JP2023045936A - ニッケル粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】 積層セラミックコンデンサの製造時にクラックやデラミネーションの発生を抑制できるニッケル粉末を提供する。【解決手段】 表面にNiOを主とする酸化被膜を有するニッケル粉末であって、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定された前記ニッケル粉末の表面の成分組成において、Ni、NiOおよびNi(OH)2の合計に対するNiの物質量は15モル%を超えて35モル%以下であり、NiOの物質量は50モル%以上であり、Ni(OH)2の物質量は0モル%を超えて30モル%以下であり、酸素含有率が1.1質量%以下の場合には、硫黄含有率が0.3質量%以下であり、酸素含有率が1.1質量%を超える場合には、硫黄含有率の百分率と酸素含有率の百分率を乗じた値が0.15以下である、ニッケル粉末。【選択図】 図1

Description

本発明は、積層セラミック部品の電極材として用いられる高性能なニッケル粉末に関する。
ニッケル粉末は、電子回路のコンデンサの材料として、特に、積層セラミックコンデンサ(MLCC:multilayer ceramic capacitor)や多層セラミック基板等の積層セラミック部品の内部電極等を構成する厚膜導電体の材料として利用されている。
近年、積層セラミックコンデンサの大容量化が進み、積層セラミックコンデンサの内部電極の形成に用いられる内部電極ペーストの使用量も大幅に増加している。このため、厚膜導電体を構成する内部電極ペースト用の金属粉末として、高価な貴金属の使用に代替して、主としてニッケル等の安価な卑金属が使用されている。
積層セラミックコンデンサを製造する工程では、例えばニッケル粉末、エチルセルロース等のバインダー樹脂およびターピネオール等の有機溶剤を混練した内部電極ペーストを、誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷する。そして、内部電極ペーストが印刷され、乾燥された誘電体グリーンシートは、内部電極ペースト印刷層と誘電体グリーンシートとが交互に重なるように積層され、さらに圧着されて、積層体が得られる。
この積層体を、所定の大きさにカットし、次に、バインダー樹脂を加熱処理により除去し(脱バインダー処理)、さらに、脱バインダー処理後の積層体を1300℃程度の高温で焼成することにより、セラミック成形体が得られる。
そして、得られたセラミック成形体に外部電極が取り付けられ、積層セラミックコンデンサが得られる。内部電極となる内部電極ペースト中の金属粉末として、ニッケル等の卑金属が使用されていることから、積層体の脱バインダー処理は、これらの卑金属が酸化しないように、不活性雰囲気等の酸素濃度がきわめて低い雰囲気下にて行われる。また、脱バインダー処理後の焼成は還元雰囲気下にて行われる。
積層セラミックコンデンサの小型化および大容量化に伴い、内部電極や誘電体はともに薄層化が進められている。これに伴って、内部電極ペーストに使用されるニッケル粉末の粒径も微細化が進行し、平均粒径0.4μm以下のニッケル粉末が必要とされ、特に平均粒径0.3μm以下のニッケル粉末の使用が主流となっている。
このような微細なニッケル粉末は活性が高く、内部電極ペーストに含まれるバインダーの分解挙動や焼成時におけるニッケルの粒成長は制御し難くなる。例えば600℃付近からバインダーが急激に分解し、MLCC素体にクラック等の構造欠陥が生じたり、或いはニッケルの粒成長が異常に促進されることでニッケルが過焼結となり、内部電極膜の球状化(カバレッジの低下)を引き起こし、容量低下やHALT劣化などの問題が生じることがあった。
上記問題を解決するために、特許文献1には、表面に実質的にニッケル酸化物からなる薄い酸化層が存在するニッケル粉末が開示されている。この表面の酸化層は極めて強固であり、粉末の活性を効果的に低下させ焼結開始温度を上昇させるとされている。また、特許文献2には、表面に緻密で厚い酸化被膜が形成されたニッケル粉末であって、X線光電子分光法(XPS)におけるNi2p3/2スペクトルピークに関して、金属ニッケルに帰属されるピーク(以降、「Niピーク」とすることもある。)とニッケルと酸素の結合状態に帰属されるピーク(以降、「NiOピーク」とすることもある)とニッケルと水酸基の結合状態に帰属されるピーク(以降、「Ni(OH)ピーク」とすることもある。)の各面積比が、Niピークは5.0~15.0%であり、NiOピークは55.0~80.0%であり、Ni(OH)ピークは5.0~40.0%であることを開示している。このような酸化被膜によりニッケル粉末表面から内部への酸化の進行が抑制されるため、焼結開始温度が従来のニッケル粉末に比べてより高く、誘電体の焼結開始温度により近くなるとされている。さらに表面の組成はNiOを主としNi(OH)の比率が低いことから、積層セラミックコンデンサ製造の脱バインダー処理時において、Ni(OH)の熱分解により発生するガスが抑制され、クラックやデラミネーションの発生が低減されるとされている。
特開2008-223068号公報 国際公開WO2017/122689号パンフレット 国際公開WO2017/069067号パンフレット
しかしながら、微細なニッケル粉末になるほど比表面積が増大するため、このような表面に酸化被膜を有するニッケル粉末では、どうしても含有する酸素量が増大する傾向があった。ニッケル粉末の酸素含有率が増大すると、積層セラミックコンデンサ製造時の還元雰囲気下での焼成において、ニッケル酸化物の還元によるガス発生と体積変化が大きくなるため、緻密な電極膜が得られにくくなるとともに焼成時のクラックやデラミネーションを引き起こす原因となる。
そこで本発明では、表面にNiOを主とする酸化被膜を有するニッケル粉末において、酸素などの不純物含有率を最適化したニッケル粉末を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ニッケル粉末表面におけるNiとNiOとNi(OH)の成分組成が、特定の範囲となるように制御し、かつ硫黄含有率が0.3質量%以下、かつ酸素含有率が1.1質量%以下または、硫黄含有率が0.3質量%以下かつ酸素含有率が1.1質量%を超える場合での百分率での硫黄含有率と酸素含有率を乗じた値が0.15以下となる組成バランスを持つことで上記課題を解決できることを見出した。
上記の課題を解決するため、本発明のニッケル粉末は、表面にNiOを主とする酸化被膜を有するニッケル粉末であって、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定された前記ニッケル粉末の表面の成分組成において、Ni、NiOおよびNi(OH)の合計に対するNiの物質量は15モル%を超えて35モル%以下であり、NiOの物質量は50モル%以上であり、Ni(OH)の物質量は0モル%を超えて30モル%以下であり、酸素含有率が1.1質量%以下の場合には、硫黄含有率が0.3質量%以下であり、酸素含有率が1.1質量%を超える場合には、硫黄含有率の百分率と酸素含有率の百分率を乗じた値が0.15以下である。
本発明のニッケル粉末は、平均粒径が0.03μm~0.4μmであってもよい。
本発明のニッケル粉末は、相対圧P/P=0.5における単位面積当たりのHO吸着量が0.10mg/m以上0.70mg/m以下であってもよい。
本発明に係るニッケル粉末は、その表面の組成がNiOを主成分としつつNiの比率も比較的高く制御されているため、酸素含有率が低く、積層セラミックコンデンサの製造時にクラックやデラミネーションの発生が抑制される。
実施例1~4のニッケル粉末から得られるTG-DTA評価試料を熱重量示差熱分析した結果を示す図である。 比較例1のニッケル粉末から得られるTG-DTA評価試料を熱重量示差熱分析した結果を示す図である。 実施例5のニッケル粉末から得られるTG-DTA評価試料を熱重量示差熱分析した結果を示す図である。
以下、本発明に係るニッケル粉末について説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能である。
<1.ニッケル粉末>
本発明に係るニッケル粉末は、表面にNiOを主とする酸化被膜を有するニッケル粉末であって、X線光電子分光法(XPS)を用いて測定されたニッケル粉末の表面の成分組成において、Ni、NiOおよびNi(OH)の合計に対するNiの物質量は15モル%を超えて35モル%以下であり、NiOの物質量は50モル%以上であり、Ni(OH)の物質量は0モル%を超えて30モル%以下である。このように表面の成分組成がNiOを主成分とし、酸素含有率も低く抑えられているため、積層セラミックコンデンサの製造時にクラックやデラミネーションの発生が抑制され、積層セラミックコンデンサの内部電極の用途に好適である。
表面の成分組成についてさらに詳しく説明する。XPSによりニッケル粉末表面のNi2pスペクトルを解析すると、Niピーク、NiOピークおよびNi(OH)ピークが観察される。表面の成分組成としては、Niピークに対応するのがNiであり、NiOピークに対応するのがNiOであり、Ni(OH)ピークに対応するのがNi(OH)である。この3成分のピーク面積全量に対する各ピークの面積比から成分組成比が求められ、各成分組成の好ましい範囲は、Niは15モル%を超えて35モル%以下であり、NiOは50モル%以上であり、Ni(OH)は0モル%を超えて30モル%以下(Ni+NiO+Ni(OH)=100モル%)である。
表面の成分組成のうち、Niの比率が15モル%以下になると、ニッケル粉末の酸素含有率が高くなり、積層セラミックコンデンサの製造時に還元雰囲気下の焼成においてクラックやデラミネーションが発生することがある。Niの比率が35モル%を超えると、表面の酸化被膜が不安定となり、耐酸化性が低下することがある。Niの比率のより好ましい範囲は20モル%を超えて30モル%以下である。
表面の成分組成のうち、NiOの比率が50モル%未満になると、Ni(OH)の比率が高くなることを意味するので、積層セラミックコンデンサの製造時に焼結開始温度が低下したり、脱バインダー処理においてクラックやデラミネーションが発生することがある。NiOの比率のより好ましい範囲は60モル%以上である。
表面の成分組成のうち、Ni(OH)の物質量が30モル%を超えると、積層セラミックコンデンサの製造時に焼結開始温度が低下したり、脱バインダー処理においてクラックやデラミネーションが発生することがある。
本発明に係るニッケル粉末の酸素含有率は、ニッケル粉末全体に対して1.3質量%以下であることが好ましい。そして酸素含有率は、後述するように硫黄含有率とともに検討する必要がある。酸素含有率が1.3質量%を超えると、積層セラミックコンデンサの製造時に還元雰囲気下の焼成において、還元によるガス発生と体積変化によりクラックやデラミネーションが発生することがある。酸素含有率の下限については特に限定されない。上記表面の成分組成で説明したとおり、表面にNiOを主とする酸化被膜を有するニッケル粉末であるので、0.5質量%程度が実質的な下限となる。なお、酸素含有率は、例えば不活性ガス溶融法による酸素分析装置にて測定することができる。
本発明に係るニッケル粉末の平均粒径は、近年の積層セラミックコンデンサの内部電極の薄層化に対応するという観点から、0.03μm~0.4μmとするのが好ましい。もちろん平均粒径が0.4μmを超えるニッケル粉末にも適用することを妨げるものではない。なお平均粒径は、ニッケル粉末を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、その写真像における全様が確認できる粒子の径を求め、その数平均の粒径である。
本発明のニッケル粉末のように、積層セラミックコンデンサの内部電極に適用可能なニッケル粉末は、その触媒活性を抑制するため、通常、微量の硫黄を含有している場合がある。これは、ニッケル粒子の表面は触媒活性が高く、例えば硫黄等を含有させずにそのまま使用すると、積層セラミックコンデンサ製造時の脱バインダー処理において、ニッケル粉末が内部電極ペーストに含まれるエチルセルロース樹脂等のバインダー樹脂の熱分解を促進し、低温からバインダー樹脂が分解されて、積層体としての強度が大幅に低下すると同時に、分解ガスが多量に発生して積層体にクラックが発生しやすくなる場合があるためである。一方、ニッケル粉末に硫黄を含有させたとしても、ニッケル粉末の酸素含有率によっては、積層体にクラックが発生する場合もあり、後述するようにニッケル粉末の硫黄含有率と酸素含有率との組成バランスを考慮する必要がある。
上記のように、ニッケル粉末に硫黄を含有させるには、ニッケル粒子の表面に硫黄を付着させる表面処理を行い、ニッケル粒子表面全体が、薄く、かつ均一に硫黄で修飾(コーティング)していることが、上記バインダー樹脂の分解抑制効果の発現や不純物としての硫黄の積層セラミックコンデンサ特性への影響低減の観点からすると、最も好ましい。ただし、上記バインダー樹脂の分解抑制の効果が発揮できれば、ニッケル粒子の一部を修飾(コーティング)している修飾(コーティング)状態であってもよい。本発明では、このようなニッケル粒子の全体の修飾(コーティング)、および一部の修飾(コーティング)を包括する概念として、“表面処理”を用いている。
ニッケル粉末中の酸素含有率が1.1質量%以下の場合には、ニッケル粉末中の硫黄含有率は、0.3質量%以下である。硫黄含有率が0.3質量%を超えると硫黄に起因する内部電極欠陥が発生することがあり、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.17質量%以下がよい。硫黄含有率の下限は特に限定されることはない。
ここで、積層セラミックコンデンサを製造する工程の脱バインダー処理から1300℃程度の高温で焼成での内部電極ペーストに含まれるニッケル粉末の表面のNiOやNi(OH)の挙動を考察する。ニッケル粉末の表面のNi(OH)は、昇温の過程の200℃付近の温度で水を失いNiOとなり、ニッケル粉末の表面に存在する。
ニッケル表面には酸化膜(NiO)が被覆している。この酸化膜(NiO)は200~600℃(弱還元性雰囲気中での残留炭素が分解される温度帯)で還元され、酸素を放出する(NiO→Ni+1/2O)。放出された酸素は、電極内部に残留する炭素を燃焼しガス発生し、このガス圧力でクラック等の構造欠陥が生じる。酸化膜より放出(離脱)される酸素が適量であれば、電極内部に残留する炭素(バインダー)を安定に燃焼させるが、過剰な酸素が放出されるとバインダーを急激に燃焼させる。一方で酸素の放出され易さは、OとSの結合に関係があり、SはOを放出され難くする役割も担っている。そのため、ニッケル粉末の硫黄含有率、酸素含有率の組成バランスは、残炭の分解性に対して重要なファクターと言える。
ニッケル粉末からの酸素などの不純物の各温度での放出は、不純物が微量であるため熱重量示差熱分析(TG-DTA)の時間ごとの重量減少の変化率のΔTGで推定することができる。
図1は、実施例1~4のニッケル粉末から得られるTG-DTA評価試料を熱重量示差熱分析した結果を示す図である。図2は、比較例1のニッケル粉末から得られるTG-DTA評価試料を熱重量示差熱分析した結果を示す図である。図3は、実施例5のニッケル粉末から得られるTG-DTA評価試料を熱重量示差熱分析した結果を示す図である。
ここで、TG-DTA評価試料の構成は、内部電極ペーストに使用される、ニッケル粉末、バインダー樹脂、チタン酸バリウムなどの共材である。この構成は、内部電極ペーストを誘電体グリーンシート上に印刷し、乾燥して得られる内部電極ペーストの乾燥膜の構成とほぼ同じであり、焼成される際の内部電極ペーストの乾燥膜とほぼ同じなのである。このような構成のTG-TDA評価試料で評価することで、脱バインダー処理でのニッケル粉末がバインダー樹脂に及ぼす影響を知ることができ、積層セラミックコンデンサの焼成時の際のクラック等の不具合を予測することができる。TG-DTA評価試料は、内部電極ペーストを作製し、得られた内部電極ペーストを樹脂フィルムなどに塗布し、内部電極ペーストに含まれるターピネオールなどの有機溶剤を蒸発させて除去して得られる乾燥体を粉砕することで得られる。また、内部電極ペーストは、三本ロールなどの公知の混錬装置を用いて作製できる。
例えば、図1に示すように、ニッケル粉末の硫黄含有率が、0.1質量%や0.11質量%の場合は、酸素含有率が0.91質量%から1.2質量%の範囲であっても、ニッケル粉末の熱重量示差熱分析(TG-DTA)の時間ごとの重量減少の変化率のΔTGにおいて、450℃付近をピークとする減少と、500℃付近をピークとする減少と、650℃付近をピークとする減少が確認される。一方、図2(比較例1)に示すようにニッケル粉末の酸素含有率が1.1質量%を超えて、ニッケル粉末の硫黄含有率が、0.13質量%の場合には、ニッケル粉末の熱重量示差熱分析(TG-DTA)の時間ごとの重量減少の変化率のΔTGにおいて350℃付近をピークとする減少と450℃付近をピークとする減少と650℃付近をピークとする減少が発生している。
さらに、図3(実施例5)に示すように、ニッケル粉末の硫黄含有率が0.17質量%であっても酸素含有率が1質量%であれば、図2(比較例1)のような、370℃付近のΔTGのピークは出現しない。
図1と図2の相違点は、図1のΔTGのピークは450℃付近と500℃付近と650℃付近に出現するのに対し、図2の酸素含有率が1.2質量%で硫黄含有率が、0.13質量%のニッケル粉末では、ΔTGのピークは370℃付近に出現することである。
図3(実施例5)のニッケル粉末は、395℃にΔTGのピークが出願するが、MLCCの焼成時のクラック発生の懸念はない。つまり、ニッケル粉末の硫黄含有率と酸素含有率の範囲によって内部電極ペーストのバインダー樹脂の熱分解挙動が異なり、脱バインダーが低温から起こると、燃焼ガスによるクラック等の構造欠陥が発生し易くなる。具体的にはΔTGの減少のピークが390℃以下に発現しているときは、ニッケル粉末から発生するOに起因し、脱バインダーが低温から発生する。
硫黄含有率は、含有量の分析で用いられる分析機器、例えば燃焼法による硫黄分析装置で検出限界以下でもよい。
すなわち、ニッケル粉末中の酸素含有率が1.1質量%以下の場合には、ニッケル粉末中の硫黄含有率が0.3質量%以下であることで、ΔTGの減少のピークが390℃以下に発現しないため、脱バインダーが低温から起こらず、燃焼ガスによるクラック等の構造欠陥が発生しない。
また、ニッケル粉末中の酸素含有率が1.1質量%を超える場合には、ニッケル粉末中の硫黄含有率の百分率と酸素含有率の百分率を乗じた値が0.15以下であることで、ΔTGの減少のピークが390℃以下に発現しないため、脱バインダーが低温から起こらず、燃焼ガスによるクラック等の構造欠陥が発生しない。
また、本実施形態のニッケル粉末は、相対圧P/P=0.5における単位面積当たりのHO吸着量が0.10mg/m以上0.70mg/m以下であることが望ましく、0.11mg/m以上0.6mg/mがさらに望ましい。ここで、相対圧とは、一定の吸着温度で吸着平衡状態の圧力である吸着平衡圧と飽和蒸気圧の比を言う。
使用するニッケル粉末表面の親水性・疎水性の強さによって、溶媒やビヒクルとの濡れ性が変化し、特に微細化の進む微粉の凝集体の解砕や分散性に大きく影響する。ニッケル粉末のHO吸着量が0.10mg/(m/g)未満であると、疎水性が強すぎてバインダーや溶剤との濡れが低下するため好ましくなく、また、ニッケル粉末のHO吸着量が0.70mg/(m/g)を超えると親水性が強くなり過ぎてバインダーとの親和性が低下するため好ましくない。
ニッケル粉末表面への界面活性剤の吸着がし難くなると、溶媒やビヒクルとの濡れ性が悪化する場合もあり、凝集体の解砕や、再凝集の抑制が不十分となり、導電性ペーストの粘度安定性が低下したり、乾燥膜の表面平滑性に劣ったりするため好ましくない。
導電性粉末にニッケル粉末を用いる場合、その表面組成として、NiOの物質量が50モル%以上であることが好ましい。NiOの物質量が50モル%未満では、分散剤およびバインダー樹脂の吸着状態が適正でないことから、その結果、粘度安定性が低下するため好ましくない。
<2.ニッケル粉末の製造方法>
本発明に係るニッケル粉末は、例えば湿式法にて水溶液中で還元反応により晶析させたニッケル粒子等、スラリー状態のニッケル粒子をろ過し、低酸素分圧下で乾燥させることで製造される。
ここで用いられるニッケル粒子は、表面に水酸化ニッケル等は存在するものの、粒子生成後、大気に暴露されていない状態であることが好ましく、ろ過する前の湿式法で生成されたニッケル粒子が好適である。もちろん気相還元法やプラズマ法等の乾式法や噴霧熱分解法により生成されたニッケル粒子を洗浄でスラリー状態として、以下に説明する方法を適用することもできるが、乾式法等これらの方法で生成されたニッケル粒子は大気に暴露されて、表面はある程度酸化している。従って、ニッケル粒子を含むスラリー(以降、「ニッケルスラリー」とすることもある)にニッケル酸化物を溶解することができる酸や錯化剤を添加して、表面の酸化物を除去することが好ましい。
ニッケルスラリーは、ニッケル粒子や溶媒に含まれる不純物成分を除去するために、洗浄液や溶媒を追加して洗浄を行ってもよい。洗浄方法は公知の方法を用いることができるが、スラリー中のニッケル粒子が大気に暴露されることがない方法を用いればよく、例えば、洗浄液や溶媒の追加とデカンテーションを繰り返す等が好適である。
ニッケルスラリーは、ろ過してニッケルケーキとし、これを乾燥処理してニッケル粉末を得ることができる。ろ過の方法は特に限定されることはなく公知の方法を用いることができるが、ニッケル粒子が直接大気に暴露しないように、湿潤状態のニッケルケーキが乾燥処理に供されることが好ましい。
乾燥処理としては、公知の雰囲気を調整可能な加熱乾燥や減圧下での加熱乾燥を用いることができるが、条件として少なくとも酸素分圧を0.3kPa~5kPa、好ましくは0.5kPa~3kPaに制御された低酸素雰囲気下で加熱乾燥させることが好ましい。具体的には、大気を減圧すればよい。このような低酸素雰囲気下で加熱乾燥されることで、酸化の進行が遅くなり、表面の成分組成としてNiの物質量が15モル%を超えて35モル%以下のニッケル粉末を得ることができる。
また、乾燥処理の乾燥温度は60℃~160℃とすればよい。乾燥温度を60℃未満としてもよいが、乾燥時間が長くなり生産性が低下してしまうおそれがある。乾燥温度が高くなるほど表面の成分組成のうちNi(OH)が加熱分解されてNiOに転換されるので好ましく、特に乾燥温度を100℃以上とするのがより好ましい。しかしながら、乾燥温度を高くするほど乾燥凝集が激しく、ニッケル粒子同士の固着も強固となり、後述する解砕処理を行っても凝集したニッケル粒子が解きほぐれないことがある。乾燥凝集については乾燥温度だけでなく、乾燥時間や雰囲気条件も影響するが、乾燥温度としては160℃以下が好ましく、155℃以下とするのがさらに好ましい。
乾燥処理の乾燥時間については、特に限定されることはないが、20分~24時間とするのが好ましい。これらの乾燥処理条件を調整することで、XPSを用いて測定された表面の成分組成が、Niの物質量は15モル%を超えて35モル%以下であり、NiOの物質量は50モル%以上であり、Ni(OH)の物質量は0モル%を超えて30モル%以下となる酸化被膜がニッケル粉末に形成される。
乾燥処理を経たニッケル粉末は、乾燥凝集により粒子同士が結合していることもあるので、解砕処理を行って凝集したニッケル粒子を解きほぐすのが好ましい。解砕処理では、スパイラルジェット解砕処理、カウンタージェットミル解砕処理等の乾式解砕方法や、高圧流体衝突解砕処理等の湿式解砕方法、その他の汎用の解砕方法を適用することが可能である。
上記説明したニッケル粉末を製造するに当たって好適な、湿式法にて水溶液中で還元反応により晶析させたニッケル粒子の一例として、以下、特許文献3に記載されたニッケル粒子の晶析方法を説明する。
このニッケル粒子を湿式法で析出させる方法では、少なくとも水溶性のニッケル塩、ニッケルよりも貴な金属の塩、還元剤であるヒドラジン、及び水酸化アルカリと水とを混合した反応液に、アミン化合物を添加して、ニッケル塩をヒドラジンで還元することでニッケル粒子を晶析させる。さらにスルフィド化合物も反応液に添加してもよい。
ニッケル塩は、水に易溶であるニッケル塩であれば特に限定されることはなく、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケルから選ばれる1種以上を用いることができる。
ニッケルよりも貴な金属をニッケル塩溶液に含有させることで、ニッケルを還元晶析させる際に、ニッケルよりも貴な金属が先に還元されて初期核となる核剤として作用しており、この初期核から粒子成長することで微細なニッケル粒子を作製することができる。ニッケルよりも貴な金属の金属塩としては、水溶性の銅塩や、金塩、銀塩、プラチナ塩、パラジウム塩、ロジウム塩、イリジウム塩等の水溶性の貴金属塩を用いることができ、特にパラジウム塩が好ましい。パラジウム塩を用いた場合の、パラジウム塩とニッケルの割合[モルppm](パラジウム塩のモル数/ニッケルのモル数×106)は、0.2モルppm~100モルppmの範囲とするのが好ましい。
還元剤はヒドラジンを用いるのが好ましく、無水のヒドラジンの他にヒドラジン水和物である包水ヒドラジンを用いてもかまわない。
水酸化アルカリは、ヒドラジンの還元力は反応液のpHが高いほど大きくなるため、アルカリ性を高めるpH調整剤として用いられる。水酸化アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物を用いるのが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれる1種以上とするのがより好ましい。水酸化アルカリの配合量は、反応液のpHを9.5以上、好ましくは10以上となるようにするのがよい。
アミン化合物は、錯化剤としての還元反応促進効果がよく知られているが、特定のアミン化合物を用いると、ヒドラジンの自己分解抑制やニッケル粒子同士の連結抑制の効果を有しているので、反応液に配合させるのが好ましい。このようなヒドラジンの自己分解抑制効果等をもつアミン化合物は、分子内に第1級アミノ基(-NH)または第2級アミノ基(-NH-)のいずれかを合わせて2個以上含有する化合物である。具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、プロピレンジアミン等を用いるのが好ましい。アミン化合物の配合量は、アミン化合物のモル数の割合[モル%](アミン化合物のモル数/ニッケルのモル数×100)として、0.01モル%~5モル%の範囲、より好ましくは0.03モル%~2モル%の範囲とする。
スルフィド化合物は、分子内にスルフィド基(-S-)を1個以上含有する化合物であるが、上記特定のアミン化合物と併用すると、ヒドラジンの自己分解抑制作用が大幅に強化され、かつニッケル粒子同士の連結抑制の効果も有している。スルフィド化合物の中で、これらの効果が顕著な化合物は、分子内にさらにカルボキシル基(-COOH)または水酸基(-OH)を少なくとも1個以上含有する化合物であり、具体的には、L-メチオニン、L-エチオニン、チオジグリコール酸等を用いるのが好ましい。スルフィド化合物の配合量は、スルフィド化合物のモル数の割合[モル%](スルフィド化合物のモル数/ニッケルのモル数×100)として、0.01モル%~5モル%の範囲、より好ましくは0.03モル%~2モル%の範囲とする。
晶析の手順としては、水溶性のニッケル塩、ニッケルよりも貴な金属の塩、ヒドラジン、及び水酸化アルカリの各水溶液がすべて配合されて反応液が調合された時点で還元反応が開始される。反応液を調合するまでの各水溶液の配合の順番は特に限定されることはなく、どの順番で配合してもよい。アミン化合物やスルフィド化合物は、還元反応が開始される前、つまり上記各水溶液の少なくとも1つに添加しておくか調合途中で添加する、または還元反応開始後の反応液に添加する、のいずれでもかまわない。
晶析時の温度は、反応液が調合された時点、つまり還元反応が開始する時点の反応液の温度を40℃~90℃の範囲、より好ましくは50℃~80℃とする。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、ニッケル粉末の特性として、平均粒径、表面の成分組成、酸素含有率、硫黄含有率、HO吸着量を、以下の通り評価している。
(平均粒径)
ニッケル粉末の走査電子顕微鏡(SEM、JEOL Ltd.製、JSM-7100F)を用いた観察像(SEM像)で観察し、その写真像から画像解析により全様が確認できる粒子の径を求め、その数平均の粒径を平均粒径とした。
(表面の成分組成)
ニッケル粉末の表面組成は、XPS(アルバック・ファイ社製、Versa ProbeII)を用い、ニッケルのNi2pスペクトルからピークフィッティング法による波形分離を行うことで、Niピークの面積、NiOピークの面積、Ni(OH)の面積を算出し、それらの面積比からNi、NiO、Ni(OH)のモル%を求めた。
(酸素含有率)
不活性ガス溶融法による酸素分析装置(LECO Corporation製、TC436)を用いて、測定した。
(硫黄含有率)
燃焼法による硫黄分析装置(LECO Corporation社製、CS600)を用いて、測定した。
(HO吸着量)
ニッケル粉末を25℃、8時間真空脱気した後、ニッケル粉末の比表面積を吸着質に窒素を用いて比表面積・細孔分布測定装置(マイクロトラックベル社製、BELSORP-miniX)で測定した。また、ニッケル粉末を25℃、8時間真空脱気した後、ニッケル粉末の25℃でのHO吸着量を高精度蒸気吸着量測定装置(マクイロトラックベル社製 BELSORP-AQUA 3)で吸着脱離等温線を測定した。ニッケル粉末の吸着脱離等温線の相対圧(P/P)が0.5のHO吸着量を求めた。得られた相対圧(P/P)が0.5のHO吸着量を比表面積で割り、単位面積当たりのHO吸着量を算出した。
(実施例)
[晶析工程]
特許文献3に記載の方法を用いて、還元反応によりニッケル粒子を晶析させた。具体的には、純水100Lにニッケル質量で5kgの塩化ニッケル6水和物を溶解させ、ニッケル塩溶液を作製した。このニッケル塩溶液にニッケルに対して0.5モル%のL-メチオニン水溶液、ニッケルに対して0.5質量ppmの塩化パラジウム(II)アンモニウム水溶液、60%抱水ヒドラジン、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液の順に添加して反応液を調合し、還元反応による晶析を開始した。その後反応液にニッケルに対して1.0モル%のエチレンジアミン水溶液を添加し、ニッケル粒子を晶析させた。液中のニッケル成分はすべて金属ニッケルに還元されていることを確認した。
[洗浄・ろ過工程]
晶析工程により得たスラリー状のニッケルスラリーを、まず静置してニッケル粒子を沈降させ、デカンテーションで上澄み液を除去し、純水と硫酸水溶液を除去した上澄み液と同量程度添加して、pH8.3のニッケルスラリーとした。このニッケルスラリーにチオグリコール酸を添加し、ニッケル粒子の表面処理を施した後、静置してニッケル粒子を沈降させデカンテーションで上澄み液を除去した。なお、デカンテーション時にはニッケル粒子が大気に暴露されない程度に液を残した。
その後、タナベウィルテック製遠心分離機(型式CO-24)にニッケルスラリーを移送し、常にニッケル粒子が大気に暴露されないように純水流量を調整してろ過洗浄し、固液分離して湿潤状態のニッケルケーキを得た。
[乾燥工程]
湿潤状態のニッケルケーキを、EYELA製定置式真空乾燥機(型式VOS-451SD)を用いて乾燥を行った。条件としては、乾燥温度を表1の温度とし、昇温開始から乾燥温度に到達しその後30℃まで降温されるまで減圧し6kPaの圧力となるように空気を導入した。乾燥雰囲気の酸素分圧は1.2kPaであった。また、乾燥温度が100℃以上に保持される時間を45分以上とした。乾燥温度が30℃まで降温したら空気導入量を徐々に増加させて大気圧に戻して乾燥を終え、ニッケル粉末を得た。
[ペースト化とTG-DTA評価試料の作製]
得られたニッケル粉末を用いて内部電極ペーストを作製した。内部電極ペーストは、ニッケル粉末100質量部に対し、エチルセルロース4質量部、ポリビニルブチラール樹脂2質量部、チタン酸バリウム粉末10質量部となるように配合した。また、エチルセルロースとポリビニルブチラール樹脂は、予めターピネオールに溶解したビヒクルを作製し、内部電極ペースト作製の際に加えた。得られた内部電極ペーストをPETフィルム上に塗布し、120℃の乾燥炉でターピネオールを蒸発させて除去して乾燥膜を得た。得られた乾燥膜を乳鉢で砕きTG-DTA評価試料とした。TG-DTA試料はニッケル粉末のほか、エチルセルロース、ポリビニルブチラール樹脂、チタン酸バリウム粉末から構成されている。この構成は、内部電極ペーストが誘電体グリーンシートに印刷され、その後乾燥された乾燥膜の構成、すなわち、焼成される際の内部電極ペーストの乾燥膜とほぼ同じ構成となっている。
[評価]
得られた実施例1~5および比較例1のニッケル粉末の平均粒径、表面の成分組成、硫黄と酸素の含有率を測定した。結果を表1にまとめて示す。
また、得られた実施例1~5および比較例1のニッケル粉末から得られたTG-DTA評価試料について熱重量示差熱分析(TG-DTA)測定し、時間ごとの重量減少の変化率のΔTGを求めた。また、表1にΔTGの低温側のピーク温度を示す。TG-DTAの昇温条件は室温から310℃まで5℃/分で昇温し、310℃で3時間保持しその後、室温まで冷却する第一次脱バインダー処理過程と、さらに室温から5℃/分で800℃まで昇温させその後、室温まで冷却する第二次脱バインダー処理過程の温度プリファイルとした。また、第一次脱バインダー処理過程の雰囲気はNガスとし、第二次脱バインダー処理過程の雰囲気は、2%HとNの混合ガスとした。表1において、表面の組成の単位はモル%、SとOの含有率の単位は質量%である。
Figure 2023045936000002
さらに、得られた実施例1~5および比較例1のニッケル粉末について単位面積当たりのHO吸着量を算出した。結果を表2に示す。表2において、HO吸着量の単位はmg/mである。
Figure 2023045936000003
表1に示されるように、所定の硫黄含有率、酸素含有率である実施例1~5は、390℃付近より高い温度にΔTGのピークが見られる。一方、本実施形態の範囲外の硫黄含有率、酸素含有率の比較例1は、390℃付近より低い温度にΔTGのピークが見られる。比較例1に係るニッケル粉末を用いた内部電極ペーストで積層セラミックコンデンサを製造すると、クラック等の不具合が発生する恐れがある。
以上、本発明であれば、積層セラミックコンデンサの製造時にクラックやデラミネーションの発生を抑制できるニッケル粉末を提供することができる。
また、単位面積当たりのHO吸着量は、比較例1が最も低いことが分かった。

Claims (3)

  1. 表面にNiOを主とする酸化被膜を有するニッケル粉末であって、
    X線光電子分光法(XPS)を用いて測定された前記ニッケル粉末の表面の成分組成において、Ni、NiOおよびNi(OH)の合計に対するNiの物質量は15モル%を超えて35モル%以下であり、NiOの物質量は50モル%以上であり、Ni(OH)の物質量は0モル%を超えて30モル%以下であり、
    酸素含有率が1.1質量%以下の場合には、硫黄含有率が0.3質量%以下であり、
    酸素含有率が1.1質量%を超える場合には、硫黄含有率の百分率と酸素含有率の百分率を乗じた値が0.15以下である、ニッケル粉末。
  2. 平均粒径が0.03μm~0.4μmである請求項1に記載のニッケル粉末。
  3. 相対圧P/P=0.5における単位面積当たりのHO吸着量が0.10mg/m以上0.70mg/m以下である請求項1あるいは請求項2に記載のニッケル粉末。
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