655で、形状の変化が急峻な部分については、この影響を低減する処理を行う。すなわち、この領域を処理の対象から除外したり、あるいは比重が軽くなるよう重み付けを行う。その上でステップS656で、各点の差に基づいてプロファイル形状のマッチング度をプロファイルマッチング手段614が演算する。そしてステップS657で、マッチング度が最も高い条件を検出位置とする。さらにステップS658で、入力プロファイルのすべての範囲を走査したかどうか判定し、未だの場合はステップS652に戻って上記処理を継続し、一方すべての範囲を走査し終えた場合は、ステップS659に進み、マッチング度の最も高い条件を検出位置として出力する。このようにして、エッジ部分を有するワークにおいても、登録プロファイルの中の傾きの変化に応じた軽重によって精度の高いマッチングが実現でき、検出精度を向上させることができる。
(死角処理機能)
一方で、図58に示すように光切断の原理を使った光学式変位計で凸状を有するワークを計測する場合、プロファイル形状の段差部分等、死角になる可能性のある形状については高精度で測定することが困難である。例えば図58(a)に示すワークが回転して図58(b)のようになると、上方向から照射光を照射させても凸状の付け根部分には照射光が届かず、図58(c)に示すようなプロファイルとして観測されることになる。このように死角が発生すると、形状のマッチング精度が低下し、マッチングの結果が安定しなくなる。このような問題に対し、登録プロファイル中で、無効化手段834が傾斜が垂直に近い部位を自動的に抽出し、このような部位を計測に際して排除あるいは重み付けを軽くする処理を行う。この様子を、図58のイメージ図及び図59のフローチャートに基づいて説明する。まず、ステップS671で、図53等と同様にプロファイルサーチを開始する回転角度及び移動距離を設定し、次いでステップS672で、登録プロファイルのプロファイルを回転/移動させる。登録プロファイルが登録された時点で、この登録プロファイルの回転によって死角が生じ得る部位が含まれるかどうかを判断できるので、ステップS673で、無効化手段834によりこのような部位が含まれるかどうか、含まれる場合はその位置を確認する。次にステップS674で、プロファイルマッチング手段614が入力プロファイルの各点との差を演算する。ここで、画像の回転によって死角になる部位については、この影響を低減する処理を行う(ステップS675)。すなわち、この領域を処理の対象から除外したり、あるいは比重が軽くなるよう重み付けを行う。以下図57等と同様にステップS676で、各点の差に基づいてプロファイル形状のマッチング度をプロファイルマッチング手段614が演算する。そしてステップS677で、マッチング度が最も高い条件を検出位置とする。さらにステップS678で、入力プロファイルのすべての範囲を走査したかどうか判定し、未だの場合はステップS672に戻って上記処理を継続し、一方すべての範囲を走査し終えた場合は、ステップS679に進み、マッチング度の最も高い条件を検出位置として出力する。このようにして、エッジ部分を有するワークにおいても、登録プロファイルの中の傾きの変化に応じた軽重によって精度の高いマッチングが実現でき、検出精度を向上させることができる。
(横方向精度の向上)
一方、光切断の原理を用いて垂直に近い断面を計測する場合には、受光素子の分解能のため横方向の精度が制限されるという問題が生じる。すなわち、図60に示すように凸状に変化するワークのエッジ面ED、すなわち凸状立ち上がり部分、立ち下がり部分のような、プロファイルが急峻に変化する部位では、隣接する画素間で高い位置と低い位置が生じ、中間の位置が存在しない離散的なデータとなって精度が悪くなってしまう。一方で、エッジ位置の変化に応じて、受光画像自体は図61に示すように受光量の変化を有している。特に、CCDのような2次元受光素子では、図62に示すようにエッジ面の近傍で隣接する画素の受光光量が段階的に変化する。そこで、垂直に近いエッジ位置を計測する場合には、プロファイル形状に変換した状態で位置補正をするよりも、プロファイル形状に変換する前の受光画像データを使って位置検出を行うことにより、エッジ位置の精度を向上させることができる。この検出は、図4に示すエッジ面算出手段618が行う。これにより、CCDの分解能による制限を受けることなくサブピクセルオーダでの高精度な立ち上がり位置、立ち下がり位置の検出が可能となる。この手順を、図63のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS711で、プロファイル形状上で設定された登録プロファイルの範囲に基づいて、対応する受光画像上で該当する領域を演算する。次にステップS712で、該当領域の登録プロファイルを移動させる。そしてステップS713で登録プロファイルと入力プロファイルで正規化相関を行い、相関値を演算する。次にステップS714で、相関値の最も高い条件(移動量)を記憶する。さらに上記の処理を、すべての部位で処理し終わるまで所定の領域内を走査するよう、上記ステップS712に戻って処理を繰り返す(ステップS715)。そしてステップS716で、相関値の最も高い条件と、その周囲の相関値に基づき、補間処理を行い、サブピクセルオーダでピーク位置を算出する。最後に、ステップS717で、ピーク位置が受光画像上で演算されるため、その結果をリニアライズして距離情報に変換する。このようにして、受光画像を利用した極めて高精度なマッチング処理を実現できる。
(形状測定機能)
上述したプロファイルサーチ処理は、プロファイル形状の位置補正のみならず、プロファイル形状の計測等にも使用できる。例えば、図64の例では対向するワークWK14について、各々の対向部分である2箇所の形状について共通プロファイル指定枠KWを指定し、プロファイルマッチング手段614でプロファイルサーチを行うことにより、これら2箇所の中点を検出するといった処理も可能となる。このように、プロファイルサーチは位置補正のみならず、計測においても有効に機能させることができる。
(プロファイル演算機能)
さらに、プロファイル形状を手動で移動させるプロファイル移動手段824や、プロファイルの加算、反転等の操作機能を備えることもできる。図65に、表示部70上に表示されたプロファイル形状を手動で操作する画面例を示す。この図に示す表示部70は、ワークのプロファイル形状をプロファイル表示領域71に示しており、図65(a)の例では、プロファイル表示領域71の右側を上下に分割して、2台のセンサヘッド部2で取得したプロファイル形状PR1、PR2を各々表示している。さらにプロファイル表示領域71の左側に、プロファイル形状PR1、PR2を加算した加算プロファイル形状PR3を表示している。このように、複数のプロファイル形状に対して、加算、減算、差分抽出等の演算を行うことができる。特に、プロファイルサーチ等により合成されたプロファイル形状の、共通する形状部分の差分情報を差分抽出手段615で抽出することで、プロファイルの差分を演算、表示することができ、指定された部位の相違点の比較が容易に行える。
(プロファイル移動手段)
また図65(b)の例では、プロファイル表示領域71の下側を左右に分割して、プロファイル形状PR1、PR2を各々表示し、さらにプロファイル表示領域71の上側に、プロファイル形状A、Bを合成した合成プロファイル形状PR4を表示している。プロファイル同士の合成は、プロファイルマッチング手段614のプロファイルサーチにより行われる。さらに、図65の画面から、各プロファイル形状の上下、左右への移動や反転を行うことができる。また、回転や拡大/縮小機能を備えてもよい。これにより、プロファイルサーチで合成された合成プロファイル形状を、さらにオフセット量を設定するなど、手動で微調整することが可能となる。
(プロファイル形状の着色表示機能)
表示部上で図8に示すようにプロファイル形状を表示することにより、ワークのプロファイル形状を確認できる。しかしながら、プロファイル形状では、受光量の多寡や変化等を知ることができないため、ワークの正確な形状が測定できているかどうかは、この画像だけでは判断できない。このため、図9に示すように表示部の表示を受光画像に切り替えて、プロファイル形状の各部の受光状態を確認することが行われる。ただ、受光画像は白黒の濃淡画像であり、受光の分布状態が判り難いという問題がある。またプロファイル形状と受光画像とを個別に表示させたのでは、対応位置の確認が容易でなく、また表示画面を一々切り替える必要がある等操作も面倒である。そこで、本実施の形態では、プロファイル着色手段によりプロファイル形状のプロファイル形状を着色処理し、プロファイル形状のみから、受光量やその変化等を把握できるようにすることができる。
(プロファイル着色機能)
プロファイル着色手段は、プロファイル形状を構成する位置毎の光量に応じて、予め光量の範囲を区分けし、各範囲毎に割り当てられた異なる色を着色する着色処理を施した状態で表示部に表示可能である。また、プロファイル着色手段は、プロファイル形状に対し、プロファイル形状の位置毎の光量の変化量に応じて、予め光量変化の範囲を区分けし、各範囲毎に割り当てられた異なる色を着色する着色処理を施した状態で表示部に表示することもできる。以下、プロファイル着色手段でプロファイル形状を着色する様子を、図66〜図68で示す表示部上で表示されるプロファイル形状のイメージ図に基づいて説明する。
図66は、プロファイル形状を表示する際にプロファイルの光量状態、具体的には光量の多寡に応じて、プロファイル着色手段が表示する色を変化させている。この例では、光量が適切な部分を青色(図66において実線のハッチングで示す)、光量が所定の上限閾値よりも多い部分を白色(図66において太線かつ間隔の狭いハッチングで示す)、逆に光量が所定の下限閾値よりも少ない場合に赤色(図66において3本線のハッチングで示す)で示している。このように、プロファイル形状を色分けして表示部上に表示させることで、プロファイル形状を見るだけで、安定して計測できているかを判断できる。閾値の例としては、例えば受光量を0〜255の256階調(8ビット)で検出する場合、上限閾値を191以上、下限閾値を64以下等に設定する。このような閾値は、光学式変位計側で予め設定しておく他、ユーザが任意に指定、調整するよう構成してもよい。特に、測定条件等に応じて適切な閾値を設定することにより、よりアプリケーションに即したカラー表示にてプロファイル形状の安定度を確認することができる。
また図67は、プロファイルの光量変化に応じてプロファイル着色手段が着色処理を行う例を示している。プロファイル形状が安定しない場合としては、光量変化が激しい場合も考えられる。この場合に光量変化が激しい部位が特定できるよう、前後の位置で受光量の変化が所定範囲内であれば受光量変化が適切であるとして青色(図67の例では実線のハッチング)、所定の範囲を超える場合は受光量の変化が激しいとして緑色(図67の例では破線のハッチング)に、それぞれプロファイル着色手段で着色して表示する。受光量範囲の例としては、上記同様0〜255の8ビットで検出する場合、プロファイル形状を構成する画素の前後で受光量の差が64以内を受光量変化が適切とする。またこの範囲も、光学式変位計側で予め設定しておく他、ユーザが任意に設定する構成とすることもできる。さらに、対象となる画素の前後数画素の受光レベルを参照し、平均値に対して最大・最小の変化量の割合にて判断することもできる。
さらに、図68に示すようにプロファイル着色手段で上記を組み合わせて着色処理することもできる。図68の例では、プロファイルの各位置における受光量の多寡及び変化量に応じて着色している。この着色の判定手順の一例を図69のフローチャートに基づいて説明する。先ずステップS691でプロファイル形状の着色処理の対象となる画素の初期位置に移動する。プロファイル形状はライン状であるため、プロファイル形状を表示する画像のすべての画素を走査する必要はなく、プロファイル形状の位置に該当する受光画像の画素のみを順次走査することで、効率よく着色処理を行える。また、プロファイル形状の中で、着色処理を行う範囲をさらに絞ることもできる。次にステップS692で該画素の受光量が適切かどうか、所定の閾値と比較して判定する。適切な場合はさらにステップS693−1に進み、受光量が安定しているかどうかを判定する。具体的には、該画素と隣接する直前の画素と受光量を比較し、その差が所定の閾値よりも少ない場合は安定、大きい場合は安定していない、と判定する。安定の場合はステップS694−1に進み、受光量が適切かつ安定と判定した場合の着色処理(例えば青色)を行い、ステップS695に進む。一方、ステップS693−1で受光量が安定していないと判定された場合はステップS694−2に進み、受光量が適切であるが不安定と判定した場合の着色処理(例えば緑色)を行い、ステップS695に進む。さらに一方、ステップS692で、受光量が適切でないと判定された場合は、ステップS693−2に進み、受光量の多寡を判定する。具体的には、受光量を所定の閾値と比較して多いかどうかを判定し、多い場合はステップS694−3に進み、受光量が多い場合の着色処理(例えば白色)を行いステップS695に進む。また受光量が少ない場合はステップS694−4に進み、受光量が少ない場合の着色処理(例えば赤色)を行い、ステップS695に進む。このようにして、該画素の着色処理が終了すると、ステップS695で画素位置が最終位置に達したかどうかを判定し、未だの場合はステップS696に進み、着色処理の対象画素を移動すると共に、ステップS692に戻り、上記のステップを繰り返す。そしてステップS695で画素の最終位置に達したと判定されると、処理を終了する。以上の手順によって、対象の画素を順次走査して、プロファイル形状に着色処理を行うことができる。
またプロファイルを着色処理する手順は、上記に限られず、他の方法、例えば図70のフローチャートに示す手順も利用できる。この手順を説明すると、先ずステップS701で画素の初期位置に移動し、次にステップS702で該画素の受光量が適切かどうかを判定する手順は上記図69と同様である。受光量が適切な場合はステップS703−1に進み、受光量が適切と判定した場合の着色処理(例えば青色)を行う。一方、受光量が所定の下限閾値よりも少ない場合は、ステップS703−2に進み、受光量が安定しているかどうかを判定する。具体的には、該画素と隣接する直前の画素と受光量を比較し、その差が所定の閾値よりも少ない場合は安定、大きい場合は安定していない、と判定する。安定の場合はステップS704−1に進み、受光量が少ない場合の着色処理(例えば赤色)を行い、ステップS705に進む。一方、ステップS703−2で安定していないと判定された場合はステップS704−2に進み、受光量変化が大きい場合の着色処理(例えば緑色)を行い、ステップS705に進む。さらに一方、ステップS702で受光量が上限閾値よりも多いと判定された場合は、ステップS703−3に進み、上記と同様に受光量が安定しているかどうかをさらに判定する。安定している場合はステップS704−3に進み、受光量が多い場合の着色処理(例えば白色)を行いステップS705に進む。また安定していない場合は、ステップS704−4に進み、受光量変化が大きい場合の着色処理(例えば緑色)を行い、ステップS705に進む。このようにして、該画素の着色処理が終了した後の処理は、上記図69と同様に、ステップS705で画素位置が最終位置に達したかどうかを判定し、未だの場合はステップS706に進み、着色処理の対象画素を移動すると共に、ステップS702に戻り、上記のステップを繰り返す。またステップS705で画素の最終位置に達したと判定されると、処理を終了する。このような手順によっても、対象の画素を順次走査してプロファイル形状に着色処理を行うことができる。
これらの手順は一例であり、例えば先に受光量が安定しているかどうかを判定した後、受光量の多寡を判定するように順序を入れ替えても、同様の結果を得ることができる。また上述した着色の例は一例であって、他と区別しやすく、また表示部上で視認し易い色の組み合わせを適宜選択できる。
(プロファイルの経時的な表示機能)
以上の方法では、測定の一時点におけるプロファイル形状を表示部上で確認することができる。一方、ライン上を順次搬送されるワークを測定する場合等、時間的に変化するワークを測定することもあり、このような場合は測定されるワークのプロファイルも経時的に変化する。光学式変位計は、測定したプロファイル形状のデータをメモリ部に保持することができ、必要に応じて過去のある時点に遡って、その時点におけるプロファイル形状を表示させることが可能となる。しかしながら、従来の光学式変位計では、各時点でのプロファイル形状を切り替えて表示するに止まり、経時的、連続的なプロファイルの変化の状態や、その時点でプロファイルが安定して測定できていたかどうかを判断することが容易でなかった。
これに対し、本実施の形態では、各時点でのプロファイル形状を表示部上に重ねて表示することができ、しかもプロファイルハイライト手段でプロファイル形状毎に異なるハイライト処理を加えることで、各時点でのプロファイル形状を区別でき、プロファイル形状の時間的な変化を視覚的に確認し易くできる。この様子を、図71〜図73に基づいて説明する。
(プロファイルハイライト機能)
プロファイルハイライト手段は、異なるタイミングで複数測定したプロファイル形状を表示部で重ねて表示すると共に、時系列的に各プロファイル形状に対して異なるハイライト処理を施した状態で表示部に表示する。図71の例では、一定の時間間隔で得られた複数のプロファイル形状を重ねて表示部に表示すると共に、最新のプロファイル形状ほど太く表示され、古いプロファイル形状ほど細く表示されるようにプロファイルハイライト手段でハイライト処理している。また、図72に示すように、最新のプロファイル形状ほど濃く、古いプロファイル形状ほど薄く表示されるようなハイライト処理としてもよい。さらに、着色の度合いを漸増的、漸減的に変化させたり(例えば新しいほど青く、古いほど赤く)、ラインのパターンを実線、破線、1点鎖線、2点鎖線等と変化させる、あるいは上記を組み合わせる等、ハイライト処理のパターンは他と区別できる態様が適宜利用できる。これにより、異なるタイミングで測定された複数のプロファイル形状に基づき、プロファイルの時間的な安定度を表示することができる。
(プロファイル幅表示機能)
またプロファイルハイライト手段は、異なるタイミングで複数測定したプロファイル形状を表示部で重ねて表示し、各位置における最大値と最小値で区画される幅状を着色して表示することもできる。このようなプロファイル幅表示機能より、プロファイルの取り得る範囲を視覚的に把握できる。また必要に応じてプロファイルの分布表示や、包絡線で囲まれた領域を着色する機能等を付加することもできる。
(平均プロファイル表示機能)
さらに、各位置におけるプロファイルの平均値を、幅状の表示色と異なる色に着色して表示する平均プロファイル表示機能も備えることができる。図73の例では、プロファイル形状の軌跡を黄色(図73においてハッチングで示す)に塗り潰して帯状に表示すると共に、各位置における平均値を青色(図73において太線で示す)に着色して、平均のプロファイル形状として表示部に表示している。これによって、過去に取得したプロファイルの履歴情報から、プロファイルの取り得る範囲と平均値を知ることができ、解析に役立てることができる。
さらに、上記のプロファイル幅表示機能や平均プロファイル表示機能は、過去に撮像されメモリ部に保持されているすべてのデータについて実行する他、特定の期間内、あるいはデータ数にて実行することもできる。例えば、計測開始からリセットされるまでの全プロファイル形状に対して実行したり、最新のプロファイルからN個、あるいはサンプリングトリガ発生期間や過去t秒まで遡った範囲等に限定して、プロファイル幅や平均プロファイルを表示することができる。このように複数のプロファイル形状を重ねて表示し、さらに必要に応じてこの状態にて変位や高度差、面積等の演算、計測を可能とすることで、計測範囲の設定等も容易となる。
(受光画像着色機能)
以上は、プロファイル形状を表示部に表示させる手段を説明した。このようなプロファイル形状の表示に加えて、2次元受光素子で撮像した受光画像を単独もしくはプロファイル形状と重ねて表示部に表示することもできる。例えば、ワークのプロファイル形状が適切に計測できていない場合には、図8に示すプロファイル形状から図9に示す受光画像に切り替えて判断することがある。しかしながら、受光画像は白黒の濃淡画像であるため、受光の分布状態が判り難い。
そこで本実施の形態では、図74に示すように受光画像着色手段で受光画像に着色処理を施した状態で表示部に表示させることができる。受光画像着色手段は、受光画像に対し、画素毎の受光信号の階調に応じて着色処理を行う。予め階調を複数の範囲に区分けし、範囲毎に異なる色を割り当て、受光画像の画素毎に、その階調に割り当てられた色を着色する。これにより、受光画像が等高線図のように表示されるので、受光信号の輝度分布を視覚的に把握できる。また等高線の境界輪郭線の粗密によって受光分布勾配が急峻であるか、緩やかであるか等が認識し易くなり、プロファイルの傾斜の度合い等を視覚的に把握できる。さらにプロファイル形状のピークレベルの高低も、色により認識し易くなる。例えば2次元受光素子が受光信号を0〜255の256階調(8ビット)で受光する際には、16階調ずつ、16の範囲に区分けし、それぞれに異なる色(例えば高い順に黄色、緑色、青色、紫色、橙色、桃色、赤色等)を割り当てることにより、16色で受光量のレベルを表現できる。図74の例では、受光画像表示領域74上のWKaの部分で、上から橙色DC、紫色PC、青色BC、緑色GC、青色BC、紫色PC、橙色DCの7つの領域に色分けされており、またWKbの部分では上から橙色DC、紫色PC、青色BC、緑色GC、黄色YC、緑色GC、青色BC、紫色PC、橙色DCの9つの領域に色分けされており、さらにWKcの部分でも上から橙色DC、紫色PC、青色BC、緑色GC、黄色YC、緑色GC、青色BC、紫色PC、橙色DCの9つの領域に色分けされている。このような等高線表示機能によって、平面的な受光画像を、輝度値を高さ方向とした等高線モデルのように表現でき、単なる白黒の濃淡画像でなく、カラーで色分け表示することによって遙かに見易く、輝度の高低や分布、勾配等を視覚的に把握できるようになる。また等高線表示機能はON/OFF可能であり、必要に応じて実行できる。なお等高線の色分けは一例であり、任意の色の組み合わせが利用できることは言うまでもない。
また、受光信号の輝度分布のすべてに色分けを行う構成に限られず、指定された範囲についてのみ色分けを実行するよう構成してもよい。さらに色分けに代わって、あるいはこれに加えて、異なるハッチングやドット等のパターンを加えることもでき、これによってさらに視覚的に受光画像の輝度分布を把握し易くできる。
さらに、光切断方式では複数の受光が発生するような場合には、表示部で受光画像を表示させていても、どの部分を計測しているかが判別し難い。そこで、図75に示すように受光画像着色手段で着色処理した受光画像に重ねてプロファイル形状を表示することにより、受光分布のどの位置を検出しているかを視覚的に認識し易くできる。図75の例では、図74で示した受光画像表示領域74上に、プロファイル形状を赤色RCで表示している。すなわち、受光画像表示領域74上のWKaの部分で、上から橙色DC、紫色PC、青色BC、赤色RC、青色BC、紫色PC、橙色DCの7つの領域に色分けされており、またWKbの部分では上から橙色DC、紫色PC、青色BC、緑色GC、赤色RC、緑色GC、青色BC、紫色PC、橙色DCの9つの領域に色分けされており、さらにWKcの部分でも上から橙色DC、紫色PC、青色BC、緑色GC、赤色RC、緑色GC、青色BC、紫色PC、橙色DCの9つの領域に色分けされている。
(トレンドグラフ)
さらに表示部は、プロファイル形状として表示するためのプロファイル表示領域と別に、投光部の発光量又は2次元受光素子の受光量の時間変化を示すトレンドグラフを表示するためのトレンドグラフ表示領域を設けることができる。図76に、このような表示部の表示例を示し、上部にプロファイル表示領域を設けて最新の時刻に生成されたプロファイル形状を表示すると共に、下部にトレンドグラフ表示領域を設けてトレンドグラフを表示している。この例では、トレンドグラフ表示領域は表示部の一画面を分割して設けられており、一画面でプロファイル形状とトレンドグラフとを同時に確認できる。また、プロファイル形状を表示する表示部と別途、トレンドグラフを表示するためのトレンドモニタ画面を設ける構成としてもよい。
トレンドグラフは横軸を時間軸として、時系列変化を記録するトレンド記録機能を実現する。トレンドグラフの縦軸は、発光量や受光量に限らず、増幅器の増幅率の変化等、フィードバック制御される操作量や、制御対象である計測値を表示することもできる。またエラー発生の有無を判定するための閾値をトレンドグラフ上に重ねて表示させることもできる。
(時刻指定手段)
さらに、トレンドグラフ表示領域上で時刻を指定する時刻指定手段によって、指定された時刻におけるプロファイル形状をプロファイル表示領域に表示させることができる。時刻指定手段を操作して異なる時刻を指定すると、プロファイル表示領域は新たに指定された時刻におけるプロファイル形状の表示に切り替えられる。このように、トレンドグラフ表示領域とプロファイル表示領域とを連動させることで、より使い勝手のよい操作環境が実現される。図76の例では、時刻指定手段としてマウス等のポインティングデバイスでトレンドグラフ上で所定の時刻を直接指定する。指定された時刻は、横軸に垂直な破線で表示され、ユーザは現在プロファイル表示領域に表示されるプロファイル形状の撮像時刻をトレンドグラフ上で確認できる。またマウスを操作して破線の位置を調整することにより、前後の時刻に容易に変更可能としてもよい。
トレンドグラフ及びプロファイル形状は、取得した時間情報と共にメモリ部に保存されており、時刻指定手段で指定された時刻(あるいはその近傍の時刻)に計測されたプロファイル形状がメモリ部から読み出されて、プロファイル表示領域に展開される。
(アラーム発生期間表示機能)
このようなトレンドグラフは、発光量や受光量のフィードバック制御の状態を監視するモニタリング作業に好適であり、特に異常発生時の原因究明や処置改善効果の観測等に好適に利用できる。視覚化されたトレンドグラフでアラームの発生タイミングを特定し、原因を解析すると共に、改善策を施した後も、正しく改善結果が反映されたかどうかをトレンドグラフから確認できる。例えば、図76に示すようにワークの有無によって反射率が急激に変化し、フィードバック制御が瞬時に対応できず、発光量が急激に増加してエラーが発生する場合の対応を考える。まず、ユーザはエラーの発生箇所をトレンドグラフで確認する。この際、図77に示すように、アラーム発生期間をトレンドグラフ上に表示することで、ユーザは問題の発生箇所を速やかに把握できる。
(アラーム検出機能)
アラーム信号は、アラーム検出手段で生成される。例えば受光レベル制御手段でフィードバック制御する際に、操作量又は受光量が所定の閾値を越えると、アラーム検出手段がアラーム信号を出力する。アラーム検出手段がアラーム信号を出力すると、その発生期間をメモリ部に保持しておく。そしてトレンドグラフを表示する際には、メモリ部からアラーム発生期間を読み出して、トレンドグラフ作成手段がトレンドグラフの時間軸上でアラーム発生期間を自動的にハイライト表示してトレンドグラフ表示領域にて表示する。ハイライト表示は、図77に示すようにアラーム発生期間を帯状に色分けして表示する他、ハッチングや反転表示、点滅、トレンドグラフの線の太さや色、線種をアラーム発生期間で他の期間と変更する等、他の部分と区別するための各種の手法が適宜採用できる。これにより、ユーザはアラーム発生期間をトレンドグラフ上で即座に識別できるので、問題発生のタイミングを速やかに把握できる。ユーザはトレンドグラフを解析して、アラーム発生期間を短くするためフィードバック制御の操作量を調整する作業を行う。
また、必要な対策を行った後、処置改善効果をトレンドグラフで観測できる。図78の例では、移動するワークが測定対象領域に侵入した部位において発光量のオーバーシュートが生じないように、投光部の発光量を破線で示すように徐々に増加させることで、発光量が閾値を越えないように設定できる。このような設定を行った後、実際にワークを投入して、システムがエラーを発生させることなく正しく運用できることをトレンドグラフにて確認できる。また必要に応じて、発光量の微調整等の再設定を行うこともでき、再設定の結果が正しく反映されたかどうかもトレンドグラフで容易に確認することができる。
このようにトレンドグラフを用いてフィードバック制御による応答を観察することで、フィードバック制御の操作量を調整し、ワークの反射率や進入速度等、使用環境に応じた調整が行える。またこの作業において、トレンドグラフ上にアラーム発生期間を重ねて表示可能とすることは、エラー発生に対する処置改善の作業性を向上させ、さらに設定後のエラー発生の有無の確認にも便利で、使い勝手の改善に資する。
(受光量と発光量の同時表示機能)
上述の通り、トレンドグラフの縦軸は発光量に限られず、受光量や発光量と受光量の同時表示等とすることもできる。図79に、発光量と受光量とを同時に表示したトレンドグラフの例を示す。図79のトレンドグラフの例では、発光量を実線で、受光量を破線で示している。フィードバック制御では受光量の変化に対応して発光量が変化するため、発光量のみならず受光量を表示できることは、解析の全般に資する。
(計測領域指定機能)
さらにプロファイル表示領域で表示するプロファイル形状上から、計測領域指定手段で計測領域を指定して、指定された計測領域における受光量の平均、ピーク値等を計測処理部で演算して表示することもできる。図79の例では、計測領域指定手段としてマウス等のポインティングデバイスでプロファイル形状上で所望の領域を矩形状の枠で囲んで計測領域を指定し、指定された計測領域内でのピーク光量や平均光量を、トレンドグラフ表示領域で表示できる。このようにプロファイル表示領域とトレンドグラフ表示領域とを連動させ、トレンドグラフ表示領域上にて時刻指定手段で指定された時刻におけるプロファイル形状をプロファイル表示領域に表示させる他、逆にプロファイル表示領域上にて計測領域指定手段で指定された計測領域の発光量や受光量をトレンドグラフ表示領域にてトレンドグラフとして表示することもできる。
(計測値表示機能)
また、トレンドグラフで表示する対象として、発光量や受光量に限られず、計測値を表示することもできる。フィードバック制御の制御対象となる計測値を直接、時系列的に表示することで、制御結果が正しく得られていることをダイレクトに確認できる。図80は、計測値の平均値をトレンドグラフ中に表示する例を示す。ユーザは、直接計測値を確認しながら、アラームが発生する期間を短くしたり、計測値が不安定になる期間を縮小するために、フィードバックの操作量を調整できる。また調整後に得られた計測値を再度トレンドグラフで確認して微調整することもできる。このようにトレンドグラフ上に計測値を表示することで、フィードバック制御の操作量の調整結果を容易に確認できる。また、調整前のトレンドグラフと調整後のトレンドグラフを、トレンドグラフ表示領域に重ねて表示してもよく、操作量の調整と実際に反映された結果とをさらに対比し易くできる。また操作量として増幅器の増幅率や発光量、受光量等を適宜計測値に重ねて表示可能としてもよい。
(プロファイルデータストレージ機能とトレンドグラフの連携)
さらに、上述したプロファイルデータをメモリ部のプロファイルデータストレージ領域に保存するプロファイルデータストレージ機能に、トレンドグラフの機能をリンクさせることもできる。これによれば、トレンドグラフ表示領域上で時刻を指定する時刻指定手段によって、指定された時刻におけるプロファイル形状をプロファイル表示領域に表示させることができる。時刻指定手段を操作して異なる時刻を指定すると、プロファイル表示領域は新たに指定された時刻におけるプロファイル形状の表示に切り替えられる。このように、トレンドグラフ表示領域とプロファイル表示領域とを連動させることで、より使い勝手のよい操作環境が実現される。図81の例では、時刻指定手段としてトレンドグラフの横軸に垂直な細線(赤色)が表示されており、マウス等のポインティングデバイスで時刻指定手段を操作して所定の時刻を直接指定する。これにより、時刻指定手段の細線が示す時刻におけるプロファイル形状がメモリ部から呼び出されてプロファイル表示領域に表示される。ユーザはプロファイル形状の撮像時刻をトレンドグラフ上で確認できる。またマウスを操作して細線の位置を調整することにより、前後の時刻に容易に変更できる。
プロファイルデータストレージ機能を実現するために、トレンドグラフ及びプロファイル形状は、取得した時間情報と共にメモリ部に保存されており、時刻指定手段で指定された時刻(あるいはその近傍の時刻)に計測されたプロファイル形状がメモリ部から読み出されて、プロファイル表示領域に展開される。図81の例では、図81(b)では下部のトレンドグラフ表示領域にて右端(現在時刻)に時刻指定手段が位置しており、上部のプロファイル表示領域では現在時刻のプロファイル形状が表示される。また図81(a)に示すように時刻指定手段をマウスにより右側に移動させると、プロファイル形状の表示も、指定された時刻における画像(アラーム発生時点でのプロファイル形状)に変更される。
このようにプロファイル形状を保存するプロファイルデータストレージ機能とトレンドモニタ表示機能とを組み合わせることで、時刻を戻すとその時点で取得されたプロファイル形状を参照できるようになり、計測処理部でワークに対する計測を行う際にはプロファイル波形の安定性などを考慮して適切な対策を講じることができる。例えば、図81(a)に示すようにトレンドグラフ上で受光量が異常を示している場合、この領域(あるいはアラーム発生期間)でのプロファイル形状を表示させると、部分的に不安定になっていることが確認できる。このような不安定領域は、ワークの測定誤差の原因となるので、ワークの高さ測定等を安定して行うために、不安定領域を生じない範囲で測定を行うことが好ましい。
(制御領域指定機能)
そこで制御領域指定手段を用いて、プロファイル表示領域上でフィードバック制御の対象とする制御領域を指定する。制御領域は、不安定領域が発生していない範囲で可能な限り広く設定することが好ましい。図81(a)の例では、凸状のプロファイル波形の平坦な領域である頂部分と左右の裾部分の計3カ所に、枠状の制御領域を指定する。これにより受光データ制御部によるフィードバック制御は、安定したプロファイルが得られている領域にて行われるため、不安定領域を排除してより正確なフィードバック制御結果が得られ、また計測処理部で正確なワークの測定を行うことができる。
(マスク領域指定機能)
逆に、フィードバック制御の対象としないプロファイルマスク領域を指定することもできる。ここでは、マスク領域指定手段86によって、プロファイル表示領域71上から、フィードバック制御の対象としないプロファイルマスク領域PMを指定する。図81(a)の例では、プロファイル形状の不安定領域を一点鎖線で示す枠状のプロファイルマスク領域PMを指定する。フィードバック制御に際しては、プロファイルマスク領域PMの計測値が無視されるため、このような不安定領域が排除された正確なフィードバック制御結果を得ることができ、安定した信頼性の高い制御と測定が実現される。また制御領域指定機能やマスク領域指定機能は、いずれか一方のみ設定する他、図81(a)に示すように両方を同時に利用してもよい。
(サンプリングトリガ)
また、メモリ部でプロファイル形状を記録するタイミング及び/又は枚数を指定可能なサンプリング指定手段を備えることもできる。これにより、サンプリング指定手段で指定されたサンプリング間隔で撮像された一定枚数の画像、あるいはサンプリングトリガに基づいて一定期間あるいは一定枚数の画像を保存できるようになる。このように、メモリ部で記録するプロファイル形状の枚数を制限することで、無尽蔵に大量の画像データを記録する必要をなくし、メモリ量の削減を図ることができる。また、古い画像データを上書きするよう設定してもよい。
サンプリングトリガを発生させる要因は、ユーザがサンプリング指定手段から指定する。例えば、所定の閾値(トリガレベル)を計測値や投光量、受光量等が越えた場合あるいは下回る場合等に設定する。図82の例では、トレンドグラフ表示領域に受光量のトレンドグラフ(実線)とトリガレベル(破線)が重ねて表示されており、受光量がトリガレベルを越えるとサンプリングトリガが出力され、トリガ発生から一定期間(網掛けで示すトリガ発生期間)のプロファイル形状を取得してメモリ部に保存している。このように、プロファイル形状の保存期間を、所定の閾値を越えた異常発生時に制限することで、参照の必要があるデータのみを効率よく収集して利用でき、メモリ量を有効に活用できる。
(多重合成)
上記は、受光画像を各々異なる多重合成条件、あるいはタイミング毎に撮像する例を説明した。一方、より鮮明な受光画像を得るために、受光画像である合成前画像を複数撮像して合成する多重合成も可能である。しかしながら、多重合成では複数回の撮像を行う必要があるため、生成までに時間がかかるという問題がある。また、多重合成を行う時間や範囲を設定することは従来できず、そもそも多重合成を行うための多重合成条件を柔軟に設定できるようなインターフェースも提供されていなかった。ユーザにおいては、多重合成で得られる受光画像の仕上がり状態を確認しながら設定項目を調整可能とすることで、より適切な多重合成の条件を設定できると思われる。そこで本実施の形態では、多重合成を行う範囲や領域を制限することで、無駄な撮像を排除して効率を改善し、撮像時間を短縮しつつ高精度な受光画像を得ることを可能としている。この様子を、図83〜図85に基づいて説明する。
図83は、全範囲につき多重合成を行った例を示す。ここでは、多重合成条件で変化させるパラメータとして、2次元受光素子の露光時間を段階的に変化させている。図83の例のように、一画面中に非常に反射率の高い部分(図83の中央上、「明るい部分」という)、非常に反射率の低い部分(図83の左下、「暗い部分」という)、中間的な反射率の部分(図83の右中央)が含まれている場合は、明るい部分から暗い部分まで変化させて合成前画像を撮像して多重合成を行う必要がある。すなわち、図83に示すように、全範囲において段階的に露光時間を変化させて、広範囲に複数枚の合成前画像を撮像する必要がある。これによって、反射率の差が大きいワーク等、一画面中で明暗の差の大きい部分を含んでいても一の受光画像として確認できる。
一方、撮像対象のワークによっては、撮像回数を減らせる場合がある。例えば、反射率が異なるワークであっても、その程度が小さい場合や、その反射率の分布が2〜3点に固まって存在する場合(一例として明るいワークと暗いワークの2種類があるが、その中間のワークが存在しない場合)がある。こういったワークに対しては、明るい部分と暗い部分の2箇所に対して、限定的な合成前画像の撮像(一例として明るい部分と暗い部分に1回づつの撮像)を行うだけでも、必要にして十分な多重合成画像を得ることができ、結果として計測時間の短縮、多重合成処理の効率化を図ることができる。このような例を図84に示す。図84において、非常に暗い部分は計測に必要がない、あるいは非常に暗い部分が画像中に含まれていない場合等は、このような範囲での合成前画像の撮像を省くことができる。この結果、露光時間を変化させる段階数を減らすことができ、必要な範囲内のみで合成前画像を撮像して全体の撮像枚数を減らすことができ、計測の高速化が図れる。
(多重合成範囲制限手段88)
図84の例では、露光時間を変化させる範囲をゲージ状に表示しており、このゲージ状から、露光時間を変化させない、すなわち合成前画像を撮像しない範囲を指定することができる。このようにゲージ状は多重合成範囲制限手段88を構成し、実際に露光時間を変化させる多重合成範囲を指定することができる。
ゲージ状は、多重合成範囲の開始位置と終了位置を指定する。例えば、開始位置を示す矢印と、終了位置を示す矢印を各々スライド自在に調整する。あるいは、ゲージ状の長さを直接伸縮させたり、スライダで調整することもできる。図83の例では、伸縮自在な矢印によって多重合成範囲を指定している。
また、この例ではゲージ状で露光時間を変化させる範囲を示しており、露光時間が長くなるほど暗い部分の検出に好適であり、露光時間が短くなるほど明るい部分の検出に好適であることを示すように、露光時間の大小と共に、実際に取得される画素の輝度を併せて表示している。これによりユーザは、視覚的にどのような輝度までを記録するように把握できるため、調整作業を感覚的に行うことができ好都合である。また、この例では多重合成条件で変化させるパラメータとして、2次元受光素子の露光時間(ここでは2次元受光素子であるCCDの露光開始時間から露光終了時間までの時間幅)を調整しているが、シャッタースピードや絞り等により調整することもできる。あるいは、他のパラメータとして発光素子の発光量(照射光量、発光出力)、発光時間や増幅器の増幅率(受光ゲイン)、発光時間、Log特性等の受光特性、投光部に入力する入力量、得られた受光画像の輝度等のパラメータを単独、若しくは組み合わせて調整してもよい。
さらには、結果として得られる受光画像の輝度でもって多重合成条件を指定することもできる。具体的には、ユーザが輝度変化させたい範囲の終端値(初期値及び最終値)を指定することで、指定された輝度が得られるように単独のパラメータあるいは複数パラメータの組み合わせを逆算して、調整する。この方法では、ユーザがパラメータの意味を理解せずとも、所望の輝度でもって範囲を指定でき、光学式変位計側で指定された輝度となるように内部で該当するパラメータを自動設定することができるので、設定が容易であり、特に初心者に適している。
多重合成画像の合成に際しては、まず指定された範囲で、所定の幅で変化させて合成前画像を各々撮像する。この変化幅は、光学式変位計側で指定する他、ユーザが指定することもできる。例えば露光時間で指定する場合、露光時間の初期値と変化幅を多重合成範囲制限手段88で指定することで、指定された多重合成条件に従い合成前画像を撮像する。また、多重合成範囲制限手段88で撮像回数、あるいは撮像したい合成前画像の枚数を指定することもできる。この場合は、指定した範囲で必要な枚数の合成前画像が撮像されるように、範囲の終端値から自動的に時間間隔が演算される。また範囲を制限せず、対象範囲の全範囲で均等に時間幅を設定して合成前画像を撮像することでき、この方法でも合成前画像の撮像処理を短縮できる。
また多重合成範囲制限手段88は、多重合成を行う多重合成範囲を対象範囲中から複数指定することもできる。図85の例では、受光画像中に含まれる非常に暗い部分と、非常に明るい部分の2点のみ計測できれば足りる用途を示している。この場合に図85に示すように、伸縮自在な矢印を2つ用いて、2つの多重合成範囲を指定している。これにより、中間部分の合成前画像の取得を省くことができ、全体的な計測時間の短縮が図られる。
(トラックバック機能)
さらに、上述したプロファイルストレージ機能を用いて、既に撮像した任意の合成前画像を遡って表示させることができる。まず、図86に示すように、対象範囲の全範囲、又は多重合成範囲制限手段88で指定された多重合成範囲で合成前画像を撮像し、多重合成を行う。この際に撮像された合成前画像データを全て、撮像時の撮像条件と関連付けて合成前画像メモリ部に保存しておき、後で合成前画像選択手段89により多重合成条件を指定して合成前画像を読み出し、表示部に表示させることができる。合成前画像選択手段89は、例えばスライドバー状に構成し、矢印で多重合成条件を指定する。これによりユーザは直感的に多重合成条件を指示、調整することができる。特にスライドバー状は、連続的に前後の条件に変化させることができるので、操作性に優れる。また、数値で多重合成条件を直接指定する構成としてもよいことはいうまでもない。また指定する多重合成条件としては、上記実施例で採用した2次元受光素子の露光時間の他、発光素子の発光量等、他のパラメータ、あるいは合成前画像を撮像した時刻などとしてもよい。このようにして、過去に撮像した合成前画像の中から、所望の合成前画像を合成前画像選択手段89で呼び出して表示部上に表示させ、さらに合成前画像選択手段89で撮像時刻も含めた撮像条件を変更すると、これに応じて表示部における合成前画像の表示が逐次更新され、ユーザは前後の変化の様子などを表示部上から容易に把握できる。
さらにこの際、上述した受光画像の等高線表示機能やプロファイル形状の着色表示機能、ラインブライト波形表示機能等を利用することで、光量が適切に得られているかどうかをビジュアルに確認できる。
(一部のみを保存)
また上記では、対象範囲の全範囲において撮像した合成前画像をすべて保存する例を説明したが、一部の合成前画像のみを保存する構成とすることもできる。例えば、合成前画像を撮像し多重合成画像を生成した後、使用した合成前画像の内、代表的な合成前画像のみを抽出して合成前画像記憶手段92に保存する。一例として、5枚おき、10枚おきといった間隔を指定して抽出する方法や、露光時間の代表値に該当する画像のみを抽出する方法、トリガ等に基づく所定のタイミングに従い画像を抽出する方法等が挙げられる。このように、保存する合成前画像を制限することで、必要なデータ容量を少なく抑え、ハードウェア資産を効率よく活用できる。あるいは、変化量の大きい範囲など、重要と思われる領域については重点的にデータを保存し、そうでない範囲はデータの保存を少なく、あるいは省略するなど、重み付けや緩急を付けた保存を行うこともできる。このような重み付けは、ユーザが重点的に保存する領域を手動で指定する他、光学式変位計側で変化量を自動的に検出して変化の激しい領域を自動抽出する方法でも実現できる。またこの例においても、上記と同様に光量による色分け表示等各種のハイライト表示を適用できる。さらに露光時間を変化させる範囲を制限することもできる。また、保存した合成前画像をすべて利用して合成画像を合成、あるいは合成前画像を表示部に表示させる必要はなく、一部のみを利用可能であることは言うまでもない。
(サムネイル表示)
さらに、保存された合成前画像の呼び出しは、上述したスライドバー状で選択する他、図87に示すように選択対象の合成前画像を一覧表示して選択する構成としてもよい。この例では、合成前画像を示す縮小画像を、表示部の上部に縮小表示し、ユーザはこれらの内から所望の合成前画像を選択することで、該当する合成前画像を表示部に表示させることができる。このように選択対象の画像データ数が少ない場合は、直接ボタン状に表示して、ユーザに選択するよう構成してもよい。また縮小画像は、撮像条件を輝度や露光時間で示すことで、ユーザは小さな画像からでも撮像条件を視覚的に把握でき、特に複数の縮小画像を並べて表示することで相互の画像間の対比も容易となり、視認性及び操作性に優れる。
あるいは縮小画像を、合成前画像を縮小表示したサムネイル画像としてもよい。ただ、図87の状態でサムネイル画像を表示すると小さくて見辛くなる虞があるので、好ましくは図88に示すように、表示部全体を使って複数の合成前画像を並べて表示する。図88の例では、左上の画像が最も露光時間が長く、右に進むほど露光時間が短くなる。また右上の画像は左下の画像に連なり、右下の画像が露光時間の最も少ない画像である。これにより、合成前画像の全体を一覧表示でき、前後の撮像条件を対比させつつ所望の画像を選択できる。またこの例においても、上記と同様に光量による色分け表示等各種のハイライト表示を適用できる。
(多重合成画像のリアルタイム表示)
このように、合成前画像を確認しながら、多重合成画像の生成に適した合成前画像の条件や範囲を選択し、多重合成条件を再設定して多重合成を行う。この作業を容易にするために、多重合成条件の再設定に応じて多重合成画像を表示部上にリアルタイム表示することもできる。図89(a)、(b)は、このような多重合成画像のリアルタイム表示の一例を示している。図89(a)は、表示領域右上のスライドバー状で指定された露光時間の多重合成範囲で合成画像を生成して表示部に表示した状態を示しており、この状態から光量が適切かどうかなどを検討し、スライドバー状で再度、露光範囲を調整すると、図89(b)に示すように表示部に表示される多重合成画像が更新される。このように、現在設定されている多重合成条件に応じて多重合成画像を表示できるため、ユーザは多重合成を行う範囲や条件の設定を調整しやすくなる。またこの例においても、必要に応じて光量による色分け表示等各種のハイライト表示を適用できる。ここで多重合成画像のリアルタイム更新をスムーズに行うため、合成前画像は合成前画像記憶手段92に保存された画像データを用いて行われる。これにより、リアルタイム更新が可能となり、スムーズな設定作業が行えるようになる。
(多重合成領域の指定)
上記の例では、表示部上に表示されるすべての領域を使用して多重合成を行う例を説明した。一方、一画像中で限られた領域内でのみ多重合成を行うこともでき、多重合成を行う多重合成領域(面積)を縮小することで、画像のデータサイズを縮小してさらに多重合成処理を高速化できる。このような例を図90、図91に基づいて説明する。図90の例では、上述した図85等と同様に、受光画像中に非常に明るい部分(図90の中央上部分)と、非常に暗い部分(右下部分)、中間的な明るさの部分(左下)が含まれており、この内、非常に明るい部分と暗い部分のみで計測を行えば足りる用途を考える。この場合、先ず上述した多重合成範囲制限手段88を用いて、対象範囲中から、多重合成を行う多重合成範囲を2カ所設定する。すなわち、非常に暗い部分に相当する露光時間の比較的長い範囲(多重合成範囲1)と、非常に明るい部分に相当する露光時間の比較的短い範囲(多重合成範囲2)をそれぞれ設定する。
同時に、それぞれの多重合成範囲において、受光画像を全エリアで撮像するのでなく、撮像範囲を制限して割り当てる。この例では、図91に示すように、多重合成範囲1において撮像すべき領域、すなわち非常に暗い領域を、受光画像中から多重合成領域制限手段で指定する。ここではポインティングデバイスを利用して、該当する多重合成領域1を受光画像中で領域指定し、さらに多重合成範囲1に関連付ける。同様に、多重合成範囲2に相当する多重合成領域2として、非常に明るい領域を受光画像中から多重合成領域制限手段で領域指定し、これを多重合成範囲2に割り当てる。このようにして、多重合成範囲毎に多重合成領域を割り当てた後、受光画像の撮像を行い、多重合成手段69で多重合成画像を生成する。この際、露光時間の範囲を制限できることと相俟って、実際に撮像を行う面積を制限することで、撮像すべき画像データ量を低減でき、処理すべきデータ量を少なくすることで処理の低負荷化と高速化を図ることができる。
なお、上記の例では先に多重合成範囲制限手段88を用いて多重合成範囲を複数指定した後に、多重合成領域制限手段を用いて多重合成領域を指定し、多重合成範囲毎に多重合成領域を割り当てる手順としたが、この手順に限られず、例えば先に多重合成領域制限手段を用いて多重合成領域を複数指定した後に、多重合成範囲制限手段88を用いて多重合成範囲を指定し、多重合成領域毎に多重合成範囲を割り当てる手順としてもよい。あるいは、一括して多重合成領域や多重合成範囲を指定した後、これらを割り当てる他、一の多重合成範囲を指定した後、該当する多重合成領域を指定して割り当てる作業を順次繰り返す手順としてもよい。
このようにして多重合成の高速化を図り、リアルタイムでの処理にも十分対応でき、インライン処理等、即時性が求められる用途にも対応可能とできる。
(レーザスキャン式2次元変位センサ)
また本発明をレーザスキャン式2次元変位センサに適用することもできる。レーザスキャン式2次元変位センサ400の概要を図92に示す。この図に示すようにレーザスキャン式2次元変位センサ400は、発光素子401と、非球面ガラスである投光レンズ402と、スキャナ403と、ハーフミラー404と、X方向受光素子405と、受光レンズ406と、Z方向受光素子407とを備える。受光素子405、407は、2次元のCCDやCMOS等のイメージセンサが利用できる。また、1次元のイメージセンサを利用して、各ライン毎に切り替えて受光信号を取得することもできる。この方法であれば、ライン毎に個別にフィードバック制御を行うことができる。また、合成画像を生成せずとも、ライン毎に適切な光量に調整した受光画像を得ることができる。レーザスキャン式2次元変位センサ400は、帯光に変わって、発光素子401が発するスポット状のレーザ光をスキャナ403でX軸方向に偏光して線状に走査する。線状のレーザ光はハーフミラー404により、表面反射光と透過光に分離される。ハーフミラー404の表面反射光はX方向受光素子405上にスポットを結像し、X方向での測定点を決定する。一方ハーフミラー404を透過した透過光は、ワークWK13に照射される。そしてワークWK13の拡散反射光が受光レンズ406で集光され、Z方向受光素子407上にスポットを結ぶ。このスポットの位置の変化によりワークWK13のZ方向の移動を測定する。このようにX方向受光素子405で検知した測定点と、Z方向受光素子407で検知した測定点とを照合することで、ワークWK13の形状を検出できる。