JP2008095145A - 積層セラミックコンデンサの内部電極用ニッケル粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 積層セラミックコンデンサのニッケル内部電極用として、脱バインダーエ程でのバインダーの部分的分解による急激なガス発生を抑え、層間剥離やクラックなどの構造欠陥の発生を防止することができる、耐酸化性に優れたニッケル粉末を提供する。
【解決手段】 湿式還元法で得られたニッケル粉末と、トリアジンチオール類及び硫酸根含有化合物から選ばれた少なくとも1種の硫黄含有有機化合物とを、水中若しくはアルコール中に添加してスラリーし、スラリー中のニッケル粉末を固液分離して、不活性雰囲気中で乾燥する。得られるニッケル粉末は、上記硫黄含有有機化合物が吸着され、耐酸化性が向上している。
【選択図】 なし
【解決手段】 湿式還元法で得られたニッケル粉末と、トリアジンチオール類及び硫酸根含有化合物から選ばれた少なくとも1種の硫黄含有有機化合物とを、水中若しくはアルコール中に添加してスラリーし、スラリー中のニッケル粉末を固液分離して、不活性雰囲気中で乾燥する。得られるニッケル粉末は、上記硫黄含有有機化合物が吸着され、耐酸化性が向上している。
【選択図】 なし
Description
本発明は、積層セラミックコンデンサの内部電極材料として好適なニッケル粉末、特に薄層・高容量の積層セラミックコンデンサ用として好適な微小粒径で耐酸化性に優れたニッケル粉末に関する。
一般に、積層セラミックコンデンサは、セラミック誘電体層と内部電極層とが交互に重ね合わされ、焼結により一体化された構造を有している。上記内部電極層として、従来はパラジウム等の高価な貴金属の粉末が用いられていたが、現在ではコスト低減のため、卑金属であるニッケル粉末を用いることが主流となっている。
かかる積層セラミックコンデンサの製造工程では、内部電極となるニッケル粉末のペーストをチタン酸バリウムに代表される誘電体グリーンシートに印刷し、乾燥した後、内部電極が誘電体グリーンシートと交互に重なるように積層し、熱圧着する。その後、チップ形状に切断し、脱バインダー処理した後、1300℃程度の温度域で焼成することにより内部電極層と誘電体グリーンシートとを焼結する。次いで、Agなどの外部電極を形成して、積層セラミックコンデンサが製造される。
しかし、上記焼成工程においては、セラミック誘電体層とニッケル内部電極層の焼結・収縮のミスマッチにより、層間剥離やクラックといった構造欠陥が発生しやすかった。特に近年の小型・高容量化に伴って、セラミック誘電体層とニッケル内部電極層の積層数が多くなるほど、あるいはセラミック誘電体層の厚みが薄くなるほど、構造欠陥の発生が顕著となっていった。
かかる問題に対して、ニッケル内部電極層の厚みを減らし、焼結・収縮のミスマッチを緩和することが盛んに検討されてきた。そのための方法として、例えば国際公開第99/42237号パンフレットには、ニッケル粉末の粒子形状を球形にし且つ表面を平滑にして、ニッケル粒子の充填性を改善する方法が提案されている。
また、上記脱バインダー工程においてニッケル粉末が酸化されると、後の還元雰囲気中での焼成工程において、還元と同時に急激な焼結・収縮が進行しやすくなる。その結果、セラミック誘電体層とニッケル内部電極層の焼結・収縮のミスマッチが拡大して、層間剥離やクラックといった構造欠陥の発生が助長されやすいという問題があった。
この対策として、特開2002−150834号公報にはニッケル粉にリンを添加する方法が記載され、特開2001−152202号公報にはニッケル粉表面の酸化皮膜を制御して耐酸化性を向上させる方法が提案されている。また、特開2006−24539号公報には、ニッケルペースト中に、トリアジンチオール類及び硫酸根含有化合物から選ばれた少なくとも1種の硫黄含有有機化合物を添加する方法が提案されている。
しかしながら、近年ではセラミック誘電体層及びニッケル内部電極層の薄層化や、セラミック誘電体層とニッケル内部電極層の積層数の増大が益々進行しているため、それに伴い上記のような方法だけでは、層間剥離やクラックなどの構造欠陥を十分に解消することが困難となってきている。
更に、近年ではニッケル内部電極の一層の薄層化によりニッケル粒子の粒径は益々小さくなる傾向にあるため、ニッケル粒子表面の触媒活性も大きくなっている。そのため、脱バインダー工程でのバインダーの部分的分解による急激なガス発生により、ニッケル内部電極層とセラミック誘電体層の密着力が弱まり、又は部分的な層間剥離が発生し、これが後の焼成工程を経て積層セラミックコンデンサの構造欠陥を引き起こすことが大きな問題となっている。
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、セラミック誘電体層とニッケル内部電極層の焼結・収縮のミスマッチをなくすと共に、ニッケル粉末の耐酸化性を向上させることにより微小粒径のニッケル粉末でも粒子表面の触媒活性を抑制して、脱バインダー工程でのバインダーの部分的分解による急激なガス発生を抑え、層間剥離やクラックなどの構造欠陥の発生を防止することができる、積層セラミックコンデンサのニッケル内部電極用として好適なニッケル粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決するため、硫黄を含有する化合物をニッケル粉末の粒子表面に均一に吸着させることにより、バインダーの熱分解に対するニッケル粒子表面の触媒活性を抑え、脱バインダーエ程でのバインダーの部分的な熱分解による急激なガス発生を防止でき、更にニッケル粉末の耐酸化性を向上でき、且つペースト作成工程で硫黄含有有機化合物を添加するよりも少量で効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明が提供する積層セラミックコンデンサの内部電極用ニッケル粉末は、ニッケル粉末の粒子表面に、トリアジンチオール類及び硫酸根含有化合物から選ばれた少なくとも1種の硫黄含有有機化合物が吸着していることを特徴とするものである。
また、本発明が提供する積層セラミックコンデンサ内部電極用ニッケル粉末の製造方法は、湿式還元法で得られたニッケル粉末と、トリアジンチオール類及び硫酸根含有化合物から選ばれた少なくとも1種の硫黄含有有機化合物とを、水中若しくはアルコール中に添加してスラリーとする第1工程と、第1工程で得られたスラリー中のニッケル粉末を固液分離する第2工程と、第2工程で得られたニッケル粉末を不活性雰囲気中で乾燥する第3工程とからなることを特徴とする。
本発明によれば、ニッケルペースト中に添加混合する場合に比べて少量の硫黄含有有機物を用いて、ニッケル粉末の耐酸化性を向上させ、脱バインダー工程でのバインダーの部分的な熱分解による急激なガス発生を防止することができる。従って、特に次世代の積層セラミックコンデンサに用いる微小粒径のニッケル粉末で問題となる酸化を防止でき、層間剥離やクラックなどの構造欠陥の発生がない、高品質の内部電極用のニッケル粉末を提供することができる。
本発明の積層セラミックコンデンサの内部電極用ニッケル粉末は、そのニッケル粉末の粒子表面に、トリアジンチオール類及び硫酸根含有化合物から選ばれた少なくとも1種の硫黄含有有機化合物が吸着している。硫黄含有有機化合物は、ニッケル粉末の耐酸化性を向上させ、脱バインダー工程でのバインダーの部分的な熱分解による急激なガス発生を防止する効果を有している。特に、硫黄含有有機化合物の吸着によって、SHやSO3のような硫黄を含む部分が粒子表面に集中して作用するため、極めて少ない量で十分な効果が得られる。
尚、本発明のニッケル粉末は、従来と同様にペーストに調整して、ニッケル内部電極層の形成に供される。その際、ニッケル以外の添加成分、例えば硫黄や炭素等が過剰に含まれると、最終的な電子部品の信頼性に悪影響を与える可能性があるため望ましくない。しかし、本発明では硫黄含有有機化合物がニッケル粉末の粒子表面に吸着しているため、上記のごとく硫黄を含む部分が粒子表面に集中的に作用して、極めて少ない量で十分な効果が得られる。その結果、硫黄をニッケル粒子内部に均一に分散させた場合や、ニッケルペースト中に分散させた場合に比べて、はるかに少ない量で耐酸化性を向上させる十分な効果を得ることが可能である。
硫黄含有有機化合物をニッケル粉末に吸着させる方法としては、水又はアルコールを媒体とした湿式混合による。即ち、湿式還元法によって得られたニッケル粉末(通常は水又はアルコールに分散して保存されている)と硫黄含有有機化合物とを、水中若しくはアルコール中に添加混合してスラリーとすることにより、ニッケル粉末の粒子表面に均一に吸着させる。その際、硫黄含有有機化合物の溶液にニッケル粉末を添加混合してもよいし、逆にニッケル粉末の分散溶液に硫黄含有有機化合物を添加混合することもできるが、微細な粒子表面に効果的に且つ均一に吸着させるという観点からは、水又はアルコール中に予め硫黄含有有機化合物を溶解しておくことが好ましい。
上記ニッケル粉末と硫黄含有有機化合物のスラリーを得る第1工程の後、第2工程においてスラリー中のニッケル粉末を固液分離し、回収したニッケル粉末を更に第3工程において不活性雰囲気中で乾燥する。上記第2工程の固液分離には、通常の濾過を用いることができる。また、回収したニッケル粉末は、第3工程において、ケーキ状態のまま不活性雰囲気中にて50〜150℃の温度範囲で乾燥させる。その後、必要に応じてメッシュパスさせ、本発明の粒子表面に硫黄含有有機化合物が吸着したニッケル粉末を得ることがきる。
上記硫黄含有有機化合物としては、例えばニッケルの硫酸塩や硫黄単体の微粉末でも急激なガス発生防止効果が認められるが、微細なニッケル粒子の表面に均一に吸着でき、また、添加量をできるだけ少なくするためには、少量でニッケル粒子の表面に選択的に作用して耐酸化性を向上させ、バインダーの熱分解を抑制する効果を発揮するものが好ましい。また、バインダー成分の分解温度以下で分解消失しないことが必要であり、また脱バインダー工程後も残留するとニッケル粉末の燒結を阻害する恐れがあるため、硫黄含有有機化合物の熱分解温度は、酸素を含む雰囲気では200℃以上400℃以下、不活性雰囲気では200℃以上700℃以下であることが好ましい。
このような観点から、上記硫黄含有有機化合物としては、トリアジンチオール類及び/又は硫酸根含有化合物が好適に使用でき、これらのうちの1種又は2種類以上を用いることができる。トリアジンチオール類とは、下記化学式1に示す構造を有する化合物及びその塩を含み、式中のRは−SH基、−NHR1基、−NR2R3基を表す(ここで、R1、R2、R3は脂肪族又は芳香族の炭化水素基を意味する)。
この化学式1に示すトリアジンチオール類の中でも、上記熱分解温度及び溶解性などの観点から好ましいトリアジンチオール類として、Rが−SHである1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、Rが−N(C4H9)2である6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、Rが−N(C6H13)2である6−ジヘキシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、Rが−N(C8H17)2である6−ジオクチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、Rが−N(C12H25)2である6−ジドデシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールを挙げることができる。
また、これら以外にも、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノナトリウム(FMN)、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノカリウム、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノエタノールアミン(FME)、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・ジエタノールアミン(FDE)、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・トリエチルアミン(F・TEA)、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・オクチルアミン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・テトラブチルアンモニウム塩、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・ビス(テトラブチルアンモニウム塩)(F2A)、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール(AF)、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム(AMN)、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・トリエチルアミン、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム(DBMN)、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノエタノールアミン(DBME)、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・エチルアミン、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・トリエチルアミン、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・ブチルアミン(DBB)、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・テトラブチルアンモニウム塩(DBA)、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・テトラブチルホスホニウム塩、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナトリウム(DAMN)、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノエタノールアミン(DAME)、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・ブチルアミン、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・エチレンジアミン、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・エチレントリアミン、6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノナトリウムなどを用いることができる。
また、上記硫酸根含有化合物としては、硫酸根SO3を含む脂肪族又は芳香族の炭化水素化合物若しくはその塩がある。具体的には、ドデシル硫酸ナトリウム:CH3(CH2)11SO3Na、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:C12H25C6H4SO3Naなどを挙げることができる。
本発明のニッケル粉末中に含まれるトリアジンチオール類及び硫酸根含有化合物から選ばれた少なくとも1種の硫黄含有有機化合物の含有量は、ニッケル重量に対して硫黄換算で0.005〜0.50重量%の範囲が好ましく、0.08〜0.50重量%の範囲が更に好ましい。上記硫黄含有有機化合物の含有量が0.005重量%未満では、耐酸化性の向上効果が得られず、脱バインダー工程での急激なガス発生を防止することができない。また、上記硫黄含有有機化合物の含有量が0.50重量%を超えても更なる効果の増大は認められないうえ、電子部品の特性に影響を与える可能性があるため好ましくない。
[実施例1]
硫黄含有有機化合物として、上記化学式1においてR=−N(C4H9)2である6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール(三共化成(株)製、商品名:DB)を用い、これを下記表1の試料1〜6に示す添加量で1000mlのイソプロピルアルコール(IPA)に溶解させた。尚、表1に示す硫黄含有有機化合物の添加量は、ニッケル重量に対する量であって、硫黄換算したものである(以下同じ)。
硫黄含有有機化合物として、上記化学式1においてR=−N(C4H9)2である6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール(三共化成(株)製、商品名:DB)を用い、これを下記表1の試料1〜6に示す添加量で1000mlのイソプロピルアルコール(IPA)に溶解させた。尚、表1に示す硫黄含有有機化合物の添加量は、ニッケル重量に対する量であって、硫黄換算したものである(以下同じ)。
得られた各溶液に、湿式還元法によって得られたニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、製品名:YH−623、平均粒径0.2μm)100gを加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmの回転数で5分間の混合処理することによりスラリーとした。その後、得られた各スラリーを吸引濾過することにより、ニッケル粉末を固液分離し、回収されたニッケル粉末を100℃にて12時間真空乾燥することにより、試料1〜6のニッケル粉末を得た。
このようにして製造された試料1〜6の各ニッケル粉末について、耐酸化性を評価するために、示差熱分析装置(ブルカーエイエックスエス社製、商品名:TG−DTA2000SA)を用い、窒素流量200ml/minの窒素気流中において昇温速度5℃/minで分析評価した。得られた結果を下記表1に示す。
[実施例2]
硫黄含有有機化合物として、上記化学式1においてR=−SHである1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(三共化成(株)製、商品名:ジスネットF)を用い、これを下記表1の試料7に示す添加量で1000mlのイソプロピルアルコールに溶解させた。
硫黄含有有機化合物として、上記化学式1においてR=−SHである1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール(三共化成(株)製、商品名:ジスネットF)を用い、これを下記表1の試料7に示す添加量で1000mlのイソプロピルアルコールに溶解させた。
得られた溶液に、湿式還元法によって得られたニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、製品名:YH−623、平均粒径0.2μm)100gを加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmの回転数で5分間の混合処理することによりスラリーとした。その後、得られたスラリーを吸引濾過することにより、ニッケル粉末を固液分離し、回収されたニッケル粉末を100℃にて12時間真空乾燥することにより、試料7のニッケル粉末を得た。
このようにして製造された試料7のニッケル粉末について、耐酸化性を評価するために、上記実施例1と同様に示差熱分析装置を用い、窒素流量200ml/minの窒素気流中において、昇温速度5℃/minで分析評価した。得られた結果を下記表1に示す。
[比較例1]
1000mlのイソプロピルアルコールに、湿式還元法によって得られたニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、製品名:YH−623、平均粒径0.2μm)100gを加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmの回転数で5分間の混合処理することによりスラリーとした。その後、得られたスラリーを吸引濾過することにより、ニッケル粉末を固液分離し、回収されたニッケル粉末を100℃にて12時間真空乾燥することにより、試料8のニッケル粉末を得た。
1000mlのイソプロピルアルコールに、湿式還元法によって得られたニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、製品名:YH−623、平均粒径0.2μm)100gを加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmの回転数で5分間の混合処理することによりスラリーとした。その後、得られたスラリーを吸引濾過することにより、ニッケル粉末を固液分離し、回収されたニッケル粉末を100℃にて12時間真空乾燥することにより、試料8のニッケル粉末を得た。
このようにして製造された試料8のニッケル粉末について、耐酸化性を評価するために、上記実施例1と同様に示差熱分析装置を用い、窒素流量200ml/minの窒素気流中において、昇温速度5℃/minで分析評価した。得られた結果を下記表1に示す。
[実施例3]
硫黄含有有機化合物として、上記化学式1においてR=−SNaである1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノナトリウム塩(三共化成(株)製、商品名:サンチオールN−1)を用い、これを下記表1の試料9に示す添加量で1000mlの純水に溶解させた。
硫黄含有有機化合物として、上記化学式1においてR=−SNaである1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノナトリウム塩(三共化成(株)製、商品名:サンチオールN−1)を用い、これを下記表1の試料9に示す添加量で1000mlの純水に溶解させた。
得られた溶液に、湿式還元法によって得られたニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、製品名:YH−623、平均粒径0.2μm)100gを加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmの回転数で5分間の混合処理することによりスラリーとした。その後、得られたスラリーを吸引濾過することにより、ニッケル粉末を固液分離し、回収されたニッケル粉末を100℃にて12時間真空乾燥することにより、試料9のニッケル粉末を得た。
このようにして製造された試料9のニッケル粉末について、耐酸化性を評価するために、上記実施例1と同様に示差熱分析装置を用い、窒素流量200ml/minの窒素気流中において、昇温速度5℃/minで分析評価した。得られた結果を下記表1に示す。
[比較例2]
1000mlの純水に、湿式還元法によって得られたニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、製品名:YH−623、平均粒径0.2μm)100gを加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmの回転数で5分間の混合処理することによりスラリーとした。その後、得られたスラリーを吸引濾過することにより、ニッケル粉末を固液分離し、回収されたニッケル粉末を100℃にて12時間真空乾燥することにより、試料10のニッケル粉末を得た。
1000mlの純水に、湿式還元法によって得られたニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、製品名:YH−623、平均粒径0.2μm)100gを加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmの回転数で5分間の混合処理することによりスラリーとした。その後、得られたスラリーを吸引濾過することにより、ニッケル粉末を固液分離し、回収されたニッケル粉末を100℃にて12時間真空乾燥することにより、試料10のニッケル粉末を得た。
このようにして製造された試料10のニッケル粉末について、耐酸化性を評価するために、上記実施例1と同様に示差熱分析装置を用い、窒素流量200ml/minの窒素気流中において、昇温速度5℃/minで分析評価した。得られた結果を下記表1に示す。
[実施例4]
硫黄含有有機化合物として、硫酸根含有化合物であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS)を用い、これを下記表1の試料11に示す添加量で1000mlのイソプロピルアルコール(IPA)に溶解させた。
硫黄含有有機化合物として、硫酸根含有化合物であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS)を用い、これを下記表1の試料11に示す添加量で1000mlのイソプロピルアルコール(IPA)に溶解させた。
得られた溶液に、湿式還元法によって得られたニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、製品名:YH−623、平均粒径0.2μm)100gを加え、ホモジナイザーを用いて5000rpmの回転数で5分間の混合処理することによりスラリーとした。その後、得られたスラリーを吸引濾過することにより、ニッケル粉末を固液分離し、回収されたニッケル粉末を100℃にて12時間真空乾燥することにより、試料11のニッケル粉末を得た。
このようにして製造された試料11のニッケル粉末について、耐酸化性を評価するために、上記実施例1と同様に示差熱分析装置を用い、窒素流量200ml/minの窒素気流中において、昇温速度5℃/minで分析評価した。得られた結果を下記表1に示す。
[比較例3]
湿式還元法によって得られたニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、製品名:YH−623、平均粒径0.2μm)100gについて、耐酸化性を評価するために、上記実施例1と同様に示差熱分析装置を用い、窒素流量200ml/minの窒素気流中において、昇温速度5℃/minで分析評価した。得られた結果を試料12として下記表1に示す。
湿式還元法によって得られたニッケル粉末(住友金属鉱山(株)製、製品名:YH−623、平均粒径0.2μm)100gについて、耐酸化性を評価するために、上記実施例1と同様に示差熱分析装置を用い、窒素流量200ml/minの窒素気流中において、昇温速度5℃/minで分析評価した。得られた結果を試料12として下記表1に示す。
上記表1に示す耐酸化性に関する評価結果から分るように、ニッケル粉末そのものである比較例の試料12、硫黄含有有機化合物を含まない比較例の試料8、10の各ニッケル粉末に比べて、本発明による試料1〜7、9、11の各ニッケル粉末は、硫黄含有有機化合物が粒子表面に均一に吸着されていることにより、酸化開始温度が極めて高くなり、耐酸化性が著しく向上している。
また、本発明の試料1〜7、9、11においては、硫黄含有有機化合物の添加量が特開2006−24539号公報に記載のニッケルペースト中の含有量に比較して少ないにもかかわらず、同等の効果が得られることが判明した。このことから、本発明のニッケル粉末は、特に薄層・高容量用の微小粒径のニッケル粉末で問題となる酸化の防止に極めて有効であって、積層セラミックコンデンサ内部電極として好適に用いることができることが分る。
Claims (3)
- 積層セラミックコンデンサの内部電極に用いるニッケル粉末であって、ニッケル粉末の粒子表面に、トリアジンチオール類及び硫酸根含有化合物から選ばれた少なくとも1種の硫黄含有有機化合物が吸着していることを特徴とする積層セラミックコンデンサ内部電極用ニッケル粉末。
- 前記トリアジンチオール類及び硫酸根含有化合物から選ばれた少なくとも1種の硫黄含有有機化合物の含有量が、ニッケル重量に対して硫黄換算で0.005〜0.50重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ内部電極用ニッケル粉末。
- 湿式還元法で得られたニッケル粉末と、トリアジンチオール類及び硫酸根含有化合物から選ばれた少なくとも1種の硫黄含有有機化合物とを、水中若しくはアルコール中に添加してスラリーとする第1工程と、第1工程で得られたスラリー中のニッケル粉末を固液分離する第2工程と、第2工程で得られたニッケル粉末を不活性雰囲気中で乾燥する第3工程とからなることを特徴とする積層セラミックコンデンサ内部電極用ニッケル粉末の製造方法。
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